JP2527337B2 - 水性黒色インキ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明はペン先耐乾燥性に優れ、カスレが生じにく
く、筆跡乾燥性のよい水性黒色インキに関する。

［従来の技術とその問題点］ 従来、水性黒色インキとして用いられる染料として、
鮮明な色調が得られ易いニグロシンやアゾ系黒色染料が
多く用いられているが、ペン先耐乾燥性が悪く、遅乾剤
を添加して用いられている。

しかしながら、OHP（オーバーヘッドプロジェクタ
ー）用フィルム等の非吸収面に筆記した場合には、遅乾
剤を添加しているために、筆跡が乾燥しにくくなるとい
った問題点を有している。

［問題点を解決するための手段］ 本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、即
ち、着色材と水と水溶性界面活性剤とより少なくともな
る水性黒色インキであって、着色材として、少なくとも
青色水溶性酸性染料と黄色水溶性酸性染料と紫色水溶性
酸性染料を含んでなることを特徴とする水性黒色インキ
をその要旨とするものである。

以下、本発明の各成分について詳述する。

青色水溶性酸性染料、黄色水溶性酸性染料、紫色水溶
性酸性染料は着色剤として使用するものであり、ニグロ
シン、アゾ系黒色染料といった黒色染料を用いることな
く黒色を得るため用いられる。

その添加量は５〜20重量％が好ましい。

これらの水溶性酸性染料として、具体的には、C.I.Ac
id Blue 7、９、15、22、23、25、27、29、40、41、4
3、45、54、59、60、62、72、74、78、80、82、83、9
0、92、93、100、102、103、104、112、113、117、12
0、126、127、129、130、131、138、140、142、143、15
1、154、158、161、166、167、168、170、171、175、18
2、183、184、187、192、199、203、204、205、229、23
4、236等の青色水溶性酸性染料、C.I.Acid Yellow 3、
７、11、17、19、23、25、29、36、38、40、42、44、4
9、59、61、70、72、75、76、78、79、98、99、110、11
1、112、114、116、118、119、127、128、131、135、14
1、142、161、162、163、164、165等の黄色水溶性酸性
染料、C.I.Acid Violet 7、11、15、31、34、35、41、4
3、47、48、49、51、54、66、68、75、78、97、106等の
紫色水溶性酸性染料等が挙げられ、これらは適宜必要に
応じて各々一種もしくは二種以上混合して用いられる。

更に、必要に応じて、ニグロシン、アゾ系黒色染料と
いった黒色染料を除く水溶性酸性染料を加えてもよい。

水は溶剤として使用するものであり、その添加量は60
〜90重量％が好ましい。

水溶性界面活性剤は、非吸収面でのぬれをよくし、ハ
ジキを防ぐ為用いられるものであり、その添加量は0.1
〜30重量％が好ましい。

具体的には、アニオン活性剤、ノニオン活性剤、高分
子活性剤等を、適宜、必要に応じて、一種もしくは二種
以上混合して用いるものである。

その他目的に応じて、水溶性有機溶剤、水溶性樹脂、
防腐剤、防錆剤等も適宜使用可能である。

次に本発明の水性黒色インキの製造方法としては各種
の方法が採用できるが、その一例を挙げると、先ず前記
各成分を配合し、公知の攪拌機にて十分に混合攪拌する
ことにより得られるものであるが、不溶解分を除去する
ために、遠心分離やろ過等の工程を加えてもよい。

［作用］ 本発明による水性黒色インキは、着色材として、青色
水溶性酸性染料、黄色水溶性酸性染料、紫色水溶性酸性
染料を用いるものであり、従来黒色を得るために用いら
れていたニグロシン、アゾ系黒色染料といった黒色染料
を用いることなく黒色を得られる様なしたことにより、
上記黒色染料が有する水に対する溶解性の悪さによるペ
ン先耐乾燥性の低下が生じない。

［実施例］ 以下、実施例により更に具体例に説明するが、実施
例、比較例中単に「％」とあるのは「重量％」を示すも
のとする。

実施例１ Water−Violet＃１ 5.0％ （水溶性酸性染料、オリエント化学工業（株）製） Water−Yellow＃２ 7.0％ （ 〃 、 〃 ） Water−Blue＃９ 4.0％ （ 〃 、 〃 ） 水 83.6％ エアロールCT 0.1％ （アニオン活性剤、東邦化学（株）製） スコアロールＳ−700 0.3％ （ノニオン活性剤、花王（株）製） 上記各成分を混合し、撹拌機にて、30分間撹拌し、水
性黒色インキを得た。

比較例１ 実施例１よりWater−Violet＃1,Water−Yellow＃2,Wa
ter−Blue＃９を除き、その量だけＷ−Black R510（C.
I.Acid Black2,オリエント化学工業（株）製）を加え、
他は実施例１と同様にして水性黒色インキを得た。

実施例２ Water−Violet＃５ 4.0％ （水溶性酸性染料、オリエント化学工業（株）製） ウラニンコンク 3.0％ （ 〃 、保土谷化学工業（株）製） Acid Yellow＃10 4.0％ （ 〃 、大和染料製造（株）製） Water−Blue＃９ 2.0％ （ 〃 、オリエント化学工業（株）） 水 81.3％ エマール20T 0.2％ （アニオン活性剤、花王アトラス（株）製） スコアロール700 0.5％ （ノニオン活性剤、花王（株）製） ソルミックスA3 5.0％ （メタノール変成エタノール、日本アルコール販売
（株）製） 上記各成分を混合し、実施例１と同様にして、水性黒
色インキを得た。

比較例２ 実施例２より、Water−Violet＃5,ウラニンコンク,Ac
id Yellow＃10,Water−Blue＃９を除き、その量だけLan
asyn Carbon BL（C.I.Acid Black132,三菱化学工業
（株）製）を加え、他は実施例２と同様にして水性黒色
インキを得た。

実施例３ Acid Violet5B 5.0％ （水溶性酸性染料、保土谷化学工業（株）製） Acid Yellow98 3.0％ （ 〃 、 〃 ） Water−Yellow＃２ 3.0％ （ 〃 、オリエント化学工業（株）製） Ortolan Blue G 2.0％ （ 〃 、BASF社製） 水 86.0％ トーホールＮ−120 0.5％ （ノニオン活性剤、東邦化学工業（株）製） アセタミン24 0.5％ （ 〃 、花王アトラス（株）製） 上記各成分を混合し、実施例１と同様にして、水性黒
色インキを得た。

比較例３ 実施例３より、Acid Violet5B,Acid Yellow98,Water
−Yellow2,Ortolan Blue Gを除き、その量だけSuminal
Milling Black NB（C.I.Acid Black29,住友化学工業
（株）製）を加え、他は実施例３と同様にして水性黒色
インキを得た。

実施例４ Suminal Leveling Violet3B 4.0％ （水溶性酸性染料、住友化学工業（株）製） Aizen Opal Yellow3GH 2.0％ （ 〃 、保土谷化学工業（株）製） Water−Yellow＃２ 5.0％ （ 〃 、オリエント化学工業（株）製） 水 75.4％ PV PK−15 4.0％ （五協産業（株）製） ノナール209 1.0％ （ノニオン活性剤、東邦化学工業（株）製） エアロールCT 0.6％ （アニオン活性剤、 〃 ） ソルミックスAP−４ 5.0％ （イソプロピルアルコール変性エタノール、日本アルコ
ール販売（株）製） 上記各成分を実施例１と同様にして、水性黒色インキ
を得た。

比較例４ 実施例４より、Suminal Leveling Violet 3B、Aizn O
pal Yellow 3GH、Water−Yellow＃２、Aizn Opal Blue
BHを除き、その量だけNigrosin NBconc（C.I.Acid B
lack2,田岡染料製造（株）製）を加え、水を5.0重量％
減らし、その量だけエチレングリコール（遅乾剤）を加
え、他は実施例４と同様にして水性黒色インキを得た。

［効果］ 実施例１〜４、比較例１〜４で得られた水性黒色イン
キを市販の繊維ペン（水性OHPペンPM2、ぺんてる（株）
製）に2.0g充填し、ペン先乾燥試験、経時試験を行なっ
た結果は表１のとおりである。

以上の様に、本発明により、ペン先乾燥性に優れ、カ
スレの生じない、筆跡乾燥性の良い優れた水性黒色イン
キが得られるものである。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】着色材と水と水溶性界面活性剤とより少な
   くともなる水性黒色インキであって、着色材として、少
   なくとも青色水溶性酸性染料と黄色水溶性酸性染料と紫
   色水溶性酸性染料を含んでなることを特徴とする水性黒
   色インキ。