JP2525834Y2 - エンジン - Google Patents

エンジン

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JP2525834Y2
JP2525834Y2 JP1988146957U JP14695788U JP2525834Y2 JP 2525834 Y2 JP2525834 Y2 JP 2525834Y2 JP 1988146957 U JP1988146957 U JP 1988146957U JP 14695788 U JP14695788 U JP 14695788U JP 2525834 Y2 JP2525834 Y2 JP 2525834Y2
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Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、エンジンに関するもので、詳しくはエンジ
ンの潤滑装置に関する。
〔従来の技術〕 一般に、クランクシャフトはその内部にオイルギャラ
リーを有しており、このオイルギャラリーに潤滑油を供
給することによってコンロッドとの連結部や軸受部など
の摺動部を潤滑するようにしている。
〔考案が解決しようとする課題〕
ところで、上記潤滑装置では、クランクシャフト内に
上記オイルギャラリーから各摺動部へ連通する油路を設
けなければならないため、その構造が複雑であり、加工
作業の煩雑さを招来する。
また、オイルギャラリーへ供給された潤滑油は、クラ
ンクシャフトの一端部側から順次摺動部へ給油されてい
くため、特にクランクシャフトの他端部側に位置するコ
ンロッドとの連結部へに給油が充分に行われない虞れが
ある。
このため従来では、上記コンロッドとの連結部の潤滑
を十分に図るため、当該連結部に外部から直接多量の潤
滑油を吹き付けたり、連結部を潤滑油に浸漬させる方法
が適用されている。
しかしながら、上記のように連結部に直接多量の潤滑
油を吹き付けたり、連結部を潤滑油に浸漬させた場合に
は、コンロッドの表面やクランクホイール等、潤滑不要
部分で、しかも運動する部分へも潤滑油が当接すること
になり、該潤滑油が抵抗となってメカニカルロスの著し
い増大が招来されることになる。
本考案の目的は、上記実情に鑑みて、潤滑油が要因と
なるメカニカルロスの増大を可及的に抑え、かつクラン
クシャフトとコンロッドとの連結部の潤滑を十分に図る
ことのできるエンジンを提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
ところで、エンジンには、シリンダブロックとシリン
ダの内周面を規定するシリンダライナとの間に空所を画
成し、該空所に潤滑油を供給することによってシリンダ
ブロックを冷却するようにしたものがある。
本考案では、この種のエンジンに着目し、該エンジン
にさらに、一端が前記空所に接続され、かつ他端がクラ
ンクシャフトおよびコンロッドの両移動軌跡に対してそ
の上方域よりも外方に位置する部位に開口されており、
前記空所に供給された潤滑油をクランクケースの内部に
環流させるオイル環流通路と、前記オイル環流通路から
分岐する態様で下方に向けて延在され、かつ下端が前記
シリンダライナとの間において前記クランクケースの内
部に開口する分岐通路と、上端部が前記分岐通路の下端
部に対向する態様で前記シリンダライナの下端部外周面
に形成され、かつ下端開口が前記クランクシャフトと前
記コンロッドとの連結部の回転軌跡に対してその上方域
に配置された潤滑用溝と、前記シリンダブロックと前記
クランクケースとの間に介在されたガスケットから前記
分岐通路の外縁部に沿う態様で下方に向けて突設され、
かつ下端部が前記潤滑用溝の上端部に向けて内方に屈曲
されており、前記オイル環流通路から前記分岐通路へ分
岐される潤滑油の流量を規制するとともに、この分岐通
路を通過する潤滑油を前記潤滑用溝に指向させる舌片と
を備えるようにしている。
〔作用〕
シリンダブロックの空所に供給された潤滑油がオイル
環流通路を経てクランクケースに環流される間に、該潤
滑油の一部が分岐通路、舌片および潤滑用溝を介してク
ランクシャフトとコンロッドとの連結部に滴下される。
〔実施例〕
以下、実施例を示す図面に基づいて本考案を詳細に説
明する。
第1図は、本考案に係るエンジンの要部を概念的に示
したもので、このエンジンに採用されるシリンダブロッ
ク1は、ボア2を有している。ボア2は、第2図に示す
ように、シリンダブロック1の上下両端面に開口する円
柱状の孔2aと、この孔2aの上端外周部に形成された環状
の凹所2bとから構成されている。
また、このシリンダブロック1は切欠3を有してい
る。切欠3は、上記孔2aの上端部から外方に向けて形成
され、かつシリンダブロック1の上面1aにおける凹所2b
の外方に位置する部位に開口しており、上記孔2aの内方
とシリンダブロック1の上方とを互いに連絡させてい
る。なお、この切欠3は、シリンダブロック1の鋳造成
形時に鋳型や中子等によって該シリンダブロック1と同
時に形成される。
さらに、上記シリンダブロック1は、第1図に示すよ
うに、オイル返却通路4を有している。オイル返却通路
4は、第3図に示すように、孔2aの下端部に形成され、
かつこの孔2aおよびシリンダブロック1の下面1bに開口
する溝部4aと、この溝部4aからシリンダブロック1の側
外方に向けて穿設され、かつ開口端部に盲栓4′を備え
た横孔部4bと、この横孔部4bから下方に向けて穿設さ
れ、かつシリンダブロック1の下面1bに開口する下降孔
部4cとから構成されている。
このシリンダブロック1には、第1図に示すように、
ボア2にシリンダライナ5が嵌着されている。シリンダ
ライナ5は、第2図に示すように、上端(図中の下方)
にフランジ5aを有する円筒状を成しており、この円筒状
部5bにおける上半部の外周面5cに複数本の凹溝6,6…を
有している。これら凹溝6,6…は環状を成し、互いに等
しい間隔をもって配置されており、シリンダライナ5の
軸方向に沿って刻設された縦溝7,7…によって互いに連
絡されている。図からも明らかなように、このシリンダ
ライナ5では、円筒状部5bの外周面5cと、凹溝6,6…の
天面6a,6a…および円筒状部5bの底面5bとが交わる部位
にそれぞれ面取部8,8…が施されている。
また、このシリンダライナ5には、円筒状部5bの下端
部に潤滑用溝9が形成されている。潤滑用溝9は、シリ
ンダライナ5の軸方向に沿って設けられており、円筒状
部5bの外周面5cおよび円筒状部5bの底面5dに開口してい
る。
このシリンダライナ5は、常温状態下でシリンダブロ
ック1のボア2に圧入され、円筒状部5bが孔2aに嵌合さ
れ、かつフランジ5aが凹所2bに嵌合される。その際、シ
リンダライナ5には面取部8,8…が施されているため、
孔2a内に掻傷等が形成されることはない。
この状態におけるシリンダブロック1では、第1図に
示すように、シリンダライナ5の凹溝6,6…および縦溝
7,7…とボア2の孔2aとによってシリンダ10の全周を巡
るオイル通路(空所)11が画成されるとともに、シリン
ダライナ5のフランジ5aとシリンダブロック1の切欠3
とによって上記オイル通路11をシリンダブロック1の上
面1aに開口させる接続通路12が画成される。また、この
時シリンダライナ5の潤滑用溝9は、オイル返却通路4
の溝部4aの延長上に位置されており、その底面5dの開口
がクランクシャフト29におけるコンロッド30との連結部
29aの回転軌跡に対してその上方域に配置されている。
上記のように構成されたシリンダブロック1には、そ
の上面1aにガスケット13を介してシリンダヘッド14が取
り付けられる。
このシリンダヘッド14は、図に明示していないが、中
央部上方に1本のカムシャフトを備え、このカムシャフ
トのカムによって作動されるインンレットバルブ15およ
びエキゾーストバルブ16をそれぞれ2本ずつ備えてい
る。
また、このシリンダヘッド14は、その上面に凹部17を
有している。凹部17は、燃焼室18に対応する部位におけ
る上記インレットバルブ15,15とエキゾーストバルブ16,
16との間に形成されており、その開口は蓋体19によって
密閉されている。蓋体19は、断面が略U字状を成してお
り、凹部17内に立設された柱状部20にボルト21を締結す
ることによってシリンダヘッド14に固定されている。
この蓋体19にはパイプ22が嵌着されている。パイプ22
は、上下方向に向けて配置され、上記凹部17の内部と外
部とを連通させており、その上端はシリンダヘッドカバ
ー23のオイル供給通路24に接続されている。
さらに、上記シリンダヘッド14は、オイル非出通路25
を有している。オイル排出通路25は、それぞれのエキゾ
ーストバルブ16,16によって開閉される1対のエキゾー
ストポート26,26間に配設されており、その一端は上記
凹部17の底部に開口し、かつその他端がシリンダヘッド
14の底面における上記シリンダブロック1の接続通路12
の開口に対応する部位に開口している。
なお、このシリンダヘッド14とシリンダブロック1と
の間に介装されるガスケット13には、シリンダ10に対応
する部位およびオイル排出通路25の開口に対応する部位
にそれぞれ切欠13a,13bが形成されている。
一方、上記シリンダブロック1には、その下面1bにガ
スケット26を介してクランクケース27が取り付けられ
る。
このガスケット26は、金属で成形されており、第3図
に示すように、シリンダブロック1の孔2aに対応する部
位、下降孔部4cの開口に対応する部位および溝部4aの開
口に対応する部位にそれぞれ切欠26a,26bおよび切欠26c
を有している。
また、ガスケット26は舌片28を有している。舌片28
は、略L字状を成しており、ガスケット26の下面におけ
る上記切欠26cの周縁部外方に位置する部位から下方に
延設され、かつその先端の屈折した部位は上記切欠26a
の中心に向けて延設されている。なお、この舌片28は、
上記ガスケット26と一体に成形されている。
第1図に示すように、クランクケース27には、上記ガ
スケット26の切欠26aおよび26bに対応する部位にそれぞ
れ連通孔27aおよび27bが設けられている。連通孔27a
は、上記シリンダライナ5の外周とほぼ同じ内径を有し
ており、その内部にシリンダライナ5の下端部を嵌入保
持している。もう一方の連通孔27bは、第1図からも明
らかなように、クランクシャフト29およびコンロッド30
の両移動軌跡に対してその上方域よりも外方に位置する
部位に配置され、そこからほぼ鉛直下方に向けて延在さ
れており、その下端開口を介してシリンダブロック1の
下降孔部4cとクランクケース27の内部とを互いに連絡し
ている。
また、上記クランクケース27は、上記連通孔27aに開
口する潤滑用切欠27cを有している。この切欠27cは、上
記溝部4aの開口延長上に配置され、かつその下端部が上
記シリンダライナ5に形成された潤滑用溝9の上端部に
対向されており、その内部に上記ガスケット26の舌片28
を収容している。この状態における舌片28は、先端がク
ランクケース27に形成された潤滑用切欠27cの下端開口
をほぼ閉塞する態様でシリンダライナ5における潤滑用
溝9の上端部に対向設置されており、上記クランクケー
ス27における潤滑用切欠27cの下端部を上記シリンダラ
イナ5の潤滑用溝9に指向させている。
さらに、上記クランクケース27は、その内部に2つの
オイルポンプ31,32を備えている。一方のオイルポンプ3
1は、図示せぬパイプ等の管路を介してオイルクーラー3
3に連結され、他方のオイルポンプ32は、図示せぬパイ
プ等の管路を介して上記シリンダヘッドカバー23のオイ
ル供給通路24と、クランクシャフト29内の図示せぬオイ
ルギャラリーとにそれぞえれ分岐連絡されている。
今、エンジンが始動されると、上記2つのオイルポン
プ31,32が駆動され、オイルパン34内に貯留された潤滑
油Oがそれぞれストレーナ35,36を介して吸引される。
なお、上記オイルポンプ32からは、毎分10lの潤滑油が
吸引される。
オイルポンプ31から吸引された潤滑油Oは、オイルク
ーラー33で冷却され、再びオイルパン34へ返却される
(矢印a)。
オイルポンプ32から吸引された潤滑油Oは、図示せぬ
管路内を圧送され、クランクシャフト29の図示せぬオイ
ルギャラリー(矢印b)と、オイル供給通路24およびパ
イプ22を介してシリンダヘッド14の凹部17(矢印c)と
に供給される。
クランクシャフト29に圧送された潤滑油Oは、コンロ
ッド30との連結部29aや軸受部のベアリング(図示せ
ず)等の摺動部に供給され、これらの部位を潤滑した後
に滴下してオイルパン34へ返却される。
一方、シリンダヘッド14の凹部17へ圧送された潤滑油
Oは、この凹部17内においてシリンダヘッド14における
燃焼室18の周囲、インレットバルブ15,15の周囲および
エキゾーストバルブ16,16の周囲の熱を吸収し、これら
各部の冷却を行った後にオイル排出通路25へ圧送され
る。
オイル排出通路25へ圧送された潤滑油Oは、この通路
25内においてシリンダヘッド14におけるエキゾーストポ
ート26,26の周囲の熱を吸収し、ガスケット13の切欠13b
および接続通路12を介してシリンダブロック1のオイル
通路11へ圧送される。
オイル通路11内の潤滑油Oは、凹溝6および縦溝7に
沿ってシリンダ10の外周全域に導かれ、シリンダブロッ
ク1におけるシリンダ10の周囲の熱を吸収する。
オイル通路11内の潤滑油Oが、シリンダライナ5にお
ける最下段の凹溝6に圧送されると、この潤滑油Oはシ
リンダブロック1の溝部4aを介して2股に分岐される。
一方の潤滑油Oは、横孔部4bおよび下降孔部4cを順次
案内され、ガスケット26の切欠26bおよびクランクケー
ス27の連通孔27bを介して該クランクケース27の内部に
滴下され、クランクシャフト29およびコンロッド30のい
ずれにも接触することなくオイルパン34へ環流される
(矢印d)。
もう一方の潤滑油Oは、クランクケース27の潤滑用切
欠27cおよび舌片28を介してシリンダライナ5の潤滑用
溝9へ案内され、さらにこの溝9に沿って下方へ案内さ
れ、クランクシャフト29におけるコンロッド30との連結
部29aに滴下される(矢印e)。
連結部29aに滴下された潤滑油Oは、この連結部29aの
潤滑を行い、しかる後滴下してオイルパン34に返却され
る。この間、上記エンジンによれば、ガスケット26に形
成した舌片28によって上記潤滑用切欠27cの下端開口が
ほぼ閉塞された状態にあるため、上記溝部4aからこの潤
滑用切欠27cに分岐される潤滑油Oの流量が規制され、
必要最低限の潤滑油Oのみが潤滑用溝9から連結部29a
に滴下されることとなり、潤滑油Oが抵抗となるメカニ
カルロスの増大を可及滴に抑えることができる。
しかも、上記舌片28およびシリンダライナ5に形成し
た潤滑用溝9がガイドとなって潤滑油Oが連結部29aに
確実に案内されるため、不必要部分へ潤滑油Oが当接す
ることによるメカニカルロスの増大も抑えることができ
る。
なお、上記実施例では、クランクシャフト29における
コンロッド30との連結部29aの上方に位置する部位にの
み潤滑油の排出路を開口させているが、本考案では、こ
れに加えて軸受部の上方に位置する部位に開口を設けて
も構わない。
〔考案の効果〕
上記したように本考案に係るエンジンによれば、シリ
ンダブロックの空所に供給された潤滑油がオイル環流通
路を経てクランクケースに環流される間に、該潤滑油の
一部が分岐通路、舌片および潤滑用溝を介してクランク
シャフトとコンロッドとの連結部に滴下されることにな
るため、メカニカルロスの増大を可及的に抑えつつ、ク
ランクシャフトとコンロッドとの連結部の潤滑を十分に
行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本考案に係るエンジンの要部を概念的に示し
た断面図、第2図は、本考案に係るエンジンに適用され
るシリンダブロックおよびシリンダライナを概念的に示
した分解斜視図、第3図は、本考案に係るエンジンに適
用されるシリンダブロックおよびガスケットを概念的に
示した分解斜視図である。 1…シリンダブロック、4…オイル返却通路、4a…溝
部、4b…横孔部、4c…下降孔部、5…シリンダライナ、
9…潤滑用溝、11…オイル通路、26…ガスケット、26b
…切欠、27…クランクケース、27b…連通孔、27c…切
欠、28…舌片、29…クランクシャフト、29a…連結部、3
0…コンロッド、O…潤滑油。

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリンダブロックとシリンダの内周面を規
    定するシリンダライナとの間に空所を画成し、該空所に
    潤滑油を供給することによって前記シリンダブロックを
    冷却するようにしたエンジンにおいて、 一端が前記空所に接続され、かつ他端がクランクシャフ
    トおよびコンロッドの両移動軌跡に対してその上方域よ
    りも外方に位置する部位に開口されており、前記空所に
    供給された潤滑油をクランクケースの内部に環流させる
    オイル環流通路と、 前記オイル環流通路から分岐する態様で下方に向けて延
    在され、かつ下端が前記シリンダライナとの間において
    前記クランクケースの内部に開口する分岐通路と、 上端部が前記分岐通路の下端部に対向する態様で前記シ
    リンダライナの下端部外周面に形成され、かつ下端開口
    が前記クランクシャフトと前記コンロッドとの連結部の
    回転軌跡に対してその上方域に配置された潤滑用溝と、 前記シリンダブロックと前記クランクケースとの間に介
    在されたガスケットから前記分岐通路の外縁部に沿う態
    様で下方に向けて突設され、かつ下端部が前記潤滑用溝
    の上端部に向けて内方に屈曲されており、前記オイル環
    流通路から前記分岐通路へ分岐される潤滑油の流量を規
    制するとともに、この分岐通路を通過する潤滑油を前記
    潤滑用溝に指向させる舌片と を備えたことを特徴とするエンジン。
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