JP2523681Y2 - 自動二輪車の導風装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、走行によって受ける風を気化器に吹付け
ると共にエアクリーナに供給して出力低下を防止できる
自動二輪車の導風装置に関する。

〔従来の技術とその問題点〕

自動二輪車は、フレーム前下部にエンジンが搭載さ
れ、エンジンの上側又は後側に気化器やエアクリーナが
装着される。特にエアクリーナは、目立たないように、
燃料タンクの下側に設けた抉りの中に挿入したり、両側
をフレームカバーで覆ったりしている。

エンジンは、運転によって発熱して高温になり、周り
の雰囲気温度が高くなる。特に高速型の自動二輪車で
は、フレーム前部で流線形のカウリングで覆って、風の
抵抗を少くすることが行われている。このようにカウリ
ングを装着すると、エンジンがカウリングの内側にな
り、走行による風が入るのが少くなって、換気が不十分
で、雰囲気温度が高くなる。この温度上昇した空気で、
気化器が暖められたり、エアクリーナの吸入口に吸入し
て、吸気として使用されると、温度上昇による空気の膨
脹で、空気密度が薄くなり、吸気効率が低下して、エン
ジンの出力が低下する不都合がある。

これを防ぐため、カウリングの前面などの車体前部に
導入口を設けて、気化器付近に走行によって流入する大
気温の空気を導くようにしたものがある。例えば、実開
昭62−43993号公報参照。

しかしながら、前傾シリンダと後傾シリンダとにそれ
ぞれ独立して気化器とエアクリーナを備え、後傾シリン
ダ用の気化器とエアクリーナが後傾シリンダの後方に順
次配設されたＶ型エンジンでは、特に後傾シリンダの気
化器およびエアクエリーナ付近の空気は温度上昇しやす
く、単に走行風を導入するだけでは、十分に温度低下で
きずエンジン出力低下を防止できないという問題点を有
していた。

〔考案の目的〕

この考案は、走行によって受ける風をＶ型エンジンの
後傾シリンダ用のエアクリーナと気化器付近のそれぞれ
に独立して送り、エアクリーナに温風を吸入することが
なくかつ気化器を冷却できて、エンジン出力の低下を防
ぎ、しかも、安価にできる自動二輪車の導風装置を得る
ことを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、前記目的を達成するため、車体中央部に前
傾シリンダ1aと後傾シリンダ1bとからなるＶ型エンジン
１を搭載し、該Ｖ型エンジン１の前傾シリンダ1aおよび
後傾シリンダ1bにそれぞれ独立して燃料供給装置３およ
びエアクリーナ４を備えると共に、前記後傾シリンダ1b
用の燃料供給装置3bとエアクリーナ4bを後傾シリンダ1b
の後方に順次配設した自動二輪車において、車体前部に
一対の独立した冷却風導入口9aおよび9bを前方に向かっ
て開口し、該導入口の一方9aに前端10a1を連結しかつ後
端10a2をＶ型エンジン１の後傾シリンダ1b用のエアクリ
ーナ4bの吸入口11に連通する第１の導風パイプ10aと、
前記導入口の他方9bに前端10b1を連結しかつ後端10b2を
後傾シリンダ1b用の燃料供給装置3bに向けて開口した第
２の導風パイプ10bとを備えたことを特徴とする自動二
輪車の導風装置である。

〔実施例〕

以下、本考案を図面に示す実施例によって説明する。

第１図及び第２図は、本考案の一実施例を示すもので
ある。

実施例の自動二輪車においては、車体中央部に気筒が
前後にＶ型の前傾シリンダ1aと後傾シリンダ1bとからな
るＶ型エンジン１を搭載し、該Ｖ型エンジン１の前傾シ
リンダ1aおよび後傾シリンダ1bにそれぞれ独立して気化
器（燃料供給装置の例）３（3a,3b）およびエアクリー
ナ４（4a,4b）を備えると共に、前記後傾シリンダ1b用
の気化器3bとエアクリーナ4bを後傾シリンダ1bの後方に
順次配設している。

前輪６を懸架した前ホーク７の上部には、ヘッドラン
プ８を前方に向けて装着しており、このヘッドランプ８
の下部左右には、一対の独立した冷却風導入口9aおよび
9bを前方に向かって開口する。

そして、左右の導風パイプ10は、条件の悪い後側のエ
アクリーナ4bと気化器3bを選んでおり、可撓ホースとパ
イプで形成する。すなわち、第１の導風パイプ10aは、
前記導入口の一方9aに前端10a1を連結しかつ後端10a2を
Ｖ型エンジン１の後傾シリンダ1b用のエアクリーナ4bの
吸入口11に連通する。また、第２の導風パイプ10bは、
前記導入口の他方9bに前端10b1を連結しかつ後端10b2を
後傾シリンダ1b用の気化器3bに向けて開口する。

次に実施例の作用を説明する。

第１図および第２図の自動二輪車において、エンジン
１を運転すると、シリンダヘッド２付近は、エンジンの
発熱によって、雰囲気温度が高くなる。一方、自動二輪
車を走行させると、走行によって受ける風が、導入口9
a、9bに受入れられて、導風パイプ10a、10bを後傾シリ
ンダ1b用のエアクリーナ4b、気化器3bに向けて後方に流
れる。一方の第１の導風パイプ10aの風は、エアクリー
ナ4bの吸入口11に吸入されて、エンジン１の吸気に用い
られる。又、他方の第２の導風パイプ10bの風は、後端1
0b2から、気化器３に向けて吹出し、気化器3bの温度上
昇を防止する。

すなわち、一般のＶ型のエンジンにおいては、運転に
よって前傾シリンダ1aの発熱で周りの雰囲気温度が高く
なり、温度上昇した空気が後傾シリンダ1bに流れるの
で、後傾シリンダ1bの気化器3bおよびエアクリーナ4bの
周りの雰囲気温度は前傾シリンダ1aよりも高くなり、エ
ンジン１の出力の面で条件は悪い。そこで、実施例の自
動二輪車では、一方の第１の導風パイプ10aによりエア
クリーナ4b内に車体前方の温度の低い外気を導入し、ま
た、他方の第２の導風パイプ10bにより気化器3bに向け
て前記外気を当てて冷却する。したがって、エアクリー
ナ4bへは外気が直接導入されかつ気化器3bが冷却される
ので、前傾シリンダ1a付近から後方へ流れる高温雰囲気
温度に影響されることがなくなり、後傾シリンダ1bは、
吸気温上昇による出力低下を防止でき、エンジン全体と
しても出力低下を確実に防止できる。

また、導入口9a、9bは、ヘッドランプ８の両側下部左
右に一対取付けてあるので、車体前部を覆うカウリング
の着脱に関係なく、常時使用できる。そして、カウリン
グを外した場合でも、見苦しくない。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案では、エンジンが前傾シ
リンダと後傾シリンダとの組み合わせからるＶ型シリン
ダであって、該後傾シリンダの後方に順次、燃料供給装
置とエアクリーナとを配置し、第１の導風パイプの後端
は、後傾シリンダに繋がるエアクリーナの吸入口に連通
され、第２の導風パイプの後端は後傾シリンダの燃料供
給装置に向けて開口したものであるので、熱的に不利な
後傾シリンダの燃料供給装置およびエアクリーナに温度
上昇していない外気を十分に導入でき、吸気効率を確実
に向上させ得る。したがって、エンジン全体としての出
力低下を確実に防止できる。

また、本考案は、一対の独立した冷却風導入口は車体
前方に開口しており、それぞれに独立した導風パイプを
それぞれ連結するので、互いに影響し合うことなく、か
つ、風圧を減衰させることなく、スムーズに冷却風をエ
アクリーナと気化器に導入できる。したがって、エアク
リーナでは走行風の風圧で走行風過給ができ、充填効率
が高まると共に、燃料供給装置には、走行風が良く当た
り燃料供給装置の温度上昇を確実に防止できる等の効果
を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の一実施例を示し、第１図は
正面図、第２図は側面図である。 １…エンジン、1a…前傾シリンダ、1b…後傾シリンダ、
３、3a、3b…気化器、３、4a、4b…エアクリーナ、７…
前ホーク、８…ヘッドランプ、9a、9b…冷却風導入口、
10a、10b…第１、第２の導風パイプ、10a1、10a2…第１
の導風パイプの前端、後端、10b1、10b2…第２の導風パ
イプの前端、後端、11…後傾シリンダ用エアクリーナの
吸入口。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車体中央部に前傾シリンダ（1a）と後傾シ
   リンダ（1b）とからなるＶ型エンジン（１）を搭載し、
   該Ｖ型エンジン（１）の前傾シリンダ（1a）および後傾
   シリンダ（1b）にそれぞれ独立して燃料供給装置（３）
   およびエアクリーナ（４）を備えると共に、前記後傾シ
   リンダ（1b）用の燃料供給装置（3b）とエアクリーナ
   （4b）を後傾シリンダ（1b）の後方に順次配設した自動
   二輪車において、 車体前部に一対の独立した冷却風導入口（9aおよび9b）
   を前方に向かって開口し、該導入口の一方（9a）に前端
   （10a1）を連結しかつ後端（10a2）をＶ型エンジン
   （１）の後傾シリンダ（1b）用のエアクリーナ（4b）の
   吸入口（11）に連通する第１の導風パイプ（10a）と、
   前記導入口の他方（9b）に前端（10b1）を連結しかつ後
   端（10b2）を後傾シリンダ（1b）用の燃料供給装置（3
   b）に向けて開口した第２の導風パイプ（10b）とを備え
   たことを特徴とする自動二輪車の導風装置。