JP2505859B2 - 近赤外線吸収剤用組成物並に近赤外線吸収材料及びそれらを含有した成形体 - Google Patents

近赤外線吸収剤用組成物並に近赤外線吸収材料及びそれらを含有した成形体

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は銅化合物とチオ尿素系誘導体とからなる近赤
外線吸収剤用組成物並びに近赤外線吸収材料およびそれ
らを含有した成形体に関するものである。
近赤外線吸収材料は最近とくに研究開発が盛んに行わ
れている機能材料であり、近赤外領域の波長を有する半
導体レーザー光等を光源とする感光材料、光ディスク用
記録材料などの情報記録材料、赤外線カットフィルター
やフィルム等の光学材料および感熱材料と組み合せた光
−熱変換型記録材料等として利用することができる。
[従来の技術] これまでに開発された近赤外線吸収材料としては、特
公昭60−42269号公報にクロム,コバルト錯塩、特開昭6
0−21294号公報にチオールニッケル錯体、特開昭61−11
5958号公報にアントラキノン誘導体、特開昭61−218551
号公報には700〜800nmの領域に極大吸収波長のある新規
スクアリリウム化合物が開示されている。
更に、このほか、「近赤外吸収色素」(化学工業43,1
986年5月)にもみられるように、ニトロソ化合物及び
その金属錯塩、ポリメチン系色素(シアニン色素)チオ
ールとコバルト,白金,パリラジウムとの錯塩、フタロ
シアニン系色素、トリアリルメタン系色素、インモニウ
ム、ジインモニウム系色素、ナフトキノン系色素等が知
られている。
[発明が解決しようとする課題] 従来の近赤外線吸収材料は、有機系のものは耐久性が
悪く環境条件の変化や時間の経過にともなって初期の能
力が劣化してくるという問題点があり、一方錯体系のも
のは耐久性があるが近赤外部のみならず可視部にも吸収
があり化合物そのものが強く着色しているものが多く用
途が制限されてしまうといった問題があった。更に、ど
ちらの系統のものも特定の波長において吸収ピークがみ
られ、そのピークからはずれた波長では殆んど吸収能は
ないものであった。これらの素材を利用して、たとえば
近赤外部の波長を有するレーザー光を光源とする記録体
を考えると、レーザーの波長と材料の吸収ピークを合せ
る必要がある。しかしレーザーの波長も近赤外吸収材料
の吸収波長も限られたものしか得られないから、レーザ
ーの波長と近赤外線吸収材料の吸収ピークが合致する組
み合せは極く限られたものにならざるを得ず、吸収能
力、耐久性、着色、経済性等を総合すると実際上使用で
きる組み合せはないに等しく、使用できる分野も極めて
限られていた。
そこで本発明は、700〜2,000nmの近赤外領域全体に一
様に吸収がみられ、着色が少なくかつ耐久性が優れた近
赤外線吸収材料、簡単に近赤外線吸収材料とすることが
できる組成物ならびにこれらを含有した成形体の提供を
課題とした。
[課題を解決するための手段] 上記課題は、一般式(I) (式中R1,R2,R3は、水素、アルキル基、シクロアルキ
ル基、アリール基、アラルキル基および5員または6員
の複素環残基からなる群から選ばれた一価基を表わし、
各基は1個以上の置換基を有していてもよく、R1とR2
はR2とR3が連結して環を形成してもよい)から選択され
た少なくとも1種のチオ尿素誘導体と、少なくとも1種
の銅化合物とを含有する近赤外線吸収剤用組成物、ある
いはこれらの組成物を加熱処理して得られる反応物から
なる近赤外吸収材料あるいはこれらを含有した成形体と
することにより解決された。
本発明で使用する一般式(I)で示されるチオ尿素誘
導体として以下のものを例示できるが、これらに限定さ
れるものではない。
又、本発明で使用する銅化合物は一般式(II) (R−X)nCu (II) (式中、Rは水素、アルキル基、シクロアルキル基、
アリール基、アラルキル基および複素環残基(各基は1
個以上の置換基を有していてもよい)を表わし、Xは−
COO,−SO4,−SO3,−PO4,−Oを示し、nは1〜4の整
数)あるいはクロロフィル銅、銅クロロフィリンナトリ
ウム、ビスアセチルアセトナト銅から選ばれる少なくと
も一種である。一般式(II)で示される具体的な化合物
として、下記のものを例示できるが、これらに限定され
るものではない。
ステアリン酸銅、パナミチン酸銅、オレイン酸銅、ベ
ヘン酸銅、ラウリル酸銅、カプリン酸銅、カプロン酸
銅、吉草酸銅、イソ酪酸銅、酪酸銅、プロピオン酸銅、
酢酸銅、ギ酸銅、水酸化銅、安息香酸銅、オルトトルイ
ル酸銅、メタトルイル酸銅、パラトルイル酸銅、パラタ
ーシャリブチル安息香酸銅、オルトクロル安息香酸銅、
メタクロル安息香酸銅、パラクロル安息香酸銅、ジクロ
ル安息香酸銅、トリクロル安息香酸銅、p−ブロム安息
香酸銅、p−ヨード安息香酸銅、p−フェニル安息香酸
銅、o−ベンゾイル安息香酸銅、p−ニトロ安息香酸
銅、アントラニル酸銅、p−アミノ安息香酸銅、シュウ
酸銅、マロン酸銅、コハク酸銅、グルタル酸銅、アジピ
ン酸銅、ピメリン酸銅、スベリン酸銅、アゼライン酸
銅、セバシン酸銅、フタル酸銅、モノエステルフタル酸
銅、ナフテン酸ン銅、ナフタリンカルボン酸銅、酒石酸
銅、ジフェニルアミン−2−カルボン酸銅、4−シクロ
ヘキシル酪酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、グル
コン酸銅、ジエトキシ銅、ジ−i−プロポキシ銅、ジ−
n−ブトキシ銅、オクチル酸銅、アルキルベンゼンスル
ホン酸銅、p−トルエンスルホン酸銅、ナフタリンスル
ホン酸銅、ナフチルアミンスルホン酸銅、n−ドデシル
ベンゼンスルホン酸銅、ドデシル硫酸銅、2,5−ジメチ
ルベンゼンスルホン酸銅、2−カルボメトキシ−5−メ
チルベンゼンスルホン酸銅、α−ナフチルリン酸銅、ス
テアルリン酸銅、ラウリルリン酸銅、ジ−2−エチルヘ
キシルリン酸銅、イソデシルリン酸銅。
上記チオ尿素誘導体と銅化合物は単独では近赤外領域
の吸収は殆んど無いか、有っても特定の波長をわずかに
吸収するのみである。又、これらの化合物を単独で加熱
処理を行なっても近赤外線吸収性に実質的変化はみられ
ない。しかしチオ尿素誘導体と銅化合物を混合したもの
は単に加熱処理することによって近赤外領域全域にわた
りほぼ一様に且つ強い吸収を有するものとなる。
本発明の一般式(I)で示されるチオ尿素誘導体と一
般式(II)で示される化合物あるいはビスアセチルアセ
トナト銅、クロロフィル銅、銅クロロフィリンアントリ
ウムを共存させただけでは、強い近赤外線吸収を示すも
のではない。しかしこの組成物あるいはこの組成物を含
有した成形体は、必要な時何等かの方法により熱エネル
ギーを与えれば、与えた部分はただちに近赤外線を強く
吸収する性質を具備するようになる。熱エネルギーを印
加された部分は可視部に殆んど吸収を持たないので、こ
の部分は加熱パターンの潜像となる。従って本発明の組
成物のこの性質の変化を利用すれば、加熱パターンの検
出装置や適当な現像手段によって記録紙とすることもで
きる。
又、本発明のチオ尿素化合物と銅化合物を含有する組
成物を加熱処理して得られる生成物は、強い近赤外線の
ほぼ全領域にわたり強い吸収性を有していることから、
近赤外線の検出装置のほか、各種の近赤外領域に波長を
有するレーザー光を利用した記録システムを構築するこ
とが可能となる。
近赤外線吸収性の度合いはチオ尿素誘導体と銅化合物
の種類と比率、加熱温度、加熱時間などを調節すること
により、任意に調整できる。
チオ尿素誘導体と銅化合物は、配合比に従ってこのま
ま混合して組成物としてもよく、バインダー、パルプ、
熱可塑性樹脂粉末等とともに混合し、更に必要に応じ着
色剤等の添加剤を加えて混合した組成物とすることもで
きる。
又、適当な溶媒もしくは分散媒中に混合溶解もしくは
分散するか、バインダーや着色剤等を溶解した媒体中に
混合分散して組成物としてもよい。このような組成物と
しては塗料や充填剤等がある。混合の程度及び成形体へ
の含有量あるいは他の物質との配合量は、加熱処理を行
なったとき、チオ尿素誘導体と銅化合物同志が固体のま
まあるいは、どちらか一方又は両方が溶融して互に十分
接触し得る状態になる程度になされていれば良いのであ
る。
チオ尿素誘導体と銅化合物を含有する近赤外線吸収剤
用組成物、あるいはこの組成物を加熱処理して得られる
近赤外線吸収材料を成形体に含有させるには、下記の方
法がある。
近赤外線吸収材料の場合は、成形体を構成する材料と
混合した後、成形するか、予め分散させてスラリーと
し、このスラリーを既に形成された整形体に噴霧、塗
工、印刷などにより塗布あるいは含浸させる。
近赤外線吸収剤用組成物の場合も、近赤外線吸収材料
の場合と同様の方法で成形体に含有させることができる
が、近赤外線吸収性を発揮させるため、これらの工程の
いずれかの工程で十分な加熱をするか、あるいはこれら
の工程の後工程で十分な加熱処理をして、近赤外線吸収
剤用組成物を近赤外線吸収材料に変換する。
近赤外線吸収性成形体は、成形体を構成する材料に赤
外線吸収剤用組成物、あるいは近赤外線吸収材料を含有
させて、成形し、含有させる工程、成形工程、あるいは
その後工程のいずれかの工程で加熱処理をして得ること
ができる。本発明において、含有とは、成形体を構成す
る材料の表面、内部、あるいはその両方に赤外吸収剤用
組成物、あるいは近赤外線吸収材料が存在している状態
を指す。
成形体とは、成形体を構成する材料、例えば、パル
プ、繊維、熱可塑性樹脂、セラミック等を、何らかの手
段、例えば、抄く、織る、鋳る、加熱成形する等によ
り、フィルム、シート、プレート状など、所定の目的に
合致する一定の形状に成形したものである。
成形体を構成する材料として熱可塑性樹脂を用いる場
合を例にとると、次のようないくつかの方法により近赤
外線吸収成形体を得ることができる。
・チオ尿素誘導体と銅化合物を含有する近赤外線吸収剤
用組成物をスラリー化するか、あるいはそのまま熱可塑
性樹脂ペレットと混合し、直接加熱成形機により成形す
るか、これらを加熱溶融し熱可塑性樹脂中に均一に含有
せしめた後、一旦再ペレット化し、このペレットを用い
て成形手段により成形して、成形体を得る。このとき、
近赤外線吸収剤用組成物を熱可塑性樹脂ペッレットに加
熱溶解する時の加熱が十分であれば、チオ尿素誘導体と
銅化合物が反応し、近赤外線吸収剤用組成物は近赤外線
吸収材料に変化しているので、その後の成形は加熱成
形、あるいは加圧成形など非加熱成形手段によっても近
赤外線吸収性成形体が得られる。
・熱可塑性樹脂単量体あるいは流動性のある程度の低重
合体中に、近赤外線吸収剤用組成物を均一に混合し、加
熱することにより重合あるいは縮合を進めて、近赤外線
吸収性成形体を得る。
・チオ尿素誘導体と銅化合物を含有する近赤外線吸収剤
用組成物を、予め加熱反応させて近赤外線吸収材料と
し、この近赤外線吸収材料を重合体ペレットと混合し、
加熱成形あるいは非加熱成形して、近赤外線吸収性成形
体を得る。
・近赤外線吸収材料を、スラリー、塗料などとし、既に
成形されている成形体に浸漬、噴霧、塗工、印刷等の手
段により成形体表面に付着せしめ、近赤外線吸収性成形
体を得る。
熱可塑性樹脂は、周知のものを使用することができ、
例えば、ポリエチレン、ポリマープロピレンなどのオレ
フィン樹脂、ポリスチレンなどのスチレン系樹脂、ポリ
酢酸ビニル系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのア
クリル系樹脂、ポリ塩化ビニルなどの塩化ビニル系樹
脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリエーテル、ポリカーボネ
ート、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどのポ
リアミド樹脂、などが挙げられる。
熱可塑性樹脂を用いて赤外線吸収性成形体を得る上記
以外の手段、および成形体を構成する材料がパルプ、繊
維、セラミックなど熱可塑性樹脂以外の材料を用いて近
赤外線吸収性成形体を得る手段は、上記記載から自ずか
ら明かな範囲で本発明に属する。
成形手段としては、鋳造、プレス、射出、熱押出し、
抄造、織編などがあり材料と目的に応じてこれらの手段
を使用すればよい。
近赤外線吸収性を発現させるための加熱処理方法は、
2成分が反応して近赤外線吸収能が得られる熱エネルギ
ーが付加できるものであれば特に制限はなく、例えば電
気ヒーター、誘導加熱、溶融成形、サーマルヘッド、半
導体レーザーおよび赤外線ランプ等を上げることができ
る。加熱操作は、大気雰囲気下、不活性雰囲気ガス中な
どの任意な雰囲気下にて行なわれるが、通常は大気雰囲
気下にて行なわれる。
加熱温度は、一般に40〜400℃範囲内であって、好ま
しくは、50〜350℃の範囲である。加熱時間は、一般に
は数ミリ秒〜数十分の範囲内である。又、撹拌、回転、
振動を加えて、物質相互の接触頻度を上げ、熱エネルギ
ーの伝達を均一にして反応を速めるとともに混合状態を
均一化することは好ましい方法である。
チオ尿素誘導体と銅化合物の配合比率は両者の種類に
よって異なるが、一般には銅化合物1部に対してチオ尿
素化合物0.01部〜50部の範囲であって好ましくは0.1部
〜10部の範囲である。
[作 用] 上記の如く、一般式(I)のチオ尿素誘導体と水酸化
銅あるいは一般式(II)の銅化合物あるいはビスアセチ
ルアセトナト銅、クロロフィル銅、銅クロロフィリンナ
トリウムとを含有した混合物は、加熱処理することによ
って700〜2,000nm全域にわたりほぼ一様に近赤外線を吸
収するのようになるが、その理由は明らかではない。
以下に示す実施例および比較例から明らかなように、
チオ尿素誘導体あるいは銅化合物をそれぞれ単独で加熱
処理して700〜2,000nmの近赤外領域全域にわたりほぼ一
様にかつ強く近赤外線を吸収することはなく、単に混合
しただけでも同様であることからすれば、チオ尿素誘導
体と銅化合物とをともに含有した混合物を加熱処理する
ことにより、チオ尿素誘導体と銅化合物との間で何らか
の反応が起き、コンプレックスが生じていることによる
と推定される。
[実施例] 次に本発明の実施例を記載する。実施例中の部は重量
部である。
[実施例1] 表1のNo.1,No.3,No.5のチオ尿素誘導体と銅化合物の
それぞれを下記の処方で平均粒径3μ程度になるまでア
トライターで湿式摩砕する。
(A)液 No.1,No.3,No.5のチオ尿素誘導体 20部 10%ポリビニルアルコール水溶液 50〃 水 30〃 計 100部 (B)液 No.1,No.3,No.5の銅化合物 20部 10%ポリビニルアルコール水溶液 50〃 水 30〃 計 100部 (A)液50部(B)液50部を混合し、坪量60g/m2の上
質紙上にメイヤーバーを用いて塗布量が5g/m2になるよ
うに塗布乾燥して記録紙を得る。
得られた記録シートはいずれも白色から淡青色であり
塗工面を表面温度150℃のメタルブロックに5秒間接触
させたところ淡鴬色に発色した。
それぞれの発色部分の近赤外吸収性は800、900、1,00
0、1,500、2,000nmの各波長の吸収値の平均が80%以上
で高い近赤外吸収性を示した。
又、感熱型バーコードラベルプリンター(メカスポッ
トロン社製BW−100T)で感熱印字させた。いずれも淡鴬
色のバーコードパターンが得られ、このパターンは、94
0nmの近赤外領域の波長を有する半導体レーザー光を読
み取り光源とするバーコードリーダー(メカスポットロ
ン社製MS−Ba−Dec 230)で明瞭読み取ることが出来
た。
[実施例2] 表1に示す組合せNo.1〜No.23のチオ尿素化合物5部
と銅化合物5部を陶製ルツボにとり、混合したもの10部
を電気オーブンで150℃、15秒間加熱処理した。得られ
た淡く着色した粉末状反応生成物を上質紙の上に一定の
厚さに固定し、その表面の反射率を分光光度計(日本分
光(株)UVIDEC−590)を使用して800〜2,500nmの近赤
外領域の反射スペクトルを測定した。
近赤外線吸収性の判定は、800、900、1,000、1,500、
2,000nmの各波長の反射率を100から引いた値を吸収値と
し、吸収値の平均が80%以上のものを◎、60%以上を
○、30%以上を△、30%以下を×とした。平均して30%
以上の近赤外線吸収性を示すものが本発明の近赤外線吸
収材料である。本実施例のNo.1〜No.23の組合せ反応生
成物の近赤外線吸収性は表−1に示したごとく全て平均
して60%以上であった。
[比較例1] 表2に示すチオ尿素化合物、もしくは銅化合物を各々
単独で上記条件で加熱処理し、得られたものについて近
赤外領域の反射スペクトルを測定し、実施例2と同様に
近赤外線吸収性を評価した。結果は表2に示したように
全て30%以下の近赤外線吸収性しかなかった。
本発明のチオ尿素誘導体と銅化合物を単独で加熱処理
した場合、混合のみの場合、混合して加熱処理した場合
の近赤外線吸収性の変化を詳細に示すために、1,3−ジ
フェニルチオ尿素とp−クロル安息香酸銅を混合し加熱
処理した実施例2のNo.1、単に混合しただけで加熱処理
を行わなかった実施例1No.1、および1,3−ジフェニルチ
オ尿素とp−クロル安息香酸銅をそれぞれ単独で加熱処
理した比較例1のNo.1とNo.4の800〜2,000nmの範囲の近
赤外線反射スペクトルを第1図に示した。
第1図によれば1,3−ジフェニルチオ尿素とp−クロ
ル安息香酸銅を混合加熱処理した実施例2、No.1の近赤
外線吸収性はそれぞれ単独加熱および混合しただけのも
のに比べ劇的に強くなっており、測定全波長域にわたり
90%以上の吸収を示している。
[実施例3] 表3に示すNo.24からNo.32のチオ尿素化合物と銅化合
物を各々別々に下記組成とする。
(A液) チオ尿素化合物 50部 10%ポリビニルアルコール水溶液 25部 水 125部 (B液) 銅化合物 50部 10%ポリビニルアルコール水溶液 25部 水 125部 上記の組成物の各液をアトライターで平均粒子径1ミ
クロンまで摩砕した。次いで表3に示す割合で分散液を
混合して塗液とし、上記各塗液を50g/m2の上質紙の片面
に固型分で3.0g/m2になるように塗布し乾燥した。この
シートを150℃の熱板に10g/m2の圧力で5秒間押しつけ
加熱処理し、近赤外線吸収性シートを作成した。
このシートの近赤外線吸収性を実施例2と同様な方法
で測定評価し、塗布面の地色及び近赤外線吸収性の熱、
湿度、光に対する保存安定性を下記の方法で測定し、結
果を表−3に示した。
地 色:加熱処理後の塗布面の反射濃度をマクベス濃度
計(RD−914、アンバーフィルター)で測定した。
耐熱性:シートを60℃のオーブン中に24時間放置した
後、再度赤外反射率を分光光度計(波長1,000nm)で測
定した。耐熱保存性は下記式により近赤外線吸収性の残
存率で評価した。
耐湿性:近赤外線吸収性シートを40℃,90%RHの条件に
放置し、24時間後、赤外反射率を分光光度計(波長1,00
0nm)で測定した。耐湿保存性は下記式により算出した
近赤外線吸収性の残存率で評価した。
耐光性:近赤外線吸収性シートをフェードメータで6時
間光照射した後、赤外反射率を分光光度計(波長1,000n
m)で測定した。耐光保存性は下記式により算出した近
赤外線吸収性の残存率で評価した。
[比較例2] 実施例3で使用したチオ尿素誘導体又は銅化合物のA
液又はB液の分散液を、それぞれ単独で、実施例3と同
様にして塗布乾燥して、加熱処理した後近赤外線吸収性
を測定した。
表−3によれば、チオ尿素化合物と銅化合物の水分散
液を混合して塗布乾燥したシートは、加熱処理により強
い近赤外線吸収性シートとなることが明らかである。
又、この近赤外線吸収性は、加熱や加湿あるいは露光に
よって殆んど低下せず、取扱いや保存の環境条件の変化
に対し安定性が高いものであることがわかる。シート面
は若干着色しているが灰色に近いから余り目立なかっ
た。
又、チオ尿素誘導体あるいは銅化合物の分散液単独で
塗布乾燥したシートは、加熱処理によっても近赤外線吸
収性を実質的に示さない。従って近赤外線吸収性の保存
テストは行わなかった。
[実施例4] ジフェニルチオ尿素0.4重量部と、ステアリン酸銅0.1
重量部を、ポリカーボネート樹脂100部に混合してドラ
イブレンドを行い、250℃の押出機によりペレットを作
成した。次に押出成形加工して厚さ3mmの淡鴬色に着色
した透明なプレートを得た。得られたプレート型成形体
は、700〜2000nmの近赤外線を80%カットした。
[実施例5] o−ベンゾイル安息香酸銅0.1重量%を、メタクリル
酸メチル100重量部に溶解し、重合開始剤としてα,
α′イソブチルニトリル0.5重量部を加え、湯浴中(60
〜80℃)で加熱して予備重合させ、1,3−ジ−m−クロ
ルフェニルチオ尿素0.4重量部を添加し、均一に溶解し
てから粘稠なうちにガラス板に型注し、さらに90℃で加
熱重合させ、厚さ3mmの淡鴬色に着色した透明なプレー
トを得た。得られたプレート型成形体は、700〜2000nm
の近赤外線を78%カットした。
[発明の効果] 本発明の近赤外線吸収剤用組成物及びそれを含有した
シートはほぼ無色であって、熱が印加された部分はただ
ちに近赤外線吸収性を示すようになる。又これらの組成
物及びこの組成物を含有したシートを加熱処理したも
の、あるいは組成物を加熱処理したものを含有したシー
トは800〜2,000nmの近赤外領域全域にわたる強い吸収性
を有している。これらの性質を利用することによって熱
履歴の検出装置や近赤外線カットフィルターなどの光学
材料、記録材料、熱線遮断材料、蓄熱材料、近赤外線検
出センサー等として利用できる。
本発明の組成物あるいはこの組成物を加熱処理して得
られる生成物は、金属を含んでいるにもかかわらず着色
が少いから、これらを含有したフィルムや紙等の成形体
は外観が優れたものとなる。
本発明の近赤外線吸収剤用組成物、近赤外線吸収材料
又はこれらを含有した成形体の近赤外線吸収性は、いず
れも、経時的にも環境条件の変化に対して高い安定性を
示し、変質することもない。
更に、本発明の近赤外線吸収剤用組成物、近赤外線吸
収材料の製造は混合と加熱のみで極めて容易に行うこと
ができる。又、これらを含有した成形体の製造も何等新
規な手段を要しないから本考案は工業的生産に適したも
のである。
【図面の簡単な説明】
第1図は1,3−ジフェニルチオ尿素とp−クロル安息香
酸銅を単独で加熱処理したもの、混合したもの及び混合
して加熱処理したものの近赤外線の反射スペクトル図で
ある。

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) (式中R1,R2,R3は、水素、アルキル基、シクロアルキル
    基、アリール基、アラルキル基および5員または6員の
    複素環残基からなる群から選ばれた一価基を表わし、各
    基は1個以上の置換基を有していてもよく、R1とR2又は
    R2とR3は連結して環を形成してもよい)から選択された
    少なくとも1種のチオ尿素誘導体と、少なくとも1種の
    銅化合物とを含有する近赤外線吸収剤用組成物。
  2. 【請求項2】銅化合物が下記の一般式(II) (R−X)nCu (II) (式中、Rは水素、アルキル基、シクロアルキル基、ア
    リール基、アラルキル基および複素環残基(各基は1個
    以上の置換基を有していてもよい)からなる群から選ば
    れた一価基、Xは−COO,−SO4,−SO3,−PO4,−O、nは
    1〜4の整数)で表される銅化合物であることを特徴と
    する請求項1記載の近赤外線吸収剤用組成物。
  3. 【請求項3】銅化合物がビスアセチルアセトナト銅であ
    ることを特徴とする請求項1記載の近赤外線吸収剤用組
    成物。
  4. 【請求項4】銅化合物がクロロフィル銅又は銅クロロフ
    ィリンナトリウムであることを特徴とする請求項1記載
    の近赤外線吸収剤用組成物。
  5. 【請求項5】請求項1、2、3、または4記載の近赤外
    線吸収剤用組成物を含有させたことを特徴とする近赤外
    線吸収用成形体。
  6. 【請求項6】請求項1、2、3、または4記載の近赤外
    線吸収剤用組成物を加熱処理して得られる反応物からな
    る近赤外線吸収材料。
  7. 【請求項7】請求項6記載の近赤外線吸収材料を含有さ
    せたことを特徴とする近赤外線吸収成形体。
  8. 【請求項8】請求項5記載の近赤外線吸収用成形体を加
    熱してなる近赤外線吸収成形体。
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