JP2533298B2 - 自動二輪車用の自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明はバーハンドルを備えた自動二輪車、または
自動三輪車（以下これらを総称して「自動二輪車」とい
う）の変速機の変速制御装置に関するものであり、ハン
ドルグリップの近傍に設けた選択切替スイッチの操作に
よって、変速モードを走行中に簡単、容易に切り換える
ことができるものである。

〔従来の技術〕

自動変速機を備えた自動二輪車において、自動変速機
の変速モードを走行状態に応じて適宜選択できるように
なっているものがある。

このものの変速制御装置は制御スイッチの操作で変速
機の変速モードを切り換え、広範囲に変化する走行条件
に応じて、最も効率的な駆動状態を実現し、スムーズで
快適な走行を可能にするとともに、経済性を向上させる
ことができるようになっている。

変速機の変速モードの切り換えは走行条件の変化に応
じて適宜行われることが望ましい。そのために、変速モ
ード選択切替スイッチをこれを容易に操作できる位置
に、かつ操作し易い状態で設置することが必要である。
また、他の機器の操作時に誤って不用意に操作されるこ
とが避けられる位置でなければならない。

〔発明が解決しようとする課題〕

本発明は上記の要請に応えることを目的とするもので
あり、セルスタータスイッチ等の他の操作機器と干渉す
ることなく、グリップを握持したままで変速モード選択
切替スイッチを操作できるように、変速モード選択切替
スイッチの配置、およびその機構を工夫することをその
課題とするものである。

〔課題解決のために講じた手段〕

上記課題解決のために講じた手段は、バーハンドルを
備えた自動二輪車用の自動変速機の変速モードを走行条
件に応じて切り換えられる自動変速機の変速制御装置を
前提として、次の要素（イ）〜（ヘ）によって構成され
るものである。

（イ） 上記自動変速機を所定の変速比に制御する変速
機駆動手段を設けたこと、 （ロ） 前記変速機駆動手段を、複数の異なる走行状態
に応じた変速特性データが記憶されたマップにより制御
する、複数のモードよりなるモード設定手段を設けたこ
と、 （ハ） 前記モード設定手段の複数のモードに対応し、
複数のモードの内のいずれかのモードを選択するための
モード選択切替スイッチを有し、モード選択切替スイッ
チの操作により選択されたモードの変更比特性を得るよ
うに、複数のモードの内から選択されたモードに切り換
え、変速機駆動手段を作動して、変速機を所定の変速比
に制御するようにしたこと、 （ニ） 中央に位置するセルスタータスイッチの周囲に
前照灯スイッチおよび前記モード選択切替スイッチを配
置したこと、 （ホ） 前記モード選択切替スイッチは上記セルスター
タスイッチを中心として円周方向に移動可能に設けて、
各モード位置に切り換えられるように構成したこと、 （ヘ） モード選択切替スイッチをグリップに隣接し、
かつ該グリップの外周よりも後方に突出するスイッチ部
の垂直面に設置し、前記モード選択切替スイッチをグリ
ップ内側端に近接させて配置したこと。

〔作用〕

自動変速機の制御装置は、例えばエコノミーモード、
標準モード、パワーモード等の複数の自動変速モードを
有し、モード選択切替スイッチによって選択すると自動
変速モードが切り替わり、走行条件に最も適した自動変
速モードに従って、自動変速制御がなされる。

そして、グリップの内側端のスイッチ部にセルスター
タスイッチが設けられている。このセルスタータスイッ
チが押しボタン式であることは常識であるが、このセル
スタータスイッチの周りにモード選択切替スイッチおよ
び前照灯スイッチを設け、モード選択切替スイッチを周
方向に移動させて変速モードの切り換え、選択を行うも
のであるから、その操作方向がセルスタータスイッチと
異なるので、セルスタータスイッチを押す動作によって
誤ってモード選択切替スイッチが操作されることはな
く、また、モード選択切替スイッチの操作によってセル
スタータスイッチが誤って操作されることはない。ま
た、押しボタン式のセルスタータスイッチの周りに円周
方向に操作されるモード選択切替スイッチ、および前照
灯スイッチが配置されるので、これらのスイッチがコン
パクトに組み合わされ、かさ張ることを回避することが
できる。

さらにグリップの前方に前輪用のブレーキレバー等の
他の操作手段が設けられているが、これらの操作方法は
モード選択切替スイッチの操作方法とは異なるので、走
行中にこれらの操作レバーが操作されても、その操作に
伴ってモード選択切替スイッチが誤って操作されてしま
う可能性は極めて少ない。

モード選択切替スイッチをグリップの内側端近傍に位
置させたので、グリップを握った時その親指、人差指が
モード選択切替スイッチにとどく。したがって、例え
ば、アクセルグリップを握ったままで、その親指、人差
指によってこれを容易に操作することができ、走行中に
モード選択を行うについて、これが特に精神的負担にな
ることはない。それゆえ、走行中にモード選択を適宜行
うことが充分期待される。

また、ハンドルグリップ、例えばアクセルグリップの
内側端近傍にあってその外周によりも後方に突出した垂
直面に、セルスタータスイッチ、前照灯スイッチ、モー
ド選択切替スイッチを設けたので、ライダーはモード選
択切替スイッチの切替え位置を視認し易く、また、操作
し易い。さらに後方に突出した垂直面にセルスタータス
イッチ、前照灯スイッチ、モード選択切替スイッチを設
けたことによって、走行時にスイッチ取付面に雨が吹き
付けられることはないので、雨の中でもスイッチ面の表
示が見易く、また雨水はスイッチの内部に入りにくい。

〔実施例〕

次いで、図面を参照しつつ実施例を説明する。

自動二輪車１は内燃機関と、自動変速機を有し、車体
全体がカバー２によって覆われている。後輪の上方にシ
ート３があって、ステップ４が後輪と前輪との間におい
てカバー２に一体に設けられている。

前輪はバーハンドル５によって左右に転向操作され、
バーハンドルの右側グリップ、すなわち通常のアクセス
グリップ６の内端の近傍にスイッチ部７がある。このス
イッチ部７はバーハンドル５の後方に向けられていて、
その後端面はアクセルグリップ６の外周よりも後方に突
出している。このスイッチ部７の中心にセルスタータス
イッチ９があり、その周りにモード選択切替スイッチ８
と前照灯スイッチ10が設けられており、少なくともモー
ド選択切替スイッチ８はセルスタータスイッチ９の周り
に円周方向に移動できるようになっていて、その円周方
向の移動によってエコノミモード位置Ｃ、標準モード位
置STD、パワーモード位置PWのいずれかが選択される。
セルスタータスイッチが押しボタン式であることは常識
であるが、このセルスタータスイッチの押し操作時にモ
ード選択切替スイッチ８に指が触れても、その操作方向
はモード選択切替スイッチ８の切り換え操作方向とは異
なるので、これによってモード選択切替スイッチ８が不
用意に操作されることはない。

また、押しボタン式のセルスタータスイッチ９の周り
に円周方向に操作されるモード選択切替スイッチ８、お
よび前照灯スイッチ10が配置されるので、これらのスイ
ッチがコンパクトに組み合わされ、かさ張ることを回避
することができる。

このモード選択切替スイッチ８の操作によって第４図
に示すように、操作信号がモード切替手段11に入力され
る。このモード切換手段11では操作信号に基づいて、マ
ップ制御のエコノミーモード設定手段12でエコノミーモ
ードを、標準モード設定手段13で標準モードを、また、
パワーモード設定手段14でパワーモードをそれぞれ選択
して設定する。この選択されたモードにしたがった伝動
比が得られるように、変速駆動手段15を作動させ、これ
によって変速機16を制御する。

前記エコノミーモード、標準モードおよびパワーモー
ドは第５図（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）に示すような出力特
性を有しており、それぞれ走行条件に応じて変速モード
が選択される。

走行状態においては雨はバーハンドルバーおよびハン
ドルグリップに斜め前方から叩き付けられる。しかし、
スイッチ部７の後端の垂直面にセルスタータスイッチ
９、前照灯スイッチ10、モード選択切替スイッチ８を設
けたものであるから、ライダーはこれらのスイッチ面を
視認しやすく、また雨によってはこれらが見にくくなる
ことはない。

〔発明の効果〕

この発明は前記のように変速制御装置のモード選択切
替スイッチをバーハンドルバーのグリップの内端近傍に
配置したので、該グリップを把持したままその指で、モ
ード選択切替スイッチを適宜、容易に操作することがで
きる。したがって、走行中においてのモード選択切替ス
イッチを操作することは全く精神的負担にはならないの
で、走行条件の変化に応じて頻繁に変速モードの切り換
えを行なうことが期待され、最も経済的で、またスムー
ズな自動変速走行を実現することが期待される。

また、ハンドルグリップの内側端の外周よりも後方に
突出したスイッチ部の垂直面にセルスタータスイッチを
設け、その周りにモード選択切替スイッチおよび前照灯
スイッチを設け、モード選択切替スイッチの切替え操作
方向を、セルスタータスイッチを中心とした円周方向と
したので、これらのスイッチがかさ張らず、コンパクト
に纏められる。また、モード選択切替スイッチの選択位
置の視認が極めて容易である。これは夜間走行時におい
ても特に顕著である。

【図面の簡単な説明】

第１図は自動二輪車の平面図、第２図は実施例の正面
図、第３図は実施例の側面図、第４図は変速制御装置の
概念図、第５図は（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）は変速機の変
速の各制御モードにおける出力特性図である。 ５……バーハンドル ６……グリップ ８……モード選択切替スイッチ ９……セルスタータスイッチ 10……前照灯スイッチ

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】バーハンドルを備えた自動二輪車用の自動
   変速機の変速モードを走行条件に応じて切替えられる自
   動変速機の変速制御装置において、 変速機を所定の変速比に制御する変速機駆動手段と、 前記変速機駆動手段を、複数の異なる走行状態に応じた
   変速特性データが記憶されたマップにより制御する、複
   数のモードよりなるモード設定手段と、 前記モード設定手段の複数のモードに対応し、複数のモ
   ードの内のいずれかのモードを選択するためのモード選
   択切替スイッチを有し、モード選択切替スイッチの操作
   により選択されたモードの変速比特性を得るように、複
   数のモードの内から選択されたモードに切り換え、変速
   機駆動手段を作動して、変速機を所定の変速比に制御す
   るようにし、 中央に位置するセルスタータスイッチの周囲に前照灯ス
   イッチおよび前記モード選択切替スイッチを配置し、 前記モード選択切替スイッチは上記セルスタータスイッ
   チを中心として円周方向に移動可能に設けて、各モード
   位置に切り換えられるように構成し、 前記モード選択切替スイッチをグリップに隣接し、かつ
   該グリップの外周よりも後方に突出するスイッチ部の垂
   直面に設置し、前記モード選択切替スイッチをグリップ
   内側端に近接させて配置した自動二輪車用の自動変速機
   の変速制御装置。