JP2510449B2 - ロ―ルボンドパネル用クラッド板の製造方法 - Google Patents

ロ―ルボンドパネル用クラッド板の製造方法

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JP2510449B2
JP2510449B2 JP4042050A JP4205092A JP2510449B2 JP 2510449 B2 JP2510449 B2 JP 2510449B2 JP 4042050 A JP4042050 A JP 4042050A JP 4205092 A JP4205092 A JP 4205092A JP 2510449 B2 JP2510449 B2 JP 2510449B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は航空機や自動車等の車
両あるいは船舶、その他建材や各種機械部品等に使用さ
れる中空軽量剛性の構造用部材に用いるためのロールボ
ンドパネル用クラッド板の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来から冷蔵庫等の熱交換用部材にはロ
ールボンドパネルが用いられている。このロールボンド
パネルは、例えば図8に示すようにして製造される。す
なわち、2枚の金属板1,2を、その間の予め定めた位
置にコロイド状グラファイトを主成分とするインキで代
表される圧着防止剤3が所定のパターンで介在されるよ
うにして重ね合せ、所定の温度に加熱してから熱間圧延
ロール4によって圧延・圧接させる。このとき、両金属
板1,2の間のうち圧着防止剤3が介在していない部分
のみが圧着される。このようにして得られたクラッド板
に対し、必要に応じて冷間圧延や焼鈍を行なった後、非
圧着部、すなわち圧着防止剤を介在させた部分に圧縮空
気等の流体圧を加え、その部分を膨張させる。すなわち
非圧着部の両側の金属板もしくは片側の金属板を膨出さ
せる。これによって圧着防止剤の形成パターンに沿った
中空部5が形成される。したがってこのようにして作ら
れたロールボンドパネルの中空部に熱媒体や冷却媒体を
流通させることにより熱交換体として使用することがで
きる。
【0003】ところで上述のようなロールボンドパネル
は、熱交換器のみならず、航空機の扉や翼部その他各種
の構造用部材としても使用されるようになっている。す
なわち、ロールボンドパネルは中空部を有するため軽量
でしかも高剛性を有しており、そのため軽量性と同時に
高剛性が要求される構造用部材としても最適と考えられ
る。
【0004】前述のようにロールボンドパネルを構造用
部材に適用しようとする場合、その構造用部材の用途に
応じて大きな中空部を形成する必要があることがあり、
また単純に外側へ膨出されただけの中空部を形成するば
かりでなく、複雑な凹凸を形成して強度、剛性を向上さ
せることが要求されることもある。しかしながら従来ア
ルミニウム合金を用いてロールボンドパネルを製造する
場合、そのアルミニウム合金としてはJIS 3000
番系のAl−Mn系合金など、通常の成形加工用の規格
合金を用いることしか考えられておらず、このような従
来の通常の規格アルミニウム合金では、中空部成形時に
おける変形量に限界があった。すなわち冷蔵庫の熱交換
器の如き小断面積の中空部を形成することは可能であっ
たが、航空機等の大型の構造用部材として大断面積の中
空部、特に大きい湾曲面を有する中空部あるいは膨出高
さの大きい中空部を形成することは困難であった。ま
た、従来の規格アルミニウム合金では、単純な形状の小
さい中空部を形成することは可能であったが、複雑な形
状を有する中空部を形成したり、大きな湾曲面を有しな
がらその湾曲面内に微細凹凸を有する形状を得たりする
ことは困難であった。
【0005】ところで最近に至り、大きな湾曲面や複雑
な凹凸形状を容易に与えられるようにするためのロール
ボンドパネルとして、その素材に超塑性成形用材料を用
いることが考えられている。
【0006】超塑性成形用材料は、適切な温度(通常は
300〜550℃)の温度において適切な歪速度で引張
りを与えた場合に、局部的変形(ネッキング)の発生を
招くことなく、数百%以上に及ぶ著しく大きな伸びを示
す材料であり、Al系の合金やTi系の合金などにおい
て種々のものが開発されている。この超塑性成形用材料
は、適切な温度かつ適切な歪速度で成形加工(超塑性成
形)することによって著しく大きな変形量を得ることが
できるため、ロールボンドパネルに最適と考えられる。
すなわち、ロールボンドパネルの製造過程におけるクラ
ッド板の非圧着部への流体圧の導入による膨出成形は、
歪速度の点から超塑性成形に最適であり、超塑性成形用
材料をロールボンドパネルの素材として用いれば、適切
な温度でのクラッド板非圧着部への流体圧の導入による
超塑性成形によって大きな膨出変形量を得ることができ
るとともに、複雑な膨出形状も容易に得ることができる
こと、さらには前述のようなクラッド板非圧着部への流
体圧の導入による膨出変形と、通常のプレス成形(但し
これも適当な温度での超塑性成形として行なう)とを組
合せることによって、より複雑な形状を有するロールボ
ンドパネルを得ることができると考えられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述のように超塑性成
形用材料はロールボンドパネルに最適と考えられる。し
かしながら、従来はロールボンドパネルに超塑性成形用
材料を用いることは実験室的に考えられていたに過ぎ
ず、量産的規模でのロールボンドパネル用のクラッド板
の製造方法として、超塑性成形用材料の具体的な成分組
成に応じたロールボンドパネル用クラッド板の最適な製
造プロセスは確立されていなかったのが実情である。
【0008】この発明は以上の事情を背景としてなされ
たもので、超塑性成形用材料を用いたロールボンドパネ
ル用のクラッド板を、その超塑性成形用材料の成分組成
に応じた最適なプロセスによって、実際に量産的な規模
で容易に製造し得る方法を提供することを目的とするも
のである。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、超塑
性成形用材料としてAl−Mg系のアルミニウム合金を
用いたロールボンドパネル用クラッド板を製造する方法
についてのものである。
【0010】 具体的には、請求項1の発明のロールボ
ンドパネル用クラッド板の製造方法は、2枚の金属板の
いずれか一方または双方として、超塑性成形用材料を用
い、かつその2枚の金属板の間の予め定めた位置に所定
のパターンで圧着防止剤を介在させた状態で相互に圧着
させた、ロールボンドパネル用のクラッド板を製造する
ための方法において、前記2枚の金属板の板のいずれか
一方もしくは双方として、Mg2.0〜6.0%を含有
し、さらにMn0.05〜1.5%、Cr0.05〜
0.3%、V0.05〜0.3%、Zr0.05〜0.
3%のうちの1種または2種以上を含有し、かつ不純物
としてのFeが0.4%未満に、Siが0.3%未満に
それぞれ規制され、残部がAlおよび不可避的不純物よ
りなり、しかも板厚が3〜15mmの圧延板を用い、そ
の圧延板の2枚を、またはその圧延板と他のアルミニウ
ム合金板とを、その間の予め定めた位置に所定のパター
ンで圧着防止剤を介在させた状態で重ね合わせ、その重
ね板を加熱して200〜550℃で熱間圧延し、次いで
20%以上の圧延率で冷間圧延を行なうことを特徴とす
るものである。
【0011】さらに請求項2、請求項3の各発明は、超
塑性成形用材料としてAl−Zn系のアルミニウム合金
を用いたロールボンドパネル用クラッド板を製造する方
法についてのものである。
【0012】 具体的には、請求項2の発明のロールボ
ンドパネル用クラッド板の製造方法は、2枚の金属板の
いずれか一方または双方として、超塑性成形用材料を用
い、かつその2枚の金属板の間の予め定めた位置に所定
のパターンで圧着防止剤を介在させた状態で相互に圧着
させた、ロールボンドパネル用のクラッド板を製造する
ための方法において、前記2枚の金属板のいずれか一方
もしくは双方として、Zn2.0〜8.0%を含有し、
さらにMg0.005〜3.5%、Cu0.05〜3.
0%、Mn0.05〜0.6%、Cr0.05〜0.3
%、V0.05〜0.3%、Zr0.05〜0.3%の
うちの1種または2種以上を含有し、かつ不純物として
のFeが0.4%未満に、Siが0.3%未満にそれぞ
れ規制され、残部がAlおよび不可避的不純物よりな
り、しかも板厚が3〜15mmの圧延板を用い、前記圧
延板を400〜500℃の温度に0.5〜12時間加熱
した後、100℃/hr以下の冷却速度で冷却し、その
圧延板の2枚を、またはその圧延板と他のアルミニウム
合金板とを、その間の予め定めた位置に所定のパターン
で圧着防止剤を介在させた状態で重ね合せ、その重ね板
を加熱して200〜430℃で熱間圧延し、次いで圧延
率30%以上で冷間圧延を行なった後、1℃/sec以
上の加熱速度で昇温させて350〜550℃の範囲内の
温度で12hr以下加熱して前記圧延板を再結晶させる
ことを特徴とするものである。
【0013】 そして請求項3の発明のロールボンドパ
ネル用クラッド板の製造方法は、2枚の金属板のいずれ
か一方または双方として、超塑性成形用材料を用い、か
つその2枚の金属板の間の予め定めた位置に所定のパタ
ーンで圧着防止剤を介在させた状態で相互に圧着させ
た、ロールボンドパネル用のクラッド板を製造するため
の方法において、前記2枚の金属板のいずれか一方もし
くは双方として、Zn2.0〜8.0%を含有し、さら
にMg0.005〜3.5%、Cu0.05〜3.0
%、Mn0.05〜0.6%、Cr0.05〜0.3
%、V0.05〜0.3%、Zr0.05〜0.3%の
うちの1種または2種以上を含有し、かつ不純物として
のFeが0.4%未満に、Siが0.3%未満にそれぞ
れ規制され、残部がAlおよび不可避的不純物よりな
り、しかも板厚が3〜15mmの圧延板を用い、前記圧
延板の2枚を、またはその圧延板と他のアルミニウム合
金板とを、その間の予め定めた位置に所定のパターンで
圧着防止剤を介在させた状態で重ね合せ、その重ね板を
400〜500℃の温度に0.5〜12時間加熱した
後、そのままもしくは100℃/hr以下の冷却速度で
冷却して200〜430℃で熱間圧延し、次いで圧延率
30%以上で冷間圧延を行なった後、1℃/sec以上
の加熱速度で昇温させて350〜550℃の範囲内の温
度で12hr以下加熱して前記圧延板を再結晶させるこ
とを特徴とするものである。
【0014】さらに請求項4発明は、超塑性成形用材料
としてAl−Cu系のアルミニウム合金を用いたロール
ボンドパネル用クラッド板を製造する方法についてのも
のである。
【0015】 具体的には、請求項4の発明のロールボ
ンドパネル用クラッド板の製造方法は、2枚の金属板の
いずれか一方または双方として、超塑性成形用材料を用
い、かつその2枚の金属板の間の予め定めた位置に所定
のパターンで圧着防止剤を介在させた状態で相互に圧着
させた、ロールボンドパネル用のクラッド板を製造する
ための方法において、さらに前記2枚の金属板のいずれ
か一方もしくは双方として、Cu2.0〜6.0%を含
有し、さらにZr0.05〜0.5%、Mg0.05〜
2.0%、Mn0.05〜1.0%、Cr0.05〜
0.3%、V0.05〜0.3%のうちの1種または2
種以上を含有し、かつ不純物としてのFeが0.4%未
満に、Siが0.3%未満に規制され、残部がAlおよ
び不可避的不純物よりなり、板厚が3〜15mmの圧延
板を用い、その圧延板の2枚を、もしくはその圧延板と
他のアルミニウム合金板とを、その間の予め定めた位置
に所定のパターンで圧着防止剤を介在させた状態で重ね
合せ、その重ね板を加熱して200〜500℃で熱間圧
延し、次いで圧延率40%以上で冷間圧延を行なうこと
を特徴とするものである。
【0016】
【作用】この発明では、ロールボンドパネル用クラッド
板を構成する2枚の金属板のうち、少なくとも一方もし
くは双方として超塑性成形用材料を用いる。超塑性成形
用材料は300〜550℃の温度で数百%以上に及ぶ大
きな伸びを示す。したがっていずれか一方もしくは双方
が超塑性成形用材料からなる2枚の金属板を、その間の
所定の位置に圧着防止剤を介在させた状態で圧着させて
クラッド板を製造し、さらにそのクラッド板における圧
着防止剤の介在により生じた非圧着部に流体を導入させ
てその流体圧によって非圧着部の一方の側もしくは他方
の側を膨出させるにあたって、その流体圧による膨出成
形を300〜550℃の範囲内の温度で行なえば、少な
くとも超塑性成形用材料からなる金属板の側が超塑性成
形されることになる。すなわちその超塑性成形用材料か
らなる金属板の側の膨出変形量を著しく大きくして、中
空部断面積が大きく、大きな湾曲面を有する中空部を容
易に形成することができる。
【0017】また、特にクラッド板を構成する2枚の金
属板の両者が超塑性成形用材料からなる場合には、前述
のようにクラッド板の非圧着部に300〜550℃の範
囲内の温度で流体圧を導入して非圧着部を膨出させるに
先立ち、同じく300〜550℃の範囲内の温度で予め
プレス加工等による超塑性成形によってクラッド板を所
定の形状に成形しておくこともできる。この場合には、
前段のプレス加工等による超塑性成形と、後段の非圧着
部への流体圧導入による超塑性成形(中空部の形成)と
の両者が組合されるため、より複雑な形状を得ることが
できる。例えば大きな湾曲面を有しかつその湾曲面に微
細な凹凸が形成された形状に成形することができる。
【0018】この発明でロールボンドパネル用クラッド
板に用いる超塑性成形用材料としては、Al−Mg系も
しくはAl−Zn系、またはAl−Cu系のアルミニウ
ム合金を用いることができる。
【0019】Al−Mg系合金としては、請求項1で規
定したように、基本的にはMg2.0〜6.0%を含有
し、かつ不純物としてのFeを0.4%未満、Siを
0.3%未満に規制し、さらに必要に応じてMn0.0
5〜1.5%、Cr0.05〜0.3%、V0.05〜
0.3%、Zr0.05〜0.3%のうちの1種または
2種以上を添加したものを用いる。
【0020】このようなAl−Mg系超塑性成形用アル
ミニウム合金における成分限定理由は、次の通りであ
る。
【0021】Mg: MgはAl−Mg系超塑性成形用アルミニウム合金で基
本となる合金元素であり、強度を付与すると同時に超塑
性特性を発現させるに必要な元素である。すなわちMg
は冷間加工による転位の増殖を促進させて再結晶粒を微
細化させ、これにより超塑性特性を発現するに寄与す
る。Mg量が2.0%未満では超塑性成形性と超塑性成
形後の強度が不充分となり、一方6.0%を越えれば熱
間圧延性、冷間圧延性が悪くなって板の製造が困難とな
る。したがってMg量は2.0〜6.0%の範囲内とし
た。
【0022】Mn,Cr,V,Zr: これらの元素は再結晶粒を微細かつ安定化し、超塑性成
形時に結晶粒の異常粗大化を防いで、超塑性成形性を向
上させる効果があり、Al−Mg系の超塑性成形用アル
ミニウム合金において必要に応じて1種以上が添加され
る。これらの元素は、いずれも0.05%未満では上記
の効果が充分に得られず、一方Mnが1.5%を、Cr
が0.3%を、Vが0.3%を、Zrが0.3%を越え
れば粗大な金属間化合物が形成されて、超塑性成形時に
キャビテーション発生の原因となり、超塑性成形性を低
下させる原因となる。したがってMnは0.05〜1.
5%、Cr,V,Zrはそれぞれ0.05〜0.3%の
範囲内とした。
【0023】Fe: Feは通常のアルミニウム合金において不可避的に含有
される不純物元素であるが、Feが多量に含有されれ
ば、Al−Fe、Al−Fe−Mn、Al−Fe−Si
系の金属間化合物を晶出させ、これらは超塑性成形時に
キャビテーションの原因となり、超塑性成形性を低下さ
せ、またキャビテーションの存在により機械的性質、疲
労特性や耐食性も劣化させる。これらのFeによる悪影
響を回避するため、Feは0.4%未満に規制する必要
がある。
【0024】Si: Siも通常のアルミニウム合金において不可避的に含有
される不純物元素であり、Siが多量に含有されれば粗
大なα−Mn(Fe)−SiやMgSiなどの金属間
化合物が晶出するため、Feと同様に超塑性成形性を低
下させ、特にSiが0.3%以上でその傾向が強くな
る。そこでSiは0.3%未満に規制することとした。
【0025】さらに通常のアルミニウム合金においては
鋳塊結晶粒微細化のためにTi、あるいはTiおよびB
を微量添加することがあり、この発明で用いるAl−M
g系超塑性成形用アルミニウム合金の場合も微量のT
i、あるいはTiおよびBを含有していても良い。但
し、Ti添加量が0.15%を越えれば初晶TiAl
が晶出して成形性を害し、またB添加量が0.01%を
越えればTiBの粗大粒子が生じて成形性を害するか
ら、Tiは0.15%以下、Bは0.01%以下とする
ことが好ましい。そのほか、鋳造時の溶湯酸化防止のた
めにBeを200ppm以下の範囲で添加しても良い。
【0026】なおAl−Mg系の超塑性成形用アルミニ
ウム合金を用いた場合、クラッド板の状態で結晶粒サイ
ズが60μm以下であることが超塑性特性を発現させる
ために好ましい。結晶粒サイズが60μmを越えれば、
充分な超塑性伸びが得られない。
【0027】一方、Al−Zn系合金からなる超塑性成
形用材料としては、請求項2、請求項3で規定したよう
に、基本的にはZn2.0〜8.0%を含有し、かつ不
純物としてのFeを0.4%未満に、Siを0.3%未
満に規制し、さらに必要に応じてMg0.05〜3.5
%、Cu0.05〜3.0%、Mn0.05〜0.6
%、Cr0.05〜0.3%、V0.05〜0.3%、
Zr0.05〜0.3%のうちの1種または2種以上を
添加したものを用いる。
【0028】このようなAl−Zn系超塑性成形用アル
ミニウム合金の成分限定理由は次の通りである。
【0029】Zn: ZnはAl−Zn系超塑性成形用アルミニウム合金で基
本となる合金元素であり、再結晶粒を微細化させて超塑
性成形性を発現するに寄与する。Znが2.0%未満で
は超塑性成形性が充分に得られず、一方8.0%を越え
れば圧延が困難となるから、Znは2.0〜8.0%の
範囲内とした。
【0030】Mg,Cu,Mn,Cr,V,Zr: これらの元素は、再結晶粒を微細化かつ安定化し、超塑
性成形時に結晶粒の異常粗大化を防いで、Al−Zn系
合金の超塑性成形性を向上させる効果があり、Al−Z
n系の超塑性成形用アルミニウム合金において必要に応
じて1種または2種以上が添加される。これらの元素
は、いずれも0.05%未満では上記の効果が充分に得
られず、一方Mgが3.5%を、Mnが0.6%を、C
r,V,Zrが0.3%を越えれば粗大な金属間化合物
が生成され、またCuが3.0%を越えれば鋳造、圧延
が困難となるから、Mgは0.05〜3.5%、Cuは
0.05〜3.0%、Mnは0.05〜0.6%、Cr
は0.05〜0.3%、Vは0.05〜0.3%、Zr
は0.05〜0.3%の範囲内とした。
【0031】またAl−Zn系超塑性成形用アルミニウ
ム合金におけるFe,Siの規制については既にAl−
Mg系の超塑性成形用アルミニウム合金に関して述べた
と同様である。さらに、Al−Zn系超塑性成形用アル
ミニウム合金においても、0.15%以下のTiを、単
独であるいは0.01%以下のBと組合せて添加しても
良いこと、さらにBeを200ppm以下添加しても良
いことは、Al−Mg系の超塑性成形用アルミニウム合
金の場合と同様である。
【0032】なおAl−Zn系の超塑性成形用アルミニ
ウム合金を用いた場合、クラッド板の状態で結晶粒サイ
ズが40μm以下であることが好ましい。結晶粒サイズ
が40μmを越えれば、充分な超塑性成形性が発現され
ない。
【0033】さらに、Al−Cu系の超塑性成形用アル
ミニウム合金としては、請求項4で規定したように、基
本的には、Cu2.0〜6.0%を含有し、かつ不純物
としてのFeを0.4%未満、Siを0.3%未満に規
制し、さらに必要に応じてZr0.05〜0.5%、M
g0.05〜2.0%、Mn0.05〜1.0%、Cr
0.05〜0.3%、V0.05〜0.3%のうちの1
種または2種以上を添加したものを用いる。
【0034】このようなAl−Cu系超塑性成形用アル
ミニウム合金の成分限定理由は次の通りである。
【0035】Cu: Cuは成形時の動的再結晶によって超塑性特性を発現す
るに寄与する。Cu量が2.0%未満では上記の効果が
得られず、一方6.0%を越えれば鋳造、圧延が困難と
なるから、Cu量は2.0〜6.0%の範囲内とした。
【0036】Zr,Mg,Mn,Cr,V: これらの元素は超塑性成形時において結晶粒の異常粗大
化を防いで、超塑性成形性を向上させる効果があり、A
l−Cu系の超塑性成形用アルミニウム合金においても
必要に応じて1種または2種以上が添加される。これら
の元素は、いずれも0.05%未満では上記の効果が充
分に得られず、一方Zrが0.5%を、Mgが2.0%
を、Mnが1.0%を、Crが0.3%を、Vが0.3
%を越えれば、粗大な金属間化合物が生成されて超塑性
成形性を害するから、Zrは0.05〜0.5%、Mg
は0.05〜2.0%、Mnは0.05〜1.0%、C
rは0.05〜0.3%、Vは0.05〜0.3%の範
囲内とした。
【0037】またAl−Cu系超塑性成形用アルミニウ
ム合金におけるFe,Siの規制については、既にAl
−Mg系、Al−Zn系の超塑性成形用アルミニウム合
金について述べたと同様である。さらに、Al−Cu系
超塑性成形用アルミニウム合金においても、0.15%
以下のTiを、単独であるいは0.01%以下のBと組
合せて添加しても良いこと、さらにBeを200ppm
以下添加しても良いことも、Al−Mg系、Al−Zn
系の超塑性成形用アルミニウム合金の場合と同様であ
る。
【0038】なおこのAl−Cu系超塑性成形用アルミ
ニウム合金の場合、動的再結晶により超塑性特性を発現
するから、クラッド板の状態での結晶粒サイズは特に規
制する必要はない。
【0039】次にこの発明におけるロールボンドパネル
用クラッド板の製造方法について説明する。
【0040】概略的には、2枚の合金板のうち、いずれ
か一方または双方として、前述のようなAl−Mg系も
しくはAl−Zn系またはAl−Cu系の超塑性成形用
アルミニウム合金圧延板を用い、2枚の金属板の間の所
定の部位に所定のパターンで圧着防止剤を介在させて重
ね合せ、加熱して熱間圧延により前記圧着防止剤が介在
していない部分を圧着させ、さらに冷間圧延を施してか
ら必要に応じて焼鈍を行なう。ここで、超塑性特性を発
現させるために最適な条件は合金の種類によって異な
り、そこで重ね板の熱間圧延から焼鈍までの具体的プロ
セス条件は合金の種類によって異なる。
【0041】すなわち、Al−Mg系超塑性成形用アル
ミニウム合金を用いる場合、先ず前述のような成分組成
を有する合金を常法に従って溶製し、DC鋳造法によっ
て鋳塊を鋳造するか、または薄板連続鋳造法(連続鋳造
圧延法)によって3〜20mmの薄板コイルに連続鋳造
する。その後常法に従って熱間圧延および/または冷間
圧延を施して、厚さ3〜15mmのクラッド板用元板
(圧延板)を製造する。このようにして得られた2枚の
圧延板(但し一方は前記とは異なる通常のアルミニウム
合金の圧延板であっても良い)を、請求項1に記載した
ように、その間の所定の位置に圧着防止剤を介在させた
状態で重ね合せて加熱し、200℃〜550℃で熱間圧
延する。この熱間圧延温度が200℃未満では充分に圧
着させることができず、一方550℃を越える高温では
局所的に融解が生じてしまうおそれがある。その後、最
終の冷間圧延を行なう。この冷間圧延は、圧下率20%
以上とする必要がある。
【0042】一方Al−Zn系超塑性成形用アルミニウ
ム合金を用いる場合、先ず前記同様にして厚さ3〜15
mmのクラッド板用元板(圧延板)を製造する。そして
その圧延板に対して、請求項2に記載したように、40
0℃〜500℃の範囲内の温度において0.5〜12時
間加熱した後、100℃/hr以下の冷却速度で冷却
し、その後2枚の圧延板(但し一方の圧延板は他の通常
のアルミニウム合金板であっても良い)を、その間に圧
着防止剤を所定のパターンで介在させた状態で重ね合せ
て加熱し、200〜430℃で熱間圧延する。あるいは
請求項3に記載したように、前記圧延板の2枚(但し一
方の圧延板は他の通常のアルミニウム合金であっても良
い)を、その間に圧着防止剤を所定のパターンで介在さ
せた状態で重ね合せた後、400〜500℃の範囲内の
温度で0.5〜12時間加熱し、そのまま200〜43
0℃の範囲内の温度で熱間圧延するか、または100℃
/hr以下の冷却速度で冷却して200〜430℃の範
囲内の温度で熱間圧延を行なう。このようにして熱間圧
延により圧着させた後、圧下率30%以上で冷間圧延を
行ない、さらに最終焼鈍として1℃/sec以上で昇温
させて350〜550℃の範囲内の温度で12時間以下
加熱し、再結晶させる。ここで、重ね合せ前もしくは重
ね合せ後の400〜500℃×0.5〜12時間の加熱
とその後の100℃/hr以下の冷却速度での冷却は、
粗大なη相(MgZn)の析出を生ぜしめてこれを最
終の再結晶核となし、以て粒径を微細とするために行な
うものであり、加熱温度が400℃未満ではη相のサイ
ズが不充分であって再結晶核として機能せず、500℃
を越えれば局部融解が生じるおそれがあり、また冷却速
度が100℃/hrを越えればη相が充分に発達しな
い。一方熱間圧延温度が200℃未満では充分に圧着さ
れず、一方430℃を越えれば結晶粒が粗大化するおそ
れがある。さらに、Al−Zn系の超塑性成形用アルミ
ニウム合金の場合は、Al−Mg系やAl−Cu系と比
べて再結晶挙動の加熱速度感受性が高いため、通常の超
塑性成形時のゆっくりした加熱では充分に微細な再結晶
粒が得られず、そのため優れた超塑性成形性が得られな
いことがある。そこでAl−Zn系の場合は、冷間圧延
後に、最終焼鈍として急速加熱によって再結晶させ、微
細な再結晶粒を生成させておく。この再結晶のための加
熱の昇温速度が1℃/sec未満 では再結晶粒が充分に
微細化されない。また加熱温度が350℃未満では再結
晶が生じず、一方550℃を越えれば再結晶粒が粗大化
するおそれがある。そしてまた加熱時間が12時間を越
えれば、経済的に無駄となるばかりでなく、再結晶粒が
粗大化するおそれもある。
【0043】さらに、Al−Cu系超塑性成形用アルミ
ニウム合金を用いる場合、先ず前記同様に厚さ3〜15
mmのクラッド板用元板(圧延板)を製造する。次いで
請求項4に規定したように、その圧延板の2枚(但し一
方の圧延板は他の通常のアルミニウム合金でも良い)
を、その間に所定のパターンで圧着防止剤を介在させた
状態で重ね合せ、その重ね板を加熱して200〜500
℃で熱間圧延し、圧着させる。このとき、熱間圧延温度
が200℃未満では充分に圧着されず、一方500℃を
越える高温では局部融解が生じるおそれがある。その
後、最終冷間圧延として、圧下率40%以上の冷間圧延
を行なう。
【0044】以上の各方法において、重ね板の熱間圧延
前の圧着防止剤のパターンは、圧延後の非圧着部のパタ
ーン形状に応じて、圧延率を考慮して定めておけば良
い。
【0045】以上のようにして得られたロールボンドパ
ネル用クラッド板は、次のように超塑性成形してロール
ボンドパネルとすることができる。この際、非圧着部へ
の流体の導入による流体圧を利用して中空部を超塑性成
形する工程を単独で行なっても良く(これを単独法と記
す)、あるいは非圧着部への流体圧の導入によらずにク
ラッド板を全体的に超塑性成形する工程と、非圧着部へ
の流体圧の導入により中空部を超塑性成形する工程とを
併用しても良い(これを併用法と記す)。
【0046】すなわち前者の単独法は、クラッド板を構
成する2枚の金属板の少なくとも一方が超塑性成形用材
料であれば適用可能な方法であり、この場合は、先ずク
ラッド板を300〜550℃の超塑性成形温度に加熱
し、圧着防止剤の介在により圧着されなかった部分(非
圧着部)に気体等の流体を導入するかまたは外部から吸
引して非圧着部に負圧を加え、その流体圧(正圧もしく
は負圧)によってクラッド板の両面側もしくは片面側に
存在する超塑性成形用材料を非圧着部で膨出させ、中空
部を形成する。なおこのように流体圧によって非圧着部
を膨出させるにあたっては、特に型を用いないフリーの
バルジ成形を適用しても良く、あるいは適当な形状の型
に沿わせて成形させる方法を適用しても良い。また非圧
着部に流体を導入する場合、その流体自体も予め300
〜550℃の超塑性成形温度に加熱しておくことが望ま
しい。さらに、非圧着部へ加える流体圧は、合金の種類
や温度によっても異なるが、通常は0.1気圧〜20気
圧程度とすれば良い。
【0047】一方後者の併用法は、クラッド板を構成す
る2枚の金属板の両者が超塑性成形用材料からなる場合
に適用可能な方法であり、この場合、先ずクラッド板を
300〜550℃の超塑性成形温度に加熱して、その温
度でクラッド板全体を絞り加工やエンボス加工などの通
常のプレス成形によって超塑性成形する。そしてその
後、前記同様な超塑性成形温度において、非圧着部に外
部から流体を導入するかまたは外部から吸引することに
より、非圧着部に流体圧(正圧もしくは負圧)を加え、
非圧着部の両面側を膨出させて中空部を形成する。なお
この併用法の場合も、後段の流体圧による非圧着部の膨
出はフリーのバルジ成形によっても、あるいは適当な型
を用いて行なっても良い。
【0048】このような併用法によれば、単に中空部を
形成するのみならず、より複雑な形状の製品を得ること
ができる。例えば、前段のプレス成形による全体的な超
塑性成形で大きな曲面を形成しておき、その曲面内に後
段の超塑性成形で細かい凹凸状に中空部を形成して補強
リブとしたり、あるいは前段の全体的な超塑性成形で圧
着部を所定の形状に成形し、後段の超塑性成形で非圧着
部を中空状に膨出させたりすることができ、いずれにし
ても前段での成形形状と後段での成形形状とを組合せた
複雑な形状を有する製品を得ることができる。
【0049】なお前者の単独法と後者の併用法との中間
的な方法として、最初は超塑性成形によらない冷間での
軽度の成形加工を施し、その後超塑性成形温度に加熱し
ての非圧着部への流体圧の導入による非圧着部の膨出を
行なう方法も適用することができる。
【0050】
【実施例】実施例1: 4.5%Mg−0.6%Mn−0.11%Cr−残部A
lからなる合金をDC鋳造し、常法に従って熱間圧延し
て、厚さ5mmの圧延板を得た。この圧延板を2枚用意
して、それぞれ10%NaOHで40℃で10分間アル
カリエッチングし、水洗後硝酸でデスマットした後、図
1に示すように、一方の圧延板9の表面に、最終的なク
ラッド板圧延後の寸法で直径100mmφの円となるよ
うなパターンで圧着防止剤10を印刷し、その圧着防止
剤10を印刷した圧延板9と、他方の圧着防止剤を塗布
していない圧延板11とを、中間に圧着防止剤が介在す
るように重ね合せて加熱し、その重ね板を450℃で熱
間圧延して圧着させ、1.6mm×200mm×200
mmのクラッド板を得た。そのクラッド板を超塑性成形
温度である500℃に加熱した後、非圧着部に2気圧の
気体を導入して、フリーのバルジ成形によって非圧着部
の両面を膨出させた。
【0051】その結果、図2に示すように両面が膨出し
た成形体、すなわち両面に球面状に膨出する湾曲部1
2,13を有しかつその湾曲部12,13の周囲がフラ
ンジ部14とされている成形体を得ることができた。こ
の成形体についてミクロ検査を行なった結果、フランジ
部14は完全に金属接合されていることが判明した。
【0052】実施例2: 4.5%Mg−0.6%Mn−0.11%Cr−残部A
lよりなる合金をDC鋳造し、常法に従って熱間圧延し
て、厚さ5mmの圧延板を得た。この圧延板を2枚用意
し、それぞれ10%NaOHで40℃で10分アルカリ
エッチングし、水洗後硝酸でデスマットした後、図3に
示すように、一方の圧延板15の表面に最終的なクラッ
ド板圧延後の寸法で線幅20mm、各辺の長さが50m
mの碁盤の目状のパターンとなるように、圧着防止剤1
0を印刷し、その圧着防止剤を印刷した圧延板15と、
他方の圧着防止剤を印刷していない圧延板16とを、中
間に圧着防止剤が介在するように重ね合せて加熱し、そ
の重ね板を450℃で熱間圧延して圧着させ、1.2m
m×1000mm×1000mmのクラッド板を得た。
このクラッド板を超塑性成形温度である500℃に加熱
してプレス成形により超塑性成形して、深さ100m
m、直径800mmのドームを形成した。次に同じく超
塑性成形温度である500℃で非圧着部に気体を2気圧
で導入して、非圧着部の両面を膨出させた。
【0053】その結果、図4、図5に示すようにクラッ
ド板の片面側の全体的に突出するドーム部17を有し、
かつそのドーム部17の表面部分の縦横に井桁状に中空
状のハッチ(小膨出部)18が走っている構造体、すな
わちドーム部17がハッチ18に補強された構造体が得
られた。この場合も圧着部の接合は完全であることが確
認された。
【0054】実施例3: 1.5%Cu−2.6%Mg−5.7%Zn−残部Al
よりなる合金をDC鋳造し、常法に従って熱間圧延し
て、厚さ5mmの圧延板を得た。この圧延板を470℃
で2時間加熱した後、20℃/hrで徐冷した。一方、
1.3%Mn−0.2%Fe−残部Alよりなる合金を
連続鋳造圧延により鋳造圧延して、厚さ5mmの板を得
た。これらの2種の合金板の内、1.5%Cu−2.6
%Mg−5.7%Zn−残部Alよりなる合金は超塑性
を示し、一方1.3%Mn−0.2%Fe−残部Alよ
りなる合金は高温強度が高く超塑性は示さない。
【0055】上述のような2種の合金板を10%NaO
Hで40℃で10分アルカリエッチングし、水洗後硝酸
でデスマットした。そして図6に示すように、一方の板
20の表面に、最終的なクラッド板圧延後の寸法、パタ
ーンとして、直径30mmの円が互いに中心間が40m
m離れしかも互いの円が幅5mmの線で結ばれるような
パターンになるように、圧着防止剤10を印刷した。次
いで両者の板20,21を、その間に圧着防止剤が介在
するように重ね合せて加熱し、400℃で熱間圧延し
て、厚さ1mm×400mm×400mmのクラッド板
を得た。このクラッド板を超塑性成形温度である500
℃に加熱した後、各円の部分が高さ10mmの円柱にな
るように金型で抑え、非圧着部に気体を1気圧で導入し
た。
【0056】その結果、図7に示すようにクラッド板の
片側(1.5%Cu−2.6%Mg−5.7%Zn−残
部Alからなる合金板20の側)のみ非圧着部において
膨出して、円柱状突起部22が規則的に配列されかつ各
円柱状突起部22の間が低い突条部23で連絡された形
状を有する高剛性の軽量構造体が得られた。なお圧着部
の接合が完全であることが確認された。
【0057】
【発明の効果】この発明の方法により得られたロールボ
ンドパネル用クラッド板は、それを構成する2枚の金属
板の一方または双方として超塑性成形用材料が用いられ
ており、したがってロールボンドパネル製造時において
クラッド板の非圧着部に流体圧を導入して非圧着部を膨
出させることにより中空部を形成するにあたり、超塑性
成形温度で流体圧を導入することによって、非圧着部の
膨出変形量を著しく大きくして、大きな中空部や膨出高
さの高い中空部を容易に形成することができ、また逆に
小さな流体圧でも容易に膨出されるため、流体が充分に
行き渡らないような細かい部分をも確実に膨出変形させ
て複雑な形状の中空部を有する製品(したがって複雑な
形状の凹凸を有する製品)を容易に得ることができる。
さらにこの発明の方法により得られたロールボンドパネ
ル用クラッド板を用いれば、通常のプレス成形を適用し
た超塑性成形と前述のような非圧着部への流体圧の導入
による超塑性成形(中空部の形成)とを組合せることも
でき、この場合には中空部を有するばかりでなく、より
一層複雑な形状を有する製品を得ることができるととも
に、大きな成形形状部分に細かい形状を付与して補強効
果を持たせたりすることができる。
【0058】したがってこの発明の方法により得られた
ロールボンドパネル用クラッド板を用いれば、大きな中
空部形状、細かい中空部形状、複雑な中空部形状、さら
には中空部と全体的な凹凸との組合せ形状など、種々の
形状を有するロールボンドパネルを容易に得ることがで
き、したがって製品の用途に応じた最適な形状を容易に
付与することができ、特に補強のための形状を容易に付
与できるところから、軽量高剛性を要求される航空機や
車両、船舶等の構造用部材として最適である。
【0059】そしてこの発明の方法によれば、ロールボ
ンドパネル用クラッド板として、上述のように優れた機
能、特性を有するものを、実際に量産的規模において容
易に得ることができる。
【0060】なお以上の説明では2枚の金属板を用いる
場合について説明したが、この発明の応用として3枚以
上の金属板を用いた場合にも適用できることは勿論であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における圧着防止剤の印刷パターンを
クラッド板圧延後の状態で示す平面図である。
【図2】実施例1により得られたロールボンドパネルの
縦断面図である。
【図3】実施例2における圧着防止剤の印刷パターンを
クラッド板圧延後の状態で示す平面図である。
【図4】実施例2により得られたロールボンドパネルの
略解的な斜視図である。
【図5】図4のロールボンドパネルのA部を拡大して示
す要部拡大切欠斜視図である。
【図6】実施例3における圧着防止剤の印刷パターンを
クラッド板圧延後の状態で示す平面図である。
【図7】実施例3により得られたロールボンドパネルの
要部拡大斜視図である。
【図8】従来の一般的なロールボンドパネルの製造方法
を段階的に示す略解図である。
【符号の説明】
9 圧延板 10 圧着防止剤 11 圧延板 15 圧延板 16 圧延板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 21/00 C22C 21/00 G (56)参考文献 特開 平3−183750(JP,A) 特公 平1−47280(JP,B2) 特公 昭62−225(JP,B2) 特公 昭56−41341(JP,B2) 特公 昭61−57384(JP,B2)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2枚の金属板のいずれか一方または双方
    として、超塑性成形用材料を用い、かつその2枚の金属
    板の間の予め定めた位置に所定のパターンで圧着防止剤
    を介在させた状態で相互に圧着させた、ロールボンドパ
    ネル用のクラッド板を製造するための方法において; 前記2枚の金属板の板のいずれか一方もしくは双方とし
    て、Mg2.0〜6.0%を含有し、さらにMn0.0
    5〜1.5%、Cr0.05〜0.3%、V0.05〜
    0.3%、Zr0.05〜0.3%のうちの1種または
    2種以上を含有し、かつ不純物としてのFeが0.4%
    未満に、Siが0.3%未満にそれぞれ規制され、残部
    がA1および不可避的不純物よりなり、しかも板厚が3
    〜15mmの圧延板を用い、 その圧延板の2枚を、またはその圧延板と他のアルミニ
    ウム合金板とを、その間の予め定めた位置に所定のパタ
    ーンで圧着防止剤を介在させた状態で重ね合わせ、その
    重ね板を加熱して200〜550℃で熱間圧延し、次い
    で20%以上の圧延率で冷間圧延を行なうことを特徴と
    する、ロールボンドパネル用クラッド板の製造方法。
  2. 【請求項2】 2枚の金属板のいずれか一方または双方
    として、超塑性成形用材料を用い、かつその2枚の金属
    板の間の予め定めた位置に所定のパターンで圧着防止剤
    を介在させた状態で相互に圧着させた、ロールボンドパ
    ネル用のクラッド板を製造するための方法において; 前記2枚の金属板のいずれか一方もしくは双方として、
    Zn2.0〜8.0%を含有し、さらにMg0.005
    〜3・5%、Cu0.05〜3.0%、Mn0.05〜
    0.6%、Cr0.05〜0.3%、V0.05〜0.
    3%、Zr0.05〜0.3%のうちの1種または2種
    以上を含有し、かつ不純物としてのFeが0.4%未満
    に、Siが0.3%未満にそれぞれ規制され、残部がA
    lおよび不可避的不純物よりなり、しかも板厚が3〜1
    5mmの圧延板を用い、 前記圧延板を400〜500℃の温度に0.5〜12時
    間加熱した後、100℃/hr以下の冷却速度で冷却
    し、その圧延板の2枚を、またはその圧延板と他のアル
    ミニウム合金板とを、その間の予め定めた位置に所定の
    パターンで圧着防止剤を介在させた状態で重ね合せ、そ
    の重ね板を加熱して200〜430℃で熱間圧延し、次
    いで圧延率30%以上で冷間圧延を行なった後、1℃/
    sec以上の加熱速度で昇温させて350〜550℃の
    範囲内の温度で12hr以下加熱して前記圧延板を再結
    晶させることを特徴とする、ロールボンドパネル用クラ
    ッド板の製造方法。
  3. 【請求項3】 2枚の金属板のいずれか一方または双方
    として、超塑性成形用材料を用い、かつその2枚の金属
    板の間の予め定めた位置に所定のパターンで圧着防止剤
    を介在させた状態で相互に圧着させた、ロールボンドパ
    ネル用のクラッド板を製造するための方法において; 前記2枚の金属板のいずれか一方もしくは双方として、
    Zn2.0〜8.0%を含有し、さらにMg0.005
    〜3.5%、Cu0.05〜3.0%、Mn0.05〜
    0.6%、Cr0.05〜0.3%、V0.05〜0.
    3%、Zr0.05〜0.3%のうちの1種または2種
    以上を含有し、かつ不純物としてのFeが0.4%未満
    に、Siが0.3%未満にそれぞれ規制され、残部がA
    lおよび不可避的不純物よりなり、しかも板厚が3〜1
    5mmの圧延板を用い、 前記圧延板の2枚を、またはその圧延板と他のアルミニ
    ウム合金板とを、その間の予め定めた位置に所定のパタ
    ーンで圧着防止剤を介在させた状態で重ね合せ、その重
    ね板を400〜500℃の温度に0.5〜12時間加熱
    した後、そのままもしくは100℃/hr以下の冷却速
    度で冷却して200〜430℃で熱間圧延し、次いで圧
    延率30%以上で冷間圧延を行なった後、1℃/sec
    以上の加熱速度で昇温させて350〜550℃の範囲内
    の温度で12hr以下加熱して前記圧延板を再結晶させ
    ることを特徴とする、ロールボンドパネル用クラッド板
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 2枚の金属板のいずれか一方または双方
    として、超塑性成形用材料を用い、かつその2枚の金属
    板の間の予め定めた位置に所定のパターンで圧着防止剤
    を介在させた状態で相互に圧着させた、ロールボンドパ
    ネル用のクラッド板を製造するための方法において; 前記2枚の金属板のいずれか一方もしくは双方として、
    Cu2.0〜6.0%を含有し、さらにZr0.05〜
    0.5%、Mg0.05〜2.0%、Mn0.05〜
    1.0%、Cr0.05〜0.3%、V0.05〜0.
    3%のうちの1種または2種以上を含有し、かつ不純物
    としてのFeが0.4%未満に、Siが0.3%未満に
    規制され、残部がAlおよび不可避的不純物よりなり、
    板厚が3〜15mmの圧延板を用い、 その圧延板の2枚を、もしくはその圧延板と他のアルミ
    ニウム合金板とを、その間の予め定めた位置に所定のパ
    ターンで圧着防止剤を介在させた状態で重ね合せ、その
    重ね板を加熱して200〜500℃で熱間圧延し、次い
    で圧延率40%以上で冷間圧延を行なうことを特徴とす
    る、ロールボンドパネル用クラッド板の製造方法。
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