JP2517956Y2 - エアーポットの蓋 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案はエアーポットの蓋に関し、特にその構造の
簡素化を図ったものである。

〔従来の技術〕

従来のエアーポットにおける蓋は、第２図に示すよう
に蓋本体１の内部にベローズポンプ２を収納し、蓋本体
１の下端を閉じる内蓋３をベローズポンプ２の下板４に
取付けている。ベローズポンプ２の内部には、その下板
４を自由に貫通した中空のロッド５が挿入され、そのロ
ッド５の下端外周にロッドパッキン６が装着される。ロ
ッドパッキン６の外周縁は、下板４と内蓋３との間に介
在された蒸気ケース７のリブ８により下板４に押し付け
られる。蒸気ケース７はビスにより内蓋３と共に下板４
に固定される。

蒸気ケース７には、上記のロッド５の下方において弁
孔10が設けられ、その弁孔10より上部の室は、リブ８の
すき間11を経て蒸気通路12に連通している。蒸気通路12
は蓋本体１の蒸気孔13に連通する。また弁孔10の下部に
はボール14の収納室15が内蓋３との間で形成され、その
内蓋３にポットの内容器16と通じた開口17が設けられ
る。

なお、ベローズポンプ２の上板18は、下板４との間に
介在されたスプリング19により上向きに付勢される。ま
た、ロッド５は上板18との間に介在されたスプリング20
により下向きに付勢され、通常は上板18と一体の案内筒
21に係止されている。

上記の蓋はヒンジピン22によりポットの肩部材23に開
閉自在に取付けられ、その肩部材23には吐出口25が設け
られる。蓋本体１の上端に嵌合したプッシュボタン24を
押すと、ロッド５が下降してロッドパッキン６が弁孔10
を閉塞する。ベローズポンプ２が圧縮されるとロッド５
の内部、弁孔10および開口17を通って内容器16の内部に
加圧エアーが送り込まれる。

また、湯沸しによって生じた蒸気は、開口17、弁孔1
0、すき間11、蒸気通路12を経て蒸気孔13から排出され
る。また、ポットが転倒した際は、ボール14が弁孔10を
閉塞し、蒸気孔13から湯が漏れ出ることを防止する。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記構造の蓋においては、ロッド５の下端が下板４を
貫通して下方に突出せしめ、その突出端にロッドパッキ
ン６を装着し、そのロッドパッキン６を蒸気ケース７に
設けた弁孔10に臨ませている。このため、蒸気ケース７
が必要不可欠の部品となる。また、内蓋３の開口17と弁
孔10が直接通じており、その弁孔10が蒸気通路12に通じ
ているため、転倒時の湯漏れ対策のためボール14が必要
である。

更に、上記ボール14は弁孔10の直下に収納しなければ
ならない制限がある。

このため、従来は蒸気ケース７やボール14が必要であ
るため部品点数が多くなると共に、これらの部品が蓋全
体の高さを高くする要因になっていた。

そこで、この考案は蒸気ケース７が不要であり、ボー
ル14も必ずしも必要としない構造のエアーポットの蓋を
提供することを技術的課題とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記の課題を解決するために、この考案は蓋本体の内
部にベローズポンプを収納し、蓋本体の下端を閉じる内
蓋をベローズポンプの下板に取付け、その下板と内蓋と
の間に蓋本体の蒸気孔に通じた蒸気通路を設け、ベロー
ズポンプと連動するロッドの下端にロッドパッキンを装
着したエアーポットの蓋において、上記のロッドパッキ
ンと対向した弁孔を上記の下板に設けて上記ベローズポ
ンプ内部と蒸気通路とを連通せしめ、上記下板に設けた
開口と内蓋に設けた開口との間に前記蒸気通路から独立
した別の通路を設けて、ベローズポンプ内部と内容器と
を連通せしめた構成としたものである。

〔作用〕 ベローズポンプを下方へ圧縮すると、ロッドが下降
し、ロッドパッキンが弁孔を閉塞する。ベローズポンプ
内の加圧エアーは、下板の開口及びその下部に設けた通
路及び内蓋の開口を経て内容器の内部に送り込まれる。

内容器の内部で発生した蒸気は、ベローズポンプの停
止時に上記のエアーの送り込み方向と逆の経路を通り、
更に弁孔、蒸気通路を経て蒸気孔から排出される。

ポットの転倒時、ボールがない構造の場合、湯はベロ
ーズポンプ内に一旦溜るため、その滞溜量が一定量を越
えない限り蒸気孔から漏れ出ることはない。

ボールを用いる場合は、上記の下板の開口下方の通路
にボールを収納する。ポット転倒時に、そのボールによ
り該開口が閉塞され、漏出が防止される。

〔実施例〕

第１図は実施例であり、この蓋は従来の場合と同様に
蓋本体１の内部にベローズポンプ２を収納し、蓋本体１
の下端を内蓋３により閉塞すると共に、これをビス９に
よりベローズポンプ２の下板４に固定する。

上記の下板４の中央部には凹所26が設けられ、その凹
所26の中央部分に弁孔10が設けられる。この凹所26には
ロッド５の下端部が挿入され、その下端部外径面に凹所
26の内面で案内されるつば27が設けられる。また、その
つば27の下方にロッドパッキン６が装着され、弁孔10の
上に臨んでいる。また、凹所26から吐出口25側に片寄っ
た下板４の一部に開口30を設け、その開口30の下部にパ
ッキン28によりシールされることにより蒸気通路12から
独立したボール14の収納室15を設ける。

また、収納室15の内部において開口30の下部にボール
14の案内筒29が設けられる。

前記の弁孔10の下部には、内蓋３及び下板４によって
囲まれた蒸気通路12が設けられ、その蒸気通路12は蓋本
体１の蒸気孔13と連通している。

なお、その他の構成は前述の従来の場合と変わらない
ので、同一部分には同一の符号を付して示し、その説明
を省略する。

この考案の実施例は以上のごときものであり、プッシ
ュボタン24を押してベローズポンプ２を下方に圧縮する
と、ロッド５が下降し、ロッドパッキン６が弁孔10を閉
塞する。ベローズポンプ２内の加圧エアーは、下板４の
開口30及び収納室15及び内蓋３の開口17を経て内容器16
内に送り込まれる。

また、内容器16内で発生した蒸気は、ベローズポンプ
の停止時に、矢印で示すように開口17から収納室15及び
開口30を経て一旦ベローズポンプ２内に入り、弁孔10及
び蒸気通路12を経て蒸気孔13から排出される。

ポットが転倒した場合は、ボール14が開口17を閉塞
し、湯の漏出を防止する。

上記の実施例は、転倒時の湯の漏出防止のためにボー
ル14を使用しているが、このボール14は省略しても差支
えない。その場合は、収納室15が単なる通路となり、湯
がその通路を通ってベローズポンプ２内に滞溜する。そ
の滞溜量が一定以上になるまでは湯の漏出は防止され
る。

〔考案の効果〕

以上のように、この考案はベローズポンプの下板に弁
孔を設け、その弁孔を開閉するロッドパッキンを装着し
たロッドをベローズポンプ内に収納したことにより、蒸
気通路を下板と内蓋とにより構成することができる。こ
のため、従来必要であった蒸気ケースを省略することが
できる。また、ポット転倒時の湯漏れ対策としてボール
を用いる場合でも、その収納室を弁孔の直下に設ける必
要はなく、下板下部の任意の位置に設けることができ
る。

上記のように蒸気ケースを必要としないこと、ボール
の収納位置に制限を受けないことにより、蓋の全体の高
さを従来より低くすることができる。更に、転倒時の湯
漏れ防止基準として、転倒後一定時間だけ漏出しないこ
とを条件とする場合は、ボールを省略することができ、
一層コストの低減を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は実施例の断面図、第２図は従来例の断面図であ
る。 １……蓋本体、２……ベローズポンプ、３……内蓋、４
……下板、５……ロッド、６……ロッドパッキン、７…
…蒸気ケース、８……リブ、９……ビス、10……弁孔、
11……すき間、12……蒸気通路、13……蒸気孔、14……
ボール、15……収納室、16……内容器、17……開口、18
……上板、19,20……スプリング、21……案内筒、22…
…ヒンジピン、23……肩部材、24……プッシュボタン、
25……吐出口、26……凹所、27……つば、28……パッキ
ン、29……案内筒、30……開口。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】蓋本体の内部にベローズポンプを収納し、
   蓋本体の下端を閉じる内蓋をベローズポンプの下板に取
   付け、その下板と内蓋との間に蓋本体の蒸気孔に通じた
   蒸気通路を設け、ベローズポンプと連動するロッドの下
   端にロッドパッキンを装着したエアーポットの蓋におい
   て、上記のロッドパッキンと対向した弁孔を上記の下板
   に設けて上記ベローズポンプ内部と蒸気通路とを連通せ
   しめ、上記下板に設けた開口と内蓋に設けた開口との間
   に前記蒸気通路から独立した別の通路を設けて、ベロー
   ズポンプ内部と内容器とを連通せしめたことを特徴とす
   るエアーポットの蓋。