JP3875869B2 - 温度履歴インジケータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定の温度を超える温度履歴を経たかを色調の変化で記録でき、耐久性、安定性が優れている温度履歴インジケータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
加工食品のように製造の際に所定の温度を超えて加熱しなければならない製品がある。また、医薬品や食料品のように流通や保管の際に、所定の温度を超えると劣化したり分解したり腐敗したりする製品もある。モータのように使用の際の過熱により、故障や破損をしたり火災の危険を生じたりする電気設備や電気部品等の製品もある。
【0003】
製品が所定の温度を超える温度履歴を経たか否かを検知するために、熱による色調の変化で示すインジケータが用いられる。
【0004】
一般的にラベルや印刷物の耐久性や安定性を向上させるために、フィルムのラミネートやコート剤の印刷などが施される。
【0005】
熱によって色調の変化するこのインジケータの耐久性や安定性を向上させる方法には、例えば粘着剤層付きフィルムで被覆するような熱のかからない方法があるが、粘着剤層から油や水がしみこんだり、その結果インジケーターが熱によらずに変色したり、剥がれてしまったりするおそれがある。また、溶剤を含有するコート剤を、このインジケータ上面に印刷する方法もあるが、熱風を吹付けて溶剤を乾燥すると熱により色調が変化してしまうので、冷風の吹付け等のように熱をかけずに乾燥しなければならず、時間や設備の無駄が多くなってしまう。
【0006】
そこで、耐久性や安定性があり、効率的に製造できる温度履歴インジケータが望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、耐水性、耐油性、耐光性等の耐久性や安定性に優れ、所定の温度履歴を経たかを不可逆的で明瞭な色調の変化で正確に表示できる簡便なインジケータを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するためになされた本発明の温度履歴インジケータは、記録すべき温度に相当する融点を持つ粒状または粉末状で脂肪酸誘導体、アルコール誘導体、エーテル誘導体、アルデヒド誘導体、ケトン誘導体、アミン誘導体、アミド誘導体、ニトリル誘導体、炭化水素誘導体、チオール誘導体およびスルフィド誘導体から選ばれる少なくとも1種類の熱溶融性物質と、該熱溶融性物質で隠蔽されており、熱溶融した該物質へ分散または溶解して拡散する粒状または粉末状の色素と、熱溶融しつつ該色素を該分散または溶解させた該物質が拡散するインキビヒクルとを混合してみ、該分散または該拡散によって変色して温度履歴を表示する感温変色層が、基材に付され、光硬化性樹脂で被覆されている。
【0009】
光硬化性樹脂は、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミノ系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂、エーテル系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、エーテルアクリレート系樹脂、アルキド系樹脂、ビニルアセタール系樹脂、アクリル系ポリエステル樹脂、またはアクリル系樹脂であることが好ましい。
【0010】
光硬化性樹脂は、活性エネルギー線照射により、重合もしくは、架橋し、硬化したものであってもよい。
【0011】
光硬化性樹脂は、より具体的には、ダイキュアAK(大日本インキ化学工業(株)製の商品名)、FDSニュー(東洋インキ製造(株)製の商品名)、レイキュアTU4400(十条ケミカル(株)製の商品名)、UVSPAクリヤー(帝国インキ製造(株)製の商品名)、UV8418((株)セイコーアドバンス製の商品名)のような市販の活性エネルギー線重合性モノマー含有組成物を、基材へ付した感温変色層上に印刷、塗布、または噴霧し、活性エネルギー線例えば紫外線、赤外線、電子線、放射線を照射して、透明または半透明で薄膜状または塊状に速やかに重合硬化させて、形成されたものである。
【0012】
光硬化性樹脂は、感温変色層を被覆して水、油、光等の影響を受けにくくしている。
【0013】
熱溶融性物質は、変色温度を決定する成分であって、常圧下で記録すべき温度の融点を有し、融点以上に加熱されると熱溶融されて、粒状または粉末状から液状に変化する物質である。
【0014】
色素は、感温変色層中に粒状または粉末状で含まれ、熱溶融した熱溶融性物質に分散または溶解することにより拡散するものである。また色素は、熱溶融したこの物質によって色素の粒表面や粉末表面が湿潤されるものであってもよい。
【0015】
インキビヒクルは、常温でこの熱溶融性物質とこの色素とを溶解せず拡散させないが、色素が分散または溶解している熱溶融した熱溶融性物質を、拡散することができるものである。
【0016】
温度履歴インジケータは、温度履歴を検知すべき製品の近傍に載置したり、製品に貼付したりして使用される。インジケータは、この製品に感温変色層が直接付され光硬化性樹脂で被覆されたものであってもよい。
【0017】
この温度履歴インジケータの加熱前には、粒状または粉末状の熱溶融性物質と、粒状または粉末状の色素とが混合状態にあって、色素が熱溶融性物質で隠蔽されている。インジケータが熱溶融性物質の融点以上に加熱されると、熱溶融性物質が熱溶融する。熱溶融したこの物質に色素が分散または溶解して拡散したり、または熱溶融したこの物質で色素の粒状または粉末状の表面が湿潤したりすることにより、感温変色層が明瞭に変色する。この変色を透明または半透明の光硬化性樹脂を通して観察して、インジケータの色調の変化が目視されることにより、所定の温度履歴を経たことが確認される。
【0018】
この温度履歴インジケータの光硬化性樹脂は、有機溶剤を含有していない活性エネルギー線重合性モノマー組成物から得られるものであり、活性エネルギー線を照射することで重合し、瞬時に硬化する。そのため、インジケータの製造にあっては、時間や設備を効率的に使うことができる。
【0019】
また光硬化性樹脂は、膜状樹脂を形成するため、感温変色層の変色を阻害しない。そのため、温度履歴インジケータは色調が明瞭に変化する。さらに保存時および使用時の耐水性、耐油性、耐光性、耐酸化性の安定性が優れている。
【0020】
熱溶融性物質への色素の拡散が不可逆的であるので、このインジケータは、色調が変化した後に温度が低下し、熱溶融性物質が凝固しても、変化前の色調に戻らない。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の温度履歴インジケータの実施例について詳細に説明する。
【0022】
温度履歴インジケータは、感温変色層が、基材に付されて光硬化性樹脂で被覆されたものである。
【0023】
感温変色層は、熱溶融性物質、色素、およびインキビヒクルを含む感温インキで印刷されたものである。光硬化性樹脂は、感温変色層を覆って印刷された紫外線重合性モノマー含有組成物が、紫外線照射により重合硬化したものである。
【0024】
温度履歴インジケータは以下のようにして製造される。
【0025】
先ず、所望の粒径に粉砕した熱溶融性物質および色素と、インキビヒクルとを混練機で均一に混練することにより、感温インキを調製する。
【0026】
感温インキ中の熱溶融性物質は、0.01μm〜5mmの径を有していることが好ましい。感温インキ中に、この熱溶融性物質が10〜70重量%含まれていることが好ましい。10重量%未満であると色調の変化が不明瞭であり、一方70重量%より多いと固着力が低下し基材への塗布や印刷ができない。
【0027】
熱溶融性物質は、具体的にはミリスチン酸、パルミチン酸、アジピン酸、オクタン酸、トリコサン酸、テトラトリアコンタン酸、2,3−ジメチルノナン酸、23−メチルテトラコサン酸、2−ヘキセン酸、ブラシン酸、2−メチル−2−ドデセン酸、β−エレオステアリン酸、ベヘノール酸、cis−9,10−メチレンオクタデカン酸、ショールムーグリン酸、3,3’−チオジプロピオン酸−n−ドデシル、トリラウリン、パルミチン酸アニリド、ステアリン酸アミド、ステアリン酸亜鉛、サリチル酸アニリド、N−アセチル−L−グルタミン酸、カプロン酸−β−ナフチルアミド、エナント酸フェニルヒドラジド、アラキン酸−p−クロルフェナシル、ギ酸コレステリル、1−アセト−2,3−ジステアリン、チオラウリン酸−n−ペンタデシル、ステアリン酸塩化物、無水パルミチン酸、ステアリン酸−酢酸無水物、コハク酸、セバシン酸ベンジルアンモニウム塩、2−ブロム吉草酸、α−スルホステアリン酸メチルナトリウム塩、2−フルオルアラキン酸が挙げられる脂肪酸誘導体;
オクタデシルアルコール、コレステリン、D−マンニット、ガラクチトール、ヘプタトリアコンタノール、ヘキサデカン−2−オール、1−trans−2−オクタデセノール、β−エレオステアリルアルコール、シクロエイコサノール、d(+)セロビオース、p,p’−ビフェノール、リボフラビン、4−クロロ−2−メチルフェノール、2−ブロモ−1−インダノールが挙げられるアルコール誘導体;
ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、シチジン、アデノシン、フェノキシ酢酸ナトリウム、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、アルミニウムトリエトキシドが挙げられるエーテル誘導体;
ステアリンアルデヒド、パララウリルアルデヒド、パラステアリンアルデヒド、ナフトアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、フタルアルデヒド、4−ニトロベンズアルデヒドが挙げられるアルデヒド誘導体;
ステアロン、ドコサン−2−オン、フェニルヘプタデシルケトン、シクロノナデカン、ビニルヘプタデシルケトン、4,4−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、ビス(2,4−ペンタンジオナイト)カルシウム、1−クロロアントラキノンが挙げられるケトン誘導体;
トリコシルアミン、ジオクタデシルアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、ヘプタデカメチレンイミン、ナフチルアミン、p−アミノ安息香酸エチル、o−トリチオ尿素、スルファメタジン、硝酸グアニジン、p−クロロアニリン、プロピルアミン塩酸塩が挙げられるアミン誘導体;
ヘキシルアミド、オクタコシルアミド、N−メチルドデシルアミド、N−メチルヘプタコシルアミド、α−シアノアセトアミド、サリチルアミド、ジシアンジアミド、2−ニトロベンズアミド、N−ブロモアセトアミドが挙げられるアミド誘導体;
ペンタデカンニトリル、マルガロニトリル、2−ナフトニトリル、o−ニトロフェノキシ酢酸、3−ブロモベンゾニトリル、3−シアンピリジン、4−シアノフェノールが挙げられるニトリル誘導体;
ヘキサデカン、1−ノナトリアコンテン、trans−n−2−オクタデセン、ヘキサトリアコンチルベンゼン、2−メチルナフタレン、ビセン、塩化シアヌル、1−フルオロノナデカン、1−クロロエイコサン、1−ヨードペンタデカン、1−ブロモヘプタデカン、1,2,4,5−テトラキス(ブロモメチル)ベンゼンが挙げられる炭化水素誘導体;
ペンタデカンチオール、エイコサンチオール、2−ナフタレンチオール、2−メルカプトエチルエーテル、2−ニトロベンゼンスルフェニルクロリドが挙げられるチオール誘導体;
1,3−ジアチン、2,11−ジチア[3,3]パラシクロファン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、4,4−ジピリジルスルフィド、4−メチルメルカプトフェノールが挙げられるスルフィド誘導体のうちの少なくとも1種類が用いられる。
【0028】
感温インキ中の色素は、0.001μm〜5mmの径を有していることが好ましい。感温変色層中、熱溶融性物質の100重量部に対して、この色素は0.001〜100重量部の比で含まれていることが好ましい。
【0029】
色素は、具体的には、C.I.ディレクト・オレンジ39、C.I.ディレクト・ブラウン2、C.I.アシッド・イエロー73、C.I.アシッド・レッド52、C.I.アシッド・バイオレット49、C.I.ベイシック・イエロー11、C.I.ベイシック・レッド38、カチオン・レッドSGLH、カチオン・レッドGTLH、カチオン・レッド4GH、カチオン・レッド7BNH(保土ヶ谷化学社製)、C.I.モルダント・レッド7、C.I.モルダント・ブラック38、C.I.アゾイック・ブルー9、C.I.アゾイック・ジアゾ・コンポーネント11、C.I.サルファー・ブラック1、C.I.サルファー・レッド5、C.I.バット・グリーン9、C.I.バット・バイオレット2、C.I.ディスパース・ブルー3、ディスチャージ・レッドBB(三井東圧染料社製)、C.I.リアクティブ・ブルー19、C.I.リアクティブ・ブルー15、レマゾールBrブルーR−KN(三菱社製)、C.I.ソルベント・オレンジ2、C.I.ソルベント・ブルー25、C.I.アシッド・グリーン1、フラビアニック・アジド・ジソジウム・ソールト、プリムリンスルホン酸が挙げられる染料;
4,10−ジブロムアントアントロン、ジベンゾアントロン、コチニールレーキ、C.I.ピグメント・イエロー1、C.I.ピグメント・レッド38、C.I.ピグメント・ブルー15、C.I.ピグメント・レッド209、C.I.ピグメント・イエロー109、C.I.ピグメント・グリーン10、C.I.ベイシック・レッド1−レーキ、C.I.アシッド・レッド87-レーキ、C.I.ピグメント・ブルー6、C.I.ピグメント・レッド179、C.I.ピグメント・レッド88、アリザリンレーキ、C.I.ピグメント・バイオレット23、C.I.ピグメント・グリーン8、C.I.ピグメント・レッド53、C.I.ピグメント・イエロー23−レーキ、タンニン酸・没食子酸・鉄レーキ、C.I.ピグメント・イエロー34、C.I.ピグメントイエロー35が挙げられる有機顔料;
カオリン、紺青、硫酸ストロンチウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウム、カーボンブラックが挙げられる無機顔料が用いられる。これらの色素は、2種以上混合して用いてもよい。なお、前記C.I.は、カラー・インデックスの略字である。
【0030】
感温インキ中のインキビヒクルは、例えばアクリル樹脂、フェノール樹脂、ナイロン、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースが用いられる。より具体的には、市販のインキビヒクルである、PAS800メジウム(十条化工社製の商品名)、ハイセットマットメジウム(ミノグループ製の商品名)が挙げられる。
【0031】
また、インキビヒクルは、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミノ系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂、エーテル系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、エーテルアクリレート系樹脂、アルキド系樹脂、ビニルアセタール系樹脂、アクリル系ポリエステル樹脂、またはアクリル系樹脂のいずれかの光硬化樹脂が用いられてもよい。より具体的には、市販のビヒクルである、ダイキュアAK(大日本インキ化学工業(株)製)、FDSニュー(東洋インキ製造(株)製)、レイキュアTU4400(十条ケミカル(株)製)、UVSPAクリヤー(帝国インキ製造(株)製)、UV8418((株)セイコーアドバンス製)が挙げられる。
【0032】
感温インキには、熱溶融性物質と色素とを溶解しないがインキビヒクルを溶解する溶媒が含まれていてもよい。このような溶媒は、例えば水、エタノール、ブタノール、酢酸エチル、酢酸イソアミル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、ジエチルベンゼン、トルエン、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ミネラルスピリットが挙げられる。
【0033】
さらに、感温インキには、色素を分散させて色調の変化が明瞭となるように、タルク、炭酸マグネシウム、シリカの例示される分散剤が含まれていてもよい。感温インキには、色調の変化を増幅させるため、直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料、反応性染料、油溶性染料、建築染料、媒染染料、アゾイック染料、硫化染料の例示される染料、有機顔料、無機顔料のいずれかであって、色素の色調と対照色を示す色の助色剤が含まれていてもよい。また、感温インキには、インキの流動性や乾燥性を調整するワックスや界面活性剤が含まれていてもよい。
【0034】
次にこの感温インキを基材に印刷し感温変色層を形成し、そのうえに紫外線重合性モノマー含有組成物を印刷により付し、紫外線を照射して薄膜状の光硬化性樹脂を形成させると、温度履歴インジケータが得られる。
【0035】
基材として、普通紙、和紙、ケント紙の例示される紙;合成紙;檜材の例示される木材;ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリカーボネート、アクリル樹脂の例示されるプラスチック製のものが用いられる。
【0036】
感温インキの印刷および紫外線重合性モノマー含有組成物の印刷は、例えばスクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、刷毛塗りにより行われる。
【0037】
この温度履歴インジケータは、カード状、シート状または棒状であってもよく、裏面に粘着剤層を有するラベルであってもよい。
【0038】
以下に本発明を適用する温度履歴インジケータを試作した例を実施例1に、本発明を適用外のインジケータを試作した例を比較例1に示す。
【0039】
(実施例1)
熱溶融性物質であるミリスチン酸100重量部、色素であるアシッド・イエロー73の0.1重量部、インキビヒクルであるエチルセルロース8重量部、および溶媒であるジエチルベンゼン200重量部を配合し、混練機で均一となるまで混練して、白色の感温インキを調製した。これをスクリーン印刷により基材であるプラスチック合成紙の表面に印刷し、白色の感温変色層を形成した。次いでこの感温変色層にFDSニュー(東洋インキ製造(株)製の商品名)を塗布し、紫外線を照射すると、それが重合硬化した光硬化性樹脂により被覆された温度履歴インジケータが、得られた。このインジケータを曲面に貼付して油中に浸漬しても、感温変色層の色調の変化は認められなかった。また、製造時間が短縮でき、効率的に生産できた。このインジケータを50℃以上に曝すと、その色調が黄色へ明瞭に変化し、放冷後に元の色調に戻らなかった。
【0040】
(比較例1)
光硬化性樹脂に代えて、粘着剤層付きのポリエチレンテレフタレート製ラミネートフィルムを貼付したこと以外は、実施例1と同様にしてインジケータを得た。曲面に貼付して油中に浸漬すると粘着剤層へ油がしみ込んできたために感温変色層が変色してしまっていた。このインジケータを50℃以上に曝してもさらなる色調の変化は認められなかった。
【0041】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように本発明の温度履歴インジケータは、所定の温度を超えたときの色調の変化が不可逆的で明瞭であり、変色後の色調のまま保存することができる。このインジケータは、加工食品等の製品製造の加熱工程において所定の温度以上に加熱されたことの確認、加熱を忌避すべき医薬品、食料品等の製品の流通時や保存時において所定の温度を超えていないことの確認、および電気部品等の製品の使用時の過熱による故障の予知や安全の確認のために好適に使用される。
【0042】
このインジケータは、光硬化性樹脂で被覆されているので、加工食品を製造する際に用いられる水や食用油の付着、医薬品等の低温保管の際の結露する水の付着、食料品等の流通や保管の際の日光の曝露等が起こっても色調の変化が影響を受けないうえ、感温変色層が溶出せず衛生的である。
【0043】
このインジケータは、簡便に製造できるため生産性が高い。

Claims (3)

  1. 記録すべき温度に相当する融点を持つ粒状または粉末状で脂肪酸誘導体、アルコール誘導体、エーテル誘導体、アルデヒド誘導体、ケトン誘導体、アミン誘導体、アミド誘導体、ニトリル誘導体、炭化水素誘導体、チオール誘導体およびスルフィド誘導体から選ばれる少なくとも1種類の熱溶融性物質と、該熱溶融性物質で隠蔽されており、熱溶融した該物質へ分散または溶解して拡散する粒状または粉末状の色素と、熱溶融しつつ該色素を該分散または溶解させた該物質が拡散するインキビヒクルとを混合してみ、該拡散によって変色して温度履歴を表示する感温変色層が、基材に付され、光硬化性樹脂で被覆されていることを特徴とする不可逆性の温度履歴インジケータ。
  2. 該光硬化性樹脂は、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミノ系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂、エーテル系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、エーテルアクリレート系樹脂、アルキド系樹脂、ビニルアセタール系樹脂、アクリル系ポリエステル樹脂、またはアクリル系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の温度履歴インジケータ。
  3. 該光硬化性樹脂は、活性エネルギー線照射により重合硬化して形成されたものであることを特徴とする請求項2に記載の温度履歴インジケータ。
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