JP2530937C - - Google Patents

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JP2530937C
JP2530937C JP2530937C JP 2530937 C JP2530937 C JP 2530937C JP 2530937 C JP2530937 C JP 2530937C
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【発明の詳細な説明】 (技術分野) 本発明は、パーム油から得られる炭素数18の脂肪酸塩(以下、炭素数18のパー
ム油脂肪酸塩ともいう)を含有する石けん基剤と石けん組成物及び該石けん基剤
の製造方法に関するものである。 (従来技術及びその問題点) 従来、天然油脂を原料として用い、これをアルカリでケン化して脂肪酸塩から
なる石けん基剤を作り、この石けん基剤に香料や着色料、グリセリン、EDTA等の
補助成分を配合して石けん組成物を得ることは広く行われている。この場合、石
けんの硬さ、溶解性、起泡性、洗浄力等の特性は、石けん基剤の脂肪酸塩構成に
よって変ることから、所望特性の石けんが得られるように、複数の油脂原料を混
合したものを原料油脂として使用している。従来用いられている最も一般的な原
料油脂は、牛脂80〜85重量%とヤシ油20〜15重量%からなる混合油脂である。 近年、パーム油の生産量が増加して、またその価格も低下してきたことから、
石けん油脂原料としてパーム油が注目されている。しかし、このパーム油の場合
、従来の牛脂をベースとした石けん基剤に比べて、パーム油から得られた石けん
基剤に香料を添加して賦香した場合に、香気の経時安定性が悪く、長時間経過す
ると、その香気が消失するという大きな問題があった。そして、パーム油は、こ
の問題のために石けんの油脂原料としては満足し得るものではなかった。パーム
油が、従来の牛脂やヤシ油に代る石けんの主要原料となるには、前記の問題を解
決することが必要である。この問題を解決するために、パーム油から得られる石
けんに適合する香料組成物の開発研究が行われているが、未だ成功するには至っ
ていない。 また、パーム油から得られる石けんについては、前記問題の他、さらに、パー
ム油特有の不快な臭気を発生する問題、経日により淡い赤褐色に変色する問題及
び固形石けんにした場合にひび割れが生じやすく、また溶け崩れを生じやすいと
いう問題もある。パーム油から品質のよい石けん組成物を得るには、これらの問
題の解決も重要である。 (発明の課題) 本発明の第1の課題は、賦香した香りの経時安定性にすぐれると共にパーム油
臭が著しく減少し、かつ色調の経時安定性にすぐれた、パーム油脂肪酸塩をベー
スとする高品質の石けん基剤及び石けん組成物を提供することにある。 本発明の第2の課題は、前記各特性を有し、かつひび割れを生じにくく、さら
に溶け崩れしにくい固形石けん組成物を提供することにある。 本発明の第3の課題は、前記特性を有するパーム油脂肪酸塩を工業的に有利に 製造し得る方法を提供することにある。 (課題を解決するための手段) 本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、パーム油脂肪酸
塩に含まれる炭素数が18の脂酸塩中二重結合を2個以上有する脂肪酸塩の含有率
を2重量%以下に低減させるとともに、二重結合を1個有する脂肪酸塩の含有率を1
0〜96重量%の範囲に保持することにより、賦香した香りの消失がない上、パーム
油臭の発生も減少し、さらに色調の経時安定性が改善され、固形石けん基剤とし
て非常にすぐれた、ひび割れを生じにくくかつ溶け崩れしにくい炭素数18のパー
ム油脂肪酸塩が得られることを見出した。 さらに、本発明者らは、前記特性を有するパーム油脂肪酸塩を用いることによ
り、高品質の石けん基剤及び石けん組成物が得られることを見出した。 さらにまた、本発明者らは、前記した特性を有するパーム油脂肪酸塩は、パー
ム油を低級アルコールによりエステル交換反応を行い、得られた反応生成物から
グリセリンを分離して脂肪酸エステル混合物を得るとともに、この脂肪酸エステ
ル混合物から炭素数18の脂肪酸エステルを主体とする脂肪酸エステル留分を分離
し、これを水素化処理し、得られた水素化処理生成物を残りのパーム油脂肪酸エ
ステルの一部又は全部と混合してアルカリでケン化するかもしくは両者を別々に
ケン化した後混合することにより有利に製造し得ることを見出した。 すなわち、本発明によれば、パーム油から得られる脂肪酸塩を含有する石けん
基剤であって、ただしそのパーム油脂肪酸塩に含まれる炭素数18の脂肪酸塩中、
二重結合を2個以上有する脂肪酸塩の含有率が2重量%以下でかつ二重結合を1個有
する脂肪酸塩の含有率が10〜96重量%であることを特徴とする石けん基剤が提供
される。 また、本発明によれば、上記石けん基剤を用いて形成された石けん組成物又は
固形石けん組成物が提供される。 さらに、本発明によれば、前記パーム油から得られる脂肪酸塩を含有する石け
ん基剤の製造方法であって、パーム油を低級アルコールでエステル交換反応させ
る工程と、得られた反応生成物からグリセリンを分離し、脂肪酸エステル混合物
を得る工程と、該脂肪酸エステル混合物から炭素数18の脂肪酸エステルを主体と する留分を分離する工程と、該分離された脂肪酸エステル留分を水素化処理する
工程と、得られた水素化処理生成物をアルカリでケン化する工程からなり、パー
ム油脂肪酸塩に含まれる炭素数18の脂肪酸塩中、炭素数が18で二重結合を2個以
上有する脂肪酸塩の含有率が2重量%以下でかつ炭素数が18で二重結合を1個有す
る脂肪酸塩の含有率が10〜96重量%であることを特徴とする石けん基剤の製造方
法が提供される。 さらにまた、本発明によれば、前記パーム油から得られる脂
肪酸塩を含有する石けん基剤の製造方法であって、パーム油を低級アルコールで
エステル交換反応させる工程と、得られたグリセリンを分離し、脂肪酸エステル
混合物を得る工程、該脂肪酸エステル混合物から炭素数18の脂肪酸エステルを主
体とする留分を分離する工程と、該分離された脂肪酸エステル留分を水素化処理
する工程と、得られた水素化処理生成物を残りの脂肪酸エステルの一部又は全部
と混合し、得られた混合物をアルカリでケン化処理する工程からなり、パーム油
脂肪酸塩に含まれる炭素数18の脂肪酸塩中、炭素数が18で二重結合を2個以上有
する脂肪酸塩の含有率が2重量%以下でかつ炭素数が18で二重結合を1個有する脂
肪酸塩の含有率が10〜96重量%であることを特徴とする石けん基剤の製造方法が
提供される。 さらにまた、本発明によれば、パーム油から得られる脂肪酸塩を含有する石け
ん基剤の製造方法であって、パーム油を低級アルコールでエステル交換させる工
程と、得られた反応生成物からグリセリンを分離し、脂肪酸エステル混合物を得
る工程と、該脂肪酸エステル混合物から炭素数18の脂肪酸エステルを主体とする
留分を分離する工程と、該分離された脂肪酸エステル留分を水素化処理する工程
と、得られた水素化処理生成物と、残りのエステル交換反応生成物の一部又は全
部とを別々にアルカリでケン化処理した後に混合する工程からなり、パーム油脂
肪酸塩に含まれる炭素数18の脂肪酸塩中、炭素数が18で二重結合を2個以上有す
る脂肪酸塩の含有率が2重量%以下でかつ炭素数が18で二重結合を1個有する脂肪
酸塩の含有率が10〜96重量%であることを特徴とする石けん基剤の製造方法が提
供される。 本明細書におけるパーム油脂肪酸塩は、パーム油から誘導された脂肪酸塩を意
味するが、ヤシ油脂肪酸塩やパーム核油脂肪酸塩等も同様にそれら油脂から誘導 された脂肪酸塩を意味する。また、ここで言う、脂肪酸塩とは脂肪酸のアルカリ
金属塩を意味する。本明細書における脂肪酸塩含有率及び脂肪酸塩重量は、いず
れもナトリウム塩換算による値を示す。 本発明の炭素数18のパーム油脂肪酸塩の最大の特徴は、炭素数が18で二重結合
を2個以上有する脂肪酸塩(以下、単にC18F2+とも言い、2個有するものをC18F2
3個有するものをC18F3とも言う)成分の含有率を2重量%以下、好ましくは1重量%
以下、さらに好ましくは0.5重量%以下に低減させた点にある。 従来のパーム油脂肪酸塩中のC18F2+成分の含有率は、約10重量%程度であり、
炭素数18の脂肪酸塩中のC18F2+成分の含有率は約20重量%であるが、炭素数18の
パーム油脂肪酸塩中のC18F2+脂肪酸塩成分を2重量%以下に低減させることによっ
て、より好ましくはC18F3脂肪酸塩成分については、0.05重量%以下、好ましくは
0.01重量%以下に低減させることによって、賦香した香りの経時安定性が改善さ
れる上に、パーム油特有の臭気の発生も抑制され、さらに、色調の経時安定性も
著しく改善され、その結果、石けん基剤として高品質のパーム油脂肪酸塩を得る
ことができる。このようなことは本発明者らによって初めて見出された意外な事
実である。 炭素数18のパーム油脂肪酸塩中のC18F2+脂肪酸塩成分の含有率を低減させるた
めに、本発明者らは、原料パーム油あるいはパーム油脂肪酸誘導体であるパーム
油脂肪酸混合物に対し、水素化処理や、尿素付加処理を施した後、得られた処理
物をアルカリで処理することを試みたが、これらの方法によっては本発明の目的
を充分達成することができなかった。 そこで、本発明者らは、パーム油を低級アルコールでエステル交換反応させ、
得られた反応生成物からグリセリンを分離して得られた脂肪酸エステル混合物か
ら炭素数18の脂肪酸エステルを主体とする脂肪酸エステル留分を分離し、これを
水素化処理し、アルカリでケン化することによって、本発明の目的に適合する製
造し得ることを見出した。 炭素数14〜18の脂肪酸エステル混合物をそのまま水素化処理し、ケン化しても
、本発明の目的に適合する石けん基剤を充分には得ることはできない。 本発明によるパーム油から得られる脂肪酸塩を含有する石けん基剤の製造につ いてさらに詳述すると、先ず、パーム油を低級アルコールでエステル交換反応処
理する。このエステル交換反応は従来公知の方法で実施される。 低級アルコールとしては、炭素1〜6個のアルコールが用いられるが、好ましく
はメタノールが用いられる。また、このエステル化反応にはエステル化触媒が用
いられるが、この触媒としては、例えば水酸化ナトリウム等が好ましく用いられ
る。反応温度は、50〜80℃、好ましくは60〜70℃である。反応圧力は、1〜5気圧
(ゲージ圧)、好ましくは2〜3気圧である。 次に、前記で得られたエステル交換反応生成物から副生グリセリンを分離し、
脂肪酸エステル混合物を得る。副生グリセリンの分離は、一般的には、従来公知
の静置法によって容易に行うことができる。 本発明においては、前記で得られた脂肪酸エステル混合物から、炭素数18の脂
肪酸エステルを主体とする脂肪酸エステル留分を選択的に分離し、これに水素化
処理を施す。脂肪酸エステル混合物から炭素数18の脂肪酸エステル留分の分離に
は、従来公知の蒸留分離法が採用される。蒸留分離法では、エステル交換反応生
成物を蒸留塔に供給し、常圧〜減圧条件で蒸留し、炭素数14留分、炭素数16留分
及び炭素数18留分に各分離する。場合によっては、塔底留分の一部をカマ残油と
して除去する。 炭素数18の脂肪酸エステルを主体として含む炭素数18留分の水素化処理は、従
来公知の方法に従い、水素化触媒の存在下で行われる。水素化触媒としては、ニ
ッケル触媒、ギ酸ニッケル触媒、ラネーニッケル触媒、白金触媒、パラジウム触
媒、ロジウム触媒、銅クロム・バリウム酸化物触媒、鉄ペンタカルボニル触媒、
コバルトカルボニル触媒等が挙げられる。ニッケル触媒の場合、反応温度は140
〜200℃、好ましくは150〜170℃である。反応水素圧力は1〜6気圧、好ましくは1
〜2気圧である。 この水素化処理においては、得られる水素化処理生成物中のC18F2+脂肪酸エス
テル成分が、脂肪酸ナトリウム塩換算で、炭素数18のパーム油脂肪酸塩の2重量%
以下、好ましくは1重量%以下になるように、かつC18F3脂肪酸エステル成分が、
脂肪酸ナトリウム塩換算で、炭素数18のパーム油脂肪酸塩の0.05重量%以下、好
ましくは0.01重量%以下になるように行う。 C18留分の水素化処理生成物は、ケン化処理されるが、このケン化処理は、従
来公知の方法に従ってアルカリの存在下で実施される。アルカリとしては、ナト
リウムやカリウム等のアルカリ金属の水酸化物や、炭酸塩が用いられる他、トリ
エタノールアミン等の有機アミンが用いられる。このケン化反応では、副生物と
して低級アルコールが得られるが、このものは、前記エステル交換反応工程に循
環使用される。 また、前記した蒸留分離では、炭素数14の脂肪酸エステル留分及び炭素数16の
脂肪酸エステル留分が得られるが、これらの留分に対しても同様のケン化処理を
施すことができる。この場合、目的とする製品の性状を考慮し、炭素数18の脂肪
酸塩と、炭素数14及び/又は炭素数16の脂肪酸塩との混合物を得たい場合には、
炭素数18の脂肪酸エステル留分の水素化処理生成物と、炭素数14及び/又は炭素
数16の脂肪酸エステル留分を混合した状態でケン化処理するか、又は別々にケン
化した後混合するのが有利である。 本発明の炭素数18のパーム油脂肪酸塩において、炭素数18の脂肪酸塩中のC18F
2+脂肪酸塩成分を2重量%以下に低減させるとともに、そのC18F1脂肪酸塩成分を1
0〜96重量%、好ましくは20〜92重量%に保持することによって、固形石けん基剤
として好適なパーム油脂肪酸塩を得ることができる。 もともとパーム油には、C18F1脂肪酸成分が45重量%程度(C18留分中には75重量
%程度)含有されており、また、前記水素化処理によってC18F2+脂肪酸成分の少な
くとも一部はC18F1脂肪酸成分に変換されるので、このC18F1脂肪酸塩の含有率は
前記水素化処理条件によって容易に調節ことができる。すなわち、パーム油脂肪
酸エステル混合物から分離した炭素数18留分を水素化処理する際に、その触媒、
反応水素圧、反応温度、反応時間等を適当に選ぶことにより、C18F2+成分含有率
、C18F1成分含有率及びC18F3成分含有率が所望範囲にある水素化処理生成物を得
ることができる。 本発明に係る炭素数18のパーム油脂肪酸塩は、各種の石けん基剤として好適の
ものである。この場合、前記したように炭素数12以下のパーム油脂肪酸塩、炭素
数14のパーム油脂肪酸塩、炭素数16のパーム油脂肪酸等の他のパーム油脂肪酸塩
を配合することもできる。更に、必要に応じ、他の油脂原料からの石けん基剤を 配合することができる。このような油脂基剤(脂肪酸塩)としては、ヤシ油脂肪酸
塩、パーム核油脂肪酸塩、大豆油脂肪酸塩、オリーブ油脂肪酸塩、綿実油脂肪酸
塩等が挙げられるが、特に、ヤシ油脂肪酸塩及び/又はパーム核油脂肪酸塩の使
用が好ましい。 パーム油脂肪酸塩に対する他の油脂原料からの脂肪酸塩の添加割合は、全脂肪
酸塩中、0〜80重量%、好ましくは15〜60重量%の割合である。パーム油脂肪酸塩
と他の油脂原料からの脂肪酸塩との混合物からなる石けん基剤を得るには、両者
の脂肪酸塩を混合する方法の他、前記したパーム油脂肪酸低級アルキルエステル
のケン化処理工程において他の原料油脂又はその脂肪酸低級アルキルエステルを
添加する方法、C18F2+成分を低減化する処理を施したパーム油脂肪酸エステルを
ケン化する工程において、他の原料油脂を添加する方法等がある。 本発明の好ましい固形石けん組成物、例えば化粧石けんは、前記した炭素数18
のパーム油脂肪酸塩をベースとした石けん基剤と炭素数12以下の脂肪酸塩を含む
ヤシ油脂肪酸塩等の石けん基剤を併用し、炭素数12以下の脂肪酸塩の含有率が5
〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、炭素数14の脂肪酸塩の含有率が0〜15重量%
、好ましくは2〜10重量%、炭素数16の脂肪酸塩の含有率が0〜45重量%、好ましく
は10〜40重量%及び炭素数18の脂肪酸塩の含有率が10〜95重量%、好ましくは20〜
75重量%の組成に調整したものである。 さらに、本発明の炭素数18のパーム油脂肪酸塩をベースとする石けん組成物に
おいては、エライジン酸塩を含有させるのが好ましい。本発明者らの研究によれ
ば、エライジン酸塩を含む石けん組成物は、従来の石けん組成物に比較して、泡
の持続性効果において著しく向上し、化粧石けんやボディシャンプーとして好適
のものであることが見出された。石けん組成物におけるエライジン酸塩の含有率
は、石けん基剤中に含まれるエライジン酸塩とオレイン酸塩との重量比で、5/95
〜70/30、好ましくは10/90〜50/50の範囲になるような割合である。エライジン
酸塩の含有率が前記範囲より少ないと、泡の持続性効果が十分ではなく、一方、
前記範囲より多くなると、起泡性が損われる傾向があるので好ましくない。 石けん組成物にエライジン酸塩を配合する方法としては、原料の石けん基剤に
エライジン酸塩を直接添加混合する方法の他、アルカリを用いる石けん基剤の製 造時に、エライジン酸又はそのエステルを添加する方法等があるが、本発明者ら
は、前記したパーム油脂肪酸エステル混合物から分離した炭素数18の留分を水素
化処理する際に、リノール酸成分等の一部がエライジン酸成分に有利に異性化さ
れることを見出した。従って、この水素化処理工程の採用により、エライジン酸
成分を外部から特に添加しなくても、エライジン酸塩を含む石けん組成物を得る
ことができる。 本発明の石けん組成物は、従来公知の種々の補助成分を含有することができる
。このような補助成分としては、例えば、香料、EDTA、エタン-1-ヒドロキシ-1,
1-ジホスホン酸又はそのアルカリ金属塩、有機多塩基酸又はその塩等の安定剤が
挙げられる。また、洗浄力をさらに高めるために石けん基剤とは別の他の界面活
性剤を本発明の石けん基剤に添加することもできる。そのような界面活性剤とし
ては、例えば、α-スルホ脂肪酸エステル、イセチオン酸エステル、アルキルア
リールスルホン酸、アルコール硫酸エステル、アルコールエトキシレートの硫酸
エステル、オレフィンスルホン酸、パラフィンスルホン酸、N-アシルグルタミン
酸及びそれらの塩類、さらにはアルキルベタイン、アルキルスルホベタイン等を
挙げることができる。 さらに皮膚への残油効果を調整するために、一般に知られている過脂肪剤や種
々の皮膚保護剤を配合することもできる。それらの具体例としては、スクワレン
、スクワラン、オレフィンオリゴマー、ワックス、ワセリン、鉱油等の炭化水素
;イソステアリン酸、ベヘン酸等の脂肪酸;各種グリセライド、シュガーエステル
、ラノリン、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソブチ
ルステアレート等の脂肪酸エステル;セチルアルコール、ステアリルアルコール
、オレイルアルコールなどの脂肪族アルコール;グリセリン、ポリエチレングリ
コール、ポリプロピレングリコール等のポリオール類;アルコールや脂肪酸のエ
トキシレート;ジメチルシリコーン等のシリコーン類;その他各種の蛋白及び蛋白
誘導体;ビタミン類等を挙げることができる。 さらにまた、本発明の石けん組成物には、その使用目的に応じて、色素、香料
の他、アラントインやグリチルリチン酸ジカリウム等の消炎剤、2,4,4′-トリク
ロロ-2′-ヒドロキシジフェニルエーテル、3,4,4′-トリクロロカルバニリド、
安 息香酸等の殺菌剤を添加することができる。 本発明の石けん基剤及び前記した補助成分を用いて石けん組成物を製造する方
法としては、従来公知の方法を採用することができ、例えば、石けん基剤に所要
成分をミキサーで均一に混合し、ロール又はプロッターを用いて押出し、型打ち
する方法、あるいは石けんに、糖類や、多価アルコール、エタノール、水を配合
し、さらに各配合成分を加え、70ないし80℃に加熱して均一な透明石けん液とし
た後、固化枠に流し込み、冷却固化して切断し、乾燥した後型打ちする方法等が
採用される。 (発明の効果) 本発明の石けん基剤は、炭素数18の脂肪酸塩中のC18F2+脂肪酸塩の含有率を2
重量%以下に、そしてC18F1脂肪酸塩の含有率を10〜96重量%に規定したことから
、賦香した香りが長時間経過しても消失がないという大きな利点を有する上、パ
ーム油臭の発生も著しく減少し、さらに、色調の経時安定性も著しく向上したも
のである。 石けん基剤及び組成物において、従来のパーム油脂肪酸塩をベースとしたもの
は、賦香した香りの経時安定性が悪く、長時間経過すると、その香気がなくなる
という大きな製品上の欠点を有していたが、このような欠点は本発明の炭素数18
のパーム油脂肪酸塩を用いることにより克服される。また、従来のパーム油脂肪
酸塩をベースとした石けん基剤及び石けん組成物は、不快に感じる消臭困難なパ
ーム油臭を発生するという欠点を有するとともに、色調の経時安定性が悪く、長
時間経過すると淡い褐色に変色するという欠点を有し、製品としてはいかにも低
品質であるという感じを与えていたが、これらの欠点は本発明の炭素数18のパー
ム油脂肪酸塩を用いることによって克服され、高品質の石けん基材及び石けん組
成物を得ることができる。 また、従来のパーム油ベースの固形石けん組成物においては、ひび割れを生じ
やすくしかも溶け崩れを生じやすいという欠点を有していたが、本発明では、こ
のような欠点も克服される。 さらに、本発明の炭素数18のパーム油脂肪酸塩をベースとする石けん基剤及び
石けん組成物において、エライジン酸塩を含むものは、泡の持続性効果において 著しく改善されたものである。 本発明の石けん基剤の製造方法は、前記したすぐれた特性を有する製品を工業
的に効率よく製造することができる。 本発明の石けん組成物は、従来のパーム油脂肪酸塩をベースとする石けん組成
物に比べて著しく高品質化されたものであり、固形状の他、フレーク状、粉末状
、液状等の種々の形態で用いられる。 (実施例) 次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。 実施例1 原料パーム油として下記脂肪酸成分組成のものを用いた。 前記パーム油を水酸化ナトリウム触媒の存在下、温度60℃、圧力2気圧でメタ
ノールによりエステル交換反応処理した後、常法の静置分離法で副生グリセリン
を除いて得られたエステル混合物を蒸留処理して、炭素数18の留分を分離した。 次に、この留分を、ニッケル触媒の存在下、温度160℃、水素圧力1.5気圧で、
反応時間及び撹拌条件を変えて水素化処理し、得られた水素化処理生成物を水酸
化ナトリウムと反応させて、パーム油脂肪酸ナトリウム塩を得た。 次に、前記で得たパーム油脂肪酸ナトリウム塩 の水分を12重量%に調整したものを石けん基剤として用い、これを表-2に示す香
料組成物を1.5重量%添加し、さらにEDTA 0.15重量%、二酸化チタン0.3重量%を配
合し、次に常法により混練し、試料とした。 この石けん組成物について、その香気及び色調を以下のようにして評価し、そ
の結果を表-3に示す。 試料を50℃で30日間保存した後に、その香気について下記の5段階法でテスタ
ー20名により官能評価を行なった。評価A,A′は商品価値のあるもの、評価B,B′
,Cは商品価値がないものである。 A :製造直後の対照見本と比べ香気に差がない。 A′:Aとあまりかわらないが、わずかにパーム様石けん基剤臭(従来知られて
いるパーム様石けん臭のこと)がある。 B :賦香した香料の香りが失われ、パーム様石けんの基剤臭が強い。 B′:賦香した香料の香りが失われ、パーム石けんの基剤臭が強く、若干変敗
臭を伴う。 C :香料の香りがほとんどなく、パーム石けんの基剤臭と変敗臭が強い。 (色調) 試料を50℃で30日間保存した後に、その色調を以下のようにして評価した。 0:製造直後の対照見本と比べ差がない。 1:製造直後の見本よりわずかに変色。 2:製造直後の対照見本より少し変色。 3:製造直後の対照見本よりかなり変色。 4:製造直後の対照見本より著しく変色。 実施例2 実施例1に示したものと同組成の原料パーム油を用いた。 パーム油を水酸化ナトリウム触媒の存在下、温度60℃、圧力2気圧でメタノー
ルによりエステル交換反応処理した。次に常法の静置分離法により副生グリセリ
ンを除いた。得られたエステル混合物を蒸留し、C18エステル留分とC14及びC16
エステル留分を得た。次に、C18エステル留分をニッケル触媒の存在下、温度160
℃、水素圧力1.5気圧で、反応時間及び撹拌条件を変えて水素化処理した。 得られたC18水素化処理生成物と、C14及びC16エステル留分とを1:1の割合で混
合した後、水酸化ナトリウムと反応させてパーム油脂肪酸ナトリウム塩を得た。 そして、パーム油脂肪酸ナトリウム塩の水分含量を12重量%に調整したものを
せっけん基剤として用い、実施例1で示したものと同組成の香料を1.5重量%添加
し、さらにEDTA 0.15重量%、二酸化チタン0.3重量%を配合し、常法により混練し
、型打成形して試料とした。 この試料について、実施例1で示した香気及び色調についての試験及び以下に
示すひびわれ試験、溶け崩れ試験を行なった。その結果を表-4に示す。 (ひびわれ) 試料を30℃の水中に30分間浸漬させた後、流水にて30秒間水洗し、次いで30℃
で1時間乾燥する工程を5回繰返した後、1日間室温で放置してひびわれの有無を
次の基準で評価する。 0:ひびわれ無し。 1:わずかにひびわれ有り。 2:ややひびわれ有り。 3:かなりひびわれ有り。 なお、評価点が0及び1のものは商品価値があり、2及び3のものは商品価値がな
いものと判定される。 (溶け崩れ) 試料を30℃の水中に1時間浸漬した後、1時間乾燥したものを、製造直後の対照
見本と比較して以下の基準により評価する。 0:対照見本と比べて差がない。 1:対照見本と比べてわずかに崩れがある。 2:対照見本と比べてやや溶け崩れがある。 3:対照見本と比べてかなり溶け崩れがある。 なお、評価点において、0及び1のものは商品価値があり、2及び3のものは商品価
値がないものと判定される。 実施例3 (a)実施例1の実験No.3のC18パーム油脂肪酸ナトリウム塩(F0:59.6%、F1:40%、
F2:0.4%、F3:trace)又は実験No.9のC18パーム油脂肪酸ナトリウム塩(F0:9.6%、F
1:90%、F2:0.4%、F3:trace)と、 (b)パーム油由来のC16飽和脂肪酸ナトリウムと、 (c)ヤシ油由来又はパーム核由来のC10-14飽和脂肪酸ナトリウム塩とを適宜常
法に従い混合した後、水分含量を12重量%に調整してせっけん基剤とした。これ
に実施例1で示したものと同組成の香料を1.5重量%添加し、さらにEDTA 0.15重量
%、二酸化チタン0.3重量%を配合し、常法により混練し、型打成形して試料とし
た。この試料について、実施例2に示したものと同じ試験及び下記に示す泡立性
の試験を行なった。その結果を表-5に示す。 (泡立性) 試料を30名のパネラーの手洗いによる官能試験に供し、実験No.17の試料を標
準品として、次の基準で評価した。 3:標準品と比較して泡立性が非常に良い。 2:標準品と比較して泡立性がやや良い。 1:標準品と比較して泡立性が変わらない。 0:標準品と比較して泡立性が悪い。 上記の結果から30名の平均点を求め、更に次の基準で評価した。 ◎:2.5以上 ○:2以上2.5未満 △:1以上2未満 ×:1未満 実施例4 実施例1に示したものと同組成の原料パーム油を用いた。 パーム油を実施例1と同条件の下でエステル交換反応処理し、常法の静置分離
法により副生グリセリンを除き、得られたエステル混合物を蒸留してC18エステ
ル留分とC14及びC16エステル留分を得た。次に、C18エステル留分をニッケル触
媒の存在下、温度140〜200℃、水素圧力1〜6気圧で、反応時間及び撹拌条件を変
えて水素化処理し、得られたC18水素化処理生成物に水酸化ナトリウムを反応さ
せて多種類のC18パーム油脂肪酸ナトリウム塩を得た。これらの中から、エライ
ジン酸ナトリウム含量の多いものを選びだし、これらとパーム油由来のC16脂肪
酸ナトリウム塩、ヤシ油由来のC10-14脂肪酸ナトリウム塩をC18:45重量%、C16:2
9 重量%、C14:6重量%、C12:20重量%の割合で混合し、次に水分含量を12重量%に調
整し、せっけん基剤とした。 次に、これらに実施例1に示したものと同組成の香料を1.5重量%添加し、さら
にEDTA 0.15重量%、二酸化チタン0.3重量%を配合し、常法により混練し、型打成
形し試料とした。 これらの試料について、泡の持続性の試験を以下のようにして行なった。その
結果を表-6に示す。 (泡の持続性) 試料を30名のパネラーの手洗いによる官能試験に供し、標準品(実験No.23)と
比較して、次の基準で評価した。 3:標準品と比較して持続性が非常に良い。 2:標準品と比較して持続性がやや良い。 1:標準品と比較して持続性が変わらない。 0:標準品と比較して持続性が悪い。 上記の結果から30名の平均点を求め、更に次の基準で評価した。 ◎:2.5以上 ○:2以上2.5未満 △:1以上2未満 ×:1未満

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 (1) パーム油から得られる脂肪酸塩を含有する石けん基剤であって、ただしその
    パーム油脂肪酸塩に含まれる炭素数18の脂肪酸塩中、二重結合を2個以上有する
    脂肪酸塩の含有率が2重量%以下でかつ二重結合を1個有する脂肪酸塩の含有率が1
    0〜96重量%であることを特徴とする石けん基剤。 (2) 炭素数が18で二重結合を2個以上有する脂肪酸塩の含有率が1重量%以下であ
    る、請求項1の石けん基剤。 (3) ヤシ油由来の脂肪酸塩及び/又はパーム核油由来の脂肪酸塩を含有する請求
    項1又は2のいずれかの石けん基剤。 (4) 請求項1〜3のいずれかの石けん基剤を用いて形成された石けん組成物。 (5) 請求項1〜3のいずれかの石けん基剤を用いて形成された固形石けん組成物。 (6) 石けん組成物に含まれる全脂肪酸塩中、炭素数12以下の脂肪酸塩の含有率が
    5〜50重量%、炭素数14の脂肪酸塩の含有率が0〜15重量%、炭素数16の脂肪酸塩の
    含有率が0〜45重量%及び炭素数18の脂肪酸塩の含有率が10〜95重量%である請求
    項5の固形石けん組成物。 (7) エライジン酸塩を含有する請求項4〜6のいずれかの石けん組成物又は固形石
    けん組成物。 (8) エライジン酸塩とオレイン酸塩との重量比が5/95〜70/30である請求項7の石
    けん組成物。 (9) パーム油から得られる脂肪酸塩を含有する石けん基剤の製造方法であって、
    パーム油を低級アルコールでエステル交換反応させる工程と、得られた反応生成
    物からグリセリンを分離し、脂肪酸エステル混合物を得る工程と、該脂肪酸エス
    テル混合物から炭素数18の脂肪酸エステルを主体とする留分を分離する工程と、
    該分離された脂肪酸エステル留分を水素化処理する工程と、得られた水素化処理
    生成物をアルカリでケン化する工程からなり、パーム油脂肪酸塩に含まれる炭素 数18の脂肪酸塩中、 炭素数が18で二重結合を2個以上有する脂肪酸塩の含有率が2
    重量%以下でかつ炭素数が18で二重結合を1個有する脂肪酸塩の含有率が10〜96重
    量%であることを特徴とする石けん基剤の製造方法。 (10) パーム油から得られる脂肪酸塩を含有する石けん基剤の製造方法であって
    、パーム油を低級アルコールでエステル交換反応させる工程と、得られたグリセ
    リンを分離し、脂肪酸エステル混合物を得る工程、該脂肪酸エステル混合物から
    炭素数18の脂肪酸エステルを主体とする留分を分離する工程と、該分離された脂
    肪酸エステル留分を水素化処理する工程と、得られた水素化処理生成物を残りの
    脂肪酸エステルの一部又は全部と混合し、得られた混合物をアルカリでケン化処
    理する工程からなり、パーム油脂肪酸塩に含まれる炭素数18の脂肪酸塩中、炭素
    数が18で二重結合を2個以上有する脂肪酸塩の含有率が2重量%以下でかつ炭素数
    が18で二重結合を1個有する脂肪酸塩の含有率が10〜96重量%であることを特徴と
    する石けん基剤の製造方法。 (11) パーム油から得られる脂肪酸塩を含有する石けん基剤の製造方法であって
    、パーム油を低級アルコールでエステル交換させる工程と、得られた反応生成物
    からグリセリンを分離し、脂肪酸エステル混合物を得る工程と、該脂肪酸エステ
    ル混合物から炭素数18の脂肪酸エステルを主体とする留分を分離する工程と、該
    分離された脂肪酸エステル留分を水素化処理する工程と、得られた水素化処理生
    成物と、残りのエステル交換反応生成物の一部又は全部とを別々にアルカリでケ
    ン化処理した後に混合する工程からなり、パーム油脂肪酸塩に含まれる炭素数18
    の脂肪酸塩中、炭素数が18で二重結合を2個以上有する脂肪酸塩の含有率が2重量
    %以下でかつ炭素数が18で二重結合を1個有する脂肪酸塩の含有率が10〜96重量%
    であることを特徴とする石けん基剤の製造方法。

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