JP2529276B2 - 多層薄膜超電導体の製造方法 - Google Patents

多層薄膜超電導体の製造方法

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JP2529276B2 JP62175742A JP17574287A JP2529276B2 JP 2529276 B2 JP2529276 B2 JP 2529276B2 JP 62175742 A JP62175742 A JP 62175742A JP 17574287 A JP17574287 A JP 17574287A JP 2529276 B2 JP2529276 B2 JP 2529276B2
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、新規な多層薄膜超電導体の製造法に関す
る。更に、詳細には、高い臨界電流密度を有する多層薄
膜超電導体を、再現性良く製造する方法に関する。
従来の技術 超電導体は完全な反磁性を示し、内部で有限な定常電
流が流れているにも関わらず電位差が現れなくなる。そ
こで、電力損失の全くない伝送媒体として、MHD発電、
電力送電、電力貯蔵等の電力分野、或いは、磁気浮上列
車、電磁気推進船舶等の動力分野、更に、磁場、マイク
ロ波、放射線等の超高感度センサとしてNMR、π中間子
治療、高エネルギー物理実験装置などの計測の分野等、
極めて多くの分野での利用が提案されている。また、ジ
ョセフソン素子に代表されるエレクトロニクスの分野で
も、単に消費電力の低減のみならず、極めて高速な素子
を実現し得る材料として期待されている。
ところで、現在実用化されている超電導材料は金属系
であり、NbNi合金(臨界温度Tc=9K)、Nb3Sn化合物(T
c=18K)等が知られている。例えば電力応用の分野では
8T(テスラ)程度までの低磁場用にNbNiが使われ、超電
導体利用技術の中で最も市場が大きいMRI(Magnetic Re
sonance Image)にはNbTiが用いられている。但し、こ
の種の超電導材料は、液体ヘリウムの沸点である4.2K以
下まで冷却しなければ超電導体にはならず、液化設備等
の冷却設備のコストが極めて高いことが実用化への妨げ
となっている。
一方、最近になって、II a族元素あるいはIII a族元
素の酸化物を含む焼結体が、極めて高い臨界温度から超
電導体になり得ることが報告され、超電導技術の実用化
が俄かに促進されようとしている。既に報告されている
例では、[La,Ba]2CuO4あるいは[La,Sr]2CuO4等のペ
ロブスカイト型酸化物がある。これらの物質は、30乃至
50Kという従来に比べて飛躍的に高い超電導臨界温度を
有している。更に、La−Ba(Sr)−Cu−O系の複合酸化
物やY−Ba(Sr)−Cu−O系複合酸化物等の、オルソロ
ンビック構造等のいわば擬似ペロブスカイト型の結晶構
造を有すると考えられている複合酸化物では、超電導臨
界温度が70K以上に達するものも報告されている。これ
らの最近発見された高温超電導材料については、例えば
ジャーナル・オブ・アプライドフィジックス パート2
第26巻第4号等に多くの詳細な報告がなされている。
発明が解決しようとする問題点 一方、上述のような酸化物系超電導材料は一般に焼結
体として合成されているので機械的には脆く、僅かな物
理的ストレスによって容易に破損あるいは亀裂を生じ
る。特に薄膜化、帯状化した場合には極めて容易に折損
するので、その取り扱いには注意が必要である。従っ
て、酸化物系超電導材料をエネルギー、エレクトロニク
ス等の分野で実用化するためには、上記の問題点、即ち
堅くて脆く、加工性に劣るという問題を克服しなければ
ならない。
また、加工性の低い酸化物系超電導体の機械加工を避
けるために、スパッタリング法、真空蒸着法等の物理的
蒸着法によって所定形状の超電導体を形成することも試
みられている。しかしながら、薄膜として合成された酸
化物系超電導体は、その臨界電流密度が低く、実用に供
することができるだけの電流を流すことができない。
このように、酸化物系超電導材料については、これま
で、その超電導臨界温度Tcの高さのみが注目され、実用
上では寧ろより重要な臨界電流密度Jcの向上については
格別研究はされていなかった。従って、例えば、はTc
(臨界温度)の向上のみが注目され、実際に使用する際
に最も問題となるJc(臨界電流密度)を向上させる方法
についてはほとんど研究されていなかった。
例えば、「物理学会、第42回年会(名古屋大学、昭62
年3月28日、NTT、村上敏明達)」では、Ba−Y−Cu−
O系あるいはSr−La−Cu−O等の複合酸化物薄膜を真空
系で物理蒸着、例えばスパッタリングによって成膜しよ
うとする試みが報告されているが、臨界電流密度Jcにつ
いては言及が無かった。
そこで、目的は、酸化物系超電導材料の臨界温度の高
さを活かしつつ、より大きな臨界電流密度を達成するこ
とができる多層薄膜超電導体を製造することができる新
規な方法を提供することをその目的としている。
問題点を解決するための手段 本発明に係る多層超電導体の製造方法は、基板を移動
させながら、該基板表面に対向した2つの位置から超電
導材料と常電導体材料とをそれぞれ供給し、該基板表面
上に該超電導材料よりなる層と該常電導体材料よりなる
層とを積層する工程を含むことにその主要な特徴があ
る。このような本発明に係る方法で作製された多層薄膜
超電導体は、超電導体薄膜と常電導体薄膜とが交互に積
層された二重層が少なくとも一つ以上密着積層されてい
る。
上記方法において、超電導材料よりなる層は、複合酸
化物超電導材料により形成することが好ましい。この複
合酸化物超電導材料としては公知の任意の材料を使用で
きるが、特に、下記一般式: (α1-xβ)γyOz (但し、αは周期律表II a族に含まれる元素であり、β
は周期律表III a族に含まれる元素であり、γは周期律
表I b、II b、III b、IV aおよびIII a族から選択され
る少なくとも一つの元素であり、x、y、zはそれぞれ
x=0.1〜0.9、y=1.0〜4.0、1≦z≦5を満たす数で
ある) で示される複合酸化物を好ましく例示できる。この種の
複合酸化物は、ペロブスカイト型または擬似ペロブスカ
イト型酸化物を主体としたものと考えられている。
上記一般式において、元素αとしては、Ba、Sr、Ca、
Mg、Be等を適宜選択して使用できる。また、例えば、B
a、Srを使用して、更に、この元素αの10乃至80%をM
g、Ca、Srから選択された1種または2種の元素で置換
してもよい。一方、元素βとしては、Y、La、Sc、Ce、
Gd、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等をいずれも好ましく使用で
き、更に、例えばY、Laを使用した上でその10乃至80%
をScまたはLa以外のランタノイド元素から選択された1
種または2種の元素で置換してもよい。前記元素γは一
般にCuであるが、更に、その一部を周期律表I b、II
b、III b、IV aおよびIII a族から選択された他の元
素、例えば、Ti、V等で置換してもよい。このような複
合酸化物超電導材料の薄膜は、物理的蒸着法の他、散
布、塗布、積層等の任意の手段によって形成できる。
一方、本発明に係る方法において使用される常電導体
とは、上記超電導薄膜が超電導状態になっている使用温
度においても超電導特性を示さない材料をいう。この種
の常電導体としては任意の金属、具体的には、銅、アル
ミニウム、鉄、銀、金等の白金族金属およびこれらを含
む合金が好ましく用いられるが、更に、上記超電導薄膜
と同じ温度では超電導特性を示さない他の超電導材料を
用いてもよい。
作用 本発明者は、前記従来の焼結体の欠点を解決すべく検
討を重ねた結果、超電導体の形成方法そのものを変える
ことによって、Jc(臨界電流密度)を大幅に向上させた
優れた超電導体を製造できる比較的簡単な方法を開発し
た。
即ち、本発明に係る方法では、上記超電導体薄膜と常
電導体薄膜とを積層して二重層を少なくとも一つ以上互
いに前後に密着させて形成する。ここで、実際には、下
記のようないくつかの方法が実施できる。
(1)金属のバンドを直線状、螺旋形状等に加工したも
のを支持体兼常電導体薄膜として用い、この支持体兼常
電導体薄膜上に超電導体薄膜を形成し、帯体を直線状、
螺旋構造状に配置して積層体とし、次いでこの積層体を
押圧して一体化する方法 (2)適当な基板、例えばセラミック等の材料上に物理
的蒸着法で上記常電導体の薄膜と上記超電導薄膜とを交
互に形成する方法 (3)電着あるいはメッキ等を用いる湿式方法 上記(1)の方法を用いる場合は、支持体兼常電導体
薄膜として金属を用いる場合を例に挙げると、金属のシ
ート即ち薄膜上に超電導体の原料粉末そのものまたはこ
れらを焼結した焼結粉末を散布、塗布するか、超電導材
料粉末にバインダーを加えたものをシート状に成形した
いわゆるグリーンシート状のものを上記支持体兼常電導
体薄膜上に積層し、次いで、得られた積層体を押圧一体
化したものを焼結する。このような方法で、任意の形
状、例えば長尺体、ディスク、ドーナツ状、ブロック状
等の超電導体を製造できる。
また、本発明の好ましい実施態様によると、上記支持
体兼常電導体薄膜の形成と同時に超電導体材料の供給も
行う。即ち、金属シートを供給しながらその上に上記超
電導材料(粉末、溶媒分散物、シート)を供給するか、
金属シートを螺旋状に成形しながら上記超電導材料(粉
末、溶融分散物、シート)をその上に供給する。こうし
て得られた2層構造物を順次プレス加工して密着した積
層体とし、更にこの積層体を焼結して多層超電導体が得
られる。
上記本発明に係る方法において、超電導層を形成する
際に用いる原料粉末としては、前記元素α、β、γの各
々の酸化物、炭酸塩、硝酸塩または硫酸塩等の粉末が用
いられる。尚、この原料粉末をそのまま用いる場合は、
上記散布、塗布あるいは積層後且つ押圧前に、これらの
塩が熱分解して酸化物となる温度で予備焼結あるいは焼
成することが好ましい。この予備焼結あるいは焼成は20
0〜700℃で行われる。また、原料粉末の成形にバインダ
ーを用いた場合は、特にこの予備焼結あるいは焼成が必
要である。その後、全体をプレス等を用いて密着させて
積層体とし、更に焼結する。この焼結は用いる超電導材
料の種類によって異なるが、一般には600〜1100℃で数
時間〜数日間行う。この間、焼結雰囲気を酸素リッチな
雰囲気とすることが好ましい。
また、前記(2)の方法は、例えば焼結によって作っ
た複合酸化物焼結体等のセラミック板の上に、常電導体
薄膜と超電導薄膜とを物理的蒸着法で交互に堆積させる
ことにより実施できる。また、この基板表面と対向した
2つの位置から超電導材料と常電導体材料とをそれぞれ
連続的に供給することによって両者を積層して成膜でき
る。物理的蒸着法としてはスパッタリング法、真空蒸着
法、イオンプレーテイング法等を例示できる。より具体
的には、例えば、真空チャンバー内で基板を移動させる
か、真空チャンバー内を仕切板で2つに分割しておくこ
とにより、常電導材料と超電導材料とを別々の蒸発源か
ら同時に供給できる。
上記超電導材料の蒸発源としては上記定義の組成の超
電導体薄膜が得られるようなものであればよい。具体的
には、Ba、La、Sr、Y等の酸化物、炭酸塩、硝酸塩また
は硫酸塩の粉末と、Al、Fe、Co、Ni、Zn、Ag、Tiによっ
て構成される群から選択される少なくとも1種の金属の
酸化物、炭酸塩、硝酸塩または硫酸塩の粉末とを混合し
て仮焼後、700から1500℃の範囲の温度で本焼結したも
のが用いられる。この蒸発源は上記のようにして作った
焼結体または仮焼結体のブロックが好ましいが、上記焼
結体を粉砕した粉末を用いることもできる。さらに、複
数の蒸発源を使用でき、例えば、BaxYyOz(ただし、
x、y、zはx=1〜5、y=1〜15、z=1〜20を満
たす数である)およびAl、Fe、Co、Ni、Zn、Ag、Tiによ
って構成される群から選択される少なくとも1種の元素
の酸化物の2つの蒸発源を使用してもよい。いずれにせ
よ、蒸発源はその構成元素の蒸着効率に応じて調整す
る。例えば、Ba、YおよびAl、Fe、Co、Ni、Zn、Ag、Ti
によって構成される群から選択される少なくとも1種の
元素を用いる場合には、これらの原子比を、形成される
薄膜のBa、Yおよび該元素の原子比を基準として、Ba、
Yおよび該元素の蒸着効率に応じて調整する。
上記(3)の湿式方法としては複合酸化物の構成元素
の酸化物を溶媒に分散させたものを電着し、常電導材料
をメッキによって付着させる方法等ある。
これらの方法で超電導体薄膜を成膜するに際して、本
発明に係る方法では、支持体または基板を移動させなが
ら成膜を行う。また、実際には、基板を固定して蒸着源
の方を移動させてもよい。
以上のような本発明に係る方法で作製した多層超電導
体は、従来の単層の超電導体に較べて大幅に臨界電流密
度が高くなる。その理由は明らかではないが、本発明で
は超電導電流の流れる超電導薄膜層が多層になっている
ため、電流の流れる部分が大幅に拡大されているためと
おもわれる。すなわち、超電導電流は超電導体の内部よ
りもその表面を流れる率が大きいと考えられる。この原
因はいまのところ不明である。
このような本発明に係る方法で作製した多層超電導体
は、液体窒素または液体酸素等の比較的入手の容易な冷
却媒体を用いて超電導状態とすることができる。また、
使用時には、例えば、巻線状の超電導体の両端から電極
をとり出し、公知の熱的あるいは磁気的な方法を用いて
超電導電流を流すことにより永久電流をコイル中に閉じ
込めた超電導コイルとして用いることができる。
以下、図面を参照して本発明に係る方法をより具体的
に説明するが、以下の開示は本発明の一実施例に過ぎ
ず、本発明の技術的範囲を何ら限定するものではない。
実施例 第1図は、本発明による方法のうち、プレス法によっ
て作られる多層薄膜超電導体の縦断面概念図を示したも
のである。
第1図に示す本発明薄膜多層超電導体は超電導材料薄
膜層11と常電導体薄膜層12とによって構成される2層を
単位とし、この単位を複数層積層したものを互いに密着
させた積層体10によって構成されている。上記常電導体
薄膜層12は自己支持性があり且つ焼結時に燃焼しない常
電導体で作られたシートであれば任意の材料が使用でき
る。一般には銀、白金等の白金族金属、あるいは銅、
鉄、コバルト、ニッケル等の金属およびこれらの合金が
好ましい。
実際に製造する場合には、金属シートを供給しながら
その上に上記超電導材料(粉末、溶媒分散物、シート)
を供給するか、金属シートを螺旋状に成形しながら上記
超電導材料(粉末、溶媒分散物、シート)をその上に供
給し、こうして得られた2層構造物を順次プレス加工し
て密着した積層体とし、この積層体を焼結するして本発
明の多層超電導体とすることができる。さらに、必要な
場合には、上記多層超電導体全体を保護層よってさらに
被覆することもできる。この保護層は白金族元素のよう
な金属あるいはガラスのような無機材料を蒸着して形成
するか、金属シートを成形したカバー等で被って形成す
ることができる。
第2図は、本発明による方法のうち、物理蒸着法を用
いた場合の実施例を説明する図である。
同図に示すように、この多層超電導体は、基板1と、
基板1上に形成された超電導材料薄膜層11および常電導
体薄膜層12によって構成される積層体10を含んでいる。
超電導材料薄膜層11と常電導体薄膜層12は、複数層積層
することができる。
更に、この多層超電導体は、薄膜多層超電導体の上下
表面にさらに保護層15、16が蒸着、ロー付け等により取
り付けられている。積層体10の巻き始め端部と巻き終わ
り端部とにはこの超電導コイルに電流を供給するための
端子が装着される。この電極端子は上記多層超電導体全
体の上下に形成される上記保護層15、16によって兼ねる
こともできる。この場合保護層15、16は電極端子を兼ね
て例えば白金族元素のような金属にする。上記基板1は
チタン酸ストロンチウム、酸化マグネシウム、アルミナ
等のセラミックあるいは銅、白金、鉄等の金属で構成す
ることもできるが、好ましくは、他の方法、例えば焼結
によって作った上記組成と同じ組成を有する超電導焼結
板にすることが好ましい。また、コイルとするために積
層体10の中心は中空14にする必要がある。
第3図は第2図に示した積層体10の概念的斜視図であ
り、超電導材料薄膜層11と常電導体薄膜層12が複数層螺
旋状に積層されていることを示している。同図に示すよ
うに、超電導材料薄膜層11と常電導体薄膜層12が超電導
コイルとなるように蒸着される。尚、第3図では3層に
形成されている。
第4図は、第2図および第3図に示した超電導コイル
を作製する際に使用できる装置の構成例を示している。
同図に示すように、この装置は、真空チャンバー20の
内部において、基板1が取り付けられた基板ホルダー2
が連続回転される。この基板ホルダー2は一般に内部を
流れる熱媒によって温度管理されている。真空チャンバ
ー20の内部は仕切板3によって2つの室に区画されてお
り、各々の室には超電導材料の蒸発源4と常電導体材料
の蒸発源5とがそれぞれ収容されている。図示した実施
例ではEBガンを用いて各蒸発源4、5を蒸着するように
している。蒸発源4、5と基板1との間にはマスク6が
配置されている。このマスク6には基板1上の蒸着面積
を規定する開口すなわち窓7、8が形成されている。
以上のように構成された装置を用いることにより、基
板1上には超電導材料の薄膜11と常電導体材料の薄膜12
とが連続的且つ螺旋状に形成される。
第5図は、本発明に係る方法を、スパッタリング法で
実施する場合に用いることができる装置の概念的断面図
である。
同図に示すように、この装置は、銀メッキとした銅製
シート31のコイルを真空チャンバー32内で巻き取り、巻
き戻しすることによって上記シート31をスパッタリング
ステーション40を通して複数回移動させる。
スパッタリングステーション40には2つのターゲット
41、42が配置されていて、それぞれのターゲット41、42
から超電導材料と常電導体材料とがスパッタされ上記シ
ート31上に層状に積層される。すなわち、図示した矢印
方向にシート31が移動している場合には、先ずターゲッ
ト42からスパッタされた常電導体材料がシート31上に堆
積し、次いでターゲット41からスパッタされた超電導材
料が上記で堆積さた常電導体材料の層の上にさらに堆積
する。こうして2層の層を表面に有するシート31は順次
巻き取られる。
この操作が終了したら、今度は上記シート31を逆に巻
き戻してから、上記と同じ操作を反復するか、巻き戻し
ながらスパッタを行う。後者の場合には、層構成を逆に
しないために、スパッタリングステーション40を軸43を
中心に180゜回転する。以上の操作を複数回反復するこ
とによってシート31上にはスパッタされた超電導材料薄
膜と常電導体材料薄膜とが多層に形成される。
以下、上述のような各種の方法により、実際に多層超
電導体を作製した場合について説明する。
作製例 基板1としてLa−Ba−Cu−O系複合酸化物焼結体を用
いる。この焼結体は以下のようにして作る。
純度3N以上、平均粒径5μ以下のBaCO3、Y2O3、CuOの
各々の粉末を、焼成後の組成をBa1-xYxCuyOzとしたとき
にx=0.2、0.4、0.7(y=1)となるように混合し、
この混合粉末を大気中で850℃/12時間予備焼成した後、
ケーキ状に固化した粉末を乳鉢で粗粉砕し、更に高純度
ジルコニア製ボールミルにより粉砕して4μmにした。
以下、この工程を3回繰り返して、Ba1-xYxCu1O3の粉末
を得る。続いて、上述のようにして得た粉末を各々ゴム
モールドに充填し、1.5ton/cm2の圧力で静圧成形して40
φ×50mmのバルク状成形基板を得る。
以下、上記のようにして作製した複合酸化物基板1を
用いて本発明の多層超電導体を蒸着法で製造する。
真空チャンバー20内の基板ホルダー2に基板1を固定
後、真空チャンバー20内を5×10-6Torrに減圧し、基板
ホルダー2を連続回転する。蒸発源4および5として
は、使用温度において超電導体層11になる超電導性酸化
物として上記基板と同じようにして製造したY−Ba−Cu
−O系複合酸化物焼結板と、常伝導体層12になる蒸発源
としてAgをそれぞれ用いる。これらの蒸発源4および5
はEBガンを用いて加熱蒸発させる。
上記のように基板1を回転させながら蒸着を行うと基
板上に複合酸化物よりなる超電導体層11と銀の薄膜層12
とが交互に且つ螺旋状に積層形成される。
以上のようにして薄膜多層超電導体を容易に形成する
ことができるが、本発明は上記の実施例に限定されるも
のでなく、例えば超電導性酸化物としてLa−Sr−Cu−O
系酸化物やY−Sr−Cu−O系酸化物を用いることがで
き、基板はLa−Ba−Cu−O系複合酸化物に限定されるも
のでなく、他の超電導性酸化物や、Al2O3、ペロブスカ
イト構造を有するSrTiO3なども用いることができる。更
に、超電導性酸化物を積層する方法においても、スパッ
タリングに限らず、電子ビーム加熱蒸着法を用いること
も可能であり、その他この発明の要旨を変更しない範囲
内で種々の設計変更を施すことができる。
発明の効果 以上詳述したように本発明に係る方法で作製された多
層薄膜超電導体は、超電導体薄膜層と、常電導体薄膜層
とを交互に層状に積層することによって超電導捲線を大
幅に小型化できると同時に、超電導薄膜層の表面積が増
大するので臨界電流密度を大幅に増加させることができ
る。
更に、本発明に係る方法によれば、堅くて脆い酸化物
超電導体を細線化してコイル状に加工することができ
る。
また、本発明に係る方法で作製された多層超電導体
は、電力輸送用の導体としての利用の他に、回路形成材
料あるいはジョセフソン素子に代表されるマイクロエレ
クトロニクスデバイスやオプトエレクトロニクスデバイ
スの機能素子、デバイス、集積回路等の素材として用い
ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に係る方法で作製された多層薄膜超電
導体の拡大斜視図であり、 第2図は、に係る方法で作製された多層薄膜超電導体コ
イルの拡大断面図であり、 第3図は、第2図に示す超電導コイルの積層体部分の拡
大断面図であり、 第4図は、第2図に示す超電導コイルを本発明に係る方
法で製造する際に用いることができる電子ビーム加熱蒸
着装置の概略図であり、 第5図は、本発明に係る方法により長尺のシート状の多
層薄膜超電導体を製造する際に使用することができるス
パッタリング装置の概略図である。 〔主な参照番号〕 1……基板、2……基板ホルダー、 3……仕切板、4、5……蒸発源、 6……マスク板、10……積層体、 11……超電導体層、12……常電導体層、 15,16……保護層、17、18……端子部 31……長尺シート、41、42……ターゲット

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板を移動させながら、該基板表面に対向
    した2つの位置から超電導材料と常電導体材料とをそれ
    ぞれ供給し、該基板表面上に該超電導材料よりなる層と
    該常電導体材料よりなる層とを積層する工程を含むこと
    を特徴とする多層薄膜超電導体の製造方法。
  2. 【請求項2】前記超電導材料および前記常電導材料が、
    それぞれ、物理蒸着法により蒸発源から基板上に供給さ
    れることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の方
    法。
  3. 【請求項3】前記超電導材料が、複合酸化物超電導材料
    であることを特徴とする特許請求の範囲第1項または第
    2項に記載の方法。
  4. 【請求項4】前記複合酸化物超電導材料が、La−Ba−Cu
    −O系酸化物、La−Sr−Cu−O系酸化物またはY−Sr−
    Cu−O系酸化物であることを特徴とする特許請求の範囲
    第3項に記載の方法。
JP62175742A 1987-07-14 1987-07-14 多層薄膜超電導体の製造方法 Expired - Lifetime JP2529276B2 (ja)

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