JP2503416Y2 - スク−タ−型車輌におけるエンジンの吸排気装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、スクーターのエンジン吸排気装置に関す
る。

〔従来の技術とその問題点〕

スクーターにあっては、エンジンの一側に後方に伸び
る駆動装置が置かれ、駆動装置の後部に後輪を回転自在
に支承するパワーユニットが装着されるようになってい
る関係で、エンジンは後輪の直前に配置されるようにな
る。

一方、スクーターの排気系には、周知のようにエンジ
ンのシリンダーに設けた排気孔にエキゾーストパイプを
介してエキスパンションチャンバー（以下、単にを「エ
キパン」という。）を連結し、このエキパン後部に位置
するテールパイプ後端にマフラーを連結してなるものが
ある。エキパンは主として、排気の脈動波を有効に利用
して排気の背圧を少なくし、これによって高出力にする
ものであり、また、マフラーは、排気の騒音を低減する
ものである。

排気の脈動波を有効に利用できるようにするためにエ
キパンには十分な長さと膨脹を確保する必要がある。し
かしながら、一般にスクータにあっては、エンジンの位
置が後輪に近くまた排気管は後輪よりも後方へ突出しな
いように規制されているため、および他の構成部材の配
置関係の都合で自ずとエキパンの長さと膨脹度合いとが
制限されてしまうため、十分に脈動波を利用できない場
合が考えられた。

一方、例えば、実開昭61-138693号公報で示すよう
に、エアークリーナーの新気吸入口近傍にエキゾースト
パイプを配置するようにしたものにあっては、エキゾー
ストパイプで暖められた大気をエアークリーナーが吸入
してしまうため、空気密度が低下して吸気効率が下り、
出力を低下させしてしまい易い。これを防止するには、
エアークリーナーの吸入口近傍にマフラーを配置しない
ようにすればよいが、他の構成部材との配置関係や設置
スペース、デザイン上の制限を受けて、これまでうまい
対策を見い出せなかった。

このため、エアークリーナーの新気吸入口近傍にマフ
ラーを配置しないでもよい新たな技術の提供が望まれて
いた。

〔考案の目的〕

この考案は、エンジンが後輪に近い形態のスクータ型
車輛であっても十分にエキパン長を確保して排気の脈動
波を有効に利用できるとともに、エアークリーナーの新
気吸入口から排気管による熱気を吸入しないようにでき
る新規なスクーターのエンジン吸排気装置を提供するこ
とを目的とする。

〔考案の目的を達成するための手段〕

そこで、本考案者は上記目的達成のために、次の手段
を考えた。すなわち、本考案スクーターのエンジン吸排
気装置は、変速機の一側面における前後に、シリンダー
を車輛前方へ突出させたエンジンおよび後輪が配設され
たパワーユニットをその前部および後部でそれぞれ軸支
部およびクッションユニットを介して車体に揺動自在に
取り付けたスクーター型車輛に関する。そして、前記シ
リンダーの下面に排気口を設け、この排気口には車輛後
方へ向けて、エキゾーストパイプ、エキスパンションチ
ャンバー、テールパイプおよびマフラーが順次連結さ
れ、エキゾーストパイプは、前記排気口からＵ字形に下
方に曲折されて前記変速機の前面側に配置され、エキス
パンションチャンバーは、前記変速機の前面側から同上
面を経由して前記後輪の反変速機側に至る範囲において
クランク状に曲折配置され、テールパイプは、エキスパ
ンションチャンバーの後端から車輛後方に向けてかつ前
記後輪と平行になるように延設配置され、マフラーは、
前記テールパイプの後端に配置され、前記テールパイプ
の反後輪側前方にはこのテールパイプと平行にかつ当該
テールパイプから離間状態になるようにエアクリーナー
が配置され、このエアクリーナーの新気吸入口を前記エ
キスパンションチャンバーの側方に設けるとともに、当
該エアクリーナーの新気排出口と前記シリンダーの吸入
口とはキャブレターを介して新気導入管で連結され、こ
の新気導入管が前記エキスパンションチャンバーよりも
前方に配置されるようにした。

〔作用〕

したがって、この考案によれば、エキゾーストパイプ
は、前記排気口からＵ字形に下方に曲折され、またエキ
スパンションチャンバーは、クランク状に曲折配置され
ので、エンジンの位置が後輪に近い形体のスクータ型車
輛であってもその排気系を長く設定できるようになる。
そして、エキスパンションチャンバーは、前記変速機の
前面側から同上面を経由して前記後輪の反変速機側に至
る範囲に配置されているので、エキスパンションチャン
バーを車輛下部に設置した場合と比べエキスパンション
チャンバーの膨脹部分が地面に接触してしまう心配もな
い。

また、エアクリーナーは、テールプイプの反後輪側前
方においてテールパイプから離間状態になるように配置
され、かつエアクリーナーの新気吸入口を前記エキスパ
ンションチャンバーの側方に設けたので、テールパイプ
から発する高熱によってエアクリーナーが暖められるこ
とがない。同様にエアクリーナーの新気排出口と前記シ
リンダーの吸入口とを新気導入管で連結し、この新気導
入管を前記エキスパンションチャンバーよりも前方に配
置したので、エアクリーナーに吸入される新気が暖まる
ことがない。

〔考案の構成〕

以下、本考案スクーター型車輛におけるエンジン吸排
気装置を図面に示す実施例によって説明する。

パワーユニット１は、変速機２の一側面である車輛右
側における前後に、それぞれシリンダー３を車輛前方へ
突出させたエンジン４および後輪５が配設されているも
のである。そして、このパワーユニット１は、その前部
および後部でそれぞれ軸支部６およびクッションユニッ
ト８を介して、スクータの車体10に揺動自在に取り付け
られている。シリンダー３の下面には排気口3aが設けら
れており、この排気口3aには車輛後方へ向けて、エキゾ
ーストパイプ14、エキスパンションチャンバー16、テー
ルパイプ18およびマフラー20が順次連結されてエンジン
４の排気系23を構成している。

エキゾーストパイプ14は、排気口3aからＵ字形に下方
に曲折されて変速機２の前面側2fに配置されている。

エキスパンションチャンバー16は、変速機２の前面側
2fから同上面2uを経由して後輪５の反変速機側5aに至る
範囲においてクランク状に曲折配置されている。

テールパイプ18は、エキスパンションチャンバー16の
後端から車輛後方に向けてかつ後輪５と平行になるよう
に延設配置されている。

マフラー20は、テールパイプ18の後端において、後輪
５の後端よりも後方に突出しないように配置されてい
る。

そして、テールパイプ18の反後輪側前方には、テール
パイプ18と平行にかつテールパイプ18から離間状態にな
るようにエアクリーナー22を配置してある。また、エア
クリーナー22の新気吸入口22aは、エキスパンションチ
ャンバー16の側方に設けられ、エアクリーナー22の図示
しない新気排出口とシリンダー３の吸入口3bとをキャブ
レター24を介して新気導入管26で連結し、この新気導入
管26をエキスパンションチャンバー16よりも前方に配置
し、キャブレター24と後輪５との間の空間部28をエキス
パンションチャンバー16が十分な膨脹形体を確保し得る
大きさになるように設定してある。

このようにしてエンジン４の吸気系29が形成される。
そして、この吸気系29と排気系23とをエンジン４の吸排
気装置30と称する。

しかして、このような吸排気装置30における排気系23
にあっては、エキゾーストパイプ14は、排気口3aからＵ
字形に下方に曲折され、また、エキスパンションチャン
バー16は、クランク状に曲折配置されので、エンジンの
位置が後輪に近い形体のスクータ型車輛であってもその
排気系23を長く設定できるようになる。したがって、排
気の脈動波を有効に利用することができる。さらに、エ
キスパンションチャンバー16は、変速機２の前面2f側か
ら同上面2uを経由して後輪５の反変速機側に至る範囲に
配置されているので、エキスパンションチャンバー16を
車輛下部に設置した場合と比べエキスパンションチャン
バー16の膨脹部分が地面にバンクしたときに接触してし
まう心配もない。そして、エキスパンションチャンバー
16の組み付けにあたり、変速機２の上面2uにエキスパン
ションチャンバー16を仮置きすることができるので組み
立てにも便利である。

また、吸排気装置30における吸気系29にあっては、エ
アクリーナー22は、テールパイプ18の反後輪側前方にお
いてテールパイプ18から離間状態になるように配置さ
れ、かつエアクリーナー22の新気吸入口22aをエキスパ
ンションチャンバー16の側方に設けたので、テールパイ
プ18から発する高熱によってエアクリーナー22が暖めら
れることがない。同様にエアクリーナー22の新気排出口
とシリンダー３の吸入口3bとを新気導入管26で連結し、
この新気導入管26をエキスパンションチャンバー16より
も前方に配置したので、エアクリーナー22に吸入される
新気が暖まることがなく、したがって、シリンダー３内
に冷気を導入できるようなる。したがって、エンジン４
の出力向上を期待できる。

さらに、キャブレター24と後輪５との間の空間部28を
エキスパンションチャンバー16が十分な膨脹形体を確保
し得る大きさになるように設定せしめておけば、これに
よっても排気の脈動波を有効に利用することができる。

〔考案の効果〕

この考案によれば、エンジンが後輪に近い形態のスク
ータ型車輛であっても十分にエキパン長を確保して排気
の脈動波を有効に利用できるとともに、エアークリーナ
ーの新気吸入口から排気管による熱気を吸入しないよう
にできる。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の一実施例を示し、第１図は側面図、第２図
は拡大した平面図である。 （符号の説明） １……パワーユニット、２……変速機、2f……前面、2u
……上面、３……シリンダー、3a……排気口、3b……吸
入口、４……エンジン、５……後輪、６……軸支部、８
……クッションユニット、10……車体、14……エキゾー
ストパイプ、16……エキスパンションチャンバー、18…
…テールパイプ、20……マフラー、22……エアクリーナ
ー、22a……新気吸入口、23……スクーターのエンジン
排気系、24……キャブレター、26……新気導入管、29…
…スクーターのエンジン吸気系、30……スクーターのエ
ンジン吸排気装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 藤田 幸次 静岡県湖西市鷲津1271 (56)参考文献 実開 昭54−12647（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭56−115518（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭51−9138（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭61−19620（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】変速機の一側面における前後に、シリンダ
   ーを車輛前方へ突出させたエンジンおよび後輪が配設さ
   れたパワーユニットをその前部および後部でそれぞれ軸
   支部およびクッションユニットを介して車体に揺動自在
   に取り付けたスクーター型車輛において、前記シリンダ
   ーの下面に排気口を設け、この排気口には車輛後方へ向
   けて、エキゾーストパイプ、エキスパンションチャンバ
   ー、テールパイプおよびマフラーが順次連結され、前記
   エキゾーストパイプは、前記排気口からＵ字形に下方に
   曲折されて前記変速機の前面側に配置され、前記エキス
   パンションチャンバーは、前記変速機の前面側から同上
   面を経由して前記後輪の反変速機側に至る範囲において
   クランク状に曲折配置され、前記テールパイプは、前記
   エキスパンションチャンバーの後端から車輛後方に向け
   てかつ前記後輪と平行になるように延設配置され、前記
   マフラーは、前記テールパイプの後端に配置され、前記
   テールパイプの反後輪側前方にはこのテールパイプと平
   行にかつ当該テールパイプから離間状態になるようにエ
   アクリーナが配置され、このエアクリーナの新気吸入口
   を前記エキスパンションチャンバーの側方に設けるとと
   もに、当該エアクリーナーの新気排出口と前記シリンダ
   ーの吸入口とはキャブレターを介して新気導入管で連結
   され、この新気導入管が前記エキスパンションチャンバ
   ーよりも前方に配置されたことを特徴とするスクーター
   のエンジン吸排気装置。