JP2520715B2 - 高光沢塗装方法 - Google Patents

高光沢塗装方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、主として自動車車体に適用する塗装方法に
関する。
(従来の技術) 従来、実開昭62-147525号公報により、油性のベース
塗料の塗膜の上に透明又は半透明の上塗り塗膜を2層に
形成し、深みのある高光沢の塗膜を得る塗装方法は知ら
れている。
(発明が解決しようとする課題) 最近、油性塗料の希釈剤として使用される有機溶剤の
炭化水素類の排出による公害が問題になりつつあって自
動車車体を特開昭56-157358号公報で知られるような水
性塗料で塗装する傾向にあり、ジメチルアミノエタノー
ルやジエチルアミノエタノール等のアミン類を含んだ水
性塗料をベース塗料に利用している。
一方、メラミン樹脂を硬化剤としパラトルエンスルホ
ン酸やジノニルナフタレンジスルホン酸等のスルホン酸
から成る強酸を硬化触媒としたハイソリッド型の焼付型
アクリル樹脂塗料を、その耐傷性の高さから上塗り塗料
として利用する傾向にある。
そこで、上記技術を利用して、水性ベース塗料の塗布
後、該ベース塗料を硬化する前に上記の如き強酸を硬化
触媒とした透明又は半透明な上塗り塗料を塗布して該両
塗料を硬化させ、次いで上記と同様な上塗り塗料を再度
塗布して硬化させ、低公害で耐傷性が高く而も深みのあ
る高光沢な塗膜を形成することが考えられる。
しかし、水性ベース塗料の塗布後該ベース塗料を硬化
する前に上記の如き強酸を硬化触媒とした上塗り塗料を
塗布すると、水性ベース塗料に含まれるアミン類と上塗
り塗料に含まれる硬化触媒としてのスルホン酸類とが積
極的に中和反応してしまい、塗膜に縮み等の不具合を生
じ、ときには塗料が硬化しないこともある。
この場合、水性ベース塗料を塗布して硬化させた後、
上塗り塗料を塗布してこれを硬化させ、更に上記の如く
上塗り塗料を再度塗布して硬化するようにすれば上記の
如き不具合は生じないが、これでは塗装工程における塗
料の硬化工程が1回多くなって生産性が悪くコスト高に
なってしまう。
本発明は、かかる問題点を鑑みてなされたものであ
り、その目的とするところは、低公害低コストで耐傷性
が高く且つ深みのある高光沢な塗膜を形成する塗装方法
を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 上記目的を達成すべく本発明では、水性ベース塗料の
塗膜の上に透明又は半透明の上塗り塗膜を2層に形成す
る塗装方法において、水性ベース塗料の塗布後、該ベー
ス塗料を硬化する前に弱酸を硬化触媒とし或るいは硬化
触媒を含まない透明又は半透明の第1上塗り塗料を塗布
して該両塗料を同時に硬化させ、次いで強酸を硬化触媒
とした透明又は半透明の第2上塗り塗料を塗布して硬化
する。
(作用) 水性ベース塗料の塗布後弱酸を硬化触媒とした或いは
酸化触媒を含まない透明又は半透明な第1上塗り塗料を
塗布するため、上塗り塗料の酸化触媒とベース塗料との
中和反応はほとんど起らず、従って塗膜の縮み等の不具
合を生じない。又、水性ベース塗料の塗膜の上には第1
第2上塗り塗料による透明又は半透明な塗膜が2層に形
成されているため深みのある高光沢な塗膜を得られ而
も、塗膜の最外層には強酸を硬化触媒としたハイソリッ
ド型の第2上塗り塗料を塗布するため耐傷性も向上す
る。
当然のことながらベース塗料と第1上塗り塗料とを同
時に硬化するため、塗装工程における塗料の硬化工程数
は増加しない。
(実施例) 第1図を参照して、(1)は自動車車体等の被塗装物
を示し、該被塗装物(1)を脱脂、化成処理した後通常
の電着塗装を施して焼付乾燥することにより下塗り塗膜
(2)を形成し、次いで油性の中塗り塗料を塗布して焼
付乾燥することにより中塗り塗膜(3)を形成し、その
上に水性ベース塗料たるメタリック塗料を塗布し、該メ
タリック塗料を硬化する前に所謂ウェットオンウェット
で透明な第1上塗り塗料を塗布して、該両塗料を焼付乾
燥することにより硬化させて、中塗り塗膜(3)の上に
メタリック塗膜(4)と第1上塗り塗膜(5)とを形成
し、次いで透明な第2上塗り塗料を塗布してこれを焼付
乾燥により硬化させ、該第1上塗り塗膜(5)の上に第
2上塗り塗膜(6)を形成して高光沢メタリック塗装を
完了する。
上記メタリック塗装(4)に使用する塗料は、ジメチ
ルアミノエタノールやジエチルアミノエタノール等のア
ミン類を含んだ水性塗料に金属粉を混入したものであ
り、また第1上塗り塗膜(5)に使用する塗料は、メラ
ミン樹脂を硬化剤、カルボン酸やリン酸等の弱酸を硬化
触媒とした焼付型アクリル樹脂塗料であり、また第2上
塗り塗膜(6)に使用する塗料は、メラミン樹脂を硬化
剤、パラトルエンスルホン酸やジノニルナフタレンジス
ルホン酸等のスルホン酸から成る強酸を硬化触媒とした
ハイソリッド型の焼付型アクリル樹脂塗料である。
第2図はソリッド塗装の例を示し、上記と同様の手順
で形成した中塗り塗膜(3)の上にジメチルアミノエタ
ノールやジエチルアミノエタノール等のアミン類を含ん
だ水性塗料から成るベース塗料を塗布し、その上に、少
量の顔料を含む上記と同様な弱酸を硬化触媒とした半透
明な焼付型アクリル樹脂塗料から成る第1上塗り塗料を
ウェットオンウェットで塗布して、該両塗料を焼付乾燥
することにより該中塗り塗膜(3)の上にベース塗膜
(4′)と半透明な第1上塗り塗膜(5′)とを形成
し、該第1上塗り塗膜(5′)の上に上記と同様の強酸
を硬化触媒とした透明な第2上塗り塗料を塗布して、こ
れを焼付乾燥し透明な第2上塗り塗膜(6)を形成して
ソフト感のある所謂高光沢な濁りソリッド塗装を完了す
る。
第3図は中塗り塗膜(3)の上に上記と同様な水性ベ
ース塗料を塗布し、その上に弱酸を硬化触媒とした透明
な第1上塗り塗料をウェットオンウェットで塗布し、該
両塗料を焼付乾燥して該中塗り塗膜(3)の上にベース
塗膜(4′)と透明な第1上塗り塗膜(5)とを形成
し、該第1上塗り塗膜(5)の上に少量の顔料を含む強
酸を硬化触媒とした半透明な第2上塗り塗料を塗布し
て、これを焼付乾燥し半透明な第2上塗り塗膜(6′)
を形成して高光沢な濁りソリッド塗装を完了する。
なお、上記第1上塗り塗装(5)(5′)に硬化触媒
を含まない透明又は半透明な塗料を用いることも可能で
ある。
(発明の効果) 以上の如く本発明によれば、水性ベース塗料の上にウ
ェットオンウェットで塗布する透明又は半透明な上塗り
塗料を弱酸を硬化触媒とし或いは硬化触媒を含まないも
のを用い、その上に塗布する透明又は半透明な上塗り塗
料として強酸を硬化触媒とするハイソリッド型のものを
用いるもので、水性ベース塗料と上塗り塗料との中和反
応による縮み等の不具合を生ずることなく低公害で耐傷
性が高く深みのある高光沢な塗膜を得られ、且つ硬化工
程数の増加を抑えて生産性の向上を図れる効果を有す
る。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明方法により得られる塗膜の模式図であり、
第1図はメタリック塗装の場合の模式図、第2図及び第
3図は夫々濁りソリッド塗装の場合の模式図を示す。 (4)(4′)……ベース塗膜 (5)(5′)……第1上塗り塗膜 (6)(6′)……第2上塗り塗膜

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水性ベース塗料の塗膜の上に透明又は半透
    明の上塗り塗膜を2層に形成する塗装方法において、水
    性ベース塗料の塗布後、該ベース塗料を硬化する前に弱
    酸を硬化触媒とし或るいは硬化触媒を含まない透明又は
    半透明の第1上塗り塗料を塗布して該両塗料を同時に硬
    化させ、次いで強酸を硬化触媒とした透明又は半透明の
    第2上塗り塗料を塗布して硬化することを特徴とする高
    光沢塗装方法。
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