JP2504634B2 - エスカレ―タ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は一般利用者の他にベビー
カーや身障者用車椅子等の車類の搬送も可能としたエス
カレータに関し、特に上下複数段の特定踏段を同じ高さ
に保持して奥行幅の広い車類搭載スペースを確保し得る
ようにしたエスカレータに関する。

【０００２】

【従来の技術】都市建造物の立体化が進む中で、鉄道の
駅舎や公共施設の利用者の利便を図るためにエスカレー
タが多く設置されるようになって来ている。しかし、通
常一般のエスカレータでは各踏段の奥行き寸法（奥行
幅）が狭いために、車椅子等の車類を水平な状態に搭載
して安全に搬送することができず、せっかくのエスカレ
ータも車類利用者には簡単に利用できない不便があっ
た。

【０００３】このような問題を解消する従来技術とし
て、無端状に配列する多数の踏段の中に車類を載せる特
定の踏段（上下複数段の踏段を同じ高さに保持して奥行
幅の広い車類搭載スペースを確保する特殊構造の踏段）
を組込んだエスカレータが提案されている（例えば特公
昭６３−１９４３７号公報）。

【０００４】この従来の車類を搬送可能なエスカレータ
の概略構成は、図１１に示すようなものであり、多数の
踏段７の中にエスカレータの乗降口から傾斜部及び傾斜
部から乗降口に渡る経路（上下階側乗降口間の上面往
路）で車類Ｋを水平に搭載できるように可動変形する特
殊構造の特定踏段７Ａ，７Ｂ，７Ｃを設けている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】前記従来のエスカレー
タにおいては、多数の踏段７の中に組込まれる車類搬送
用の特定踏段７Ａ，７Ｂ，７Ｃが、エスカレータの上昇
運転と下降運転の両方に用いられる兼用型となっている
と共に、往路傾斜部で水平状態のまま互いに同じ高さに
保持されるものが上下２段の特定踏段７Ａ，７Ｂのみで
あるので、上昇運転の際には踏段搭載の車類Ｋを特定踏
段７Ａの下側踏段７′の上に立った介添者Ｍが直立姿勢
で図１１の如く支持できるが、下降運転の際には特定踏
段７Ｃの上部踏段７″の上に載った介添者Ｍが腰を大き
く曲げた状態（図１２の如き腰曲げ姿勢）で踏段搭載の
車類Ｋを支持しなければならず、その把持姿勢が不安定
で介添者Ｍ及び車類利用者に転落等の危険性があるとい
う問題があった。

【０００６】本発明は前記従来の問題を解消するために
なされたもので、その目的はエスカレータの上昇運転及
び下降運転にかかわらず、介添者が踏段搭載の車類を直
立姿勢で容易且つ安全に把持することができる上昇運転
専用及び下降運転専用の特定踏段を具備したエスカレー
タを提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明は、上下階乗降口間の上面の往路から下面の
帰路に渡って無端状に列設されて走行移動する多数の踏
段のうち、車椅子等の車類Ｋを載せる互いに隣接した上
下複数段の踏段を特定し、この特定踏段を往路傾斜部で
同じ高さに保持して奥行幅の広い車類搭載スペースを確
保できるようにしたエスカレータにおいて、前記特定踏
段を上昇運転専用と下降運転専用の２種類とし、上昇運
転専用の特定踏段は、上段の踏段と、この上段の踏段と
同じ高さに上昇保持される踏段可動部を有した下段の踏
段との合計少なくとも２段の踏段で構成し、下降運転専
用の特定踏段は、上段の踏段と、この上段の踏段の下段
側に順に配し該上段の踏段とそれぞれ同じ高さに上昇保
持される踏段可動部を各々有した２段以上の踏段との合
計少なくとも３段の踏段で構成して、この上昇運転専用
及び下降運転専用の特定踏段をそれぞれの運転方向に応
じて使い分けるようにしたことを特徴とする。

【０００８】

【作用】前記構成のエスカレータによれば、上昇運転時
には、上昇運転専用の特定踏段に載せられた車類を、こ
の特定踏段よりも下側の踏段の上に立った介添者が図２
に示すような直立姿勢で安全に支持することができるよ
うになる。また下降運転時には、下降運転専用の特定踏
段が、合計少なくとも３段あって（図３に示す如く大型
車類を考慮し余裕を持って４段あっても良い）、これら
が水平状態のまま同じ高さに保持されるので、従来の水
平２段のみの場合と異なり、介添者が車類と共に同じ水
平レベルの踏段の上に乗って直立姿勢で安全に該車類を
支持することができるようになる。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図１乃至図１０に
従い説明する。

【００１０】図１に示す符号１は上下階に斜めに掛け渡
して設けられたエスカレータの主枠であり、この主枠１
内には従来と同様に前後輪ガイドレールや踏段チェーン
駆動スプロケット及び従動スプロケットを配して循環路
２が構成されている。

【００１１】この循環路２の上面の往路３と下面の帰路
４と上下階側端の反転部５，６とに渡って多数の踏段７
…が左右の踏段チェーン（図示せず）を介し無端状に連
結して列設され、これらの踏段７…がそれぞれ左右一対
ずつの前後輪９ａ，９ｂを有し、図示しない駆動機構に
より走行移動されて、一般利用客を上下階側乗降口１
０，１１間で搬送するようになっている。

【００１２】ここまでは既存の一般エスカレータと同様
であるが、本発明は身障者を乗せた車椅子等の車類Ｋの
搬送も可能とするために、前記踏段７…の中に車椅子等
の車類Ｋを載せる上昇運転専用の特定踏段Ｕと、下降運
転専用の特定踏段Ｄとの２種類の特定踏段を組込んでい
る。

【００１３】上昇運転専用の特定踏段Ｕは、互いに隣接
する上下２段の踏段７Ａ，７Ｂからなり、車椅子等の車
類Ｋを載せる時には、その上段の踏段７Ｂと下段の踏段
７Ａが往路水平部は勿論のこと、往路３の傾斜部におい
ても図２，図８に示す如く互いに同一高さを維持して奥
行幅の広い車類搭載スペースを確保できるように構成し
ている。

【００１４】なお、前記車類Ｋがエスカレータ搬送に邪
魔になる足乗せ台Ｆを有する場合には、前記特定踏段Ｕ
は前述した下段の踏段７Ａ及び上段の踏段７Ｂに下記の
ような補助踏段７Ｃを付加した３段踏段で構成される。
この補助踏段７Ｃは前記踏段７Ｂの直ぐ上側に位置する
ものであって、車類Ｋの足乗せ台Ｆが引掛からないよう
に、その踏段７Ｃの上面踏板と後面蹴上げ板とを、図８
及び図９に示す如く左右両端部１２ａ，１２ｂと中央部
１２ｃとに分割した構成とし、その踏段中央部１２ｃが
後ろ下がりに傾動するようにされている。

【００１５】即ち、前記踏段７Ｃは通常時において、そ
の踏段中央部１２ｃを左右両端部１２ａ，１２ｂに対し
て同一高さに保持する左右一対のロックピン１３，１３
を備え、車類搭載時にはソレノイド等の進退駆動手段に
より前記ロックピン１３，１３が左右に没入作動され
て、前記踏段中央部１２ｃが自重により前端側のヒンジ
（図示せず）を回動中心として後ろ下がりの傾斜状態に
回動するように構成されている。

【００１６】ここで、前記特定踏段Ｕ（上段の踏段７Ｂ
と下段の踏段７Ａ）が車類Ｋを載せる時に互いに同一高
さを維持する構成について説明する。

【００１７】まず、前記特定踏段Ｕを形成する下段の踏
段７Ａは、図４乃至図７に示す如く踏段主体２０と踏段
可動部２１とに分割構成されており、その踏段主体２０
に対し踏段可動部２１を上昇移動可能に案内支持するガ
イド手段としてのリンク機構２２を備えた構成とされて
いる。

【００１８】前記踏段主体２０は一般の踏段７…と略同
様に、左右一対ずつの前後輪９ａ，９ｂを備えたフレー
ム２５と、このフレーム２５の後面側に取付け固定され
て後傾の湾曲状態で立ち上がる蹴上げ板２６とで構成さ
れ、また前記踏段可動部２１は前記踏段主体２０の上面
に配置される踏板２７と、この踏板２７の後側から下方
に突設され前記蹴上げ板２６の内側に略平行に配置され
る補助蹴上げ板２８とで構成されている。

【００１９】前記ガイド手段としてのリンク機構２２
は、一種のパンタグラフのようなダブルＸ状のリンク機
構であり、軸ピン３０でＸ状に枢支連結した下側リンク
３１，３２と、同じくＸ状に軸ピン３３で枢支連結した
上側リンク３４，３５とを、軸ピン３６，３７で上下に
連結し、これを左右一対互いに連動する状態に連結して
構成した構造のものである。

【００２０】前記リンク機構２２の下側後端ヒンジ（軸
ピン）３８は前記フレーム２５の上面後端部に取付けら
れ、上側前端ヒンジ（軸ピン）３９は前記踏板２７の下
面前端寄り部に取付けられている。また、前記リンク機
構２２の下側前端スライドヒンジ（軸ピン）４０に取付
けたコロ４１を前記フレーム２５の上面前端部のスリッ
ト２５ａに前後動可能に摺嵌し、上側後端スライドヒン
ジ（軸ピン）４２に取付けたコロ４３を前記踏板２７の
下面後端寄り部のスリット２７ａに前後動可能に摺嵌し
ている。そして、このリンク機構２２により前記踏段可
動部２１を常に水平状態に保持して、やや斜め後方に上
昇するように平行移動可能に案内支持している。

【００２１】なお、前記下段の踏段７Ａは、前記循環路
２の上面往路３から反転部５，６で反転して下面帰路４
を移動する時に、踏段可動部２１がフリーに垂れ下がっ
てしまうと主枠１の底面に当たる不都合があるので、そ
の踏段可動部２１を踏段主体２０に対し図示しないロッ
クピン（ソレノイド等の進退駆動手段によりされる）に
よりロック保持できるようにしてある。

【００２２】一方、前記特定踏段Ｕを形成する上段の踏
段７Ｂは、その他一般の踏段７…と略同様に左右一対ず
つの前後輪９ａ，９ｂを備えたフレーム４５と、このフ
レーム４５の後面側に取付け固定されて後傾の湾曲状態
で立上がる蹴上げ板４６と、前記フレーム４５上に取付
け固定された踏板４７とで構成されており、その踏板４
７の下面部にリフト機構５０が設けられている。

【００２３】このリフト機構５０は、踏板４７の下面部
に固定されるソレノイド５２と、このソレノイド５２で
作動され前記蹴上げ板４６の上部貫通孔４６ａから後方
に出没される可動アーム５１とから構成され、前記ソレ
ノイド５２が集電子（図示せず）を介して給電される外
部電源で動作することにより、前記アーム５１が後方に
突出して、前記踏段可動部２１の踏板２７を上段踏段７
Ｂの踏板４７と同一高さに上昇保持させるようになって
いる。なお、図４乃至図７に示す符号５３は前輪用ガイ
ドレール、５４は後輪用ガイドレールである。

【００２４】而して、前記構成の特定踏段Ｕは、一般乗
客を搬送する通常の上昇運転時においては、他の踏段７
…と同様に循環路２の上面往路３から反転部５，６で反
転して下面帰路４を走行移動する。即ち、前記往路３の
上下水平部３ａ，３ｂ並びに中間の傾斜部３ｃ（図１参
照）においては、前記特定踏段Ｕの上段踏段７Ｂ及び下
段踏段７Ａは、図６及び図７に示す如く前後輪ガイドレ
ール５３，５４に案内されて、各々水平姿勢を維持した
まま移動する。

【００２５】しかも、前記往路３の上下水平部３ａ，３
ｂでは図６に示す如く隣接する踏段相互が同じ高さとな
り、中間の傾斜部３ｃでは隣接した踏段相互が上下にず
れて段差を生じて走行する。これで一般利用者を安全に
搬送する。この状態時はリフト機構５０のソレノイド５
２への通電が断たれていて、その可動アーム５１が踏段
７Ｂ内に没入されたままの状態になっている。

【００２６】ここで、身障者用車椅子等の車類Ｋを搬送
する場合には、その旨の操作スイッチ（図示せず）を操
作し、エスカレータの上昇運転を停止或いはスロー運転
の状態とする。これで車椅子類を乗せる特定踏段Ｕ（上
下２段の踏段７Ａ，７Ｂ）が往路３の下階側水平部３ａ
に来た時に、上段踏段７Ｂのリフト機構５０が作動し
て、その可動アーム５１が後方に突出し、下段踏段７Ａ
の踏段可動部２１の踏板２７を図４の如く下面側から支
持する。

【００２７】この状態のまま車類Ｋを載せた特定踏段Ｕ
が往路水平部３ａから傾斜部３ｃの方向に走行し、その
上下段の踏段７Ａ，７Ｂが水平姿勢で徐々に段差を生じ
るようになると、その下段踏段７Ａの踏段可動部２１が
踏段主体２０に対しダブルＸ状のリンク機構２２に案内
支持されながら前記アーム５１で引き上げられて図５の
如く上昇し、上段の踏段７Ｂと同じ高さを維持するよう
になる。

【００２８】その際、前記ダブルＸ状のリンク機構２２
が上方に伸びるが、その下側後端ヒンジ３８と上側前端
ヒンジ３９を前記フレーム２５と踏板２７に枢支し、下
側前端スライドヒンジ４０のローラ４１と上側後端スラ
イドヒンジ４２のローラ４３を前記フレーム２５及び踏
板２７のスリット２５ａ，２７ａに前後動可能に摺嵌さ
せたリンク機構となっているので、このリンク機構２２
の働きで前記踏段可動部２１は水平状態のまま上段踏段
７Ｂの蹴上げ板４６に沿ってやや斜め後方に平行移動し
ながらスムーズに上昇する。

【００２９】一般に往路３の傾斜部３ｃでは、上下の踏
段間が若干詰まる状態になるが、これに関係なく前記踏
段可動部２１が上段踏段７Ｂの蹴上げ板４６に対し常に
一定の小間隙を維持するようになる。

【００３０】つまり、往路傾斜部３ｃでは図５及び図７
に示す如く各踏段が水平姿勢を維持すべく、その前後輪
９ａ，９ｂが同一レベルのガイドレール５３，５４上に
来るので、その上下の踏段間の水平距離が往路傾斜部３
ｃの傾斜角度に応じて少し縮まるようになる。この時の
踏段相互の接触を避けるために、通常では各踏段の蹴上
げ板が当該踏段の踏板の前端を中心とする円弧状に湾曲
した曲面で立ち上がっている。こうした構成の蹴上げ板
４６に下段踏段７Ａの踏段可動部２１が常に一定の小間
隙を維持しながら上昇するように、前記リンク機構２２
が設定されており、これによって下段踏段７Ａの踏段可
動部２１が上段の踏段７Ｂに接近し過ぎて擦れたり、逆
に隙間が大きくなって危険を招いたりすることがなくな
る。

【００３１】これで上下２段の踏段７Ａ，７Ｂが確実に
同じ高さを維持して奥行幅の広い車類搭載スペースを確
保したまま往路傾斜部３ｃを走行し、その上に載せられ
た車椅子等の車類Ｋを水平状態で安定保持しながら安全
に搬送することができるようになり、前記車類Ｋの介添
者Ｍは特定踏段Ｕ（下段の踏段７Ａ）の下側踏段７′の
上に立った図２の如き直立姿勢で踏段搭載の車類Ｋを安
全に把持することができる。

【００３２】なお、前記車類Ｋの搬送時には、前述した
補助踏段７Ｃのロックピン１３，１３がソレノイド等の
進退駆動手段（図示せず）により左右に没入されて、そ
の踏段中央部１２ｃが後ろ下がりに傾動した図８，図９
のような状態にあり、車類Ｋの足乗せ台Ｆの邪魔になら
ないようになっている。

【００３３】而して、車類Ｋを載せた特定踏段Ｕ（上下
段の踏段７Ａ，７Ｂ）が往路３の中間傾斜部３ｃから上
階側水平部３ｂに移動して行くと、前記リンク機構２２
が徐々に下方に縮みながら踏段可動部２１が踏段７Ｂと
同一高さを維持して踏段主体２０内に納まるようにな
る。こうして上階側水平部３ｂにおいてエスカレータの
運転が停止或いはスロー運転になり、そこで踏段搭載の
車類Ｋを降車させるが、その際にリフト機構５０の可動
アーム５１が図６の如く引っ込められて、下段踏段７Ａ
の踏段可動部２１の支持を解除するようになり、これで
通常の踏段と同様の走行状態に戻ることになる。

【００３４】次に、下降運転専用の特定踏段Ｄの構成に
ついて図３及び図１０に従い説明する。この下降運転専
用の特定踏段Ｄは、介添者が載る上段の踏段７″と、こ
の上段の踏段７″の下段側に順に配し該上段の踏段７″
とそれぞれ同じ高さに上昇保持される踏段可動部を各々
有した２段以上の踏段との合計少なくとも３段の踏段で
構成されている。即ち、下降運転専用の特定踏段Ｄは、
現状の車椅子等の大きさからして合計３段あれば該車類
Ｋと一緒に介添者Ｍも同一水平高さの踏段上に載れる
が、図示の実施例では大型車類Ｋを考慮して一緒に余裕
を持って介添者が同一水平高さの踏段上に載れるよう
に、上段の踏段７″と、この上段の踏段７″の下段側に
順に配し該上段の踏段７″とそれぞれ同じ高さに上昇保
持される踏段可動部８１，８２，８３を各々有した３段
の踏段（第１踏段８Ａと第２踏段８Ｂ及び第３踏段８
Ｃ）との合計４段の踏段で構成されている。これらの下
降運転専用の特定踏段Ｄが下降運転時に車類Ｋを搭載す
る際に図３に示す如く全て同一水平レベルの高さに保持
されて、車類Ｋを搭載できると共に、一緒に上段の踏段
７″の上に介添者Ｍが載って直立姿勢で支持できる構成
とされている。

【００３５】前記特定踏段Ｄの第１踏段８Ａは、前述し
た上昇運転専用の特定踏段Ｕにおける下段の踏段７Ａと
略同一構成のものであって、左右一対の前後輪９ａ，９
ｂを備えたフレーム２５ａと、このフレーム２５ａ上に
パンタグラフ式のリンク機構２２ａを介して支持される
踏段可動部８１とを具備し、この踏段可動部８１の踏板
の下側に図４〜図７に示すリフト機構５０と同一構成の
リフト機構５０ａが装備されている。

【００３６】また、前記特定踏段Ｄの第２踏段８Ｂ及び
第３踏段８Ｃは、前記第１踏段８Ａと略同一構成のもの
であって、左右一対の前後輪９ａ，９ｂを備えたフレー
ム２５ｂ，２５ｃと、このフレーム２５ｂ，２５ｃ上に
パンタグラフ式のリンク機構２２ｂ，２２ｃを介して支
持される踏段可動部８２，８３とを具備し、第２踏段８
Ｂの踏段可動部８２の踏板の下側に前記リフト機構５０
ａと同様なリフト機構５０ｂが装備されている。

【００３７】一方、介添者Ｍの載る前記踏段７″は、前
述した上昇運転専用の特定踏段Ｕにおける上段の踏段７
Ｂと略同一構成のものであって、左右一対の前後輪９
ａ，９ｂを備えたフレーム４５と、このフレーム４５の
後面側に取付け固定されて後傾の湾曲状態で立上がる蹴
上げ板４６と、前記フレーム４５上に取付け固定された
踏板４７とで構成されており、この踏板４７の下面部に
図４〜図７に示すリフト機構５０と同一構成のリフト機
構５０が装備されている。

【００３８】前記のような構成の特定踏段Ｄは、その第
１踏段８Ａ，第２踏段８Ｂ及び第３踏段８Ｃが図１に示
す往路３の上階側水平部３ｂに位置する状態で、それぞ
れの踏段可動部８１，８２，８３がリフト機構５０，５
０ａ，５０ｂで連動され、各踏段の下降移動（往路傾斜
部３ｃの下降移動）によって前記踏段８Ａ〜Ｃが介添者
Ｍの載る前記踏段７″と同一高さに図１０の如く上昇保
持されるようになっている。その他の構成と作用は、前
述した上昇運転専用の特定踏段Ｕと同様であるので、詳
細な構造説明と作用説明は省略する。

【００３９】

【発明の効果】本発明のエスカレータは、前記のような
上昇運転専用の特定踏段Ｕと下降運転専用の特定踏段Ｄ
を具備するものであるから、前記エスカレータの上昇運
転及び下降運転にかかわらず、特定踏段搭載の車類Ｋを
その下側踏段７′又は上部踏段７″の上に立った介添者
Ｍが図２，図３に示すような直立姿勢で容易且つ安全に
保持することができ、車椅子等の車類Ｋを搬送する際の
安全性を確保できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係わるエスカレータ全体の
概略構成図。

【図２】前記エスカレータの上昇運転時における車類搬
送状態を示した作用説明図。

【図３】前記エスカレータの下降運転時における車類搬
送状態を示した作用説明図。

【図４】前記エスカレータの上昇運転専用の特定踏段を
往路下階水平部における車類搭載時の状態で示した要部
断面図。

【図５】前記エスカレータの上昇運転専用の特定踏段を
往路傾斜部における車類搬送時の状態で示した要部断面
図。

【図６】前記特定踏段の通常運転時における往路水平部
での状態を示した要部断面図。

【図７】前記特定踏段の通常運転時における往路傾斜部
での状態を示した要部断面図。

【図８】前記特定踏段に車類を載せた往路傾斜部での搬
送状態を示す概略的断面図。

【図９】前記特定踏段に付加される補助踏段の斜視図。

【図１０】前記エスカレータの下降運転専用の特定踏段
を往路傾斜部における車類搬送時の状態で示した要部断
面図。

【図１１】従来のエスカレータを上昇運転時における車
類搬送状態で示した概略説明図。

【図１２】従来のエスカレータを下降運転時における車
類搬送状態で示した概略説明図。

【符号の説明】

２…循環路、３…上面の往路、３ａ，３ｂ…往路水平
部、３ｃ…往路傾斜部、４…下面の帰路、７…通常の踏
段、Ｋ…車椅子等の車類、Ｍ…介添者、Ｕ…上昇運転専
用の特定踏段、７Ａ…下段の踏段、７Ｂ…上段の踏段、
７Ｃ…補助踏段、Ｄ…下降運転専用の特定踏段、８Ａ…
第１踏段、８Ｂ…第２踏段、８Ｃ…第３踏段、７′，
７″…介添者が立つ下側及び上側位置の踏段、９ａ…前
輪、９ｂ…後輪、１０，１１…上下階乗降口、２０…踏
段主体、２１（８１〜８３）…踏段可動部、２２（２２
ａ〜２２ｃ）…パンタグラフ式のリンク機構、２５（２
５ａ〜２５ｃ）…フレーム、２７…踏板、５０（５０
ａ，５０ｂ）…踏段可動部を連動させるリフト機構。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上下階乗降口間の上面の往路から下面の
   帰路に渡って無端状に列設されて走行移動する多数の踏
   段のうち、車椅子等の車類を載せる互いに隣接した上下
   複数段の踏段を特定し、この特定踏段を往路傾斜部で同
   じ高さに保持して奥行幅の広い車類搭載スペースを確保
   できるようにしたエスカレータにおいて、前記特定踏段
   を上昇運転専用と下降運転専用の２種類とし、上昇運転
   専用の特定踏段は、上段の踏段と、この上段の踏段と同
   じ高さに上昇保持される踏段可動部を有した下段の踏段
   との合計少なくとも２段の踏段で構成し、下降運転専用
   の特定踏段は、上段の踏段と、この上段の踏段の下段側
   に順に配し該上段の踏段とそれぞれ同じ高さに上昇保持
   される踏段可動部を各々有した２段以上の踏段との合計
   少なくとも３段の踏段で構成して、この上昇運転専用及
   び下降運転専用の特定踏段をそれぞれの運転方向に応じ
   て使い分けるようにしたことを特徴とするエスカレー
   タ。