JP2522868B2 - 冷間圧延用粗面化ロ―ル - Google Patents
冷間圧延用粗面化ロ―ルInfo
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- JP2522868B2 JP2522868B2 JP3233078A JP23307891A JP2522868B2 JP 2522868 B2 JP2522868 B2 JP 2522868B2 JP 3233078 A JP3233078 A JP 3233078A JP 23307891 A JP23307891 A JP 23307891A JP 2522868 B2 JP2522868 B2 JP 2522868B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冷間圧延用粗面化ロー
ル、すなわち、ロール表面に、例えば、ある一定パルスでレ
ーザービームを照射することにより、溶融して成形され
るクレータの凹部と、その周囲を包囲する円環状の盛り
上がりの凸部とから成る凹凸部を、ある計画されたパタ
ーンで形成させた冷間圧延用ロールに関するものであ
る。
ル、すなわち、ロール表面に、例えば、ある一定パルスでレ
ーザービームを照射することにより、溶融して成形され
るクレータの凹部と、その周囲を包囲する円環状の盛り
上がりの凸部とから成る凹凸部を、ある計画されたパタ
ーンで形成させた冷間圧延用ロールに関するものであ
る。
【0002】この圧延ロールを使用して鋼板を圧延する
ことにより、鋼板の表面に、ロールの表面に形成された凹
凸部を転写して成る粗面化鋼板を製造することが出来る
ものである。
ことにより、鋼板の表面に、ロールの表面に形成された凹
凸部を転写して成る粗面化鋼板を製造することが出来る
ものである。
【0003】なお、以下には、この冷間圧延用ロールの表
面に溶融により形成される「クレータ」を「凹部」、「円環状
の盛り上がり」を「凸部」と呼び、また、両者を合わせて「凹
凸部」と呼ぶこととする。
面に溶融により形成される「クレータ」を「凹部」、「円環状
の盛り上がり」を「凸部」と呼び、また、両者を合わせて「凹
凸部」と呼ぶこととする。
【0004】このような粗面化鋼板を使用することによ
り、プレス成形の際に、鋼板の型かじり性や、鋼板と型と
の間のかじり性や、ロール表面との間の摩擦係数を低減
するこによりプレス成形性を良好にし、また、その凹凸部
は、塗装により平滑とすることにより、高鮮映性鋼板を得
ることが出来るものである。特に、最近の乗用自動車車体
用の外板においては、この要求のものが多くなって来て
いる。その外、家庭用電気製品の外板及び建築物用外装材
などや、アルニミウム製品への利用も、あるものである。
り、プレス成形の際に、鋼板の型かじり性や、鋼板と型と
の間のかじり性や、ロール表面との間の摩擦係数を低減
するこによりプレス成形性を良好にし、また、その凹凸部
は、塗装により平滑とすることにより、高鮮映性鋼板を得
ることが出来るものである。特に、最近の乗用自動車車体
用の外板においては、この要求のものが多くなって来て
いる。その外、家庭用電気製品の外板及び建築物用外装材
などや、アルニミウム製品への利用も、あるものである。
【0005】
【従来の技術】従来、この種の粗面化鋼板を製造するた
めの冷間圧延用粗面化ロールの製造方法としては、冷間
圧延用ロールの表面に、ショットブラスト及び放電加工
により凹凸を形成することが多く行われているが、ショ
ットブラストによる方法によっては、ロール表面に深い
深さの粗面を形成することが困難であり、また、放電加工
による方法によっては、微細なピッチ及び粗さを得るこ
とが困難であるという問題点がある。
めの冷間圧延用粗面化ロールの製造方法としては、冷間
圧延用ロールの表面に、ショットブラスト及び放電加工
により凹凸を形成することが多く行われているが、ショ
ットブラストによる方法によっては、ロール表面に深い
深さの粗面を形成することが困難であり、また、放電加工
による方法によっては、微細なピッチ及び粗さを得るこ
とが困難であるという問題点がある。
【0006】このために、このような問題点を解消する
ことを意図して、冷間圧延用ロールの表面をレーザービ
ームにより照射することが、実用化されつつある。このレ
ーザービームの照射によって得られる凹凸部は、設計さ
れたパターンで、しかも、凸部については、ある一定の盛
り上がりのある形状で、ある高さを有するものはあるが、
しかしながら、この凸部の硬度を、ロール素材の硬度に比
較して、著しく高くすることは、困難であった。
ことを意図して、冷間圧延用ロールの表面をレーザービ
ームにより照射することが、実用化されつつある。このレ
ーザービームの照射によって得られる凹凸部は、設計さ
れたパターンで、しかも、凸部については、ある一定の盛
り上がりのある形状で、ある高さを有するものはあるが、
しかしながら、この凸部の硬度を、ロール素材の硬度に比
較して、著しく高くすることは、困難であった。
【0007】冷間圧延用ロールは、一般的に、マルテンサ
イト変態により硬度の上昇を図っている。このマルテン
サイト変態は、オーステナイトを急冷することにより、あ
る温度 Ms点(マルテンサイト変態開始点) より以下の
温度で始まり、一般的に、温度が下がるにつれ変態量を増
し、ある温度 Mf点(マルテンサイト変態終了点) に達
すると、変態が終了する。従って、Ms点を高くすると、常
温においてマルテンサイト変態が終了することとなる。
イト変態により硬度の上昇を図っている。このマルテン
サイト変態は、オーステナイトを急冷することにより、あ
る温度 Ms点(マルテンサイト変態開始点) より以下の
温度で始まり、一般的に、温度が下がるにつれ変態量を増
し、ある温度 Mf点(マルテンサイト変態終了点) に達
すると、変態が終了する。従って、Ms点を高くすると、常
温においてマルテンサイト変態が終了することとなる。
【0008】このような事実に基づく冷間圧延用粗面化
ロールの製造方法として、例えば、特開昭63ー2019
1号公報には、溶融凝固時の Ms点 が 200℃ 以上
のロール素材を使用することにより、マルテンサイト変
態の終了を図るもの、特開昭63ー20192号公報に
は、粗面化後、サブゼロ処理を施し、更に、低温焼戻し処理
を施すもの、特開昭63ー20193号公報には、粗面化
後、サブゼロ処理を施し、その上に、表面硬化処理を施す
ことなどが、それぞれ、提案されている。
ロールの製造方法として、例えば、特開昭63ー2019
1号公報には、溶融凝固時の Ms点 が 200℃ 以上
のロール素材を使用することにより、マルテンサイト変
態の終了を図るもの、特開昭63ー20192号公報に
は、粗面化後、サブゼロ処理を施し、更に、低温焼戻し処理
を施すもの、特開昭63ー20193号公報には、粗面化
後、サブゼロ処理を施し、その上に、表面硬化処理を施す
ことなどが、それぞれ、提案されている。
【0009】しかしながら、これらの既に提案されてい
るものは、金属学的に見て極めて常識的なものであり、第
一の提案によるものにおけるように、Ms点 200℃
以上のロール素材となると、ロール素材の選択が制限さ
れ、また、この提案によるものは、抽象的な表現に過ぎな
いものであり、その実態を把握することは、極めて困難な
ところである。
るものは、金属学的に見て極めて常識的なものであり、第
一の提案によるものにおけるように、Ms点 200℃
以上のロール素材となると、ロール素材の選択が制限さ
れ、また、この提案によるものは、抽象的な表現に過ぎな
いものであり、その実態を把握することは、極めて困難な
ところである。
【0010】また、第二の提案によるものにおけるよう
に、レーザービームの照射後、サブゼロ処理を施し、更に、
低温焼き戻し処理すもの、あるいは、第三の提案によるも
のにおけるように、その上に、表面硬化処理を施すこと
は、レーザービーム照射ごとに、ロール研磨作業を必要と
するので、工数が増加し、生産価格の高騰につながること
となる。
に、レーザービームの照射後、サブゼロ処理を施し、更に、
低温焼き戻し処理すもの、あるいは、第三の提案によるも
のにおけるように、その上に、表面硬化処理を施すこと
は、レーザービーム照射ごとに、ロール研磨作業を必要と
するので、工数が増加し、生産価格の高騰につながること
となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、従
来、提案されているレーザービーム照射による方法にお
ける種々の問題点のあることに鑑がみ、これらの問題点
を解消し、優れた粗面化ロール特性を有しているロール
素材を、室温、あるいは、冷媒中においてレーザービー
ム照射することにより、ロール素材よりも著しく高い硬
度を有し、優れた耐摩耗性を発揮する凸部を有している
冷間圧延用粗面化ロールを得ることを、その課題とする
ものである。
来、提案されているレーザービーム照射による方法にお
ける種々の問題点のあることに鑑がみ、これらの問題点
を解消し、優れた粗面化ロール特性を有しているロール
素材を、室温、あるいは、冷媒中においてレーザービー
ム照射することにより、ロール素材よりも著しく高い硬
度を有し、優れた耐摩耗性を発揮する凸部を有している
冷間圧延用粗面化ロールを得ることを、その課題とする
ものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】 本発明は、この課題を解
決するために、レーザービーム照射により粗面化された
冷間圧延用粗面化ロールであって、該ロールが、重量%
で C 0.4 以上 0.9 未満 Si 2.0 未満 Mn 1.5 未満 Cr 1.5 以上 3.0 未満 Mo 2.5 以上 4.0 未満 から成り、残部Fe及び少量の不純物から成り立ってい
る冷間圧延粗面化ロールあるいはレーザービーム照射に
より粗面化された冷間圧延用粗面化ロールであって、該
ロールが、重量%で C 0.4 以上 0.9 未満 Si 2.0 未満 Mn 1.5 未満 Cr 1.5 以上 3.0 未満 Mo 2.5 以上 4.0 未満 から成り、 V 1.5 未満 Ni 1.0 未満 W 2.0 未満 Nb 1.0 未満 Ta 1.0 未満 Ti 1.0 未満 Al 1.0 未満 Co 2.0 未満 B 0.05 未満 の内少なくとも1種または2種以上を含有し、残部Fe
及び少量の不純物から成り立っている冷間圧延粗面化ロ
ールを特徴とするものである。本発明によるロール素材
のこれらの組成は、冷間圧延用粗面化ロールとして極め
て優れた耐磨耗性を有している凸部を具現するものであ
る。
決するために、レーザービーム照射により粗面化された
冷間圧延用粗面化ロールであって、該ロールが、重量%
で C 0.4 以上 0.9 未満 Si 2.0 未満 Mn 1.5 未満 Cr 1.5 以上 3.0 未満 Mo 2.5 以上 4.0 未満 から成り、残部Fe及び少量の不純物から成り立ってい
る冷間圧延粗面化ロールあるいはレーザービーム照射に
より粗面化された冷間圧延用粗面化ロールであって、該
ロールが、重量%で C 0.4 以上 0.9 未満 Si 2.0 未満 Mn 1.5 未満 Cr 1.5 以上 3.0 未満 Mo 2.5 以上 4.0 未満 から成り、 V 1.5 未満 Ni 1.0 未満 W 2.0 未満 Nb 1.0 未満 Ta 1.0 未満 Ti 1.0 未満 Al 1.0 未満 Co 2.0 未満 B 0.05 未満 の内少なくとも1種または2種以上を含有し、残部Fe
及び少量の不純物から成り立っている冷間圧延粗面化ロ
ールを特徴とするものである。本発明によるロール素材
のこれらの組成は、冷間圧延用粗面化ロールとして極め
て優れた耐磨耗性を有している凸部を具現するものであ
る。
【0013】この組成は、室温あるいは冷媒中における
レーザービーム照射により、凸部は、その急速溶融及び急
冷凝固の効果により、超微細な組織となり、その上、Ms
点 と、Mf点 との間の範囲が狭くされ、また、Mf点は、
0℃以近傍とすることが出来る。
レーザービーム照射により、凸部は、その急速溶融及び急
冷凝固の効果により、超微細な組織となり、その上、Ms
点 と、Mf点 との間の範囲が狭くされ、また、Mf点は、
0℃以近傍とすることが出来る。
【0014】このようにして、本発明による冷間圧延用
粗面化ロールは、超微細な組織の効果により、マルテン
サイト組織中に少量のオーステナイトが残留するもの
の、極めて高硬度である、例えばHv 1,000〜Hv
1,080に達する耐磨耗性のあるものとなっている。
さらに、凸部も、Mo並びにその他の元素の効果によ
り、高く盛り上がりのある滑らかな形状をしている。
粗面化ロールは、超微細な組織の効果により、マルテン
サイト組織中に少量のオーステナイトが残留するもの
の、極めて高硬度である、例えばHv 1,000〜Hv
1,080に達する耐磨耗性のあるものとなっている。
さらに、凸部も、Mo並びにその他の元素の効果によ
り、高く盛り上がりのある滑らかな形状をしている。
【0015】従って、本発明によると、レーザービーム照
射のままで、何らの後処理(例えば、サブゼロ処理)をも施
す必要は無く、高硬度で、優れた盛り上がりのある凸部を
有する耐摩耗性を有する冷間圧延用粗面化ロールを提供
することが出来るものである。
射のままで、何らの後処理(例えば、サブゼロ処理)をも施
す必要は無く、高硬度で、優れた盛り上がりのある凸部を
有する耐摩耗性を有する冷間圧延用粗面化ロールを提供
することが出来るものである。
【0016】
【実施例】以下、本発明をその実施例などに基づいて詳
細に説明をする。本発明によるロール素材は、上記のよう
な組成を有することを特徴とするものであるが、まず、本
発明によるロールにおいて、このような組成を選択した
理由を説明する。 C: マルテンサイト変態に最も必要な元素であり、Ms
点 に最も大きな影響を与えるものである。しかしなが
ら、この素材が、ロール本体への加工の際に受ける急速溶
解及び急速凝固と、Moの外に、W及びV,Nb,T
a,Tiの内の1種又は2種以上の元素の含有効果とに
より超微細な組織となり、Ms点 と、Mf点との間の範
囲は狭められ、Mf点 は、0℃以上となっている。 更に、C
は、凸部の肌を一様に滑らかにする効果があるが、その含
有量が多くなると、凸部の盛り上がり高さが、低くなり勝
ちである。 また、高硬度を得るためのマルテンサイト量を保持する
には、0.4% を必要とするが、0.9% を越えると、
残留オーステナイトが増量するために硬度が低下する傾
向が生ずる。 従って、Cは、0.4% 以上 0.9% 未満の範囲に
限定する。
細に説明をする。本発明によるロール素材は、上記のよう
な組成を有することを特徴とするものであるが、まず、本
発明によるロールにおいて、このような組成を選択した
理由を説明する。 C: マルテンサイト変態に最も必要な元素であり、Ms
点 に最も大きな影響を与えるものである。しかしなが
ら、この素材が、ロール本体への加工の際に受ける急速溶
解及び急速凝固と、Moの外に、W及びV,Nb,T
a,Tiの内の1種又は2種以上の元素の含有効果とに
より超微細な組織となり、Ms点 と、Mf点との間の範
囲は狭められ、Mf点 は、0℃以上となっている。 更に、C
は、凸部の肌を一様に滑らかにする効果があるが、その含
有量が多くなると、凸部の盛り上がり高さが、低くなり勝
ちである。 また、高硬度を得るためのマルテンサイト量を保持する
には、0.4% を必要とするが、0.9% を越えると、
残留オーステナイトが増量するために硬度が低下する傾
向が生ずる。 従って、Cは、0.4% 以上 0.9% 未満の範囲に
限定する。
【0017】Si: ロール素材のマトリックスに固溶し
てレーザービーム照射時の脱酸剤として働き、凸部に固
溶し、その強度を保持する働きがあるが、逆に、凸部の形
状の盛り上がりを低くすると共にぜい化の傾向が出る。
これらは、1.5% を越えると、その傾向が現れ、2.5
% を越えると、完全に現れる。従って、Siは.2.0%
未満 に限定する。
てレーザービーム照射時の脱酸剤として働き、凸部に固
溶し、その強度を保持する働きがあるが、逆に、凸部の形
状の盛り上がりを低くすると共にぜい化の傾向が出る。
これらは、1.5% を越えると、その傾向が現れ、2.5
% を越えると、完全に現れる。従って、Siは.2.0%
未満 に限定する。
【0018】Mn: 凸部のマトリックスのじん性の向上
に有効なものであり、その効果は、0.3% を越えると
現れるようになるが、その含有量が増加するにつれ、残留
オーステナイトが増え、硬度の低下を招き、また、1.5
% を越えると、かえって、ぜい化する傾向が生じ、更に、
ロール本体の焼き戻し後のじん性に悪影響を及ぼすよう
になる。従って、Mnは、1.5% 未満 に限定する。
に有効なものであり、その効果は、0.3% を越えると
現れるようになるが、その含有量が増加するにつれ、残留
オーステナイトが増え、硬度の低下を招き、また、1.5
% を越えると、かえって、ぜい化する傾向が生じ、更に、
ロール本体の焼き戻し後のじん性に悪影響を及ぼすよう
になる。従って、Mnは、1.5% 未満 に限定する。
【0019】Cr:Crは炭化物を作り、ロール素材そ
のものの硬さを出すのに有効な元素ではあるが、凸部に
ついては、急速溶解及び急速凝固の効果により、ほとん
どマトリックス中に固溶し、マルテンサイト変態に寄与
する。本訴性のMoとの共存の効果により、2.5%近
傍において最高の硬度が得られ、1.5%以下である
と、マルテンサイト変態量の不足により充分な硬度が得
られず、また、3.0%を越えると、ぜい化する。従っ
て、Crは、1.5%以上3.0%未満に限定する。
のものの硬さを出すのに有効な元素ではあるが、凸部に
ついては、急速溶解及び急速凝固の効果により、ほとん
どマトリックス中に固溶し、マルテンサイト変態に寄与
する。本訴性のMoとの共存の効果により、2.5%近
傍において最高の硬度が得られ、1.5%以下である
と、マルテンサイト変態量の不足により充分な硬度が得
られず、また、3.0%を越えると、ぜい化する。従っ
て、Crは、1.5%以上3.0%未満に限定する。
【0020】Mo: Moは、本組成の主役を演ずるもの
であり、凸部の形成時の急速溶解及び急速凝固の効果に
より、マトリックス中に固溶し、極めて超微細な組織とし
てマルテンサイト変態に寄与すると共にMs点 と、Mf
点 との間の範囲を狭め、Mf点 を0℃近傍にする。更
に、凸部を高く盛り上げるために極めて有効な働きをす
る。これは、固液共存範囲を広げ、粘性を高め、表面張力を
大きくするためであるものと考えられる。しかしながら
2.5% 以下では、これらの効果は薄く、4.0%以上
では、充分な硬度が得られない。従って、Moは、2.5%
以上 4.0%未満に限定する。
であり、凸部の形成時の急速溶解及び急速凝固の効果に
より、マトリックス中に固溶し、極めて超微細な組織とし
てマルテンサイト変態に寄与すると共にMs点 と、Mf
点 との間の範囲を狭め、Mf点 を0℃近傍にする。更
に、凸部を高く盛り上げるために極めて有効な働きをす
る。これは、固液共存範囲を広げ、粘性を高め、表面張力を
大きくするためであるものと考えられる。しかしながら
2.5% 以下では、これらの効果は薄く、4.0%以上
では、充分な硬度が得られない。従って、Moは、2.5%
以上 4.0%未満に限定する。
【0021】V: マトリックス中に固溶して超微細化に
寄与するが、Moと共存することにより、Ms点 と Mf
点 との間の範囲を狭め、Mf点 を 0℃近傍とする。ま
た、0.5% 以下では、これらの効果が薄い。しかしな
がら、W及びNb、Ta、Tiなどとの複合添加では、
効果が得られる。従って、Vは、1.5%未満に限定す
る。
寄与するが、Moと共存することにより、Ms点 と Mf
点 との間の範囲を狭め、Mf点 を 0℃近傍とする。ま
た、0.5% 以下では、これらの効果が薄い。しかしな
がら、W及びNb、Ta、Tiなどとの複合添加では、
効果が得られる。従って、Vは、1.5%未満に限定す
る。
【0022】Ni: Niは、ロール本体の焼き入れに有
効であるが、凸部に対しては、0.5%を越えると、残留
オーステナイトが少しづつ増え、1.0%を越えると、硬
さの低下が著しくなる。そこで、Niは、1.0%未満に
限定する。
効であるが、凸部に対しては、0.5%を越えると、残留
オーステナイトが少しづつ増え、1.0%を越えると、硬
さの低下が著しくなる。そこで、Niは、1.0%未満に
限定する。
【0023】W: Wは、凸部の急速溶解及び急速凝固の
効果により、マトリックス中に固溶し、超微細な組織とし
てのマルテンサイト変態に寄与する。逆に、凸部の盛り
上がりを少なくする。1.0%以下で効果が現れ始める
が、2.0% を越えると、硬度の低下がある。従って、W
は、2.0% 未満に限定する。
効果により、マトリックス中に固溶し、超微細な組織とし
てのマルテンサイト変態に寄与する。逆に、凸部の盛り
上がりを少なくする。1.0%以下で効果が現れ始める
が、2.0% を越えると、硬度の低下がある。従って、W
は、2.0% 未満に限定する。
【0024】Ti:Tiは,Vの代役としてその一部又
は全部と置き換えることによりMoと共存することによ
り、凸部の微細化に寄与し、Ms点とMf点との間の範
囲を狭め、、Mf点を上げる効果がある。この効果は、
0.3%以下では薄いが、しかしながら、Nb,Ta,
Tiなどとの複合添加により効果が得られる。従って、
Tiは、1.0%未満に限定する。
は全部と置き換えることによりMoと共存することによ
り、凸部の微細化に寄与し、Ms点とMf点との間の範
囲を狭め、、Mf点を上げる効果がある。この効果は、
0.3%以下では薄いが、しかしながら、Nb,Ta,
Tiなどとの複合添加により効果が得られる。従って、
Tiは、1.0%未満に限定する。
【0025】Al:この元素は、ロール素材のマトリッ
クスに固溶し、レーザービーム照射時の脱酸剤として働
き、凸部の形状の盛り上がりを保持する働きがあり、ま
た、結晶粒の微細化に寄与する。しかしながら、1.0
%を越えると、ぜい化の傾向がある。従って、Alは、
1.0%未満に限定する。
クスに固溶し、レーザービーム照射時の脱酸剤として働
き、凸部の形状の盛り上がりを保持する働きがあり、ま
た、結晶粒の微細化に寄与する。しかしながら、1.0
%を越えると、ぜい化の傾向がある。従って、Alは、
1.0%未満に限定する。
【0026】CO: この元素は、凸部表層の微細クラ
ック発生の防止に極めて有効である。特に、低温の水、
若しくは、その他の冷媒により冷却しながらレーザーダ
ル加工を行う場合に効果がある。また、Ms点を上昇さ
せる利点がある一方、焼入性を低下させるが、1.0%
以下であれば、この影響はわずかであり、1.0%を越
えると、徐々に現れ始め、2.0%を越えると、著しく
なる。従って、Coは、2%以下に限定する。
ック発生の防止に極めて有効である。特に、低温の水、
若しくは、その他の冷媒により冷却しながらレーザーダ
ル加工を行う場合に効果がある。また、Ms点を上昇さ
せる利点がある一方、焼入性を低下させるが、1.0%
以下であれば、この影響はわずかであり、1.0%を越
えると、徐々に現れ始め、2.0%を越えると、著しく
なる。従って、Coは、2%以下に限定する。
【0027】B:Bは、Vと共存することにより凸部の
結晶粒の微細化と、焼入性とに寄与し、耐摩耗性を向上
させる。この効果は、0.001〜0.03%の含有に
より現れる。なお、この耐摩耗性は、特に、低温の水、
若しくは、その他の冷媒により冷却しながらレーザーダ
ル加工を行う場合に、顕著に現れるものと考えられる。
しかしながら、0.05%を越えると、耐摩耗性の劣化
を招く。従って、Bは、0.05%未満に限定する。
結晶粒の微細化と、焼入性とに寄与し、耐摩耗性を向上
させる。この効果は、0.001〜0.03%の含有に
より現れる。なお、この耐摩耗性は、特に、低温の水、
若しくは、その他の冷媒により冷却しながらレーザーダ
ル加工を行う場合に、顕著に現れるものと考えられる。
しかしながら、0.05%を越えると、耐摩耗性の劣化
を招く。従って、Bは、0.05%未満に限定する。
【0028】Nb,Ta: これらの元素は、V の代役と
して、その一部、又は、全部を置き換えることにより、M
o と共存することにより、凸部の微細化に寄与し、Ms
点と、Mf点 との間の範囲を狭め、Mf点 を上げる効果
がある。この効果は、0.3%以下ではVとの共存により
現れるが、1.0% 以上となると、ぜい化の傾向が生ず
る。従って、これらの元素Nb,Taは、いずれも、1.0
% 未満に限定する。
して、その一部、又は、全部を置き換えることにより、M
o と共存することにより、凸部の微細化に寄与し、Ms
点と、Mf点 との間の範囲を狭め、Mf点 を上げる効果
がある。この効果は、0.3%以下ではVとの共存により
現れるが、1.0% 以上となると、ぜい化の傾向が生ず
る。従って、これらの元素Nb,Taは、いずれも、1.0
% 未満に限定する。
【0029】以上には、本発明における各元素の選定理
由及びそれらの含有範囲の限定理由について説明をした
が、以下には、本発明の実施例について説明をする。実施例 表1に示すように、本発明による限定組成を有する供試
材 I1〜I14 を14チャージ及び本発明による比較材
として限定範囲外の組成を有する第2表に示す比較材及
び従来材の供試材 C1〜C11を11チャージ、それぞ
れ、減圧高周波溶解炉により溶解処理し、得られた鋼塊を
1,050〜1,150℃ の温度において鍛造し、所定
の鍛造比を与え、その後、900℃ に加熱・徐冷するノル
マライジング処理を行った。これを球状化処理した後、所
定の寸法直径80mm×長さ50mmに機械加工を行っ
た。その後、各供試材に適した焼入・焼戻処理を行い、直径
80mmの円筒面を、Ra 0.2〜0.3μm に研磨
仕上げし、供試材とした。
由及びそれらの含有範囲の限定理由について説明をした
が、以下には、本発明の実施例について説明をする。実施例 表1に示すように、本発明による限定組成を有する供試
材 I1〜I14 を14チャージ及び本発明による比較材
として限定範囲外の組成を有する第2表に示す比較材及
び従来材の供試材 C1〜C11を11チャージ、それぞ
れ、減圧高周波溶解炉により溶解処理し、得られた鋼塊を
1,050〜1,150℃ の温度において鍛造し、所定
の鍛造比を与え、その後、900℃ に加熱・徐冷するノル
マライジング処理を行った。これを球状化処理した後、所
定の寸法直径80mm×長さ50mmに機械加工を行っ
た。その後、各供試材に適した焼入・焼戻処理を行い、直径
80mmの円筒面を、Ra 0.2〜0.3μm に研磨
仕上げし、供試材とした。
【0030】
【表1】
【0031】このように処理をした供試材に、下記の加
工条件によりレーザービーム照射加工を施し、凸部を作
成し、そのままの状態において特性判定評価を行った。 記 室 温 18℃ レーザー発信器 Qsw YAG レーザー(定格出力300W) レーザー周波数 10kHz パルス幅 500 nsec レンズ焦点距離 50mm
工条件によりレーザービーム照射加工を施し、凸部を作
成し、そのままの状態において特性判定評価を行った。 記 室 温 18℃ レーザー発信器 Qsw YAG レーザー(定格出力300W) レーザー周波数 10kHz パルス幅 500 nsec レンズ焦点距離 50mm
【0032】なお、本実験に使用したレーザー照射加工
装置を略図により示すと、添付図面のとおりである。 図において、各参照数字は、それぞれ、次ぎのものを示し
ている。 1 レーザー発信器 2 ミラー 3 集光レンズ 4 供試材 である。
装置を略図により示すと、添付図面のとおりである。 図において、各参照数字は、それぞれ、次ぎのものを示し
ている。 1 レーザー発信器 2 ミラー 3 集光レンズ 4 供試材 である。
【0033】また、供試材4の円筒表面に、ある設計され
た凸部パターンを得るために、供試材4を一定回転数N
により回転すると共にレーザービームを供試材4の円筒
表面に対して平行に、ある一定の速度で移動させること
により、スパイラル状に照射した。
た凸部パターンを得るために、供試材4を一定回転数N
により回転すると共にレーザービームを供試材4の円筒
表面に対して平行に、ある一定の速度で移動させること
により、スパイラル状に照射した。
【0034】この供試材4の円筒表面に形成された凸部
の特性の判定のためには、残留オーステナイト、形状、耐
摩耗性、硬度及びロール本体の硬度を採用した。 残留オーステナイトについては、X線回析装置により判
定し、無し、極少量、少量、適量の4段階で評価した。 形状については、凸部の円環状の盛り上がりの幅が厚く、
高さが高く、しかも、滑らかな表面であるか否かで判定
し、これらの条件を満足しているものから、◎、〇、▽,×
の順により4段階で評価した。 耐摩耗性については、転動摩耗試験機を使用し、次ぎの試
験条件の下に試験を行った。 荷重 70 kgf 接触圧力 30 kgf/mm2 回転速度 300 rpm 滑り率 44% 潤滑材 水 その評価については、最も優れているものから、◎、〇、
△、×の順で4段階で評価した。 硬度については、凸面は、直接その面を、本体は、レーザー
ビーム照射前の供試材4の円筒面をマイクロビッカース
で測定した。 試験結果が、表1及び2に示されている。
の特性の判定のためには、残留オーステナイト、形状、耐
摩耗性、硬度及びロール本体の硬度を採用した。 残留オーステナイトについては、X線回析装置により判
定し、無し、極少量、少量、適量の4段階で評価した。 形状については、凸部の円環状の盛り上がりの幅が厚く、
高さが高く、しかも、滑らかな表面であるか否かで判定
し、これらの条件を満足しているものから、◎、〇、▽,×
の順により4段階で評価した。 耐摩耗性については、転動摩耗試験機を使用し、次ぎの試
験条件の下に試験を行った。 荷重 70 kgf 接触圧力 30 kgf/mm2 回転速度 300 rpm 滑り率 44% 潤滑材 水 その評価については、最も優れているものから、◎、〇、
△、×の順で4段階で評価した。 硬度については、凸面は、直接その面を、本体は、レーザー
ビーム照射前の供試材4の円筒面をマイクロビッカース
で測定した。 試験結果が、表1及び2に示されている。
【0035】
【表2】
【0036】次に、試験結果について検討をする。 表Iの本発明材については、Iー1 からIー14までの全
鋼番について残留オーステナイトが極く少量存在する
が、硬度については、凸部の方がロール本体よりも、はる
かに高く、耐摩耗性も極めて優れていることが分かる。
また、その値も、凸部がHv1,000〜Hv1,08
0、平均Hv1,031であり,ロール本体はHv79
0〜Hv830、平均Hv809であり、その差はHv2
22である。これらの中で、特性の優れているもの、Iー
2,3,4,5,7,8,9,11及び12との比較に
おいて、Iー1,6,10,13及び14は、多少劣るが、
使用には耐えるものである。 Iー1は、Si量が多いために形状について、やや盛り上
がりに欠けると共にややぜい化しているために、多少耐
摩耗生を悪くしている。 I−6は、Niが上限値に極めて近いために、多少硬度
が低く、耐摩耗性に欠けている。 Iー10は、Coが上限値に近いために、耐摩耗性を多少
悪くしている。
鋼番について残留オーステナイトが極く少量存在する
が、硬度については、凸部の方がロール本体よりも、はる
かに高く、耐摩耗性も極めて優れていることが分かる。
また、その値も、凸部がHv1,000〜Hv1,08
0、平均Hv1,031であり,ロール本体はHv79
0〜Hv830、平均Hv809であり、その差はHv2
22である。これらの中で、特性の優れているもの、Iー
2,3,4,5,7,8,9,11及び12との比較に
おいて、Iー1,6,10,13及び14は、多少劣るが、
使用には耐えるものである。 Iー1は、Si量が多いために形状について、やや盛り上
がりに欠けると共にややぜい化しているために、多少耐
摩耗生を悪くしている。 I−6は、Niが上限値に極めて近いために、多少硬度
が低く、耐摩耗性に欠けている。 Iー10は、Coが上限値に近いために、耐摩耗性を多少
悪くしている。
【0037】I−13及び14は、V、W、Ti、Nb
などの微細化に寄与する元素が添加されていないため
に、多少、耐摩耗性に欠ける。
などの微細化に寄与する元素が添加されていないため
に、多少、耐摩耗性に欠ける。
【0038】次に、表2の比較材と、従来材との比較にお
いては、比較材 C1〜C8 までの8チャージと、従来材
の3チャージは、本発明材よりも、はるかに劣っている。
硬度は、凸部は、Hv770〜Hv950、平均Hv83
1であり、ロール本体は、Hv760〜Hv830、平均
でHv783、その差は、Hv48である。 このように、比較材は、本発明材に比較して、特性におい
て、はるかに劣ることが分かるところである。
いては、比較材 C1〜C8 までの8チャージと、従来材
の3チャージは、本発明材よりも、はるかに劣っている。
硬度は、凸部は、Hv770〜Hv950、平均Hv83
1であり、ロール本体は、Hv760〜Hv830、平均
でHv783、その差は、Hv48である。 このように、比較材は、本発明材に比較して、特性におい
て、はるかに劣ることが分かるところである。
【0039】今、ここで、各比較材の特性の劣る理由を検
討すると、次ぎのようになる。 C−1: Cが少ないために、マルテンサイト変態量が少な
く、そのため Hv硬度が低く、耐摩耗性に劣る。 C−2: Cが多いために残留オーステナイトが適量存在
し、そのため Hv硬度が低く、耐摩耗性に劣る。形状も盛
り上がらず、散らし模様状となっている。 C−3: Siが多いために、ぜい化し、硬度も低く、耐摩
耗性に極めて欠ける。形状も盛り上がらず、散らし模様で
ある。 C−4: Mnが多いためにぜい化し、硬度も低く、耐摩耗
性に極めて欠けている。 C−5: Crが少ないために、マルテンサイト変態量が少な
く、そのために硬度が低く、耐摩耗性に劣っている。 C−6: Crが多いために、ぜい化し、硬度も低く、耐摩
耗性にも極めて欠けている。 C−7: Mo が少ないために、本発明のMoとVとの共存
の効果は得られず、硬度も低く、耐摩耗性に欠けている。
また、形状も、盛り上がりに欠けている。 C−8: Mo が多く、ぜい化し、硬度も低くく、耐摩耗
性に欠けている。 C−9: V が少ないために、本発明による Mo と V
との共存の効果が得られず、硬度も低くく、耐摩耗性に欠
けている。 C−10: V が多いために、ぜい化し、硬度も低く、耐摩
耗性に欠けている。
討すると、次ぎのようになる。 C−1: Cが少ないために、マルテンサイト変態量が少な
く、そのため Hv硬度が低く、耐摩耗性に劣る。 C−2: Cが多いために残留オーステナイトが適量存在
し、そのため Hv硬度が低く、耐摩耗性に劣る。形状も盛
り上がらず、散らし模様状となっている。 C−3: Siが多いために、ぜい化し、硬度も低く、耐摩
耗性に極めて欠ける。形状も盛り上がらず、散らし模様で
ある。 C−4: Mnが多いためにぜい化し、硬度も低く、耐摩耗
性に極めて欠けている。 C−5: Crが少ないために、マルテンサイト変態量が少な
く、そのために硬度が低く、耐摩耗性に劣っている。 C−6: Crが多いために、ぜい化し、硬度も低く、耐摩
耗性にも極めて欠けている。 C−7: Mo が少ないために、本発明のMoとVとの共存
の効果は得られず、硬度も低く、耐摩耗性に欠けている。
また、形状も、盛り上がりに欠けている。 C−8: Mo が多く、ぜい化し、硬度も低くく、耐摩耗
性に欠けている。 C−9: V が少ないために、本発明による Mo と V
との共存の効果が得られず、硬度も低くく、耐摩耗性に欠
けている。 C−10: V が多いために、ぜい化し、硬度も低く、耐摩
耗性に欠けている。
【0040】従来材については、C-11及びC-12は、一般に
使用されているロール材であり、また、C−13は、特開
昭63ー20191号公報に開示されている類似の組成
のものである。 C−11: 残留オーステナイトが適量存在し、硬度が低
く、耐摩耗性に極めて欠けている。また、形状も盛り上が
らず、散らし模様である。 C−12: 残留オーステナイトが適量存在し、硬度が低
く、耐摩耗性に極めて欠けている。形状も多少盛り上がり
に欠けている。 C−13: 残留オーステナイトは皆無であるが、硬度が低
く、耐摩耗性に劣っている。
使用されているロール材であり、また、C−13は、特開
昭63ー20191号公報に開示されている類似の組成
のものである。 C−11: 残留オーステナイトが適量存在し、硬度が低
く、耐摩耗性に極めて欠けている。また、形状も盛り上が
らず、散らし模様である。 C−12: 残留オーステナイトが適量存在し、硬度が低
く、耐摩耗性に極めて欠けている。形状も多少盛り上がり
に欠けている。 C−13: 残留オーステナイトは皆無であるが、硬度が低
く、耐摩耗性に劣っている。
【0041】
【発明の効果】本発明による冷間圧延用粗面化ロール
は、上記のような組成から成り立つことを特徴とするも
のであるが、この組成は、MoとW並びに V、Nb,T
a、Tiの内の1種又は2種以上との共存の効果による
超微細な組成と、Ms点 と Mf点との間の範囲が狭め
られ、Mf点 が 0℃ 近傍になっている効果により、室
温、又は、冷媒中においてロール表面にレーザービーム
照射による粗面加工を施すと、凸部について、極めて優れ
た盛り上がり形状のものが得られ、その硬度も残留オー
ステナイトが存在するものの、何んら後処理(例えば、サ
ブゼロ処理など)をすること無く、ロール本体よりも著し
く高く、耐摩耗性の優れた冷間圧延用粗面化ロール材を
提供するものである。特に、最良のものにおいては、 Hv
1、100 を越える硬度を有している。 また、従来材については、マルテンサイト変態を完了させ
るためにサブゼロ処理と、更に、低温焼き戻しを施すこと
がなされているが、本発明ロールにおいては、その必要が
無く、工数の削減、製造原価の低減を図ることが可能であ
る。なお、従来材においては、そのような処理が、ロールの
組み替えごとに必要とされるのに対し、本発明によるロ
ールにおいては、そのような必要が無いので、この点にお
いても、本発明によるロールが、従来材に比べ、極めて大
きな経済的効果を有しているものであることは、明らか
なところである。
は、上記のような組成から成り立つことを特徴とするも
のであるが、この組成は、MoとW並びに V、Nb,T
a、Tiの内の1種又は2種以上との共存の効果による
超微細な組成と、Ms点 と Mf点との間の範囲が狭め
られ、Mf点 が 0℃ 近傍になっている効果により、室
温、又は、冷媒中においてロール表面にレーザービーム
照射による粗面加工を施すと、凸部について、極めて優れ
た盛り上がり形状のものが得られ、その硬度も残留オー
ステナイトが存在するものの、何んら後処理(例えば、サ
ブゼロ処理など)をすること無く、ロール本体よりも著し
く高く、耐摩耗性の優れた冷間圧延用粗面化ロール材を
提供するものである。特に、最良のものにおいては、 Hv
1、100 を越える硬度を有している。 また、従来材については、マルテンサイト変態を完了させ
るためにサブゼロ処理と、更に、低温焼き戻しを施すこと
がなされているが、本発明ロールにおいては、その必要が
無く、工数の削減、製造原価の低減を図ることが可能であ
る。なお、従来材においては、そのような処理が、ロールの
組み替えごとに必要とされるのに対し、本発明によるロ
ールにおいては、そのような必要が無いので、この点にお
いても、本発明によるロールが、従来材に比べ、極めて大
きな経済的効果を有しているものであることは、明らか
なところである。
【図1】本発明によるロールと、従来材によるロールと
の比較試験の実施のために使用されたレーザービーム照
射加工装置を示す略図である。
の比較試験の実施のために使用されたレーザービーム照
射加工装置を示す略図である。
1 レーザー発信器 2 ミラー 3 集光レンズ 4 供試材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 塩沢 修一 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株 式會社 君津製鐵所内 (72)発明者 井上 剛 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株 式會社 技術開発本部内 (72)発明者 坂下 修一 栃木県宇都宮市平出工業団地1番地 三 菱製鋼株式会社 宇都宮製作所内 (72)発明者 竹原 石根 栃木県宇都宮市平出工業団地1番地 三 菱製鋼株式会社 宇都宮製作所内 (72)発明者 田中 希親 栃木県宇都宮市平出工業団地1番地 三 菱製鋼株式会社 宇都宮製作所内 (72)発明者 原 良雄 栃木県宇都宮市平出工業団地1番地 三 菱製鋼株式会社 宇都宮製作所内 (56)参考文献 特開 平2−185928(JP,A) 特開 昭59−1678(JP,A) 特開 昭63−20191(JP,A) 特開 昭63−20193(JP,A) 特公 昭47−49963(JP,B1)
Claims (2)
- 【請求項1】 レーザービーム照射により粗面化された
冷間圧延用粗面化ロールであって、該ロールが、重量%
で C 0.4 以上 0.9 未満 Si 2.0 未満 Mn 1.5 未満 Cr 1.5 以上 3.0 未満 Mo 2.5 以上 4.0 未満 から成り、残部Fe及び少量の不純物から成り立ってい
ることを特徴とする冷間圧延用粗面化ロール。 - 【請求項2】 レーザービーム照射により粗面化された
冷間圧延用粗面化ロールであって、該ロールが、重量%
で C 0.4 以上 0.9 未満 Si 2.0 未満 Mn 1.5 未満 Cr 1.5 以上 3.0 未満 Mo 2.5 以上 4.0 未満 から成り、 V 1.5 未満 Ni 1.0 未満 W 2.0 未満 Nb 1.0 未満 Ta 1.0 未満 Ti 1.0 未満 Al 1.0 未満 Co 2.0 未満 B 0.05 未満 の内少なくとも1種または2種以上を含有し、残部Fe
及び少量の不純物から成り立っていることを特徴とする
冷間圧延用粗面化ロール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3233078A JP2522868B2 (ja) | 1991-09-12 | 1991-09-12 | 冷間圧延用粗面化ロ―ル |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3233078A JP2522868B2 (ja) | 1991-09-12 | 1991-09-12 | 冷間圧延用粗面化ロ―ル |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0570882A JPH0570882A (ja) | 1993-03-23 |
JP2522868B2 true JP2522868B2 (ja) | 1996-08-07 |
Family
ID=16949459
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3233078A Expired - Lifetime JP2522868B2 (ja) | 1991-09-12 | 1991-09-12 | 冷間圧延用粗面化ロ―ル |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2522868B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE4321433C1 (de) * | 1993-06-28 | 1994-12-08 | Thyssen Stahl Ag | Verwendung eines Warmarbeitsstahls |
CN103757547B (zh) * | 2013-12-19 | 2016-03-30 | 安徽伟迈信息技术有限公司 | 一种复合轧辊辊环用铸钢材料及其制备方法 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS591678A (ja) * | 1982-06-29 | 1984-01-07 | Nippon Steel Corp | 複合熱間工具鋼の製造法 |
JPH02185928A (ja) * | 1989-01-11 | 1990-07-20 | Hitachi Ltd | 金属圧延機用作業ロールの製造法 |
-
1991
- 1991-09-12 JP JP3233078A patent/JP2522868B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0570882A (ja) | 1993-03-23 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 19960319 |