JP2521493B2 - 振動ジャイロ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は振動ジャイロに関するものである。

［従来の技術］ 従来のＨ型振動ジャイロを第５図、および、第６図に
示す。

第５図の振動ジャイロは、振動子１の幅方向（Ｙ方
向）両側面の上下の４箇所に駆動用圧電素子２を張り付
け、これと直交する面に検出用圧電素子３を張り付けた
構造である。この場合、上側の駆動用圧電素子２と下側
の駆動圧電素子２とは極性を逆にする。また、４は振動
子１を支持する支持棒、５はケーシングである。この振
動ジャイロにおけるコリオリの力の検出方法は、駆動用
圧電素子２により振動子１を左右対称、上下非対称の変
形となるようにＹ方向に振動させ、この駆動側の振動方
向に対して垂直なＸ方向に生じるコリオリの力を検出用
圧電素子３で直接検出する方法である。

第６図の振動ジャイロは、前記の振動子１を板ばね６
で支持し、この板ばね６に検出用圧電素子３を張り付け
た構造である。この場合、４個の駆動用圧電素子２はす
べて同極性とする。この振動ジャイロにおけるコリオリ
の力の検出方法は、駆動用圧電素子２により振動子１を
左右、上下のいずれについても対称的な変形となるよう
にＹ方向に振動させて、コリオリの力を回転軸Ｚを中心
に回転する方向に生じさせ、板ばね６に生じる変位を検
出用圧電素子３により検出する方法である。

［発明が解決しようとする問題点］ 第５図に示した直接検出の方法では、駆動圧電素子２
と検出用圧電素子３とが同じ振動子１に接近して配置さ
れているから、漏れ電圧、すなわち、駆動用圧電素子２
から検出用圧電素子３側に漏れる電圧が大きく、この漏
れ電圧により検出誤差が生じる欠点がある。

一方、第６図の板ばね６に生じる変位を検出する方法
では、検出精度が支持系の影響を受けてしまう、という
問題がある。

本考案は上記従来の問題点を解決するためになされた
もので、漏れ電圧が小さく、かつ、支持系の影響の少な
い振動ジャイロを得ることを目的とする。

［問題点を解決するための手段］ 本発明では，上記問題点を解決するために,H型の振動
子のアーム部に，振動子の板状の中央部にねじれ振動を
発生させる駆動用圧電素子を設けるとともに，前記板状
の中央部の表面に，コリオリの力を検出する検出用圧電
素子として，前記中央部のねじれの大きさに比例した出
力を発生するねじれ型圧電素子を設けた。

［作用］ 振動子の幅方向両側面に駆動用圧電素子を設ける。す
ると、コリオリの力により振動子の中央部にねじれの振
動が生じた時、ねじれ型圧電素子がこのねじれを検出
し、このねじれに基づいてコリオリの力が検出される。

この場合、振動子の幅方向側面の駆動用圧電素子と中
央部の検出用のねじれ型圧電素子とは位置が離れている
ので、駆動用圧電素子から検出用のねじれ型圧電素子へ
の漏れ電圧は小さい。

また、検出用のねじれ型圧電素子は振動子に直接設け
られるから、検出精度は支持系により影響を受けない。

［実施例］ 以下、本発明の一実施例を第１図〜第４図を参照して
説明する。

第１図において、10はＨ型の振動子である。この振動
子10の幅方向（Ｙ方向）両側面の左右および上下の４箇
所（すなわち４つのアーム部のそれぞれ幅方向の外面）
には駆動用圧電素子11が張り付けられている。これら４
個の駆動用圧電素子11の極性は、上側の２個と下側の２
個とが逆にされている。このＨ型の振動子10の４つのア
ーム部の基部を一体結合する板状の中央部10aは、ねじ
れが生じ易いように、厚みが従来の振動子と比べて薄
く、板状とされている。なお、この中央部10aのねじれ
の共振周波数は駆動側の共振周波数（Ｙ方向の振動の共
振周波数）と近付けている。この中央部10aの両面に
は、中央部10aのねじれの大きさに比例した出力を発生
する検出用のねじれ型圧電素子12が表裏同じ極性となる
ように張り付けられている。また、この中央部10aの上
下には、取り付け穴をあけた支持板10bが一体に設けら
れている。振動子10の支持は、図示せぬケーシング側の
支持部材で前記各支持板10bを両側から挾み付け、ねじ
で固定する等して行う。

前記ねじれ型圧電素子12としては、すべり歪みにより
電圧が発生する圧電物質を利用して、第３図、第４図に
示すように、分極方向（矢印で示す）が逆の２つの部分
からなる構成としたものが考えられる。第３図は縦割り
の場合で、これには同図（イ）、同図（ロ）の分極方向
を反対にした２つのタイプがある。第４図は横割りの場
合で、これにも同図（イ）、同図（ロ）の２つのタイプ
がある。いずれの構造でも、このねじれ型圧電素子12に
ねじれが生じると、ねじれの大きさに比例した電圧を発
生する。ねじれの方向が逆であれば、逆の電圧が発生す
る。また、このねじれ型圧電素子12に電圧を印加する
と、このねじれ型圧電素子12にねじれ変形が生じる。

次に動作について説明する。駆動用圧電素子11に図示
せぬ発振回路からの交流電圧を加えると、上下の駆動用
圧電素子11の極性が逆であることから、振動子10は、第
２図（イ）に示すように、左右は対称、上下は非対称の
変形をする駆動モードで振動する。この振動モードで振
動する振動子10にＺ軸回りの角速度が加わると、振動子
10には駆動側の振動方向に垂直なＸ方向のコリオリの力
が発生する。このコリオリの力による振動の振動モード
は、第２図（ロ）に示す通りであり、中央部10aにねじ
れが生じるような力による振動モードである。なお、前
述のように、振動子10の中央部10aのねじれの共振周波
数は駆動側の共振周波数と近付けてあるので、中央部10
aは上記のように発生したコリオリの力によりねじれ振
動する。この中央部10aにねじれが生じると、ねじれ型
圧電素子12にねじれの大きさに比例した電圧が発生し
て、中央部10aのねじれが検出され、このねじれに基づ
いてコリオリの力が検出され、このコリオリの力から振
動ジャイロに加えられた角速度が検出される。

上記のコリオリの力の検出動作において、振動子10の
幅方向側面の駆動用圧電素子11と中央部10aの検出用の
ねじれ型圧電素子12とは位置が離れているので、駆動用
圧電素子11から検出用の圧電素子12への漏れ電圧は小さ
い。

また、検出用のねじれ型圧電素子12は振動子10に直接
設けられているから、検出精度は支持系により影響を受
けない。このため、安定した精度よいコリオリの力の検
出がおこなわれる。

［発明の効果］ 以上説明したように本発明によれば,H型の振動子のア
ーム部に，振動子の板状の中央部にねじれ振動を発生さ
せる駆動用圧電素子を設けるとともに，前記板状の中央
部の表面に，コリオリの力を検出する検出用圧電素子と
して，前記中央部のねじれの大きさに比例した出力を発
生するねじれ型圧電素子を設けたので，漏れ電圧を低く
抑え、かつ、支持系の影響を受けない構造とすることが
でき、精度よい安定したコリオリの力の検出を行うこと
が可能となった。

また，請求項２のように，振動子の板状の中央部の厚
みを，振動子のアーム部の厚みより薄く形成すると，ね
じれ検出の感度を高くするために好ましい。

また，請求項３のように，振動子中央部の上下に当該
振動子を支持するための支持板を一体に設ける支持構造
は，支持系の影響を受けない構造として適切である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す振動ジャイロの要部の
斜視図、第２図（イ）は駆動側の振動モードの説明図、
第２図（ロ）は検出側の振動モードの説明図、第３図
（イ）、（ロ）はねじれ型圧電素子の一例の説明図、第
４図（イ）、（ロ）は他のねじれ型圧電素子の説明図、
第５図は従来の振動ジャイロの斜視図、第６図は他の従
来の振動ジャイロの斜視図である。 10……振動子、10a……中央部、11……駆動用圧電素
子、12……ねじれ型圧電素子。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤村 誠一 大阪府大阪市淀川区宮原３丁目５番24号 日本電気ホームエレクトロニクス株式 会社内 (56)参考文献 特開 昭62−108109（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−106314（ＪＰ，Ａ)

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】Ｈ型の振動子のアーム部に，振動子の板状
   の中央部にねじれ振動を発生させる駆動用圧電素子を設
   けるとともに，前記板状の中央部の表面に，コリオリの
   力を検出する検出用圧電素子として，前記中央部のねじ
   れの大きさに比例した出力を発生するねじれ型圧電素子
   を設けたことを特徴とする振動ジャイロ。
2. 【請求項２】前記振動子の板状の中央部の厚みを，振動
   子のアーム部の厚みより薄く形成したことを特徴とする
   請求項１記載の振動ジャイロ。
3. 【請求項３】前記中央部の上下に該当振動子を支持する
   ための支持板を一体に設けたことを特徴とする請求項１
   記載の振動ジャイロ。