JP2522771B2 - 排気還流装置の故障診断装置 - Google Patents

排気還流装置の故障診断装置

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、自動車用エンジン等における排気還流装
置が正常に作動しているか否かを排気環流通路の温度に
よつて診断する故障診断装置に関する。
従来の技術 自動車用エンジンの排気還流装置が故障していると、
正常な排気浄化が行えないのは勿論であるが、この種の
故障は一般に運転者が気付きにくく、故障したまま長期
に亘つて運転を継続してしまう虞れがある。
そこで、特開昭51−94025号公報などに見られるよう
に、排気還流便を備えた排気還流通路にサーミスタ等の
温度センサを設け、排気の通流に伴う温度の上昇の有無
から排気還流装置の故障を診断する装置が種々提案され
ている。すなわち、本来排気の還流が行われているべき
運転領域で、実際に排気が還流しているか否かを温度に
基づき判断し、排気の還流が検出されない場合には故障
と診断して運転者に何らかの警告を発するのである。
尚、上記の診断を行う診断領域は、例えば電子制御燃料
噴射式機関では、燃料噴射パルス幅とりわけ基本パルス
幅Tp(吸入空気量とエンジン回転数から求まる)エンジ
ン回転数とを用いて、排気還流域に包含される範囲に設
定される。
発明が解決しようとする問題点 しかし、上記のような温度センサを用いて排気還流通
路の温度を検出する場合に、機関が冷機状態にあると、
排気還流通路の壁面や温度センサ取付部周辺の温度が低
く、これらに熱を奪われる結果、正確な温度測定が行え
ない。第4図は一例として、外気温が比較的低い条件下
で、排気の還流を開始した際の検出温度の変化を示した
もので、実線(イ)は例えば熱電対を用いて排気還流通
路中央部で測定した実際の排気ガス温度、一点鎖線
(ロ)は暖機状態における温度センサの検出温度、二点
鎖線(ハ)は冷機状態における温度センサの検出温度を
夫々示している。尚、温度センサはサーミスタを用いた
もので、排気還流通路壁面に装着してある。この図から
明らかなように、温度センサの検出温度は外部からの冷
却作用などによつて実際の排気ガス温度よりも低くな
り、特に冷機状態では大幅に低下する。従つて、排気が
還流しているにも拘らず、検出温度が判定温度(第4図
の(ニ))を下廻つてしまうことがあり、この結果、誤
診断を生じる虞れがある。
問題点を解決するための手段 この発明は、上記の問題点を解決するために、エンジ
ンの暖機完了を検出する手段を設け、その暖機完了まで
上記診断を禁止するとともに、始動時の初期温度状態を
検出する手段を設け、この始動時温度が所定温度以下の
場合には暖機完了後も上記診断を行わないようにしたこ
とを特徴とする。
作用 暖機完了は、例えば冷却水温やエンジンルーム内の雰
囲気温度あるいは始動後の経過時間などによって検出さ
れる。始動後、その暖機完了までの間は診断が行われな
い。また始動の際の初期温度(例えば冷却水温、吸気温
等)が始動時温度として読み込まれ、この始動時温度が
極端に低い場合、つまり所定温度以下の場合には、暖機
完了後にも診断は行われない。
実施例 第1図はこの発明の一実施例を示す構成説明図であつ
て、1がエンジン本体、2が吸気通路、3が排気通路、
4がこの排気通路3から上記吸気通路2へ排気の一部を
導く排気還流通路、5がこの排気還流通路4に介装され
たダイヤフラム式負圧弁からなる排気還流弁を示してい
る。上記排気還流弁5は、絞弁6下流の吸入負圧を負圧
源とし、その負圧が図外の制御機構を介して作用するこ
とによつて開閉制御されるもので、これらによつて排気
還流装置が構成されている。そして、上記排気還流通路
4には、温度検出手段として例えばサーミスタを用いた
温度センサ7が装着されている。この温度センサ7は、
第2図に詳示するように、検出部7aが排気還流通路4内
に突出した状態で排気還流通路4壁面に螺着しており、
この温度センサに隣接して温水通路8が形成されてい
る。この温水通路8には、エンジン本体1のウオータジ
ヤケツト1aで暖められた冷却水が導かれている。
上記吸気通路2には、燃料噴射弁9が配設されている
とともに、吸入空気量を検出する例えば熱線式エアフロ
ーメータ10が配設されている。また上記ウオータジヤケ
ツト1aには、暖機完了検出手段として水温センサ11が装
着されている。尚、12は、エンジン回転数を検出するた
めに設けられた所定クランク角毎にパルス信号を発する
クランク角センサである。
制御回路13は、所謂マイクロコンピュータシステムを
用いたもので、燃料噴射弁9の噴射量制御等を集中的に
行っているとともに、温度センサ7の検出信号に基づい
て排気還流装置の故障診断を行い、「故障」と判断した
場合には警報ランプ14等の警報手段を作動させるように
なつている。ここで上記故障診断は、誤診断を防止する
ために暖機完了までは行われない。
第3図は、上記故障診断を行うか否かを判断するため
のプログラムを示すフローチヤートであつて、先ずステ
ツプ1で始動の瞬間に読み込んだ始動時水温が第1設定
温度(TWEJ1)以上であるか判別する。この第1設定温
度は、例えば温度センサ7周辺が氷結を生じる程度の比
較的低い温度に設定されており、始動時水温がこの温度
以下の場合は、暖機完了後であつても誤診断を生じる可
能性があるので、診断は行わない。
始動時水温が第1設定温度以上であれば、次にステッ
プ2で水温が第2設定温度(TWEJ2)に上昇するまで待
つ。この第2設定温度は、暖機が完了したと見なし得る
程度の温度に設定されており、この温度に冷却水温が達
したら、安全のために更に一定時間待ち(ステップ3,
5)、その後、診断を開始する(ステップ6)。つま
り、ステップ2でそのときの水温が第2設定温度(TWEJ
2)未満であれば、ステップ4に進み、タイマをクリア
して1回のルーチンを終了する。またステップ2で水温
が第2設定温度(TWEJ2)以上であれば、ステップ3へ
進みタイマをインクリメントする。ステップ5では、こ
のタイマの値が所定値EGRJDに達したか否かを判定し、
順次インクリメントされるタイマの値が所定値EGRJDに
達したときにステップ6へ進んで、診断を開始する。こ
の段階では、始動時水温が第1設定温度以上であったこ
とを条件に、温度センサ7周辺が十分に暖まつており、
第4図に示したように排気ガスの通流を応答性良く、か
つ確実にでき、また、上記のように温度センサ7近傍に
温水通路8を設けておけば、外部からの冷却作用の影響
を排除でき、正確な温度測定を行える。尚、上記の診断
は、例えば運転条件が所定の診断領域内にあるときに、
温度センサ7の検出温度が所定の判定温度以上であるか
否かによつて行われるが、その他の診断方法も可能であ
る。
また上記実施例では、ステツプ1で始動時水温を用い
て判定しているが、これに代えて吸気温を用いても良
い。
発明の効果 以上の説明で明らかなように、この発明に係る排気還
流装置の故障診断装置においては、暖機完了前の診断が
禁止され、さらに始動時の温度が極端に低い場合には診
断が回避されるので、外気温が低い場合などの誤診断を
防止でき、診断の信頼性を高めることができる。例え
ば、始動時の際の温度が非常に低く、排気還流通路周辺
が氷結してしまっているような場合には、機関冷却水温
等により暖機完了とみなせる段階でも、正確な温度測定
が行えず、故障と誤診断してしまう虞れがあるが、本発
明によれば、このような誤診断を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例を示す構成説明図、第2図
は温度センサ周辺の拡大断面図、第3図はこの実施例に
おける診断プログラムを示すフローチヤート、第4図
は、排気が還流した際の検出温度の変化を暖機時と冷機
時とで比較して示す特性図である。 4……排気還流通路、5……排気還流弁、7……温度セ
ンサ、8……温水通路、11……水温センサ、13……制御
回路、14……警報ランプ。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】排気還流通路に温度検出手段を設け、その
    検出温度に基づき故障の診断を行う排気還流装置の故障
    診断装置において、エンジンの暖機完了を検出する手段
    を設け、その暖機完了まで上記診断を禁止するととも
    に、始動時の初期温度状態を検出する手段を設け、この
    始動時温度が所定温度以下の場合には暖機完了後も上記
    診断を行わないようにしたことを特徴とする排気還流装
    置の故障診断装置。
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