JP2520525Y2 - 自動２輪車の燃料供給装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） 本考案は自動２輪車の燃料供給装置に係り、特にベー
パの発生を防止するようにした自動２輪車の燃料供給装
置に関する。

（従来の技術） 一般に、自動２輪車では、その車体フレームにエンジ
ンが搭載されるとともに、そのエンジンの上方にフュエ
ルタンクが搭載される。エンジンがクランクケースから
上方へ突出したシリンダを有する場合には、エンジンの
上下寸法が大きくなるため、エンジンとフュエルタンク
の全高が過大とならないように、エンジンとフュエルタ
ンクとが近接して設けられる。

（考案が解決しようとする課題） 上記のようにエンジンのシリンダに近接してフュエル
タンクが設けられる場合には、フュエルタンクからキャ
ブレタへ燃料を案内するフュエルホースがシリンダの近
傍を通って配管される場合がある。この場合、フュエル
ホース内を案内されるガソリンは、シリンダからの熱を
受けて温度が上昇し、ベーパが発生し易くなる。

そのため、従来冷却ファンを設けて、この冷却ファン
からの送風によりフュエルホースを冷却し、フュエルホ
ース内を案内されるガソリンの温度上昇を防止するよう
にしている。しかしながら、自動２輪車の限られた空間
内に冷却ファンを設けることはスペース的に困難であ
り、外観上も好ましくなく、さらにコストアップにも繋
る。

本考案は上記の事情を考慮してなされたもので、フュ
エルホース内を案内されるガソリンの温度上昇を防止す
ることによりベーパの発生を防止することができると共
に、外観、レイアウトおよびコストの点で有利な自動２
輪車の燃料供給装置を提供することを目的とする。

〔考案の構成〕

（課題を解決するための手段） 上記の目的を達成するために、本考案は前後に車輪を
有する車体の中間部に、側面視前後にＶ型のシリンダを
配置したエンジンを搭載し、このエンジンの前シリンダ
後側に前キャブレタ、後シリンダの後側に後キャブレタ
をそれぞれ配置すると共に、上記エンジンの上方に近接
して前端が上記後シリンダより前で、かつ後端が後シリ
ンダより後にわたって延在したフュエルタンクを設け、
このフュエルタンクの上記後シリンダより後方の最低部
にフュエルコックを設け、このフュエルコックと上記後
シリンダの後側に設けたフュエルポンプとをフュエルホ
ースで接続すると共に、上記フュエルポンプと上記後シ
リンダ後部の後キャブレタとをフュエルホースで連結
し、さらに、上記フュエルポンプと上記前シリンダ後部
の前キャブレタとを連結するフュエルホースを上記フュ
エルタンク内に貫通させて配管し、かつ、このフュエル
タンク内の配管部を蛇行あるいは螺旋状等に形成したも
のである。

（作用） フュエルホースがフュエルタンク内を通って配管され
たから、エンジンのシリンダからの熱の影響を受けるこ
とがないと共に、フュエルタンク内の安定した温度にフ
ュエルホース内を案内されるガソリンの温度を維持する
ことができる。したがって、安定した温度のガソリンを
キャブレタへ供給することができ、ベーパの発生を防止
することができる。

（実施例） 本考案に係る自動２輪車の燃料供給装置の一実施例に
ついて添付図面を参照して発明する。

第１図において、ヘッドパイプ１に図示しないステア
リングシャフトが軸支され、このステアリングシャフト
に接続されるフロントフォーク２の上端部にハンドル３
が接続される一方、下端部に前輪４が回転自在に支持さ
れる。

ヘッドパイプ１からは車体後方へメインパイプ５およ
びダウンチューブ６が延び、ダウンチューブ６は車体下
方で後方へ延びてアンダチューブ７となり、ボディチュ
ーブ８に接続される。これらダウンチューブ６、アンダ
チューブ７およびボディチューブ８に囲まれた部分にエ
ンジン10が搭載される。

エンジン10からは車体後方へドライブシャフト11が延
び、このドライブシャフト11により後輪12が回転駆動さ
れる。エンジン10は、シリンダ14,15が側面視前後にＶ
型に配置されたＶ型２気筒エンジンから成り、前後のシ
リンダ14,15がクランクケース16から上方へ立ち上がっ
ているため、車体の全高を抑えるため、これらのシリン
ダ14,15に近接してフュエルタンク17が設けられる。こ
のフューエルタンク17は、その前端が後シリンダ14より
前で、かつ後端が後シリンダ14より後にわたって延在す
るように構成される。

後側のシリンダ14の後側には後キャブレタ20が配置さ
れ、後エアクリーナ19から後キャブレタ20を通って吸気
が供給されるようになっている。一方、前側のシリンダ
15の後上側には前キャブレタ22が配置され、前エアクリ
ーナ21から前キャブレタ22を通って吸気が供給されるよ
うになっている。

また、フュエルタンク17の後方底部にフュエルホース
24が接続される。このフュエルホース24は、フュエルタ
ンク17の後シリンダ14より後方の最低部に配置されたフ
ュエルコック25を介装して延び、後シリンダ14の後方に
設けられたフュエルポンプ26に接続される。フュエルポ
ンプ26には吐出側のフュエルホース27が接続され、この
フュエルホース27から後キャブレタ20へガソリンが供給
される。

後キャブレタ20からはフュエルホース27Aが前キャブ
レタ22へガソリンを供給するためにさらに延び、シリン
ダ14からの熱を受けないように、図２（Ａ）にも示すよ
うに、フュエルタンク17内を蛇行するように通って配管
される。フュエルホース27Aはシリンダ14のシリンダヘ
ッド14aを迂回するように配管され、再びフュエルタン
ク17から外へ出て、前キャブレタ22に接続され、この前
キャブレタ22へガソリンを供給する。

なお、フュエルタンク17の後方には座席シート29およ
びリヤカウル30が設けられる。符号31は緩衝ユニットを
示す。

このように上記実施例によれば、前キャブレタ22へガ
ソリンを供給するフュエルホース27Aをフュエルタンク1
7内を通って配管したから、フュエルポンプ26から前キ
ャブレタ22へフュエルホース27A内を通って案内される
ガソリンは後シリンダ14からの熱の影響を受けず、フュ
エルタンク17内のガソリンの安定した温度の影響を受
け、極めて安定した温度に維持される。

したがって、極めて安定した温度のガソリンを前キャ
ブレタ22へ供給することができ、ベーパを防止すること
ができる。

また、従来のように冷却ファンを設けた場合に比較し
て、外観、レイアウトおよびコストの点で有利な燃料供
給装置を提供することができる。

さらに、Ｖ型エンジンの場合には、シリンダヘッド1
4,15上のフュエルホース27の配管が簡素になるため、シ
リンダヘッド14,15上部とフュエルタンク17底部との空
間が広くなり、冷却効果も向上する。

第２図（Ｂ）〜（Ｃ）は本考案の他の実施例を示すも
ので、このうち同図（Ｂ）に示すものは、フュエルホー
ス27Bを螺旋状に配管し、蛇行状よりもさらに長く配管
したものである。この実施例によれば、フュエルホース
27B内を案内されるガソリンのフュエルタンク17内にお
ける滞在時間をさらに長くすることができ、さらにガソ
リン温度の安定化を図ることができる。

同図（Ｃ）に示すものはフュエルホース27Cの外周に
冷却板32を設けたものである。この実施例によれば、熱
交換面積を増大させることによりフュエルホース27C内
を案内されるガソリンの冷却を速やかに行ない、さらに
ガソリン温度の安定化を図ることができる。

なお、上記実施例においてはＶ型２気筒エンジンを搭
載した場合について説明したが、本考案はこれに限定さ
れず、フュエルホースがシリンダの近傍を通って配管さ
れ、フュエルホース内を案内されるガソリンがシリンダ
からの熱の影響を受けるおそれがある他のＶ型エンジン
を搭載した自動２輪車についても同様に適用することが
できる。

〔考案の効果〕

本考案はフュエルホースがフュエルタンク内を通って
配管されたから、フュエルホース内を通って案内される
ガソリンがシリンダからの熱の影響を受けることを防止
し、安定した温度のガソリンをキャブレタに供給するこ
とができ、ベーパの発生を防止することができる。

また、従来に比較して外観、レイアウトおよびコスト
の点で有利な燃料供給装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る自動２輪車の燃料供給装置の一実
施例を備えた自動２輪車を示す側面図、第２図（Ａ）〜
（Ｃ）は本考案の他の実施例を示す構成図である。 10……エンジン、14……後シリンダ、15……前シリン
ダ、14a……シリンダヘッド、16……クランクケース、1
7……フュエルタンク、19……後エアクリーナ、20……
後キャブレタ、21……前エアクリーナ、22……前キャブ
レタ、25……フュエルコック、26……フュエルポンプ、
27,27A,27B,27C……フュエルホース、32……冷却板。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】前後に車輪4,12を有する車体の中間部に、
   側面視前後にＶ型のシリンダ14,15を配置したエンジン1
   0を搭載し、このエンジン10の前シリンダ15後側に前キ
   ャブレタ22、後シリンダ14の後側に後キャブレタ20をそ
   れぞれ配置すると共に、上記エンジン10の上方に近接し
   て前端が上記後シリンダ14より前で、かつ後端が後シリ
   ンダ14より後にわたって延在したフュエルタンク17を設
   け、このフュエルタンク17の上記後シリンダ14より後方
   の最低部にフュエルコック25を設け、このフュエルコッ
   ク25と上記後シリンダ14の後側に設けたフュエルポンプ
   26とをフュエルホース24で接続すると共に、上記フュエ
   ルポンプ26と上記後シリンダ14後部の後キャブレタ20と
   をフュエルホース27で連結し、さらに、上記フュエルポ
   ンプ26と上記前シリンダ15後部の前キャブレタ22とを連
   結するフュエルホース27Aを上記フュエルタンク17内に
   貫通させて配管し、かつ、このフュエルタンク17内の配
   管部を蛇行あるいは螺旋状等に形成したことを特徴とす
   る自動２輪車の燃料供給装置。