JP2510036Y2 - 巻取ユニットの管糸切換装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、自動ワインダにおいて
多数並列配置された巻取ユニットの巻取位置に管糸を供
給すると同時に空管糸を排出する巻取ユニットの管糸切
換装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の管糸切換装置として特開
昭５９−６９３７０号公報に開示されているものが知ら
れており、以下この管糸切換装置を図４及び図５に基づ
いて説明する。図４において、Ｕは紙面前後方向に一定
間隔を置いて多数配設された巻取ユニット、１は該ユニ
ットＵに沿って紙面前後に走行する管糸供給コンベア、
２は該ユニットＵに沿って紙面前後に走行する空管糸排
出コンベア、３は両コンベア１，２間に配設された管糸
切換装置である。図示のように、管糸供給コンベア１は
管糸４をトレイ５に挿入して移送する。中空円盤状のト
レイ５には中心の段部６を介してペグ７が植立されてお
り、管糸４はその紙管８の下端を該ペグ７に挿入して段
部６上に直立姿勢で載置され、ペグ７先端部にはトレイ
５内の中空部と紙管８の中心孔９とを連通する通孔１０
が設けられ、管糸４はその糸端Ｙが口出しされて上記中
心孔９内に垂下されている。管糸供給コンベア１と空管
糸排出コンベア２とは互いに上下の段差を設けて配設さ
れ、管糸切換装置３はその間を斜めに連絡する形で設け
られていて、管糸４は管糸供給コンベア１より管糸供給
装置３内の巻取位置１１へ運ばれて巻取ユニットＵで図
示しないパッケージに巻取られ、空の紙管８となって排
出され管糸排出コンベア２で搬送される。

【０００３】つぎに、管糸切換装置３の詳細を説明す
る。図５において、両コンベア１，２間には前記トレイ
５の曲折した通路１２を形成する第１および第２のガイ
ド板１３，１４が巻取ユニットＵに固定され、搬入側通
路１２ａの下面はフリーに回転する傾斜円板１５とさ
れ、排出側通路１２ｂの下面は上記第１ガイド板１３が
曲折された底板１６とされている。管糸供給コンベア
１、傾斜円板１５、底板１６および管糸排出コンベア２
は互いに連続する略同一の平面を形成し、傾斜円板１５
の一部は管糸供給コンベア１と接触して軸１７を中心と
する矢印ａ方向の回転力を付与されている。管糸供給コ
ンベア１には更に第３のガイド板１８が設けられ、該コ
ンベア１により矢印ｂ方向に移送されて来るトレイ５の
うちのいくつかを上記搬入側通路１２ａ内に案内すると
共に余剰のトレイ５を通過させる。

【０００４】第１のカイド板１３には先端にフリーロー
ラ１９を有するストッパ２０が軸２１で軸支され、スプ
リング２２で矢印ｃ方向に回転付勢されると共にピン２
３に当接して該回転を制止されている。ストッパ２０は
上記ピン２３への当接状態において、前記通路１２の第
１の曲折部即ち管糸待機位置２４の出口を前記トレイ５
の段部６の外径より狭くする凸部２５を有しており、管
糸供給コンベア１より搬入側通路１２ａ内に案内された
トレイ５を上記待機位置２４にて停止させ、常に搬入側
通路１２ａ内に２個のトレイ５を確保するようにしてあ
る。

【０００５】第２のガイド板１４にはイジェクトレバー
２６が軸２８で軸支されている。イジェクトレバー２６
は通路１２の第２の曲折部即ち前記した巻取位置１１に
おいてトレイ５の段部６を抱えて保持できる凹部３１を
有し、また他側は上記軸２８を中心とする弧状のローラ
支承縁３２となっている。図４に示されるように、この
イジェクトレバー２６の軸２８は、カム列４３で上下動
するプッシュロッド４４により往復動するロッキングア
ームによって回動する。

【０００６】巻取位置１１は傾斜円板１５上にあり、ト
レイ５が巻取位置１１内に位置しているときそのペグ７
中心に当る傾斜円板１５の部分には軸１７を中心とする
弧状の通孔３４が複数個設けてあり、図４に示されるよ
うに、該通孔３４の更に下位に当るペグ７中心位置には
圧縮エアーを該通孔３４に向けて噴出するノズル３５が
設けてある。また、該ノズル３５とエアーを送出するエ
アーホース３６との間にはレバー３７により開閉制御さ
れるバルブ３８が設けられ、上記ホース３６より送られ
たエアーは軸３９の回動によるレバー３７の旋回によっ
てバルブ３８内を通り、ノズル３５から傾斜円板１５の
通孔３４を介してトレイ５内の中空部へ入り、更にペグ
７の通孔１０を通って紙管８の中心孔９内に流入して該
中心孔９内に垂下している糸端Ｙを上方へ吹上げる。吹
上げられた糸端Ｙは巻取ユニットＵに固定の糸ガイド４
０内を通り、上方で待機しているサクションパイプ４１
で吸引把持されて図外のパッケージ側糸端と結び合され
巻取られる。レバー３７の軸３８も、カム列４３で上下
動するプッシュロッド４５により往復動するロッキング
アームによって回動する。

【０００７】上述した管糸切換装置３の動作について説
明すると、まず通常の巻取状態を示す図５図においてト
レイ５は巻取位置１１に１個、搬入側通路１２ａ内には
待機位置２４に２個が夫々位置する。このとき巻取位置
１１内の１番目のトレイ５ａはその段部６をイジェクト
レバー２６の凹部３１内で支持されて停止しており、ま
た待機位置２４にある２番目のトレイ５ｂはその段部６
をストッパ２０の凸部２５に当接させて円板１５による
送りを阻止されている。

【０００８】この状態から１番目のトレイ５ａにおける
管糸４の巻取りが完了すると、巻取ユニットＵのカム列
４３により軸２８が一定角度だけ回動する。これにより
イジェクトレバー２６はその凹部３１内に１番目のトレ
イ５ａを保持したまま図６の如く左に回動し、該１番目
のトレイ５ａを排出側通路１２ｂより管糸排出コンベア
２上へと排出する。イジェクトレバー２６の上記回動に
伴い、イジェクトレバー２６のローラ支承縁３２がスト
ッパ２０のフリーローラ１９に当接して該ストッパ２０
の凸部２５を左方に退避させる。従って２番目のトレイ
５ｂは上記凸部２５より解放され、管糸供給コンベア１
から摩擦で駆動力を得て常時回転する傾斜円板１５で送
られ、イジェクトレバー２６のローラ支承縁３２に当接
して停止させられる。

【０００９】次にイジェクトレバー２６が元の位置へ復
帰すると、ストッパ２０は図５に示す元の位置へ復帰
し、上記ローラ支承縁３２で停止されていた２番目のト
レイ５ｂはイジェクトレバー２６の凹部３１内即ち巻取
位置１１へと送りこまれる。同時に、図４の軸３９が回
動してパルプ３８を解放し、ノズル３５から圧縮エアー
を傾斜円板１５の通孔３４およびペグ７の通孔１０を通
して噴出し、管糸４の糸端Ｙを吹上げてサクションパイ
プ４１に把持させ、巻取りを開始する。

【００１０】

【考案が解決しようとする課題】従来の技術で説明した
管糸切換装置３においては、図４に示されるように、傾
斜円板１５は管糸供給コンベア１に乗り上げ、摩擦力に
より回転駆動力を得ており、常時回転するものである。
図５から図６のように管糸を供給すると同時に空管糸を
排出するためには、待機位置２４にある管糸が確実且つ
速やかに巻取位置１１に移送される必要がある。所定の
巻取位置１１に入らなければ、管糸の口出しが失敗する
ことになる。そこで、常時回転する傾斜円板１５が好ま
しいとされ、隣接する管糸供給コンベア１を利用したも
のである。しかしながら、管糸供給コンベア１のベルト
端は多数錘の傾斜円板で圧接されることになり、管糸供
給コンベア１のベルトが摩耗し易いという問題点があっ
た。また、通常プラスチック製のトレイ５の底面は傾斜
円板１５で擦られたまま停止しているので、底面が摩耗
するという問題点も有していた。

【００１１】本考案は、従来の技術の有するこのような
問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすると
ころは、傾斜円板を巻取ユニットの動作で駆動し、且つ
確実に待機位置から巻取位置へと移送可能な管糸切換装
置を提供することにある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本考案における管糸切換装置は、トレイに挿入され
た管糸を管糸供給コンベアから巻取位置に搬入する搬入
部材と、管糸を巻取位置に保持すると共に空管糸を巻取
位置から排出側通路を経て空管糸排出コンベアに押し出
す押し出し装置とを備え、該押し出し装置は巻取ユニッ
トの管糸切換動作時に駆動される巻取ユニットの管糸切
換装置において、前記搬入部材が、前記押し出し装置と
連動する駆動機構により駆動されることを特徴とするも
のである。

【００１３】

【作用】管糸を巻取位置に搬入する搬入部材の駆動力
を、前記押し出し装置と連動する駆動機構により得るの
で、搬入部材が管糸供給コンベアとは独立して駆動可能
であり、押し出し装置が巻取位置の空管糸を押し出すタ
イミングに搬入部材が駆動され待機位置にある管糸を巻
取位置に移送する。

【００１４】

【実施例】以下、本考案の実施例を図面を参照しつつ説
明する。図１は本考案の管糸切換装置の要部の断面図で
あり、図２は図１のＡ−Ａ線断面図である。

【００１５】図１において、図４と異なる点は、傾斜円
板１５の駆動機構である。軸１７は第２ガイド板１４と
巻取ユニットＵから張り出したブラケット５０に固定さ
れている。この軸１７に軸受５１を介して軸受箱５２が
回転自在に取付けられており、軸受箱５２に傾斜円板１
５が固定され、更に爪車５３も固定されている。また、
軸受箱５２とは別に軸受５４を介して回動板５５が取付
られており、回動板５５に立設された軸５６に爪５７が
軸支されている。図２に示されるように、爪車５３は多
数の刃５３ａを有し、この刃５３ａに爪５７がバネ５８
で付勢されている。回動板５５が軸５６に係合するリン
ク金具５９により方向に押されると、爪車５３即ち傾
斜円板１５はｅ方向に回転し、待機位置２４にあるトレ
イ５が巻取位置１１に向かって移送される。リンク金具
５９が方向に戻ると爪５７は刃５３ａを乗り越える。
この乗り越え時に傾斜円板１５はｅ方向とは逆向きに回
転し、送りがかからない可能性があるが、ｆ方向に傾斜
する傾斜円板１５の上に載っているトレイ５がその重量
で傾斜円板１５はｅ方向の回転モーメントを受けている
ので空回りすることがない。なお、傾斜円板１５に逆転
防止機構を付設すると、水平配置された円板とすること
も可能である。

【００１６】傾斜円板１５を間欠的に回転させるリンク
金具５９の往復動はプッシュロッド６０により行われ
る。図１に示されるように、プッシュロッド６０は巻取
ユニットＵにおける共通のカム列４３によって上下動さ
れ、図示されないロッキングアームを介してリンク金具
５９を押し引きする。つぎに、図３により、傾斜円板１
５の駆動のタイミングを説明する。図において、Ｎ１は
ノズル３５の駆動タイミングであり、Ｎ２はイジェクト
レバー２６の駆動タイミングであり、Ｎ３は傾斜円板１
５の駆動タイミングを示す。まず、イジェクトレバー２
６がｇからｈへと図６のように回転する。この間に、傾
斜円板１５がｊの第１回目の爪車の送りで所定角度だけ
回転する。さらに、イジェクトレバー２６がｈからｉへ
と図５の位置に向かって回転する間に、傾斜円板１５が
ｋの第２回目とｍの第３回目の爪車の送りで所定角度だ
け回転する。そして、図６のようにイジェクトレバー２
６のローラ支承縁３２までトレイ５を移送し、図５のよ
うに、イジェクトレバー２６の凹部３１にトレイ５を確
実に移送する。そしてｉでイジェクトレバー２６が元の
位置に復帰し、ｎでノズル３５が作動して糸付けが行わ
れる。

【００１７】

【考案の効果】本考案における管糸切換装置は、管糸を
巻取位置に搬入する搬入部材の駆動力を、押し出し装置
と連動する駆動機構により得ており、押し出し装置が巻
取位置の空管糸を押し出すタイミングに搬入部材が駆動
され待機位置にある管糸を巻取位置に移送する。このよ
うに、搬入部材が管糸供給コンベアとは独立して駆動さ
れるため、搬入部材が管糸供給コンベアに接触して駆動
される場合に比較して、トレイや管糸供給コンベアのベ
ルトの摩耗を防止できる。また、搬入部材を押し出し装
置と連動する駆動機構により駆動させることによって、
搬入部材を管糸供給コンベアと独立して駆動させている
ため、別途の駆動機構を用いることなく所定のタイミン
グに搬入部材が駆動され、管糸が確実に供給される。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本考案の管糸切換装置の要部の断面図で
ある。

【図２】図２は図１のＡ−Ａ線断面図である。

【図３】図３はカム列による駆動タイミング図である。

【図４】図４は従来の管糸切換装置の側面図である。

【図５】図５は従来の管糸切換装置の平面図である。

【図６】図６は図５の管糸切換装置の作動状態図であ
る。

【符号の説明】

１ 管糸供給コンベア ２ 空紙管排出コンベア ３ 管糸切換装置 ５ トレイ １５ 傾斜円板（円板） ２６ イジェクトレバー ４３ カム列 ５３ 爪車 ５７ 爪

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 トレイに挿入された管糸を管糸供給コン
   ベアから巻取位置に搬入する搬入部材と、管糸を巻取位
   置に保持すると共に空管糸を巻取位置から排出側通路を
   経て空管糸排出コンベアに押し出す押し出し装置とを備
   え、該押し出し装置は巻取ユニットの管糸切換動作時に
   駆動される巻取ユニットの管糸切換装置において、 前記搬入部材が、前記押し出し装置と連動する駆動機構
   により駆動されることを特徴とする巻取ユニットの管糸
   切換装置。