JP2504725B2 - 誘電体磁器組成物 - Google Patents
誘電体磁器組成物Info
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Description
ップとして用いられている複合部品のコンデンサ部を構
成する誘電体磁器組成物に係り、特に低温焼成を可能と
した組成物に関するものである。
有する複合部品がLCフィルタ、LCトラップとして使
用されているが、これらは従来ディスクリート部品によ
り結線して構成されていたフィルタおよびトラップ回路
を1チップ内に集積したものである。すなわち1チップ
内にフェライト内部に銀電極からなるコイルパターンを
形成させたインダクタ部と、誘電体を間に挟んだ銀内部
電極からなるコンデンサ部とを有して構成された複合部
品である。両者を複合させる際にLC共振周波数foの
温度変化を無くすために、コンデンサ部の主成分に容量
の温度変化率が−600 〜−700ppmであるルチル型TiO
2 を用い、インダクタ部にはインダクタンスの温度変化
率が+600 〜+700ppmを示すフェライトを選択して使用
している。
コンデンサ部から構成される複合部品を同時焼成して製
造する際に、良好なルチルの焼結性を得るためには、焼
成温度をAgがインダクタ部を構成するフェライト内に
溶浸し得る程度の高温にする必要がある。しかしながら
インダクタ内部電極を形成するAgがフェライト内に溶
浸すればフェライト中の内部電極の断面積が減少するた
め、直流抵抗(RDC)は増加し、Q値の減少をもたらす
結果となる。
O2 の焼結性を低下させ、コンデンサ部のQ値の減少、
IRの低下をもたらすことになる。
を解決するために鋭意研究の結果、コンデンサ部を構成
する組成中に酸化銀(Ag2 O)を0.1 〜10wt%含有さ
せることにより焼成温度を 830〜855 ℃に降下させるこ
とができ、さらにCuO、Mn3 O4 が焼結の促進剤と
なることを見出したのである。
ようなものと考えられる。Ag2 Oは 121℃、 0.2気圧
で解離する(2Ag2 O→4Ag+O2 )。一方、大気
中の酸素の分圧は 0.2気圧であるため、Ag2 Oは大気
中でこの温度以上に保つときは分解してAgを遊離す
る。
結した場合、Ag2 OがAgとO2 に解離する際にAg
2 O粉末は酸素の噴出によりその表面はボイド状態の激
しい粒子粉末となり、CuO、TiO2 の焼結性を活性
化する結果、CuO、TiO2 のみの場合より、比較的
低温で焼結することになる。
元され、Ag2 Oの場合と同様Cu2 O粒子表面は激し
いボイド状態を呈すると共に、AgがCu2 Oを固溶す
ればAgの融点は 963℃から 941℃まで下降することと
相まって、焼結性の活性化と共に焼結温度は下降するも
のと推測される。
器組成物にAg2 Oを添加配合することにより、従来品
より低温度で焼結しても電気特性が同等またはそれ以上
を示す焼結体が得られることになる。
る。
Fe2 O3 :50モル%、CuO:20モル%、NiO:20
モル%、ZnO:10モル%からなる混合物 100重量部
を、水 200重量部およびメディアとしてのウレタン玉石
と共にボールミルに装入し、15時間湿式混合を行った。
このスラリーを乾燥後、大気中 750℃、1時間仮焼し、
得られた仮焼物 100重量部に対し、再び水 200重量部を
加え、ウレタン玉石をメディアとしてボールミルにより
15時間粉砕し、乾燥してインダクタ用の原料粉末を得
た。
て混練し、ドクターブレード法によりセラミックシート
を作製した。図1および図2にこのグリーンシートを用
いたインダクタ用積層チップの製作法を図示する。
(A)の位置、(B)の位置、(D)の位置にそれぞれ
穿孔機でスルーホール2を開けたものを各2枚、並びに
同グリーンシートの(C)の位置にスルーホールを開け
たものを3枚用意した。次に、パターンの端部がスルー
ホールにかかるように(A)のシート上に(E)パター
ンを印刷したものを2枚、(B)のシート上に(F)パ
ターンを印刷したものを2枚、(C)のシート上に
(G)パターンを印刷したものを2枚と(I)パターン
を印刷したものを1枚、(D)のシート上に(H)パタ
ーンを印刷したものを2枚およびスルーホールの無いシ
ート上に(J)パターンを印刷したものを1枚それぞれ
用意した。上記Ag電極ペーストはスクリーン印刷法に
より印刷した。各シートは表面および裏面が導通するよ
うにスルーホールにAg電極ペーストを埋め込み、ペー
ストの乾燥後、図2の(a)および(f)に示す如く、
上からI→F→E→H→G→F→E→H→G→Iの順に
グリーンシートを積み重ね、その上部に電極パターンの
無いシートを3枚、下部に2枚重ね、120 ℃に加熱保持
し、圧力300kg/cm2 に加圧して熱圧着し、これを図2
(b)に示す形状に切断した。得られたチップ状インダ
クタ内部には7ターン分のコイルが構成された。
中で10℃/minの昇温速度で昇温し、500 ℃に10分間保持
して後、10℃/minの冷却速度で室温まで冷却して脱バイ
ンダ処理を行った。次いでこれを 5℃/minの昇温速度で
840℃まで昇温し、1時間保持した後 5℃/minの冷却速
度で室温まで冷却した。得られた焼結体に市販の外部電
極用Agペーストを内部電極露出面上に塗布し、大気中
800℃で10分間焼き付けチップ状積層インダクタを得た
(焼結体形状寸法 3.2×1.6mm )。
℃、855 ℃、880 ℃の5水準とした以外は前述の製作工
程、条件をすべて同じにしてチップ状積層インダクタを
製作し、それらの各々につき電気特性を測定した。その
結果を下記の表に示す。この表より試料番号1および5
の焼成体のQ値が低下していることがわかる。
られたインダクタの焼結が不完全なために焼結密度が低
下し、電気特性が劣化する。一方、 855℃より高い温度
で焼成すればインダクタ内部のAg電極の表面が焼結体
セラミックに反応吸収される結果、該電極の断面積が縮
小して、電極の電気抵抗が増加し、Q値が低下したと考
えられる。すなわち、インダクタの焼成温度はQ値の実
用レベルが35以上であるため、 830〜855 ℃の範囲内で
なければならず、 840℃の近傍が最適温度である。した
がって、複合部品としてのLCフィルタ、LCトラップ
等を同時焼成するためには、 830〜855 ℃の範囲で良好
な電気特性を持つコンデンサを焼成できなければならな
い。
Al−Si−B−Na−Zr系ガラスを用いて配合した
組成物にAg2 Oを添加した混合粉を原料とした。その
混合割合は、TiO2 :87wt%、CuO:3.0 wt%、M
n3 O4 :1.0 wt%、NiO:3.0 wt%、Ag2 O:1.
0 wt%、ガラス:5.0 wt%である。この混合粉100 重量
部に対して水 200重量部とメディアとしてのアルミナボ
ールを加え、ボールミルにより15時間湿式混合を行っ
た。このスラリーを乾燥後大気中 750℃、2時間仮焼し
た。得られた仮焼塊100 重量部に対し、水 200重量部を
加え、再度アルミナボールを加えボールミルにより15時
間粉砕し、乾燥してコンデンサ用原料粉末を得た。
練し、ドクターブレード法によりセラミックシートを作
製した。図3にこのグリーンシートを用いたコンデンサ
用積層チップの製作法を図示する。ただし、この図はグ
リーンシートを切断した1チップ内の内部構造を示すも
のである。
Agペースト8を印刷し、乾燥した。このグリーンシー
トの印刷面が印刷パターンの長手方向にずれるように交
互に3枚ずつ計6枚積層し、さらにその上下に1枚ずつ
Agペーストを印刷していないグリーンシートをを重
ね、120 ℃、300kg/cm2 で熱間圧着を行い、切断してチ
ップとした。
速度で室温から 500℃まで昇温し、500 ℃に10分間保持
した後10℃/minの冷却速度で室温まで冷却して脱バイン
ダ処理を行った。脱バインダ処理後のチップを 5℃/min
の昇温速度で 840℃に昇温し、1時間保持した後 5℃/m
inの冷却速度で室温まで冷却した。得られた焼結体に市
販の外部電極用Agペーストを内部電極露出面に塗布
し、大気中 800℃で10分間焼き付け、チップ状の焼結体
積層コンデンサを得た(焼結体チップの寸法 3.2×1.6
mm)。
性に及ぼす影響を調べるため、出発原料組成と焼成温度
を変えたこと以外は上述と全く同じ工程により焼成積層
チップを製作した。その結果を表1、表2、表3、表
4、表5および表6に総括して示す。同表中のガラス組
成は下記の通りである。
以上、IRは 1×104 MΩ以上である。
得られた。
物(試料番号6〜8 、10、11、14、15、18、19、22、2
3、26、27、30、31、34、35、38、39、42、43)を 830
〜855 ℃の温度で焼成した場合は、常にQ、IRとも良
好な焼成物(コンデンサ)が得られた。
外の低い値(0.05wt%)とした場合、855 ℃の焼成では
Q、IRとも良好な焼成物が得られたが(試料番号1
3)、 830℃の低温焼成では、焼結性が悪いため、Q、
IRの低い焼成物となった(試料番号9)。
の組成範囲外の高い値(12wt%)とした場合、 830℃の
低温焼成ではQ、IRとも良好な焼成物が得られたが
(試料番号12)、 855℃の高温焼成では、素地が半導体
化し、Q、IRの低い焼成物となった(試料番号16)。
発明の組成範囲外の低い値(0.5wt %)とした場合、A
g2 Oを多量(10wt%)添加し、かつ 855℃で高温焼成
したにもかかわらず焼結性が悪く、Q、IRの低い焼結
物が得られた(試料番号17)。
4 の添加量を本発明の組成範囲外の低い値(0.1 wt%)
とした場合も、Ag2 Oをかなりの量(5.0 wt%)添加
し、かつ 855℃で高温焼成したにもかかわらず焼結性が
悪く、Q、IRの低い焼成物となった(試料番号21)。
範囲外の高い値(6.0 wt%)とした場合、Ag2 Oを少
量(0.1 wt%)添加し、かつ 830℃で低温焼成したにも
かかわらず素地が半導体化し、Q、IRの低い焼成物と
なった(試料番号20)。
囲外の高い値(15.0wt%)とした場合も、Ag2 Oを少
量(0.1 wt%)添加し、かつ 830℃で低温焼成したにも
かかわらず素地が半導体化し、Q、IRの低い焼成物と
なった(試料番号24)。
発明組成範囲外の低い値(0.2 wt%)とした場合、Ag
2 O少量添加(0.1 wt%)、かつ低温焼成(830 ℃)で
さえ素地が半導体化し、Q、IRの低い焼成物となった
(試料番号25)。
範囲外の高い値(20wt%)とした場合、Ag2 O多量添
加(10wt%)、かつ高温焼成(855 ℃)でさえ焼結性が
悪く、Q、IRの低い焼成物となった(試料番号28)。
を本発明組成範囲外の低い値(0.05wt%)とした場合、
Ag2 O少量添加(0.1 wt%)、かつ低温焼成(830
℃)でさえ、素地が半導体化し、Q、IRの低い焼成物
となった(試料番号29、33、37、41)。
囲外の高い値(30wt%)とした場合、Ag2 O多量添加
(10wt%)、かつ高温焼成(855 ℃)でさえ、焼結性が
悪く、Q、IRの低い焼成物となった(試料番号32、3
6、40、44)。
の焼成温度は 830〜855 ℃、好ましくは 840℃と等しく
することができ、また昇温、冷却過程もほぼ同一とする
ことができるために、両者のチップを一体的に接合して
同時に焼結することが可能である。
温度において、誘電組成物質の完全な焼結が可能とな
り、従来問題となっていたインダクタ部のAg内部電極
の素材焼結体への拡散に起因する電極断面の減少が皆無
となり、従来の複合チップよりコンデンサ部のQ、IR
値を向上させることが可能となった。この結果、従来に
比べ高いQ特性を持つインダクタ、コンデンサの複合部
品を生産することができるようになった。
ーンの状態でのシートの構成に関する説明図である。
ーンの状態でのシートの積層後、切断、焼成、外部電極
形成の過程を示す説明図である。
ーンの状態でのシートの構成に関する説明図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 CuO(1.0 〜5.0 wt%)、Mn3 O4
(0.2 〜10wt%)、NiO(0.5〜14wt%)およびAl−
Si−Bを必須成分としてNa、Zr、Ba、Ca、B
i、Pbから選ばれる少なくとも1元素を含有するガラ
ス(0.1〜20wt%)、Ag2 O(0.1〜10wt%)、残部Ti
O2 からなることを特徴とする誘電体磁器組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2414421A JP2504725B2 (ja) | 1990-12-26 | 1990-12-26 | 誘電体磁器組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2414421A JP2504725B2 (ja) | 1990-12-26 | 1990-12-26 | 誘電体磁器組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04229504A JPH04229504A (ja) | 1992-08-19 |
JP2504725B2 true JP2504725B2 (ja) | 1996-06-05 |
Family
ID=18522905
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2414421A Expired - Lifetime JP2504725B2 (ja) | 1990-12-26 | 1990-12-26 | 誘電体磁器組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2504725B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010013843A1 (ja) * | 2008-07-30 | 2010-02-04 | 太陽誘電株式会社 | 積層インダクタ、その製造方法、及び積層チョークコイル |
-
1990
- 1990-12-26 JP JP2414421A patent/JP2504725B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010013843A1 (ja) * | 2008-07-30 | 2010-02-04 | 太陽誘電株式会社 | 積層インダクタ、その製造方法、及び積層チョークコイル |
KR101282025B1 (ko) * | 2008-07-30 | 2013-07-04 | 다이요 유덴 가부시키가이샤 | 적층 인덕터, 그 제조 방법 및 적층 초크 코일 |
JP5281090B2 (ja) * | 2008-07-30 | 2013-09-04 | 太陽誘電株式会社 | 積層インダクタ、その製造方法、及び積層チョークコイル |
US8587400B2 (en) | 2008-07-30 | 2013-11-19 | Taiyo Yuden Co., Ltd. | Laminated inductor, method for manufacturing the laminated inductor, and laminated choke coil |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04229504A (ja) | 1992-08-19 |
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