JP2529391Y2 - 電波通信式車両用キー装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は電波通信式車両用キー装置（以下電波キーと
称す）に係り、特にキーの挿入により電波の発信が開始
される自動トリガー機能を有する電波キーに関する。

〔従来技術およびその課題〕

車両用キー装置にはキー山以外のIDを持たせたものが
提案されている。この種の装置におけるキー情報の読み
取り方式としては、接点による接触形および光学的また
は電気磁気的による非接触形の２通りがある。例えば、
抵抗キーは、接点を介して情報を読み取っているため、
接点の摩耗やサビ、よごれ等により接触不良の起こる可
能性があり、長時間の信頼性に欠ける。

またLCキーは非接触であるが、共振周波数からコード
を形成するため、そのコードの設定数が少なく、IDとし
ては規模が小さいなどの問題がある。

この種の装置としては、例えば特開昭59-81239号公
報、特開昭63-93649号公報、実開昭60-72867号公報など
に開示されている。

この考案の目的は、キーに内蔵された二次電池の充電
開始をキー情報の発信のトリガとした電波通信式車両キ
ー装置を提供するにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記の目的を達成するため、本考案の電波通信式車両
用キー装置はキーグリップにキー情報を発信する電波発
振回路、電波発振回路の発信開始を制御するトリガ回
路、電波発振回路の発信停止を制御するタイマ回路、各
回路に給電する二次電池、電波発振回路と二次電池の間
に挿入され電波発振回路への給電をON-OFFするスイッチ
ング回路および二次電池を充電する充電回路を内蔵する
と共に、車両内に充電回路に電力を供給する電源を備
え、トリガ回路はスイッチング回路をON-OFF動作させる
スイッチング素子と充電回路に接続されスイッチング素
子を導通させるトリガコンデンサで構成され、タイマ回
路は電波発振回路の発信開始によりタイマ動作を開始
し、該タイマ動作終了でトリガ回路のスイッチング素子
を非導通にしてスイッチング回路をOFF動作させるよう
にした構成にある。

また電源は磁気結合により電力伝送するように構成さ
れている。

〔作用〕

キーを電源に接続すると、二次電池の充電が開始され
トリガ回路のトリガコンデンサに充電回路から直流がチ
ャージされる。トリガコンデンサが所定電圧に達すると
スイッチング素子を導通させスイッチング回路をONし電
波発振回路、タイマ回路へ二次電池から給電する。これ
により電波発振回路が動作し、キー情報が電波により発
信され、同時にタイマ回路のタイマ動作が開始される。
車両側では受信したキー情報を判定し、一致していれば
制御対象に制御信号を出力する。タイマ回路のタイマ動
作が終了するとトリガ回路のスイッチング素子を非導通
にし、スイッチング回路をOFFし電波発振回路への給電
を断って発信を停止させる。

特に、磁気結合により伝送される電力を利用して二次
電池の充電が行われるため、電力供給側との間に接触部
分がなく、電力の授受に信頼性が高まる。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面により説明する。

第１図は電波キーのキー側の回路構成が示されてい
る。第２図は車両側回路のブロック図である。なお、エ
ンジン制御を行う電子燃料噴射装置（以下、EFIと称
す）を制御対象として説明する。

電波キーの回路は、キー情報を判別してEFIに駆動許
可を出力する車両側電気回路、キーグリップに内蔵さ
れ、キー情報を発信させるキー側電気回路とから構成さ
れている。

車両側電気回路は、キー情報を基にEFIにエンジン始
動許可信号を出力するための処理を行うCPU1,イグニッ
ションキーシリンダ（以下、IGキーシリンダと称す）に
配置され、キー側に電力を送るための磁場を形成する磁
場駆動コイル２に電流を流す周波数発生器3,キー側から
発信される電波を受信する受信回路4,キー情報としての
電波信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路５とか
ら構成されており、読み取ったキー情報から得られたキ
ーコードをCPU1のROMに登録されたキーコードと照合
し、一致しているときにエンジン始動の許可信号をEFI
に出力する。

キー側電気回路は、ドアキーなどのキー装置を電波通
信により解錠または施錠するためのキー操作機能および
IGキーシリンダにキー山以外のIDを持たせた盗難防止機
能を備えており、この機能を実現するためにキー情報を
電波で発信する発振回路、発信の開始や停止のタイミン
グを制御する発信制御回路および3V直流電圧を上記発振
回路に供給する電源回路とから構成されている。

発振回路10は、キーコードを周波数変調した電波信号
を発信する。

発信制御回路は、発信の開始を制御するトリガ回路1
2、発信の停止を制御するタイマ回路14および発振回路
への通電をON-OFF制御するスイッチング回路16とから構
成されている。

電源回路は、磁場駆動コイル２のリング状フェライト
に磁気結合されるバー状フェライトに巻回された磁場受
信コイル18、このコイルに励起された交流電圧を直流電
圧に整流する全波整流回路20および整流された直流電圧
が抵抗R1を通して印加される二次電池22から成り、この
二次電池の電力をスイッチング回路16を通して発振回路
10に供給するように構成されている。

トリガ回路12は、スイッチング回路のスイッチングト
ランジスタTR1のベースに接続された押釦スイッチ24に
電界効果トランジスタFETが並列に挿入されており、全
波整流回路20の＋端子に接続されたトリガコンデンサC1
の他端がFETのゲートＧに接続されている。そして、FET
のゲートはタイマ回路のトランジスタTR2のコレクタ側
に接続されている。

タイマ回路14は、TR1のコレクタとアース間に挿入さ
れた抵抗R2、コンデンサC2の接続点ｂの電位によりTR2
の導通制御が行われる。即ち、TR2は、通電後に上記抵
抗，コンデンサの時定数によりOFFからON動作し、FETを
OFFさせてTR1をOFFにし、発振回路10の電源をカットす
る。これにより、発振回路は発信動作を停止する。ここ
で、電源は磁場駆動コイル2,周波数発生器3,磁場受信コ
イル18,整流回路20によって構成されている。なお、C3
は平滑コンデンサである。

次に、上記実施例の動作を説明する。

キー操作の場合、 キー装置の近くで押釦スイッチ24を押すことにより、
二次電池22からスイッチング回路16の抵抗R3,R4に電流
を流し、TR1のベース電位を低下させてTR1をON動作させ
る。すると、発振回路10は、二次電池から直流電源が供
給されることにより動作し、キーコードの周波数変調さ
れた電波信号を発信する。車両側では受信したキーコー
ドを照合し、一致していれば解錠または施錠動作が行わ
れる。

IGキー操作の場合 キーをIGキーシリンダに挿入すると、イグニッション
またはスタータの入力信号を受けてEFIからCPUにキーコ
ードの確認要求信号が送られてくる。この信号の入力を
条件にCPU1から発振指示信号が周波数発生器に出力され
ると、周波数発生器は所定周波数の電流を磁場駆動コイ
ルに供給し、所定周波数の磁場を発生させる。一方キー
側では、第３図に示すタイムチャートに従って各回路の
動作が行われる。即ち、磁場受信コイルには磁場駆動コ
イルが発生する磁場の作用により所定周波数の交流電圧
が励起される。この交流電圧は全波整流回路により直流
電圧に整流されてトリガコンデンサC1にチャージされる
と共に抵抗R1を通して二次電池に供給される。トリガコ
ンデンサＣ₁の電圧は、予め二次電池からの電流を受け
て電池電圧（3V）に保たれている。したがって、トリガ
コンデンサC1のａ点電圧は、充電電圧が3Vを超えると上
昇を始め、4VになるとFETがON動作する。これにより、T
R1がON動作し、二次電池から発振回路へ電源が供給され
る。ここで、ｃ点電圧が3Vに達すると、発振回路からキ
ーコードが発信される。コード発信動作は、タイマ回路
により一定時間後に停止される。即ち、タイマ回路は、
電流を抵抗R2を介してタイマコンデンサC2に流し、この
タイマコンデンサC2のｂ点電圧が所定値C₂Ｖに達した時
点でTR2をON動作させ、FETをOFF動作させる。

すると、TR1がOFF動作になり、発振回路の発信が停止
される。その後、ｃ点の電圧が低下し、TR2をOFF動作さ
せる。なお、タイマ時間内においては、同一コードが数
回発信されるようにタイマ時間が設定されている。

車両側電気回路では、受信した電波信号をA/D変換
し、CPUにて処理する。CPUでは、読み取ったキー情報か
ら発信コードを演算し、この発信コードを予めROMに登
録された車両コードと照合し、一致していればエンジン
始動の許可信号をEFIに出力する。

ところで、磁場受信コイルと磁場駆動コイルを電波の
送信および受信のアンテナとして使用すれば、両アンテ
ナの距離が極めて近くなり、強電磁界のもとで情報の授
受が行われ、ノイズに対するS/N比が向上する。またア
ンテナは別に設けなくてもよいので、装置構成が簡単と
なり、コスト上昇が抑えられる。

〔考案の効果〕

上述のとおり、本考案によれば、キー挿入時の磁気結
合により伝送される電力で充電する二次電池の充電開始
をトリガとして電波を発信し、キーと車両を交信するた
め、キー情報および電力の授受が非接触で行われるから
IGキーの信頼性が高くなり、かつキー情報を電波で生成
するためにコード数も多くとれる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の車両用キー装置の電気回路図、第２図
は車両側の回路構成を示すブロック図、第３図は発信動
作のタイミングチャート図である。 １……CPU,2……磁場駆動コイル,3……周波数発生器,4
……受信回路,10……発振回路,12……トリガ回路,14…
…タイマ回路,16……スイッチング回路,18……磁場受信
コイル。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平１−56248（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−56252（ＪＰ，Ａ) 実開 平１−128449（ＪＰ，Ｕ)

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】キーグリップにキー情報を発信する電波発
   振回路，前記電波発振回路の発信開始を制御するトリガ
   回路、前記電波発振回路の発信停止を制御するタイマ回
   路、前記各回路に給電する二次電池、前記電波発振回路
   と二次電池の間に挿入され前記電波発振回路への給電を
   ON-OFFするスイッチング回路および前記二次電池を充電
   する充電回路を内蔵すると共に、車両内に前記充電回路
   に電力を供給する電源を備え、 前記トリガ回路はスイッチング回路をON-OFF動作させる
   スイッチング素子と前記充電回路に接続され前記スイッ
   チング素子を導通させるトリガコンデンサで構成され、 前記タイマ回路は電波発振回路の発信開始によりタイマ
   動作を開始し、該タイマ動作終了で前記トリガ回路のス
   イッチング素子を非導通にして前記スイッチング回路を
   OFF動作させることを特徴とする電波通信式車両用キー
   装置。
2. 【請求項２】前記電源は磁気結合により電力伝送する構
   成としたことを特徴とする請求項１記載の電波通信式車
   両用キー装置。