JP2524894Y2 - 入浴用移乗台付き浴室 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、高齢者や身障者などが
入浴する際、身体が不自由でも湯舟に入り易くするた
め、浴槽内で入湯する前に一旦座ることができ、さら
に、その状態から滑り込むようにして入湯することがで
きるようにし、かつ、入湯中も背凭れ状態の楽な姿勢を
とることがができる入浴用移乗台付き浴室に関する。

【０００２】

【従来の技術】これまでも、図３に示す通り、浴槽ａの
上縁部ｂに、入浴用移乗台としての腰掛けｃを、浴槽ａ
の開口部ｄに延出するよう付設し、高齢者等は、この腰
掛けｃに一旦座った状態から入湯したり、浴槽ａから出
るときにも、この腰掛けｃを有効に利用し得るようにし
たものが、既に知られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかし、上記の従来例
によるときは、確かに高齢者等にとって使い勝手がよく
なるが、単なる板状の腰掛けｃが浴槽ａの上縁部ｂから
開口部ｄに向けて延出しているので、入湯中の挙動を邪
魔することとなり、特に健常者にとっては使い勝手の悪
いものとなってしまう。

【０００４】さらに、上記従来の腰掛けｃは、単なる横
向きの板体であるため、座った状態から入湯する際の行
為が、必ずしも容易でなく、しかも、入湯後にあって
は、身障者等にとっても、この腰掛けｃが役に立つこと
なく、当該身障者が楽な姿勢で入浴を楽しむことについ
ては、全く配慮されていない。

【０００５】本考案は、上記従来の欠陥に鑑み、浴槽上
縁部に移乗腰掛台の横向腰掛板部を載置し、かつ、これ
に背凭板部を連設するだけでなく、当該横向腰掛板部を
浴室の壁面に形成した係止部に係脱自在に係入させ得る
ようにすることで、不使用時には浴槽から取り外して邪
魔にならないようにするのはもちろん、使用時にも単に
座るだけでなく、この状態から背凭板部を案内として滑
り込むような入湯動作を可能とし、しかも、入湯後は背
凭板部に凭れながら、楽な姿勢で心地よく入浴できるよ
うにしようとしている。

【０００６】さらに、本考案では、上記背凭板部の下端
部が浴槽の底面に支持されるのではなく、離間状態とな
るよう装入される構成とし、これにより、各種浴槽の深
さ寸法に背凭板部の長さ寸法を適合させるといった必要
なしに、どのような大きさの浴槽にも使用できるように
し、しかも、片持ち状態の背凭板部が持つ弾性を活用し
て、心地よい入湯動作と、入浴後のクッションがきいた
凭れ状態を楽しむことができるようにしようとしてい
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本考案は、上記の目的を
達成するため、壁面と床面とを具備した室内にあって、
床面に浴槽を載設することにより、当該浴槽の長手側面
に、床面における洗い場を臨装し、この浴槽の開口部長
手方向一側に配設された浴槽上縁部と、これに臨装の壁
面に突設した係止部との間には、係脱自在なるよう移乗
腰掛台の横向腰掛板部における基端部を係入して、当該
横向腰掛板部の延出端部から下位前方へ向けて傾設した
背凭板部を、浴槽の湯舟内に装入して、当該背凭板の下
端部を浴槽の底面から離間する長さに形成したことを特
徴とする入浴用移乗台付き浴室を提供しようとしてい
る。

【０００８】

【作用】本考案によるときは、その移乗腰掛台の、横向
腰掛板部が、浴槽上縁部に受承されていると共に、壁面
に設けた係止部に支持されることになるから、背凭板部
は浴槽に対し安定した装着状態が得られる。

【０００９】 このようにして装着された 移乗腰掛台を使
用するには、先ず、その横向腰掛板部に高齢者等が自
ら、または介護者の手を借りて座り、この状態から前進
して背凭板部に受容されながら、浴槽の湯水内へ滑り込
むようにして入湯できることになり、しかも、背凭板部
は浴槽の底面から離れた片持ちの状態であるため、両持
ちの状態に比し、弾性を発揮させ得ることとなり、当該
入場滑り込み動作も衝撃なく円滑に行い得ることにな
る。

【００１０】 入湯後は、そのまま当該背凭板部に背を凭
れるようにしたり、さらには横向腰掛板部に頭を載置し
たりして入浴できることになり、この際、上記のように
背凭板部は片持ち状態であるため、心地よい安息を味わ
うことができ、もちろん、健常者等が入浴するときは、
浴槽からこの移乗腰掛台を適時、簡易に取り外してしま
うことができる。さらに、浴槽の寸法に対して移乗腰掛
台の寸法を整合させる必要もなくなるので、移乗腰掛台
に汎用性をもたせることが可能となる。

【００１１】

【実施例】本考案を図示の実施例によって詳記すると、
壁面１と床面２とを具備した室内にあって、床面２に浴
槽３を載置することにより、当該浴槽３の長手側面３ａ
に対して、床面２における洗い場２ａを臨装し、さら
に、当該浴槽３の開口部３ｂにおける長手方向一側に配
設されている浴槽上縁部３ｃには、移乗腰掛台４におけ
る横向腰掛板部４ａの基端部４ｂが、図１の（Ｂ）に示
されている通り、載置自在なるよう構成されている。

【００１２】 さらに、この移乗腰掛台４は、上記の横向
腰掛板部４ａのみによって形成されているのではなく、
その延出端部４ｃは、浴槽３の開口部３ｂ側へ延出さ
れ、当該延出端部４ｃからは、下位前方に向けて傾設し
た背凭板部４ｄが、浴槽３内に装入自在である。

【００１３】 さらに、本考案にあっては 前記浴槽上縁部
３ｃに臨装されている壁面１に、係止部５を突設するこ
とで、これと浴槽上縁部３ｃとの間に係止凹所５ａを形
成し、これに、移乗腰掛台４にあって横向腰掛板部４ａ
の基端部４ｂを係嵌自在なるよう構成してある。しか
も、前記の背凭板部４ｄの下端部４ｅは、浴槽３の底面
３ｄに支承されるのではなく、当該底面３ｄから離間さ
れた状態で、浴槽３内に収納されている。従って、この
場合には移乗腰掛台４が、その横向腰掛板部４ａを浴槽
上縁部３ｃ上に載置していると共に、基端部４ｂが係止
部５によって、その上動を阻止された状態にて浴槽３に
着脱自在なるよう付帯されており、このため、下端部４
ｅが浴槽３の底面３ｄには支持されていないが、移乗腰
掛台４は浴槽３に対して安定的なセット状態を保つこと
ができる。

【００１４】 そこで 、移乗腰掛台４は必要に応じて、横
向腰掛板部４ａを係止部５と浴槽上縁部３ｃとによっ
て、浴槽３にセットできるので、横向腰掛板部４ａに座
った状態から背凭板部４ｄを用いて高齢者の場合でも、
滑り込むようにして入湯ができ、その後も背凭板部４ｄ
を用いての入浴を楽しむことができる。また、背凭板部
４ｄの寸法を浴槽３の底面３ｄに整合させる必要がな
く、従って、どのような寸法の浴槽３に対しても、随時
付帯させて使用することが可能となる。

【００１５】

【考案の効果】本考案は以上のようにして構成されるも
のであるから、浴槽上縁部と壁面の係止部とによって、
浴槽に対し移乗腰掛台が、安定して付帯させ得ると共
に、自由に取り外すことができるので、身障者にも健常
者にも使い勝手がよく、横向腰掛板部に座った状態から
背凭板部を利用しての滑り込みによる安易な入湯がで
き、入浴後も背凭板部を利用した楽な姿勢を保つことが
できる。

【００１６】 さらに、背凭板部の下端部が浴槽の底面に
支持されていない片持ちの状態であるため、入湯時と背
凭状態とにあって、心地よい弾性感を味わうことがで
き、しかも 浴槽の寸法に左右されることなく、各種の浴
槽に移乗腰掛台の付帯が可能となり、汎用性のある用法
を保証することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る浴室の一実施例を示し、（Ａ）は
その平面略示図、（Ｂ）は（Ａ）におけるＢ−Ｂ線矢視
断面図である。

【図２】本考案にあって用いられている移乗腰掛台の一
実施例を示した斜視図である。

【図３】従来の入浴用移乗台付き浴室に載置される浴槽
の一例を示した平面図である。

【符号の説明】

１ 壁面 ２ 床面 ２ａ 洗い場 ３ 浴槽 ３ａ 浴槽の長手側面 ３ｂ 浴槽の開口部 ３ｃ 浴槽上縁部 ４ 移乗腰掛台 ４ａ 横向腰掛板部 ４ｂ 横向腰掛板部の基端部 ４ｃ 横向腰掛板部の延出端部 ４ｄ 背凭板部 ４ｅ 背凭板部の下端部 ５ 係止部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 壁面と床面とを具備した室内にあって、
   床面に浴槽を載設することにより、当該浴槽の長手側面
   に、床面における洗い場を臨装し、この浴槽の開口部長
   手方向一側に配設された浴槽上縁部と、これに臨装の壁
   面に突設した係止部との間には、係脱自在なるよう移乗
   腰掛台の横向腰掛板部における基端部を係入して、当該
   横向腰掛板部の延出端部から下位前方へ向けて傾設した
   背凭板部を、浴槽の湯舟内に装入して、当該背凭板の下
   端部を浴槽の底面から離間する長さに形成したことを特
   徴とする入浴用移乗台付き浴室。