JP2507661Y2 - マフラ― - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、エンジンからの排気ガスを複数の膨張室を
通して消音させる膨張型のマフラーに関する。

〔従来の技術〕

膨張型マフラーは、マフラー内に吸音材を内装した吸
音型マフラー、あるいは、膨張型と吸音型の組合せによ
る複合式のマフラーに比して、高温度、高ガス流に耐え
る高価な吸音材を必要としないので安価に構成し得る利
点がある。

従来、膨張型マフラーは、軸芯方向一端側に第１膨張
室、他端側に第２膨張室、中央に第３膨張室を設け、前
記マフラー内に配置した膨張室をジグザグ状に排気ガス
を流動させることによって消音をはかっていた。

このように、排気ガスをジグザグ状に流動させる形式
では、音波が右往左往する間にその勢力が次第に失われ
て音のエネルギーは減衰されるが、膨張ガスは排出抵抗
を受けて排気ガスの抜けが悪くなり、エンジンの出力が
低下する不都合があった。

そこで、上記欠点を解消する手段として、マフラーの
排気管の断面積を大きくする、或いは、マフラーの内部
を、その軸芯方向の一端側から順次第１及び第２、さら
に、第３、第４膨張室・・となし、それら各膨張室を貫
通するパイプを介して各膨張室を連通接続して、排気ガ
スの抜けをよくした単純な構造にすることが考えられる
が、マフラーの外径が大きくなる、或いは、膨張室の数
がふえてマフラーが長くなる不都合がある。

本考案は、従来の膨張型マフラーに改良を加えてマフ
ラーの小型化をはかり乍ら排気ガスの抜けを良くするこ
とを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成する為の本考案の特徴構成は、マフラ
ーの内部を軸芯方向で複数に区画する仕切壁を介して、
排気導入管に連なるマフラー入口側に第１膨張室、排気
取出管に近い位置のマフラー出口側に第２膨張室、及び
それらの第１膨張室と第２膨張室との間に位置する第３
膨張室を形成し、軸芯方向での各端部に位置する第１膨
張室と第２膨張室とを連通パイプを介して接続するとと
もに、中央の第３膨張室と前記第２膨張室とを仕切壁に
穿設の多数の小孔を介して連通させ、前記中央の第３膨
張室と排気取出管とを前記第２膨張室を貫く排気管で連
通させ、エンジンからの排気ガスを前記第１膨張室、第
２膨張室及び第３膨張室の順に流動させて排出すべく構
成し、さらに、前記第１膨張室と前記第３膨張室との仕
切壁に、前記第１膨張室の排気ガスの一部を前記第３膨
張室に短絡流入させる小数の小孔を穿設した点にあり、
その作用、効果は次の通りである。

〔作用〕

第１図に示す如く、エンジンからの排気ガスの大半
は、排気導入管（Ma）に連なるマフラー入口側の第１膨
張室（28）から連通パイプ（31）を介して排気取出管
（Mb）に連なるマフラー出口側の第２膨張室（29）に、
そして、仕切壁（27）に穿設の小孔（32）を介して第１
膨張室（28）と第２膨張室（29）との間の第３膨張室
（30）を経て行く内に、音と圧力とが減衰されて行くこ
ととなるが、第１膨張室（28）の一部の排気ガスは仕切
壁（26）に穿設の小数の小孔（33）を介して第３膨張室
（30）に至り、そこで減圧されて後、大気中に放出され
る。

このように、排気ガスの一部を第１膨張室（28）から
第３膨張室（30）に直接短絡させても、その排気ガスは
第３膨張室（30）で消音されるから、消音効果にはあま
り悪影響を与えることなく排気ガスの抜けをよくするこ
とができる。

〔考案の効果〕

上記構成の結果、第１膨張室と第２膨張室との仕切壁
に小数の小孔を穿設する簡単な構造改良をもって、マフ
ラーを大型化することなく、排気ガスの排出効率を高め
ることができ、エンジン出力の効率をアップさせること
ができるに至った。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例をコンバインのマフラーについ
て説明する。

第５図及び第６図に示す如く、機体の前部に４条の植
立穀稈を引起す引起し装置（１）、引起した穀稈を刈取
る刈取装置（２）、刈取った穀稈を脱穀装置（３）のフ
ィードチェーン（４）に受渡す縦搬送装置（５）、そし
て、縦搬送装置（５）の横側部に運転キャビン（６）が
配置されたコンバインが構成されている。

第４図、第６図、第７図に示す如く、前記運転キャビ
ン（６）の後方下方に、ラジエーター（７）、エンジン
（８）、マフラー（Ｍ）が配置されており、ラジエータ
ー（７）に冷却風を案内する冷却風導入ケースを備えた
エンジンボンネット（10）の上部に運転席（11）が設け
られている。前記エンジンボンネット（10）は機体前後
方向の軸芯（Ｘ）周りに機体横外側方に倒し操作できる
ようになっている。

そして、運転キャビン（６）内のデッキ（13）に振動
防止用のゴムシート（14）が敷かれており、そのゴムシ
ート（14）が、エンジンボンネット（10）に付設のエン
ジンルーム騒音遮断板（15）によって押え付けられてお
り、又、エンジンボンネット（10）の下端（10a）とデ
ッキ遮断板（16）との間にスポンジ等からなるソフトパ
ッキン（17）がエンジンボンネット（10）の下端（10
a）に付設された状態で配置されており、エンジンルー
ムの熱風と騒音が運転キャビン（６）内に入ることを阻
止すべく構成してある。

前記運転キャビン（６）内は冷房可能で、その運転キ
ャビン（６）内を冷却するクーラーのコンプレッサー
（18）がエンジン（８）と一体的に振動可能に取付けら
れ、エンジン（８）の振動によってコンプレッサー駆動
用ベルト（19）がスリップを来たさないようにしてあ
る。

第５図、第６図に示す如く、運転キャビン（６）側の
引起し装置（1A）前方の分草具（20）を穀稈の倒伏度に
合わせて出退位置固定自在に構成してあり、又、第８図
に示す如く、運転席（11）前方の引起し装置上部連結フ
レーム（22）部分を少し下方に凹入させて前方視界をよ
くしてある。

第１図に示す如く、エンジン（８）のマフラー（Ｍ）
は、内外二重構造になっており、外筒（23）と内筒（2
4）との間に外気導入用の通路（25）が形成されてい
る。そして、その内筒（24）の内部が軸芯方向におい
て、第１及び第２仕切壁（26），（27）を介して３つの
膨張室（28），（29），（30）に区画されており、軸芯
方向両端の膨張室（28），（29）、つまり、排気導入管
（Ma）に連なるマフラー入口側の膨張室（28）と排気取
出管（Mb）に連なるマフラー出口側の膨張室（29）が連
通パイプ（31）を介して連設接続されて第１及び第２膨
張室に形成され、第１膨張室（28）と第２膨張室（29）
の間の中央の膨張室（30）が第２仕切壁（27）に穿設の
多数の小孔（32）を介して連通接続されて第３膨張室に
形成されている。

そして、前記第１膨張室（28）と前記第３膨張室（3
0）との第１仕切壁（26）に、前記第１膨張室（28）内
の排気ガスの一部を前記第３膨張室（30）に短絡流入さ
せて排気ガスの排出効率をはかる為の小数の小孔（33）
が穿設されている。前記第３膨張室（30）は排気管（3
4）を介して排気取出管（Mb）に接続されている。

又、連通パイプ（31）の入口端部（31a）と出口端部
（31b）、並びに、第３膨張室（30）の排気管（34）の
入口端部（34a）と出口端部（34b）に丸みをもたせるこ
とによって、排気ガス抵抗を小さくしてある。

因みに、前記マフラーの排気圧を測定した結果、第１
仕切壁（26）に短絡用の小数の小孔（33）を設けた場合
は、設けない場合に比して水銀柱で10mmHg排圧が下が
り、騒音は同等であった。

尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対照を便
利にする為に符号を記すが、該記入により本考案は添付
図面の構造に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係るマフラーの実施例を示し、第１図は
マフラーを示す縦断面図、第２図は第１図におけるII-I
I線断面図、第３図は第１図におけるIII-III線断面図、
第４図はエンジン周りを示す断面図、第５図はコンバイ
ンの前部を示す平面図、第６図はコンバインの前部を示
す側面図、第７図はエンジンカバーの斜視図、第８図は
キャビンの前部を示す正面図である。 （Ｍ）……マフラー、（Ma）……排気導入管、（Mb）…
…排気取出管、（26），（27）……仕切壁、（28）……
第１膨張室、（29）……第２膨張室、（30）……第３膨
張室、（31）……連通パイプ、（32），（33）……小
孔、（34）……排気管。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】マフラー（Ｍ）の内部を軸芯方向で複数に
   区画する仕切壁（26），（27）を介して、排気導入管
   （Ma）に連なるマフラー入口側に第１膨張室（28）、排
   気取出管（Mb）に近い位置のマフラー出口側に第２膨張
   室（29）、及びそれらの第１膨張室（28）と第２膨張室
   （29）との間に位置する第３膨張室（30）を形成し、軸
   芯方向での各端部に位置する第１膨張室（28）と第２膨
   張室（29）とを連通パイプ（31）を介して接続するとと
   もに、中央の第３膨張室（30）と前記第２膨張室（29）
   とを仕切壁（27）に穿設の多数の小孔（32）を介して連
   通させ、前記中央の第３膨張室（30）と排気取出管（M
   b）とを前記第２膨張室（29）を貫く排気管（34）で連
   通させ、エンジンからの排気ガスを前記第１膨張室（2
   8）、第２膨張室（29）及び第３膨張室（30）の順に流
   動させて排出すべく構成し、さらに、前記第１膨張室
   （28）と前記第３膨張室（30）との仕切壁（26）に、前
   記第１膨張室（28）の排気ガスの一部を前記第３膨張室
   （30）に短絡流入させる小数の小孔（33）を穿設してあ
   るマフラー。