JP2531388Y2 - 椅子の傾動制御装置 - Google Patents

椅子の傾動制御装置

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JP2531388Y2
JP2531388Y2 JP1991086142U JP8614291U JP2531388Y2 JP 2531388 Y2 JP2531388 Y2 JP 2531388Y2 JP 1991086142 U JP1991086142 U JP 1991086142U JP 8614291 U JP8614291 U JP 8614291U JP 2531388 Y2 JP2531388 Y2 JP 2531388Y2
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ratchet
spring
tilting
seat
chair
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俊一 高松
博嗣 久保
克典 濱
浩 岩淵
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株式会社イトーキクレビオ
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、背もたれをばね手段の
弾性に抗して後傾動できるようにした椅子において、背
もたれの後傾角度が椅子に座った人の体重に関係なく略
一定となるよう、ばね手段のばね定数を、椅子に座った
人の体重に応じて自動的に調節できるようにした傾動制
御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】本願出願人は、先の実用新案登録出願
(実願平2-32296 )において、図18に示すような背もた
れの傾動制御装置を提案した。すなわちこの先願考案
は、脚体100 の上端に設けた支持機構101 の前端部に、
背もたれ102 が取付く103 をピンにて後傾動自在に枢着
すると共に、該傾動部材102 の後傾動を弾性的に支持す
る片持ち梁状の板ばね104 を後ろ向きに延びるように設
け、これら傾動部材103 と板ばね104 との間に、傾動部
103 からの荷重を板ばね104 に作用させるための滑動
子105 を設ける一方、座体106 を、体重感応ばね107 を
介して傾動部材103 にて支持している。
【0003】更に、前記傾動部材103 に、前記座体106
の下降動にて前後方向に回動するようにした平行リンク
機構108 を設け、この平行リンク機構108 に前記滑動子
105を取付けたもので、座体106 の下降量に応じて滑動
子105 を板ばね104 の基端寄り部位に向けて移動させ、
板ばね104 のばね定数を、椅子に座った人の体重に比例
して増大させることにより、椅子に座った人の体重に関
係なく、人が背もたれにもたれ掛かったときに当該人の
背中に対して作用する反力を一定ならしめ、以って、体
重の異なる人に対して適正なロッキング機能を付与する
ようにしたものであった。 他方、特開平2-55006 号公報
には、椅子に、背もたれの後傾動を支持するばねだけを
設けて、このばねの初期弾性力を着座した人の体重に応
じて変化させる構成が記載されている。しかし、このも
のは、背もたれに人がもたれ掛かった場合、座体と背も
たれとがばねを介して連動した状態になるため、ばねに
よる背もたれの弾性的な支持を着座した人の体重に応じ
て変更させる機能が不安定であると言う欠点がある。こ
れに対して前記先願では、背もたれの後傾動は座体の後
傾動とは連動していないため、体重の異なる人に対して
適正なロッキング機能を付与することの安定性を向上で
きる。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】しかし、前記先願で
は、背もたれの後傾動に対する弾性的な支持を人の体重
に応じて一定に保持する機能がいまだ不十分であった。
すなわち、前記先願の考案においては、人が椅子に座る
ことによって板ばね104 のばね定数が増大したとき、板
ばね104 のばね定数を自動調節した後の値に保持する手
段がなく、滑動子105 が前後方向に移動し得る不安定な
状態にあるため、椅子に座った人が背もたれ102 にもた
れ掛かかることによって座体106 に対する下向き荷重が
減少したり、或いは、椅子に座った人が背もたれ102 に
もたれ掛かった状態で腰を軽く持ち上げることによって
座体106 に対する下向き荷重が減少したりすると、滑動
子105 が戻り移動して、板ばね105 のばね定数が、適正
な値よりも小さな値に変動してしまう虞があると言う問
題があった。
【0005】本考案は、この問題を解消することを目的
とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
本考案は、「脚体の上端に設けた支持機構に、座体を、
着座した人の体重に応じて下降するよう第1ばね手段で
支持した状態に取付けると共に、前記支持機構に、背も
たれが取り付く後傾部材を後傾動自在に枢着し、 該傾動
部材の後傾動を弾性的に支持する第2ばね手段を、背も
たれ荷重の作用点の移動にてばね定数が変化するものに
形成し、 前記第2ばね手段と座体、又は、第2ばね手段
に背もたれ荷重を作用させる荷重作用体と座体とを、座
体の下降量に応じて第2ばね手段のばね定数が増大する
方向に移動するよう連動部材を介して連動させて成る椅
子において、前記連動部材とこれに近接した適宜部材と
のうちいずれ一方の部材には爪車又はラチェットラック
を、他方の部材にはラチェット爪を、前記座体への下向
き荷重にてラチェット爪が前記爪車又はラチェットラッ
クに噛合し、座体への下向き荷重の解除にて噛合解除す
るように各々設ける」の構成にした。
【0007】
【作用・効果】この構成において、椅子に人が座ると、
第2ばね手段又は当該第2ばね手段に対する荷重作用体
が、連動部材を介して椅子に座った人の体重に応じた量
だけ移動することにより、第2ばね手段のばね定数が椅
子に座った人の体重に応じて増大する。それと同時に、
人の体重にて座体に下向き荷重が掛かることにて、ラチ
ェット爪が爪車又はラチェットラックに噛合して、連動
部材が移動不能に保持されることにより、第2ばね手段
と当該第2ばね手段に対する荷重作用体との相対的な位
置が不変に保持されるため、第2ばね手段のばね定数
は、人が椅子に座ることによって自動調節された後の値
に保持される。
【0008】そして、人が椅子から立ち上がって座体に
対する下向き荷重が解除されると、ラチェット爪と爪車
又はラチェットラックとの噛合が解除されて、連動部材
が移動し得る状態に戻ることにより、第2ばね手段のば
ね定数を調節し直し得る状態になる。このように、本考
案によると、人が背もたれにもたれ掛かった状態におい
て、背もたれの後傾動に対する第2ばね手段のばね定数
を、当該椅子に座った人の体重に応じた大きさに保持す
ることができるから、椅子の座り心地を格段に向上でき
るのである。
【0009】
【実施例】次に、本考案の実施例を図面に基づいて説明
する。図1〜図16は第1の実施例を示しており、例え
ば図1において符号1で示す椅子は、脚体2の上端に設
けた支持機構3と、該支持機構3に取付けた座体4と、
該座体4に一体的に連接した背もたれ5とを備えてお
り、座体4の上面と背もたれ5の前面とにはそれぞれク
ッション材4a,5aを張設している。
【0010】前記座体4は前後に分断されており、図5
に示すように、前部座体4bと後部4cとの接当部を平
面視でジグザグ状に形成して、前部座体4bと後部座体
4cとが、側面視で重複した状態で離反可能となるよう
にしている。図1や部3に示すように、前記支持機構3
は、前記脚体2の上端に固着した断面略上向き開口コ字
状の固定枠体6と、該固定枠体6に下方から被嵌した上
向き開口で箱状の回動枠体7を備えており、該回動枠体
7における左右両側板7aの後端部を、前記固定枠体6
の左右両側板6aに対して、水平状に延びる左右一対の
第1枢着ピン8にて枢着し、更に、回動枠体7における
底板7bの後端部7b′を固定枠体7の下面に接当させ
ることにより、前傾のみ可能となるようにしている。
【0011】前記回動枠体7における左右両側板7aの
後端寄り部位に、背もたれ5が取り付く側面視L字状の
傾動部材9の前端部を左右一対の第2枢着ピン10にて
枢着する一方、回動枠体7における前面板7cの内面
に、前記傾動部材9に対するばね手段の一例として、片
持ち梁状の荷重作用部11aを後ろ向きに延出した左右
一対のねじりコイルばね11を配設している。前記第2
枢着ピン10には、図5及び図12に示すように、カラ
ー12を被嵌している。
【0012】前記傾動部材9は、金属板等にて形成した
ベース体13と、該ベース体13の上面にねじにて固着
した合成樹脂製等の支持体14とを備えており、ベース
体13に形成した前後長手の凹所13aに、支持体14
に形成した下向き突起14aを嵌合し、支持体14の前
後略中途部に形成した左右両側板14bを、前記回動枠
体7の左右両側板7aに前記第2枢着ピン10にて枢着
している。
【0013】更に、前記ベース体13における下面の左
右両側には、側面視略L字状に形成した左右一対の支持
杆15の水平部15aを固着し、該左右支持杆15の上
端を平面視コ字状の連結杆16にて連結し、この連結杆
16の左右両端に固着した上下開口の筒体16aに、硬
質合成樹脂等にて若干撓み変形し得るように形成した鍔
付きのブッシュ体17を嵌挿し、該ブッシュ体17に、
前記背もたれ5の左右両側部に一体的に形成した円筒部
5bを被嵌している。
【0014】また、前記傾動部材9における支持体14
の後端寄り部位のうち左右略中間の部位に、上向き開口
した筒部18と、上下方向に延びるキー溝19aを有す
る第1ガイド体19とを一体的に連接し、前記筒部18
に、ガイドブッシュ20を嵌挿し、このガイドブッシュ
20に、後部座体4cを支持する合成樹脂製等の後部支
持板21に下向き突設したガイド筒22を嵌挿し、該ガ
イド筒22内に、椅子1に座った人の体重に応じて座体
4を下降させるための体重感応用の第1ばね手段とし
、コイルばね23を嵌挿する。
【0015】また、図3、図4、図9等に示すように、
前記後部支持板21の前端部下面に、前面にラック歯を
形成した上下長手の第1ラック24をねじ止めにて固着
し、この第1ラック24を、前記支持体14における第
1ガイド体19のキー溝19aに上下摺動自在に嵌挿す
る。更に、前記傾動部材9における支持体14の左右両
側板14bに、前記第1ラック24に噛合する第1ピニ
オンギア25aを有するピニオン軸25を、軸体26を
介して回転自在に軸支し、ピニオン軸25のうち前記第
1ピニオンギア25aを挟んだ左右両側に、第1ピニオ
ンギア25よりも大径の第2ピニオンギア25bを形成
し、更にそれよりも左右外側の部位に、第2ピニオンギ
ア25bよりも大径の爪車25cを形成している。
【0016】また、前記傾動部材9における支持体14
の上面のうち前記第2ピニオンギア25bに対応した2
ケ所の部位に、内側面にガイド溝28aを形成した断面
上向き開口コ字状で前後長手の第2ガイド体28を固着
し、これら左右両第2ガイド体28に、上面にラック歯
を形成した第2ラック30を前後摺動自在に装着し、こ
れら両第2ラック30の側面に突設した翼片30aを、
前記第2ガイド体28のガイド溝28aに前後摺動自在
に嵌合する。
【0017】更に、図4、図6、図8に示すように、
右両第2ラック30の前端を連結ピン32にて連結し、
該連結ピン32に、荷重作用体の一例としてローラ状の
滑動子31を被嵌し、該滑動子31が、前記第2枢着ピ
ン10よりも前方の部位において、前記左右両ねじりコ
イルばね11の荷重作用部11aに接当し得るように構
成する。なお、滑動子31は連結ピン32に一体的に形
成してもよい。
【0018】この場合、前記傾動部材9における支持体
14の上面に、前記左右両第2ラック30の後退位置を
規制するよう、滑動子31が接当するストッパー用突起
29を形成しており、傾動部材9が回動しない状態で
は、このストッパー用突起29に前記ねじりコイルばね
11の荷重作用部11aが接当して、ねじりコイルばね
11の荷重作用部11aと前記滑動子31との間に、僅
かの間隔寸法eの隙間が空くようにしている。
【0019】図3や図6に示すように、前記左右両ねじ
りコイルばね11は、回動枠体7の左右両側板7aに貫
通した支軸33に被嵌しており、これら左右両ねじりコ
イルばね11におけるコイル部に、硬質ゴム等の若干弾
性変形し得る素材で形成した断面半円状の緩衝部材34
を、その平坦面34aが斜め下向きに位置した状態で前
記支軸33に接当するように配設して、ねじりコイルば
ね11におけるコイル部の直径が縮小し得るようにする
ことにより、前記傾動部材9の後傾動を弾性的に支持す
るようにしている。
【0020】また、図8に示すように、前記左右両ねじ
りコイルばね11は、回動枠体7の底板7bを切り起こ
して形成した支持片35にて支持されており、更に、回
動枠体7における前面板7cには、ねじりコイルばね1
1の固定端部11bに接当して当該ねじりコイルばね1
1の初期弾性力を調節するようにしたボルト36を螺合
している。図6に示す符号37は、両ねじりコイルばね
11の横向きずれを防止するために支軸33に被嵌した
カラーを示す。
【0021】例えば図8に示すように、前記回動枠体7
の前端部に形成した水平フランジ部7dに、前部支持板
38を固着し、該前部支持板38に前部座体4bを固着
している。更に、図1、図14等に示すように、前記固
定枠体6の後端部に、後方に向けて斜め上向きに延びる
断面上向きコ字状のアーム体39を固着し、該アーム体
39における左右両両側板39aの上端部に、側面視で
傾斜状に延びる長溝孔40を穿設する一方、前記後部座
体4cと背もたれ5との連接部41を、側面視で後ろ向
き凸状に湾曲形成し、この後部座体4cと背もたれ5と
の連接部41に、略下向きに延びる左右一対のブラケッ
ト42を一体的又は別体にて形成し、これら左右両ブラ
ケット42に挿通したガイドピン43を前記アーム体3
9における左右両長孔40に挿通することにより、前記
後部座体4cと背もたれ5が下降しつつ後傾動するよう
に構成している。
【0022】図6、図12〜図13に示す符号44は、
座体4に対する下向き荷重にてねじりコイルばね11の
ばね定数を調節した値に保持するようにしたラチェット
式のばね定数保持装置を示し、以下のように構成されて
いる。すなわち、傾動部材9における支持体14に突設
した側板14bとブラケット板14cとの間に、側面視
で後傾状に延びるラチェット爪45を配設し、このラチ
ェット爪45に、左右方向に延びるガイドピン46を挿
通すると共に、ラチェット爪45の左右両側面に、ラチ
ェット爪45の長手方向と交差した方向に傾斜したガイ
ド突起45eを設ける一方、支持体14における側板1
4bとブラケット板14cとに、前記ガイドピン46が
嵌まる長孔47と前記ガイド突起45eが接当するガイ
ド片48とを、ラチェット爪45における前記ガイド突
起45eと同じ方向に沿って傾斜状に延びるように形成
している。
【0023】更に、前記支持体14における側板14b
とブラケット板14cとには、前記ラチェット爪45よ
りも後方の部位に、前後方向に延びるレバー49の前後
中途部位をピン50にて枢着し、このレバー49の前端
部49aを、前記ラチェット爪45に被嵌するように平
面視で二股状に形成し、この二股状前端部49aに前記
ガイドピン46を挿通し、このガイドピン46に対する
通孔51を、ラチェット爪45の長手方向に沿って延び
る長孔に形成する一方、前記レバー49の後端部と後部
座体4cに対する後部支持板21との間に圧縮ばね52
を介挿している。
【0024】また、前記レバー49のうち枢着ピン50
よりも前方の部位と傾動部材9における支持体14との
間に引っ張りばね53を介挿して、ラチェット爪45
を、爪車25cから離反する方向に付勢し、更に、傾動
部材9における支持体14の上面には、ラチェット爪4
5が後退したときその下端が接当するようにした板ばね
54を設けている。
【0025】以上の構成において、椅子1に人が座る
と、コイルばね23の弾性に抗して後部座体4cが下降
し、この後部座体4cの下降動に連動して、第1ラック
24を介してピニオン軸25が回転するため、図8の一
点鎖線及び図14に実線で示すように、左右両第2ラッ
ク30が前進し、左右両ねじりコイルばね11の支持ス
パンL1が短くなって、左右両ねじりコイルばね11の
ばね定数が増大する。
【0026】このとき、コイルばね23のばね定数が一
定であることにより、後部座体4cの下降量が椅子1に
座った人の体重に比例するため、左右両第2ラック3
移動量も椅子1に座った人の体重に比例して増大し、
その結果、左右両ねじりコイルばね11のばね定数が、
椅子1に座った人の体重に比例して増大する。
【0027】それと同時に、後部座体4cが下降する
と、圧縮ばね52を介してレバー49が図12の矢印C
方向に回動して、ラチェット爪45が爪車25cに向け
て前進し、ラチェット爪45の爪部45aが爪車25c
に接当し、その状態で、ラチェット爪45が爪車25c
に対して小刻みに遠近移動しつつ、ピニオン軸25が矢
印B方向に回転し、ピニオン軸25の回転が停止する
と、ラチェット45が爪車25cに噛合して、ピニオン
軸25は逆転不能に保持されるため、ねじりコイルばね
11のばね定数が自動調節された値に保持される。
【0028】そして、椅子1に座った人が背もたれ5に
もたれ掛かると、図14に実線で示すように、傾動部材
9が、左右両第2枢着ピン10を中心にして後傾動し
て、背もたれ5と後部座体4cとが後傾動し、この傾動
部材9の後傾動が、滑動子31を介して左右両ねじりコ
イルばね11にて弾性的に支持され、身体の後傾動に対
するロッキング機能が付与される。
【0029】人が椅子1から腰を上げて後部座体4cが
上昇すると、引っ張りばね53にてレバー49は元の姿
勢に復帰回動するため、ラチェット爪45も、爪車25
cに対して非噛合の状態に後退する。なお、実施例のよ
うに、ねじりコイルばね11を、傾動部材9の枢着部た
る第2枢着ピン10よりも前方に位置させると、図8及
び図14に示すように、滑動子31が、第2枢着品10
から離反することにより、第2枢着ピン10から滑動子
31までの距離L2と、第2枢着ピン10から背もたれ
5までの距離L3との比率(L2:L3)が小さくな
り、ねじりコイルばね11に対して作用する荷重は、滑
動子31が前進することなしに傾動部材9が後傾動した
場合よりも小さくなる。
【0030】従って、ねじりコイルばね11のばね定数
が椅子1に座った人の体重に応じて増大することに加え
て、ねじりコイルばね11に作用する荷重が、滑動子3
1が前進する前よりも小さくなるから、ねじりコイルば
ね11は、椅子1に座った人の体重に応じて変形し難く
なり、その結果、椅子1に座った人の体重に関係なく、
傾動部材9の後傾動に対するねじりコイルばね11の変
形量を略一定に保持することができて、ロッキング機能
をより一層向上できる。
【0031】なお、傾動部材9におけるベース体13の
後端部下面には、側面視L字状のストッパー体55を形
成して、その下端の水平部55aを固定枠体7の後部下
面に接当させることにより、傾動部材7の前傾角度を規
制するようにしている。このストッパー体55は、傾動
部材9の後傾が許容されるように、傾動部材9の後傾時
に脚体2に被嵌する切り欠き孔55bを形成している。
【0032】ところで、実施例のように、回動枠体7を
前傾動可能に構成した場合、背もたれ5への人のもたれ
掛かりにて傾動部材9が後傾動すると、傾動部材9は、
第2枢着ピン10を中心にして後傾動するが、回動枠体
7は第1枢着ピン8を中心にして前傾動可能であり、し
かも、傾動部材9が後傾した状態では、回動枠体7の前
傾動を弾性的に支持する手段はないため、人が背もたれ
5にもたれ掛かった状態で、上半身と下半身との角度を
変えることなく身体全体を前後に揺動させると、回動枠
体7に対する傾動部材9の傾動角度を不変に保持したま
ま、回動枠体7と傾動部材9とが第1枢着ピン8を中心
にして前傾してしまい、座体4と背もたれ5とに対して
ねじりコイルばね11の弾性力が作用しない状態が発生
する虞がある。
【0033】この点に対しては、図7、図10〜図12
に示すように、符号56で示すように、傾動部材9と固
定枠体5との間に設けた左右一対の前後傾ガイド手段5
6にて対処している。すなわち、この前後傾ガイド手段
56は、回動枠体7における底板7bに形成した左右一
対の第1抜き孔57の個所に各々配設した左右一対ずつ
の第1ブラケット板58と、前記傾動部材9における支
持体14から左右両第1ブラケット板58の間に向けて
下向きに突設した突起59とを備えており、左右両第1
ブラケット板58を固定枠体6に固着し、該左右両第1
ブラケット板58に、前記突起59に固着したガイドピ
ン60が嵌まるガイド孔61を穿設している
【0034】このとき、前記ガイド孔61を、傾動部材
9が第2枢着ピン10を中心にして回動することが許容
されるように略前後長手の長孔に形成することにより、
傾動部材9が後傾した状態では回動枠体7が前傾不能に
保持されるように構成し、更に、ガイド孔61の後端
に、側面視で斜め後ろ向きに延びる傾斜部61aを連続
的に形成して、傾動部材9と回動枠体7とが第1ピン8
を中心に前傾動可能となるように構成したものである。
【0035】更に、前記支持機構3の下部には、回動枠
体7の前傾動を前記ねじりコイルばね11にて弾性的に
支持するための手段、換言すると、前記ねじりコイルば
ね11を、座体4及び背もたれ5の後傾動と座体4の前
傾動とに対するばね手段に併用するための手段として、
側面視横向きV字状に形成した左右一対のリンク体62
が配設されている。
【0036】すなわち、前記左右両リンク体62は、前
記回動枠体7の底板7bに穿設した第2抜き孔63の個
所に左右適宜隔てて配設されており、これら両リンク体
62の後端を、前記固定枠体6から略前向きに突設した
第2ブラケット板64に左右長手のピン65にて枢着す
る一方、両リンク体62における前部下端を、前記回動
枠体7の底板7bに切り起こし形成した左右一対の下向
き片66に対して、カラー67a付きの左右長手のピン
67にて枢着し、更に、リンク体62の前部上端を、
動部材9におけるベース体13の下面のうち第2ピン1
0よりも前方の部位に接当させている。
【0037】しかして、傾動部材9が後傾動するときに
は、回動枠体7の姿勢は不変であるから、傾動部材9は
リンク体62から離反することとなり、傾動部材9は自
由に後傾動できる。他方、座体4及び回動枠体9が前傾
する場合、リンク体62が存在しないと、傾動部材9と
回動枠体7とが一体的に前傾動してしまい、回動枠体7
の前傾動が弾性的に支持されることはない。
【0038】しかし、リンク体62が、第1枢着ピン8
とねじりコイルばね11のコイル部との間の部位に設け
られていることにより、図15に概念的に示すように、
回動枠体9が一定角度θ前傾するとき、ねじりコイルば
ね11の下降量h1よりもリンク体62の下降量h2が
小さくなるため、ねじりコイルばね11は、その弾性に
抗して下向き移動することになり、このねじりコイルば
ね11の弾性変形により、回動枠体7及び傾動部材9の
前傾動が弾性的に支持される。
【0039】この場合、椅子1に座った人が身体を前傾
させた場合、座体4の前部に対して作用する力は、背も
たれ5にもたれ掛かった場合に傾動部材9に作用する力
に比べて小さいため、単にねじりコイルばね11にて回
動枠体7の前傾動を支持するようにした場合には、ねじ
りコイルばね11が硬過ぎて、座体4を前傾させにくく
なる。
【0040】しかし、実施例の構成においては、傾動部
9も前傾動しつつ、ねじりコイルばね11を弾性変形
させるものであるから、椅子1に座った人が身体を前傾
させただけであっても、座体4及び傾動部材9を確実に
前傾させることができ、従って、1つのねじりコイルば
ね11にて、背もたれ5の後傾動と座体4の前傾動との
両方とを的確に支持できるのである。
【0041】この場合、前記したように、傾動部材
は、ストッパー体55にて前傾角度が一定範囲θに規制
されるので、傾動部材9の前傾動が停止した後は、回動
枠体7のみが、換言すると前部座体4bのみで、ねじり
コイルばね11の弾性力に抗して前傾動することにな
る。なお、実施例では、背もたれ5自体も若干撓み変形
し得るため、椅子1に座った人が背もたれ5にもたれ掛
かると、背もたれ5は、全体として後傾しつつ人の背中
に密着するように変形することになり、また、アーム体
39の長孔40のガイド作用により、背もたれ5が下向
きに引っ張られ勝手となるため、背もたれ5は、傾動部
9の後傾角度よりも小さな角度で後傾動する。
【0042】図16〜図17に示すのは第2の実施例で
あり、傾動部材9における支持体14の側板14bとブ
ラケット板14cとの間に、側面視で後傾状に延びるラ
チェット爪45を配設して、このラチェット爪45を、
その下端の爪部45aが爪車25cに係脱し得るように
上端部の個所においてピン79にて枢着すると共に、前
記ピン79に被嵌したねじりばね80にて、前記爪車2
5cから爪部45aが離反する方向に付勢し、更に、ラ
チェット爪45に、後ろ向きに延びる板ばね81を固着
し、この板ばね81の後端を座体4の下面に接当してい
る。
【0043】なお、符号82,83は、ラチェット爪4
5の回動範囲を規制するためのストッパー片である。こ
の実施例においても、座体4の下降動にて、ラチェット
爪45は、その爪部45aが爪車25cに接当し、その
状態で爪車25cが矢印B方向に回転することにより、
座体4の下降動が許容され、爪車25cの回転が停止す
ると、ラチェット爪45の爪部45aが爪車25cに噛
合して、ピニオン軸25は逆転不能に保持される。
【0044】上記の両実施例は、背もたれの後傾動に対
する第2ばね手段としてねじりコイルばねを使用した場
合であったが、本考案における第1及び第2ばね手段は
板ばねや棒状のばね体など、他の形態のばねも使用でき
るのであり、また、第2ばね手段を傾動部材に移動自在
に設ける一方、回動枠体又は固定枠体に、ばね手段に接
当する荷重作用体を設けて、第2ばね手段に対する荷重
作用体の位置を変更することにより、第2ばね手段のば
ね定数を調節するようにしても良いのである。
【0045】また、第2ラック30のように往復動する
部材にラチェットラックを形成して、これに、支持体1
4等に設けたラチェット爪を係脱させたり、支持体14
にラチェットラックを形成して、これに、ピニオン軸2
5等の連動部材に設けたラチェット爪を係脱させるな
ど、他の形態のラチェット機構を採用しても良い。更
に、傾動部材には背もたれのみを取付けるようにしても
良い。
【0046】更にまた、着座にて滑動子を移動させる手
段は、実施例のようにラックとピニオンとからなる機構
に限らず、リンク機構等の他の機構でも良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例に係る椅子の縦断側面図である。
【図2】組立た状態での図5のII−II視断面図である。
【図3】傾部材体の取付けを示す概略斜視図である。
【図4】体重感応機構の概略を示す分解斜視図である。
【図5】座体及び背もたれの取付けを示す概略斜視図で
ある。
【図6】図1のVI−VI視平断面図である。
【図7】図1のVII−VII視底面図である。
【図8】図6のVIII−VIII視断面図である。
【図9】図6のIX−IX視断面図である。
【図10】図6のX−X視断面図である。
【図11】図6のXI−XI視断面図である。
【図12】図6及び図10のXII−XII視断面図であ
る。
【図13】図12のXIII−XIII視断面図である。
【図14】傾動部材の後傾状態を示す図である。
【図15】座体の前傾時の作動状態を示す概念図であ
る。
【図16】ばね定数保持装置の作動状態を示す図であ
る。
【図17】第2の実施例を示す要部断面図である。
【図18】先行技術を示す概念図である。
【符号の説明】
1 椅子 2 脚体 3 支持機構 4 座体 5 背もたれ 6 固定枠体 7 回動枠体 9 傾動部材 10 第2枢着ピン 11 第2ばね手段の一例としてのねじりコイルば
ね 13 傾動部材における支持体 23 第1ばね手段としてのコイルばね 24 第1ラック 25 ピニオン軸 25c 爪車 30 第2ラック 31 第2ばね手段に対する荷重作用体の一例とし
ての滑動子 44 ばね定数保持装置 45 ラチェット爪 45a 爪部 49 レバー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 岩淵 浩 大阪市城東区今福東1丁目4番18号 株 式会社伊藤喜工作所 内 (56)参考文献 特開 昭2−55006(JP,A)

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】脚体の上端に設けた支持機構に、座体を、
    着座した人の体重に応じて下降するよう第1ばね手段で
    支持した状態に取付けると共に、前記支持機構に、背も
    たれが取り付く後傾部材を後傾動自在に枢着し、 該傾動部材の後傾動を弾性的に支持する第2ばね手段
    を、背もたれ荷重の作用点の移動にてばね定数が変化す
    るものに形成し、 前記第2ばね手段と座体、又は、第2ばね手段に背もた
    れ荷重を作用させる荷重作用体と座体とを、座体の下降
    量に応じて第2ばね手段のばね定数が増大する方向に移
    動するよう連動部材を介して連動させて成る椅子におい
    て、 前記連動部材とこれに近接した適宜部材とのうちいずれ
    一方の部材には爪車又はラチェットラックを、他方の部
    材にはラチェット爪を、前記座体への下向き荷重にてラ
    チェット爪が前記爪車又はラチェットラックに噛合し、
    座体への下向き荷重の解除にて噛合解除するように各々
    設けたこと、 を特徴とする椅子の傾動制御装置。
JP1991086142U 1991-10-22 1991-10-22 椅子の傾動制御装置 Expired - Lifetime JP2531388Y2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH0255006A (ja) * 1988-08-18 1990-02-23 Minoru Maeda 椅子

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