JP2525670Y2 - 研削治具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、パンチ組立体におけ
るパンチボディの刃先をパンチガイドより突出せしめた
状態で研磨加工を行うための研削治具に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、ワークに例えば打抜き加工を行な
うためにタレットパンチプレスのごときパンチプレスが
知られている。このパンチプレスにおいてはワークに種
々な形状の打抜きを行なうため、種々なパンチとダイが
知られている。

【０００３】このパンチとダイを使用してワークに打抜
き加工を行なえば、当然のことながら、パンチ，ダイの
刃先が摩耗したり、傷付いたりして切れなくなって加工
精度に影響を及ぼす。すなわち、作業者がパンチ，ダイ
の寿命を判断した際には、パンチ，ダイの刃先を研磨し
て再度使用するようにしている。

【０００４】このパンチ，ダイの刃先を研磨する研削装
置としては、パンチ，ダイを固定したワークテーブルを
固定し、砥石を回転させながら砥石ヘッドを左右方向並
びに上下方向へ移動せしめてパンチ，ダイの刃先を研磨
するタイプや、回転自在な砥石を備えた砥石ヘッドを固
定し、ワークテーブルを左右方向並びに上下方向へ移動
せしめてパンチ，ダイの刃先を研磨するタイプが知られ
ている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来のパンチ，ダイの刃先を研磨する研削装置で、例えば
パンチの刃先を研磨する際にはパンチアッセンブリから
パンチボディを分解して取出して行なわなければなら
ず、また、研磨後再組付けしなければならないという問
題があった。

【０００６】この考案の目的は、上記問題点を改善する
ために、予め、パンチ組立体におけるパンチガイドを支
持せしめると共に、パンチボディの刃先をパンチガイド
より突出せしめた状態で研削装置のテーブルに取付ける
ようにした研削治具を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この考案は、パンチガイドとパンチボディとストリ
ッパ用弾性部材とを備えてなるパンチ組立体における上
記パンチガイドを不動状態に支持するパンチガイド支持
部と、前記弾性部材に抗してパンチガイドからパンチボ
ディの先端部を突出せしめるためのパンチ押圧装置と、
研削装置のテーブルへ取付けるための取付部と、を備え
てなることを特徴とする研削治具を構成した。

【０００８】

【作用】この考案の研削治具を採用することにより、パ
ンチ押圧装置上にパンチ組立体を置くと共に、パンチガ
イド支持部にパンチガイドを支持せしめる。この状態に
おいてパンチ押圧装置を作動せしめてパンチボディの刃
先をパンチガイドより突出せしめた状態にする。次いで
研削治具を持ち上げて取付部を研削装置のテーブルに取
付けることにより、パンチボディの刃先が研磨加工され
る。

【０００９】

【実施例】以下、この考案の実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。

【００１０】図４および図５を参照するに、工具研削装
置１は基台としての箱形状のベッド３を備えており、こ
のベッド３上には支持テーブル５が取付けられている。
前記ベッド３の一部を構成する下部フレーム７上には研
削液としてのクーラントを収納するクーラント収納ボッ
クス９が設けられている。

【００１１】前記ベッド３の前面には開閉可能な扉１１
Ａ，１１Ｂが設けられており、例えばベッド３内の下部
フレーム７上に設けられているクーラント収納ボックス
９を出し入れする際に扉１１Ａ，１１Ｂが開閉されるも
のである。前記ベッド３の右側面には工具研削装置１を
作動せしめるための強電盤１３が設けられている。

【００１２】前記支持テーブル５上の左右両側にはサイ
ドフレーム１５Ｒ，１５Ｌが立設されている。このサイ
ドフレーム１５Ｒと１５Ｌとの間にあって、支持テーブ
ル５上には箱形状の上部ボックス１７が立設されてい
る。

【００１３】この上部ボックス１７の前側には上方向へ
回動可能な上カバー１９と下方向へ回動可能な下カバー
２１が枢支連結されている。この下カバー２１が下方向
へ回動された図５に示した状態においては、工具として
のパンチ，ダイあるいは治具を取付けたりする際に作業
テーブルの役目を果すものである。前記サイドテーブル
１５Ｒの前面には操作盤２３が設けられている。

【００１４】前記支持テーブル５には例えば矩形状の穴
２５が形成されていると共に、この穴２５の下方におい
て前記ベッド３の左右壁には前後方向へ離隔した平行な
複数のガイド部材２７が左右方向へ延伸して支持されて
いる。この各ガイド部材２７には左右方向へ移動可能な
スライダ２９が装着されている。

【００１５】このスライダ２９の中央部には例えば円形
状の穴３１が形成されており、この穴３１には回転可能
な回転テーブル３３が装着して設けられている。前記ス
ライダ２９の後側には例えば左右方向へ延伸したラック
が設けられており、このラックに噛合したピニオンを装
着したモータが例えば支持テーブル５に設けられてい
る。

【００１６】上記構成により、モータを駆動せしめると
ピニオンが回転される。このピニオンの回転によりラッ
クを介してスライダ２９がガイド部材２７に案内されて
移動されることになる。

【００１７】前記スライダ２９に形成された穴３１には
図３に示されているように、ベアリング３５を介して回
転可能な回転テーブル３３が支持されている。この回転
テーブル３３の下部にはプーリ３７が装着されて一体化
されている。また、前記スライダ２９の図３および図４
において右側の下部にはブラケット３９を介して回転用
駆動モータ４１が設けられており、この回転用駆動モー
タ４１の出力軸４３には駆動プーリ４５が嵌着されてい
る。この駆動プーリ４５と前記プーリ３７とにはベルト
４７が巻回されている。

【００１８】上記構成により、回転用駆動モータ４１を
駆動せしめると、出力軸４３を介して駆動プーリ４５が
回転される。この駆動プーリ４５の回転によりベルト４
７，プーリ３７を介して回転テーブル３３が回転される
ことになる。

【００１９】再び図４を参照するに、前記上部ボックス
１７には上下方向へ延伸した複数の平行なガイドレール
４９が左右方向へ適宜な間隔で設けられている。このガ
イドレール４９には昇降スライダ５１が設けられている
と共にこの昇降スライダ５１の下部フレーム５１Ｆの下
部には回転自在な研削工具としてのカップ状砥石５３が
支持されている。しかも、前記下部フレーム５１Ｆ上に
は、回転用駆動モータ５５が設けられており、この回転
用駆動モータ５５の出力軸には前記カップ状砥石５３が
装着されて支持されている。前記下部フレーム５１Ｆの
前側下部には被加工物としてのパンチあるいはダイを吊
下げる吊下げ可能なフック部５７が備えられている。

【００２０】前記上部ボックス１７の上部フレーム１７
Ｕ上には昇降用駆動モータ５９が取付けられている。こ
の昇降用駆動モータ５９の出力軸には上下方向へ延伸し
たボールねじ６１の上部が連結されていると共に、ボー
ルねじ６１の下部が軸受を介して上部ボックス１７の下
部フレーム１７Ｄに支承されている。前記ボールねじ６
１に螺合したナット部材６３が前記昇降スライダ５１に
一体化されている。

【００２１】上記構成により、回転用駆動モータ５５を
駆動せしめると、カップ状砥石５３が回転される。この
カップ状砥石５３を回転させると共に、昇降用駆動モー
タ５９を駆動せしめると、ボールねじ６１が回転され
る。このボールネジ６１の回転によりナット部材６３を
介して昇降用スライダ５１が上下動されることになる。
したがって、カップ状砥石２３は回転した状態で上下動
されることとなる。

【００２２】前記スライダ２９には先端部に研削工具６
５を備えた補助研削アーム６７が設けられている。この
補助研削アーム６７はベッド３上に設けられていても構
わない。また、前記昇降スライダ５１における下部フレ
ーム５１Ｆの図４において右側には下方へ延伸した支柱
６９が上下動可能に垂設されており、この支柱６９の下
部には水平面において回転可能な水平アーム７１の後部
が枢支されている。この水平アーム７１の先端部にはゲ
ージ板７３が備えられている。このゲージ板７３はベッ
ド３にブラケットを介して回動可能に設けても構わない
ものである。

【００２３】前記回転テーブル３３上にパンチ組立体７
５を取付けるために研削治具７７が用いられる。すなわ
ち、図１，図２および図３に示されるように、パンチ組
立体７５はパンチガイド７９，パンチボディ８１，スト
リッパ用弾性部材８３並びにパンチヘッド８５などから
構成されている。

【００２４】一方、本実施例の主要部である研削治具７
７は図１，図２および図３に示されているように、Ｕ字
形状をしたパンチガイド支持部８７を備えており、この
パンチガイド支持部８７は、上部フレーム８７Ｕ，サイ
ドフレーム８７Ｓ，下部フレーム８７ＤでＵ字形状に構
成されている。しかも、上部フレーム８７Ｕにはパンチ
ガイド９９を支持せしめるためのＵ字形状に切りかかれ
た溝８７Ｇが形成されている。

【００２５】前記下部フレーム８７Ｄ上にはパンチ押圧
装置８９が設けられている。このパンチ押圧装置８９と
しては下部フレーム８７Ｄ上に油圧シリンダ９１が取付
けられていると共に、油圧シリンダ９１に装着されたピ
ストンロッド９３が上方へ延伸して設けられている。こ
のピストンロッド９３の先端にはパンチ組立体７５のパ
ンチヘッド８５を受けるための凹部状のパンチ受け部９
５が一体化されている。

【００２６】前記油圧シリンダ９１には配管９７の一端
が接続されており、この配管９７の他端は前記下部フレ
ーム８７Ｄ上に設けられた油圧発生装置９９に接続され
ている。この油圧発生装置９９にはハンドル１０１が備
えられている。

【００２７】上記構成により、パンチ組立体７５のパン
チガイド７９を研削治具７７におけるパンチガイド支持
部８７の溝８７Ｇに挿入すると共に、パンチヘッド８５
をパンチ受け部９５上に載せることによって、図１に示
されているように、パンチガイド７９がパンチガイド支
持部８７に支持される。

【００２８】図１に示した状態において、ハンドル１０
１を例えばレンチで把持して一方向へ回転させると、油
圧発生装置９９から配管９７を経て油圧シリンダ９１に
油圧が供給されてピストンロッド９３を介してパンチ受
け部９５が上昇される。このパンチ受け部９５の上昇に
よりパンチ組立体７５が上昇し、パンチガイド７９のフ
ランジ７９Ｆが上部フレーム８７Ｕの下面に当接され
る。さらにパンチ受け部９５を上昇せしめると、ストリ
ッパ用弾性部材８３の付勢力に抗してパンチボディ８１
のみが上昇して、図２に示されているように、パンチボ
ディ８１の刃先がパンチガイド７９より突出した状態に
なる。

【００２９】図２に示した状態において、ハンドル１０
１を他方向へ回転させると油圧シリンダ９１から油圧が
抜けてパンチ受け部９５が下降し、図１に示したごとく
元の状態に戻されることになる。

【００３０】図２に示した状態で研削治具７７の取付部
である下部フレーム８７Ｄを、図３に示されているよう
に工具研削装置１の回転テーブル３３に例えば複数のボ
ルト１０３で取付けることによって、パンチ組立体７５
が研削治具７７を介して回転テーブル３３に支持される
ことになる。

【００３１】而して、図３に示した状態で回転テーブル
３３を回転せしめると共に、カップ状砥石５３を回転さ
せながら下降せしめることにより、パンチボディ８１の
刃先上面並びに側面を容易に研磨させることができる。

【００３２】したがって、回転テーブル３３内に研削治
具７７を組み込むことなく、予め準備した研削治具７７
にパンチ組立体７５を支持させた状態で、研削治具７７
を回転テーブル３３に取付けることにより、研削治具７
７にパンチ組立体７５を支持せしめる作業が楽になると
共に容易に行なうことができる。パンチ組立体７５を研
削治具７７に支持せしめる作業は、研削治具７７を回転
テーブル３３に取付けた後に行なっても構わない。

【００３３】なお、この考案は、前述した実施例に限定
されることなく、適宜の変更を行なうことにより、その
他の態様で実施し得るものである。

【００３４】

【考案の効果】以上のごとき実施例の説明より理解され
るように、この考案によれば、実用新案登録請求の範囲
に記載されたとおりの構成であるから、予め準備した研
削治具にパンチ組立体を支持せしめ、パンチボディの刃
先をパンチガイドより突出させておくことにより、パン
チ組立体を研削装置のテーブルに支持せしめる作業が楽
になると共に容易に行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の主要部を示し、パンチ組立体を支持
せしめる研削治具の斜視図である。

【図２】パンチボディの刃先をパンチガイドより突出さ
せた状態における研削治具の斜視図である。

【図３】パンチ組立体を支持せしめた研削治具を、回転
テーブルに取付けた状態の側面図で、図４におけるIII
矢視拡大図である。

【図４】この考案を使用する一実施例の工具研削装置の
側面図である。

【図５】図４における斜視図である。

【符号の説明】

１ 工具研削装置 ３３ 回転テーブル ５３ カップ状砥石 ７５ パンチ組立体 ７７ 研削治具 ７９ パンチガイド ８１ パンチボディ ８３ ストリッパ用弾性部材 ８５ パンチヘッド ８７ パンチガイド支持部 ８７Ｕ 上部フレーム ８７Ｄ 下部フレーム（取付部） ８７Ｇ 溝 ８９ パンチ押圧装置 ９１ 油圧シリンダ ９９ 油圧発生装置

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 パンチガイドとパンチボディとストリッ
   パ用弾性部材とを備えてなるパンチ組立体における上記
   パンチガイドを不動状態に支持するパンチガイド支持部
   と、前記弾性部材に抗してパンチガイドからパンチボデ
   ィの先端部を突出せしめるためのパンチ押圧装置と、研
   削装置のテーブルへ取付けるための取付部と、を備えて
   なることを特徴とする研削治具。