JP2504606Y2 - フック平行機構を備えた多段ブ―ム - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、多段ブームの伸縮時において、その伸縮動
作にかかわらず多段ブームの先端部に吊り下げ配置され
たフックの吊り下げ長さを一定に維持するフック平行機
構を備えた多段ブームに関する。

（従来の技術） 従来のフック平行機構を備えた多段ブームについて第
５図及び第６図を参照して説明する。

第５図及び第６図において、ａは３段式の多段ブーム
で、多段ブームａは、基端ブームｂと、基端ブームｂに
摺動自在に嵌挿された中間ブームｃと、中間ブームｃに
摺動自在に嵌挿された先端ブームｄとから構成されてい
る。この多段ブームａは、図示しないアクチュエータに
より中間ブームｃと先端ブームｄとが伸縮自在になさ
れ、伸縮時において、中間ブームｃと先端ブームｄとが
同時に伸縮する同時伸縮式か、もしくは中間ブームｃと
先端ブームｄとが順次に伸縮する順次伸縮式になされて
いる。

そして、前記先端ブームｄの先端部には、フックｅが
基端ブームｂの基端部に設けられたウィンチ装置ｇから
各シーブh1〜h9を介して配設されたワイヤｆによって吊
下配置されている。ワイヤｆは、ウィンチ装置ｇから基
端ブームｂの途中部及び先端部、中間ブームｃ及び先端
ブームｄの各先端部に配設されたシーブh1,h2,h3,h4に
導かれ、シーブh4とフックｅに配設されたシーブh5との
間で適数回巻回された後、先端ブームｄの先端上部と基
端部とに配設されたシーブh6,h7、中間ブームｃの先端
部と基端部とに配設されたシーブh8,h9により先端ブー
ムｄ及び中間ブームｃ内を通して折りかえされた後、そ
の先端が基端ブームｂ内の先端部寄りに止着されてい
る。ここで、例えば、シーブh4は同様のシーブが２個連
設されて構成されており、シーブh4とシーブh5との間で
はワイヤｆが２回巻回されている。

このように構成された多段ブームａは、ウィンチｇに
よりワイヤｆを繰り出し及び巻き取ることでフックｅを
昇降させることができるとともに、中間ブームｃ及び先
端ブームｄの伸縮時において、ウィンチｇが停止してい
る場合には、その伸縮動作にかかわらず、フックｅの吊
り下げ長さを一定にしたままで、中間ブームｃ及び先端
ブームｄを伸縮作動させることができる。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、上記従来のフック平行機構を備えた多
段ブームでは、ワイヤｆを先端ブームｄ及び中間ブーム
ｃ内に通して折り返されて配設されているため、この折
り返しの分だけシーブの数が増えるとともに、ワイヤｆ
も必然的に長くなる。

また、ワイヤｆを先端ブームｄ及び中間ブームｃ内に
通して配設しているため、ワイヤｆの配設状態を目視す
るのが困難で、ワイヤｆのねじれや撓みなどの不具合を
発見しずらく、事故につながる虞がある。

さらに、ワイヤ交換する場合には、各ブームをばらし
て行わなければならず、非常に手間がかかるなど、この
ワイヤ交換等のメンテナンスが困難であった。

また、先端ブームｄに吊り下げられたフックｅを地面
につけた状態で多段ブームａを伸縮させた場合には、ワ
イヤｆの張力がなくなり各シーブ間においてワイヤｆが
円滑に送られない。このためフックｅの吊り下げ長さを
一定に維持することができず、これとともに、ワイヤｆ
が多段ブームａ内でキンクし、各シーブから外れるとい
う問題があった。

（課題を解決するための手段） 本考案のフック平行機構を備えた多段ブームは、ブー
ム本体と、該ブーム本体内に伸縮自在に嵌挿された伸縮
ブームとから構成された２段ブーム、もしくはブーム本
体内に伸縮自在に嵌挿された複数個の伸縮ブームが同時
に伸縮作動する同時伸縮方式の多段ブームにおいて、前
記ブーム本体の基端部もしくは基端部下方には、ウィン
チ装置が設けられ、該ウィンチ装置に巻回されたワイヤ
は、ブーム本体の外側面に沿ってブーム本体の先端に導
かれて折り返され、さらにブーム本体内に配置されたシ
ーブに巻回されて折り返された後、伸縮ブームの外側面
に沿ってこの伸縮ブームの先端部に導かれ、伸縮ブーム
の先端部とフックとの間で巻回された後、該ワイヤの端
部がフックもしくは伸縮ブームの先端部に止着され、前
記シーブは、伸縮ブームの基端に垂直軸回りに回転自在
に支持されるとともに、該伸縮ブームとブーム本体との
間に形成された隙間に配置されたものである。

また、前記ワイヤはブーム本体及び伸縮ブームにそれ
ぞれ設けられたシーブを介して配設され、ブーム本体の
先端部には、シーブが傾斜して配設されている。

（作用） ワイヤをブーム本体と伸縮ブームとの間で折り返して
伸縮ブームの外側面に沿って伸縮ブームの先端部に導い
ていることで、ウィンチ装置に巻回されたワイヤは、ほ
とんどの部分が外部に露出されるため簡単に目視でき
る。また、基端ブームと中間ブームとの間に配設されて
外部に露出しない部分については、基端ブームと中間ブ
ームとの間に形成された隙間を覗くことでその部分のワ
イヤを目視できる。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を図面を参照して説明する。

本例では、２個の伸縮ブームが同時に伸縮する同時伸
縮方式の３段ブームを例に採って説明する。

第１図及び第２図は、本考案に係るフック平行機構を
備えた多段ブームの概略構成を示している。

多段ブーム１は、基端ブーム（ブーム本体）11と、基
端ブーム11に摺動自在に嵌挿された中間ブーム（伸縮ブ
ーム）12と、中間ブーム12に摺動自在に嵌挿された先端
ブーム（伸縮ブーム）13とからなる３段式に構成されて
いる。この多段ブーム１は、図示しないアクチュエータ
により中間ブーム12と先端ブーム13とが伸縮自在になさ
れ、伸縮時において、中間ブーム12と先端ブーム13とが
同時に伸縮する同時伸縮式になされている。

そして、前記先端ブーム13の先端部には、フック２が
設けられている。フック２は、基端ブーム11の基端部に
設けられたウィンチ装置３から各シーブ44〜48を介して
配設されたワイヤ５によって吊下配置されている。

ワイヤ５は、ウィンチ装置３から基端ブーム11の先端
部に配設されたシーブ44に巻回された後、中間ブーム12
の基端部に配設されたシーブ45に巻回され、続いて先端
ブーム13の先端部に配設されたシーブ46に巻回され、さ
らにフック２に配設されたシーブ47、先端ブーム13の先
端部に配設されたシーブ48に巻回された後、その先端51
がフック２側に止着されている。

第１図及び第２図における符号41,42は、基端ブーム1
1の途中部に配設され、ワイヤ５を円滑に案内するガイ
ド、43は中間ブーム12の先端部に配設され、ワイヤ５を
円滑に案内するガイドである。

前記中間ブーム12の基端部に配設されたシーブ45は、
垂直軸回りに回転自在に支持されており、基端ブーム11
と中間ブーム12との間に形成する取付スペースを小さく
することができる。そして、このシーブ45に巻回された
ワイヤ５は基端ブーム11と中間ブーム12との間から中間
ブーム12及び先端ブーム13の外側下方を通って先端ブー
ム13の先端に導かれている。これにより、ワイヤ５の配
設状態が外部から簡単に目視することができる（シーブ
45は基端ブーム11と中間ブーム12との間の隙間から目視
できる）このため、ワイヤ５のねじれや撓みなどを容易
に発見して迅速に処理でき安全性の向上を図ることがで
きる。また、これによりワイヤ交換等のメンテナンスも
簡単に行うことができる。ここで、シーブ45にワイヤ５
を巻回もしくは取り外す場合には、基端ブーム11の下面
適所に形成された作業窓（図示省略）を介して行うよう
になされている。

また、前記基端ブーム11の先端部に配設されたシーブ
44は、第３図に示すように、斜めに配設されている。こ
のシーブ44は、規格により定められた条件（クレーン構
造規格参照）を満たしてワイヤ５がウィンチ装置３から
該シーブ44を介してシーブ45に巻回されるように適宜角
度に傾斜させて配設されている。上記のようにシーブ44
が傾斜して配設されたことにより、多段ブーム１の縮退
時において、中間ブーム12の先端部に配設されたガイド
43がシーブ44の位置に達してもこれら両者が干渉しない
ようになされている。このため、中間ブーム12は、その
先端部を基端ブーム11の先端部にきっちりと当接する位
置まで縮退させることができ、これにより中間ブーム12
が基端ブーム11内に挿入する挿入部分、所謂ラップ代を
大きくとることができ、この結果、中間ブーム12の伸長
長さを大きくすることができる。

さらに、前記シーブ46,48は、第４図に示すように、
先端ブーム13の先端部の左右に水平軸回りに回転自在に
設けられるとともに、これらシーブ46,48は、シーブ48
の軸芯がシーブ46の軸芯よりも下方にずれるように配設
されている。これにより、先端ブーム13に配設するシー
ブは、シーブ46,48の２個でよくなり、シーブの数を最
小に抑えることができる。また、シーブ48の軸芯を下方
にずらしたことで、多段ブーム１が起立状態にある時で
も、シーブ48とフック２のシーブ47との間に巻回された
ワイヤ５やフック２が各ブーム11,12と干渉するのを防
止することができる。

なお、ワイヤ５の先端51は、シーブ47、48に巻回した
後に先端ブーム13の先端部側で止着してもよい。

このように構成された多段ブーム１は、ウィンチ装置
３によりワイヤ５を繰り出し及び巻き取ることでフック
２を昇降させることができる。そして、ウィンチ装置３
を停止させた状態で、中間ブーム12及び先端ブーム13を
伸縮させた時には、その伸縮動作にかかわらず、フック
２の吊り下げ長さ（先端ブーム13の先端部とフック２と
の間隔）を一定にしたままで、中間ブーム12及び先端ブ
ーム13を伸縮作動させることができる。

そして、このようにワイヤ５を配設したことにより、
先端ブーム13に吊り下げられたフック２を地面につけた
状態で多段ブーム１を伸縮させた場合でも、ワイヤ５に
張力が働き各シーブ間においてワイヤ５を円滑に移動さ
せることができる。このためフック２の吊り下げ長さを
一定に維持することができ、これとともにワイヤ５が多
段ブーム内でキンクすることがなく、各シーブから外れ
ることがない。

なお、本例では２個の伸縮ブーム（中間ブームと先端
ブーム）が伸縮する３段式のブームを例に採って説明し
たが、本考案はこれに限らず、４段以上の同時伸縮方式
の多段ブームに適用することができるとともに、伸縮ブ
ームが１個の２段ブームにも適用することができる。

（考案の効果） 以上述べたように、本考案によれば、ウィンチ装置に
巻回されたワイヤがブーム本体の外側面に沿ってブーム
本体の先端に導かれて折り返され、さらにブーム本体と
伸縮ブームとの間で折り返された後、伸縮ブームの外側
面に沿ってこの伸縮ブームの先端部に導かれ、伸縮ブー
ムの先端部とフックとの間で巻回されたため、ワイヤの
配設状態が簡単に目視することができ、ワイヤのねじれ
や撓みなどを早く且つ容易に発見して処置でき安全性の
向上を図ることができるとともに、ワイヤ交換等のメン
テナンスも簡単に行うことができる。また、ワイヤを折
り返すシーブをブーム本体内に配置しているので、該シ
ーブが外部に露出することなく、障害物等との干渉によ
るシーブの破損を防止できるとともに、シーブを伸縮ブ
ームの基端に垂直軸回りに回転自在に支持し、伸縮ブー
ムとブーム本体との間に形成された隙間に配置している
ため、該シーブの取付スペースを小さくすることがで
き、ブームをコンパクトに構成できる。しかも、シーブ
は、伸縮ブームとブーム本体との隙間から目視できるだ
め、点検や安全確認等も容易に行うことができる。さら
に、本考案のようにワイヤを配設したことにより、先端
ブームに吊り下げられたフックを地面につけた状態で多
段ブームを伸縮させた場合でも、ワイヤに張力が働き各
シーブ間においてワイヤが円滑に送られる。このためフ
ックの吊り下げ長さを一定に維持することができ、これ
とともにワイヤが多段ブーム内でキンクすることがな
く、各シーブから外れることがない。

また、請求項２記載によれば、シーブを傾斜させて配
設したことにより、多段ブームの縮退時において、伸縮
ブームの適所に配設されたシーブ等との干渉を防止でき
るため、伸縮ブームをブーム本体内に挿入する挿入部
分、所謂ラップ代を大きくとることができ、この結果、
伸縮ブームの伸長長さを大きくとることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第４図は本考案にかかるフック平行機構を備
えた多段ブームの実施例を示し、第１図は多段ブームの
縮退時におけるワイヤの配設状態を示す側面図、第２図
は多段ブームの伸長時におけるワイヤの配設状態を示す
側面図、第３図及び第４図は各シーブの配設状態を示す
拡大の正面図、第５図及び第６図は従来のフック平行機
構を備えた多段ブームを示し、第５図は多段ブームの縮
退時におけるワイヤの配設状態を示す側面図、第６図は
多段ブームの伸長時におけるワイヤの配設状態を示す側
面図である。 １……多段ブーム 11……基端ブーム 12……中間ブーム（伸縮ブーム） 13……先端ブーム（伸縮ブーム） ２……フック ３……ウィンチ装置 ５……ワイヤ 44,46,48……シーブ

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ブーム本体と、該ブーム本体内に伸縮自在
   に嵌挿された伸縮ブームとから構成された２段ブーム、
   もしくはブーム本体内に伸縮自在に嵌挿された複数個の
   伸縮ブームが同時に伸縮作動する同時伸縮方式の多段ブ
   ームにおいて、 前記ブーム本体の基端部もしくは基端部下方には、ウィ
   ンチ装置が設けられ、該ウィンチ装置に巻回されたワイ
   ヤは、ブーム本体の外側面に沿ってブーム本体の先端に
   導かれて折り返され、さらにブーム本体内に配置された
   シーブに巻回されて折り返された後、伸縮ブームの外側
   面に沿ってこの伸縮ブームの先端部に導かれ、伸縮ブー
   ムの先端部とフックとの間で巻回された後、該ワイヤの
   端部がフックもしくは伸縮ブームの先端部に止着され、
   前記シーブは、伸縮ブームの基端に垂直軸回りに回転自
   在に支持されるとともに、該伸縮ブームとブーム本体と
   の間に形成された隙間に配置されたことを特徴とするフ
   ック平行機構を備えた多段ブーム。
2. 【請求項２】請求項１記載のフック平行機構を備えた多
   段ブームにおいて、前記ワイヤはブーム本体及び伸縮ブ
   ームにそれぞれ設けられたシーブを介して配設され、ブ
   ーム本体の先端部には、シーブが傾斜して配設されたこ
   とを特徴とするフック平行機構を備えた多段ブーム。