JP2503261B2 - アイオノマ―組成物およびその製造方法 - Google Patents

アイオノマ―組成物およびその製造方法

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JP2503261B2
JP2503261B2 JP63291089A JP29108988A JP2503261B2 JP 2503261 B2 JP2503261 B2 JP 2503261B2 JP 63291089 A JP63291089 A JP 63291089A JP 29108988 A JP29108988 A JP 29108988A JP 2503261 B2 JP2503261 B2 JP 2503261B2
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芳正 山本
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、高温での機械的強度に優れたアイオノマー
組成物に関する。
さらに詳しくは、ポリアミドオリゴマーで改質された
透明性、延伸性、接着性、高温での機械的強度に優れ
た、アイオノマー組成物に関する。
[従来の技術] エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のカルボキシル
の少なくとも一部が金属陽イオンで中和されたエチレン
系アイオノマー樹脂は、強靱性、弾力性、耐屈曲性、耐
摩耗性、耐衝撃性、耐候性などが優れる性質が利用され
て、自動車部品、ゴルフボール、スキー靴、靴底、工具
などの成形品用途に、また、透明性、延伸性、ヒートシ
ール性、耐油性、衛生性などが優れる性質が利用され
て、共押出フィルム、スキン包装、ラミネーションなど
の包装用途にと、広く用いられている。
一般にこれらの用途では、アイオノマーは押出成形や
射出成形により加工されているが、加熱によって金属イ
オン架橋の結合力が弱まるため、溶融流動性に優れ、一
般の熱可塑性樹脂と同様に加工できることもアイオノマ
ーの有する長所の一つである。
しかしながら、その融点以上の温度域において、アイ
オノマーの機械的強度は極端に低下するため、後加工時
や使用時に高温にさらされた場合に、変形、破壊などの
不具合が生じるという欠点を有している。例えば、レト
ルト食品の包装用途では、レトルト処理時に熱によって
フィルムの変形や部分破壊が生じたり、熱接着フィルム
用途では、ヒートシール時にシール部分が溶断を起こし
たりすることがある。また、自動車部品用途でも、エン
ジンからの熱や直射日光などによって比較的容易に変形
するという問題点を有している。
それゆえに、アイオノマーは前述したような優れた特
徴を有しながら用途に著しい制約を受けている。
そこで、前述したアイオノマーの優れた性質を保持し
つつ、高温での機械的強度を改良することが、従来から
強く望まれていた。比較的融点の低い樹脂の高温での機
械的強度を改良する方法としては、第一に高融点可塑性
樹脂とのブレンドをあげることができる。しかしながら
この方法では、高融点樹脂成分が少なくとも30%以上存
在しないと効果があらわれないため、経済性に劣り、ア
イオノマーの有する優れた特徴も失われてしまう。
また、樹脂の特徴となるべく損なわずに機械的強度を
改良するためには架橋が有効であることも従来から知ら
れている。代表的な架橋方法には、エネルギー線照射に
よる方法と、過酸化物等の試薬による方法の2種類があ
る。
アイオノマーをフィルムなどに成形した後に電子線な
どのエネルギー線照射によって架橋する方法は発泡や着
色を伴わない優れた方法であるが、架橋されるのは表面
と表面に近い層だけであり、複雑な形状の成形品には適
用できない。また、このような照射装置は高価で特殊な
照射工程を必要とするため、経済性に劣るという問題点
を有している。
有機過酸化物などを用いてアイオノマーを架橋する方
法でもアイオノマーの高温での機械的強度を改良するこ
とができる。しかしながら、このような方法で架橋され
たアイオノマーは溶融流動性が低く、フィルムなどに成
形加工した場合、表面に無数の凹凸あるいはピンホール
が生ずるため、良好な外観の要求される包装用フィルム
としては用いることができない。また、有機過酸化物は
アイオノマー成分中のアルカリ金属塩によって分解され
やすく、大量添加を必要とするため経済性に劣ること
や、過酸化物の分解に起因する発泡、着色、臭気などの
発生という問題点もある。
一方、アイオノマーの有する低温での接着性を保持し
つつ耐熱性を有する方法として、本発明者らは、エチレ
ン−不飽和カルボン酸共重合体中のカルボキシル基の少
なくとも一部が亜鉛で中和されたアイオノマーに、片末
端に1級アミノ基を有するポリアミドオリゴマーを3〜
20重量部グラフト共重合させて、このアイオノマー組成
物をグラフト変性させる方法を開示した(特開昭59-713
78号公報)。
また、本発明者らは、エチレン−不飽和カルボン酸共
重合体中のカルボキシル基の一部が金属陽イオンで中和
されたアイオノマーを、両末端に1級アミノ基を有する
ポリアミドオリゴマーによってイオン的に架橋する方法
についても開示している(特願昭62-294329)。これら
の方法で得られたアイオノマー組成物は、分子運動が拘
束されることによって高温での機械的強度が改良されて
いるという長所を有しているが、溶融流動性の低下に伴
い加工性が低下し、アイオノマーが本来有する透明性、
延伸性、表面光沢などが必ずしも充分でないという問題
があった。
[発明が解決しようとする課題] そこで本発明者らは、エチレン−不飽和カルボン酸共
重合体またはそのアイオノマーが有する透明性、延伸
性、接着性、ヒートシール性などの優れた性質と、末端
に1級アミノ基を有するポリアミドオリゴマーでイオン
的に架橋されたアイオノマーが有する高温での機械的強
度の両立を求めて鋭意研究したところ、エチレン−不飽
和カルボン酸共重合体中のカルボキシル基の少なくとも
一部が亜鉛などの遷移金属陽イオンで中和されたアイオ
ノマー成分と、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体ま
たはエチレン−不飽和カルボン酸共重合体中のカルボキ
シル基の少なくとも一部がナトリウムなどのアルカリ金
属陽イオンで中和されたアイオノマー成分と、片末端ま
たは両末端に1級アミノ基を有するポリアミドオリゴマ
ー成分とから形成される三元アイオノマー組成分がかか
る問題点を一挙に解決しうることを見出し、本発明を完
成させるに至った。
すなわち、本発明の目的は、工業的実施にあたっての
従来の問題点を解決しようとするものであって、エチレ
ン−不飽和カルボン酸共重合体中のカルボキシル基の少
なくとも一部が金属陽イオンで中和されたアイオノマー
の有する透明性、熱接着性、ヒートシール性、耐油性な
どを保持しつつ、高温での機械的強度、フィルムなどへ
の加工性、得られた成形体の外観の良好性を備えたアイ
オノマー組成物及び前記アイオノマー組成物の経済的な
製造方法を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体中の
カルボキシル基の少なくとも一部が遷移金属陽イオンで
中和されたアイオノマー成分(A)と、 エチレン−不飽和カルボン酸共重合体または、エチレ
ン−不飽和カルボン酸共重合体中のカルボキシル基の少
なくとも一部がアルカリ金属陽イオンで中和されたアイ
オノマー成分(B)と、 片末端または両末端に1級アミノ基を有するポリアミ
ドオリゴマー成分(C) とからなり、 上記(A)(B)(C)各成分の合計100重量部に対
し、 (A)成分50〜97重量部、(B)成分49〜2重量部、
(C)成分20〜1重量部を含有し、 該ポリアミドオリゴマー成分(C)が(A)又は
(A)及び(B)にイオン的に結合していることを特徴
するアイオノマー組成物およびその製造方法に関する。
本発明に従えば、高価な装置や特殊な工程を必要とせ
ずに、アイオノマーの有する透明性、ヒートシール性、
熱接着性、耐油性、低臭性、耐衝撃性などの優れた性質
を保持しつつ、高温での機械的強度、フィルムなどの成
形体への加工性、得られた成形体の外観などを改良する
ことができる。
以下本発明に係るポリアミドオリゴマーで改質された
アイオノマー組成物について具体的に説明する。
本発明で用いられる前記(A)成分あるいは(B)成
分におけるエチレン−不飽和カルボン酸共重合体は、エ
チレンと不飽和カルボン酸との共重合体であるが、この
不飽和カルボン酸としては、炭素数3〜8の不飽和カル
ボン酸、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、イタ
コン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチルエステ
ル、マレイン酸モノエチルエステルなどが用いられる。
これらの不飽和カルボン酸のうちで、アクリル酸、メタ
クリル酸が特に好ましく用いられる。
本発明で用いられるエチレン−不飽和カルボン酸共重
合体は、エチレンと上記のような不飽和カルボン酸に加
えて第3成分を含んでいてもよく、このような第3成分
としては、アクリル酸エチル、アクリル酸i−ブチル、
アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸メチルなどの不飽
和カルボン酸エステル、酢酸ビニルなどのビニルエステ
ルが用いられる。
これらエチレン−不飽和カルボン酸共重合体として
は、エチレン含有量が50〜99重量%、好ましくは70〜98
重量%、また不飽和カルボン酸は50〜1重量%、好まし
くは30〜2重量%の量で存在していることが望ましい。
またエチレン−不飽和カルボン酸共重合体がエチレン
成分及び不飽和カルボン酸成分に加えて第3成分を含む
場合には、第3成分は0〜40重量%、好ましくは0〜30
重量%の量で存在していることが望ましい。
上記(A)成分のアイオノマーを製造するための遷移
金属陽イオンとしては、Mn++,Co++,Ni++,Cu++,Zn++,Pb
++などの2価の陽イオンが好ましく、特にZn++を用いる
ことが好ましい。
(A)成分のアイオノマーの上記遷移金属陽イオンに
よる中和度は5〜100%、特に10〜90%の範囲が好適で
ある。また(A)成分のアイオノマーとして、190℃、2
160g荷重で測定したメルトフローレートが0.01〜200g/1
0分、とくに0.02〜100g/10分のものが好適である。また
(B)成分としてはエチレン−不飽和カルボン酸共重合
体、またはエチレン−不飽和カルボン酸共重合体中のカ
ルボキシル基の少なくとも一部がアルカリ金属陽イオン
で中和されたアイオノマーが用いられる。(B)成分と
して上記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体中のカル
ボキシル基の少なくとも一部がアルカリ金属陽イオンで
中和されたアイオノマーを用いた場合は、(B)成分の
アイオノマーは(A)とは金属イオン種類の異なるアイ
オノマーであるが、このような金属イオン種類の異なる
2種類のアイオノマー成分の組成物は、末端に1級アミ
ノ基を有するポリアミドオリゴマー成分で改質した場
合、以下に述べるような優れた物性のアイオノマー組成
物が得られる。
ポリアミドオリゴマー末端の1級アミノ基は、エチレ
ン−不飽和カルボン酸共重合体中のカルボキシル基の少
なくとも一部が遷移金属陽イオンで中和されたアイオノ
マーのカルボキシル塩に配位してアミン錯塩を形成する
か、またはカルボキシル基と反応してアンモニウム塩を
形成して結合する。このようなアイオノマー組成物の成
形体は、分子運動が拘束されることによって高温での機
械的強度などは改良されるが、アイオノマーが本来有す
る延伸性、透明性などは必ずしも充分でない。これに対
して、ポリアミドオリゴマー末端の1級アミノ基は、エ
チレン−不飽和カルボン酸共重合体中のカルボキシル基
の少なくとも一部がアルカリ金属陽イオンで中和された
アイオノマーのカルボキシル塩には配位しないため、ア
ンミン錯塩を形成せず、中和の程度によってはカルボキ
シル基と反応してアンモニウム塩を生成して結合する場
合もあるが、(A)成分に比較したその量は少ないた
め、該アイオノマーは分子運動に拘束を受けない。その
ためこのようにポリアミドオリゴマーで改質されたアイ
オノマー成分は、アイオノマー本来の長所を失うことな
く、高温での機械的強度の改良された成形体を提供する
ことができる。
したがって(B)成分としてはエチレン−不飽和カル
ボン酸共重合体をそのまま使用することもできるが、上
記の理由によって、そのカルボキシル基の少なくとも一
部がアルカリ金属陽イオンで中和されたアイオノマーの
方がより好ましい。
上記アルカリ金属陽イオンとしては、Li+,Na+,K+など
を用いることが好ましく、特にNa+が好ましい。
(B)成分としてメルトフローレートが0.01〜200g/1
0分、とくに0.02〜100g/10分のものを用いるのが好まし
く、とくにアイオノマーを用いる場合の上記アルカリ金
属陽イオンまたはアンモニウムイオンによる中和度は90
%以下、特に70%以下の範囲が好適である。
なお、(A)(B)両成分とも、中和に用いられる金
属イオン種の数は1種類に限定されるものでなく、遷移
金属陽イオン、アルカリ金属陽イオンとも、2種類以上
の金属陽イオン種からなるアイオノマーであってもよ
い。
本発明で用いられるポリアミドオリゴマーとしては、
ポリアミド鎖の片末端または両末端に1級アミノ基を有
するポリアミドオリゴマーが用いられる。このようなポ
リアミドオリゴマーとして、具体的には、ポリカプロラ
クタムまたはポリラウロラクタムなどが用いられる。
このようなポリアミドオリゴマーを重合する際、末端
封鎖剤(重合度調節剤)として1級アミンまたは1級ジ
アミンが用いられるが、1級アミンを用いるとポリアミ
ド鎖の片末端に1級アミノ基を有するポリアミドオリゴ
マーが得られ、1級ジアミンを用いるとポリアミド鎖の
両末端に1級アミノ基を有するポリアミドオリゴマー得
られる。上記したような1級アミンとしては、具体的に
は、n−ブチルアミン、n−アミルアミン、n−ヘキシ
ルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリンなどが好ま
しい。また、上記したような1級ジアミンとしては、具
体的には、メタキシレンジアミン、ヘキサメチレンジア
ミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、エチレ
ンジアミン、ブチレンジアミン、3,3−ジアミノ−N−
メチルジブロビルアミンなどが好ましい。
該ポリアミドオリゴマーの末端アミノ基が2級または
3級であると、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体中
のカルボキシル基の少なくとも一部が遷移金属陽イオン
で中和されたアイオノマー成分中のカルボキシル塩との
反応性が乏しく、改質効果が現われないため好ましくな
い。
このようなポリアミドオリゴマーは平均重合度が5〜
35の範囲であることが好ましい。この平均重合度が5未
満であると、ポリアミドオリゴマーの融点が極端に低く
なり、得られる成形体の高温での機械的強度の改良効果
に乏しく好ましくない。また、該ポリアミドオリゴマー
の平均重合度が35よりも大きいと、ポリアミドオリゴマ
ー末端のアミノ基の活性が低下してしまい、アイオノマ
ーのカルボキシル塩に配位して錯体を形成する能力が劣
るため、得られた成形体の高温での機械的強度があまり
改良されず、しかも透明性も低下するため好ましくな
い。
本発明においては、組成物中の遷移金属陽イオンで中
和されたアイオノマー成分(A)の量は、組成物の全量
を100重量部としたとき50〜97重量部、好ましくは60〜8
5重量部であることが望ましい。同時に、エチレン−不
飽和カルボン酸共重合体またはアルカリ金属陽イオン、
で中和されたアイオノマー成分(B)の量は49〜2重量
部、好ましくは35〜10重量部であることが望ましく、ま
たポリアミドオリゴマー成分の量は20〜1重量部、好ま
しくは15〜2重量部であることが望ましい。遷移金属陽
イオンで中和されたアイオノマー成分の量が50重量部未
満である場合、及びまたは、ポリアミドオリゴマー成分
の量が1重量部未満である場合には、両者の間で錯イオ
ン結合が起こりにくくなり、得られる成形体の高温での
機械的強度があまり改良されないため好ましくない。ま
た、遷移金属陽イオンで中和されたアイオノマー成分の
量が97重量部を超えた場合も、ポリアミドオリゴマーに
よる改質効果、あるいは(B)成分の添加効果があまり
現れないので好ましくない。一方、ポリアミドオリゴマ
ー成分の量が20重量部を超えた場合は、得られる成形体
の高温での機械的強度は改良されるものの、溶融流動性
が著しく低下し、加工が困難になるので好ましくない。
また、(B)成分であるアルカリ金属陽イオンで中和さ
れたアイオノマー成分等の量が2重量部未満であると、
得られる成形体はアイオノマー本来の有する透明性、延
伸性などの特徴が充分に発現しない場合があるため好ま
しくなく、49重量部を超えると、ポリアミドオリゴマー
との反応性の低さに由来する透明性の低下を招来するの
で好ましくない。
本発明のアイオノマー組成物においては、前述のごと
く少なくとも(A)成分はポリアミドオリゴマー成分
(C)とイオン的に結合しており、これによって高温で
の機械的強度などが著しく改善されるという特長を有し
ている。また(B)成分も陽イオンの種類および中和度
によってはにイオン的に結合している場合がある。すな
わち本発明組成物はポリアミドオリゴマー成分(C)が
(A)又は(A)及び(B)にイオン的に結合している
アイオノマー組成物である。
本発明のポリアミドオリゴマーで改質されたアイオノ
マー組成物は上記の(A)(B)および(C)の各成分
を、150〜300℃、好ましくは200〜270℃の樹脂温度条件
下で混合溶融混練することによって製造することができ
る。
このような溶融混練装置としては、スクリュー押出
機、バンバリーミキサー、ロールミキサーなどの樹脂用
溶融混合または加工装置が用いられるが、特にスクリュ
ー押出機が好ましく用いられる。
また、このようなアイオノマー組成物は、エチレン−
不飽和カルボン酸共重合体を遷移金属陽イオン及びアル
カリ金属陽イオンで中和する際に、上記ポリアミドオリ
ゴマーを添加して、異なる金属イオンによるカルボキシ
ル基のイオン化反応と、ポリアミドオリゴマーによる錯
体化反応とを同時に行うことによっても製造できる。
このようにして得られたアイオノマー組成物は、その
メルトフローレート(MFR,190℃,2160g荷重)が0.001〜
100dg/分である。MFRが0.001dg/分未満では成形加工が
著しく困難となるため好ましくなく、100dg/分を超える
と高温での機械的強度が改良されないため好ましくな
い。より好ましいMFRは0.002〜30dg/分の範囲である。
本発明に係るアイオノマー組成物には、必要に応じて
酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、安定剤、滑剤、粘
着剤などの添加剤を適宜配合することができる。
本発明に係るポリアミドオリゴマーで改質されたアイ
オノマー組成物を用いて成形された成形体は、高温での
機械的強度に優れ、アイオノマー本来の特徴である透明
性、延伸性、耐油性、接着性も有しているため、フィル
ム、シート、自動車用品などとして広く用いられる。
特に、共押出成形法などを用いて、ポリオレフィン、
エチレン系共重合体、アイオノマー、ポリアミド、ポリ
エステル、ポリ塩化ビニリデンなどの熱可塑性樹脂フィ
ルムと二層以上の積層フィルムに成形したものは、レト
ルト処理時はヒートシール時に高温での機械的強度が要
求される食品包装剤として好ましく用いられる。
[実施例] 以下本発明を実施例により説明するが、本発明はこれ
ら実施例に限定されるものではない。
まず、以下に本発明に係るアイオノマーからなる成形
体の試験方法について説明する。
融点及びMFR 融点は結晶融点の測定により(DSC法)、メルトフロ
ーレート(MFR)はJIS K−6760により荷重2160g、測定
温度190℃で測定した。
荷重クリープテスト 本発明に係るアイオノマー組成物からなる、縦50mm、
横20mm、厚さ1mmの試験片の下部に100gの荷重を取り付
けてオーブン中に吊り下げ、30℃/時の一定の昇温速度
で、70℃から昇温した。
この昇温により、試験片が伸びるかまたは切れて荷重
が落下する温度を荷重落下温度とし、この温度を耐熱性
の度合(加熱強度)の尺度とした。
自重熱変形テスト 本発明に係るアイオノマー成形体からなる、長さ100m
m、横幅20mm、厚さ3mmの試験片を作成し、その一端を、
高さ100mmの固定台の上端に水平に取り付け、所定温度
に調整したオーブン中に2時間放置したところ、熱と試
験片自身の重さにより試験片の他端が垂れ下がり、その
高さがxmmとなった。変形量(100−x)mmを測定し変形
率を求めた。
変形率と温度の関係のグラフから20%変形する温度を
読み取り、自重変形温度とした。この温度を耐熱変形性
の度合の尺度とした。
耐熱溶断シールテスト 本発明に係るアイオノマー成形体からなる厚さ150μ
mのインフレーションフィルム2枚を、幅5mm、長さ30c
mのシール部を持つインパルスヒートシーラーで、温度2
20℃、圧力2kg/cm2の条件でヒートシールする。このと
きのヒートシール時間を変えて、シール部が熱により溶
断を起こす時間を測定し、熱溶断時間とした。この熱溶
断時間が長いほど高温での機械的強度が優れることを示
している。
以下の実施例、比較例に用いたエチレン−不飽和カル
ボン酸共重合体、及びそのカルボキシル基の一部が金属
陽イオンで中和されたアイオノマーを表1に示す。ま
た、以下の実施例、比較例に用いたポリアミドオリゴマ
ー(PAO)を表2に示す。
実施例1〜3、比較例1〜5 1軸スクリュー押出機(スクリュー径30mm、L/D=3
2)に、アイオノマー成分とポリアミドオリゴマー成分
を表3に記載した比率で混合して供給し、樹脂温度230
℃で、押出速度2.0kg/時の条件で混練して押出し、押出
機から出るストランドをカッティングしてアイオノマー
組成物のペレットを得た。得られたペレット状のアイオ
ノマー組成物を、熱プレスで160℃にて加圧し、1mm厚の
シートに成形して、透明性及び荷重クリープテストによ
る加熱強度を評価した。結果を表3に示す。
実施例1〜3で得られたアイオノマー組成物は、ポリ
アミドオリゴマー成分を含まない比較例1に比べて加熱
強度が改良されており、また、良好な透明性も保ってい
た。
アルカリ金属陽イオンで中和されたアイオノマー成分
の配合比が高い比較例2、3では、加熱強度は改良され
るものの、透明性が低下していた。
ポリアミドオリゴマーの配合比が低い比較例4では改
質効果が現われておらず、逆に配合比が高い比較例5で
は、押出機から押出されたアイオノマー組成物のストラ
ンドは不透明で、溶融強度が著しく低下していた。
実施例4、比較例6 実施例1で用いた押出機に、アイオノマー成分とポリ
アミドオリゴマー成分を表4に記載した比率で混合して
供給し、同一条件で混練して押出し、アイオノマー組成
物のペレットを得た。得られたペレット状のアイオノマ
ー組成物をプレスシートに成形して耐熱性を評価した。
混練時の押出機内の樹脂圧力と耐熱性の評価結果を表4
に示す。
実施例4で得られたアイオノマー組成物は、ポリアミ
ドオリゴマー成分を含まない比較例1に比べて、大幅に
耐熱性が改良され、MFRも低下しているが、混練時の樹
脂圧力はほとんど同じだった。
一方、アルカリ金属で中和されたアイオノマー成分を
含まない比較例6では、耐熱性は改良されるものの、混
練時の樹脂圧力が装置の許容範囲を超え、安定運転を継
続することができなかった。
実施例5、6、比較例7、8 1軸スクリュー押出機(スクリュー径65mm、L/D=3
3)に、アイオノマー成分とポリアミドオリゴマー成分
を表5に記載した比率で混合して供給し、樹脂温度230
℃、押出速度25kg/時の条件で混練して押出し、アイオ
ノマー組成物のペレットを得た。得られたペレット状の
アイオノマー組成物をインフレーションフィルム成形機
(スクリュー径30mm)で150μm厚フィルムに成形加工
し、耐熱溶断シールテストによる高温での機械的強度を
評価した。フィルム成形時の樹脂圧力と熱溶断時間を表
5に示す。
実施例5で得られたフィルムは、ポリアミドオリゴマ
ー成分を含まない比較例7に比べて、高温での機械的強
度が改良されており、外観も良好であった。
実施例6で得られたフィルムが外観良好であったのに
対し、アルカリ金属陽イオンで中和されたアイオノマー
成分を含まない比較例8で得られたフィルムは、透明
性、表面光沢がやや劣っていた。また、比較例8ではフ
ィルム成形時の樹脂圧力が高く、加工が困難であった。
[発明の効果] 本発明に係るアイオノマー組成物は、エチレン−不飽
和カルボン酸共重合体またはそのアイオノマーが有する
透明性、延伸性、耐油性、接着性、ヒートシール性など
の優れた性質を保持しつつ、高温での機械的強度の改良
された、外観の良好な成形体を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 77/00 LQS C08L 77/00 LQS

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレン−不飽和カルボン酸共重合体中の
    カルボシキル基の少なくとも一部が遷移金属陽イオンで
    中和されたアイオノマー成分(A)と、エチレン−不飽
    和カルボン酸共重合体または、エチレン−不飽和カルボ
    ン酸共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部がア
    ルカリ金属陽イオンで中和されたアイオノマー成分
    (B)と、 片末端または両末端に1級アミノ基を有するポリアミド
    オリゴマー成分(C)とからなり、 上記(A)(B)(C)各成分の合計100重量部に対
    し、 (A)成分50〜97重量部、(B)成分49〜2重量部、
    (C)成分20〜1重量部を含有し、 該ポリアミドオリゴマー成分(C)が(A)又は(A)
    及び(B)にイオン的に結合していることを特徴するア
    イオノマー組成物。
  2. 【請求項2】請求項1記載の(A)(B)(C)各成分
    の合計100重量部に対し、(A)、(B)及び(C)成
    分をそれぞれ50〜97重量部、49〜2重量部及び20〜1重
    量部の割合で混合溶融混練下に反応させることを特徴と
    する請求項1記載のアイオノマー組成物の製造方法。
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