JP2507882B2 - 外部増殖因子非依存性増殖良好細胞株の製造法 - Google Patents

外部増殖因子非依存性増殖良好細胞株の製造法

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JP2507882B2
JP2507882B2 JP63032931A JP3293188A JP2507882B2 JP 2507882 B2 JP2507882 B2 JP 2507882B2 JP 63032931 A JP63032931 A JP 63032931A JP 3293188 A JP3293188 A JP 3293188A JP 2507882 B2 JP2507882 B2 JP 2507882B2
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順三 溝口
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、外部蛋白性増殖因子を無添加の無血清培地
中で、自己増殖する哺乳動物由来の外部蛋白性増殖因子
非依存性細胞株Tr−48に関する。
〔従来技術およびその問題点〕
従来、動物細胞培養による各種生理活性物質生産を行
う場合、その培養は牛胎児血清などを含む血清培地を使
用しておこなわれており、培地コストが高く且つ血清成
分のコンタミ等の問題から純度の高い生理活性物質の標
品を得ることが困難であった。そこで近年、血清を添加
しなくても細胞が増殖し得る無血清培地の開発が進めら
れ、化学的組成が明確で、培養再現性が高い種々の無血
清培地が報告されている〔特開昭60−196186号公報,特
開昭62−107795号公報〕。また、細胞レベルの改良も進
み、無血清培地中で長期継代培養可能に馴化された細胞
株が報告されている〔特開昭61〜289039号公報〕。しか
しこれら無血清培地といえども、各種生理活性物質生産
を行う場合には、培養時、インスリン,トランスフェリ
ン,エピダーマルグロースファクター(EVF),ナーブ
グロースファクター(NGF),フィブロブラストグロー
スファクター(FGF),オバリアングロースファクター
(OGF),インスリンライクグロースファクター(IGF)
およびソマトメジン等の外部蛋白性増殖因子の添加を必
要とし、製造コストを引き上げる原因となっていた。
このような状況下で、発明者らはヒト−コロニー形成
刺激因子(CSF)の生産においてそれまでに使用してい
たCSF生産性を有するヒト腎臓癌組織由来のヒト株化細
胞TRC−29R株より、外部蛋白性増殖因子無添加無血清培
地でCSF生産を行える細胞株TRC−29SF株を開発した(次
世代産業基盤技術シンポジウム バイオテクノロジー予
稿集,5,第155頁(1987))。
しかし、このTRC−29SF株も十分な外部蛋白性増殖因
子無添加無血清培地での増殖性を有しているとはいえ
ず、さらに優れた細胞株の樹立が望まれていた。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは、上記問題点を鑑み種々研究を重ねた結
果、ヒト腎臓癌組織由来のヒト株化細胞TRC−29SFにSV4
0エンハンサー遺伝子および/またはSV40プロモーター
遺伝子を該細胞株染色体中に移入し、形質転換後、分離
して、ついに、外部蛋白性増殖因子無添加の無血清培地
中で、TRC−29SF細胞より優れ、かつ十分に自己増殖性
を有する細胞株Tr−48を得ることに成功した。この株化
細胞は、現在までに外部蛋白性増殖因子を無添加の無血
清培地中で約100回の継代培養を行ったが、細胞形態、
細胞増殖性、ヒト−コロニー形成刺激因子(CSF)生産
性、世代倍加時間等継代培養間において変動が殆どな
く、その特徴的性質が安定した細胞株であることを認め
た。また該細胞株を培養することにより、外部蛋白性増
殖因子を無添加の無血清培地中で、CSFを均質な状態で
大量生産することが可能となることを見出した。更に、
該細胞株は、外部蛋白性増殖因子を添加しない安価な培
地で増殖するので、各種生理活性物質生産を目的とした
遺伝子移入のホスト細胞となることを見出した。
本発明はこれらの新しい知見にもとづいて完成された
ものである。
すなわち、本発明は、ヒト腎臓癌組織由来のヒト株化
細胞TRC−29SFにSV40エンハンサー遺伝子および/また
はSV40プロモーター遺伝子を該細胞株染色体中に移入
し、形質転換後、分離して細胞株Tr−48を得ることを特
徴とする細胞株Tr−48の製造法である。
本発明において、外部蛋白性増殖因子とは、インスリ
ン,トランスフェリン,エピダーマルグロースファクタ
ー(EVF),ナーブグロースファクター(NGF),フィブ
ロブラストグロースファクター(FGF),オバリアング
ロースファクター(OGF),インスリンライクグロース
ファクター(IGF)およびソマトメジン等の各種蛋白性
増殖因子の組合わせからなるものを示すものである。
本発明の細胞株Tr−48を得るに当たっては、例えば、
SV40エンハンサー遺伝子および/またはSV40プロモータ
ー遺伝子とプラスミドベクターpSV2−neo遺伝子から作
製されたプラスミドpSV2−neo−proを、TRC−29SF細胞
に導入し、染色体にSV40エンハンサー遺伝子および/ま
たはSV40プロモーター遺伝子およびneo遺伝子が移入さ
れ、薬剤耐性を有するに至った細胞株より、無血清非蛋
白性増殖因子培地での増殖性が十分であり、且つCSF生
産性を有する株を分離、選択すればよい。
プラスミドpSV2−neo−proの作製にあたっては、プラ
スミドpSV2−dhfrを制限酵素Pvu IIとHind IIIで切断
し、342bpのSV40プロモーター・エンハンサー遺伝子を
含むDNAを単離し、これをpBR322由来のアンピシリン耐
性遺伝子および大腸菌の複製遺伝子と、動物細胞で発現
可能にしたネオマイシン耐性遺伝子を有するプラスミド
pSV−neoを、制限酵素BamH Iで開環したものに接合閉環
することにより構築すればよい。
ヒト腎癌由来細胞株TRC−29Rより分離・馴化された無
血清細胞株TRC−29SFについてより具体的に説明する
と、本発明者らが開発したヒト腎癌由来細胞株TRC−29R
〔特開昭61−126030号公報〕を原細胞株として用いた。
この株化細胞は、通常5〜20%牛胎児血清を含むRPMI−
1640培地により増殖維持されている。本発明者らは、ヒ
ト付着依存性細胞の無血清培養法の基礎的研究を行い低
分子ゼラチンを含むRPMI−1640無血清培地〔特開昭60−
196186号公報〕を開発した。この培地を用いて、TRC−2
9Rの継代培養を行った。その結果、継代2〜3代で増殖
性は著しく低下したが培地交換を繰り返しつつ3ヶ月以
上にわたって培養を続けた。この時の細胞の培養条件
は、5%CO2,95%空気,相対湿度100%,温度37℃の動
物細胞培養用インキュベーター内で培養した。このよう
な培養を続けた結果、増殖性は2〜3ヶ月後から徐々に
回復する傾向がみられ、最適濃度の増殖因子を含む無血
清培地で、更に2ヶ月間継代培養を行った結果、血清培
地継代細胞の増殖性に比べて少し劣るが、ほぼ安定した
増殖性を示す無血清培養細胞株が得られた。この細胞を
無血清培養細胞株TRC−29SFと命名した。
これら無血清培養細胞株を培養するに当たっての培地
としては、ホワイト(White)の培地、フィシャー(Fis
her)の培地、パーカー(Parker)の培地またはその改
変培地、アーレ(Earle)の培地またはその改変培地、
ウエイマスク(Waymouth)の培地、イーグル(Eagle)
の培地またはその改変培地、パック(Pack)の培地、ハ
ム(Ham)の培地とその改変培地、トロウエル(Trowel
l)の培地、マツッコイ(McCoy)の培地、ムーア(Moor
e)の培地とその改変培地、ウイリアムズ・メディウム
(William's medium)E培地などの種々の基礎培地また
は改変培地、さらにそれらの混合培地が挙げられる。さ
らに例示すれば、組成公知のフィシャーの培地としては
V−614,パーカーの培地としてはM150,M635,M703,M858,
M199,CMRL−1066,CMRL−1415,アーレの培地としてはNCT
C109,NCTC135,ウエイマウスの培地としてはMB752/1,BM
E,イーグルの培地としてはMEM,ダルベッコMEM,パックの
培地としてはN15,N16,ハムの培地としてはF7,F10,F12,
トロウエルの培地としてはT8,マッコイの培地としては
マッコイ5A,ムーアの培地としてはRPMI−1629,RPMI−16
30,RPMI−1634,RPMI−1640などの培地またはそれらの混
合培地が挙げられる。また、たとえばMEM培地、199培
地、ハム培地、RPMI−1640培地、CMRL−1066培地、NCTC
−109培地等の培地組成においては、種々のアミノ酸
類、ビタミン類、無機塩類やその他グルコース等種々添
加調整されているので、その調整に当たっては種々の報
告に基づいて調整〔例えば「細胞培養マニュアル」第11
0頁(1982年5月),(株)講談社発行等〕してもよ
い。
TRC−29SF細胞にプラスミドpSV2−neo−proを導入す
るにあたっては、各種遺伝子操作の手法を用いることが
できる。例えば、電気穿孔法,インジェクトスコープ
法,プリッキング法,HVJを用いる方法,リポゾーム法等
を挙げることができる。
更に電気穿孔法を例にとって、より具体的に説明する
と、TRC−29SF細胞をダルベッコのリン酸緩衝液,Hanks
液等の塩類溶液で洗浄後、細胞懸濁液を得る。これに、
プラスミドpSV2−neo−proを添加後、両端に電極を持つ
チェンバー内に注入し、高電圧パルスをかける。一定時
間放置後、細胞懸濁液を培地に移し、培養を開始して形
質転換細胞を得る。
上述のようにしてpSV2−neo−proを導入された細胞か
ら、細胞株Tr−48を選択するにあたっては、以下のよう
に行えばよい。一次スクリーニングとして、ネオマイシ
ンまたはG418添加培地にて、培養を行えば良く、導入処
理した細胞を、通常の培地で一定時間培養後、上記薬剤
を含有する培養液と交換し培養を続ける。この薬剤含有
培地で生育した細胞のコロニーを分離し、薬剤耐性形質
転換細胞を得る。更に、この薬剤耐性形質転換細胞の培
地を、外部蛋白性増殖因子を含まない無血清培地に交換
し、継代培養する。この操作により、外部蛋白性増殖因
子を含まない無血清培地にて増殖性に殆ど変化の見られ
ない継代培養可能な細胞株を分離すればよい。
上述の方法により得られた、外部蛋白性増殖因子を無
添加の無血清培地中で、高い自己増殖性を有することを
特徴とする細胞株はTr−48と命令され、具体的には以下
の特徴を有する。
a)形態:培養細胞は、TRC−29SF同様密に接した多角
形の細胞が単層シート上に増殖して、敷石状を呈し、典
型的な上皮細胞様配列を示した。また、細胞の増殖が進
み飽和状態になると重層状に増殖する傾向が見られた。
b)染色体数:高3倍体域である染色体数74本のモーダ
ル・ナンバーを示すことを特徴とする染色体数の分布モ
ード。
c)継代培養:無限な継代培養。
d)機能的特徴:ヒト−コロニー形成刺激因子産生。
e)細胞増殖性:外部蛋白性増殖因子を無添加および添
加の無血清培地中で、良く増殖する。7.5%重曹を添加
して、pH7.2に調整したRPMI−1640培地を用い、35mm径
組織培養用プラスチックディッシュ(コーニング社製)
へ2.5×104生細胞/mlの細胞浮遊液を2ml播種し、5%CO
2,95%空気,相対湿度100%,温度37℃の動物細胞培養
用インキュベーター内で培養を行い増殖曲線を作成し
た。増殖曲線より求めた世代倍加時間は30±5時間であ
る。
f)保存条件:−80℃〜−190℃で凍結保存。
原細胞株TRC−29R,無血清培養細胞株TRC−29SFと、本
発明のよる外部蛋白性増殖因子を無添加の無血清培地中
で、自己増殖することを特徴とする細胞株Tr−48の比較
を第1表に示した。
このようにTr−48は、増殖速度や、外部蛋白性増殖因
子を無添加の無血清培地での増殖能など産業的に有利な
条件を持った細胞である。
本発明に用いられる外部蛋白性増殖因子を無添加の無
血清培地は、ホワイト(White)の培地、フィシャー(F
isher)の培地、パーカー(Parker)の培地またはその
改変培地、アーレ(Earle)の培地またはその改変培
地、ウエイマスク(Waymouth)の培地、イーグル(Eagl
e)の培地またはその改変培地、パック(Pack)の培
地、ハム(Ham)の培地とその改変培地、トロウエル(T
rowell)の培地、マツッコイ(Mccoy)の培地、ムーア
(Moore)の培地とその改変培地、ウイリアムズ・メデ
ィウム(William's medium)E培地などの種々の基礎培
地または改変培地、さらにそれらの混合培地が挙げられ
る。さらに例示すれば、組成公知のフィシャーの培地と
してはV−614,パーカーの培地としてはM150,M635,M70
3,M858,M199,CMRL−1066,CMRL−1415,アーレの培地とし
てはNCTC109,NCTC135,ウエイマウスの培地としてはMB75
2/1,BME,イーグルの培地としてはMEM,ダルベッコMEM,パ
ックの培地としてはN15,N16,ハムの培地としてはF7,F1
0,F12,トロウエルの培地としてはT8,マッコイの培地と
してはマッコイ5A,ムーアの培地としてはRPMI−1629,RP
MI−1630,RPMI−1634,RPMI−1640などの培地またはそれ
らの混合培地が挙げられる。また、たとえばMEM培地、1
99培地、ハム培地、RPMI−1640培地、CMRL−1066培地、
NCTC−109培地等の培地組成においては、種々のアミノ
酸類、ビタミン類、無機塩類やその他グルコース等種々
添加調整されているので、その調整に当たっては種々の
報告に基づいて調整〔例えば「細胞培養マニュアル」第
110頁(1982年5月),(株)講談社発行等〕すればよ
い。代表的な外部蛋白性増殖因子を無添加の無血清培地
の例としては、重曹にてpH7.4に調整されたRPMI−1640
培地が用いられる。
本発明Tr−48は、この無血清培地において、温度37℃
で、5%CO2,95%空気,相対湿度100%の細胞培養イン
キュベーターの中で、限界なしに、継代培養が可能であ
る。比較のため、RPMI−1640を基本培地とし、インシュ
リン5mg/,EGF10mg/,トランスフェリン15mg/,低
分子ゼラチン0.1g/,葉酸10mg/,硫酸第一鉄1μM,
HEPES10mM,ペニシリンG100mg/,硫酸ジヒドロストレ
プトマイシン100mg/,重曹3g/を加えた無血清培地
において、温度37℃で、5%CO2,95%空気,相対湿度10
0%の細胞培養インキュベーターの中で培養したTRC−29
SF(図中−●−)と前記培地にて培養したTr−48(図中
−□−)の培養増殖曲線を第1図に示した。
また、CSF産生の確認は、マウス骨髄細胞を用いたコ
ロニー形成法である仁保の方法〔「免疫実験操作法」,
日本免疫学会編,1974年,第927頁〕に従いメチルセルロ
ーズを用いる下記の方法で行った。
2.2%メチルセルロース/α−MEM 1.6ml ウマ血清 0.8ml マウス骨髄細胞懸濁液/α−MEM 0.8ml 被験サンプルまたはCSF標準液 0.8ml メチルセルローズはダウ社製、α−MEMはフロー社
製、ウマ血清はギブコ社製、CSF標準液はギブコ社製(G
CT−CM)を使用した。またマウス骨髄細胞は静岡実験動
物協同組合より購入した雄7週令のICRを使用し、大腿
骨骨髄の単核球を分離し、α−MEMに懸濁して5×105/m
lに調整した。
上記混合液を3枚の35mm径組織培養用プラスチックデ
ィッシュ(コーニング社製)へ細胞浮遊液を1ml播種
し、5%CO2,95%空気,相対湿度100%,温度37℃の動
物細胞培養用インキュベーター内で7日間培養した後、
20個以上の細胞からなる細胞集団を1コロニーと見做し
て算出し、上記条件で、1コロニーを形成させるh−CS
F活性を1単位(U)とした。
h−CSFの活性はいずれも3枚とディッシュの平均値
で算出した。
〔発明の効果〕
本発明の細胞株を用いて、各種生理活性物質の生産を
する場合、培地への増殖因子の添加を必要とせず、かつ
良好な増殖性を有するため、培地コストを大幅に低減で
き、また生産物への外部増殖因子由来の不純物の混入が
避けられる。また本発明の細胞株は、各種生理活性物質
生産を目的とした遺伝子操作のホスト細胞として使用で
きる。
〔実施例〕
以下に実施例、参考例で本発明を説明するが、これに
限定されるものではない。
参考例 1 ヒト腎癌由来細胞株TRC−29R〔特開昭61−126030号公
報記載の株〕を原細胞株として用い、低分子ゼラチンを
含むRPMI−1640無血清培地への細胞馴化を行うことによ
り、無血清培地で長期継代培養可能な細胞株を選択す
る。
即ち、ヒト腎癌由来細胞株TRC−29Rを、前述の低分子
ゼラチンを含むRPMI−1640無血清培地〔0.01%(W/V)
低分子ゼラチン添加RPMI−1640培地に、細胞増殖因子で
あるインシュリン5μg/ml,プロスタグランジンE1(PGE
1)25μg/ml,エピダーマルグロースファクター(EGF)1
0ng/mlを添加した培地〕5mlを入れた25cm2小型培養フラ
スコ内に細胞数が1×105個/mlになるように接種した。
これを5%CO2,95%空気,相対湿度100%の細胞培養イ
ンキュベーター中で培養を行い、継代比1:2.5で3ヶ月
間継代培養を行い、前述の低分子ゼラチンを含むRPMI−
1640無血清培地で増殖可能な細胞株を得た。
この細胞株における細胞増殖因子の最適添加量は、イ
ンシュリン3.1μg/ml,PGE110μg/ml,EGF5ng/mlであっ
た。
更に、この細胞を遠心分離によって回収し、リン酸緩
衝液でよく洗浄して、遠心分離によって再び細胞を回収
して、得られた細胞を、別に調整した細胞増殖因子最適
添加量の低分子ゼラチンを含むRPMI−1640無血清培地
〔0.01%(W/V)低分子ゼラチン添加RPMI−1640培地
に、細胞増殖因子であるインシュリン3.1μg/ml,PGE110
μg/ml,EGF5ng/mlを添加した培地〕5mlを入れた25cm2
型培養フラスコ内に細胞数が1×105個/mlになるように
接種した。これを5%CO2,95%空気,相対湿度100%の
細胞培養インキュベーター中で培養を行い、継代比1:2.
5で2ヶ月間継代培養を行った。その結果、前述の無血
清培地で安定した増殖性を示す細胞株を得、この株をTR
C−29SFと命令した。
実施例 1(pSV2−neo−proの構築) pBR322の大腸菌複製起点,アンピシリン耐性遺伝子部
位,SV40の初期プロモーター・エンハンサー領域および
そのプロモーター下流に配置されているキサンチン・グ
アニンリン酸転位酵素遺伝子(gpt)で構成されている
プラスミドpSV2−gptからSV40のプロモーター・エンハ
ンサー領域342bpのフラグメントを制限酵素Pvu II、Hin
d IIIにより切り出し、これをG418耐性遺伝子(neo)が
先のgptと同様の位置に挿入されているpSV2−neoの制限
酵素BamH Iサイトに正方向に挿入したプラスミドpSV2−
neo−proを構築した。即ち、pSV2−gpt(BRL社製)2μ
gをトリス塩酸緩衝液(pH7.5)10μに溶解し、Pvu I
I(東洋紡績社製)6単位,Hind III(東洋紡績社製)6
単位で、37℃,2時間反応せしめ、これを1%低融点アガ
ロースゲルで、150V,1時間電気泳動し、SV40のプロモー
ター・エンハンサー領域である342bpのフラグメントを
含む部位のゲルを切り出した。このゲルを65℃で溶解
し、さらに全体量と等量のトリス塩酸緩衝液飽和フェノ
ールで処理し、遠心分離により水層を分取した。この水
層に2倍容のエタノールおよび10分の1量の3M酢酸ナト
リウム溶液を加え、遠心でDNAを沈殿せしめDNAを回収
し、得られたDNAを67mMトリス塩酸緩衝液(pH8.8),6.7
mM塩化マグネシウム,16.6mM硫酸マグネシウム,10mM2−
メルカプトエタノール,6.7mM EDTA,33μMdMTPS(Boehri
nger mannheim社製)存在下で、T4DNAポリメラーゼ(東
洋紡績社製)5単位で37℃,30分間反応せしめ、突出末
端を平滑化し、所望のDNA断片(以下、pro断片と呼ぶこ
とがある)を得た。
同じくpSV2−neo(BRL社製)2μgをトリス塩酸緩衝
液(pH7.5)10μに溶解し、BamH I(東洋紡績社製)1
2単位で、37℃,2時間反応せしめ、これを1%低融点ア
ガロースゲルで、150V,1時間電気泳動し、4.0Kbの鎖状p
SV−neo DNAを含む部位のゲルを切り出した。このゲル
を65℃で溶解し、さらに全体量と等量のトリス塩酸緩衝
液飽和フェノールで処理し、遠心分離により水層を分取
した。この水層に2倍容のエタノールおよび10分の1量
の3M酢酸ナトリウム溶液を加え、遠心でDNAを沈殿せし
めDNAを回収し、得られたDNAを67mMトリス塩酸緩衝液
(pH8.8),6.7mM塩化マグネシウム,16.6mM硫酸マグネシ
ウム,10mM2−メルカプトエタノール,6.7mM EDTA,33μMd
MTPS(Boehringer mannheim社製)存在下で、T4DNAポリ
メラーゼ(東洋紡績社製)5単位で37℃,30分間反応せ
しめ、突出末端を平滑化し、得られたDNAを50mMトリス
塩酸緩衝液(pH8.0)存在化で、65℃,1時間反応せし
め、5′未満をリン酸化し、水層に対し等量のフェノー
ルで抽出の後、さらに全体量と等量のクロロホルム−フ
ェノール混液(1:1)で処理し、遠心分離により水層を
分取した。この水層に2倍容のエタノールを加え、遠心
でDNAを沈殿せしめDNAを回収し、所望のDNA断片(以
下、鎖状pSV2−neo断片と呼ぶことがある)を得た。上
述の操作で得られた鎖状pSV2−neo断片100ng,pro断片10
ngを66mMトリス塩酸緩衝液(pH7.6),6.6mM塩化マグネ
シウム,10mMジチオスレイトール,66μMATP存在下、T4DN
Aリガーゼ(宝酒造社製)10単位で16℃,16時間反応せし
めた。
また、0.5%バクトイーストエキストラクト,2%バク
トトリプトン(以上Difco社製),0.5%硫酸マグネシウ
ムよりなるプサイ培地100mlで培養した対数増殖期のエ
シェリヒア・コリDH1株〔ジャーナル オブ モレキュ
ラー バイオロジー(J.Mol.Biol.,557(1983);ジェ
ネテック ストックセンター,エール大学医学部より分
与を受けた〕を遠心分離により集菌し(10000rpm.2分
間)、得られた菌を40mlを氷冷した30mM酢酸カリウム緩
衝液(pH5.8),100mM塩化ルビジウム,10mM塩化カルシウ
ム,50mM塩化マグネシウム,15%グリセロールよりなるTf
b I液で懸濁した。0℃で5分間放置後、遠心し上清を
すて、さらに4mlの10mM MOPS緩衝液(ドータイト社
製),10mM塩化ルビジウム,75mM塩化カルシウム,15%グ
リセロールよりなるpH6.5Tfb II液で懸濁し、0℃で15
分間放置してコンピテント細胞とした。
この大腸菌懸濁液100μに、前述のリガーゼ処理し
たDNA溶液10μを加え、30分間0℃で放置した。その
後プサイ培地400μを加え、37℃,60分間保温後、全量
を、2%バクトトリプトン,0.5%酵母エキス,0.5%食
塩,1.5%バクトアガー,50μg/mlアンピシリンよりなる
寒天培地上にまき、37℃で一晩培養し形質転換体を得
た。この形質転換体コロニーより12コロニーを任意に選
び、それぞれ2%バクトトリプトン,0.5%酵母エキス,
0.5%食塩,1.5%バクトアガー,50μg/mlアンピシリンよ
りなる液体培地で、37℃,1夜培養し、その後、12000rp
m,30秒間の遠心により集菌し、リゾチーム−SDS法と
〔マニアテスら(Maniatis etal):モレキュラー ク
ローニング(Molecular Cloning)86〜94頁 コールド
スプリング ハーバー出版(Cold Spring Harbor)
(1982)〕に従いプラスミドDNAを調整取得した。
得られたそれぞれのプラスミドDNAの一部を使い、こ
のプラスミドDNAを、Pvu IIで切断し、1%アガロース
ゲルで電気泳動し、700,500,400bpのフラグメント全て
が認められ、且つAat I及びEcoR Iで切断し、1%アガ
ロースゲルで電気泳動し1.2Kbのフラグメントが認めら
れるプラスミドDNAを得、これをpSV2−neo−proと命令
した。このpSV2−neo−proは、SV40−プロモーター・エ
ンハンーサーが、pSV2−neoのBamH Iに正方向に入った
プラスミドであった。以上を、模式図として、第2図
〔図中A,B,E,H,Pは制限酵素サイトを示し、それぞれ、
A:Ada I,B:BamH I,H:Hind III,P:Pvu IIの略であり、or
i,□は大腸菌複製起点を、pro,□はSV40プロモーター・
エンハンサーを、gtp,□はキサンチン、グアニンリン酸
転位酵素遺伝子を、neo,□はG418耐性遺伝子を、Apr,■
はアンピシリン耐性遺伝子を示す〕示す。
実施例 2(動物細胞の形質転換) 参考例1により得られた増殖中の細胞株TRC−29SF
を、剥離酵素〔商品名;ナガーゼ液:長瀬産業社製〕に
より剥離し、リン酸緩衝液(PBS(−))にて、4回洗
浄を行い、最終細胞密度が2×106個/mlとなるように調
整した。この懸濁液に、実施例1にて得たpSV2−neoを
最終濃度が40μg/mlとなるように添加し、5分後、両端
に電極を持つチャンバー内に注入し、高圧パルス〔パル
ス条件は、電極の間隔3mm,電圧800V,時間30μsec;細胞
融合装置FDH−01001型(米国BIOLECTRONICS社製)〕を
かける。5分間放置後、60mm径シャーレに約4×105
つづ接種し、初期の培養液を2%牛胎児血清を含むPRMI
1640培地を用い、37℃,5%CO2,95%空気,相対湿度100
%の細胞培養インキュベーター中で48時間培養を行い、
前記2%牛胎児血清を含むPRMI1640培地に更にG−418
(200μg/ml)を含む培地に交換し、更に前記インキュ
ベーター中で2週間培養を行った。このようにして、G
−418含有培地で生育したコロニーをロ紙法で分離し、
形質転換細胞株90株を得た。
実施例 3(Tr−48株の分離) 実施例2で得られたG−418耐性形質転換体90株を、
培養液をRPMI−1640倍地のみ(外部蛋白性増殖因子を全
く含まない)を用い、37℃,5%CO2,95%空気,相対湿度
100%の細胞培養インキュベーター中にて35mm径シャー
レを用いて、継代比1:2で培養を行った。その結果、継
代数100代を経過した後も、継代可能であり、外部蛋白
性増殖因子を含まないRPMI−1640倍地で、増殖継代培養
可能な細胞株を1株取得した。更に継代培養を続け、顕
微鏡観察,細胞染色法による形態、核型の観察より、均
一な株化細胞となっていたので、この細胞を外部増殖因
子比依存性細胞株Tr−48と命名し、凍結保存した〔微工
研菌寄第9852号(FERM P−9852)。
得られたTr−48のh−CSF産生能は、飽和増殖時に最
大となり1ml当たり活性が、500〜1000単位に達すること
が明らかになった。
【図面の簡単な説明】
第1図はTRC−29SFおよびTr−48の培養経過を示す増殖
グラフであり、第2図はpSV2−neo−proの構築模式図を
示すものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−268177(JP,A) 特開 昭50−4296(JP,A) 特開 昭63−141584(JP,A) 特開 平1−67182(JP,A) 次世代産業基盤技術シンポジウム バ イオテクノロジー予稿集,Vol.5, P.155−166(1987)抗酸菌病研究所雑 誌,Vol.39,No.1,P.211− 216(1987)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒト腎臓癌組織由来のヒト株化細胞TRC−2
    9SFにSV40エンハンサー遺伝子および/またはSV40プロ
    モーター遺伝子を該細胞株染色体中に移入し、形質転換
    後、分離して、以下の特徴を有する細胞株Tr−48を得る
    ことを特徴とする細胞株Tr−48の製造法。 a)形態:上皮細胞様。 b)染色体数:高3倍体域である染色体数74本のモーダ
    ル・ナンバーを示すことを特徴とする染色体数の分布モ
    ード。 c)継代培養:無限な継代培養。 d)機能的特徴:ヒト−コロニー形成刺激因子産生。 e)細胞増殖性:外部蛋白性増殖因子の無添加または添
    加のいずれの無血清培地中でも、良く増殖する。世代倍
    加時間は30±5時間である。 f)保存条件:−80℃〜−190℃で凍結保存。
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次世代産業基盤技術シンポジウムバイオテクノロジー予稿集,Vol.5,P.155−166(1987)抗酸菌病研究所雑誌,Vol.39,No.1,P.211−216(1987)

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