JP2517696B2 - 肺疾患マ―カ―蛋白の測定法 - Google Patents

肺疾患マ―カ―蛋白の測定法

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Description

【発明の詳細な説明】 (イ)産業上の利用分野 本発明は人血中の肺疾患マーカー蛋白の測定法に関す
る。さらに詳しくは、本発明はヒト肺サーファクタント
アポ蛋白(SP−A)の異なるエピトープを認識する2つ
の抗体を用い、反応系に特定の界面活性剤と蛋白を同時
に存在させることを特徴とする人血中の肺疾患マーカー
蛋白の測定法に関する。
(ロ)従来の技術及び発明が解決しようとする課題 動物の肺胞には、肺表面活性物質と称するリン脂質を
主成分とする生理活性物質が存在する。これは肺胞の内
壁を覆い、肺胞上皮保護作用を有すると共に、動物が呼
吸機能を維持する上に重要な生理的機能を有している。
即ち、肺表面活性物質は、呼吸時、呼気時における肺胞
内面の表面張力を変化させるといった特異な表面活性を
有しており、肺胞相互間の安定性に寄与して、抗無気肺
作用を示すと言われている。かかる肺表面活性物質が不
足すると肺胞は虚脱し、安定した換気能力を維持できな
くなり例えば、新生児呼吸緊迫症候群(IRDS)や、成人
呼吸緊迫症候群(ARDS)のごとき症状が表われる。
従来、羊水中の肺表面活性物質の量を測定または推定
する方法としては、いくつかの方法が提案されている。
例えば、肺表面活性物質のマーカーとして、羊水中のL/
S比(レシチンとスフィンゴミエリンの比)や羊水中の
ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)量が測定
されているが、前者の方法は、肺表面活性物質の主成分
であるリン脂質を測定するものではなく、IRDSとの相関
性が低いという欠点があり、後者の方法は、感度が悪い
という問題点がある。ところで、肺表面活性物質の約90
%はリン脂質や中性脂質等の脂質であるが、約10%は蛋
白であり、これらは脂質と蛋白の複合体、即ちリポ蛋白
として存在している。肺表面活性物質から脂質を除去す
ると水不溶性の蛋白が得られ、これをアポ蛋白(SP−
A)と呼んでいるが、分子量約36,000(36K)の糖蛋白
が主成分である。リン脂質に比べ、アポ蛋白は特異性に
優れまた高感度に検出し得るので、肺表面活性物質のマ
ーカーとしてアポ蛋白を用いることも検討され、いわゆ
るポリクローナル抗体による免疫学的定量も行なわれて
きた。しかしながら、ポリクローナル抗体を用いる方法
は、測定に長時間を要しまた感度も十分ではないという
問題点があった。そこで、本発明者らは、肺表面活性物
質を構成するアポ蛋白に対するモノクローナル抗体を作
成し、これを用いて測定する方法を既に提案(特開昭62
−64956号および特願昭62−216355号)した。上記方法
は、実用のために充分耐えうる方法であり、肺洗浄液,
羊水および喀痰中のアポ蛋白の測定に応用されている。
しかしながら、検体として肺洗浄液,羊水等を入手す
ることは患者に非常な負担を伴う。また従来の方法では
血中のアポ蛋白の測定については言及していない。
一方、肺疾患には間質性肺炎,サルコイドーシス,肺
炎,肺結核あるいは肺線癌,肺扁平上皮癌等の種々の肺
疾患が知られているが、ヒトの血中に存在すると予想さ
れるこれらの肺疾患マーカー蛋白を測定してその診断,
治療に用いることは、従来知られていない。
(ハ)課題を解決するための手段 本発明者らは、特開昭62−64956号に述べているアポ
蛋白に特異的な2種のモノクローナル抗体(例えばPE−
10等)を用いて、ヒトの血中に存在する肺疾患マーカー
蛋白等免疫学的測定法の種々の条件を検討した。
本発明者らの研究によると、特願昭62−216355号に述
べたごとく、免疫反応に非イオン系と陰イオン系の界面
活性剤を共存させることにより、羊水中、肺胞洗浄液中
気道吸引液リポ蛋白中のアポ蛋白を正しくとらえること
を開示した。しかしながら、この方法を血液中の肺疾患
マーカー蛋白等の測定に応用する場合、その測定系の感
度および共存する血液成分による血清干渉が問題であっ
た。
そこで本発明者らは、開示した発明をさらに発展させ
るべく、血液中の肺疾患マーカーを感度よく測定できる
方法、およびキットを提供すべく鋭意研究した結果本発
明に到達したものである。
即ち本発明は、ヒト肺サーファクタントアポ蛋白(SP
−A)に対する異なるエピトープを認識する2つの抗体
を用いるヒト血中の肺疾患マーカー蛋白の測定法であ
る。
本発明においてヒトの血中に存在する肺疾患マーカー
蛋白とは、血清,血漿等のヒト血中に存在し、かつ抗ヒ
トSP−A抗体に交叉反応性を有する1種類または2種類
以上の蛋白であって、例えば間質性肺炎,肺炎,肺線
癌,肺扁平上皮癌等の肺疾患時に血中に何故遊離される
のか詳細は不明であるが、これら疾患と相関関係を示す
ものをいう。
本発明者らによれば、この蛋白はSP−Aに対する抗体
(PE−10)を用いてアフィニティ精製した結果、分子量
は20000〜80000に分布していた。
またこの蛋白は抗ヒトSP−A抗体と交叉反応性を示す
ことからSP−Aの分解物,複合体等も考えられる。
本発明においては、特に反応系に非イオン及び陰イ
オン界面活性剤、分子量1.6〜5.0万でかつ等電点が1.
0〜5.0である蛋白を同時に存在させることが好ましい。
かかる界面活性剤、蛋白を存在させることにより、血
液中の肺疾患マーカー蛋白を特に感度よく測定すること
が可能になったが、その理由は、次のようなことが挙げ
られる。該マーカー蛋白は、羊水中や喀痰中に存在する
SP−Aと同様にリン脂質と複合体を形成しているリポ蛋
白と思われる。非イオン・陰イオン界面活性剤共存のみ
の場合、血中のリポ蛋白は可溶化は十分となり該マーカ
ー蛋白が免疫反応に関与する抗体によって結合されるこ
とになる。しかしながら、非特異吸着をおさえることが
できるような蛋白成分が存在しないため、感度の低下が
起こり、そのため、血中で存在濃度が低い該マーカー蛋
白を正しく測定できなくなる。
一方、そのような非特異吸着をおさえられる蛋白と非
イオン界面活性剤のみの存在では、血中のリポ蛋白は可
溶化が不十分となり、該マーカー蛋白は、免疫反応に関
与する抗体に認識されず、従って、血中の該マーカー蛋
白を測定できない。しかしながら、非イオン・陰イオン
界面活性剤および特定の蛋白の共存により、それぞれの
長所が生かされ、即ち蛋白による非特異吸着の低下およ
びリポ蛋白の可溶化によりそのアポ蛋白は抗体に効率よ
く認識され、血中の非常に低い濃度で存在する該マーカ
ー蛋白を測定しうることになる。
本発明に用いられる、肺サーファクタントアポ蛋白に
対する異なるエピトープを認識する2つの抗体に関して
は、既に特開昭61−277699号に開示されたモノクローナ
ル抗体PC−6,PE−10等が挙げられる。また測定法に関し
ては、特開昭61−275654号に述べたが、異なるエピトー
プを認識する抗体はポリクローナル抗体でもかまわな
い。
本発明において反応系に同時に存在させることのでき
る蛋白は分子量が1.6〜5.0万で等電点が1.0〜5.0の範囲
にあるものをいう。
本発明におけるかかる蛋白としては、ペプシン,オボ
グリコプロテイン,オロソムコイドやカゼインやカゼイ
ンと無機質の混合物であるスキムミルク等が挙げられ
る。分子量1.6万以下の蛋白を用いた場合には、非特異
吸着が上昇してしまう結果を得ており、また5.0万以上
の分子量では免疫非特異的反応の低減が不十分かつ特異
的免疫反応の低下が見られることにより、本発明に使用
する分子量を1.6〜5.0万と決めた。
また等電点に関しても等電点5.0以上の蛋白を添加し
た場合、非特異吸着が上昇し、また等電点1.0より下で
は特異的反応がおさえられるために本発明に使用する蛋
白の等電点の範囲を1.0〜5.0と決めた。
特に、上記蛋白の中でもスキムミルクが望ましい。
本発明においては、かかる蛋白は免疫反応溶液中にお
ける最終濃度を0.01〜0.9重量%の範囲にするのが好ま
しい。例えばスキムミルクの緩衝液中の濃度をかかる範
囲に調製すると、免疫測定法が高感度であるための2つ
の必須条件(すなわち、特異的反応を維持しながら、非
特異反応を低減させる)を満たすことが容易となる。ス
キムミルクは、0.9%より濃い濃度では水に不溶であ
り、その懸濁液を用いてブロッキングするため、ミクロ
的にみれば、スキムミルクの大きな不溶物が抗原を覆う
ため抗体が近づけなくなり、結果として、抗原抗体反応
が大きく阻害されやすくなる。また0.01%以下では、十
分な非特異吸着の低減効果が得られにくくなる。
また、上記蛋白と免疫反応溶液中に同時に共存させる
本発明に使用する界面活性剤としては、非イオン界面活
性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル
類,ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル
類,ポリオキシエチレン脂肪酸エステル(モノ)類,ポ
リオキシエチレンアルキルチオエーテル類があり、ま
た、陰イオン界面活性剤としては、高級アルコール硫酸
エステル類,アルキルスルホン酸塩類,アルキルベンゼ
ンスルホン酸塩類,ジナフチルメタンジスルホン酸塩
類,アルキルスルホコハク酸塩類,ポリオキシエチレン
アルキルエーテル硫酸エステル類,ポリオキシエチレン
アルキルフェノール硫酸エステル塩類等が挙げられる。
非イオン界面活性剤としては、例えば、トリトン(Ro
hm & Haas Co.製の商品名)のごときポリオキシエチレ
ンアルキルフェノールエーテル類が好ましく、陰イオン
界面活性剤としては、ソジウムドデシルサルフェート
(SDS)のごときアルキルスルホン酸塩類が好ましい。
濃度としては、前者は0.25〜4重量%、後者は0.2〜3
重量%程度用いるのが特に好ましい。
トリトンは0.25重量%以上になると、免疫反応の保護
効果があらわれ、4重量%をこえると、免疫反応を不安
定にさせる傾向があらわれる。また、SDSは0.2重量%以
上で界面活性効果があらわれる。SDSが3重量%をこえ
ると、その界面活性効果があまりにも強力であり、トリ
トンの濃度を増しても、その免疫反応保護効果が発揮さ
れにくくなる。
本発明においては非イオン及び陰イオン界面活性剤を
併用することが好ましいが、併用する場合の重量比は陰
イオン界面活性剤/非イオン界面活性剤=0.25〜1.5が
好ましい。
本発明においては、ヒト肺サーファクタントアポ蛋白
に対する異なるエピトープを認識する2つの抗体を、そ
れぞれを1次抗体,2次抗体として用いる。かかる1次抗
体は担体に固定化しておくのが好ましいが、固定化の方
法は公知の方法を採用でき、担体としては固相の、例え
ば、ポリスチレン,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポ
リエステル,ポリアクリルニトリル,ポリアクリレー
ト,テフロン等の弗素樹脂、ポリアセタール,架橋デキ
ストラン,ポリサッカライド等の高分子、その他紙,ガ
ラス,金属,アガロースおよびこれらの組合せ等を用い
た、トレイ状,球状,繊維状,棒状,盤状,容器状,セ
ル,試験管などの種々の形状が挙げられ、ボール,ビー
ズ,ギヤ,マイクロプレート等が好ましく使用される。
また、2次抗体は標識化されていることが好ましい
が、かかる2次抗体の標識化の方法や手段、それの検出
方法や手段は何ら限定されるものではなく、公知の方法
や手段、例えば放射性物質または酵素もしくは蛍光物質
で標識された抗免疫グロブリン抗体またはブドウ球菌蛋
白Aとの2次反応により測定することもできる。標識剤
としては、酵素,蛍光物質,発光物質および放射性物質
が挙げられる。酵素を用いる方法(EIA)ではホースラ
ディッシュパーオキシダーゼ,β−D−ガラクトシダー
ゼ,アルカリフォスファターゼ等の酵素が、放射性物質
を用いる方法(RIA)では125I,131I,14C,3H等が、蛍
光物質を用いる方法(FIA)ではフルオレセンイソチオ
サイアネート,フィコビリプロテイン等、発光物質を用
いる方法ではイソルシノール,ルシゲニン等が通常使用
されるが、その標識剤の活性が測定可能であれば、その
他のものであってもよい。
上記の方法の中で、2次抗体に直接酵素が標識されて
いるものを用いることが望ましい。なぜなら、間接的な
方法では免疫反応が1 step多くなり実用的に不向きであ
るからである。
標識剤が酵素である場合には、その活性を測定するた
めに基質、必要により発色剤が用いられる。基質として
は例えば、ホースラディッシュパーオキシダーゼの基質
として、2,2′−アジノジ[3−エチルベンズチアゾリ
ンスルホン酸]アンモニウム酸(ABTS)−H2O2,5−アミ
ノサリチル酸−H2O2,O−フェニレンジアミン−H2O2,4−
アミノアンチピリン−H2O2、また、ベンジジン(3,3′,
5,5′−テトラメチルベンジジン等)−H2O2などが、β
−D−ガラクトシダーゼの基質として、フルオレセイン
−ジ−(β−D−ガラクトピラノシド),O−ニトロフェ
ノール−β−D−ガラクトピラノシド,4−メチルウンベ
リフェニル−β−D−ガラクトピラノシドなど、アルカ
リフォスファターゼの基質としてO−ニトロフェニルフ
ォスフェート等を挙げることができる。測定のために
は、これらの試薬以外にも溶解剤,洗浄剤,反応停止剤
等の公知の試薬が使用される。
本発明によるヒト血中に存在する肺疾患マーカー蛋白の
免疫学的測定方法 肺サーファクタントアポ蛋白に対するモノクローナル
抗体(1次抗体;PC−6)を適当な不溶性担体(例えば
プラスチック容器)に固定化する(以下これを“固相抗
体”という)。次いで不溶性担体と測定しようとする試
薬または検体試料との非特異的結合を避けるために適当
な物質(例えば牛血清アルブミン)で不溶性担体の表面
を被覆する。
このようにして得られた1次抗体が固定化された不溶
性担体を検体試料と、酵素で標識した抗肺サーファクタ
ントアポ蛋白抗体(2次抗体,PE−10)(標識抗体)
を、非イオン・陰イオン界面活性剤と、分子量1.6〜5.0
でかつ等電点が1.0〜5.0なる蛋白を同時に、免疫反応
液、例えば免疫反応用緩衝液に共存させ、一定時間およ
び一定温度で接触させ反応させる。免疫反応温度は0〜
50℃までよいが、比較的高い温度で用いられる。ただ
し、低い温度の免疫反応では、反応時間は長く、比較的
高い温度の免疫反応では、免疫反応時間は短い。実用面
から、常温(20℃)から45℃が好んで用いられる。これ
を適当な洗浄液で洗い、次いで不溶性担体上に存在する
2次抗体に標識された標識物質の量を測定する。
かくしてその値から検体試料中の肺サーファクタント
アポ蛋白の量を算出することができる。
本発明においては、検体試料として血清、血漿等の血
液を用いる。
上記方法によって、ヒト血中の肺疾患マーカー蛋白の
測定が可能になるが、上記方法によって羊水中,肺洗浄
液中,喀痰中などの肺サーファクタントアポ蛋白の測定
も可能であることは言うまでもない。なお、血中の該マ
ーカー蛋白の測定にあっては、例えば血清は、2倍以上
希釈することが望ましい。
測定試薬およびキットの構成 本発明のヒト血中の肺疾患マーカー蛋白の測定法に用
いる測定試薬は、ヒト肺サーファクタントアポ蛋白に対
する異なるエピトープを認識する2つの抗体試薬、非イ
オンおよび陰イオン界面活性剤と分子量1.6〜5.0万でか
つ等電点1.0〜5.0なる蛋白からなる。
なかでも、2つの抗体が上述した不溶性担体に結合し
た固相抗体試薬と、標識抗体試薬、および上述した界面
活性剤と蛋白を含有する免疫反応用緩衝液とからなる測
定試薬が好ましい。
また、本発明のヒト血中の肺疾患マーカー蛋白測定用
キットは、上記の測定試薬と、これら測定試薬を能率よ
くかつ簡便に利用するための補助剤として、例えば固体
状の試薬または液状の検体を溶解させるための溶解剤,
不溶性担体に非特異的に結合した抗原,抗体を洗浄する
ために使用される洗浄剤,および酵素で標識化した抗体
を用いる場合には、酵素活性を測定するための基質およ
びその反応停止剤,その他の免疫学的測定用のキットと
して通常使用されるものが挙げられる。
かかるキットにおいて、本発明による非イオンおよび
陰イオン界面活性剤と分子量1.6〜5.0万でかつ等電点1.
0〜5.0なる蛋白は検体を溶解させるための溶解剤に加え
ることが望ましい。
(ホ)発明の効果 本発明により、ヒト血中などに存在する肺疾患マーカ
ー蛋白を、極めて高感度に測定可能となり、従って小量
の検体と短い時間で容易に測定できる。
以上により、肺線癌や他の肺疾患を、血中の肺疾患マ
ーカー蛋白を測定することにより、その診断が可能とな
る。
(ヘ)実施例 以下、実施例により、本発明を詳述する。
実施例1 血清中の肺疾患マーカー蛋白測定条件の検討 (1)モノクローナル抗体不溶化ビーズをよく洗浄して
から、モノクローナル抗体PC−6の20μg/mlの濃度を有
するPBS(pH7.4)溶液中に、4℃の温度で1昼夜放置し
た。その後、ビーズをPBS溶液で洗浄してから、0.5%牛
血清アルブミン(BSA)水溶液中に、4℃の温度で1昼
夜放置してポストコーティング処理を実施して、モノク
ローナル抗体不溶化ビーズを得た。
(2)ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ標識モノ
クローナル抗体の調製 モノクローナル抗体PE−10の1.0mg/mlのPBS溶液に、
N−(m−マレイミド安息香酸)−N−サクシンイミド
エステル(MBS)の10mg/mlの濃度のジメチルホルムアミ
ド溶液50mlを添加し、25℃の温度で30分間反応させた。
次いで、セファデックスG−25を充填したカラムを用
い、0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)でゲル過を行ない、
マレイミド化モノクローナル抗体と未反応MBSとを分離
した。
一方、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ(HR
P)の1.0mg/mlのPBS溶液に、N−サクシンイミジル−3
−(2−ピリジルチオ)プロピオネート(SPOP)の10mg
/mlの濃度のエタノール溶液を添加し、25℃で30分間反
応させた。次いで、セファデックスG−25を充填したカ
ラムを用い、0.01M酢酸緩衝液(pH4.5)でゲル過して
精製し、ピリジルジスルフィド化HRPを含有する画分を
採集して、コロジオンバック中において氷冷下に約10倍
に濃縮した。次に、これに0.85%NaClと0.1Mジチオスレ
イトールとを含有する0.1M酢酸緩衝液(pH4.5)1mlを添
加し、25℃で30分間攪拌して、HRP分子中に導入したピ
リジルジスルフィド基を還元した。次いで、セファデッ
クスG−25カラムにかけてゲル過し、チオール化HRP
を含有する画分を得た。
上記の如くして得られたマレイミド化モノクローナル
抗体とチオール化HRPとを混合し、コロジオンバックを
用いて氷冷下に4mgの蛋白質濃度まで濃縮し、4℃で1
昼夜放置した後、ウルトロゲルAcA44を充填したカラム
でゲル過し、HRP標識モノクローナル抗体を得た。
(3)血清中の該マーカー蛋白(肺疾患マーカー蛋白)
の測定 血清検体希釈緩衝液として(a)0.6%SDS,2.0%トリ
トンX−100,0.1%スキムミルク、(b)0.6%SDS,2.0
%トリトンX−100、(c)2.0%トリトンX−100,0.1
%スキムミルクを含む混合液3種を用い、血清検体の希
釈系列を含むこの混合液とHRP標識モノクローナル抗体P
E−10希釈液とを、各々200μmずつ試験管中のモノクロ
ーナル抗体PC−6固定ボールに加え、免疫反応を行なっ
た(37℃,2時間)。次に、試験管の溶液を吸引除去後、
生理食塩水で洗浄してから、3,3′,5,5′−テトラメチ
ルベンジジン1%含有メタノール溶液/H2O20.015%を
含有する1Mリン酸−クエン酸緩衝液(pH4.5)の3/7(V/
V)混合溶液を、各0.4mlずつ各試験管内に加え、室温で
15分間インキュベートした後、反応停止剤として1.5NH2
SO4水溶液を2mlずつ加えて、酵素反応を停止させた。そ
して分光光度計を用いてこの溶液の450nmの波長の吸収
強度を測定した。
一方、肺胞蛋白症から精製したアポ蛋白を標準物質と
し、前記と同じ混合液を希釈緩衝液とし、前記と同様に
してSDSのそれぞれの濃度に対応した検量線を作成して
おいた。そして、対応するSDS濃度の検量線を用いて、
前記のごとくして得られた450nmの吸収強度から、該マ
ーカー蛋白(肺疾患マーカー蛋白)の濃度を求めた。上
記により得られた値により、希釈直線を得た。そのうち
緩衝液(a)を用いた結果を図1に、緩衝液(b)を用
いた結果を図2に示した。
図中×−×, △−△は各々4患者検体について測定した結果を示す。
図1から、(a)を用いた場合には、血清4倍希釈か
ら、その希釈直線は理論希釈直線と平行し正しい値を示
していることがわかる。一方、図2から(b)を用いた
場合には、非特異吸着が大きくその希釈直線も、低濃度
領域において理論希釈直線と平行にならず、(b)の方
法は、血清系を測定するのに不適切であることがわか
る。また(c)を用いた場合には、検体内の該マーカー
蛋白の可溶化が不十分のため、高濃度領域から希釈直線
は理論希釈直線と全く解離してしまった。以上により、
本発明の(a)の場合のみが、血清中の肺疾患マーカー
蛋白の測定に適することが判明し、また、血清を4〜16
倍まで希釈しても肺疾患マーカー蛋白が高感度に測定で
きることがわかった。
(4)免疫反応における血清検体希釈緩衝液中の陰イオ
ン/非イオン界面活性剤の比の検討 血清検体希釈緩衝液として、トリトンX−100,1,2,3,
4%にそれぞれSDSが1.75,1.5,1.25,1.0,0.75%含有する
混合液を用いて、血清検体の希釈系列を含むこの混合液
と、HRP標識モノクローナル抗体PE−10希釈とを、各々2
00μlずつ試験管中のモノクローナル抗体PC−6固定ボ
ールに加え、免疫反応を行った(37℃,90分)。以下、
実施例1(3)に従って、免疫反応終了後吸光度を測定
し、界面活性剤の陰イオン/非イオン比に対してプロッ
トした。その結果を図3に示す。
図中○−○Triton X−100,1%,●−●同2%,△−
△同3%,▲−▲同4%を用いた時の測定値を示す。
図3から、SDS/Triton X−100の至適重量比は、0.25
〜1.5であることがわかる。
実施例2 実施例1の(a)の条件、即ち、免疫反応緩衝液に、
0.6%SDS,2.0%トリトン,0.1%スキムミルクを加え、血
清検体を用い免疫反応を行ない、基本性能の1つである
添加回収試験のチェックを行なった。すなわち、87.3mg
/mlSP−A含有血清に精製した肺疾患マーカー蛋白をそ
れぞれ、0,154.8,312.3,464.3ng/mlを加えて本発明の方
法にて測定した結果、表1のごとく回収率は98.7〜106.
4%と良好であった。
実施例3 検体の測定 実施例1によって、確立した測定系を用いて、間質性
肺炎(IPF),サルコイドーシス(Sarcoidosis),肺炎
(Pneumonia),肺結核(Tbc),およびステージ(stag
e)I〜IVにある肺線癌(Adreno carcinoma),肺扁平
上皮癌(Squamous cell carcinoma)の患者について、
その血清中の肺疾患マーカー蛋白値を測定した。対照と
して健常人の血清中肺疾患マーカー蛋白値を測定した。
結果を図3および図4に示した。
これらの結果から、明らかに間質性肺炎(IPF)、肺
炎(Pneumonia)で高値を示し、 carcinomaでやや高値を示した。一方、サルコイドーシ
ス,肺結核(Tbc)では陽性を示さず、本発明のヒト血
中の肺疾患マーカー蛋白測定法は、上記種々の疾患の鑑
別診断やそれら疾患のモニタリングに有用である可能性
が示された。
【図面の簡単な説明】
図1は、実施例1の条件(a)にて免疫反応を行なった
ときの血清検体の希釈直線である。 図2は、実施例1の条件(b)にて免疫反応を行なった
ときの血清検体の希釈直線である。 図3は、実施例1の(4)で界面活性剤の重量比を変え
て免疫反応を行なったときの測定値を示す。 図4は、患者検体(サルコイドーシス,間質性肺炎,肺
結核,肺炎)を、本発明の免疫測定法で測定した結果を
示す。 図5は、患者検体(肺線癌,肺扁平上皮癌)を、本発明
の免疫測定法で測定した結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 秋野 豊明 北海道札幌市西区西野一条4―4―1 (72)発明者 黒木 由夫 北海道札幌市豊平区平炭三条1―3―15 (72)発明者 日野 修一郎 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株 式会社岩国研究センター内 (56)参考文献 特開 昭61−275654(JP,A) 特開 平2−72198(JP,A) 特開 昭58−187862(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】A.ヒト肺サーファクタントアポ蛋白の異な
    るエピトープを認識する2つのモノクローナル抗体を用
    い、かつ B.反応系に非イオンおよび陰イオン界面活性剤、分
    子量1.6〜5.0万でかつ等電点が1.0〜5.0である蛋白を同
    時に存在させることを特徴とする、ヒト血中に存在する
    間質性肺炎マーカー、肺炎マーカー、肺線癌マーカー、
    または肺扁平上皮癌マーカーの測定方法。
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