JP2517910Y2 - 光偏向器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、情報機器、画像機器、
計測機器に用いられる光偏向器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の単面鏡を回転させる光偏向器の一
例を図６、図９、図１０、図１１、図１２、図１３で説
明する。図６は従来の単面鏡を回転させる光偏向器の側
面図である。モータ本体３を駆動すると回転軸２が回転
し、回転軸２に固着された単面鏡１４とプーリー５とプ
ーリー７が回転する。ここで、平面図が図１１、側面図
が図１２、正面図が図１３で示される単面鏡１４は回転
軸２に対する形状が非対称性であるから、回転軸２から
距離ａの位置Ａに回転不釣り合い（Ｍａ）を持つ。そこ
で従来の光偏向器は、この回転不釣り合い（Ｍａ）をあ
らかじめ取り去るために、カット部１５を単面鏡１４に
設けていた。また、単面鏡１４の持つ回転不釣り合い
（Ｍａ）はカット部１５のみではとりきれないため、外
周に複数の微調整用ネジ部８．８．．を設けたプーリー
５と微調整用ネジ部９．９．．を設けたプーリー７をモ
ータ３の前後にそれぞれ配置してある。図９と図１０
は、それぞれ回転不釣り合い微調整用ネジ１２を装着し
たプーリー５微調整用ネジと微調整用ネジ１３．．を装
着したプーリー７の正面断面図であり、プーリー５とプ
ーリー６の外周にそれぞれ複数個設けたネジ穴８．．と
ネジ穴９．．にネジ１２．．とネジ１３．．螺着し、こ
れらのネジを出し入れすることにより微小な回転不釣り
合い量を補正することができる。また、これらネジの出
し入れのみで光偏向器の回転不釣り合いを修正しきれな
い場合は、プーリー５とプーリー７の外周をドリル等で
切削し、ドリル穴１６．．とドリル穴１７．．の重量を
取り去ることで回転不釣り合いの修正を行っていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】前記従来の光偏向器で
は、以下の問題点があった。第一に、単面鏡１４が回転
するとカット部１５により生じる薄肉圧部２０の剛性が
弱いため、平面度がλ／４程度に仕上がっている鏡面１
８が回転による遠心力で歪んでしまうことである。ここ
でλはレーザー光の波長で一般にλは４２０ｎｍから７
８０ｎｍである。

【０００４】第二に、この遠心力による歪をなるべく小
さくするためカット部１５のコーナー１９にＲを設け最
小肉圧部２０の剛性を高めようとすると、カット部１５
が図１４の形状のとなり、この形状の専用工具を製作し
なければならないことである。

【０００５】第三に、カット部１５により回転不釣り合
い（Ｍａ）を正確に取り去るためには、カット部１５の
形状を非常に正確に、且つカット部１５の軸方向及び半
径方向の位置をも非常に正確に設定しなければならない
ので、加工工数が多大となることである。

【０００６】第四に、カット部１５の形状及び位置が正
確に設定できない場合、回転不釣り合いをなくすために
プーリー５及びプーリー７に設けた微調整用ネジ１
２．．及び１３．．の調整量では不釣り合い量がとりき
れず、図９のドリル穴１６，図１０のドリル穴１７に示
すようなドリル切削を行って不釣り合い修正を行わなけ
ればならず切削紛を発生し、この切削紛が鏡面１８を傷
つけることである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本考案は前記課題を解決
するためになされたもので、実施例に対応する図１〜図
５で説明すると、本考案による光偏向器は、モータ本体
３の前側の回転軸２ａに前記モータ本体３側より回転不
釣り合い微調整用プーリー５，Ｄカットプーリー４，単
面鏡１を順次固着し、前記モータ本体３の後側の回転軸
２ｂにモータ本体３側より回転不釣り合い微調整用プー
リー７、Ｄカットプーリー６を順次固着したものであ
る。尚、前記Ｄカットプーリー４のＤカットは単面鏡１
の重心側に、前記Ｄカットプーリー６のＤカットは単面
鏡１の重心とは反対側にそれぞれあるように設けたもの
である。

【０００８】

【作用】本考案は、単面鏡を回転させる光偏向器におい
て、単面鏡１の持つ回転不釣り合いを、モータ部３の前
後に配置し共にＤカットした２個のＤカットプーリー
４，６により正確に取り去るものである。

【０００９】

【実施例】以下、図面を参照して本考案の実施例につい
て説明する。図１は本考案による単面鏡を搭載した光偏
向器の側面図であり、図２は正面図、図３は背面図であ
る。ここでプーリー４はＤカット部１０を、またプーリ
ー６はＤカット部１１をそれぞれ設けている。また図４
と図５はそれぞれ外周に回転不釣り合い微調整用ネジ１
２．．を装着したプーリー５と微調整用ネジ１３．．を
装着したプーリー７の正面断面図である。また図１５は
本光偏向器の回転部の力学的模擬図である。

【００１０】単面鏡１の持つ回転不釣り合い（Ｍａ）は
単面鏡１が図１紙面に対し対称であるから、この回転不
釣り合い（Ｍａ）を取り去るためには図１５に示すよう
に回転部の重心２１からの距離Ｌ１とＬ２の位置に不釣
り合い修正量（ＭＲ１）と（ＭＲ２）をそれぞれ負荷す
れば良い。この不釣り合い修正量（ＭＲ１）は単面鏡１
の持つ不釣り合い量（Ｍａ）と位相が１８０°反対で、
（ＭＲ２）は同位相となる。また、これら不釣り合い修
正量は計算により正確に求めることが出来る。また、プ
ーリー４とプーリー６の不釣り合い量も形状から以下の
式により 正確に求めることが出来る。

【００１１】ここで、プーリー４とプーリー６は旋盤ら
で円柱状に加工した後フライス等でＤカット加工する
が、この加工は特別な工具を必要とせず、且つ正確に加
工できる。

【００１２】従って、モータ３の回転軸２に単面鏡１と
あらかじめ外周を規定量Ｄカットしてあるプーリー４と
プーリー６を図１、図２、図３で示される位相で固着す
ると、この状態での光偏向器の回転不釣り合いは微少量
となり、プーリー５とプーリー７の外周に設けた複数の
微調整用ネジ１２．．と１３．．の調整のみで回転不釣
り合いを限りなく０にすることが可能となり、切削紛を
出さずに回転不釣り合い修正ができるので、単面鏡１の
鏡面１８を傷つけることもない。また、単面鏡１にはカ
ット部がないため剛性が高く回転時に鏡面１８が歪むこ
ともない。

【００１３】

【考案の効果】以上詳細に説明したように本考案によれ
ば、単面鏡の剛性を高く維持できるので回転の遠心力に
より鏡面が歪むこともなく、Ｄカット加工等は通常の加
工が可能なので特別な工具を必要とせず且つ短時間で加
工でき、Ｄカットしたプーリーの加工は精度良くできる
ので回転不釣り合いはネジによる微調整のみで可能であ
るためドリル等による切削紛を出さずに済むので単面鏡
の鏡面を傷つけることもない。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案による光偏向器の側面図。

【図２】 本考案による光偏向器の正面図。

【図３】 本考案による光偏向器の背面図。

【図４】 プーリー５に微調整用ネジ１２．．を装着し
た状態の断面図。

【図５】 プーリー７に微調整用ネジ１３．．を装着し
た状態の断面図。

【図６】 従来の光偏向器の側面図。

【図７】 従来の光偏向器の正面図。

【図８】 従来の光偏向器の背面図。

【図９】 従来の光偏向器のプーリー５に微調整用ネジ
１２．．を装着した状態の断面図。

【図１０】 従来の光偏向器のプーリー７に微調整用ネ
ジ１３．．を装着した状態の断面図。

【図１１】 単面鏡の平面図。

【図１２】 単面鏡の側面図。

【図１３】 単面鏡の正面図。

【図１４】 カット部の形状図。

【図１５】 回転部の力学的模擬図。

【符号の説明】

１，１４ 単面鏡 ２ 回転軸 ３ モータ本体 ４ モータ本体前側のＤカットを設けたプーリー ５ モータ本体前側の回転不釣り合い微調整用プーリー ６ モータ本体後側のＤカットを設けたプーリー ７ モータ本体後側の回転不釣り合い微調整用プーリー ８，９ ネジ穴 １０ プーリー４のＤカット部 １１ プーリー６のＤカット部 １２，１３ 微調整用ネジ １５ カット部 １６，１７ ドリル穴 １８ 鏡面 １９ Ｄカット部のコーナーＲ ２０ 薄肉圧部 ２１ 回転部重心

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 若島 理絵 埼玉県入間市新久下新田110−１コパル 電子株式会社 入間事業所内 審査官 中田 誠 (56)参考文献 特開 昭61−107211（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−137123（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−205523（ＪＰ，Ａ)

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 モータ本体（３）の前側の回転軸（２
   ａ）に前記モータ本体（３）側より回転不釣り合い微調
   整用プーリー（５），Ｄカットプーリー（４），単面鏡
   （１）を順次固着し、前記モータ本体（３）の後側の回
   転軸（２ｂ）にモータ本体（３）側より回転不釣り合い
   微調整用プーリー（７）、Ｄカットプーリー（６）を順
   次固着したことを特徴とする光偏向器。
2. 【請求項２】 前記Ｄカットプーリー（４）のＤカット
   は前記単面鏡（１）の重心側であり、前記Ｄカットプー
   リー（６）のＤカットは前記単面鏡（１）の重心とは反
   対側であることを特徴とする請求項１記載の光偏向器。