JP2513607B2 - 液晶組成物 - Google Patents

液晶組成物

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JP2513607B2 JP60171324A JP17132485A JP2513607B2 JP 2513607 B2 JP2513607 B2 JP 2513607B2 JP 60171324 A JP60171324 A JP 60171324A JP 17132485 A JP17132485 A JP 17132485A JP 2513607 B2 JP2513607 B2 JP 2513607B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔概要〕 ベンゼン環を三つ有する構造をとるカイラルネマティ
ック液晶とネマティック液晶との混合物からなる液晶組
成物。
〔産業上の利用分野〕
本発明は応答性と表示安定性に優れた相転移形液晶組
成物に関する。
液晶は結晶に近い規則的な分子配列と液体としての流
動性とを兼ね備えた不透明な液体であって、分子配列に
よってネマティック,コレステリックおよびスメクティ
ックの3種類に分類されているが、この中でコレステリ
ック液晶とネマティック液晶は液晶表示に有効である。
すなわちコレステリック液晶は螺旋状の分子配列をも
つ温度によって螺旋ピッチが変わり敏感に色が変化する
性質がある。
またネマティック液晶は分子が一方向に整然と配列し
ており、これに電圧を印加すると液晶分子の配列が崩れ
て白濁し光を散乱させたり、或いは光を通したりする性
質がある。
ここでコレステリック液晶の中に電界を印加すること
によりコレステリック相よりネマティック相に相転移す
るものがある。
そしてかかるコレステリック液晶にネマティック液晶
を混合した液晶組成物は電界が掛からない状態では螺旋
構造を示すコレステリック相を示しているが、電界の増
加によりネマティック相に変化し、この際の相変化がヒ
ステリシスカーブを描くことが知られている。
このことは同一の駆動電圧で光学的に異なる双安定状
態をとり得ることを示し、液晶表示に用いられている。
本発明はかかるネマティック−コレステリック相転移
型液晶表示素子に用いられる液晶の組成に関するもので
ある。
〔従来の技術〕
従来のネマティック−コレステリック相転移形液晶組
成物としてネマティック液晶としてエタン系,ビシクロ
ヘキサン系,エステル系などを、またコレステリック液
晶としてコレステリルクロライド,コレステリルナノエ
イト,CB−15(カイラルネマティック液晶)などが用い
られ、両者を混合して使用されている。
第2図はかかる液晶組成物を用いた液晶表示素子につ
いて光透過率の印加電圧依存性を示すものである。
すなわち無電界の許で液晶はラセン構造をもち白濁し
たフォーカルコニック状態(F。)であるが、印加電圧
の値が液晶の組成により決まる或る値に達すると光透過
率は矢印1のように次第に増加してホメオトロピック状
態(H)の状態となり液晶は透明となる。
次に印加電圧を下げてゆくと光透過率特性は先と同じ
工程を通らず、矢印2のようにヒステリシスループを描
いて変化し、元のフォーカルコニック状態(F′)の状
態に戻る。
そこで、光透過率がヒステリシスループを描く印加電
圧領域の中間電圧値(この図の場合Vd)の印加によって
ホメオトロピック状態(H′)とフォーカルコニック状
態(F)の双安定状態を実現することができる。
このようなネマティック−コレステリック相転移系表
示において書込み時間(H′→F)とメゾレンジ(液晶
相温度範囲)は主としてコレステリック液晶の種類によ
って決まるが、先に記したような従来のコレステリック
液晶では書込み時間(応答時間)が約4m secと長く、ま
たメゾレンジは10〜60℃と狭く、時に高温側が低いと云
う問題がある。
さて、ネマティック−コレステリック相転移形液晶表
示の特徴は単純マトリックスパネル構成で大容量表示が
可能であると共に部分書替えが可能な点にあるが、この
表示を安定に行うためには先に記したように応答時間の
短縮と、広いメゾレンジ及び第2図に示すヒステリシス
幅(以下略してΔ)が充分に大きいことが必要である。
ここでΔは光透過率の90%点と20%点との間の電圧値
として定義される。
然し、これら総ての条件を満たす液晶組成物は見当た
っておらず、かかる液晶の開発が要望されている。
〔発明が解決しようとする問題点〕 以上記したように単純マトリックスパネル構成で大容
量表示を行うには応答性が優れ、メゾレンジが特に高温
側で広く、またΔが充分に広いことが必要であるが、こ
の条件を満たす液晶組成物を実用化することが問題であ
る。
〔問題点を解決するための手段〕
上記の問題は、ネマティック−コレステリック相転移
形液晶表示に使用する液晶が、三つのベンゼン環と二つ
の不斉炭素原子とを有する構造をとるカイラルネマティ
ック液晶の10〜20重量%と、エタン系、ビシクロヘキサ
ン系およびエステル系ネマテック液晶の90〜80%との混
合物からなる液晶組成物によって解決される。
〔作用〕
本発明は螺旋ピッチが短く、またメゾレンジが高温側
で特に高いカイラルネマティック液晶を用いることによ
り応答性を向上し、またより高温領域まで使用できる液
晶組成物を提供するものである。
発明者等はネマティック−コレステリック相転移形液
晶表示において、Δと応答性を大小にコレステリック液
晶が大きな影響を与える理由を研究した結果、これらは
何れも螺旋ピッチによることが判った。
すなわち実験の結果、螺旋ピッチが或る程度まで短い
ほどΔは大きく、また応答性も良くなることが明らかに
なった。
従って目的を達成するには螺旋ピッチの短いコレステ
リック液晶を用いる必要がある。
次に液晶表示を投射形として用いる場合は光源からの
輻射熱により液晶の温度が上昇するため、メゾレンジが
高温側に広いことが必要であり、具体的にはネマティッ
ク相から等方性液体に相転移する温度を示すNI点(Nema
tic−Isotropic)が充分に高いことが必要である。
ここでNI点を高くするには一般に分子量の大きな液晶
分子が用いられるが、ネマティック液晶に適用すると液
晶組成物の粘度が上昇し、そのために駆動電圧が上り、
また一般にΔの低下を招いて好ましくない。
一方、コレステリック液晶の適用すると粘度は増加す
るが、一般にはΔの低下は生じないと云う特徴がある。
そのため液晶組成物のNI点を高めるためには分子量の
高いコレステリック液晶の添加が必要となる。
本発明なコレステリック液晶としてカイラルネマティ
ック液晶特に分子構造の中央にベンゼン環を三つ有する
構造をもつ第1図に構造式を示すカイラルネマティック
液晶を使用することによってNI点が高く、Δが大きくま
た応答性も優れた液晶組成物を実現するものである。
ここでカイラルネマティック液晶は分子中に不斉炭素
をもち螺旋構造をしている。
第3図は各種のカイラルネマティック液晶について構
造式とNI点を示すもので、図中*は不斉炭素を示してい
る。
ここでNo1に示すベンゼン環を三つ有する構造をもつ
カイルラネマティック液晶は第1図と同じであり、NI点
は115.5℃と高く、分子中に2つの不斉炭素を有してい
るために螺旋ピッチが特に短くなっている。
本発明はかかるターフェニル構造をもつカイラルネマ
ティック液晶をネマティック液晶と混合して形成するも
のであるが、前者の混合比率が多くなるほど螺旋ピッチ
は短くなるものの、前者の分子量が大きいために粘度が
上昇し、応答性が低下してしまう。
そのため混合比率の上限は30重量%とする必要があ
る。
一方、螺旋ピッチを短く保ち、またΔを大きくするた
めには下限として少なくとも前者を8重量%程度は含む
必要があり、これらのことから前者の混合比率は10〜20
重量%が適当である。
〔実施例〕
カイラルネマティック液晶は分子構造中に不斉炭素を
もつ螺旋状の液晶であり、特にターフェニル構造のカイ
ラルネマティック液晶は不斉炭素を2個備えているので
螺旋ピッツが短く、優れた液晶組成物を実現することが
できる。
第4図はNo1〜No5の各カイラルネマティック液晶につ
いて同一重量組成のネマティック液晶と組合せて液晶組
成物を作り、その有為性を比較したものである。
すなわちエタン系とビシクロヘキサン系およびエステ
ル系を組み合わしたネマティック液晶87重量%にNo1〜N
o5に示す各のカイラルネマティック液晶13重量%を混合
して5種類の液晶組成物を作り、このNI点を測定した。
またこれを配向処理を施した間隔12μmのガラス基板
の間に封入して表示装置を作り、電圧上昇時と下降時の
印加電圧−光透過率のヒステリシス幅からΔを求めたも
のである。
第4図の結果から本発明に係るNo1のベンゼン環を三
つ有する構造をとるカイラルネマティック液晶は82℃の
高温まで液晶相であると共にΔも充分に大きな値を示す
ことが判る。
〔発明の効果〕
以上記したように本発明の実施により、ネマティック
−コレステリック相転移形液晶表示において高温側のメ
ゾレンジが広く、応答性に優れ、またΔの大きな液晶表
示ができるので表示安定性に優れた大形表示が可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る液晶組成物に用いるカイラルネマ
ティック液晶の構造式を表す図、 第2図は液晶組成物の印加電圧に対する光透過率特性
図、 第3図はカイラルネマティック液晶の構造式とNI点との
関係図、 第4図はカイラルネマティック液晶の種類とこれを用い
た液晶組成物の特性図、 である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 恩田 文代 川崎市中原区上小田中1015番地 富士通 株式会社内 (72)発明者 山岸 康男 川崎市中原区上小田中1015番地 富士通 株式会社内 (56)参考文献 特開 昭57−140747(JP,A) 特開 昭59−167542(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ネマティック−コレステリック相転移形液
    晶表示に使用する液晶が、三つのベンゼン環と二つの不
    斉炭素原子とを有する構造をとるカイラルネマティック
    液晶の10〜20重量%と、エタン系、ビシクロヘキサン系
    およびエサテル系ネマティック液晶の90〜80重量%との
    混合物からなることを特徴とする液晶組成物。
JP60171324A 1985-08-02 1985-08-02 液晶組成物 Expired - Lifetime JP2513607B2 (ja)

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