JP2519761Y2 - 腰ベルトアンカ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、自動車用シートベルトの腰ベルトアンカに
関する。

〈従来の技術〉 この種シートベルトの調整機構として、従来、例えば
第４図及び第５図に示すものがある。

第４図は、３点式シートベルトにおける肩ベルト１の
アンカ２をセンタピラー３に対し上下調整式として、乗
員の体格、主として座高の差を補正するものである。

第５図は、同じく３点式シートベルトにおける腰ベル
ト４のアンカ５をシート６に一体的に組み込んで、シー
ト位置が変わることによるベルトの位置ズレを無くすも
のである。

〈考案が解決しようとする課題〉 ところが、前述した調整機構では、特にリヤシートに
おけるリラックス姿勢時にみられるように、シートに対
する乗員の身体のズレに対しては充分に対応できず、腰
ベルトが外れて腹部にかかるという不具合があった。

そこで、本考案は、腰ベルトアンカを前後方向へ調整
可能として、腰ベルトのフィット性や拘束性を増大させ
ることを目的とする。

〈課題を解決するための手段〉 前記目的を達成するための本考案の構成は、自動車用
シートベルトの腰ベルトアンカであって、フロアに固設
されたスライドレールと、該スライドレールに沿って前
後方向への移動が可能なスライダと、該スライダから起
立して上端にバックルを付設した支持棒と、該支持棒の
起立方向かつ前記スライダのスライド方向に直交して前
記スライダから左右に突出可能な２つのロック爪と該ロ
ック爪が複数段にロックする前記スライドレールに形成
された複数の係合孔とを有したロック機構と、該支持棒
及び前記バックルに設けられて前記ロック機構を解除す
るロック解除機構と、を備えたことを特徴とする。

〈作用〉 前記構成によれば、アンカ位置が乗員の着座姿勢に応
じて前後方向へ調節される。

〈実施例〉 以下添付図面に基づいて、本考案の一実施例を説明す
る。

第１図に示すように、リヤフロア10に固設されたリヤ
シート11の３点式シートベルト13における腰ベルトアン
カ14が前後方向へ調節可能となっている。

前記腰ベルトアンカ14は、第２図及び第３図に示すよ
うに、リアフロア10に固設される、扁平な角筒でフロア
形状に沿って円弧状に形成されたスライドレール15と、
このスライドレール15内を長手方向（前後方向）へ摺動
自在な扁平な角筒で円弧状に形成されたスライダ16と、
このスライダ16の上面から、前記スライドレール15の長
孔17内を摺動自在に貫通して、上方へ一体的に起立した
中空の支持棒17とを有し、この支持棒17の上端にバック
ル18が一体的に付設される。

そして、前記スライドレール15の左右両側面に左右対
称な係合孔19が前後方向へ複数穿設され、この左右対称
な一組の係合孔19に、スライダ16に内装された左右一対
のロック爪20が係脱自在に嵌合し得るようになってい
る。

従って、前記係合孔19とロック爪20とが、スライダ16
をスライドレール15に対し前後方向へ複数段に亘ってロ
ックするロック機構を構成し、ロック爪20は常時、圧縮
コイルばね21で離脱方向（スライダ16の内方）へ付勢さ
れている。

前記圧縮コイルばね21の付勢力に抗して前記左右一対
のロック爪20を同時に係合方向（スライダ16の外方）へ
突出させる昇降軸22が、前記支持棒17内に圧縮コイルば
ね23により上方付勢状態で収装されている。

この昇降軸22は、バックル18に組み付けた押釦24によ
り昇降駆動され、押釦24が押し込まれると、この押釦24
のテーパ面25に同じくテーパ面26が係合した昇降軸22が
圧縮コイルばね23の付勢力に抗して下降され、その下端
部に形成したくびれ部27に、両ロック爪20内端のテーパ
面28部が下端外周から移行して係合するようになってい
る。この係合状態で、両ロック爪20は両係合孔19から離
脱される。

従って、前記押釦24と昇降軸22とが、前述した係合孔
19とロック爪20とからなるロック機構を解除するロック
解除機構を構成する。

このように構成されるため、押釦24を押し込んでロッ
ク機構を解除することで、スライダ16がスライドレール
15に沿って前後方向へ摺動可能となり、これによって腰
ベルトアンカ位置が、乗員の着座姿勢に応じて前後に調
節可能となる。

この結果、腰ベルトのフィット性や拘束性が増し、従
来の固定式で生じ易かった、リラックス姿勢時に腰ベル
トが外れて腹部にかかる不具合が解消される。

なお、本考案は前記実施例に限定されず、本考案の要
旨を逸脱しない範囲内で、ロック機構及びロック解除機
構の構造変更等各種変更が可能であることは言う迄もな
い。

〈考案の効果〉 以上説明したように本考案によれば、腰ベルトアンカ
位置が、乗員の着座姿勢に応じて前後に調節できるよう
にしたので、腰ベルトのフィット性や拘束性が増し、シ
ートベルト本来の機能が充分に達成される。また、本考
案のロック機構によれば、ロック爪と係合孔との係合方
向が、スライダのスライド方向と直交し、かつ支持棒の
起立方向即ち、スライダに荷重がかかる方向とも直交し
ているため、スライダのスライドをロックするだけでは
なく、万一スライダに多大な荷重がかかりスライドレー
ルが変形したとしても簡単にロックが解除されるという
ことがなく、更にスライダの上方への変位を抑えること
ができる。また、ロック爪がスライドレールの左右に係
合しているため、ロック強度が強く、更にバックルの左
右回動によりスライダがスライドレールを抉ることがな
く、ロック解除時にスムーズにスライダがスライドする
利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す全体側面図、第２図は
要部斜視図、第３図は要部側断面図である。 第４図及び第５図は従来の異なった調整機構の各々の側
面図である。 また、図中10はリヤフロア、11はリヤシート、13は３点
式シートベルト、14は腰ベルトアンカ、15はスライドレ
ール、16はスライダ、17は支持軸、19は係合孔、20はロ
ック爪、22は昇降軸、24は押釦である。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】自動車用シートベルトの腰ベルトアンカで
   あって、フロアに固設されたスライドレールと、該スラ
   イドレールに沿って前後方向への移動が可能なスライダ
   と、該スライダから起立して上端にバックルを付設した
   支持棒と、該支持棒の起立方向かつ前記スライダのスラ
   イド方向に直交して前記スライダから左右に突出可能な
   ２つのロック爪と該ロック爪が複数段にロックする前記
   スライドレールに形成された複数の係合孔とを有したロ
   ック機構と、該支持棒及び前記バックルに設けられて前
   記ロック機構を解除するロック解除機構と、を備えたこ
   とを特徴とする腰ベルトアンカ。