JP2537241Y2 - カプセル入り製品の移載装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、引き剥し用の耳部を有
する蓋フィルムでカプセル容器の上部開口部を密閉した
カプセル入り製品を例えば製造ラインから次工程ライン
に移し替えると同時に、包装の邪魔にならないよう蓋フ
ィルムの耳部を下向きに折り曲げることのできるカプセ
ル入り製品の移載装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】薬品、化粧品、食品等を一度に使い切る
量づつ少量パックしたカプセル入り製品があるが、この
種のカプセル入り製品はアルミフィルム等の蓋でシール
されており、使用時には蓋フィルムの外周部に張り出し
た耳部をつかんで蓋フィルムを引き剥すようになってい
る。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】上記蓋フィルムの耳部
が伸びた状態のままであると、包装やケース入れの際に
邪魔になると共に、取扱い中に蓋フィルムが剥れる原因
となるので、蓋フィルムを装着後、耳部をカプセル容器
側に折り曲げておくのが望ましい。しかしながら、この
耳部の折曲げ工程を特別に設けることは、製造工程数お
よび必要な設備の数が増加するので好ましくない。そこ
で、本考案は、工程数等を増やすことなく、蓋フィルム
の耳部を折り曲げられるようにすることを課題としてい
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本考案は次のように構成した。すなわち、本考案に
かかるカプセル入り製品の移載装置は、引き剥し用の耳
部を有する蓋フィルムでカプセル容器の上部開口部を密
閉したカプセル入り製品を吸引保持するサクションカッ
プを有し上下方向および横方向に移動する移載ヘッド
と、所定のパレット上に保持されているカプセル入り製
品を前記移載ヘッド側に押す押上ピンと該押上ピンによ
る押圧時にカプセル入り製品の耳部に当接して該耳部を
下向きに折り曲げるよう案内する耳部折曲げプレートと
を具備することを特徴としている。

【０００５】

【作用】製造ラインの終端部に到達したカプセル入り製
品を上方に持ち上げる際に前記耳部を下向きに折り曲げ
るよう案内する耳部折曲げプレートが設けられているの
で、例えば製造ラインから次工程ラインにカプセル入り
製品を移し替える際に蓋フィルムの耳部が包装やケース
入れの邪魔にならないよう折り曲げられる。

【０００６】

【実施例】図１はカプセル入り製品製造設備の１例の全
体構成図である。この製造設備３０は、カプセル入り製
品を製造する製造ライン３１と、該製造ラインで完成し
たカプセル入り製品を所定のケースに詰めるケース詰め
ライン３２とからなり、製造ライン３１のカプセル搬送
用パレット６０からケース詰めライン３２のケース搬送
用パレット２０１上のケースにカプセル入り製品を移載
するために本考案のカプセル入り製品移載装置５４が使
用されている。

【０００７】製造ライン３１で製造されるカプセル入り
製品４は、図２に示す如く、プラスチックカプセル１に
例えば化粧用パウダー等の被充填物２を充填し、当該カ
プセルの上部開口部にアルミフィルム製の蓋材（以下、
蓋フィルムとする）３を装着したものである。蓋フィル
ム３には一方向に張り出した耳部３ａが形成されてお
り、使用時にはここを引っ張って蓋フィルム３をカプセ
ル１から引き剥すことができるようになっている。

【０００８】カプセル１は、平面視で楕円形の筒部１０
と、該筒部の上部に一体化された半球部１１とからな
り、パウダーを収容するための凹部１２が半球部１１の
内部に上方に開口させて形成されている。筒部１０の上
部と下部を組み合わせることにより、複数個のカプセル
を上下に積み重ねることができる。

【０００９】カプセル入り製品を収納するケース８は、
図３に示す如く下ケース部材６と上ケース部材７とから
なり、その内部に６段に積み重ねたカプセル入り製品の
山を５つ直列に収納するようになっている。下ケース部
材６の上面部にはカプセル入り製品４を保持するための
リング状突起２０，…が配されており、これら突起を取
り囲むように上ケース部材７を装着するための立縁部２
１が形成されている。また、下ケース部材６の底面に
は、後記ケース詰めパレットのガイドピース２０２が嵌
合する凹部２２が形成されている。

【００１０】カプセル搬送用パレット６０は、図４およ
び図５に示すように、上面部に複数のカプセル保持部６
１，…が所定の間隔をおいて碁盤目状（ヨコ１０×タテ
５）に整列させて配されている。カプセル保持部６１に
は、カプセル１がちょうど嵌合する形状をしたブッシュ
６２がスプリング６３によって下から弾性的に支持され
た状態で内装されている。このブッシュ６２の中心部に
は、上下に貫通する押上ピン孔６５が設けられている。
ブッシュ６２にカプセル１を嵌め込んだ場合、カプセル
１の上部がパレット６０の上面よりも若干突出する状態
となる。

【００１１】また、ケース搬送用パレット２０１は、図
６および図７に示すように、１０個のケース保持用ガイ
ドピース２０２，…がケース搬送方向と平行に埋設され
ている。このガイドピース２０２，…の中心間隔は、前
記カプセル保持部６１，…の横方向の中心間隔と等しく
なっている。

【００１２】カプセル入り製品移載装置５４は、図８乃
至図１２の如く構成されている。

【００１３】２４０はカプセル入り製品移載用の移載ヘ
ッドで、１パレット分のカプセル入り製品４，…を個別
に保持することのできる複数のチャック具２４１，…が
底面部に設けられている。このチャック具２４１は、サ
クションカップ２４１ａによってカプセル入り製品４を
上側から吸引保持するようになっている。移載ヘッド２
４０は、プッシャシリンダ２４２で昇降させると共に、
該プッシャシリンダごとスライドテーブル２４３に沿っ
て製造製造コンベヤ３４の上方とケース詰めシリンダ５
０の上方の間を水平移動させるようになっている。な
お、プッシャシリンダ２４２にはその伸縮量を調整する
調整機能２４５が設けられており、ケース詰めライン３
２上で移載ヘッド２４０が下降する際に、その下降位置
が順に６段階に変化するようになっている。

【００１４】前記チャック具２４１，…は図１１に示す
如くカプセル搬送用パレット６０のカプセル保持部６
１，…と同様に碁盤目状に配されているが、チャック具
２４１，…が取り付けられている取付フレーム３０１
（１〜５）をジグシリンダ３０６でスライドさせること
により、チャック具２４１，…のＸ軸方向の間隔をカプ
セル搬送用パレット６０からカプセル入り製品４，…を
取り出す時の間隔と下ケース部材６，…の上にカプセル
入り製品４，…を解放する時の間隔に拡縮調整できるよ
うになっている。

【００１５】２５０はパレット６０のブッシュ６２，…
に嵌合しているカプセル入り製品４，…を押し上げるた
めの押上ピンで、該押上ピンは、製造ライン３２の下方
に設けたプレート２５１に取り付けられ、プレート２５
１ごと押上シリンダ２５２で上下動させるようになって
いる。

【００１６】２６０は耳部折曲げプレートで、カプセル
入り製品４，…が上下にちょうど挿通する程度の大きさ
の穴２６１，…が穿設されている。この穴２６１は、図
１２の断面図に示す如く、蓋フィルム３の耳部３ａが通
る部分２６１ａは下部がテーパ状に広がった形状に形成
されている。耳部折曲げプレート２６０は耳部折曲シリ
ンダ２６２，２６２によって上下動させられる。

【００１７】カプセル入り製品４，…を保持したカプセ
ル搬送用パレット６０が製造ライン３１の所定位置に到
達すると、製造ライン３１の上方に位置している移載ヘ
ッド２４０が下降する。これと同時に、耳部折曲げプレ
ート２６０も下動し、該耳部折曲げプレートは所定位置
で待機する。移載ヘッド２４０の下降動作が完了する
と、押上ピン２５０，…が上動して、パレット６０のカ
プセル保持部６１，…内からカプセル入り製品４，…を
押し上げ、カプセル入り製品４，…を移載ヘッド２４０
のチャック具２４１，…に吸引させる。続いて、移載ヘ
ッド２４０が上昇を開始し、カプセル入り製品４，…は
押上ピン２５０，…によって補助的に押し上げられなが
ら上昇する。このとき、カプセル入り製品４は耳部折曲
げプレート２６０の穴２６１を通過することとなるが、
その際に蓋フィルム３の耳部３ａが穴２６１のテーパ状
部分２６１ａによって下向きに押圧されつつ案内される
ことにより、当該耳部３ａが図１３に示すように下側に
折り曲げられる。カプセル入り製品４がブッシュ６２か
ら抜けたならば、押上ピン２５０，…は押上動作を停止
し、元の状態に復帰する。

【００１８】各カプセル入り製品４，…を保持した移載
ヘッド２４０は上昇し、さらにケース詰めライン３１の
上方まで水平移動する。この移動の間に、ケース詰め時
の間隔に合致するよう、チャック具２４１，…の間隔が
修正される。そして、ケース詰めパレット２０１に載置
されている下ケース部材６，…への段積み動作に移る。

【００１９】段積み動作は以下の順序で行う。すなわ
ち、１段目のカプセル入り製品を移載するときは、移載
ヘッド２４０が最下部まで下降して、下ケース部材６の
上にカプセル入り製品４を直接載置する。間隔調整手段
によって移載ヘッド２４０のカプセル製品保持間隔が製
造ライン３１における間隔からケース詰めライン３２に
おける間隔に修正されているので、下ケース部材６の突
起２０にカプセルの筒部１０がうまく嵌合するようにな
る。２段目のカプセル入り製品を移載するときは、移載
ヘッド２４０の下降位置を１段分上げ、１段目のカプセ
ル入り製品に２段目のカプセル入り製品を積み重ねる。
以下同様に、移載ヘッド２４０の下降位置を１段分づつ
上げてゆき、下ケース部材６上にカプセル入り製品を６
段に積み重ねるのである。

【００２０】なお、ケース詰めライン３２のカプセル入
り製品移載位置には、図１４に示す段積用ガイドプレー
ト２７０が設けられている。この段積用ガイドプレート
２７０は、カプセル入り製品４の平面形状よりも若干大
きめのガイド穴２７１，…が形成されており、前記移載
ヘッド２４０の動作と同期して６段階に昇降する。した
がって、カプセル入り製品の移載時に、段積みされるカ
プセル入り製品４，…がガイド穴２７１，…を通過させ
られることとなり、カプセル入り製品の位置決めが確実
に行われる。段積用ガイドプレート２７０の昇降機構
は、該プレートに取り付けたボールねじ２７３，２７３
をモータ２７４で回転させて上下動させるようになって
いる。

【００２１】以下、図１に示すカプセル入り製品製造設
備の構成と作用について説明する。

【００２２】製造ライン３１は、カプセルを所定方向に
搬送する搬送手段としての製造コンベヤ３４を備え、該
製造コンベヤに沿って空カプセル整列台３５、空カプセ
ル移載装置３６、空カプセルクリーニング装置３８、充
填装置３９、充填チェック装置４０、フィルムシート繰
出装置４２、ダイカット装置４３、フィルムシート被覆
装置４５、熱シール装置４６、フィルムシート分離装置
４７等が設けられている。

【００２３】空カプセル整列台３５において予備パレッ
トに整列状態に並べられた複数のカプセル１，…が、空
カプセル移載装置３６によって製造コンベヤ３４の始端
部に位置するパレット６０のカプセル保持部６１，…に
移載される。そして、製造コンベヤ３４によってカプセ
ル１，…を順次Ｘ方向に間欠的に搬送させつつ、以下に
示す処置を施す。

【００２４】まず、空カプセルクリーニング装置３８に
よってカプセル１，…内の異物が除去され、その後で充
填装置３９によってカプセル１，…内に被充填物が充填
される。充填装置３９を通過後、カプセル１，…内に被
充填物が入っているか否かを充填チェック装置４０でチ
ェックする。

【００２５】一方、フィルムシート繰出装置４２から繰
り出される帯状のフィルムシートにダイカット装置４３
によって所定の処理を施し、図１５に示す如く蓋形状の
分離用ミシン目Ｍ，…をつけたフィルムシートＦを成形
する。このフィルムシートＦをフィルムシート被覆装置
４５で被充填物を充填した後のカプセル１，…の上に被
せる。

【００２６】フィルムシートＦを被せられたカプセル
１，…は熱シール装置４６に搬送される。熱シール装置
４６は、フィルムシートＦを加熱しながらカプセル１，
…に押し付けることにより、フィルムシートＦの裏面に
塗布されている熱融解性の接着剤を融解させ、フィルム
シートＦの蓋部分３…とカプセル１，…の上部を接着さ
せる。カプセル１に接着されたフィルムシートＦは、フ
ィルムシート分離装置４７によって蓋部分３，…とそれ
以外の不要部分に分離される。

【００２７】また、ケース詰めライン３２はケース詰め
コンベヤ５０、下ケース部材供給コンベヤ５１および上
ケース部材供給コンベヤ５２を備え、前記ケース詰めコ
ンベヤ５０に沿って、下ケース部材移載装置５５、上ケ
ース部材移載装置５６、およびケース詰め品排出装置５
８等が設置されている。

【００２８】まず、下ケース部材供給コンベヤ５２の終
端部に供給される下ケース部材６，…を下ケース部材移
載装置５５が１０個づつ保持し、これをケース詰めパレ
ット２０１の上に図１に示す向きに並べて載置する。そ
して、カプセル入り製品移載装置５４が前記動作を行う
ことにより、これら１０個の下ケース部材６，…の上に
カプセル入り製品４，…を６段づつ段積みする。次に、
上ケース部材供給コンベヤ５２の終端部に供給される上
ケース部材７，…を上ケース部材移載装置５６によって
段積みされたカプセル入り製品４，…の上から下ケース
部材６，…に被せる。このようにして完成したケース詰
め品をケース詰め品排出装置５８によってケース詰めコ
ンベヤ５０から排出する。

【００２９】

【考案の効果】以上に説明した如く、本考案にかかるカ
プセル入り製品の移載装置は、完成したカプセル入り製
品を他の場所に移し替える際に、蓋フィルムの耳部が包
装やケース入れの邪魔にならないよう折り曲げられるの
で、耳部折曲げのための特別な設備や工程が不要とな
り、経済性に優れたものとなった。

【図面の簡単な説明】

【図１】カプセル入り製品製造設備の全体平面図であ
る。

【図２】カプセル入り製品の分解斜視図である。

【図３】カプセル入り製品をケースに詰めた状態を示す
斜視図である。

【図４】カプセル搬送用パレットの平面図である。

【図５】カプセル搬送用パレットの一部断面側面図であ
る。

【図６】ケース搬送用パレットの平面図である。

【図７】ケース搬送用パレットの側面図である。

【図８】移載ヘッドが製造ライン上に位置する時のカプ
セル入り製品移載装置の正面図である。

【図９】移載ヘッドがケース詰めライン上に位置する時
のカプセル入り製品移載装置の側面図である。

【図１０】移載ヘッドの一部断面側面図である。

【図１１】移載ヘッドの底面図である。

【図１２】耳部成形プレートの要部の断面図である。

【図１３】蓋フィルムの耳部が折り曲げられた状態を示
すカプセル入り製品の斜視図である。

【図１４】段積用ガイドプレートの平面図である。

【図１５】フィルムダイカット方法の説明図である。

【符号の説明】

１ カプセル ３ 蓋フィルム ３ａ 耳部 ４ カプセル入り製品 ６ 下ケース部材 ７ 上ケース部材 ８ ケース ３０ カプセル入り製品製造設備 ３１ 製造ライン ３２ ケース詰めライン ３４ 製造コンベヤ ６０ カプセル搬送用パレット ２４０ 移載ヘッド ２４１ サクションカップ ２５０ 押上ピン ２６０ 耳部折曲げプレート

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 引き剥し用の耳部を有する蓋フィルムで
   カプセル容器の上部開口部を密閉したカプセル入り製品
   を吸引保持するサクションカップを有し上下方向および
   横方向に移動する移載ヘッドと、所定のパレット上に保
   持されているカプセル入り製品を前記移載ヘッド側に押
   す押上ピンと該押上ピンによる押圧時にカプセル入り製
   品の耳部に当接して該耳部を下向きに折り曲げるよう案
   内する耳部折曲げプレートとを具備することを特徴とす
   るカプセル入り製品の移載装置。