JP2526408Y2 - 保冷防水包装体 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、生鮮食料品などを収納して鮮度を保持す
るため、運搬中などに氷で冷却することができる保冷防
水包装体に関する。

〔従来の技術〕

魚介類などの生鮮食料品を氷で保冷して運搬する場
合、木箱又は発泡スチロールを成形した収納容器を用い
るのが普通である。

前者の場合、防水性が悪いため、トラックなどの運搬
手段に特殊な工夫が必要であり、保冷性も充分でない。

後者は、コスト的に難点があり、廃棄物公害の点でも
問題になっている。

〔考案の課題〕

上記のコスト面、防水性を考慮して、段ボールの表面
に防水処理を施したものを用用いることが提案されてい
るが、段ボールの構造上、切口（端面）から浸水し易
く、侵入した水は段目を伝って全体に滲透するのも速い
ので防水処理の効果を減殺してしまう。

また、吸水パッドを敷くことも提案されているが、充
分な吸水性がないと、やはり段ボールに悪影響を及ぼ
す。

そこで、この考案の課題は、段ボール箱を用いて保冷
性、防水性に優れ、かつ充分な吸水性を備えた包装体を
提供することである。

〔課題の解決手段〕

上記の課題を解決するため、この考案においては、内
面に防水層を設けた一枚の段ボールシートより成り、底
壁、周壁、頂壁を有するＡ−Ｉ型又はＡ−III型段ボー
ル箱の底壁に吸水ポリマー性パッドを敷き、この吸水ポ
リマー性パッドの上に物品を収納して、さらに砕氷を充
填し、前記頂壁の外フラップの側縁を突き合せて密閉し
た構成を採用したのである。

〔作用〕

段ボール箱は、内面に防水層が設けられた一枚のシー
トより成るため、周壁には切口が露出せず、また切口が
露出する底壁には、充分な吸水性を有する吸水ポリマー
性パッドが敷かれているため、氷及び収納物品の水分を
大部分吸収することができ、段ボールシート内に水分が
浸入することがほとんどない。

また、防水層と段ボール自体の断熱性により、保冷性
も維持できる。

〔実施例〕

第１図に示すように、箱の材料となる段ボールシート
１は、芯材２の両面にライナ３、４を設けた段ボール
と、ライナ３の外面に形成した防水層５から成る。

前記防水層５としては、金属箔、合成樹脂フィルム等
の単体又は積層体が用いられる。この防水層５と段ボー
ルとの積層方法は、コーティング、接着剤等、任意であ
る。

前記段ボールシート１を打抜いて、折り目、切り目を
設けると第２図のような段ボール箱の展開シート10′が
出来上る。図示のように、一方の端壁11、一方の側壁1
2、他方の端壁11′、他方の側壁12′は、折り目13、1
4、15を介して連続しており、他方の側壁12′の端縁に
は、折り目16を介してのり代17が設けられている。

また、端壁11、11′及び側壁12、12′の上下縁には、
共通の折り目18、18′が設けられ、これらの端壁及び側
壁は、それぞれ底壁の内フラップ19、19′、外フラップ
20、20′及び頂壁の内フラップ21、21′、外フラップ2
2、22′と連続している。なお、内フラップ19、19′、2
1、21′の巾を、丁度側壁12、12′の長さの半分にして
おくとＡ−III型（JIS規格）の段ボール箱となる。

上記シート10′を組立てるには、のり代17を接着剤等
で端壁11の外端縁に接続し、折り目18に沿って底壁の内
フラップ19、19′を折り曲げ、外フラップ20、20′の側
縁を互に突き合せて粘着テープ等で固定しておく。第３
図が出来上ったＡ−Ｉ型（JIS規格）段ボール箱10を示
している。勿論、前記防水層５は、箱10の内面に設けら
れている。また、第２図及び第３図から明らかなよう
に、箱10は一枚のシートから形成されている。

第４図に示すように、上記のような箱10の底壁に（フ
ラップ19、19′、20、20′）吸水パッド30を敷き、その
上に魚介類等の物品Ａを収納し、さらに砕氷Ｂを充填す
ると、包装体Ｃが完成する。

上記吸水パッド30は、第５図に示すように、吸水性ポ
リマー層31の両側にパルプ層32、32′を積み重ね、さら
にティッシュペーパのような吸水紙33、33′で挟み、不
織布34、34′で全体を被覆したものである。

なお、下面に合成樹脂フィルム層35を設けて、吸水パ
ッド30で吸収した水分を保持し、外部に流出しないよう
にしておくのがよい。

第６図の吸収パッド30は、パルプ層32、32′を省略し
たものである。

第７図に示すように、前記箱10の底壁内面にトレー40
を収納し、さらにその中に前記吸水パッド30を収納して
おいてもよい。このトレー40は、第８図に示すように、
段ボールや板紙等の厚紙41と、金属箔や合成樹脂フィル
ムの単体又は複合体から成る防水層42を積層したものか
ら形成される。このトレー40は、第９図に示すように、
底壁43と、この底壁43に折り目44、44′を介して連続す
る端壁45、45′と、折り目46、46′を介して連続する側
壁47、47′と、端壁及び側壁の連結片48、48′、49、4
9′より成っている。第10図の組立て完成図から理解さ
れるように、トレー40の４隅は連結片48、48′、49、4
9′で一体的に連続しているため、漏水のおそれは全く
ない。なお、前記防水層42は、トレー40の内面になるよ
う組立てられる。

〔効果〕

この考案によれば、以上のように、内面に防水層を有
する一枚のシートによって段ボール箱を形成し、シート
の切口が現れる底壁に吸水ポリマー性パッドを収納した
ので、防水性が完全となり、また、相当の水分が発生し
ても吸水ポリマー性パッドによって吸収し、段ボールシ
ートの切口まで水が到達するのを防止できる。このため
生産性のよい箱の型式であるＡ−Ｉ型又はＡ−III型を
使用することができる。

また、防水層と段ボールがあいまって、保冷にも優れ
た効果を発揮する。

さらに、頂壁フラップを突き合せることによって、密
閉性、保冷性がより向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は段ボール箱のウエブを示す断面図、第２図は段
ボール箱の展開図、第３図は段ボール箱の完成斜視図、
第４図はこの考案の一実施例を示す包装体の断面図、第
５図及び第６図は包装体に用いる吸水パッドの例を示す
断面図、第７図はこの考案の他の実施例の断面図、第８
図は包装体に用いるトレーのウエブを示す断面図、第９
図はトレーの展開図、第10図はトレーの完成斜視図であ
る。 Ａ……収納物品、Ｂ……砕氷、Ｃ……保冷防水包装体、
１……ウエブ、５……防水層、10……段ボール箱、11、
11′……端壁、12、12′……側壁、19、19′……底壁内
フラップ、20、20′……底壁外フラップ、21、21′……
頂壁内フラップ、22、22′……頂壁外フラップ、30……
吸水パッド、40……トレー、41……厚紙、42……防水
層、43……底壁、45、45′……端壁、47、47′……側
壁、48、48′、49、49′……連結片。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 古田 拓 大阪府大阪市福島区大開４丁目１番186 号 レンゴー株式会社中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭62−240679（ＪＰ，Ａ) 実開 昭61−119966（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭61−183636（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭58−194183（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭62−19976（ＪＰ，Ｕ) 特公 昭45−23572（ＪＰ，Ｂ２) 特公 昭60−53576（ＪＰ，Ｂ２)

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】内面に防水層を設けた一枚の段ボールシー
   トより成り、底壁、周壁及び頂壁を有するＡ−Ｉ型又は
   Ａ−III型段ボール箱の前記底壁に吸水ポリマー性パッ
   ドを敷き、この吸水ポリマー性パッドの上に内容物を収
   納し、さらに砕氷を充填し、頂壁の外フラップの側縁を
   突き合せて密閉した保冷防止包装体。