JP2511184B2 - 光学式情報記録媒体の製法 - Google Patents

光学式情報記録媒体の製法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、貼り合わせ構造を有する光学式情報記録
媒体の製法に関するものである。
〔従来の技術〕
光学式情報記録媒体には、デイスク形状,カード形
状,シート形状を有するものがあり、上記光学式情報記
録媒体としては、記録膜の光ビームによる溶融,昇華を
利用した孔開けタイプ、結晶と非結晶の相転移を利用し
たタイプ、磁気光学効果を利用した光磁気タイプ等が知
られている。このような光学式情報記録媒体は、いずれ
のタイプにおいても、記録層へのゴミの付着,傷等を防
止するため、第1図に示すような構造を有している。こ
のものは、第2図に示す構造の光学式情報記録体を2枚
接着することによりつくられる。第2図のものは、透明
基板1上に反射防止・防湿層2が形成され、この反射防
止・防湿層2上に記録層3が形成されている。そして、
上記記録層3上に再び上記反射防止・防湿層2が形成さ
れ、この上に保護層4が形成されている。この第2図の
構造のものを2枚作製し、片方の保護層4上に接着剤を
塗布して接着層5を形成し、この接着層5を介して2枚
の構造体の保護層4同士を貼り合わせることにより第1
図に示すような光学式情報記録媒体6が得られる。この
ような構造を有する光学式情報記録媒体6の透明基板に
光ビームを照射し基板を通して記録層3に到達させるこ
とにより情報の記録再生が行われる。
ところで、上記2枚の構造体を接着する際に用いられ
る接着層5の接着剤としては、従来から、接着作業が簡
単なホツトメルト接着剤が汎用されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、上記ホツトメルト接着剤は、非反応型であ
り、耐熱性および耐候性に劣るという問題を有してい
る。また、反応性ホツトメルト接着剤を用いると、耐熱
性および耐久性に優れたデイスクが得られる(特開昭63
-96757号公報)。しかしながら、上記反応性ホツトメル
ト接着剤は、通常、イソシアネート基を有する湿気硬化
型反応により硬化接着するため、その過程で炭酸ガス
(CO2)が発生し、この炭酸ガスが接着剤層5に残存し
て膨れを生じ均一な厚みの光学式情報記録媒体を得るこ
とが困難となる。その結果、光ビームによる光学式情報
記録媒体への情報の記録および再生に際して光ビームが
上記膨れ等に妨げられて適正個所に照射されず支障が生
じるという問題を有している。このように、従来のホツ
トメルト接着剤は、いずれも一長一短であり、未だ満足
しうるものは得られていないのが実情である。
この発明は、このような事情に鑑みなされたもので、
耐熱性および耐久性に優れ、かつ均一な厚みの光学式情
報記録媒体を簡単に製造する方法の提供をその目的とす
る。
〔課題を解決するための手段〕
上記の目的を達成するため、この発明の光学式情報記
録媒体の製法は、透明基板上に記録層が形成されてなる
光学式情報記録体の記録層あるいは保護層の上に、ポリ
オキサゾリジン化合物を含む反応性ホツトメルト接着剤
を直接塗布する工程と、上記接着剤の塗布面に他の光学
式情報記録体もしくは保護板の接着面を直接重ねる工程
と、上記接着剤を固化させる工程とを備えるという構成
をとる。
なお、上記光学式情報記録体には、光学式デイスク,
光磁気デイスク等のデイスク形状のもののみならず、カ
ード形状,シート形状等のものをも含む趣旨である。
〔作用〕
すなわち、この発明の光学式情報記録媒体の製法で
は、光学式情報記録体上に、本発明者らが開発したポリ
オキサゾリジン化合物を含む反応性ホツトメルト接着剤
を直接塗布し、他の光学式情報記録体もしくは保護板の
接着面を重ねて上記接着剤を固化させることにより行わ
れる。そして、上記製法に用いられる特殊な反応性ホツ
トメルト接着剤は、優れた耐熱性および耐久性を有し、
しかも炭酸ガス発生の抑制がなされているため、寸法精
度に優れた均一な厚みのものが作製され、信頼性の高い
ものが得られる。
この発明の光学式情報記録媒体の製法には、光学式情
報記録体の接着に際して、反応性ホツトメルト接着剤に
ポリオキサゾリジン化合物を含有したものが用いられ
る。
上記反応性ホツトメルト接着剤は、イソシアネート基
含有ウレタンプレポリマーを主成分とするものであり、
60〜130℃における粘度が3000〜700000cpsに設定されて
いるものが好適に用いられる。
上記ウレタンプレポリマーは、ポリイソシアネートと
ポリオールとの縮合重合により作製され、1分子中に2
個以上のイソシアネート基を有し常温で固体であり、し
かも120℃における粘度が3000〜70000cpsのものが用い
られる。具体的には、上記ポリイソシアネートとポリオ
ールとの縮合重合によりイソシアネート基の含有量が0.
4〜5重量%(以下「%」と略す)であり、さらに1よ
り大きく2より大きくないイソシアネート指数(イソシ
アネート当量と水酸基当量との比)を有するものがあげ
られる。
上記ウレタンプレポリマーの原料となるポリイソシア
ネートとしては、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメ
チレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、
シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレン
−1,4−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジ
イソシアネート、4,4′−ジフエニルメタンジイソシア
ネート、2,2′−ジフエニルプロパン−4,4′−ジイソシ
アネート、p−フエニレンジイソシアネート、m−フエ
ニレンジイソシアネート、キシレン−ジイソシアネー
ト、1,4−ナフチレンジイソシアネート、1,5−ナフチレ
ンジイソシアネート、ジフエニル−4,4′−ジイソシア
ネート、アゾベンゼン−4,4′−ジイソシアネート、ジ
フエニルスルホン−4,4′−ジイソシアネート、ジクロ
ロヘキサメチレン−ジイソシアネート、フリフリデンジ
イソシアネート、1−クロロベゼン−2,4−ジイソシア
ネート、4,4′,4″−トリイソシアネート−トリフエニ
ルメタン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、2,4,5
−トリイソシアネートトルエン、4,4′−ジメチルジフ
エニルメタン−2,2′,5,5′−テトライソシアネート等
があげられ、これらは単独でもしくは併せて用いられ
る。
上記ポリイソシアネートとともに用いられるポリオー
ルとしては、ポリエチレングリコール,ポリプロピレン
グリコール,テトラメチレングリコール,ポリブタジエ
ンポリオール等の1分子中に少なくとも2個以上の水酸
基を有する置換された、または無置換のポリアルキルエ
ーテルグリコール,ポリヒドロキシポリアルキレンエー
テル,ポリヒドロキシポリエステルポリオールのエチレ
ンオキサイドまたはプロピレンオキサイドまたはプロピ
レン付加物およびグリコールのモノ置換エステル、ポリ
ヒドロキシポリオール等があげられ、単独でもしくは併
せて用いられる。なかでも、特に好ましいのは、適当な
粘度と融点を与える分子量と結晶性を有する高分子量の
ジオールまたはトリオールである。
そして、この発明に用いられるポリオキサゾリン化合
物を含む反応性ホツトメルト接着剤には、上記成分以外
に、必要に応じて、通常、ホツトメルト接着剤に用いら
れる熱可塑性樹脂,粘着付与剤,可塑剤、ワツクス,オ
イル等を適宜配合することができる。
上記熱可塑性樹脂としては、エチレン・酢酸ビニル樹
脂、ポリアミド樹脂,ポリエステル樹脂,ポリオレフイ
ン,ゴム系物質等があげられる。
上記粘着付与剤としては、例えば、ロジン系樹脂,テ
ルペン系樹脂,石油系樹脂,アルキルフエノール樹脂,
クマロンインデン樹脂等があげられる。
さらに、この発明に用いられる反応性ホツトメルト接
着剤には、接着性,初期強度および溶融粘度等の観点か
ら、添加剤が適宜添加される。
上記添加剤としては、エチレン系不飽和単量体低分子
量重合体を用いるのが好ましく、上記エチレン系不飽和
単量体低分子量重合体としては、固有粘度が0.1〜0.4の
前記ウレタンプレポリマーと相溶するが反応しないもの
があげられる。具体的には、アクリル酸の炭素数1〜12
のエステル、メタクリル酸の炭素数1〜12のエステル、
ビニルエステル、ビニルエーテル、フマレート、マレー
ト、スチレン、アクリロニトリル、エチレン、ブチジエ
ン、イソプレン等があげられ、単独でもしくは併せて用
いられ、これらを用いて重合体化される。このように、
固有粘度が0.1〜0.4になるまで重合制御されたものは、
上記ウレタンプレポリマーと混合すると可塑剤または粘
着付与剤を用いずに、ウレタン樹脂の熱安定性の上限温
度である150℃における1000〜50000cpsの粘度を接着剤
に付与することができる。したがつて、上記接着剤の塗
布が容易になるうえ、初期粘着性の向上効果が得られ、
かつ長期間にわたる接着性能のなかでも耐熱性の向上効
果が得られる。
また、上記イソシアネート(A)と添加剤(B)の混
合割合は、重量比でA/B=10/90〜98/2の範囲に設定する
のが好適である。
そして、上記反応性ホツトメルト接着剤に混合するポ
リオキサゾリジン化合物は、下記に示す構造式を有する
ものである。
上記ポリオキサゾリジン化合物を含む反応性ホツトメ
ルト接着剤は、例えばつぎのようにして作製される。す
なわち、上記ウレタンプレポリマーに必要に応じて上記
添加剤を混合することにより混合物を作製する。そし
て、この混合物にポリオキサゾリジン化合物を混合する
ことにより作製される。
このようにイソシアネート基含有ウレタンプレポリマ
ーを含む反応性ホツトメルト接着剤にポリオサゾリジン
化合物を含有させることによりイソシアネート基の湿気
硬化反応機構において炭酸ガス発生反応を含まない機構
にすることが可能となる。すなわち、通常、イソシアネ
ートと水との反応は、つぎのように表される。
2(NCO)+H2O → −NHCONH− +CO2 一方、上記ポリオキサゾリジン化合物、なかでも例え
ばビスオキサゾリジンが存在する場合のイソシアネート
と水との反応は、つぎのように表されるものであり、こ
のように反応過程で炭酸ガス(CO2)が発生しない。
あるいは このように、炭酸ガス発生の抑制に効果のあるポリオキ
サゾリジン化合物は、通常、予め上記混合物中に含有さ
せて用いられる。さらに、使用直前に混合物にブレンド
するのが好適である。また、上記ポリオキサゾリジン化
合物の配合割合は、ポリオキサゾリジンの当量にも依存
するが、通常、ウレタンプレポリマー100部に対して0.1
〜15部の割合に設定するのが好適である。特に好適なの
は0.5〜8部である。
この光学式情報記録媒体は、上記原料を用いて、例え
ばつぎのようにして製造される。すなわち、まず前記製
法にしたがつてポリオキサゾリジン化合物を含む反応性
ホツトメルト接着剤を作製する。ついで、透明基板上に
記録層が形成された光学式情報記録体の記録層あるいは
保護層上に、ロールコーター等を用いて直接上記ポリオ
キサゾリジン化合物を含む反応性ホツトメルト接着剤を
塗布し、この接着剤の塗布面に他の光学式情報記録体の
接着面を直接重ね合わせる。そして、上記接着剤を固化
することにより製造される。
このようにして得られる光学式情報記録媒体は、いわ
ゆるサンドイツチ構造のものであり、光学式情報記録体
の接着に際して、上記ポリオキサゾリジン化合物を含む
反応性ホツトメルト接着剤を用い、この接着剤が優れた
耐熱性・耐久性を有し、接着剤の固化反応時に従来のよ
うに炭酸ガスが発生しないため、均一な厚みのものが得
られ、信頼性に優れたものである。
なお、この発明における光学式情報記録媒体には、上
記サンドイツチ構造のものの他に、光学式情報記録体の
片面に保護板を直接重ね合わせたものをも含む。
〔発明の効果〕
以上のように、この発明の光学式情報記録媒体の製法
では、光学式情報記録体上に、上記ポリオキサゾリジン
化合物を含む反応性ホツトメルト接着剤を直接塗布し、
他の光学式情報記録体もしくは保護板の接着面を重ねて
上記接着剤を固化させることにより行われる。したがつ
て、上記接着剤を用いると、それ自身優れた耐熱性およ
び耐候性を有し、しかも炭酸ガス発生の抑制がなされる
ため、均一な厚みの寸法精度に優れたものが作製され、
信頼性の高いものが得られる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
〔実施例1〕 まず、反応性ホツトメルト接着剤をつぎのようにして
作製した。すなわち、1000ccの反応器にガス導入管,後
添加するための管,温度計,撹拌器および加熱・冷却用
設備を備え付けた。他方、下記の11種類の原料を準備し
た。
No.1:ポリプロピレングリコール(100モル重量) 275.8g No.2:1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコー
ルアジペート(分子量3000) 88.9g No.3:1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコー
ルアジペート(分子量1000) 29.3g No.4:ブチルメタクリレート 17.3g No.5:ブチルメタクリレート 94.1g No.6:メチルメタクリレート 9.4g No.7:メチルメタクリレート 53.6g No.8:ドデシルメルカプトン 0.68g No.9:ベンゾイルペルオキシド 1.70g No.10:ベンゾイルペルオキシド 0.60g No.11:メチレンビスフエニルジイソシアネート 131.1g つぎに、上記反応器を乾燥窒素ガスで満たし、上記N
o.1,2,3,4,6,8,9の各原料を反応器に添加した。反応の
間乾燥窒素ガスをゆつくり反応器内液状体の液面下に導
入し、泡立つ状態で流し続け、反応器の内部温度を80℃
にした。そして、80℃で30分撹拌し、続いて上記No.5,N
o.7の原料を1時間にわたつて一様に添加し、さらに3
時間にわたつて80℃に維持して反応を行つた。その後、
上記No.10の原料を添加し、反応器を80℃でさらに2時
間継続した後、上記No.11の原料を添加した。ついで、
この温度を100℃に昇温し3時間維持した。この時点
で、120〜130mmHgの減圧状態として20〜30分間反応さ
せ、ついで撹拌を止め反応器内を乾燥窒素ガスで加圧し
て反応生成物を反応器より熱い状態で取り出して反応性
ホツトメルト接着剤を作製した。このようにして得られ
た接着剤の成分組成を下記に示す。
メタクリレート重合体 25% ウレタンプレポマー 75% イソシアネート基 1.95% 100℃での粘度 64000cps 120℃での粘度 25250cps 常温での状態 固体 テトラヒドロフラン/エタノール(9/1)中での固有
粘度 0.18 外観 半透明琥珀色 ウレタンプレポリマーの分子量 3315 イソシアネート指数 1.6 つぎに、上記接着剤100部に対してビスオキサゾリジ
ン5部の割合でポリオキサゾリジン化合物をブレンドし
てポリオキサゾリジン化合物含有反応性ホツトメルト接
着剤Aを得た。この接着剤Aを120℃のロールコーター
を用いてデイスク基板上に厚み約30μmに塗布し、この
塗布面上に接着剤の塗布されていない別の基板を重ね合
わせ圧締することにより光学式デイスクを作製した。
〔実施例2〕 ビスオキサゾリジンのブレンド量を5部から0.5部に
変えた。それ以外は実施例1と同様にしてポリオキサゾ
リジン化合物含有反応性ホツトメルト接着剤Bを得た。
この接着剤Bを用いて上記実施例1と同様にして光学式
デイスクを作製した。
〔実施例3〕 ビスオキサゾリジンのブレンド量を5部から8部に変
えた。それ以外は実施例1と同様にしてポリオキサゾリ
ジン化合物含有反応性ホツトメルト接着剤Cを得た。こ
の接着剤Cを用いて上記実施例1と同様にして光学式デ
イスクを作製した。
〔比較例1〕 ビスオキサゾリジンを用いなかつた。それ以外は実施
例1と同様にして反応性ホツトメルト接着剤Dを得た。
この接着剤Dを用いて上記実施例1と同様にして光学式
デイスクを作製した。
〔比較例2〕 上記実施例1の接着剤Aに代えて、ゴム系ホツトメル
ト接着剤を用いた。それ以外は実施例1と同様にして光
学式デイスクを作製した。
〔比較例3〕 上記実施例1の接着剤Aに代えて、エチレン−酢酸ビ
ニルコポリマー(EVA)系ホツトメルト接着剤を用い
た。それ以外は実施例1と同様にして光学式デイスクを
作製した。
上記のようにして作製した光学デイスクの性能を測定
評価し、下記の表に示す。
このようにして得られた実施例品は厚みが均一で、し
かも上記表の結果から、情報の記録および再生に際して
信頼性の高いものであることがわかる。
【図面の簡単な説明】 第1図は従来の光学式情報記録媒体の構造を示す縦断面
図、第2図はそれを作製する際に用いられる光学式情報
記録体の構造を示す縦断面図である。
フロントページの続き (72)発明者 ヘンリー・スタンレイ アメリカ合衆国,ニユージヤージー州, セーダー・グローブ,レザーボアー・プ レイス,8 (72)発明者 アーウイン・デービス アメリカ合衆国,ニユージヤージー州, ブリツジウオーター,メードウ・ロー ド,678

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明基板上に記録層が形成されてなる光学
    式情報記録体の記録層あるいは保護層の上に、ポリオキ
    サゾリジン化合物を含む反応性ホツトメルト接着剤を直
    接塗布する工程と、上記接着剤の塗布面に他の光学式情
    報記録体もしくは保護板の接着面を直接重ねる工程と、
    上記接着剤を固化させる工程とを備えることを特徴とす
    る光学式情報記録媒体の製法。
  2. 【請求項2】反応性ホツトメルト接着剤が、イソシアネ
    ート基含有ウレタンプレポリマーを主成分とするもので
    ある請求項(1)記載の光学式情報記録媒体の製法。
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