JP2520609Y2 - カセツト式記録再生装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、カセツト式のVTRやテープレコーダ等のカ
セツト式記録再生装置であつて、緊急時にリール台を手
動操作によつて回転駆動できるようにしたものに関す
る。

〔考案の概要〕

本考案は、カセット装着位置に装着されたカセット内
からテープを引き出し、所定のテープ走行路にローディ
ングして記録及び／又は再生を行うカセット式記録再生
装置において、押圧部材の押圧部を繰り返し押圧するこ
とによりリール台を間欠的に回転駆動させる手動巻き戻
し機構を設け、緊急時に、テープをカセツト内に容易に
巻き戻すことができるようにしたものである。

〔従来の技術〕

従来からフロントローデイング方式のカセツト式VTR
は、第３図及び第４図に示すように、キヤビネツト１の
前面パネル1aに設けられたカセツト挿入口２からカセツ
ト３を矢印ａ方向に水平に挿入して、第３図に１点鎖線
で示すカセツト挿入位置に復動されているカセツトホル
ダ４の内部にカセツト３を水平に挿入する。

すると、そのカセツト挿入がセンサで検出されてカセ
ツトホルダ４の往復駆動機構（図示せず）が駆動され、
カセツトホルダ４が上記カセツト挿入位置から矢印ｂ方
向に水平に引き込まれた後、矢印ｃ方向に垂直に下降さ
れて第３図に実線で示すカセツト装置位置に往復駆動さ
れて、このカセツトホルダ４によつてカセツト３がカセ
ツト装着位置に上方から水平に装着される。

そして、カセツト装着位置に装着されたカセツト３内
の左右一対のリール5a、5bがシヤーシ６上に設けられて
いる左右一対のリール台7a、7bに上方から係合されると
共に、シヤーシ６上に設けられて第３図及び第４図に１
点鎖線で示すアンローデイング位置に復動されている複
数のローデイング手段８がカセツト３内に下方から相対
的に挿入される。なお、カセツト装着位置に装着された
カセツト３の前蓋3aは開蓋手段（図示せず）によつて開
蓋される。

すると、そのカセツト装着がセンサで検出されて、ロ
ーデイングリング９等のローデイング手段８の往復駆動
機構が駆動され、複数のローデイング手段８が第３図及
び第４図に実線で示すローデイング位置に往復駆動され
て、これら複数のローデイング手段８によつてカセツト
３内の磁気テープ10がカセツト３外に引き出されて、シ
ヤーシ６上に設けられている回転ヘツドドラム11、キヤ
プスタン12、複数の固定ヘツド13及び複数のテープガイ
ド14等によつて構成されたテープ走行路にローデイング
される。

そして、このテープローデイング後に、ピンチローラ
15によつて磁気テープ10がキヤプスタン12に圧着される
と共に、巻取り側リール台7aが回転駆動され、磁気テー
プ10を供給側リール5bから供給して巻取り側リール5aに
巻き取るべくテープ走行路に沿つて定速走行させなが
ら、回転ヘツドドラム11によつて磁気テープ10の記録及
び／又は再生を行うように構成されている。

なお、カセツト３の取り出しは上述の逆動作で行わ
れ、複数のローデイング手段８をローデイング位置から
アンローデイング位置へ復動させると共に、磁気テープ
10を巻取り側リール5a又は供給側リール5bに巻き戻した
後、カセツトホルダ４によつてカセツト３をカセツト装
着位置からカセツト挿入位置へ復動する。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし、従来のこの種カセツト式VTRでは、磁気テー
プ10のアンローデイング途中等で停電や故障等によつて
電源が切れたり、磁気テープ10のアンローデイング時
に、磁気テープが固定ガイド等に不測に引つかかつた
り、リール台系の故障等によつて、磁気テープ10をカセ
ツト３外に置き残したまま、ローデイング手段８がアン
ローデイングされてしまつたような緊急事態が発生した
場合、磁気テープ10をカセツト３内に容易に巻き戻すこ
とができないと言う課題があつた。

即ち、このような緊急時には、キヤビネツト１の上面
パネル1bを開放して、リール台7a又は7bを手動操作によ
つて回転駆動して、磁気テープ10をカセツト３内のリー
ル5a又は5bに巻き取らなければならない。しかし、リー
ル台7a、7bはカセツト３をカセツト装着位置に装着した
状態にあるカセツトホルダ４やカセツト３の下に深く入
り込んでいるために、リール台7a又は7bを直接手で回転
操作することは全くできない。

このため従来は、カセツトホルダ４の下にドライバー
等の工具を挿入して、リール台7a又は7bを手動操作によ
つて回転させるしか方法がなく、その作業は非常に大変
であつた。

本考案は、緊急時に、カセツトをカセツト装着位置に
装着した状態にあるカセツトホルダの下に入り込んでい
るリール台を手動操作によつて容易に回転することがで
きるようにしたカセツト式記録再生装置を提供すること
を目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本考案のカセット式記録
再生装置は、前述した装置において、リール台と接触で
きる摩擦板をその一端に有し、押圧部をその他端に有す
る押圧部材から成る手動巻き戻し機構を設け、カセット
がカセット装着位置を占める時のカセットホルダの外側
から上記押圧部材の上記押圧部を押圧して上記押圧部材
の移動を繰り返させ、上記摩擦板を上記リール台に接触
させると共に、このリール台を間欠的に回転駆動可能に
構成した 〔作用〕 上記のように構成されたカセツト式記録再生装置は、
緊急時に、カセツトをカセツト装着位置に装着した状態
にあるカセツトホルダの下に入り込んでいるリール台
を、手動巻き戻し機構の押圧部材の押圧部を繰り返し押
圧するだけで、容易にかつ間欠的に回転駆動することが
できる。

〔実施例〕

以下、本考案をフロントローデイング方式のカセツト
式VTRに適用した一実施例を第1A図〜第２図を参照して
説明する。なお、第３図及び第４図に示した従来例と同
一構造部には同一の符号を付して重複説明を省略する。

第1A図に示すように、手動巻き戻し機構21は、板金に
よつて成形されたベース板22の上部に、板金によつて平
面形状がほぼＬ字状に成形された操作レバー23を取付け
たものであり、操作レバー23はベース板22上に垂直に固
着されたガイドピン24に長孔25によつて遊嵌されてい
る。操作レバー23の先端部23aの側面にはゴム板等の摩
擦板26が長孔25とほぼ平行に固着され、操作レバー23の
他端部は長孔25に対して一側方にほぼＬ字状に屈曲され
た押圧部23bが成形されている。操作レバー23の先端部2
3aとベース板22とに設けられた一対のばね係止部27、28
間に架け渡された引張コイルばねであるばね29によつ
て、操作レバー23は矢印ｄ及びｅ方向に復動付勢され
て、ガイドピン24及びベース板22に設けられたストツパ
ー30に長孔25の一端25aと先端部23aとが矢印ｄ及びｅ方
向から当接されている。そして、第２図に示すように、
ベース板22を複数の止ねじ31によつてシヤーシ６上に取
付けることによつて、この手動巻き戻し機構21が、カセ
ツト３をカセツト装着位置に装着した状態にあるカセツ
トホルダ４の下部で、例えば巻取り側リール台7aの前側
（リール台7aより回転ヘツドドラム11側のこと）に取付
けられている。そして、この取付けによつて、操作レバ
ー23の摩擦板26がリール台7aの下部に形成されている円
形フランジ32の外周面に近接されて配置され、操作レバ
ー23の押圧部23bがローデイングリング９の下を潜り抜
けてカセツトホルダ４の前側（カセツトホルダ４より回
転ヘツドドラム11側のこと）に突出されている。

従つて、前述したように、磁気テープ10のアンローデ
イング途中等で停電や故障等によつて電源が切れたり、
磁気テープ10のアンローデイング時に、磁気テープが固
定ガイド等に不測に引つかかつたり、リール台系の故障
等によつて、磁気テープ10をカセツト３外に置き残した
まま、ローデイング手段８がアンローデイングされてし
まつたような緊急時には、第２図に示すように、カセツ
ト３をカセツト装着位置に装着した状態にあるカセツト
ホルダ４の外部から、手動巻き戻し機構21の操作レバー
23の押圧部23bを手指で矢印ｆ方向に間欠的に押す。

すると、この手動巻き戻し機構21によつて、後述する
ように、カセツトホルダ４の下に深く入り込んでいるリ
ール台7aが矢印ｇ方向に間欠的に回転駆動される。する
と、このリール台7aによつてカセツト３内のリール5aが
矢印ｇ方向に間欠的に回転駆動されて、磁気テープ10が
リール5aに間欠的に巻き取られるので、磁気テープ10を
カセツト３内に容易に巻き戻すことができる。

次に、第1A図〜第1D図によつて、リール台7aの手動回
転操作を説明する。

まず、第1A図は初期状態であり、操作レバー23はばね
29によつて矢印ｄ及びｅ方向に復動付勢されて、操作レ
バー23の摩擦板26はリール台7aの円形フランジ32の外周
面から矢印ｅ方向に離間されている。

そこで、手指によつて、操作レバー23の押圧部23bを
第1A図で矢印ｆ方向に押す。

すると、第1B図に示すように、最初に、操作レバー23
に回転モーメントが働いて、操作レバー23がガイドピン
24を中心にばね29に抗して矢印ｅ′方向に回転し、摩擦
板26がリール台7aの円形フランジ32の外周面に押圧され
る。

そして、手指によつて押圧部23bをそのまま矢印ｆ方
向に押し続けると、第1C図に示すように、操作レバー23
が長孔25の長さに相当するストロークＳだけ長孔25とほ
ぼ平行にばね29に抗して矢印ｄ′方向に移動され、操作
レバー23の摩擦板26がリール台7aを矢印ｇ方向にストロ
ークＳに見合う円周長さだけ回転駆動する。

そして、第1C図に実線で示す如く、長孔25の他端25b
がガイドピン24に当接したところで、操作レバー23の押
圧部23bから手指を離すと、第1D図に実線で示すよう
に、操作レバー23がばね29によつて、矢印ｃ方向に回転
されて、摩擦板26がリール台7aの下部に形成されている
円形フランジ32から矢印ｅ方向に離間されると共に、操
作レバー23が矢印ｄ方向に復動されるので、矢印ｇ方向
に回転駆動したリール台7aを矢印ｇ方向の反対方向に戻
すことなく、操作レバー23を第1A図の状態に復動させる
ことができる。

そして、以上の動作を繰り返して行うことによつて、
リール台7aを矢印ｇ方向に容易に間欠的に回転駆動する
ことができる。

従つて、第２図に示すように、磁気テープ10をカセツ
ト３内に巻き戻す際に、磁気テープ10が固定ガイド等に
不測に引つかかつて損傷されないように、磁気テープ10
を手で安全に誘導しながら、リール台7aを手で小刻みに
矢印ｇ方向に間欠的に回転駆動して、磁気テープ10をカ
セツト３内に安全に巻き戻すことができる。

また、操作レバー23の摩擦板26はリール台7aを摩擦ト
ルクによつて回転駆動するので、磁気テープ10の巻き戻
し途中で、磁気テープ10が固定ガイド等に不測に引つか
かる等して、リール台7aが突然回転停止した瞬間には、
摩擦板26がリール台7aの下部に形成されている円形フラ
ンジ32に対してスリツプすることができる。従つて、リ
ール台7aを無理なく安全に回転駆動できる。

なお、第1A図に示すように、通常状態では、操作レバ
ー23がばね29によつて矢印ｄ及びｅ方向に復動されてい
て、摩擦板26がリール台7aから矢印ｅ方向に離間されて
いるので、磁気テープ10の走行駆動時に、摩擦板26がリ
ール台7aに不測に接触して負荷を与えるようなことがな
い。

以上、本考案の実施例に付き述べたが、本考案は上記
実施例に限定されることなく、本考案の技術的思想に基
づいて、各種の有効な変更が可能である。

例えば上記実施例では、手動巻き戻し機構21によつて
巻取り側リール台7aを回転駆動するようにしたが、供給
側リール台7bを回転駆動するようにしても良い。

また本考案は、カセツト式VTRに限定されることな
く、その他各種のカセツト式記録再生装置に適用可能で
ある。

〔考案の効果〕

本考案は、上述のとおり構成されているので、次に記
載する効果を奏する。

停電や装置の故障等によって、テープがカセット外に
置き残されるといった緊急時に、手動巻き戻し機構の押
圧部材の押圧部を繰り返し押圧するだけで、カセット外
に置き残されたテープをカセット内に容易に巻き戻すこ
とができる。

また、リール台を間欠的に回転駆動してテープをカセ
ット内に巻き戻すようにしたので、テープの移動が小刻
みに行われ、テープが装置内の固定ガイド等に不測に引
っ掛かって損傷されないように誘導操作することができ
て、テープをカセット内に安全に巻き戻すことができ
る。

しかも、リール台が摩擦板との接触により回転される
ので、テープが装置内の固定ガイド等に引っ掛かる等の
不具合が生じた場合、摩擦板がリール台に対してスリッ
プしてリール台を無理に回転させることがない。従っ
て、このような不具合が生じてもテープを損傷すること
がなく、不具合を解消したうえで、テープをカセット内
に安全に巻き戻すことができる。

【図面の簡単な説明】

第1A図〜第２図は本考案の一実施例を示したものであつ
て、第1A図〜第1D図はリール台の手動回転操作を示す平
面図、第２図はカセツト式VTR全体の平面図である。 第３図は従来例を示す一部切欠き側面図、第４図は従来
例を示す平面図である。 なお、図面に用いられている符号において、 ３……カセツト ４……カセツトホルダ 5a,5b……リール 7a,7b……リール台 ８……ローデイング手段 10……磁気テープ 21……手動巻き戻し機構 23……操作レバー（押圧部材） 23b……押圧部 26……摩擦板 である。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】内部に挿入されたカセットをカセット挿入
   位置から引き込み、このカセットをカセット装着位置に
   装着するカセットホルダと、 上記カセット装着位置に装着されたカセット内のリール
   が係合されるリール台と、 上記カセット装着位置に装着されたカセット内に相対的
   に挿入され、そのカセット内のテープをカセット外に引
   き出してテープ走行路にローディングするローディング
   手段とを具備し、 上記テープを上記テープ走行路に沿って走行させながら
   記録及び／又は再生を行うように構成したカセット式記
   録再生装置において、 上記リール台と接触できる摩擦板をその一端に有し、押
   圧部をその他端に有する押圧部材から成る手動巻き戻し
   機構を設け、 上記カセットが上記カセット装置位置を占める時の上記
   カセットホルダの外側から上記押圧部材の押圧部を押圧
   して上記押圧部材の移動を繰り返させ、上記摩擦板を上
   記リール台に接触させると共にこのリール台を間欠的に
   回転駆動可能に構成したカセット式記録再生装置。