JP2524527B2 - 差動保護装置の入力部故障診断方法 - Google Patents

差動保護装置の入力部故障診断方法

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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
この発明は、複数多入力回路を有する差動保護装置の
入力部故障診断方法に関するものである。
【従来の技術】
第2図、ないし第5図は従来の差動保護装置の入力部
故障診断方法であり、第3図、第4図は従来の差動保護
装置の概要を示すスケルトン図、第5図はディジタル形
差動リレーのブロック図、また、第6図は、従来の差動
保護装置の入力部異常検出方法を示す説明図である。 図において、1は電力系統の母線、2は電流検出器と
しての変流器(CT)、3はしゃ断器(CB)、4は差動保
護装置(以下、差動リレー)、5は入力トランス部、6
はフィルター部、7は入力信号を一定周期で取り込む入
力切替器部(マルチプレクサ)、8はアナログ・ディジ
タル変換器部(A/D)、9は中央制御ユニット部(CP
U)、10はメモリ部である。 更に、第6図において、11aはL1回線の零相監視方法
を示す演算、11nはLn回線の零相監視方法を示す演算で
ある。 次に動作について説明する。まず、第3図に示すよう
に各回線(L1〜Ln)の電流は夫々変流器2によって導出
され、差動リレー4に導入される。電力系統が正常な動
作をしている場合には、この導入された全回線の差電流
は零であり、更に各回線のA相、B相、C相のベクトル
和は零である。一方母線1に事故が発生した場合は、全
回線の差電流は零でなくなり、故障電流が発生する。こ
の差電流が一定値以上発生した事により、母線事故と判
断し、各回線のしゃ断器3に差動リレー4から開放指令
を出力し、しゃ断器3CBをしゃ断させる。 次にディジタル形リレーの場合について第5図を用い
て説明する。CT2により変換された電流を差動リレー4
に導入し、入力トランス部5にて絶縁とレベル変換とを
行いフィルター部6に導入する。フィルター部6にて不
要な高調波成分を除去し、次の入力切替器部7にて、順
次入力信号を選択出力し、アナログ・ディジタル変換器
部8に導入する。このアナログ・ディジタル変換器部8
にて、アナログ入力をディジタル値に変換する。この変
換されたディジタル値を中央制御ユニット部9でメモリ
部10に記憶されたプログラムに従って演算及び判別を行
う。母線に事故が発生した場合には、前述の通りしゃ断
器3にしゃ断指令を出力し、しゃ断器を開放させる。 一方、入力部のハードウェア故障を検出する方法とし
て、演算11aで表わされる零相監視方法を適用し、三相
交流理論に基く3相ベクトル和値で、故障判別を実施す
る。また、各回線毎にこの零相監視を行い、Ln回線の演
算11n迄の結果の論理和により入力部異常検出を行なっ
ている。 次に第7図のフローチャートを参照して第6図に示す
零相監視方法による入力部異常検出方法の動作順序につ
いて説明する。まず、ステップST1Aでは複数の回線(L1
〜Ln)13の夫々の回線について変流器2で相電流を検出
し、その相電流の理論和を求めて零相電流を検出する。
ステップST2A〜ST6Aでは前記夫々の回線について入力部
異常検出レベルεとの比較を行い、εより大であれ
ばこれを異常と判別し、εより小であれば回線13は正
常と判断する。ステップST7Aでは各回線の異常について
理論和をとり、少なくとも1つの回線13に異常があるか
否かを判定する(ステップST8A)。異常と認められた場
合には(ステップST9A)、入力部に異常が発生したこと
になる。 また、第8図は母線事故の判別順序を示したフローチ
ャートである。この場合には差動電流算出の演算として
各相毎に相電流を加算する(ステップST1B)。次に加算
した各相毎の相電流を母線事故判別のための検出レベル
Kと比較する(ステップST2B〜ST4B)。次に、差動電流
が検出レベルKより大なる相があるか否かを検出し(ス
テップST5B)、母線事故か否かを判定する(ステップST
6B)。事故と判定とされた場合にはしゃ断器3にトリッ
プ指令を出力する(ステップST7B)。
【発明が解決しようとする課題】
従来の差動保護装置の入力部故障診断方法は以上のよ
うに構成されているので、入力部異常が検出された場
合、どの回線のどの相が故障か判別することが出来ない
為に故障部位の特定と診断指示が大変面倒であった。ま
た、この故障診断調査の為に長時間に亘る装置の停止
や、系統運用の停止が発生するなどの課題があった。 なお、類似技術が電気協同研究第41巻第4号P.65〜P.
67(社団法人電気協同研究会昭和61年1月発行)に示さ
れている。 この発明は、上記のような課題を解消するためになさ
れたもので、故障部位の診断と指示ができるとともに、
ディジタル差動保護装置の保護機能の性能低下を発生さ
せることなく、かつ簡単で、余分なハードウェアを付加
することなくプログラムにて高精度の故障診断ができる
差動保護装置の入力部故障診断方法を得ることを目的と
する。
【課題を解決するための手段】
この発明に係る差動保護装置の入力部故障診断方法は
各回線毎の零相監視方法に全回線の差動監視方法を付加
し、前記2つの方法で得た結果の論理積を求め、入力部
故障回線の故障相までの故障診断を自動的に行い故障部
位を検出するようにしたものである。
【作 用】
この発明における差動保護装置の入力部故障診断方法
は各回線毎に入力部異常算出に伴う故障回線を検出する
とともに、全回線の故障相の検出を行う。次に、前記2
つの検出の結果である異常判別結果の論理積を求め、最
終的に複数回線のどの回線のどの相の入力部故障である
かの故障部位を検出する。
【発明の実施例】
以下、この発明の一実施例を図について説明する。 図中、第6図と同一の部分は同一の符号をもって図示
した第1図において、回線数がn回線ある場合には、L1
からLn回線の零相監視方法による演算11a〜11nが各回線
毎に実行される。12aは全回線−A相の差動監視方法に
よる演算、12bは全回線−B相の差動監視方法による演
算、12cは全回線−C相の差動監視方法による演算であ
る。これらの各監視方法による演算の結果の論理積を求
め、回線名と相別の判別を行い、故障部位の自動検出を
行う。 次に第2図のフローチャートを参照して動作について
説明する。本装置の入力回路は、複数の多入力回路とな
っている為、装置内の故障が発生した場合には、故障部
位の限定が必要である。多入力であるがために故障部位
検出に多くの時間がかかり装置停止や設備運用停止等の
時間が発生する。この為、故障部位迄自動的、かつすみ
やかに検出したい。まず、L1回線の零相監視方法による
演算11aは、第2図(A)にフローチャートを図示した
ように、L1回線のA相、B相、C相の3相のベクトル和
を求めるもので、3相交流理論によりハードウェアが正
常であれば零相電流は常に零程度となることを利用して
いる。万一ハードウェアに不良が発生した場合には、3
相ベクトルの和が零とならずある値となる。この3相ベ
クトル和の絶対値を求め(ステップST1C)、故障と判別
する入力部異常検出レベルεよりこのベクトル和の絶
対値が大きい場合には、その回線のA相、B相、C相の
内いずれかが故障であると判断する(ステップST2C〜5
C)。この零相監視方法による演算11a〜11n回線毎に実
行し、n回線分の故障検出を行う(ステップST6C)。こ
のようにして、零相監視方法にて、故障の回線を検出す
る。但し、A相、B相、C相の故障診断は未だ行われて
いない。 次に各相の差動監視方法を第2図(B)のフローチャ
ートを参照して以下に説明する。 A相の差動監視方法による演算12aは、全回線L1〜Ln
回線のA相分のみのベクトル和を求めると、キルヒホッ
フの法則により、母線1への入出力電流のベクトル和
は、ハードウェアが正常であれば零に略等しいことを利
用している。万一ハードウェアに故障が発生した場合に
は、このベクトル和が零とならずある値となる(ステッ
プST7C)。この全回線のベクトル和の絶対値を求め、故
障と判断する故障検出レベルεと比較して故障と判断
する。この絶対値が大きい場合には、該当相(A相かB
相かC相)のいずれかの回線が故障である。前記差動監
視方法を各相毎に計算し、A相の場合はA相の差動監視
方法による演算12a、B相の場合はB相の差動監視方法
による演算12b、C相の場合はC相の差動監視方法によ
る演算12cで各相の故障検出を行う(ステップST8C〜10
C)。従って、この各相の差動監視方法にて、故障相を
検出することができる。但し、回線L1〜Lnの故障診断は
まだできていない。これらの零相監視方法による診断結
果と差動監視方法の結果との論理積を求めることによ
り、故障回線と故障相の診断が可能となる。例えばL1
線についてはL1回線の零相監視方法による演算11aの結
果とA相の差動監視方法による演算12a、B相の差動監
視方法による演算12b、C相の差動監視方法による演算1
2cのそれぞれの結果の理論積を求めることにより、L1
線のA相、B相、C相のいずれかの故障であるかを判別
することができる(ステップST11C〜ST13C)。それぞれ
の回線についても同様に各回線毎の零相監視方法の結果
とA相、B相、C相のそれぞれの差動監視方法の結果と
の論理積を求め、故障回線と故障相の故障部位の検出を
行う(ステップST14C)。 なお、上記実施例では、ディジタル差動保護装置につ
いて説明を行ったが、アナログ式であってもよく上記実
施例と同様の効果を奏する。 又、母線に対する差動方法について示したが、母線に
限定されるものではなく、差動方法を用いるものであれ
ば、送電線、変圧器、または発電機の全ての差動方法に
ついて同様の効果を奏する。 更に、比較判定の方法に絶対値を求める方法として説
明したが、一定の故障検出値と大小比較ができるもので
あれば良く、上記実施例と同様の効果を奏する。
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、差動保護装置の詳
細な入力部、故障部位の診断に零相監視方法と差動監視
方法とを併用し、その論理積より故障回線、故障相の診
断及び検出を可能に構成したので、精度の高い故障診断
を行うことができ、改修時間の短縮と、装置及び設備の
稼働率向上を図ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例による差動保護装置の入力
部故障診断検出方法の原理説明図、第2図(A)〜
(C)は第1図の動作を説明するフローチャート、第3
図、第4図は従来の差動保護装置の概要を示すスケルト
ン図、第5図は、ディジタル差動保護装置の構成を示す
ブロック図、第6図は、従来の入力部異常検出方法の原
理説明図、第7図及び第8図は第6図の動作を説明する
ためのフローチャートである。 図において、11a〜11n:零相監視方法による演算、12a〜
12c:差動監視方法による演算、4:差動リレー、L1〜Ln:
回線である。 なお、図中、同一符号は同一、又は相当部分を示す。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の回線より夫々各相毎に電流を求め、
    多入力回路を構成する差動保護装置の入力部故障診断方
    法において、前記各回線毎の3相電流のベクトル和を求
    め、このベクトル和の絶対値を所定の入力部異常検出レ
    ベルと比較して、前記各回線毎の異常判別を行い、全回
    線の各相毎の電流のベクトル和を求め、このベクトル和
    の絶対値を各相毎に異常検出レベルと比較して異常相判
    別を行い、前記異常相判別によるA相の判別結果と前記
    各回線毎の異常判別の結果との論理積を求め、同様にB
    相の判別結果と前記各回線毎の異常判別の結果との論理
    積、及びC相の判別結果と前記各回線毎の異常判別の結
    果との論理積を求め、前記夫々の論理積により入力部の
    故障回線、故障相を検出することを特徴とする差動保護
    装置の入力部故障診断方法。
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