JP2532934Y2 - パワーステアリング装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は自動車のパワーステアリング装置に利用す
る。本考案は操舵に伴って移動するスプールバルブのス
プールを円滑に動作させることができるパワーステアリ
ング装置に関する。

〔概要〕

本考案は圧油による動力を付加して軽い操舵力で車両
を旋回させるパワーステアリング装置において、 スプールバルブのスプールとボールナットとをシーソ
型のレバーを介して連結することにより、 スプールを円滑に動作させ、部品を小形化するパワー
ステアリング装置を提供するものである。

〔従来の技術〕

従来、ボールナットの溝とスプールバルブのスプール
とはピンにより係合していた。

すなわち、従来のパワーステアリング装置は第３図に
示すように、オネジ溝を有し図外のステアリングシャフ
トによって回転するボールネジ７と、オネジ溝とを対応
するメネジ溝を有し、このメネジ溝とオネジ溝間を移動
しながら循環するボールを介して螺合し軸方向に移動す
るボールナット５を内蔵したピストン１と、このピスト
ン１に形成されたラック歯２に噛合するセクタギャ４を
備えたクロスシャフト３と、ピストン１およびセクタギ
ャ４を囲み、ピストン１の左右に油室を形成したギャハ
ウジングを併用するパワーシリンダ10と、このパワーシ
リンダ10の外側に設けられ、油室に圧油を給排制御する
スプールバルブ11とが備えられ、ボールナット５の外径
面に軸方向の溝5aが設けられ、スプールバルブ11のスプ
ール11aにピン６が固着され、このピン６が溝5aに係合
されていた。

〔考案が解決しようとする課題〕

上述したように従来はスプールバルブのスプールにピ
ンを差し込み、そのピンの先端をボールナットで動かし
ているためスプールにモーメントがかかり左右に摺動し
にくい問題があった。

本考案はこのような問題を解決するもので、スプール
の軸方向にのみ力がかかるようにし、スプールの動きを
円滑にすることができる装置を提供することを目的とす
る。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は、オネジ溝を有しステアリングシャフトによ
って回転するボールネジと、前記オネジ溝と対応するメ
ネジ溝を有し、このメネジ溝と前記オネジ溝間を転動し
ながら循環するボールを介して螺合し軸方向に移動する
ボールナットを内包したピストンと、このピストンの外
側に形成されたラック歯に噛合するセクタギャを備えた
クロスシャフトと、前記ピストンおよびセクタギャを囲
み、空間に油室を形成したパワーシリンダと、このパワ
ーシリンダの外側に設けられ、前記油室に圧油を給排制
御するスプールバルブとを備え、前記ボールナットの外
径面に軸方向の溝を設け、前記スプールバルブのスプー
ルと前記溝とを連結する手段を備えたパワーステアリン
グ装置において、前記連結する手段は、一端が前記スプ
ールバルブのスプールに設けられた凹部に係合し、その
他端が前記ボールナットの溝に係合し、さらにそのほぼ
中央部が前記パワーシリンダに支点まわりに回動自在に
取付けられたレバーを備えたことを特徴とする。

前記支点は前記パワーシリンダに固着されたシャフト
であるか、このシャフトに代えてスフェリカルジョイン
トを備えることができる。

〔作用〕

支点まわりに回動するレバーにより、ボールナットと
スプールを連結するので、レバーには無理なモーメント
がかからない。したがって、スプールの移動が円滑にな
り、レバー部材にかかる力が小さくなるから部品を軽量
化できる。

ボールネジとボールナットの間は、従来構造とは逆ね
じの関係になる。

〔実施例〕

次に、本考案実施例を図面に基づいて説明する。第１
図は本考案実施例の構成を示す断面図である。

本考案実施例は、オネジ溝を有し図外のステアリング
シャフトによって回転するボールネジ７と、オネジ溝と
対応するメネジ溝を有し、このメネジ溝とオネジ溝間を
転動しながら循環するボールを介して螺合し軸方向に移
動するボールナット５を内包したピストン１と、このピ
ストン１の外側に形成されたラック歯２に噛合するセク
タギャ４を備えたクロスシャフト３と、ピストン１およ
びセクタギャ４を囲み、空間に油室を形成したパワーシ
リンダ40と、このパワーシリンダ10の外側に設けられ、
前記油圧に圧油を給排制御するスプールバルブ11とを備
え、ボールナット５の外径面に軸方向の溝5aを設け、ス
プールバルブ11のスプール11aと溝5aとを係合するレバ
ー12と、このレバー12を回動自在に支持するシャフト13
とを備える。

次に、このように構成された本考案実施例の動作につ
いて説明する。

図外のステアリングシャフトによりボールネジ７が回
転すると、ピストン１に内蔵されたボールナット５がメ
ネジ溝とオネジ溝を転動しながら循環するボールを介し
て軸方向に移動する。このときボールナット５に設けら
れた溝5aが回動を受け、溝5aに係合しているレバー12の
一端がシャフト13を中心に回動する。

この回動を受けたレバー12の他端がシーソー動作によ
り逆方向に回動し、係合しているスプールバルブ11のス
プール11aを移動させる。その移動方向は従来技術とは
逆方向になるためボールナット５およびボールネジ７の
螺条方向を逆に設けることによりボールネジ７の回転方
向に対しスプール11aの移動方向を対応させることがで
きる。

このようにスプール11aがシャフト13を中心にした回
動動作を受け、係合部の滑りにより水平方向に力を受け
るためにスプール11aにはモーメントがかからず移動を
円滑に行うことができる。

第２図は本考案の別の実施例構造図である。これは前
述の第１図に示すシャフト13の代わりに、スフェリカル
ジョイントを用いた例である。

この場合もレバー12の中心部がボールジョイントシー
ト14により狭持され左右に回動できるから、シャフト13
を用いた場合と同様の動作を行うことができる。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案によれば、ボールナットの
溝とスプールとの係合に両端部が回動を受けるレバーを
用いることにより、ボールナットからの力がスプールに
対しモーメントを生じることなく伝達され、移動を円滑
に行うことができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例の構成を示す断面図。 第２図は本考案実施例におけるスフェリカルジョイント
を用いた場合の構成を示す図。 第３図は従来例の構成を示す断面図。 １…ピストン、２…ラック歯、３…クロスシャフト、４
…セクタギャ、５…ボールナット、5a…溝、６…ピン、
７…ボールネジ、10…パワーシリンダ、11…スプールバ
ルブ、11a…スプール、12…レバー、13…シャフト、14
…ボールジョイントシート。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】オネジ溝を有しステアリングシャフトによ
   って回転するボールネジ（７）と、 前記オネジ溝と対応するメネジ溝を有し、このメネジ溝
   と前記オネジ溝間を転動しながら循環するボールを介し
   て螺合し軸方向に移動するボールナット（５）を内包し
   たピストン（１）と、 このピストンの外側に形成されたラック歯（２）に噛合
   するセクタギャ（４）を備えたクロスシャフト（３）
   と、 前記ピストンおよびセクタギャを囲み、空間に油室を形
   成したパワーシリンダ（10）と、 このパワーシリンダの外側に設けられ、前記油室に圧油
   を給排制御するスプールバルブ（11）と を備え、 前記ボールナット（５）の外径面に軸方向の溝（5a）を
   設け、 前記スプールバルブのスプール（11a）と前記溝（5a）
   とを連結する手段を備えたパワーステアリング装置にお
   いて、 前記連結する手段は、 一端が前記スプールバルブのスプールに設けられた凹部
   に係合し、その他端が前記ボールナットの溝に係合し、
   さらにそのほぼ中央部が前記パワーシリンダに支点まわ
   りに回動自在に取付けられたレバー（12）を備え、 前記支点はスフェリカルジョイントである ことを特徴とするパワーステアリング装置。