JP2517310B2 - ホスファチジルコリン誘導体の製造法 - Google Patents
ホスファチジルコリン誘導体の製造法Info
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- JP2517310B2 JP2517310B2 JP62218437A JP21843787A JP2517310B2 JP 2517310 B2 JP2517310 B2 JP 2517310B2 JP 62218437 A JP62218437 A JP 62218437A JP 21843787 A JP21843787 A JP 21843787A JP 2517310 B2 JP2517310 B2 JP 2517310B2
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Description
【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、ホスファチジルコリン誘導体の製造法に関
する。
する。
従来の技術とその問題点 従来一般式 〔式中、Rは直鎖又は分枝鎖状の飽和又は不飽和の炭化
水素基を示す。〕 で表わされるホスファチジルコリン誘導体は、一般式 で表わされるグリセロホスファチジルコリンを塩化カド
ミウム錯体とし、これを4−ピロリジノピリジンの存在
下に、酸無水物を用いてアシル化する〔Kanu M.Patel、
J.Lipid Res.,20、674(1979)〕ことにより製造されて
いる。
水素基を示す。〕 で表わされるホスファチジルコリン誘導体は、一般式 で表わされるグリセロホスファチジルコリンを塩化カド
ミウム錯体とし、これを4−ピロリジノピリジンの存在
下に、酸無水物を用いてアシル化する〔Kanu M.Patel、
J.Lipid Res.,20、674(1979)〕ことにより製造されて
いる。
しかしながら、上記の方法には、目的物中に生体に極
めて有害な塩化カドミウムが残留し、イオン交換クロマ
トグラフィー等により精製した場合にも完全には除去で
きず、少なくとも数ppmは残留するという欠点がある。
従って、この方法で得たものは、医薬品、化粧品等の用
途には使用できない。また、この方法で得られる目的物
の収率は極めて低く、通常10%以下である。
めて有害な塩化カドミウムが残留し、イオン交換クロマ
トグラフィー等により精製した場合にも完全には除去で
きず、少なくとも数ppmは残留するという欠点がある。
従って、この方法で得たものは、医薬品、化粧品等の用
途には使用できない。また、この方法で得られる目的物
の収率は極めて低く、通常10%以下である。
問題点を解決するための手段 本発明者は、上記欠点が解消され、上記一般式〔I〕
のホスファチジルコリン誘導体の工業的に好適な製造法
を開発するべく鋭意研究した結果、グリセロホスファチ
ジルコリンを担持させる担体として高級脂肪酸金属塩の
みならず金属酸化物及び無機中性塩をも好適に使用でき
ること、担持後塩基性触媒の存在下に、特定の酸ハライ
ドを反応させて得られる化合物をホスホリパーゼA2を用
いて加水分解するときには、目的物を高収率で再現性良
く得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
のホスファチジルコリン誘導体の工業的に好適な製造法
を開発するべく鋭意研究した結果、グリセロホスファチ
ジルコリンを担持させる担体として高級脂肪酸金属塩の
みならず金属酸化物及び無機中性塩をも好適に使用でき
ること、担持後塩基性触媒の存在下に、特定の酸ハライ
ドを反応させて得られる化合物をホスホリパーゼA2を用
いて加水分解するときには、目的物を高収率で再現性良
く得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、式 で表わされるグリセロホスファチジルコリンを、金属酸
化物、高級脂肪酸のアルカリ金属塩若しくはアルカリ土
類金属塩及び無機中性塩からなる群より選ばれる少なく
とも1種の担体に担持させ、塩基性触媒の存在下に、一
般式(XCO)2R〔III〕〔式中、Rは上記に同じ。Xはハロ
ゲン原子を示す。〕で表わされる酸ハライドを用いてア
シル化して、一般式 〔式中、Rは上記に同じ。〕 で表わされる化合物を得、次いでこの化合物をホスホリ
パーゼA2を用いて加水分解することを特徴とする一般式 〔式中、Rは上記に同じ。〕 で表わされるホスファチジルコリン誘導体の製造法に係
る。
化物、高級脂肪酸のアルカリ金属塩若しくはアルカリ土
類金属塩及び無機中性塩からなる群より選ばれる少なく
とも1種の担体に担持させ、塩基性触媒の存在下に、一
般式(XCO)2R〔III〕〔式中、Rは上記に同じ。Xはハロ
ゲン原子を示す。〕で表わされる酸ハライドを用いてア
シル化して、一般式 〔式中、Rは上記に同じ。〕 で表わされる化合物を得、次いでこの化合物をホスホリ
パーゼA2を用いて加水分解することを特徴とする一般式 〔式中、Rは上記に同じ。〕 で表わされるホスファチジルコリン誘導体の製造法に係
る。
上記一般式〔I〕のホスファチジルコリン誘導体は、
リポソーム原料として使用でき、製剤原料として有効で
ある。また該誘導体〔I〕は、側鎖末端に反応性のカル
ボキシル基を有しているため、この基を利用してリポソ
ーム表面を種々に装飾することが可能である。例えば抗
原、抗体及び水酸基、アミノ基等とカルボキシル基とを
反応させて官能基をもつ薬剤等を容易に結合させること
ができる。即ち、薬剤内封型リポソームはもちろんのこ
と、表面にタンパク質、薬物等目的にあった化合物を結
合したリポソームが作成できる。この様なリポソームは
ドラッグ・デリバリーシステム、特にターゲッティング
療法において特に有効である。更に、骨格中にOH基、CO
OH基を有するため、Rの長さによって親水性、両媒性、
親油性とその性質を変化させられることができ、化粧品
原料等としても有用である。
リポソーム原料として使用でき、製剤原料として有効で
ある。また該誘導体〔I〕は、側鎖末端に反応性のカル
ボキシル基を有しているため、この基を利用してリポソ
ーム表面を種々に装飾することが可能である。例えば抗
原、抗体及び水酸基、アミノ基等とカルボキシル基とを
反応させて官能基をもつ薬剤等を容易に結合させること
ができる。即ち、薬剤内封型リポソームはもちろんのこ
と、表面にタンパク質、薬物等目的にあった化合物を結
合したリポソームが作成できる。この様なリポソームは
ドラッグ・デリバリーシステム、特にターゲッティング
療法において特に有効である。更に、骨格中にOH基、CO
OH基を有するため、Rの長さによって親水性、両媒性、
親油性とその性質を変化させられることができ、化粧品
原料等としても有用である。
上記において、Rで示される炭化水素基としては、特
に限定されず、直鎖状、分枝状のいずれでも良く又飽
和、不飽和のいずれでも良い。また、炭素数も、特に限
定されないが、通常1〜30程度好ましくは6〜24とする
のが適当である。具体的には後記酸ハライドの炭化水素
残基を例示できる。又、Xで示されるハロゲン原子とし
ては、塩素原子、臭素原子、沃素原子等を例示できる。
に限定されず、直鎖状、分枝状のいずれでも良く又飽
和、不飽和のいずれでも良い。また、炭素数も、特に限
定されないが、通常1〜30程度好ましくは6〜24とする
のが適当である。具体的には後記酸ハライドの炭化水素
残基を例示できる。又、Xで示されるハロゲン原子とし
ては、塩素原子、臭素原子、沃素原子等を例示できる。
本発明の製造法は、下記反応工程式に従って行なわれ
る。
る。
〈反応工程式〉 まず、化合物〔II〕を特定の担体に吸着乃至付加させ
ることにより担持させる。担持することにより、後記ア
シル化反応を円滑に進行せしめることが可能になる。具
体的には、化合物〔II〕を通常1〜100重量倍程度好ま
しくは5〜50重量倍の溶媒に溶解し、次いで化合物〔I
I〕に対して通常1〜100重量倍程度好ましくは2〜30重
量倍の担体を加え撹拌下に分散乃至溶解し、通常減圧下
に溶媒を留去して粉末化することにより行なう。溶媒と
しては、水又はメタノール、エタノール、プロパノー
ル、イソプロパノール等のアルコール類が好ましい。
ることにより担持させる。担持することにより、後記ア
シル化反応を円滑に進行せしめることが可能になる。具
体的には、化合物〔II〕を通常1〜100重量倍程度好ま
しくは5〜50重量倍の溶媒に溶解し、次いで化合物〔I
I〕に対して通常1〜100重量倍程度好ましくは2〜30重
量倍の担体を加え撹拌下に分散乃至溶解し、通常減圧下
に溶媒を留去して粉末化することにより行なう。溶媒と
しては、水又はメタノール、エタノール、プロパノー
ル、イソプロパノール等のアルコール類が好ましい。
本発明において用いる担体は、金属酸化物、高級脂肪
酸のアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩及び無
機中性塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を用い
る。
酸のアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩及び無
機中性塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を用い
る。
金属酸化物としては、セライト、ゼオライト、タル
ク、白土、シリカ、アルミナ、カオリン、ケイソウ土、
クレー、モンモリロナイト等を例示できる。金属酸化物
は通常粉末状のものを用いる。金属酸化物粉末の粒度
は、特に限定されないが、250μm程度以下であるのが
反応効率の点から好ましい。
ク、白土、シリカ、アルミナ、カオリン、ケイソウ土、
クレー、モンモリロナイト等を例示できる。金属酸化物
は通常粉末状のものを用いる。金属酸化物粉末の粒度
は、特に限定されないが、250μm程度以下であるのが
反応効率の点から好ましい。
高級脂肪酸の上記金属塩としては、炭素数6以上の直
鎖状又は分枝状の飽和又は不飽和の炭化水素残基を有す
る二塩基酸の金属塩が使用でき、具体的にはグルタル
酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカン1,
10−ジカルボン酸、ドデカン1,12−ジカルボン酸、ヘキ
サデカン1,16−ジカルボン酸、オクタデカン1,18−ジカ
ルボン酸、ドコサ1,22−ジカルボン酸、トリアコンタ1,
30−ジカルボン酸、トドリアコンタ1,32−ジカルボン
酸、テトラコンタ1,40−ジカルボン酸等の該金属塩を例
示できる。アルカリ金属としてはナトリウム、カリウ
ム、リチウム等を、アルカリ土類金属としてはカルシウ
ム、マグネシウム、バリウム等を例示できる。高級脂肪
酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩は、それ自
体を用いても良いし、高級脂肪酸とアルカリ金属又はア
ルカリ土類金属の水酸化物等とを同時に用いて担持の際
に塩としても良い。また、炭化水素残基は、酸ハライド
〔III〕の炭化水素残基と同じであることが好ましい
が、相違していても良い。相違しているときは、得られ
る化合物〔IV〕の数%程度が担体の炭化水素残基を有す
るものとなることがあるが、これは容易に分離除去でき
る。
鎖状又は分枝状の飽和又は不飽和の炭化水素残基を有す
る二塩基酸の金属塩が使用でき、具体的にはグルタル
酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカン1,
10−ジカルボン酸、ドデカン1,12−ジカルボン酸、ヘキ
サデカン1,16−ジカルボン酸、オクタデカン1,18−ジカ
ルボン酸、ドコサ1,22−ジカルボン酸、トリアコンタ1,
30−ジカルボン酸、トドリアコンタ1,32−ジカルボン
酸、テトラコンタ1,40−ジカルボン酸等の該金属塩を例
示できる。アルカリ金属としてはナトリウム、カリウ
ム、リチウム等を、アルカリ土類金属としてはカルシウ
ム、マグネシウム、バリウム等を例示できる。高級脂肪
酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩は、それ自
体を用いても良いし、高級脂肪酸とアルカリ金属又はア
ルカリ土類金属の水酸化物等とを同時に用いて担持の際
に塩としても良い。また、炭化水素残基は、酸ハライド
〔III〕の炭化水素残基と同じであることが好ましい
が、相違していても良い。相違しているときは、得られ
る化合物〔IV〕の数%程度が担体の炭化水素残基を有す
るものとなることがあるが、これは容易に分離除去でき
る。
無機中性塩としては、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリ
ウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化バリウム
等が例示できる。
ウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化バリウム
等が例示できる。
次に、上記で得た担持粉末を溶媒に懸濁し、塩基性触
媒の存在下に、酸ハライド〔III〕を用いて担持粉末中
の化合物〔II〕をアシル化して、中間化合物〔IV〕を製
造する。
媒の存在下に、酸ハライド〔III〕を用いて担持粉末中
の化合物〔II〕をアシル化して、中間化合物〔IV〕を製
造する。
溶媒としては、クロロホルム、メチルクロロホルム等
のハロゲン化炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン等の
芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘ
キサン等の炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸プロピル
等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロ
フラン等のエーテル系溶媒等が使用できる。溶媒の使用
量は、特に限定されないが、化合物〔II〕に対して通常
3〜300重量倍程度とするのが適当である。
のハロゲン化炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン等の
芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘ
キサン等の炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸プロピル
等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロ
フラン等のエーテル系溶媒等が使用できる。溶媒の使用
量は、特に限定されないが、化合物〔II〕に対して通常
3〜300重量倍程度とするのが適当である。
塩基性触媒としては、一般式 〔式中、R1及びR2は、同一又は異なって、直鎖状、分
枝状又は環状の飽和又は不飽和炭化水素基又は水素原子
を示す。また、2つのR3は互いに結合してピロリジン環
を形成してもよい。〕 で表わされるピリジン誘導体又は三級アミン類等が使用
できる。具体的には、N,N−ジメチル−4−アミノピリ
ジン、N,N−ジメチル−4−アミン−2−メチルピリジ
ン、N,N−ジエチル−4−アミノピリジン、N,N−ジブチ
ル−4−アミノ−3−エチルピリジン、4−ピロリジノ
ピリジン、4−ピロリジノ−2−イソプロピルピリジ
ン、4−ピロリジノ−3−ブチルピリジン等のピリジン
誘導体、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソ
プロピルエチルアミン、トリオクチルアミン、トリプロ
ピルアミン、トリイソプロピルアミン等の三級アミン類
等を例示できる。触媒の使用量は、化合物〔II〕に対し
て通常0.01〜10モル倍程度好ましくは0.1〜2モル倍と
するのが適当である。
枝状又は環状の飽和又は不飽和炭化水素基又は水素原子
を示す。また、2つのR3は互いに結合してピロリジン環
を形成してもよい。〕 で表わされるピリジン誘導体又は三級アミン類等が使用
できる。具体的には、N,N−ジメチル−4−アミノピリ
ジン、N,N−ジメチル−4−アミン−2−メチルピリジ
ン、N,N−ジエチル−4−アミノピリジン、N,N−ジブチ
ル−4−アミノ−3−エチルピリジン、4−ピロリジノ
ピリジン、4−ピロリジノ−2−イソプロピルピリジ
ン、4−ピロリジノ−3−ブチルピリジン等のピリジン
誘導体、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソ
プロピルエチルアミン、トリオクチルアミン、トリプロ
ピルアミン、トリイソプロピルアミン等の三級アミン類
等を例示できる。触媒の使用量は、化合物〔II〕に対し
て通常0.01〜10モル倍程度好ましくは0.1〜2モル倍と
するのが適当である。
本発明においては、アシル化剤である酸ハライド〔II
I〕の炭化水素残基は、特に限定されず、飽和でも不飽
和でも又直鎖状でも分枝状でも良い。具体的には、例え
ば、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、デカン1,10−ジカルボン酸、ドデカン1,12−ジカル
ボン酸、ヘキサデカン1,16−ジカルボン酸、オクタデカ
ン1,18−ジカルボン酸、ドコサ1,22−ジカルボン酸、ト
リアコンタ1,30−ジカルボン酸、トドリアコンタ1,32−
ジカルボン酸、テトラコンタ1,40−ジカルボン酸等の酸
のハライドを例示できる。〔III〕の使用量は、化合物
〔II〕に対して通常1〜20モル倍程度、好ましくは1〜
10モル倍、特に好ましくは2〜5モル倍とするのが良
い。
I〕の炭化水素残基は、特に限定されず、飽和でも不飽
和でも又直鎖状でも分枝状でも良い。具体的には、例え
ば、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、デカン1,10−ジカルボン酸、ドデカン1,12−ジカル
ボン酸、ヘキサデカン1,16−ジカルボン酸、オクタデカ
ン1,18−ジカルボン酸、ドコサ1,22−ジカルボン酸、ト
リアコンタ1,30−ジカルボン酸、トドリアコンタ1,32−
ジカルボン酸、テトラコンタ1,40−ジカルボン酸等の酸
のハライドを例示できる。〔III〕の使用量は、化合物
〔II〕に対して通常1〜20モル倍程度、好ましくは1〜
10モル倍、特に好ましくは2〜5モル倍とするのが良
い。
上記アシル化反応は、通常0〜100℃程度好ましくは1
5〜45℃の温度で、通常1〜100時間程度好ましくは12〜
48時間で終了する。反応時の雰囲気としては、特に限定
されず、大気下で行なえば充分であるが、〔III〕の炭
化水素残基が不飽和であるときは、酸化防止のため窒
素、アルゴン、ヘリウム等の不活性雰囲気下で行なうの
が好ましい。
5〜45℃の温度で、通常1〜100時間程度好ましくは12〜
48時間で終了する。反応時の雰囲気としては、特に限定
されず、大気下で行なえば充分であるが、〔III〕の炭
化水素残基が不飽和であるときは、酸化防止のため窒
素、アルゴン、ヘリウム等の不活性雰囲気下で行なうの
が好ましい。
反応終了時は、溶媒抽出、再結晶、各種クロマトグラ
フィー等の通常の分離精製手段により容易に中間化合物
〔IV〕を単離できる。
フィー等の通常の分離精製手段により容易に中間化合物
〔IV〕を単離できる。
かくして一般式〔IV〕の化合物が得られる。その収率
は、通常少なくとも40%以上と極めて良好である。化合
物〔IV〕は上記一般式〔I〕のホスファチジルコリン誘
導体の製造中間体として使用されるだけでなく、リポソ
ーム原料及び製剤原料として有用である。
は、通常少なくとも40%以上と極めて良好である。化合
物〔IV〕は上記一般式〔I〕のホスファチジルコリン誘
導体の製造中間体として使用されるだけでなく、リポソ
ーム原料及び製剤原料として有用である。
次いで本発明では、上記化合物〔IV〕をホスホリパー
ゼA2を用いて加水分解することにより、化合物〔I〕を
極めて高収率で得ることができる。
ゼA2を用いて加水分解することにより、化合物〔I〕を
極めて高収率で得ることができる。
使用されるホスホリパーゼA2としては、ヘビ毒由来及
び細菌由来の公知のものが何れも使用できる。上記酵素
反応は、一般的なホスホリパーゼA2酵素反応条件に従え
ばよく、例えば、化合物〔IV〕10〜100重量部を緩衝液
に分散させ、超音波処理してリポソーム化した後、ホス
ホリパーゼA2を加える方法、化合物〔IV〕10〜100重量
部をクロロホルム、エーテル、エタノール等の有機溶媒
に溶解し、これにホスホリパーゼA2を含む緩衝液を加え
る方法等を挙げることができる。酵素量は特に制限され
ないが、通常化合物〔IV〕1gに対し2〜5mg程度とすれ
ばよい。反応温度は、20〜50℃の範囲で任意に選択でき
るが、反応効率を考えると30〜40℃での反応が望まし
い。一般的にホスホリパーゼA2は塩化カルシウムの存在
により活性化されるため反応系への塩化カルシウムの添
加が望ましい。塩化カルシウムは緩衝液中での濃度が0.
01〜1M程度になる様に添加する。望ましくは0.1〜0.5M
程度添加するのが適当である。使用される緩衝液の種類
は酵素の由来に応じて適宜選択すればよいが、例えば、
トリス−塩酸緩衝液、リン酸緩衝液、グッド(good)の
緩衝液等を挙げることができる。撹拌濃度は有機溶媒を
用いた場合は反応進行率に大きな影響を与える。通常10
0〜1000rpm、好ましくは300〜500rpmで行うのが良い。
び細菌由来の公知のものが何れも使用できる。上記酵素
反応は、一般的なホスホリパーゼA2酵素反応条件に従え
ばよく、例えば、化合物〔IV〕10〜100重量部を緩衝液
に分散させ、超音波処理してリポソーム化した後、ホス
ホリパーゼA2を加える方法、化合物〔IV〕10〜100重量
部をクロロホルム、エーテル、エタノール等の有機溶媒
に溶解し、これにホスホリパーゼA2を含む緩衝液を加え
る方法等を挙げることができる。酵素量は特に制限され
ないが、通常化合物〔IV〕1gに対し2〜5mg程度とすれ
ばよい。反応温度は、20〜50℃の範囲で任意に選択でき
るが、反応効率を考えると30〜40℃での反応が望まし
い。一般的にホスホリパーゼA2は塩化カルシウムの存在
により活性化されるため反応系への塩化カルシウムの添
加が望ましい。塩化カルシウムは緩衝液中での濃度が0.
01〜1M程度になる様に添加する。望ましくは0.1〜0.5M
程度添加するのが適当である。使用される緩衝液の種類
は酵素の由来に応じて適宜選択すればよいが、例えば、
トリス−塩酸緩衝液、リン酸緩衝液、グッド(good)の
緩衝液等を挙げることができる。撹拌濃度は有機溶媒を
用いた場合は反応進行率に大きな影響を与える。通常10
0〜1000rpm、好ましくは300〜500rpmで行うのが良い。
反応終了後は、濃縮、溶媒による再沈、クロマトグラ
フィー等の公知の精製手段により容易に目的物が単離出
来、収率90%以上と極めて良好である。
フィー等の公知の精製手段により容易に目的物が単離出
来、収率90%以上と極めて良好である。
発明の効果 本発明によれば、下記の如き格別顕著な効果が得られ
る。
る。
(1)温和な反応条件且つ高収率並びに高純度で目的化
合物が製造できる。
合物が製造できる。
(2)L体、D体、DL体のいずれにも適用できる。
(3)得られた目的化合物は、勿論重金属を一切含有し
ていないので、医薬品、化粧品等の生理学的用途に好適
に使用できる。
ていないので、医薬品、化粧品等の生理学的用途に好適
に使用できる。
(4)特に上記(1)及び(2)により、一般式〔I〕
の化合物の工業的製造法として極めて好適である。
の化合物の工業的製造法として極めて好適である。
実施例 以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体
的に説明する。
的に説明する。
実施例1 L−α−グリセロホスファチジルコリン3gをメタノー
ル100mlに溶解し、この溶液中に硫酸マグネシウム30gを
加えて撹拌した。エバポレーターにてメタノールを留去
して得られる残渣を粉末とした。これを300ml4つ口フラ
スコに入れた。この反応容器に4−ピロリジノピリジン
2.8g及び1.32−ドトリアコタンジオイルジクロライド1
2.2gを加え、30℃で24時間反応した。反応終了後、硫酸
マグネシウムを過し液を濃縮した。この反応粗製物
をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して1,2−
(1′,30′−ドトリアコンタンジオイル)−Sn−グリ
セロ−3−ホスファチジルコリン 3.93g(収率46%)
を得た。
ル100mlに溶解し、この溶液中に硫酸マグネシウム30gを
加えて撹拌した。エバポレーターにてメタノールを留去
して得られる残渣を粉末とした。これを300ml4つ口フラ
スコに入れた。この反応容器に4−ピロリジノピリジン
2.8g及び1.32−ドトリアコタンジオイルジクロライド1
2.2gを加え、30℃で24時間反応した。反応終了後、硫酸
マグネシウムを過し液を濃縮した。この反応粗製物
をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して1,2−
(1′,30′−ドトリアコンタンジオイル)−Sn−グリ
セロ−3−ホスファチジルコリン 3.93g(収率46%)
を得た。
得られた1,2−(1′,30′−ドトリアコンタンジオイ
ル−Sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリン3gに0.1M
トリス緩衝液(pH7.0)300mlを加え、超音波処理(40〜
45℃×1時間)を行い、リポソーム溶液を調製した。こ
れに上記緩衝液5mlにとかしたホスホリパーゼA2〔シグ
マ社製〕10mgを加え、42℃で3時間撹拌した。反応終了
後水を大部分留去しアセトン200mlを加える。生じた沈
澱を口取し、減圧乾燥した。乾燥した結晶をクロロホル
ム−メタノール(1:1)50mlに溶解し、シリカゲルクロ
マトグラフィーにて精製し1(2)−0−1−(32−カ
ルボキシ)ヘントリアコンタノイル−sn−グリセロ−3
−ホスファチジルコリン 3.6g(収率93%)を得た。融
点は240〜245℃、▲〔α〕20 D▼は3.2(C=2.5、C/M=
2/1)であり、文献値と一致した。又、IR、NMR、マスス
ペクトルにおいても文献値と一致した。
ル−Sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリン3gに0.1M
トリス緩衝液(pH7.0)300mlを加え、超音波処理(40〜
45℃×1時間)を行い、リポソーム溶液を調製した。こ
れに上記緩衝液5mlにとかしたホスホリパーゼA2〔シグ
マ社製〕10mgを加え、42℃で3時間撹拌した。反応終了
後水を大部分留去しアセトン200mlを加える。生じた沈
澱を口取し、減圧乾燥した。乾燥した結晶をクロロホル
ム−メタノール(1:1)50mlに溶解し、シリカゲルクロ
マトグラフィーにて精製し1(2)−0−1−(32−カ
ルボキシ)ヘントリアコンタノイル−sn−グリセロ−3
−ホスファチジルコリン 3.6g(収率93%)を得た。融
点は240〜245℃、▲〔α〕20 D▼は3.2(C=2.5、C/M=
2/1)であり、文献値と一致した。又、IR、NMR、マスス
ペクトルにおいても文献値と一致した。
比較例1 300ml4つ口フラスコにL−α−グリセロホスファチジ
ルコリン塩化カドミウム錯体3g及びクロロホルム120ml
とクロロホルム30mlに溶解させたN,N−ジメチル−4−
アミノピリジン1.6gを加えた。このフラスコを0℃に冷
却し、クロロホルム50mlに溶解した1,32−ドトリアコン
タンジオイルジクロライド7.76gをゆっくりと滴下し
た。室温で24時間撹拌した。反応終了後、残渣を濃縮
し、イオン交換樹脂、アンバーライト及びアンバーリス
ト各100mlを用いてcd.4−AMを除去した後、シリカゲル
クロマトグラフィーにより精製した。その結果、1,2−
(1′,32′−ドトリアコンタンジオイル)−Sn−グリ
セロ−3−ホスファチジルコリンが0.36g(収率7%)
得られた。この1.2−(1′,32′−ドトリアコンタンジ
オイル)−Sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリンを
実施例1と同様にしてホスホリパーゼA2により加水分解
し、1(2)−0−1−(32−カルボキシヘントリアコ
ンノイル−Sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリン0.
33g(収率93%)を得た。収率は総計6.51%であった。
ルコリン塩化カドミウム錯体3g及びクロロホルム120ml
とクロロホルム30mlに溶解させたN,N−ジメチル−4−
アミノピリジン1.6gを加えた。このフラスコを0℃に冷
却し、クロロホルム50mlに溶解した1,32−ドトリアコン
タンジオイルジクロライド7.76gをゆっくりと滴下し
た。室温で24時間撹拌した。反応終了後、残渣を濃縮
し、イオン交換樹脂、アンバーライト及びアンバーリス
ト各100mlを用いてcd.4−AMを除去した後、シリカゲル
クロマトグラフィーにより精製した。その結果、1,2−
(1′,32′−ドトリアコンタンジオイル)−Sn−グリ
セロ−3−ホスファチジルコリンが0.36g(収率7%)
得られた。この1.2−(1′,32′−ドトリアコンタンジ
オイル)−Sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリンを
実施例1と同様にしてホスホリパーゼA2により加水分解
し、1(2)−0−1−(32−カルボキシヘントリアコ
ンノイル−Sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリン0.
33g(収率93%)を得た。収率は総計6.51%であった。
Claims (1)
- 【請求項1】式 で表わされるグリセロホスファチジルコリンを、金属酸
化物、高級脂肪酸のアルカリ金属塩若しくはアルカリ土
類金属塩及び無機中性塩からなる群より選ばれる少なく
とも1種の担体に担持させ、塩基性触媒の存在下に、一
般式(XCO)2R〔式中、Rは直鎖状又は分枝状の飽和又は
不飽和炭化水素基を示す。Xはハロゲン原子を示す。〕
で表わされる酸ハライドを用いてアシル化して、一般式 〔式中、Rは上記に同じ。〕 で表わされる化合物を得、次いでこの化合物をホスホリ
パーゼA2を用いて加水分解することを特徴とする一般式 で表わされるホスファチジルコリン誘導体の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62218437A JP2517310B2 (ja) | 1987-08-31 | 1987-08-31 | ホスファチジルコリン誘導体の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62218437A JP2517310B2 (ja) | 1987-08-31 | 1987-08-31 | ホスファチジルコリン誘導体の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6461490A JPS6461490A (en) | 1989-03-08 |
JP2517310B2 true JP2517310B2 (ja) | 1996-07-24 |
Family
ID=16719898
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62218437A Expired - Fee Related JP2517310B2 (ja) | 1987-08-31 | 1987-08-31 | ホスファチジルコリン誘導体の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2517310B2 (ja) |
-
1987
- 1987-08-31 JP JP62218437A patent/JP2517310B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6461490A (en) | 1989-03-08 |
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