JP2528535B2 - バイアル用ゴム栓の製造方法 - Google Patents

バイアル用ゴム栓の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
本発明はバイアル用ゴム栓,特に医薬品容器のための
合成樹脂フイルムでラミネートされたゴム栓の製造方法
に関する。
【従来の技術】
従来バイアル用ゴム栓は,特公昭54−9119号公報・特
開昭57−47637号公報などに開示されているように,ゴ
ム栓の中の加硫促進剤やその他の配合剤などが薬液中に
浸出したり,薬液成分がゴムに吸着されたりすることに
よる医薬品への影響を防止するために,薬液と接触する
ゴム栓面を耐薬品性を有する合成樹脂フイルムでラミネ
ートされたゴム栓が知られている。 かかるラミネートされたゴム栓の製造方法について
は,種々の製造方法が提案されている。 例えば特公昭57−53184号公報にみられるように,合
成樹脂フイルムと未加硫ゴムシートを重ね合わせ,金型
中でラミネートした脚部形状のみの素栓を成形,カツト
した後,これを別の金型中に装填し,天面部を成形,接
着する方法などがある。
【発明が解決しようとする課題】
しかし,これらの方法では工業的に多数個取りの金型
を使用し量的生産を実施する場合に,ゴムとフイルムと
の間に空隙ができ,接着不良を起こしたり,成形物中に
気泡ができたり,フイルム表面に皺を発生したりし,不
良品の発生率が多いという問題があった。
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明は多数個取りの金型を使用し,不良品の発生率
の極めて少ないラミネートされたゴム栓を製造する技術
を提案するものである。 本発明の方法は,多数個取りの金型を使い,棒状の未
加硫ゴムリボンを使用し加圧加熱し,半加硫状態のゴム
栓脚部形状の成型品を成形した後,金型を開き下金型表
面に合成樹脂フイルムを挿入した後,加圧加熱を継続し
た後,バリ部をカツトし,ゴム栓脚部形状の素栓を形勢
し,別に成形したゴム栓天面部形状の半加硫ゴムシート
と前記素栓を組合せ,金型中で加圧加熱し接着成形した
後,バリ部をカツトし,ラミネートされたゴム栓を製造
する方法である。 すなわち,本発明は,多数個取りの金型を使用し,合
成樹脂フイルムをゴム栓脚部全面又は一部にラミネート
するか,又はゴム栓脚部全面及び天面部下面の一部にラ
ミネートするに際し,(i)棒状の未加硫ゴムリボン
を,外形がゴム栓脚部形状に適合した下金型と天面部に
相当する位置に若干の窪みを有するか又は平板状の上金
型との間で,所要加硫時間の1/10乃至1/2の時間加圧加
熱した後,該半加硫ゴム・シートを上金型に付けた状態
で上下金型を開き,下金型表面に医薬用薬品に耐える性
質を有する合成樹脂フイルムを置き,上下金型を閉じ,
所要加硫時間の9/10乃至1/2の時間加圧加熱し,一次成
形品を得る工程,(ii)該一次成形品を打ち抜き,素栓
を製造する工程,(iii)棒状の未加硫ゴムリボンを外
形がゴム栓天面部形状に適合した上金型と脚部に相当す
る位置に若干の凹部を有するか,又は平板状の下金型と
の間で所要加硫時間の1/20乃至1/2の時間加圧加熱した
後,該加硫ゴムシートを上金型に付けた状態で金型を開
き,下金型を各孔に素栓を装填した金型と入れ替え後,
所要加硫時間の19/20乃至1/2の時間加圧加熱して,二次
成形品を得る工程,(iv)該二次成形品のバリ部を切断
除去する工程よりなることを特徴とするバイアル用ゴム
栓の製造方法を要旨とする。 本発明に使用する合成樹脂フイルムは,フツ素樹脂,
ナイロン,ポリエチレン,ポリプロピレンなどの樹脂フ
イルムであり,封入する薬品により適宜選択される。こ
れらのフイルムは,ゴムと加硫接着性を有することが必
要であり,必要に応じゴムとの接着性を改善するため
に,表面を化学処理,コロナ処理,スパツタ・エツチン
グ処理などの処理を行ってもよい。 本発明のゴム栓の材料としては,ブチルゴム,ハロゲ
ン化ブチルゴム,ブタヂエンゴム,イソプレンゴム,エ
チレンプロピレンゴム,シリコンゴムなどの合成ゴム又
は天然ゴムが使用され,かつ適宜ゴム配合剤,充填剤を
含有している。 本発明において,一次成形品を得る工程で棒状未加硫
ゴムリボンを用い成形するのは,成形品中に気泡の含有
を防止するためであり,また,半加硫状態で金型を開き
合成樹脂フイルムと重ね合わせ継続加圧加熱を行うの
は,ゴムとフイルムとの接着を十分に行わせるためであ
る。半加硫の程度についてはゴム配合組成により異なる
が,所要加硫時間の1/10乃至1/2が良い。この時間が短
いと未加硫ゴムの金型中への流れ込みが十分でなく成形
不良の原因となり,長すぎるとゴムの加硫が進みすぎ,
フイルムとの接着が不十分となる。本発明の一次成形品
のバリ部をカツトと素栓を得る工程では,フイルムでラ
ミネートしたい部分のみに打ち抜きを行う。 本発明の二次成形品を得る工程で,棒状ゴムリボンを
用いるのは一次成形品の場合と同様に成形品中への気泡
の含有防止のためであり,半加硫状態の天面形状ゴムシ
ートを用いるのは,素栓との接着を十分に行わせるため
であると同時に,フイルムラミネート部分へのゴムの流
れ込みによるフイルム面への汚染を防止するためであ
る。半加硫の程度についてはゴム配合組成により異なる
が,所要加硫時間の1/20乃至1/2が良い。 以下,本発明を図面により具体的に説明する。 第1図,第2図及び第3図は本発明の実施例を説明す
る工程図であり,第4図及び第5図は本発明によって得
られるバイアル用ゴム栓例の一部縦断面図である。 第1図及び第2図(a)に示すように一次成形のため
の金型Bは,最終製品脚部形状をもつ金型であり,金型
Aは平板状の金型である。両金型間に第1図(a)又は
同図(b)及び第2図(a)に示すように棒状の未加硫
ゴムリボン1を置き,第2図(b)に示すように加圧加
熱して所要加硫時間の1/10乃至1/2の時間加硫を行った
後,第2図(c)に示すように,半加硫ゴムシートを上
金型Aに付いた状態で金型を開き,下金型表面に合成樹
脂フイルム2を置き,両金型を再び閉じて,残りの時間
加硫を行う。この操作により第2図(d)に示すような
バリ部の付いたラミネートが施された一次成形品が得ら
れる。この工程での加圧加熱条件は使用される樹脂フイ
ルム,ゴムの種類,配合剤,厚さ,金型サイズにより変
わるが,130〜180℃,50〜300kg/cm2で5〜20分が適当で
ある。得られた一次成形シートを第2図(e)に示すよ
うに最終製品脚部に相当する素栓に打ち抜きを行う。 一方第3図(a)に示すようにゴム栓天面部形状をも
つ上金型Cと平板状の下金型Dの間に棒状の未加硫ゴム
リボン1を置き,第3図(b)に示すように加圧加熱し
て所要加硫時間の1/20乃至1/2の時間加硫を行った後,
第3図(c)に示すように下金型を一次成形品より作っ
た上記ゴム栓脚部相当の素栓を装填した下金型Eと交換
し,引き続き残りの加硫時間加圧加熱を行い,第3図
(d)に示すようなバリ部の付いた二次成形品を得る。
二次成形に用いね未加硫ゴムは一次成形に用いたものと
同一組成の配合ゴムでも異なった組成の配合ゴムでもよ
い。 また,加硫条件は配合ゴムの種類により適宜選択する
ことができる。 最後に二次成形品を金型より取りだし打ち抜き操作に
より周辺部のバリを除去して第3図(e)に示すような
製品を得る。 本発明では金型の形状を適宜変更することにより,第
4図や第5図に示すような形状のバイアル用ゴム栓を製
造することができる。
【実施例】
以下,本発明を実施例と比較例により具体的に説明す
る。 合成樹脂フイルムとして平均分子量450万,厚さ50μ
のポリエチレンフイルムを使用し,また,配合ゴムとし
てブチルゴム(日本合成ゴム(株)製ブチル365)100重
量部,シランカツプリング剤表面処理済み焼成クレー60
重量部,活性亜鉛華3重量部,ジペンタメチレンチユウ
ラムテラサルフアイド2重量部及び酸化マグネシウム5
重量部よりなる配合ゴムを使用した。 加硫成形時の金型としては,一次成形,二次成形とも
144個取りの金型を使用し,一次成形は温度160℃,圧力
200kg/cm2,時間10分(前加硫2分,後加硫8分)の条
件,二次成形は温度160℃,圧力200kg/cm2,時間12分
(前加硫1分,後加硫11分)の条件を使用した。 本発明の方法により脚部長さ4.5mm,バイアル容器口に
かん合する箇所の外径12.7mm,上蓋部の外径19.0mmの第
3図(e)に示すような構造をしたゴム栓を製造した。 得られたゴム栓について目視により,フイルムとゴム
との接着性,フイルム表面の汚染状況,ゴム栓外面の気
泡等を観察した。その結果,不良品の発生率は0.5%で
あった。 比較例として,実施例と同一のフイルム,配合ゴム,
加硫条件を使用し,特公昭57−53184号公報に記載の方
法で実施例と同じゴム栓を製造した。 得られたゴム栓の目視による不良品の発生率は8.0%
であった。 これらから明らかなように本発明の製造方法によれば不
良品の発生の少ないことが分かる。
【発明の効果】
本発明の方法によれば合成樹脂フイルムが栓体脚部に
ラミネートされたバイアル用ゴム栓を,多数個取りの金
型を使用し不良品を発生することなく,経済的且つ効率
的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図,第2図及び第3図は,本発明の実施例を説明す
る工程図であり,第4図及び第5図は本発明によって得
られるバイアル用ゴム栓例の一部縦断面図である。 1……棒状未加硫ゴムリボン,2……合成樹脂フイルム,3
……脚部形状素栓,A及びB……一次成形用金型,C,D及び
E……二次成形用金型。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多数個取りの金型を使用し,合成樹脂フイ
    ルムをゴム栓脚部全面又は一部にラミネートするか,又
    はゴム栓脚部全面及び天面部下面の一部にラミネートす
    るに際し,(i)棒状の未加硫ゴムリボンを,外形がゴ
    ム栓脚部形状に適合した下金型と天面部に相当する位置
    に若干の窪みを有するか,又は平板状の上金型との間
    で,所要加硫時間の1/10乃至1/2の時間加圧加熱した
    後,該半加硫ゴム・シートを上金型に付けた状態で上下
    金型を開き,下金型表面に医薬用薬品に耐える性質を有
    する合成樹脂フイルムを置き,上下金型を閉じ,所要加
    硫時間の9/10乃至1/2の時間加圧加熱し,一次成形品を
    得る工程,(ii)該一次成形品を打ち抜き,素栓を製造
    する工程,(iii)棒状の未加硫ゴムリボンを外形がゴ
    ム栓天面部形状に適合した上金型と脚部に相当する位置
    に若干の凹部を有するか,又は平板状の下金型との間で
    所要加硫時間の1/20乃至1/2の時間加圧加熱した後,該
    加硫ゴムシートを上金型に付けた状態で金型を開き,下
    金型を各孔に素栓を装填した金型と入れ替えた後,所要
    加硫時間の19/20乃至1/2の時間加圧加熱して,二次成形
    品を得る工程,(iv)該二次成形品のバリ部を切断除去
    する工程よりなることを特徴とするバイアル用ゴム栓の
    製造方法。
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