JP2517527B2 - 軸付鍛造品の製造方法 - Google Patents

軸付鍛造品の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鍛造工程を最小限で、し
かも軸部のファイバーフローを軸心に平行になるよう鍛
造する軸付鍛造品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】軸先端に最終工程でスプラインを冷間転
造する軸物製品、例えば、シャフト、トランスファ、ア
ウトプットリヤ、ピニオンディファレンシャル、その他
の機械部品等は、一般的に直径の大きな頭部とそれに連
続する直径の小さい長軸部より形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この鍛造素材は、一般
的に、図2に示す熱間又は温間押出工法により、据込
み、前方押出、仕上型打、バリ取り等の工程を経て鍛造
されるが、この場合、据込み工程で既にファイバーフロ
ーが、図2(2)に示すように乱れた状態となっている
ので、これをさらに小径の軸部とすると、そのファイバ
ーフローは軸心に対し平行にならず、不規則的に形成さ
れるものとなる。このファイバーフローが乱れた軸部に
最終工程でスプラインを冷間転造すると、スプラインの
ピッチエラーが大きくなる等の問題点がある。
【0004】本発明は、上記従来の軸付鍛造品の製造方
法の有する問題点を解決し、素材を最少工程で、しかも
小径となる軸先端部を押出成形し、かつ軸先端部のファ
イバーフローを軸心に平行になるように鍛造し、スプラ
イン冷間転造時のピッチエラーを減少させることができ
る軸付鍛造品の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の軸付鍛造品の製造方法は、第1工程で素材
直径より少し大なる内径を有する型で素材先端を拘束し
ながら据込みを行い、素材の拘束部のファイバーフロー
を軸心に平行な状態に保持し、第2工程で前記拘束部が
挿入可能な前方押出型で熱間又は温間前方押し出し成形
を行い、拘束部の直径より小なる直径に成形する際、フ
ァイバーフローを軸心に平行な状態になるようにし、第
3工程で軸先端部のファイバーフローを軸心に平行な状
態に保持しながら型打成形を行った後、最終工程で軸先
端部にスプラインを冷間転造にて、しかもスプラインの
ピッチエラーを減少させて成形を行うことを特徴とす
る。
【0006】
【作用】これにより、素材の押出成形する軸先端部のフ
ァイバーフローを軸心に平行に鍛造することができ、軸
先端部にスプラインを冷間転造にて成形する際、スプラ
インのピッチエラーを減少させることができる。
【0007】
【実施例】以下、本発明の軸付鍛造品の製造方法を図示
の実施例に基づいて説明する。所要の径と長さを有する
素材Wを長尺物より切断して得る。この素材Wのファイ
バーフローはその軸心に対し平行に規則正しく流れてい
る。(図1(1))
【0008】次にこの素材Wの一端部、例えば、図1に
おいては下端部を、素材Wの外径d0より若干大なる内
径d1を有する型Hにて拘束する。このとき、素材拘束
部の長さL1は、鍛造する細長い軸部の容積に応じて定
められ、また非拘束部の長さL2も成形する形状の容積
に応じたものとなるようにして定められる。素材Wの一
端を型Hにて拘束した後、素材の非拘束部を所要径にな
るよう据込む。(図1(2))この第1工程における据
込み工程では、一般に素材Wの径Dと長さLの比L/D
は1.5〜2.0MAXの範囲内となるよう定めるのが
最適である。このように素材Wの一端部を拘束している
ので、非拘束部の長さが据込みの対象となり、したがっ
て、本発明による方法では従来に比べて素材径を小径と
しても据込時における座屈が防止できる利点がある。ま
た、拘束して据込むため、この拘束部のファイバーフロ
ーは据込み工程においても乱れることがなく、軸心に平
行な状態に維持される。
【0009】この第1工程を経た素材を第2工程の前方
押出型H2に挿入して前工程での拘束部を熱間又は温間
前方押出成形する。図1(3)この際、前方押出型H2
は、前工程で拘束した部分が挿入できるような内径と、
かつ所要の前方押出成形を行える形状を有するように構
成されている。このため、前工程での拘束部分は、前方
押出型H2にて所要の径にて押し出されるが、軸部が形
成されるとき、ファイバーフローの流れは軸心に平行に
規則正しく形成される。
【0010】次に、第3工程で仕上型打成形を行う。
(図1(4))この場合も軸部のファイバーフローは軸
心に平行状態が保持される。その後、このようにして鍛
造にて成形した製品のバリ抜きを行い、機械加工にて所
要精度と形状に仕上げる。
【0011】そして、最終工程において、軸部先端に、
トランスファ、アウトプットリヤ、ピニオンディファレ
ンシャル等の機械部品の用途に応じてスプラインを加工
する。このスプラインは従来と同様、冷間転造にて成形
されるが、軸部が鍛造工程で製作されるとき、そのファ
イバーフローが軸心に平行に整列して流れているので、
スプライン加工時においてもピッチエラーが生じること
なく、精度高くスプラインを成形することができる。
【0012】
【発明の効果】本発明の軸付鍛造品の製造方法によれ
ば、少ない工程により、小径の先端軸部のファイバーフ
ローが軸心に平行に成形されるので、強度も強く、しか
もスプラインを転造にて成形する際のピッチエラーを減
少することができる利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の軸付鍛造品の製造方法の工程の1実施
例の説明図である。
【図2】公知例の軸付鍛造品の製造方法の工程の説明図
である。
【符号の説明】
W 素材 H 型 H2 前方押出型

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1工程で素材直径より少し大なる内径
    を有する型で素材先端を拘束しながら据込みを行い、素
    材の拘束部のファイバーフローを軸心に平行な状態に保
    持し、第2工程で前記拘束部が挿入可能な前方押出型で
    熱間又は温間前方押し出し成形を行い、拘束部の直径よ
    り小なる直径に成形する際、ファイバーフローを軸心に
    平行な状態になるようにし、第3工程で軸先端部のファ
    イバーフローを軸心に平行な状態に保持しながら型打成
    形を行った後、最終工程で軸先端部にスプラインを冷間
    転造にて、しかもスプラインのピッチエラーを減少させ
    て成形を行うことを特徴とする軸付鍛造品の製造方法。
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