JP2516371B2 - 動力伝達装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （イ）産業上の利用分野 本発明は、コンバイン等の作業機における動力伝達装
置に関する。

（ロ）従来の技術 この種動力伝達装置の中には、無段変速にHST（流体
変速装置）を採用するものがある。その一例を第４図に
示す。即ち、第４図は従来の動力伝達装置要部の一部破
断側面図であり、図示のようにHST102はミッション101
に直装され、HST102の出力軸たるモータ軸104の端部に
入力プーリ111が結着されており、HST102と入力プーリ1
11とは共にミッション101に対して同じ側に配されてい
た。

（ハ）発明が解決しようとする問題点 しかしながら、上記従来の動力伝達装置にあっては、
入力プーリ111がHST102に直接付いているため、HST102
のミッション101への組付け、取外し作業に際して入力
プーリ111に巻き掛けられた駆動ベルトを取外さなけれ
ばならず、HST102の組付け、取外し作業が困難であると
いう問題がある。又、入力プーリ111がHST102に直接付
いていることによってミッションの配置が自ずと決ま
り、ミッション101を任意の位置へ配置することができ
ず、入力プーリ111に羽板を付けてこれにファンの機能
を持たせようとしても、該入力プーリ111の回転によっ
て誘起される風がミッション101に当たらず、該ミッシ
ョン101が効果的に冷却され得ないという問題もある。
更に、パワーポンプユニットがHST102と同じ側に配され
ていたため、油路の形成位置がHST102によって制限を受
けるという問題もあった。

本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的
とする処は、HSTの組付け、取外し作業の容易化、ミッ
ションの配置及びパワーポンプユニットの油路の形成の
自由度の増大、入力プーリのファン機能によるミッショ
ン及びパワーポンプユニットの冷却等を図ることができ
る動力伝達装置を提供するにある。

（ニ）問題点を解決するための手段 上記目的を達成すべく本発明は、入力プーリから入力
される動力をHST及びミッションを介して伝達する動力
伝達装置において、前記入力プーリとHSTを前記ミッシ
ョンの両側に配し、入力プーリと同じ側であって、且つ
該入力プーリの後下方位置にパワーポンプユニットを配
するとともに、前記入力プーリをその一端に結着して成
る入力軸を前記ミッションに貫通せしめ、該入力軸の他
端をHSTのポンプ軸に直結したことを特徴とする。

（ホ）作用 而して、入力プーリはミッションに対してHSTとは反
対側に配され、HSTに直接取り付けられないため、HSTの
ミッションへの組付け、取外し作業が容易化するととも
に、本機レイアウトに応じて入力軸の長さを変えること
ができるため、ミッションの配置上の自由度が増す。
又、入力プーリとパワーポンプユニットとがミッション
に対してHSTとは反対側に配されるため、入力プーリに
ファン機能を持たせてミッション及びパワーポンプユニ
ットの冷却に供せしめることができるとともに、パワー
ポンプユニットの油路をHSTによって制限を受けること
なく自由に形成することができる。

（ヘ）実施例 以下に本発明の一実施例を添付図面に基づいて説明す
る。

第１図は本発明に係る動力伝達装置の正面図、第２図
は第１図の矢視Ａ方向の図、第３図は同動力伝達装置要
部の縦断面図である。

先ず、第１図及び第２図に基づいて本動力伝達装置の
各機器の配置を説明するに、図中、１は副変速用のミッ
ションであって、該ミッション１の一方の側（第１図
中、左側）には無段変速装置たるHST2が取り付けられて
おり、該HST2のポンプ軸３にはこれと同軸上に配された
入力軸６がカップリング10によって直結されている。そ
して、この入力軸６のHST2とは反対側（第１図中、右
側）に突出する端部には回転羽板を有して成る入力プー
リ11が結着されており、この入力プーリ11と同じ側であ
って、且つ該入力プーリ11の後下方位置にはパワーポン
プユニット15が取り付けられている。尚、このパワーポ
ンプユニット15は、ミッション１に内蔵された不図示の
パワークラッチ及びパワーブレーキに圧油を供給すべき
ものであって、第２図に示す如くミッション１には該パ
ワーポンプユニット15の油路1a,1bが形成されている。

又、ミッション１の下部（両側方からは走行軸30,30
が導出しており、各走行軸30の端部には不図示の無段状
クローラを回転駆動するスプロケット31が結着されてい
る。

ここで、ミッション１内の構成の詳細を第３図に基づ
いて説明するに、ミッション１に取り付けられたHST2の
入力軸たるポンプ軸３と出力軸たるモータ軸４のそれぞ
れの端部はミッション１内に共に臨んでいる。

一方、ミッション１の上記HST2が取り付けられている
側と反対側（第１図中、右側）にはサイドカバー５が結
着されており、HST2のポンプ軸３と同一軸線上には入力
軸６がミッション１及びサイドカバー５を貫通して配さ
れている。そして、この入力軸６はボールベアリング7,
8,9によって３点で回転自在に支承され、そのミッショ
ン１内に臨む一端は前記HST2のポンプ軸３にカップリン
グ10にて直結されており、HST2の取付側とは反対側に突
出する他端には入力プーリ11が結着されている。従っ
て、HST2と入力プーリ11とはミッション１の左右両側に
配されることとなる。尚、図示しないが、入力プーリ11
と不図示のエンジンの出力軸端に結着された出力プーリ
との間には駆動ベルトが巻き掛けられている。

又、上記入力軸６のミッション１内に臨む中間部には
パワーポンプ駆動ギヤ12が結着されており、該パワーポ
ンプ駆動ギヤ12はパワーポンプ駆動軸13上に結着された
パワーポンプ駆動ギヤ14に常時噛合している。上記パワ
ーポンプ駆動軸13はミッションケース１内に回転自在に
配されており、これはミッション１の入力プーリ11が配
された側（第１図中、右側）に取り付けられた前記パワ
ーポンプユニット15のパワーポンプ軸16に直結されてい
る。そして、該パワーポンプ駆動軸13上には走行駆動ギ
ヤ17がボールベアリング18,18にて自由回転自在に設け
られており、該走行駆動ギヤ17はアイドルギヤとして機
能するものである。

更に、前記HST2のモータ軸４のミッション１内に臨む
端部は、ボールベアリング19,19にてミッション１内に
回転自在に支承された出力軸20にカップリング21にて直
結されており、該出力軸20には走行駆動ギヤ22が結着さ
れていて該走行駆動ギヤ22は自由回転自在な前記走行駆
動ギヤ17に常時噛合している。

又、ミッション１内には副変速軸23がボールベアリン
グ24,25にて回転自在に支承されて配されており、該副
変速軸23上にはシフトギヤ26が軸方向（図中、左右方
向）に摺動自在にスプライン嵌合されるとともに、ギヤ
27が結着されており、ギヤ27は前記走行駆動ギヤ17に常
時噛合している。そして、副変速軸23のミッション１外
へ臨む端部にはワンウェイクラッチ28を介して出力プー
リ29が結着されており、該出力プーリ29は不図示の駆動
ベルトを介して刈取部等の作業部を駆動する。尚、前記
シフトギヤ26は不図示のシフトフォークにて副変速軸23
上を摺動せしめられ、これによって走行駆動系の副変速
がなされる。

次に本動力伝達装置の作用を説明する。

不図示のエンジンからの回転動力は駆動ベルト及び入
力プーリ11を経て入力軸６に入力され、該入力軸６が回
転駆動される。そして、この入力軸６が回転駆動される
と、該入力軸６に直結されたHST2のポンプ軸３が一体に
回転駆動されると同時に、パワーポンプ駆動ギヤ12,14
を経てパワーポンプ駆動軸13が回転駆動されてパワーポ
ンプユニット15が駆動される。

上記のポンプ軸３の回転はHST2によって無断変速され
てモータ軸４に出力され、該モータ軸４に直結された出
力軸20が所定の速度で回転駆動される。そして、該出力
軸20の回転は走行駆動ギヤ22,17及びギヤ27を経て副変
速軸23に伝達されて該副変速軸23が回転駆動されこの副
変速軸23の回転動力の一部は出力プーリ29を経て刈取部
等の作業機部に伝達されて該作業機部が駆動されるとと
もに、他の一部の回転動力はシフトギヤ26等を経て走行
駆動系に伝達されて走行軸30,30の端部に結着されたス
プロケット31,31が回転駆動され、不図示のクローラが
駆動される。

以上において、入力プーリ11はミッション１に対して
HST2とは反対側に配され、HST2に直接取り付けられない
ため、HST2に直接取り付けられないため、HST2のミッシ
ョン１への組付け、取外し作業に際して入力プーリ11に
巻き掛けられた駆動ベルトを取外す作業が不要となり、
HST2のミッション１への組付け、取外し作業が容易化す
るとともに、本機レイアウトに応じて入力軸６の長さを
変えることができるため、ミッション１の配置上の自由
度を増すことができる。又、入力プーリ11とパワーポン
プユニット15とがミッション１に対してHST2とは反対側
に配されるため、入力プーリ11をファンとして機能せし
めた場合、該入力プーリ11によって誘起される風をミッ
ション１及びパワーポンプユニット15に直接当ててこれ
らを効果的に冷却することができる。更に、パワーポン
プユニット15をHST2とは逆側に配することによって、該
パワーポンプユニット15の油路1a,1bをHST2によって制
限を受けることなく自由に形成することができる。

（ト）発明の効果 以上の説明で明らかな如く本発明によれば、入力プー
リ（11）から入力される動力をHST（２）及びミッショ
ン（１）を介して伝達する動力伝達装置において、前記
入力プーリ（11）とHST（２）を前記ミッション（１）
の両側に配し、入力プーリ（11）と同じ側であって、且
つ該入力プーリ（11）の後下方位置にパワーポンプユニ
ット（15）を配するとともに、前記入力プーリ（11）を
その一端に結着して成る入力軸（６）を前記ミッション
（１）に貫通せしめ、該入力軸（６）の他端をHST
（２）のポンプ軸（３）に直結したため、HST（２）の
組付け、取外し作業の容易化、ミッション（１）の配置
及びパワーポンプユニット（15）の油路の形成の自由度
の増大、入力プーリ（11）のファン機能によるミッショ
ン（１）及びパワーポンプユニット（15）の冷却等を図
ることができるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る動力伝達装置の正面図、第２図は
第１図の矢視Ａ方向の図、第３図は同動力伝達装置要部
の縦断面図、第４図は従来の動力伝達装置要部の一部破
断側面図である。 １…ミッション、２…HST、３…ポンプ軸、６…入力
軸、11…入力プーリ、15…パワーポンプユニット。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】入力プーリ（11）から入力される動力をHS
   T（２）及びミッション（１）を介して伝達する動力伝
   達装置において、前記入力プーリ（11）とHST（２）を
   前記ミッション（１）の両側に配し、入力プーリ（11）
   と同じ側であって、且つ該入力プーリ（11）の後下方位
   置にパワーポンプユニット（15）を配するとともに、前
   記入力プーリ（11）をその一端に結着して成る入力軸
   （６）を前記ミッション（１）に貫通せしめ、該入力軸
   （６）の他端をHST（２）のポンプ軸（３）に直結した
   ことを特徴とする動力伝達装置。