JP2513552B2 - ガ―ドフェンス - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、中央分離帯、路肩或は
車道と歩道の境界等に設置するガードフェンスに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】一般に、従来実用に供されているガード
フェンスは、スティール製のガードレール、鉄筋コンク
リート製のオートガード或はワイヤロープを用いたガー
ドケーブル等が挙げられる。

【０００３】しかし、これらのうち前２者のガードレー
ルとオートガードは、衝撃吸収性に乏しい欠点を有し、
また後者のガードケーブルは、ある程度の衝撃吸収性は
有するものの強度的に不充分である。

【０００４】衝撃吸収性の不足は、車輌の運転者を初め
同乗者の負傷更には生命に係わる事故につながり、また
強度の不足は、ガードフェンスの破損により車輌の道路
からの飛び出しや転落の原因となる。特に、中央分離帯
を越えた反対車線への車輌の飛び出しは、二重三重の大
事故を誘発する危険性を有する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記の現状に鑑み、本
発明は充分な強度と共に、特に極めて衝撃吸収性に富ん
だ構造のガードフェンスを提供することにより、従来の
ガードフェンスを設置した場合に比較して、可及的に事
故を防止、乃至減少させることを意図する。

【０００６】特に、近年の車輌数の増加と高速道路等に
おけるスピードアップに起因する事故の増加にたいする
対策は、緊急課題の一つであり、本発明は、これに有効
に資することのできるガードフェンスを提供することを
課題とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するために種々検討した結果、フェンス部を箱状に
構成すると共に、砂石粒状衝撃吸収体を用いることによ
り良好な結果が得られることを見出した。

【０００８】即ち、本発明は、複数の支柱に箱状フェン
ス部が架設され、該箱状フェンス部の内部に、砂石粒状
衝撃吸収体が充填されると共に、該箱状フェンス部内
に、車道に対面する前板部と車道に対面しない背板部の
両板間、又は車道に対面する２つの縦板部間の空間部分
中に箱形状保持用補強部材が横架された状態で付設され
てなることを特徴とするガードフェンスである。

【０００９】砂石粒状衝撃吸収体としては、砂土、砂利
及び砕石類が最も好しく用いられる。

【００１０】また、一般に路肩或は車道と歩道の境界等
に設置するガードフェンス（以下、路肩等用ガードフェ
ンスと略称する）の場合は、箱状フェンス部の車道に対
面する前板部上に補強用リブが設けられ、車道に対面し
ない背板部は平面状に構成される。

【００１１】これに対して、中央分離帯に設置するガー
ドフェンス（以下、中央分離帯用ガードフェンスと略称
する）の場合は、通常、箱状フェンス部の車道に対面す
る２つの縦板部上に補強用リブが設けられる。

【００１２】また、箱状フェンス部は、内部に砂石粒状
衝撃吸収体が充填されるために、該砂石粒状衝撃吸収体
の重量による箱状フェンス部内部からの押圧によって、
該箱状フェンス部の箱形状保持が困難になる場合が度々
みられる。このために本発明においては箱状フェンス部
内に、路肩等用ガードフェンスの場合は、車道に対面す
る前板部と車道に対面しない背板部の両板間、または中
央分離帯用ガードフェンスの場合は、車道に対面する２
つの縦板部間の空間部分中に夫々箱形状保持用補強部材
が横架された状態で付設されることが実用上重要であ
る。ここで箱形状保持用補強部材が空間部分中に横架さ
れた状態で付設とは、図１に示すように箱形状保持用補
強部材が前板部と背板部の両板間、または２つの縦板部
間を連結する態様で該箱形状保持用補強部材の付設方向
以外の上下左右斜め方向等において箱状フェンス部の壁
板との間に空間を保持した状態で横方向に架設されるこ
とを指称する。なお、箱形状保持用補強部材が砂石粒状
衝撃吸収体中に埋没する態様となることは差支えない。

【００１３】また、箱状フェンス部の支柱への架設態様
は、一般には、支柱上部に一段の箱状フェンス部が架設
されるが、これに限らず上下方向に複数段の箱状フェン
ス部を架設する態様も適宜採用される。

【００１４】なお、支柱は、一般にガードフェンス設置
場所の地中に、必要に応じて適宜コンクリート等を用い
て下部のみが埋設される場合と、箱状フェンス部の底板
部が地面に接するほど支柱の大部分が埋設される場合の
両態様がある。

【００１５】

【実施例】以下、添付図面に準じて本発明を詳細に説明
する。

【００１６】図１、図２及び図３は、すべて本発明の代
表的実施態様を示す斜視図であって、一部破断して示
す。

【００１７】図１に示すように、本発明のガードフェン
スは、基本的に、複数の支柱２に箱状フェンス部１が架
設され、該箱状フェンス部１の内部に、砂石粒状衝撃吸
収体３が充填されて構成されていることが特徴である。

【００１８】フェンス部１を箱状として構成するのは、
内部に砂石粒状衝撃吸収体３を充填するためであり、ま
た同時にフェンス部１の強度を確保する意味も有する。

【００１９】本発明の大きな特徴の一つは、砂石粒状衝
撃吸収体３を利用することである。ここで砂石粒状衝撃
吸収体３とは、砂石粒状即ち微粒状、顆粒状、塊状、破
砕状など砂石類似の種々の形態と粒径を有する粒状物で
あって、箱状フェンス部１に充填されて車輛が該フェン
ス部に衝突した際に、衝撃を吸収し車輛及び運転者等が
受けるショックを緩和する物質である。

【００２０】その代表的なものとして、砂土、砂利、砕
石類などの自然物が衝撃吸収機能に優れるほか入手の容
易性やコスト上の有利性などから最も好しく用いられ
る。

【００２１】その他、一般に各種工場等において発生す
る産業廃棄物のうち砂石粒状のもの例えば石炭殻、鉄
屑、各種ダストなども利用でき、また合成樹脂を砂石粒
状に成形した人工物更には籾殻、鋸屑等も適宜用い得
る。

【００２２】図１において箱状フェンス部１の一部を破
断して図示するように、上記の砂石粒状衝撃吸収体３が
箱状フェンス部１の内部に充填される。充填の態様は、
箱状フェンス部１の内部に残存空隙が殆んどないほどに
充填する必要は必ずしもないが、箱状フェンス部内部の
車道に沿った方向にほぼ均一に充填されることが望まれ
る。

【００２３】また、砂石粒状衝撃吸収体３は、一般に箱
状フェンス部１の天板部１ａを着脱自在に構成し、該天
板部１ａを取りはずして充填する態様がほぼ均一に充填
でき施行管理上至便である。

【００２４】箱状フェンス部１の内部に充填された砂石
粒状衝撃吸収体３は、前記のように車輌がガードフェン
スに衝突した際に、衝撃を吸収し車輌や運転者等が受け
るショックを緩和すると共に、箱状フェンス部１の破損
を防止する機能を有する。

【００２５】即ち、一般に車輌がガードフェンスに衝突
した場合に、従来のガードフェンスは、凹み或は大幅に
折れ曲がり、更には破損するケースが多々みられたが、
本発明においては、フェンス部を箱状フェンス部１とし
て構成し、且つ内部に砂石粒状衝撃吸収体３を充填した
態様としたために、砂石粒状衝撃吸収体３の衝撃吸収作
用によって、車輌の衝突の際にも、箱状フェンス部１の
車輌に対面する前板部の凹みや、破損が少なく、車輌や
運転者等が受けるショックが緩和されると共に、箱状フ
ェンス部１の車輌に対面しない背板部の破損が防止さ
れ、その結果として車輌がガードフェンスの設置位置を
越えて飛び出すことによる大事故及び二次的事故の誘発
を未然に防止することができる。

【００２６】また、箱状フェンス部１は、一般に車道に
沿って横長に形成されるが、図１に示す路肩等用ガード
フェンスの場合、箱状フェンス部１を構成する６面のう
ち車道に対面する前板部１ｂ上に、該横長方向の補強用
リブ１ｅが適宜設けられることが、車輌の衝突の際の前
板部１ｂの凹みや破損を防止するうえで好ましい。

【００２７】補強用リブ１ｅを設ける態様は、図１に示
すように前板部１ｂを一部リブ状に凸状成形する態様の
ほか、波板の使用或は別途成形した適宜の補強用リブを
付設する態様などが挙げられる。

【００２８】なお、車道に対面しない背板部１ｃは、通
常は、平面状に構成される。

【００２９】また、箱状フェンス部１は、内部に砂石粒
状衝撃吸収体３が充填されるために、該砂石粒状衝撃吸
収体３の重量による箱状フェンス部内部からの押圧によ
って、該箱状フェンス部１の箱形状保持が困難になる傾
向がある。このために本発明においては図１に示すよう
に箱状フェンス部１の前板部１ｂと背板部１ｃとの間
に、これら両板部が離散し箱形状が損なわれることを防
止するための箱形状保持用補強部材１ｆを空間部分中に
横架した状態で付設することが大きな特徴である。

【００３０】また、箱状フェンス部１を架設する支柱２
は、一般には、車輌が支柱２に直接衝突することを防止
するために、箱状フェンス部１の前板部１ｂの位置より
も後方位置に取付けられることが望ましい。

【００３１】図１においては、支柱２は、箱状フェンス
部１の底板部１ｄを貫通する態様で、支柱取付用部材１
ｇを用いて箱状フェンス部１の前板部１ｂの後方位置に
取付けられている。

【００３２】なお、図１においては、支柱２の下部のみ
が地中に埋設され、上部が地面上に表出している態様を
示した。

【００３３】また、図２は、本発明のガードフェンスを
中央分離帯用として構成した場合の代表的実施態様の斜
視図を示す。

【００３４】中央分離帯用ガードフェンスの場合は、箱
状フェンス部１の両側の２つの縦板部が車道に対面す
る。従って、該２つの縦板部上に補強用リブ１ｅが設け
られる態様が好ましく採用される。また、一般に該２つ
の縦板部間には、箱形状保持用補強部材１ｆが付設され
る。

【００３５】なお、図２においては、箱状フェンス部１
の底板部１ｄが地面に接するほど支柱２の大部分が地中
に埋設されている態様を示した。

【００３６】また、図３は、箱状フェンス部１が、上下
方向に複数段設けられている態様を示す。高さの比較的
高い箱状フェンス部を一段のみ設けた場合は、砂石粒状
衝撃吸収体が車輌の通行による車道の振動等により漸
次、箱状フェンス部の底部近くにのみ沈下する場合があ
り、かかる場合、図３に示すように箱状フェンス部１を
複数段設けて、夫々の箱状フェンス部１内に砂石粒状衝
撃吸収体（図３においては図示せず）を充填することに
より、このような不都合を防止することができる。

【００３７】更に、同様な趣旨で、一つの箱状フェンス
部の内部が水平仕切板によって上下方向に複数階の小区
画に区分され、該各区画内に砂石粒状衝撃吸収体が充填
された態様も採用することができる。

【００３８】なお、図３に示すものは、路肩等用ガード
フェンスに好適な態様であり、箱状フェンス部１の横長
方向に対する垂直縦断面を野球のホームベースを横にし
た形状にして、車道に対面する前板部１ｂの中央部を前
に突出させた形態に構成することにより、リブ機能を付
与している。

【００３９】また、前記図１、図３に示すガードフェン
スは、通常、路肩等に設置される態様のガードフェンス
であるが、これらの態様のガードフェンスを中央分離帯
に設置する場合は、２列のガードフェンスを夫々の箱状
フェンス部の背板部同士を対面させた形態で設置するこ
ともできる。更に、図１、図３に示すガードフェンスの
箱状フェンス部を背板部同士を対面させた態様で２列配
置し、これら２列の箱状フェンス部の間に支柱を設け
て、同じ支柱を共有する形態のガードフェンスとして構
成することもできる。

【００４０】また、本発明のガードフェンスを構成する
素材は、特に限定されない。箱状フェンス部や支柱につ
いては、従来のガードフェンスに用いられている素材、
例えば鉄系を初めとする各種金属、コンクリート、木質
その他が適宜用いられる。

【００４１】

【発明の作用効果】以上説明したように本発明は、複数
の支柱に特定態様で箱形状保持用補強部材が付設された
箱状フェンス部が架設され、該箱状フェンス部の内部に
砂石粒状衝撃吸収体が充填されて構成されたことを特徴
とするガードフェンスであって、種々の実施態様を有す
るが、いずれも砂石粒状衝撃吸収体の存在によって、車
輛の衝突時の衝撃が吸収され車輛及び運転者等の受ける
ショックが緩和される。

【００４２】また、フェンス部が箱状に形成されている
ために砂石粒状衝撃吸収体の存在と相俟って強度的にも
堅固なものとなり、このため車輌の車道からの転落や中
央分離帯を越えての反対車線への飛び出しが防止され、
大事故乃至二次的事故の誘発を効果的に防止乃至最少限
に減少させることができる。

【００４３】特に、近年の車輌数の増加と高速道路等に
おけるスピードアップに起因する事故の増加に対して、
本発明のガードフェンスは、極めて有意義である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のガードフェンスを路肩等用として構成
した場合の代表的実施態様の斜視図である。

【図２】本発明のガードフェンスを中央分離帯用として
構成した場合の代表的実施態様の斜視図である。

【図３】本発明のガードフェンスを路肩等用として構成
した場合の代表的実施態様の斜視図である。

【符号の説明】

１ 箱状フェンス部 １ａ 天板部 １ｂ 前板部 １ｃ 背板部 １ｄ 底板部 １ｅ 補強用リブ １ｆ 箱形状保持用補強部材 １ｇ 支柱取付用部材 ２ 支柱 ３ 砂石粒状衝撃吸収体

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 繁晃 岡山県岡山市草ケ部1249番地 くろがね 産業有限会社内 審査官 荒井 良子 (56)参考文献 特開 昭46−2574（ＪＰ，Ａ) 特開 昭56−85010（ＪＰ，Ａ)

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の支柱に箱状フェンス部が架設さ
   れ、該箱状フェンス部の内部に、砂石粒状衝撃吸収体が
   充填されると共に、該箱状フェンス部内に、車道に対面
   する前板部と車道に対面しない背板部の両板間、又は車
   道に対面する２つの縦板部間の空間部分中に箱形状保持
   用補強部材が横架された状態で付設されてなることを特
   徴とするガードフェンス。
2. 【請求項２】 砂石粒状衝撃吸収体が、砂土、砂利、砕
   石類であることを特徴とする請求項１記載のガードフェ
   ンス。
3. 【請求項３】 路肩等用ガードフェンスであって、箱状
   フェンス部の車道に対面する前板部上に補強用リブが設
   けられ、車道に対面しない背板部が平面状であることを
   特徴とする請求項１記載のガードフェンス。
4. 【請求項４】 中央分離帯用ガードフェンスであって、
   箱状フェンス部の車道に対面する２つの縦板部上に、補
   強用リブが設けられていることを特徴とする請求項１記
   載のガードフェンス。