JP2503132B2 - フランジを有する形材の高精度圧延方法 - Google Patents

フランジを有する形材の高精度圧延方法

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JP2503132B2
JP2503132B2 JP21864691A JP21864691A JP2503132B2 JP 2503132 B2 JP2503132 B2 JP 2503132B2 JP 21864691 A JP21864691 A JP 21864691A JP 21864691 A JP21864691 A JP 21864691A JP 2503132 B2 JP2503132 B2 JP 2503132B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フランジを有する形
材、例えばH形鋼・I形鋼等の中心偏りを防止して高精
度に圧延する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に建築部材として使用されているフ
ランジを有する形材のうち代表的なH形鋼は図20
(a),(b)に示す方法で造形される。すなわち、複
数の孔型を形成したブレークダウン圧延機1で鋼片5を
H形に類似した形状へ粗造形したのち、上下水平ロール
2aと左右堅ロール2bを備えた中間ユニバーサル圧延
機2によりウェブおよびフランジの厚さを圧下する。さ
らに、中間ユニバーサル圧延機と連続圧延可能に近接し
て設置された上下水平ロール3aを有するエッジング圧
延機3によりフランジを幅方向に圧下鍛錬して形状寸法
のバラツキを修正したのち、前記中間ユニバーサル圧延
機と同様に上下水平ロール4aおよび左右堅ロール4b
を有する仕上ユニバーサル圧延機4により所望の製品形
状に仕上げる。
【0003】なお、図20(a),(b)に示したレイ
アウトは最も代表的な例であり、更にユニバーサル圧延
機およびエッジング圧延機を複数台配置する場合もあ
る。
【0004】ところで、ユニバーサル圧延においてパス
毎のウェブ延伸とフランジ延伸との比によって、被圧延
材のフランジ幅は増大したり、減少することが知られて
いる。したがって、フランジ幅が圧延パスが進行するに
つれて増大する場合には、エッジング圧延機3の圧延状
態は、図18に示すように初期パスでは原則として被圧
延材のウェブ部1aを上下一対の水平ロール3aで拘束
することを基本にしているが、図19のように後期パス
では被圧延材のフランジ片幅Fsがユニバーサル圧延を
重ねるとともに増大してくるため、水平ロール3aとウ
ェブ部1aとの間にはクリアランスS,S’の発生を余
儀なくされている。このクリアランスS,S’は、圧延
材の温度変化、鋼種変化、もしくは製品の厚手あるいは
薄手の違いからくる圧下と幅拡り差、さらには負荷再配
分のためのパススケジュールの修正など、圧延条件の変
化に対しての調整余裕代、あるいはロールの磨耗調整代
としても不可欠である。従来の圧延方式では単にリバー
ス型多パス式ミルのみならず、1スタンド1パス式連続
圧延ミルにおいてもクリアランスS,S’は避けられな
いもので、一般にS,S’≧1mmに設定されている。
クリアランスS,S’が生じた状態でエッジング圧延を
行うと、図15および図16に示すようにフランジが座
屈したり、あるいは図17のウェブ部1aの位置がフラ
ンジ1bの中心位置(FT/2)にならず、いわゆる中
心偏りが生じ易くなる。
【0005】このような問題点を解決するため、本出願
人は先に特開昭62−77107号公報および特開昭6
2−77101号公報の手段を提案した。特開昭62−
77107号公報は、図11に示すようにエッジングロ
ールの主軸8に左右一対のフランジエッジング用水平ロ
ール11を相対間隔調整自在に設けると共に、外周面に
ウェブ拘束リングロール12を回動自在に嵌装した左右
一対の偏心中間リングロール13を前記主軸8の外周に
回動自在に設けた偏心リング型エッジング圧延ロールで
ある。図12は特開昭62−77107号公報の偏心リ
ング型エッジング圧延ロールの作用を示し、(a)はフ
ランジ幅が小さい被圧延材の例であり、偏心中間リング
ロール13はパスラインから離れた偏心位置に回転変位
させて設定する。このように設定することによって被圧
延材のウェブ1aをウェブ拘束リングロール12で拘束
しながら、被圧延材のフランジ部1bの先端をフランジ
圧下用作用部11によって圧延することができる。
(b)はフランジ幅が大きい被圧延材の例で、偏心中間
リングロール13はパスラインに近づいた偏心位置に回
転させて設定する。このように設定することによって、
フランジ幅が大きい被圧延材の場合も被圧延材のウェブ
1aをウェブ拘束リングロール12で拘束しながら、被
圧延材のフランジ部1bの先端をフランジ圧下用作用部
11によって圧延することができる。
【0006】また、特開昭62−77101号公報の技
術は、図13に示すようにエッジングロールを、その主
軸8の外周に転動自在に設けたウェブ拘束カラー7-1
軸部7-2を有する水平ロール7と、前記軸部7-2の外周
面に転動自在に当接する一対のバックアップロール9、
および該バックアップロール9に支承されるフランジ部
圧下用作動ロール10を有し、前記4つのロールの軸心
を結ぶ直線に交差する方向にバックアップロール9を変
位せしめる構造としたバックアップロール型エッジング
圧延ロールである。
【0007】図14は特開昭62−77101号公報の
バックアップロール型エッジング圧延ロールの作用を示
し、図14(a)はフランジ幅が大きい被圧延材の例
で、バックアップロール9は開いた位置に設定する。こ
の設定によって、被圧延材のフランジ部1bの先端はフ
ランジ部圧下用作用ロール10によって圧延され、この
際被圧延材のウェブ部1aはウェブ拘束カラー7-1によ
り把持されて拘束されている。図14(b)はフランジ
幅が小さい被圧延材の例であり、バックアップロール9
は閉じた位置に設定する。この設定によって、被圧延材
のウェブ部1aを拘束してフランジ部1bの先端を圧延
できる。
【0008】以上のように、特開昭62−77107号
公報および特開昭62−77101号公報は両者ともに
エッジング圧延段階でウェブを拘束しながらフランジ先
端部をエッジング圧延できる装置を提案したものであ
り、エッジング圧延仕上がり段階での中心偏りの改善効
果は大きいと考えられる。
【0009】しかしながら、前記特開昭62−7710
7号公報または特開昭62−77101号公報の手段を
中間圧延工程のエッジング圧延に適用した場合、中間圧
延工程のフランジエッジング圧延段階で中心偏りが改善
されたとしても、最終圧延工程の仕上げユニバーサル圧
延工程で中心偏りが再発すると救済の手段がないという
問題がある。
【0010】仕上げユニバーサル圧延段階での中心偏り
発生の要因としては、パスラインずれ、材料の噛込み角
度不良、材料の反り、圧延機のガタなどが考えられる。
この中で最も影響度が高いのはパスラインのずれであ
る。図10は上下水平ロール4aと左右堅ロール4bと
の軸芯Cが同一軸芯線上にある従来の仕上げユニバーサ
ル圧延機で圧延する際にパスラインのずれにより中心偏
りが発生するメカニズムを示した。
【0011】被圧延材のウェブ部1aは、上下水平ロー
ル4aによって、またフランジ部1bは左右堅ロール4
bと水平ロール4aの側面によって所定の厚みまで圧延
される。水平ロール4aとウェブ部1aとの接触投影長
さLwおよび堅ロール4bとフランジ1bとの接触投影
長さLfは、それぞれ,式で表すことができる。
【0012】
【数1】
【0013】ここで、RH:水平ロール半径 Rv:堅ロール半径 Δtw:ウェブ実圧下量 Δtf:フランジ実圧下量 一般に、2Rv/RHは1.5程度であるとともに、基
本的にはフランジ圧下量はウェブ圧下量より大きいた
め、Lf>Lwであり、フランジ部1bはウェブ部1a
より先行してロールに接触する。この現象は以下に示す
ように中心偏りという製品形状不良をもたらす。
【0014】図10図(a),(b)に示すように、ロ
ーラーテーブル14上を走行してきた被圧延材は、水平
ロール4aの側面と堅ロール4bとによってまず被圧延
材のフランジ部1bを圧延され、その後に水平ロール4
aにとって被圧延材のウェブ部1aを圧延される。図中
a−aおよびb−bが各々ウェブ部噛込み開始位置およ
びフランジ部噛込み開始位置を示している。被圧延材が
ユニバーサル圧延機を通過する毎にフランジ幅は変化す
るため、圧延前後面のローラーテーブル14の上面から
ウェブ部1aの中心x1−x1までの距離h1はローラ
ーテーブル14の上面から上下水平ロール4aの間隙中
心y1−y1までの距離h2よりも小さくなる場合があ
る。圧延機を通過する毎にローラーテーブル14を上下
方向に調整してh1とh2を一致させようとする設備は
周知であるが、フランジ幅の変動に追随させてローラー
テーブル14の上下位置を微調整することは極めて困難
である。したがって、このような圧延状況ではフランジ
部1bが先行して噛込むと、ウェブ部1aが水平ロール
4aに噛込む際には、水平ロール4aの側面と堅ロール
4bとでフランジが拘束された状態であるため、被圧延
材のウェブ部1aが上方に移動させられ、結果的にウェ
ブ部1aの中心位置x1−x1がy1−y1に付け替わ
り、フランジ部中心位置x1−x1より上にΔxだけ移
動し中心偏りが生じる。
【0015】この中心偏り防止法として、前記式、
式中の堅ロール半径Rv、水平RH、Δtw、Δtfを
調整してウェブの接触投影長Lwとフランジの接触投影
長Lfとをできる限り同じ長さにし、ウェブ噛込み位置
をフランジ噛込み位置をほぼ一致させる方法が提案され
ている(特公昭46−19167)。しかしながら、水
平ロール径を大きくすることは圧延機ハウジングの規模
が大きくなり、経済的に不利である。一方、堅ロール径
を小さくすることはロール原単位やロール強度の低下を
招くことになる。また、ウェブ厚およびフランジ厚は多
岐にわたっており、それら全てのサイズに対してウェブ
の圧下量をフランジの圧下量より大きくすることは不可
能に近い。したがって、やむなくフランジ噛込みがウェ
ブ噛込みに先行し、結果的にウェブ中心偏りが生じる場
合がある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、フランジを
有する形材の圧延工程において、その中間圧延工程で改
善した中心偏りを、仕上げ圧延工程で再発させない圧延
方法を提供するものである。
【0017】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明は上述の
課題を解決したものであり、その要旨は、(1)粗圧
延、中間ユニバーサル圧延および仕上げユニバーサル圧
延の各工程によってフランジを有する形材を圧延するに
際し、前記中間ユニバーサル圧延工程のエッジング圧延
機にウェブ拘束圧延機構を有するフランジエッジング圧
延ロールを用いて圧延する方法において、仕上げユニバ
ーサル圧延工程のユニバーサル圧延機の水平ロール軸芯
位置を基準として、竪ロール軸芯位置を、その水平ロー
ル径、竪ロール径およびウェブとフランジの実圧下量等
を条件としてウェブ噛み込み開始位置をフランジ噛み込
み開始よりも先行して圧延可能な位置から、フランジ部
を竪ロールと水平ロール側面とで挟圧可能な位置までの
範囲内に設定して圧延することを特徴とするフランジを
有する形材の高精度圧延方法、(2)中間ユニバーサル
圧延工程のユニバーサル圧延機の水平ロール軸芯位置を
基準として、竪ロール軸芯位置を、その水平ロール径、
竪ロール径およびウェブとフランジの実圧下量等を条件
としてウェブ噛み込み開始をフランジ噛み込み開始より
も先行して圧延可能な位置から、フランジ部を竪ロール
と水平ロール側面とで挟圧可能な位置までの範囲内に設
定して圧延することを特徴とする(1)項記載のフラン
ジを有する形材の高精度圧延方法、である。
【0018】以下本発明を詳細に説明する。
【0019】図1(a),(b)に本発明の圧延方法の
概略を示す。従来と同様にブレークダウン圧延機1で鋼
片5を粗造形したのち、上下水平ロール2aと左右堅ロ
ール2bを備えた中間ユニバーサル圧延機2によりウェ
ブおよびフランジの厚さを圧下する。さらに中間ユニバ
ーサル圧延機と連続して設置されたエッジング圧延機3
3には偏心リング型エッジング圧延ロールまたはバック
アップロール型エッジング圧延ロールを適用し、ウェブ
を拘束しながらフランジを幅方向に圧下鍛錬し、中心偏
りを改善したのち、上下一対の水平ロール4aおよび左
右一対の堅ロール4bを有し、堅ロール4bの軸芯位置
を水平ロール4aの軸芯位置に対して圧延方向に移動可
能に設けた堅ロール軸芯移動仕上げユニバーサル圧延機
44により所望の製品形状に仕上げる。
【0020】本発明は、偏心リング型エッジング圧延ロ
ールまたはバックアップロール型エッジング圧延ロール
と、堅ロール軸芯を移動可能に設けた仕上げユニバーサ
ル圧延機との組合せにより前記課題を解決するものであ
るが、偏心リング型エッジング圧延ロール(特開昭62
−77107号公報)およびバックアップロール型エッ
ジング圧延ロール(特開昭62−77101号公報)に
ついては従来技術として前述したので、以下では主に堅
ロール軸芯移動仕上げユニバーサル圧延機について、H
形鋼の場合を例にとり、その作用について詳細に説明す
る。
【0021】図2(a),(b)に示すように、H形鋼
の圧延におけるウェブ部の噛込み開始位置a−aとフラ
ンジ部の噛込み開始位置b−bは、水平ロール軸芯位置
1、堅ロールc1 と圧延時の接触投影長Lw,Lfか
ら求められる。被圧延材のウェブ部1aの圧下は、水平
ロール軸芯位置d1 からウェブ部の接触投影長Lwの距
離だけ圧延入側方向に離れた位置で開始され、ロール隙
が最も狭くなる位置、すなわち上下水平ロール軸芯位置
1 にて完了する。また、被圧延材のフランジ部1bの
圧下は、堅ロール軸芯位置c1 からフランジ部の接触投
影長Lfの距離だけ圧延入側方向に離れた位置で開始さ
れ、堅ロール4bと水平ロール4aの側面の隙が最も狭
くなる位置、すなわち堅ロール軸芯位置c1 にて完了す
る。先に述べたように、H形鋼のユニバーサル圧延では
一般にウェブ部接触投影長Lwに対してフランジ部の接
触投影長Lfが大きく、ウェブ部噛込み位置a−aに対
してフランジ部噛込み位置b−bが先行する。このウェ
ブ部噛込み位置a−aからフランジ部噛込み位置b−b
までの距離ΔL以上の距離だけ圧延パス毎に堅ロール軸
芯を圧延方向に移動することにより、常にウェブ部の噛
込み位置をフランジ部の噛込み位置より先行させること
が理論上可能である。
【0022】実際の圧延においては、圧延機のガタ、被
圧延材の温度条件などにより、実際に圧延された後のウ
ェブ厚とフランジ厚は目標値に対してばらつくことを考
慮すると、実質的なフランジ接触投影長とウェブ接触投
影長との差ΔL’は式で表すことができる。
【0023】
【数2】
【0024】ここで、Lf’:実質フランジ接触投影長 Lw’:実質ウェブ接触投影長 αf :フランジ圧下量の変動値 αw :ウェブ圧下量の変動値 Δtf:フランジ圧下量 Δtw:ウェブ圧下量 水平ロール軸芯位置から堅ロール軸芯位置までの移動量
を前記式で求まるΔL’よりも大きく設定すれば、圧
延環境条件が変化してもフランジ部噛込み位置b−bに
対してウェブ部噛込み位置a−aを常に先行させること
ができる。すなわち、このΔL’が堅ロール軸芯移動量
の下限値である。また、水平ロール軸芯位置d1 に対す
る堅ロール軸芯移動量の上限値は、H形鋼の断面内フラ
ンジ厚偏差の発生量により制約される。図3(a),
(b)に示すように水平ロール軸芯位置d1 に対して堅
ロール軸芯移動量Lを極端に大きく設定すると、フラン
ジ部1bが堅ロール4bと水平ロール4aとの側面で挟
圧される部分e1−e2が少なくなり、その結果として
フランジ部に範囲e2−e3にわたって厚み偏差Δtが
生じる。したがって、この厚み偏差Δtが許容値内にな
るように堅ロール軸芯移動量の上限値を規制する必要が
ある。
【0025】以上のように設定した範囲内で堅ロール軸
芯を圧延方向に移動させると、従来のユニバーサル圧延
では図10のようにウェブ中心偏りが発生する場合であ
っても、図4(a),(b)のようにウェブ部1aが先
行して噛込むので、ウェブ部1aの中心X1−X1とフ
ランジ部1bの中心が一致したままで、上下水平ロール
4aの間隔中心Y1−Y1にウェブ部1aが誘導され、
ウェブ中心偏りは抑制できる。また、図6(a),
(b)のようにローラーテーブル14の上面からウェブ
部1aの中心x1−x1までの距離h1がローラーテー
ブル14の上面から上下水平ロール4aの間隙中心Y1
−Y1までの距離h2と一致しているにもかかわらず、
被圧延材に上反りが発生している場合は、フランジ部1
bがウェブ部1aに対して先行して噛込み、斜線で示す
フランジ部が拘束された状態でウェブ部1aが水平ロー
ル4aに噛込むため、ウェブ部1aが下方に移動させら
れ中心偏りが発生する。このような場合でも、前記の範
囲で堅ロール軸芯位置を移動させたユニバーサル圧延機
を用いると、図5(a),(b)のようにフランジ部1
bに対してウェブ部1aが先行して噛込み、被圧延材の
上反りを矯正しつつウェブ部1aを上下水平ロールの間
隙中心Y1−Y1に誘導し、中心偏りを抑制することが
できる。なお、被圧延材の下反りが発生している場合も
同様である。
【0026】以上、上下一対の水平ロールおよび左右一
対の堅ロールを有し、堅ロールの軸芯位置を水平ロール
の軸芯位置に対して圧延方向に移動可能に設けた仕上げ
ユニバーサル圧延機の作用について述べてきたが、同様
の構造を有するユニバーサル圧延機を中間ユニバーサル
圧延機として使用すると、さらに高精度化が可能であ
る。以下ではその理由を説明する。
【0027】中間ユニバーサル圧延機と連続して設置さ
れたエッジング圧延機に偏心リング形エッジング圧延ロ
ールまたはバックアップロール型エッジング圧延ロール
を適用し、ウェブを拘束しながらフランジを幅方向に圧
下鍛錬し、中心偏りを改善する際には、図7のようにフ
ランジ先端部6aにバルジング(膨れ)ΔBが発生す
る。エッジング圧延前の段階で極端に大きな中心偏りΔ
Xがある場合には図8のように上下フランジのエッジン
グ量ΔE1,ΔE2が異なるため、上下フランジ先端部
のバルジング量ΔB1,ΔB2に差が生じる。このバル
ジング部は後工程の仕上げユニバーサル圧延機で圧下成
形され、通常このバルジング量の1〜2割がフランジ幅
拡りとなる。したがって、上下フランジ先端部のバルジ
ング量に差がある場合には上下フランジ幅に差が生じ、
結果としてウェブ中心位置がずれたことになる。このよ
うにして生じた中心偏りはパスラインずれに起因する中
心偏りに比べて小さい量であるが、さらなる高精度化を
図るためには中間ユニバーサル圧延機を堅ロールの軸芯
位置を水平ロールの軸芯位置に対して圧延方向に移動可
能な構造にし、中間ユニバーサル圧延段階での中心偏り
をも抑制することは非常に効果的である。
【0028】以上のように、本発明をフランジを有する
形材の製造プロセスに適用することにより、中間圧延工
程で改善した中心偏りを、仕上げ圧延工程で再発させず
に圧延でき、高精度なフランジを有する形材製品を作り
出すことができる。
【0029】
【実施例】ウェブ高さ600mm、フランジ幅200m
mのH形鋼の圧延時に本発明を適用した例について、従
来の圧延工程で圧延した場合と比較して、説明する。こ
こで、従来の圧延工程とは、前記の特開昭62−771
07号公報または特開昭62−77101号公報の手段
を中間ユニバーサル圧延工程のエッジャー圧延に適用
し、仕上げユニバーサル圧延では竪ロールの軸芯位置を
変更しない従来の圧延法である。
【0030】図9(a),(b)に中間ユニバーサル圧
延、エッジング圧延、仕上げユニバーサル圧延での中心
偏りの推移を示した。図9(a)は前記の従来製造プロ
セスで圧延した場合であり、図9(b)が本発明を適用
した場合である。図9(a)によると、中間ユニバーサ
ル圧延前(U0)にかなり大きな中心偏りがあり、その
中心偏りが中間ユニバーサル圧延1パス目(U1)でさ
らに大きくなっても、エッジング圧延1パス目(E1)
で大幅に改善される。その後中間ユニバーサル圧延、エ
ッジング圧延を繰り返すと、中間ユニバーサル圧延の各
パスで中心偏りを大きくするが、各エッジングパスにて
中心偏りは抑制され、エッジング圧延最終パス(E6)
では中心偏りは許容値内まで改善される。しかしなが
ら、仕上げユニバーサル圧延(F)で再び中心偏りが発
生し、最終製品では所望の精度は得られなかった。
【0031】また、中間ユニバーサル圧延機および仕上
げユニバーサル圧延機を堅ロール軸芯移動式にしたのみ
でも、中間ユニバーサル圧延前(U0)の偏りが製品に
そのまま残存し、所望の精度は得られなかった。
【0032】これに対して、本発明を適用した図9
(b)の場合には、中間ユニバーサル圧延の各パスでの
中心偏りの悪化が低減されるとともに、仕上げユニバー
サル圧延(F)で中心偏りは再発しておらず、エッジン
グ圧延最終パス(E6)とほぼ同じ中心偏りで仕上げら
れ、許容値内の寸法精度が得られた。
【0033】なお、図9(b)のエッジング圧延時のデ
ータは、エッジング圧延ロールの過負荷防止のために、
完全ウェブ拘束とせずS=1mmで設定した。
【0034】
【発明の効果】本発明をフランジを有する形材の製造プ
ロセスに適用することにより、中間圧延工程で改善した
中心偏りを、仕上げ圧延工程で再発させずに圧延でき、
従来圧延法では実現できなかった高精度なフランジを有
する形材製品を全長にわたって安定して製造することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b)は、本発明によるH形鋼の圧延
方法の概略図
【図2】本発明の仕上げユニバーサル圧延状態を示す
図、 (a)は、水平ロールと堅ロールへの被圧延材の噛込み
状態を示す平面略図 (b)は、(a)の堅ロール軸芯線c1 における断面略
【図3】(a),(b)は、本発明の実施態様を説明す
る平面および断面略図
【図4】(a),(b)は、被圧延材ウェブ厚中心位置
と上下水平ロール隙の中心位置が一致していない場合の
本発明の実施態様を説明する平面および断面略図
【図5】(a),(b)は、被圧延材の先端部が上に反
った状態での本発明の実施態様を説明する平面および断
面略図
【図6】(a),(b)は、従来法における被圧延材の
先端部が上に反った状態での圧延状態を示す平面および
断面略図
【図7】エッジング圧延後のフランジ先端部バルジング
の発生状況の説明図
【図8】中心偏りがある被圧延材をエッジングした際の
フランジ先端部バルジングの発生状況の説明図
【図9】(a),(b)は、従来法と本発明との中心偏
りの推移を比較した本発明の効果の説明図
【図10】(a),(b)は、従来のH形鋼のユニバー
サル圧延状態を示す平面および側面略図
【図11】(a),(b)は、偏心リング型エッジング
圧延ロールの説明図
【図12】(a),(b)は、偏心リング型エッジング
圧延ロールの作用説明図
【図13】(a),(b)は、バックアップロール型エ
ッジング圧延ロールの説明図
【図14】(a),(b)は、バックアップロール型エ
ッジング圧延ロールの作用説明図
【図15】孔型ロール法による不良エッジング圧延状況
の説明図
【図16】孔型ロール法による不良エッジング圧延状況
の説明図
【図17】エッジング圧延が不良な場合に発生する中心
偏りの説明図
【図18】初期パスのエッジング圧延状態の概念図
【図19】後期パスのエッジング圧延状態の説明図
【図20】(a),(b)は、H形鋼を圧延する方法の
従来例の説明図
【符号の説明】
1…ブレークダウン圧延機 1a…ウェブ部 1b…フランジ部 2…中間ユニバーサ
ル圧延機 2a…上下水平ロール 2b…左右堅ロール 3…エッジング圧延機 3a…水平ロール 4…仕上ユニバーサル圧延機 4a…水平ロール 4b…堅ロール 5…鋼片 6a…フランジ先端部 14…ローラーテー
ブル 33…ウェブ拘束圧延機構を有するエッジング圧延機 44…堅ロール軸芯移動仕上げユニバーサル圧延機

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粗圧延、中間ユニバーサル圧延および仕
    上げユニバーサル圧延の各工程によってフランジを有す
    る形材を圧延するに際し、前記中間ユニバーサル圧延工
    程のエッジング圧延機にウェブ拘束圧延機構を有するフ
    ランジエッジング圧延ロールを用いて圧延する方法にお
    いて、仕上げユニバーサル圧延工程のユニバーサル圧延
    機の水平ロール軸芯位置を基準として、竪ロール軸芯位
    置を、その水平ロール径、竪ロール径およびウェブとフ
    ランジの実圧下量等を条件としてウェブ噛み込み開始位
    置をフランジ噛み込み開始よりも先行して圧延可能な位
    置から、フランジ部を竪ロールと水平ロール側面とで挟
    圧可能な位置までの範囲内に設定して圧延することを特
    徴とするフランジを有する形材の高精度圧延方法。
  2. 【請求項2】 中間ユニバーサル圧延工程のユニバーサ
    ル圧延機の水平ロール軸芯位置を基準として、竪ロール
    軸芯位置を、その水平ロール径、竪ロール径およびウェ
    ブとフランジの実圧下量等を条件としてウェブ噛み込み
    開始をフランジ噛み込み開始よりも先行して圧延可能な
    位置から、フランジ部を竪ロールと水平ロール側面とで
    挟圧可能な位置までの範囲内に設定して圧延することを
    特徴とする請求項1記載のフランジを有する形材の高精
    度圧延方法。
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