JP2514436Y2 - 静電記録装置の上搬送装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、静電記録装置の上搬送装置に関する。

従来技術 レーザプリンタ、電子写真複写機、ファクシミリ等の
乾式静電写真プロセスを利用した静電記録装置では、感
光体上に形成されたトナー像が転写紙に転写され、感光
体より分離された後定着装置迄搬送され、定着されて記
録が行なわれる。

これらの記録装置で原稿をコンタクトガラス上に載置
する必要のないレーザプリンタ等では、感光体への光書
込位置を感光体の下部とすることが容易であり、感光体
の上側で転写を行なうことにより、転写紙搬送路を直線
状とし、転写面を下にしてスタックすることができるの
で頁順に重ねられ、ジャム紙の除去が容易であり、又転
写紙上へ未定着のトナーが落ちることがない等の種々の
利点がある所から、転写紙の転写面を下に向けて感光体
の上側を搬送し感光体の上部でトナー像が転写され、定
着装置迄の間未定着トナー像を担持した面を下に向けて
搬送されるいわゆる上搬送方式が考えられる。

しかし、感光体と定着装置とは、熱の影響を考慮し
て、ある程度離して設けられており、又、定着前の転写
紙は下面に未定着のトナー像を単に静電吸着しているだ
けであるので、転写紙下面に接触させて案内する部材を
設けることはできない。厚手の、あるいは腰の強い用紙
であれば補助手段なしに転写分離部より定着装置迄搬送
することも可能であるが、多くの用紙では、先端が定着
ローラに達する迄の間の用紙先端部又は後端が感光体よ
り離れた後の片持状態になった場合は転写紙は自重によ
り垂下し、先端が定着ローラに咬持されなかったり、後
端部の画像面を他の部材で擦ったりする。そこで、上搬
送方式では、搬送補助手段として、転写紙搬送路の上側
に、吸引口を設けて転写紙上側面を吸引しながら搬送す
るようにした装置が一般に採用されている。

第10図は、この方式の上搬送装置を有するレーザプリ
ンタの一例の概略構成を示す図であって、給紙装置１か
ら矢印Ａ方向に給送されて転写紙２は、レジスターロー
ラ対3a,3bによりタイミングを取って感光体ドラム４の
上側に設けられた転写チャージャ８と感光体ドラム４と
の間の転写部に搬送される。感光体ドラム４の下部には
帯電チャージャ５が設けられ、これと転写部との間には
感光体の回転方向の順にレーザ光学系６による書込位
置、現像装置７が設けられている。これらのプロセス機
器により感光体ドラム４上に形成されたトナー像は、転
写チャージャ８の作用のもとに転写紙２に転写され、転
写後転写紙は感光体ドラム４より分離され、吸引搬送ユ
ニット16により裏面を吸引されながら転写紙前後端部が
片持状態の場合にも垂下することなく定着装置９に搬送
され定着されて排紙ローラ対17a,17bにより矢印Ｂ方向
に機外の排紙トレイ11に排出される。一方、転写後感光
体ドラム４に残留したトナーはクリーニングブレード12
を有するクリーニング装置によって除去され、トナー回
収タンク13に回収される。

この例のレーザープリンタは、給紙装置１と定着装置
９の部分を除く転写紙搬送経路Ａ−Ｃ−Ｂの上側の部分
は上ユニット10aを構成し、その他の部分より成る下ユ
ニット10と図において左端の軸18により互いに枢着さ
れ、上ユニット10aを跳ね上げて大きく開放することが
できるようになっている。上ユニット10aには、上レジ
スターローラ3a、転写分離チャージャ８、吸引搬送ユニ
ット16、上搬紙ローラ17aが含まれる。

吸引搬送ユニット16は、第10図及び第11図に示す如
く、上ユニット10aのカバーと一体となって、概ね密閉
された筐体として形成され、その下面には転写紙搬送方
向に関して上流側より、レジスター前上ガイド部16c、
上レジスターローラ3aが納まる凹部、転写前上ガイド部
16d、転写・分離チャージャ８が納まる凹部15f、分離後
の転写紙搬送面16iが形成されている。吸引搬送ユニッ
ト16の内部の転写紙搬送面16iの上部に相当する部分に
は、全幅に亘ってファン16bが設けられており、矢印で
示す如く、搬送面に穿設された多数の開孔16iより空気
を吸気し、上記２つの凹部とレジスター前上ガイド部16
cの上部を占めるダクト部16aを経て、一方の側面に設け
られたグリル16mよりユニット外へ排気する。転写前上
ガイド部16dの外側には転写紙経路を挟んで転写前下ガ
イド部16eが取付けられる。

さて、従来、転写紙搬送面16iには第12図に示す如く
多数の開孔16jが設けられた面に直接転写紙の上側の面
が接して吸引されながら搬送されるようにされていたの
で、開孔16jが転写紙により塞がれると、吸引搬送ユニ
ット16の内部の搬送面の上側の空間の負圧が高くなり、
転写紙は搬送面に強く吸着されて摺動抵抗が増加し、
又、搬送される転写紙の幅によっては、その先端の隅角
部が開孔16jに吸引されて内部に入り込み引掛って耳折
れを生じたり、ジャムが発生する可能性も出てくる。

考案が解決しようとする問題点 本考案は、従来の負圧吸引方式の上搬送装置の上記の
問題点にかんがみ、搬送面への用紙吸着力が異常に増大
したり、用紙の隅角部が吸気用開孔に吸込まれて引掛る
ことによる耳折れやジャム等の発生のおそれのない静電
記録装置の上搬送装置を提供することを課題とする。

課題解決のための手段 本考案は、上記の課題を解決させるため、負圧吸引方
式の上搬送装置の搬送面にその面から突出し転写紙搬送
方向に延びる複数の転写紙案内リブを設け、吸気口をそ
の案内リブの根元近傍に設けたことを特徴とする。

吸気口を案内リブの根元近傍に設ける代りに、上記の
搬送面接面を覆い、上記の案内リブが余裕を持って貫通
するスリットを有するアースされた案内板を、上記の搬
送面と間隔を置いて設けてもよい。

作用 上記の如く構成したことにより、転写紙は案内リブの
端縁に沿って摺動して搬送され、その両側は搬送面又は
アースされた案内板の案内面から浮いた状態になる。吸
気口又は案内板のスリットとリブとの隙間はその転写紙
が浮いた部分の搬送面に位置しているので、通常の腰の
強さの転写紙の場合、転写紙に塞がれることはなく、し
たがって、転写紙の吸着力が増大して摩擦抵抗が増大し
たり、転写紙の隅角部吸気口に引込まれたりすることは
ない。

案内板はアースされているので、転写紙との摩擦剥離
により帯電することもなく、転写紙が静電的に吸着され
て搬送不良になることは防止される。

しかし、転写紙が薄紙である場合は、搬送面とリブの
案内面との高さの差により、転写紙は波打状になりそれ
が矯正されずに定着器に進入すると、それが原因で転写
紙にしわが生ずる可能性がある。

そこで、上記の案内リブの案内面及び上記のアースさ
れた案内板の案内面は、転写紙搬送方向に概ね弧状をな
し、感光体側端部では上記のリブが上記の案内板の案内
面よりも搬送路側に突出し、定着装置側端部では、上記
のリブが上記の案内板の下面より突出しないような位置
関係に設けたならば、転写紙が上搬送装置を出る時には
波打状態は矯正されるので、上記の問題は解決される。

実施例 以下、本考案の実施例を、図面に基づいて詳細に説明
する。

第１図は、先に第11図により説明した上搬送方式の吸
引搬送ユニットに本考案を適用した実施例を示す図であ
る。

この実施例では、分離部から定着装置への転写紙搬送
経路の上側は従来の転写紙搬送面16iの外面に転写紙搬
送方向に設けられた複数のリブ16gの端縁によって形成
されている。吸気用開孔16iはこのリブ16gの両側近傍に
穿設されている。その他の構成は前述の従来の装置と変
る所はない。したがって、同一の部材には同一の符号が
付されている。

第２図及び第３図は夫々転写紙搬送面付近とそこを搬
送される転写紙の転写紙搬送方向及びそれに直角方向の
断面図である。

転写紙２はその上面をリブ16gの端縁に摺接して搬送
されリブ16gの間では吸気の負圧により転写紙２は面16i
の方に引かれ膨出するが、吸気用開孔16jは、リブ16gの
根元の近傍に設けられているので、通常の転写紙の場
合、その腰の強さにより、転写紙が開孔16iを塞ぐこと
はなく、吸引搬送ユニット16の内部の負圧が大きくなり
吸気力が増大して摩擦抵抗が増加することはない。又、
紙の側端位置が開孔の部分に来ても、隅角部が開孔内に
引込まれて耳折れやジャムが発生するおそれはない。

第４図、第５図及び第６図は、本考案の他の実施例の
上記実施例の第１図、第２図及び第３図に相当する図で
ある。この実施例では、吸引搬送ユニット16の従来の転
写紙搬送面16iに搬送方向に延びるリブ16gが穿設されて
いる点は上記実施例と同様である。さらに面16iとある
間隔を置いてアース板16hが搬送面16i全面を覆うように
設けられており、アース板16hには上記のリブ16gが余裕
を以て貫通するスリット16nが設けられている。アース
板16hは幅方向の端部に設けられ転写、分離チャージャ
用凹部16fに弾発的に嵌合して固定される固定部16kで所
定の位置に固定される。

この実施例の装置では、転写紙２はリブ16gの端縁及
びアース板16hの外面に沿って搬送され、吸気流はアー
ス板16hのスリット16nとリブ16gとの間の隙間を通った
後アース板16hと面16iとの間隙、吸気孔16iを経て、吸
気搬送ユニット１の内側に吸引される。したがって、搬
送中転写紙２によってリブ16gとスリット16nとの間隔が
転写紙２で塞がれることなく、搬送時の摩擦抵抗が増加
したり、転写紙の隅角部が開口に引掛ることはなく、前
記実施例と同様の効果が得られる。又、アース板16hは
金属で作られ機械にアースされているので、吸気搬送ユ
ニットがプラスチック等の非導電体で作られている場合
でも搬送面と転写紙との摩擦による帯電を防止すること
ができる。

ところで、第５図に示す如く、上搬送部の搬送方向全
長に亘ってリブ16gがアース板16hの下面から転写紙搬送
路に突出している場合は、転写紙が薄手の腰の弱い紙で
あると、リブ16gの全長にわたって第６図に示す如く吸
引気流によって転写紙２がリブ16gとスリット16nの隙間
から吸引されることによりリブ16gに沿って突出した波
打ち状態となって搬送され、この状態が充分矯正されず
に定着装置に送り込まれる。定着装置として熱ローラ定
着装置が採用されている場合は、波打状態の転写紙を通
紙するとシワが生ずる。定着入口ガイド板の位置形状
を、転写紙に強く当るように変更すると、シワの発生は
軽減させることができるが、副作用として転写紙がガイ
ド板に当ることにより、転写ずれを生じさせ、画像品質
を低下させてしまう。

第７図にこの問題を解決することのできる実施例の吸
引搬送部の通紙方向の断面図を示す。この実施例では、
アース板16hとリブ16gの案内面とは共に円滑な弧状であ
るが、その中心をずらせることにより、感光体側端部で
は、リブ16gがアース板16hの案内面より転写紙搬送路側
に突出し、定着装置側端部では、上記のリブ16gがアー
ス板16hの案内面より引込んだ状態になっている。その
結果、感光体側端部では第６図の如く転写紙２はリブ16
gの位置で突出して波打ち状態になるが、定着装置側端
部では第８図に示す如く、転写紙２はリブ16gに押圧さ
れないので、転写紙２が感光体側から定着装置側へ進む
につれて波打ちは次第に減少し、定着側端部では波打ち
はなくなって均一な平面状で定着装置に挿入され、転写
紙として薄紙を使用した場合でもシワが発生することは
なくなる。

なお、この問題を解決する他の方法として、第９図に
示す如く、リブ16gの案内面とアース板16hの案内面を同
心の円弧として形成し、定着側端部近傍で、定着側端で
リブがアース板下面から出ないようにカットかすること
も考えられる。その場合は、転写紙はカットされた面に
沿って搬送され、後端が吸着部から離れた状態で定着部
に進入し、定着入口ガイド板で転写紙の後端付近が擦ら
れ画像が乱れるおそれがある。

効果 以上の如く、本考案によれば、転写後分離された転写
紙が転写面を下に向け上面を吸引搬送手段によって搬送
される上搬送方式の場合、搬送面と転写紙の吸着力が増
大することにより、摩擦抵抗の増大や隅角部が吸引口に
引掛ることにより発生するジャム等を回避することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例の上搬送装置を示す斜視図、第
２図及び第３図は夫々その吸引搬送部の搬送方向及びそ
れに直角方向の断面図、第４図乃至第６図は本考案の他
の実施例の上記第１図乃至第３図と同様の図、第７図は
本考案の更に他の実施例の吸引搬送部の搬送方向断面
図、第８図はその定着装置側端部の断面図、第９図は適
切でない例の吸引搬送部の搬送方向断面図、第10図は上
搬送方式の静電記録装置の一例の全体構成を示す側断面
図、第11図はその上搬送装置を示す分解斜視図、第12図
はその吸引搬送部の搬送方向の断面図である。 ２……転写紙 ４……感光体ドラム ８……転写分離チャージャ ９……定着装置 10……静電記録装置 16……吸引搬送ユニット（上搬送装置） 16a……ダクト部 16b……ファン 16g……転写紙案内リブ 16h……アース板（案内板） 16i……転写紙搬送面 16j……吸気口 16n……スリット

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】静電写真プロセスにより感光体の表面に形
   成されたトナー像が転写され該感光体から分離された転
   写紙が定着装置迄の間をトナー像転写面を下に向け、上
   側面をファンの吸気により吸引される多数の吸気口が穿
   設された壁面より成る搬送面に吸引されて搬送される静
   電記録装置の上搬送装置において、 上記の搬送面に該面より突出し転写紙搬送方向に延びる
   複数の転写紙案内リブを設け、上記の吸気口を上記案内
   リブの根元近傍に設けたことを特徴とする上搬送装置。
2. 【請求項２】静電写真プロセスにより感光体の表面に形
   成されたトナー像が転写され該感光体から分離された転
   写紙が定着装置迄の間をトナー像転写面を下に向け、上
   側面をファンの吸気により吸引される多数の吸気口が穿
   設された壁面より成る搬送面に吸引されて搬送される静
   電記録装置の上搬送装置において、 上記の搬送面に該面より突出し転写紙搬送方向に延びる
   複数の転写紙案内リブを設けるとともに、上記の搬送面
   全面を覆い、上記の案内リブが余裕を持って貫通するス
   リットを有するアースされた案内板を、上記の搬送面と
   間隔を置いて設けたことを特徴とする上搬送装置。
3. 【請求項３】上記の案内リブの案内面及び上記のアース
   された案内板の案内面は、転写紙搬送方向に概ね弧状を
   なし、感光体側端部では上記のリブが上記の案内板の案
   内面より搬送路側に突出し、定着装置側端部では、上記
   のリブが上記の案内板の下面より突出しないような位置
   関係に設けられていることを特徴とする請求項２に記載
   の上搬送装置。