JP2514661B2 - ジヨイントシ−ト - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は、化学工業、自動車、船舶、各種機器装置な
どの広範囲な産業分野において利用されているガスケッ
トの基材として用いられるジョイントシートに関する。

発明の技術的背景ならびにその問題点 従来ジョイントシートとしては、石綿製ジョイントシ
ートが広く用いられてきた。この石綿ジョイントシート
は、石綿を基材繊維とし、これに結合剤としてのゴム、
ゴム薬品および充填剤を混練してジョイントシート形成
用組成物を調製し、この組成物を、熱ロールと冷却ロー
ルとからなる一対のロール間に挿入して加熱圧延し、ジ
ョイントシート形成用組成物を熱ロール側に積層させ、
次いで熱ロールに積層されたシート状物を剥離すること
によって製造されてきた。

このような石綿ジョイントシートは、基材繊維として
の石綿を60〜80重量％の割合で含んでいるが、近年に至
って石綿資源の枯渇およびそれに伴なう入手難の問題が
生ずるとともに、石綿の人体に対する悪影響も指摘さ
れ、石綿の使用は再検討され始めている。このため石綿
に代わる繊維基材を用いてジョイントシートを製造しよ
うとする研究が盛んに行なれている。たとえば石綿の代
替繊維として、ガラス繊維、カーボン繊維、セラミック
繊維などの無機繊維あるいは芳香族ポリアミド繊維、ポ
リエチレン繊維などの有機繊維を用いることによって、
ジョイントシートを製造しようとする試みがなされてい
る。

ところでガラス繊維、セラミック繊維などの無機繊維
を単独で基材繊維として用いようとすると、基材繊維と
結合剤としてのゴムのなじみ性が低く、得られるジョイ
ントシートは引張強度が低いという問題点がある。

またガラス繊維などの無機繊維は、ゴム材との混練時
に折れてアスペクト比が低下し、この点からも引張強度
に優れたジョイントシートを得ることはできないという
問題点があった。

一方、芳香族ポリアミド繊維あるいはフィブリル化し
た芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維を基材繊維とし
て用いようとする場合、特にフィブリル化した芳香族ポ
リアミド繊維を基材繊維として用いようとする場合に
は、有機繊維を結合剤としてのゴムベース中に均一に分
散させて混練することが難かしく、このため得られるジ
ョイントシートのシール特性が充分に満足のいくもので
はないという問題点があった。

また、ガラス繊維などの無機繊維と芳香族ポリアミド
繊維などの有機繊維とを組合せて基材繊維として用いて
も、やはり得られるジョイントシートは引張強度に劣る
という問題点がある。また、無機繊維を用いずに有機繊
維のみを基材繊維として用い、この有機繊維とクレーな
どの充填材とを組合せて用いてジョイントシートを形成
しようとする試みがあるが、この場合にも得られるジョ
イントシートの引張強度は小さいという問題点がある。
しかも、上記のいずれの場合にも次のような問題点があ
ることがわかった。すなわち、有機繊維、ガラスなどの
無機繊維そしてクレーなどの充填材を含んでなるジョイ
ントシート形成用組成物を熱ロールと冷却ロールとによ
って加熱圧延して熱ロールにシート状に付着させるに際
して、該組成物が冷却ロールに付着することがあって加
工性に劣り、製造工程上のトラブルの原因となることが
見出された。また、前記組成物を熱ロールと冷却ロール
とによって加熱圧延して熱ロールにシート状に付着させ
るに際してロール面圧あるいはロール温度が変動する
と、熱ロールに均一な厚みに付着させることができなく
なり、得られるジョイントシートの厚みにばらつきが生
じやすくなることが見出された。

上記のようなジョイントシート形成用組成物が冷却ロ
ールに付着するという問題点を解決するため、ジョイン
トシート形成用組成物中に、界面活性剤などの帯電防止
剤を添加することが本発明者らによって検討されたが、
ジョイントシート形成用組成物中に帯電防止剤を配合す
ることはコスト面などにおいて必ずしも好ましいことで
はないという問題点がある。

本発明者らは、上記の従来技術に伴なう問題点を一挙
に解決するため鋭意研究したところ、ジョイントシート
形成用組成物の基材繊維として、石綿以外の無機繊維と
繊維状のセピオライトとを用いることによって、上記問
題点が一挙に解決しうることを見出して本発明を完成す
るに至った。

発明の目的 本発明は、上述のように、石綿を用いないジョイント
シートに伴う問題点を解決しようとするものであって、
優れた引張強度を有し、しかもジョイントシート形成用
組成物の加熱圧延時に該組成物が冷却ロールに付着する
ことがないため加工性に優れるとともに加熱圧延条件が
多少変動しても作業性の低下が生ずることのないような
ジョイントシートを提供することを目的としている。

発明の概要 本発明に係るジョイントシートは、石綿以外の無機繊
維とセピオライトとからなる基材繊維と、ゴム用溶剤と
ゴム材とゴム薬品とを含んでなるジョイントシート形成
用組成物から、一対のロールを用いて製造されてなるこ
とを特徴としている。場合によっては、上記各成分に加
えて、たとえば芳香族ポリアミド繊維、フィブリル化し
た芳香族ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維などの有
機繊維あるいはクレー、マイカ、ウォラストナイトなど
の充填材を含有してもよい。

本発明に係るジョイントシートは、基材繊維として石
綿以外の無機繊維とセピオライトとを用いているため、
ジョイントシートの製造時にジョイントシート形成用組
成物が冷却ロールに付着することがなく、しかも引張強
度などの機械的強度に優れたジョイントシートが得られ
る。

発明の具体的説明 本発明に係るジョイントシートは、石綿以外の無機繊
維とセピオライトとからなる基材繊維、ゴム材およびゴ
ム薬品からなっているが、以下に各成分について詳細に
説明する。

基材繊維して用いられる無機繊維としては、石綿繊維
以外の、ガラス繊維、セラミック繊維、岩綿、鉱滓綿、
溶融石英繊維、化学処理高シリカ繊維、溶融硅酸アルミ
ナ繊維、アルミナ連続繊維、安定化ジルコニア繊維、窒
化ホウ素繊維、チタン酸アルカリ繊維、ウィスカー、ボ
ロン繊維、炭素繊維、金属繊維などの従来ジョイントシ
ート形成用基材繊維として公知の無機繊維が広く用いら
れる。この無機繊維は、ジョイントシート中に５〜80重
量％好ましくは20〜60重量％の量で用いられることが好
ましい。なお本発明に係る無機繊維として、石綿繊維を
少量含有することもできる。

なお基材繊維として、上記のような無機繊維を単独で
用いると、得られるジョイントシートは耐熱性には優れ
ているが、引張強度などの機械的強度に劣ってしまうた
め好ましくない。

本発明で基材繊維として上記のような無機繊維と組合
せて用いられるセピオライトとしては、３〜3000μ好ま
しくは20〜100μ程度の繊維長を有するものいが用いら
れる。平均直径が0.01〜20μのものが好ましい。このセ
ピオライトは、マグネシウムの含水ケイ酸塩系の粘土鉱
物であって、二酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化カル
シウム、酸化アルミニウム、酸化鉄などからなり、多少
の付着水分を含んでいる。またこのセピオライトは、い
わゆるレンガ積み構造を有しており、大きな吸着性を有
しており、また独特のレオロジー特性ならびに固結性を
有している。

このようなセピオライトは、従来その吸着性などを利
用して、油の脱色精製などにモンモリロナイトと同様に
用いられたり、あるいは犬、猫などのペット用の敷砂、
農薬の賦形剤などに用いられてきているが、ジョイント
シートガラス繊維などの無機繊維と組合せて用いられた
ことはなかった。

セピオライトは、ジョイントシート中に５〜80重量％
好ましくは20〜60重量％の量で用いられる。

基材繊維としてセピオライトを単独で用いると、得ら
れるジョイントシートは引張強度などの機械的強度に優
れているが、耐熱性に劣ってしまうため好ましくない。

本発明に係るジョイントシートでは、基材繊維として
無機繊維とともにセピオライトを用いることによって、
得られるジョイントシートに引張強度などの強度を提供
し、またセピオライトとともに無機繊維を用いることに
よって、得られるジョイントシートに耐熱性を提供して
いる。

さらに場合によっては、上記の石綿以外の無機繊維と
セピオライトとからなる基材繊維に加えて、有機繊維を
用いることもできる。このような有機繊維としては、芳
香族ポリアミド繊維、フィブリル化した芳香族ポリアミ
ド繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポ
リエステル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリ
ビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ
尿素系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリフルオロカーボ
ン系繊維、フェノール繊維、セルロース系繊維などの従
来ジョイントシート形成用基材繊維として公知の有機繊
維が広く用いられる。このうち、芳香族ポリアミド繊維
（商品名ケブラー、デュポン社製）ならびにフィブリル
化した芳香族ポリアミド繊維（商品名ケブラーパルプ）
が好ましく用いられる。

ゴム材は、上記の繊維類を結合する役割を果たしてお
り、ニトリルゴム（NBR）、スチレンブタジエンゴム（S
BR）、イソプレンゴム（IR）、クロロプレンゴム（C
R）、ブタジエンゴム（BR）、ブチルゴム（IIR）、エチ
レン−プロピレンゴム（EPM）、フッ素ゴム（FPM）、シ
リコーンゴム（Si）、クロロスルフォン化ポリエチレン
（CSM）、エチレン酢ビゴム（EVA）、塩化ポリエチレン
（CPE）、塩化ブチルゴム（CIR）、エピクロルヒドリン
ゴム（ECO）、ニトリルイソプレンゴム（NIR）、天然ゴ
ム（NR）などの従来ジョイントシート形成用ゴムとして
公知のゴムが広く用いられる。

またこれらのゴム材たとえばSBRにナフテン系のプロ
セス油が配合された油展ゴムもゴム材として用いること
ができる。さらにまた、このような油展ゴムと上記のよ
うなゴム材とを組合せて用いることもできる。

このゴム材は、ショイントシート中に10〜40重量％の
量で用いられることが好ましい。

ゴム薬品としては、（ｉ）硫黄、酸化亜鉛、酸化マグ
ネシウム、過酸化物、ジニトロソベンゼンなどの加硫
材、（ii）チアゾール系化合物、ポリアミン系化合物、
スルフェンアミド系化合物、ジチオカルバメート系化合
物、アルデヒドアミン系化合物、グアニジン系化合物、
チオ尿素系化合物、キサンテート系化合物などの加硫促
進剤が用いられる。

またゴム薬品に加えて必要に応じて充填材を用いるこ
ともでき、このような充填材としては、クレー、タル
ク、硫酸バリウム、重炭素ナトリウム、グラファイト、
硫酸鉛、トリポリ石などが広く用いられる。これらのゴ
ム薬品および充填材は、従来ジョイントシート形成用と
して公知のものである。

このゴム薬品は、ジョイントシート中に0.5〜20重量
％の量で用いられることが好ましい。また充填材は、０
〜80重量％の量で用いられることが好ましい。

次に本発明に係るジョイントシートの製造方法につい
て説明する。

トルエン、ゴム揮などのゴム材用溶剤にゴム材を溶解
させ、これにゴム薬品に混入する。得られた溶液または
分散液に、石綿以外の無機繊維とセピオライトとを配合
して均一になるように混練し粘土状のジョイントシート
形成用組成物を準備する。次いでこの組成物を熱ロール
と冷却ロールとからなる一対のロール間に挿入して加熱
圧延する。この際、熱ロールは120〜160℃の温度に、ま
た冷却ロールは50℃以下の温度に保たれていることが好
ましく、このような一対のロールを含む装置は、シータ
ー装置として公知である。

上記のようにしてジョイントシート形成用組成物を一
対のロール間に挿入すると、該組成物は加熱圧延されて
熱ロール側にシート状に積層される。このシート状の組
成物を熱ロールから剥離させると、ジョイントシートが
得られる。

なおゴム材用溶剤は、ジョイントシート形成用組成物
の混練工程および加熱圧延工程でほとんど完全に蒸散し
てしまう。

この際、基材繊維として石綿以外の無機繊維に加えて
セピオライトを用いたいジョイントシート形成用組成物
は、成形時に、冷却ロールに付着することが少なく、し
かももし冷却ロールに付着しても、この冷却ロールに水
をかけるなどすると簡単に取ることができ、したがって
作業性にも優れ、その上該組成物に無駄が生ずることも
ないという大きな効果が得られる。したがってショイン
トシート形成用組成物中に帯電防止剤を添加することは
必ずしも必要ではない。

なおこのような冷却ロールへのジョイントシート形成
用組成物の付着防止は、該組成物中に有機帯電防止剤を
0.1〜10重量％の量で添加することによって高めること
ができる。有機帯電防止剤としては、ラウリルトリメチ
ルアンモニウムクロリドなどのカチオン性帯電防止剤、
アルキル硫酸エステルなどのアニオン性帯電防止剤、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテルなどの非イオン性帯
電防止剤、ベタインなどの両性帯電防止剤、水溶性ポリ
マー帯電防止剤あるいはケイ素化合物系帯電防止剤など
が用いられる。

またジョイントシート形成用組成物の一対のロールに
よる加熱圧延時に、加熱圧延条件が多少変動しても作業
性が低下することがなく、均一な厚みおよび特性を有す
るジョイントシートが得られる。

このようにして得られる本発明に係るジョイントシー
トは、ガラス繊維などの無機繊維のみを用いた場合と比
較して、引張強度が著しく優れている。

また、セピオライトを基剤繊維として用いると、この
セピオライトは吸着性に優れているためか、ジョイント
シート形成用組成物中に含まれるゴム材用溶剤が常温で
は蒸散しにくく、したがってジョイントシート形成用組
成物が乾燥しにくくなり、この意味からも該組成物を加
熱圧延する際に加工性が良好となる。

発明の効果 本発明に係るジョイントシートは、基材繊維として石
綿以外の無機繊維とセピオライトとを組合せて用いてい
るため、ジョイントシートの製造時にジョイントシート
形成用組成物が冷却ロールに付着することがなく、また
加熱圧延条件が多少変動しても作業性が低下することが
なく、したがって著しく加工性に優れており、また引張
強度などの機械的強度に優れるとともに耐熱性に優れた
ジョイントシートが得られる。

以下本発明を実施例により説明するが、本発明はこれ
ら実施例に限定されるものではない。

実施例１〜４および比較例１〜２ 以下の表１に示すような組成を有するジョイントシー
ト形成用組成物を前述の方法により調製した。なお溶剤
量はジョイントシート形成用組成物1kgに対する量（1:
リットル）を示す。

得られた組成物を130℃に保たれ加熱ロールと30℃に
保たれた冷却ロールとの間に挿入して加熱圧延した。こ
のようにすると、該組成物は熱ロール側にシート状に積
層された。このシート状物を熱ロールからドクターブレ
ードにより剥離してジョイントシートを得た。

この際ジョイントシート形成用組成物の冷却ロールへ
の付着は認められなかった。

得られたジョイントシートの引張強度（Kgf/mm²）、
圧縮率（％）および復元率（％）を、常温で測定した。

また得られたジョイントシートを、フォード法ESE−
Ｍ 8G 106−Ｂに準備して1000゜Ｆ（538℃）に22時間
保持した後、引張強度変化率（％）、圧縮率および復元
率を測定した。またこの熱老化試験後のジョイントシー
トの外観を観察した。

結果を表１に示す。

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】石綿以外の無機繊維とセピオライトとから
   なる基材繊維と、 ゴム材用溶剤とゴム材とゴム薬品とを含んでなるジョイ
   ントシート形成用組成物から、 一対のロールを用いて製造されてなることを特徴とする
   ジョイントシート。
2. 【請求項２】セピオライト繊維状であり、３〜3000μの
   長さを有するものである特許請求の範囲第１項に記載の
   ショイントシート。
3. 【請求項３】セピオライトがジョイントシート中に５〜
   80重量％の量で用いられている特許請求の範囲第１項に
   記載のジョイントシート。
4. 【請求項４】石綿以外の無機繊維が、ガラス繊維または
   セラミック繊維であり、ジョイントシート中に５〜80重
   量％の量で用いられている特許請求の範囲第１項に記載
   のジョイントシート。