JP2506599Y2 - 内燃エンジンの燃料噴射装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、エンジンの始動時に燃料回路内の空気を自
動的に抜く機能を備えた内燃エンジンの燃料噴射装置に
関する。

（従来の技術及び考案が解決しようとする課題） 従来、燃料タンク内の燃料を、フィードポンプで吸い
上げ、燃料フィルタで濾過して噴射ポンプに送り、この
噴射ポンプから噴射ノズルを介してエンジンのシリンダ
内に噴射するようにした内燃エンジンの燃料噴射装置は
公知である。

この種の燃料噴射装置にあっては、燃料切れを起こし
たり、或は、燃料管の脱着，フィードポンプのストレー
ナの洗浄，噴射ポンプの修理等を行なったりして燃料回
路中に空気が入ったときは、この空気を抜き取る必要が
ある。このような燃料回路中の空気を抜く場合は、噴射
ポンプやストレーナに設けられた空気抜き用のネジを緩
めて、フィードポンプに設けられた手動式のプライミン
グポンプで燃料を送油しなければならないので、空気抜
き作業が面倒である。

このため従来、燃料タンクとフィードポンプとの間に
押込みタイプの電動ポンプを介装すると共に、噴射ポン
プやストレーナに空気抜き弁を設け、前記電動ポンプに
より燃料を押し出すようにして送油することにより燃料
回路中の空気を自動的に抜き取れるようにした燃料噴射
装置が知られている。

斯かる従来の燃料噴射装置にあっては、押込みタイプ
の電動ポンプにより燃料を押し出すようにして送油する
ことにより燃料回路中の空気を押し出して抜き取るもの
であるから、空気抜き取り後も常に電動ポンプ内を燃料
が流れるので、この電動ポンプを保護するための内蔵フ
ィルタは目詰まりした場合、シリンダに噴射される燃料
がカットされるという問題点があった。

又、エンジン始動前に燃料回路中に空気が混入してい
ることを発見するとその都度電動ポンプを作動させて、
空気抜き作業を行う必要があった。

本考案は上記事情に鑑みてなされたもので、燃料回路
中の空気を自動的に抜き取れるものでありながら、空気
抜き取り後は空気抜き取り用のバキュームポンプは停止
し、このポンプ内を燃料が流れず、従って、従来のよう
な空気抜き取り用ポンプを保護するためのフィルタが、
たとえ目詰まりを生じても、シリンダに対する燃料カッ
トを生じないようにした内燃エンジンの燃料噴射装置を
提供することを目的としている。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するため本考案は、燃料タンク内の燃
料を、フィードポンプで吸い上げ、燃料フィルタで濾過
して噴射ポンプに送り、この噴射ポンプから噴射ノズル
を介してエンジンのシリンダ内に噴射する、内燃エンジ
ンの燃料噴射装置において、前記エンジンのスタータス
イッチのスイッチ操作と連動してオン・オフ切換動作す
るスイッチ機構と、このスイッチ機構がオンになったと
き作動して前記燃料フィルタ内の空気の有無を検出する
空気検出手段と、前記燃料フィルタの空気抜き口と燃料
タンクとの間の空気抜き管途中に配設され、且つ、前記
空気検出手段が前記燃料フィルタ内の空気を検出したと
き作動して該燃料フィルタ内を介して燃料回路中の空気
を抜き出すバキュームポンプとを備えたことを特徴とす
るものである。

（作用） エンジンスタート時、即ちスタータスイッチがオンに
なるとこれに関連してスイッチ機構がオンとなって、空
気検出手段が燃料フィルタ内の空気の有無を検出する。
そして、この空気検出手段が燃料フィルタ内の空気を検
出するとバキュームポンプが作動して燃料回路中の空気
が吸引されて抜き取られる。そして、燃料フィルタ内を
介して燃料回路中の総ての空気が抜き取られると、バキ
ュームポンプが止まる。

また、燃料切れ、フィルタ交換等により燃料を燃料タ
ンクに再充填したときは、手動操作によりスイッチ機構
を別途設けて、これをオンにして空気検出手段を作動さ
せるようにしてもよい。この場合、空気検出手段は、燃
料フィルタ内に空気が有るのでこの空気を検出し、これ
によりバキュームポンプが作動して燃料回路中の空気が
吸引されて抜き取られる。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を添付図面に基づき説明す
る。

第１図は本考案の内燃エンジンの燃料噴射装置の構成
図であり、同図中１は噴射ポンプで、そのカムシャフト
（図示省略）には図示しない内燃エンジン（ディーゼル
エンジン）の回転がカップリング（図示省略）を介して
伝達される。噴射ポンプ１の内部には燃料ギャラリー
（図示省略）が設けられている。噴射ポンプ１の外側面
には前記燃料ギャラリーにそれぞれ開口した第1,第２接
続口2,3が配設されている。

第１接続口２は接続管４を介して燃料フィルタ５の流
出口5aに接続されている。また、第２接続口３にはオー
バフローバルブ６が装着されており、このオーバフロー
バルブ６の流出口6aはオーバフロー管７を介して燃料タ
ンク８内に開口している。このオーバフロー管７には、
第２のオーバフロー管９が接続され、この第２のオーバ
フロー管９には、前記エンジンのシリンダ数と同数（本
実施例では６本）の噴射ノズル10のオーバフローポート
10aがそれぞれ接続されている。各噴射ノズル10の流入
ポート10bは噴射管11を介して噴射ポンプ１の燃料アウ
トレット12にそれぞれ接続されている。また、各噴射ノ
ズル10の噴孔10cはエンジンの各シリンダの燃焼室内に
挿入されている。

燃料フィルタ５の流入口5bは接続管13を介してフィー
ドポンプ14の吐出口14aに接続されている。このフィー
ドポンプ14は噴射ポンプ１の外側面に装着されており、
前記カムシャフトの回転により作動する。フィードポン
プ14の吸入口14bは接続管15を介して燃料タンク８内に
連通している。

燃料フィルタ５の空気抜き口5cは、空気抜き管16を介
して燃料タンク８内に開口している。空気抜き管16には
その途中にバキュームポンプ17が配設され、このバキュ
ームポンプ17の作動により燃料フィルタ５内の空気を吸
引して抜き取ることができるようになっている。

バキュームポンプ17は電動式で、その一方の端子17a
はアースＥに、他方の端子17bは補助リレー18の第１端
子18aにそれぞれ電気的に接続されている。この補助リ
レー18の第２の端子18bは、燃料フィルタ５内の空気の
有無を検出する空気検出手段である液面検出スイッチ19
の一方の端子19aに電気的に接続され、この液面検出ス
イッチ19の他方の端子19bはアースＥに接地されてい
る。そして、液面検出スイッチ19は燃料フィルタ５内の
燃料の液面を検出したとき、オフ状態となっている。そ
して、液面検出スイッチ19は、前記液面を検出しないと
きオン状態となり、これに伴い補助リレー18がオンとな
ってバキュームポンプ17が作動可能となる。

また、バキュームポンプ17より上流側に位置して空気
抜け管16には電磁遮断弁20が介装されている。この電磁
遮断弁20の一方の端子20aはアースＥに、他方の端子20b
は、補助リレー18の第１の端子18aに電気的に接続され
ている。電磁遮断弁20は常閉型であって、バキュームポ
ンプ17の作動時に、これと連動して開弁するようになっ
ている。補助リレー18は第1,第2,第3,第４の端子18a,18
b,18c,18dを有し、第１の端子18aと第３の端子18cと
は、コイル18eに通電されたときに一方向に動く可動接
片18fを介して互いに導通状態となる固定接点18g,18hに
電気的に接続されている。第２の端子18bはコイル18eの
一端に、第４の端子18dはコイル18eの他端にそれぞれ電
気的に接続されている。第3,第４の端子18c,18dは主リ
レー21の第1,第２の端子21a,21bに電気的に接続されて
いる。

主リレー21は第1,第2,第3,第４の端子21a,21b,21c,21
dを有している。第１の端子21aと第３の端子21cとは、
コイル21eに通電されたとき、または摘み21fを摘んで手
動操作することにより一方向に動く可動接片21gを介し
て互いに導通状態となる固定接点21h,21iにそれぞれ電
気的に接続されている。主リレー21の第２の端子21bは
自己保持用コイル21jの一端に電気的に接続され、この
自己保持用コイル21jの他端に、上述の一方の固定接点2
1hが電気的に接続されている。主リレー21の第４の端子
21dはコイル21eの一端に電気的に接続され、このコイル
21eの他端はアースＥに接地されている。主リレー21の
第３の端子21cはエンジンのスタータスイッチ22のACC
（電源）端子22aに電気的に接続されている。主リレー2
1の第４の端子21dはスタータスイッチ22のヒータ端子22
b,スタータ端子22cにそれぞれダイオードD1,D2を介して
電気的に接続されている。補助リレー18と主リレー21と
によりスイッチ機構Ｓが構成されている。ヒータ端子22
bには図示しないヒータが、スタータ端子22cには図示し
ないスタータがそれぞれ電気的に接続されいる。スター
タスイッチ22のバッテリ端子22dは、バッテリ23の一方
の極23aに電気的に接続され、このバッテリ23の他方の
極23bはアースＥに電気的に接続されている。

なお、図中24は燃料タンク８に設けられた空気抜き
口、25はフィードポンプ14に設けられた手動式のプライ
ミングポンプである。

次に、上記構成になる燃料噴射装置の動作を説明す
る。

まず、エンジンを始動するとき図示しないキーを差し
込んでスタータスイッチ22を回転操作してオンにする。
このとき温度が低ければヒータ端子22bの位置まで回転
してヒータで予熱をした後スタータ端子22cの位置まで
回転してスタータを回し、温度が高ければヒータ端子22
bを通過してスタータ位置まで回転することにより、ヒ
ータで予熱することなく直接スタータを回すものである
が、そのいずれの場合においても、主リレー21のコイル
21eに通電されることになる。コイル21eが付勢されると
可動接片21gが図示しない戻しばねの力に抗して一方向
に移動し、この可動接片21gを介して両固定接点21h,21i
が導通する。

これら固定接点21h,21iの導通により、自己保持用コ
イル21jを介して補助リレー18のコイル18eに通電可能と
なる。斯かる状態において、液面検出スイッチ19が燃料
フィルタ５内の燃料の液面を検出したときは、空気が溜
まっていないので、この液面検出スイッチ19はオフにな
っているから、コイル18eは付勢されない。従って、可
動接片18fが閉じないのでバキュームポンプ17及び電磁
弁20には通電されず、バキュームポンプ17は作動しない
と共に、電磁弁20は閉弁状態となっている。

一方、液面検出スイッチ19が燃料フィルタ５内の燃料
の液面を検出しないときは空気が溜まっているので、こ
の液面検出スイッチ19がオンに切り換わるからコイル18
eが付勢され、その磁力により可動接片18fが図示しない
戻しばねの力に抗して一方向に移動し、この可動接点18
fを介して両固定接点18g,18hが導通する。すると、バキ
ュームポンプ17及び電磁弁20に通電され、バキュームポ
ンプ17が作動すると共に電磁弁20が開弁する。これによ
り、燃料フィルタ５内を介して燃料回路中の空気が図中
破線矢印で示す如く空気抜き管16内を通って燃料タンク
側に吸引されて抜き取られる。また、バキュームポンプ
17による空気の抜き取り動作が進行するのに伴い、バキ
ュームポンプ17の吸引力で燃料タンク８内の燃料が接続
管15→フィードポンプ14→接続管13の経路で燃料フィル
タ５内に流入することにより、この燃料フィルタ５内の
燃料の液面が上昇する。そして、液面検出スイッチ19が
燃料フィルタ５内の燃料の液面を検出すると、この液面
検出スイッチ19がオフとなって、バキュームポンプ14が
止まると共に、電磁弁20が閉弁して、空気の抜き取りが
終了する。この後、スタータを回せば、エンジンが始動
して定常運転状態となる。

なお、スタータを回せばエンジン，噴射ポンプ１及び
フィードポンプ14が起動し、燃料タンク８内の燃料が図
中実線矢印で示す如く、接続管15→フィードポンプ14→
接続管13→燃料フィルタ５→接続管４→燃料ギャラリ→
噴射管11→噴射ノズル10の経路でエンジンの各シリンダ
内に噴射されて、このエンジンが始動して定常運転状態
となる。また、必要以上の燃料はオーバフローバルブ６
及びオーバフロー管７を介して燃料タンク８内へ戻され
る。

次に、燃料切れ、フィルタ交換等により燃料を燃料タ
ンク８に再充填したときは、燃料フィルタ５内は空であ
るから液面検出スイッチ19はオンとなっている。この状
態でスタータスイッチ22をACC端子22aの位置に回してか
ら摘み21fを手で押すことにより、主リレー21の可動接
片21gを戻しばねの力に抗して一方向に移動させると、
この可動接片21gを介して両固定接点21h,21iが導通す
る。これら固定接点21h,21iの導通により、自己保持用
コイル21jが付勢され、摘み21fから手を離しても主リレ
ー21はオン状態を保持する。主リレー21がオンになると
コイル18eが付勢され、上記同様に補助リレー18の両固
定接点18g,18hが導通し、バキュームポンプ17が作動す
ると共に、電磁弁20が開弁し、上記同様に燃料フィルタ
５を介して燃料回路中の空気が抜き取られる。

この空気の抜き取り動作が進行するのに伴い、上記同
様に燃料フィルタ５内の燃料の液面が上昇し、この液面
を液面検出スイッチ19が検出すると、これがオフとな
り、バキュームポンプ17が止まると共に、電磁弁20が閉
弁し、空気の抜き取りが終了する。この後、スタータを
回せば、上記同様にエンジンが始動して定常運転状態と
なる。

（考案の効果） 以上の如く本考案は、エンジンのスタータスイッチの
スイッチ操作と連動してオン・オフ切換動作するスイッ
チ機構と、このスイッチ機構がオンになったとき作動し
て燃料フィルタ内の空気の有無を検出する空気検出手段
と、燃料フィルタの空気抜き口と燃料タンクとの間の空
気抜き管途中に配設され、且つ、空気検出手段が前記燃
料フィルタ内の空気を検出したとき作動して該燃料フィ
ルタ内を介して燃料回路中の空気を抜き出すバキューム
ポンプとを備えたことを特徴とするものである。

従って、燃料回路中の空気を自動的に抜き取ることが
できるものでありながら、バキュームポンプにより燃料
フィルタ内を介して燃料回路中の空気を吸引して抜き取
るから、従来の圧送タイプの電動ポンプを用いて空気を
抜き取る場合に比して、短時間で燃料回路中に総ての空
気を確実に抜き取ることができる。また、エンジン始動
後はバキュームポンプは停止し、このポンプ内を燃料が
流れないので、従来のような空気抜き取り用ポンプ保護
用フィルタの目詰まりに伴うシリンダに対する燃料カッ
トを生じない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す内燃エンジンの燃料噴
射装置の構成図である。 １……噴射ポンプ、５……燃料フィルタ、5c……空気抜
き口、８……燃料タンク、10……噴射ノズル、14……フ
ィードポンプ、16……空気抜き管、17……バキュームポ
ンプ、19……空気検出手段（液面検出スイッチ）、21f
……摘み（ハンドスイッチ）、22……スタータスイッ
チ、Ｓ……スイッチ機構。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】燃料タンク内の燃料を、フィードポンプで
   吸い上げ、燃料フィルタで濾過して噴射ポンプに送り、
   この噴射ポンプから噴射ノズルを介してエンジンのシリ
   ンダ内に噴射する、内燃エンジンの燃料噴射装置におい
   て、前記エンジンのスタータスイッチのスイッチ操作と
   連動してオン・オフ切換動作するスイッチ機構と、この
   スイッチ機構がオンになったとき作動して前記燃料フィ
   ルタ内の空気の有無を検出する空気検出手段と、前記燃
   料フィルタの空気抜き口と燃料タンクとの間の空気抜き
   管途中に配設され、且つ、前記空気検出手段が前記燃料
   フィルタ内の空気を検出したとき作動して該燃料フィル
   タ内を介して燃料回路中の空気を抜き出すバキュームポ
   ンプとを備えたことを特徴とする内燃エンジンの燃料噴
   射装置。