JP2541328B2 - 形鋼の圧延方法 - Google Patents

形鋼の圧延方法

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JP2541328B2 JP32382489A JP32382489A JP2541328B2 JP 2541328 B2 JP2541328 B2 JP 2541328B2 JP 32382489 A JP32382489 A JP 32382489A JP 32382489 A JP32382489 A JP 32382489A JP 2541328 B2 JP2541328 B2 JP 2541328B2
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    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21BROLLING OF METAL
    • B21B1/00Metal-rolling methods or mills for making semi-finished products of solid or profiled cross-section; Sequence of operations in milling trains; Layout of rolling-mill plant, e.g. grouping of stands; Succession of passes or of sectional pass alternations
    • B21B1/08Metal-rolling methods or mills for making semi-finished products of solid or profiled cross-section; Sequence of operations in milling trains; Layout of rolling-mill plant, e.g. grouping of stands; Succession of passes or of sectional pass alternations for rolling structural sections, i.e. work of special cross-section, e.g. angle steel
    • B21B1/088H- or I-sections
    • B21B1/0886H- or I-sections using variable-width rolls

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はH形鋼、I形鋼、溝形鋼等の形鋼のウェブ高
さを圧延中に自在に調整する圧延方法に関するものであ
る。
〔従来の技術〕
現在、熱間圧延にて製造されている形鋼は、用途に応
じその品種、寸法サイズが非常に多大であるが、近年、
これらの形鋼を用いた構造物の軽量化、経済設計等の観
点から、それらの寸法サイズの種類はさらに増大する傾
向にある。かかる傾向に対して既知の従来技術で対応す
るとすれば下記問題がある。例えば、量も生産量および
寸法サイズ数の多い形鋼として、H形鋼のユニバーサル
圧延を例にとると、一般に圧延機配列は添付図面の第14
図に示すごときものでありブレークダウン圧延機BD、第
一粗エッジング圧延機RE1、第一粗ユニバーサル圧延機R
U1、第二粗ユニバーサル圧延機RU2、第二エッジング圧
延機RE2、仕上ユニバーサル圧延機FUにて、圧延され
る。この従来のユニバーサル圧延法によって得られるH
形鋼の寸法は第15図に示されるように、ウェブ高さH、
ウェブ内幅LH、フランジ厚t2はH=LH+2t2の関係とな
り、ウェブ内幅LHは冷却時の熱収縮量を無視すると、仕
上ユニバーサル圧延機の水平ロール幅(第14図中のLH
F)と同一であることから、ウェブ高さHは仕上ユニバ
ーサル圧延機の水平ロール幅とフランジ厚により決定さ
れる。このため、例えばフランジ厚の変化量に関係なく
ウェブ高さが一定のH形鋼や、逆にフランジ厚が一定で
ウェブ高さを任意の寸法にすることができるH形鋼を製
造しようとした場合、ユニバーサル圧延機の水平ロール
幅を圧延するH形鋼のサイズに合わせて準備する必要が
ある。したがって、圧延する寸法サイズ数が増大するこ
とは、ロール保有数が増加し、さらには圧延サイズが変
る毎に、その都度、そのサイズに合致したロールに組替
える必要が生じ、そのため操業度は大幅に低下する。ま
た、圧延ロールはその圧延中、被圧延材との接触により
摩耗し、第14図中のLHF等水平ロール幅が減少するため
圧延製品のウェブ高さHまたはフランジ厚t2にバラツキ
が生じる。そのため該水平ロールはある圧延サイズの圧
延に繰り返して、長期間使用することは不可能である。
これらにより、今以上の多品種、多サイズの需要家の要
求を満足させる経済的製造は不可能に近いという状況に
ある。
これらの問題を解決する方法として、従来下記のごと
き圧延方法が公知であるが、それぞれ問題点を有してい
る。
(1)特開昭59−133902号「H形鋼の熱間圧延方法」 本法の特徴は第16図に示すごとく粗ユニバーサル圧延
機とエッジング圧延機においてウェブを部分圧延するこ
とにあるが、粗ユニバーサル圧延機での未圧下部をエッ
ジング圧延機で平滑にすべく圧延すると、そのウェブ高
さは拡大される。しかるに、本法においてはエッジング
圧延機において、該圧延材のフランジ端部も同時に圧延
するため、そのフランジ端部の圧延はウェブ高さ拡大を
規制するように作用し、第17図に示すごとく、フランジ
の弯曲、さらにはウェブ高さ拡大量を規制されることに
よるウェブ座屈を生じる虞れがある。これを防止するに
は、粗ユニバーサル圧延機での1パス当たりの圧下量を
小さくし、ウェブ中央の突起を小さくする必要がある
が、その場合圧延パス回数が増加し生産性が低下すると
いう問題がある。
(2)特開昭59−178101号「ウェブ高さ調整可能なH形
鋼の圧延方法」 本法はロールの溝を用いてウェブに突起を形成した
後、その突起の圧下によりウェブ高さを拡大し、かつ竪
ロールもしくはカリバー側壁にて、その高さを規制する
ものであるが、本法によれば、そのウェブ突起部の体積
を調整することが困難であり、したがって、突起の圧延
によりウェブ座屈を生じる虞れが高く、かつウェブ高さ
を規制するため、その座屈は助長される。ウェブ座屈が
発生しない程度の突起を形成するとすれば、その体積は
小さく、したがってウェブ高さの拡大量も小となり、本
法の効果も小さくなる。また、ウェブ突起の圧下以降は
通常のユニバーサルロールを使用することから、それは
ウェブ高さに適合した幅の水平ロールでなければなら
ず、そのロール保有数も多大なものになる。
(3)特開昭59−212101号「ウェブ高さ変更可能な圧延
方法、圧延機列」 本法は第18図に示すごとき圧延方法であるが、粗ユニ
バーサル圧延機群および仕上ユニバーサル圧延機の水平
ロールの幅が、一定の幅のためそのウェブ高さ拡大量は
大きくなく、多品種、多サイズに対応するためには、そ
のロール保有数の減少効果も少なく実用的でない。
(4)特開昭60−82201号「H形鋼の熱間圧延方法」 本法は第19図および第20図に示す圧延方法であるが、
第一粗ユニバーサル圧延機でのウェブ中央の未圧下部
を、水平ロールを三分割した第二粗ユニバーサル圧延機
で平滑になるように圧延する特徴を有している。この場
合第二粗ユニバーサル圧延機でのウェブ座屈を防止する
には該圧延機の竪ロールによるフランジの圧下を大きく
し、ウェブとフランジの延伸バランスを取る必要がある
が、第二粗ユニバーサル圧延機の水平ロールは三分割さ
れており、その厚みの薄い左右の分割ロールにてフラン
ジの圧下力を受けなければならず、したがって、そのロ
ール強度に問題がある。そのため、必然的に1パス当た
りの圧下量が少なくなり、その圧延能率が低下する。
(5)特開昭61−135403号「H形鋼の熱間圧延方法」 本法はロール軸方向の位置がパス毎に可変な分割ロー
ルを用いて粗ユニバーサル圧延機における分割ロールお
よび固定ロールによるフランジ端部および中央部の部分
圧延と該分割ロールおよび竪ロールによるフランジ圧延
とエッジング圧延機における分割ロールによるウェブ中
央部両側の未圧下部の部分圧延と該分割ロールによるフ
ランジ端部の圧延を繰り返すことを特徴とするが、本法
においてはエッジング圧延機でウェブ中央部両側の未圧
下部の圧延を行うのと同時にフランジ端部の圧延を行う
ため、フランジの弯曲ないしはウェブ座屈が発生しやす
く、その防止のため圧下スケジュールに大幅な制限が加
わることおよび粗ユニバーサル圧延機の水平ロールが三
分割されているため、そのロール強度上、フランジ部が
大圧下できない等により、その圧延能率は低下する。
(5)特開昭61−10840号および特開昭63−30362号「フ
ランジを有する形材の圧延方法」 本法は粗ユニバーサル圧延機と仕上圧延機の中間に設
置した斜行ロール方式の圧延機により被圧延材のウェブ
高さを拡大する方法であるが、本法によるウェブ高さ拡
大は、そのほとんどが、フランジ内側面に当接した斜行
ロールによりウェブを引き延ばすことにあるため、その
引き延ばし量あるいはウェブ温度によっては、ウェブの
くびれ、フランジの倒れ、およびフランジ内側面に斜行
ロールによる疵が発生する虞れがある。また形鋼はその
製品歩留り向上のため、鋼片1本当たりの延び長さを一
般的には100m以上に長くしているが、このため被圧延材
の頭部と尾部では温度差が顕著である。したがって、こ
の温度差により、ウェブ高さを均等に拡大できないこと
も考えられる。さらに、本法では圧延頭端部および尾端
部のクロップ近傍まで均一にウェブ高さが拡大されず、
その製品歩留りが低下する。また、それを防止するため
には新たに防止用装置が必要である。
(7)特開昭61−283401号「形鋼の熱間圧延方法」 本法は第21図に示すごとく、ユニバーサル圧延機の水
平ロールを分割し、ロール軸方向に互にロール幅を変更
可能に構成して形鋼のウェブ部を部分圧延し、次のエッ
ジング圧延機も分割して形鋼のウェブ部を除く、フラン
ジ部のみを圧延可能に構成して圧延し、同様にして次の
工程のユニバーサル圧延機の水平ロールにて前工程の水
平ロールによるウェブ部未圧延部を圧延する方法である
が、発明者らが同様の圧延方法を模型圧延機で実験した
ところによると上記(1),(4),(5)の公知例に
おける問題すなわちフランジの弯曲ないしウェブの座屈
は解決できるものの、ユニバーサル圧延機による未圧下
部分が被圧延材に対して左右非対称となるため圧延中に
被圧延材にねじれが生じ、圧延作業上実用的でないこと
が判明した。
(8)特開昭63−260602号「形鋼の圧延方法」 本法は、同軸線上で移動自在に2分割した上下水平ロ
ールのみで形鋼をリバース圧延し、被圧延材のウェブ内
法を順次拡幅圧延する方法であるが、ウェブを積極的に
圧延するものではなく、せいぜいフランジとウェブの付
け根部に予め成形した余肉部を圧下する程度である。し
たがって、1パス当たりのウェブ高さの拡大量は小さ
く、所要の拡大量が大なる場合には増パスとなり圧延能
率が非常に低下する。また、1パス当たりの拡大量を大
きくするためウェブを積極的に圧下すれば、二分割した
上下水平ロールの分割部においてウェブに突起ないしは
ロールマークが発生し、商品として見栄えが悪く不具合
となるが、本法ではこれを防止あるいは解決する手段が
ない。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来の方法は、前述のようにロール胴長がそれぞれの
ロールについて固定あるいは一定のため、圧延ロールを
圧延サイズに合わせて準備する必要があり、 ロール保有数が膨大である、 ロールを組み替えるため、操業度が大幅に低下する。
さらに、圧延中のロール摩耗により、 製品の寸法にバラツキを生じる、 同一サイズに同一の圧延ロールを繰り返し長期間使用
することができない、 等の問題点がある また、これらの問題点を解決する上記(1)〜(8)
の公知の方法によっても、 フランジの弯曲、ないしウェブ座屈あるいはねじれの
発生、 圧延パス回数の増加による圧延能率の低下、 被圧延材の全長に亘る均一性が確保できないことよる
製品歩留りの低下、 さらには、 一部圧延機のロール数のみ低減出来、全体としてはそ
の低減効果は少ない等の問題点がある。
本発明は上記のような問題点を解決するためになされ
たもので、ロール保有数を増大させることなく、操業度
および圧延能率を低下させることなく、また高品質、高
歩留りを確保しつつ、良好な作業性のウェブ高さが自在
に調整可能な形鋼の圧延方法を提供るすことを目的とす
る。
〔課題を解決するための手段〕
本発明によれば、上記目的は、 第一粗圧延工程にて、ブレークダウン圧延後の第一粗
ユニバーサル圧延機および第一粗エッジング圧延機によ
り、またはブレークダウン圧延後の二重式第一粗圧延機
により、またはブレークダウン圧延機のみにより、概略
製品形状に圧延された被圧延材を、次の第二粗圧延工程
で圧延する方法において、第二粗圧延工程は凸部形成工
程と平滑化工程とを有し、凸部形成工程では、ロール軸
に二個の圧延用環状スリーブを同軸かつロール軸と一体
回転可能に嵌着するとともに少なくとも一方の該環状ス
リーブをロール軸方向に移動可能に形成し、上記二個の
環状スリーブによりロール軸方向にその幅が調整可能な
カリバー部を形成せしめてなる圧延ロールを用い圧延ロ
ールの両環状ロール間の外側幅を上記被圧延材のウェブ
内幅より大きく設定することによって上下一対の該環状
スリーブで圧延される被圧延材のウェブ両端部分の減面
量の殆どをウェブ内幅拡大に転化させ、所要のウェブ高
さを得るとともに上記カリバー部にて、ウェブ中央部分
に凸部を形成させ、平滑工程では、ウェブ中央部の大部
分が平滑円柱状となっている上下一対のロールにより、
上記凸部形成工程にて形成させたウェブ凸部を上記凸部
形成工程にて環状スリーブで圧延したウェブ両端部分の
厚みと同一厚さまで圧延してウェブ全面を平滑化させる
とともに、さらにウェブ高さを拡大し所望の寸法にする
平滑化させ、上記凸部形成工程と平滑化工程とを1回な
いし数回繰り返して行う、 ことにより達成される。
〔作用〕
上述のごとくの本発明では、第二粗圧延工程におい
て、凸部形成工程にて二つの環状スリーブの外幅を被圧
延材のウェブ内幅より広く設定し圧延することにより積
極的にウェブ高さを拡大し、さらに該環状スリーブ間に
ウェブ凸部を形成し平滑化工程でこれを平滑化させてウ
ェブ高さをさらに拡大する。
この二つの工程を適宜繰り返すことによって所定のウ
ェブ高さが得られる。
〔実施例〕
以下、添付図面の第1図ないし第13図にもとづき本発
明の実施例を説明する。
〈第一実施例〉 第1図は、H形鋼に対して本発明を適用した第一実施
例を示す図である。
第1図における工程(a)は通常の第一粗ユニバーサ
ル圧延機および第一粗エッジング圧延機、または二重式
第一粗圧延機で概略製品形状に圧延された被圧延材1aも
しくは通常の第二粗ユニバーサル圧延機および第二エッ
ジング圧延機にて数パス圧延された概略製品形状の被圧
延材1aを示している。この被圧延材は通常の圧延機で圧
延されるため同一のロールを使用した場合はそのウェブ
内幅LHAは一定であり、またウェブ中央部の厚さTca(ウ
ェブ中央部の厚さTcについての工程(a)における値を
示し、工程(b),工程(c),工程(d)ではそれぞ
れTcb,Tcc,Tcdのごとく示す。以下、ウェブ端部での厚
さTe、フランジの厚さTfについても同様に示す。)、お
よびウェブ両端部の厚さTeaも等しい。ただし、このウ
ェブ厚さ(Tca,Tea)は、次工程(b)のウェブ高さ拡
大に適合する肉量をもつよう圧下調整されている。また
フランジ厚さTfaは仕上圧延完了時のフランジ厚(第1
図工程(d)におけるTfd)より若干厚く圧延される。
次に上記被圧延材1aを第1図工程(b)の二点鎖線で
示すロール軸(図示せず)に2個の圧延用環状スリーブ
2bを同軸かつロール軸と一体回転可能に嵌着するととも
に少なくとも一方の該環状スリーブをロール軸方向に移
動可能に形成した上下一対の圧延ロールで圧延する(第
1図工程(b))。この場合の該圧延用環状スリーブ間
の外側幅LHBとウェブ両端部の厚さTebは下記のような関
係をもって設定される。
LHB=α{(LHA−l)(Tea−Teb)+l(Tca−Tcb)}
/ Teb+LHA ここにlは該環状スリーブを外側幅LHBに設定するため
に形成されるウェブ中央部のカリバー部の幅である。ま
たαは係数であり、本圧延におけるウェブ減面量がどの
程度の割合でウェブ高さに転化するかを表すものであ
る。LHA=LHBとした場合αは0.4前後となり、ウェブ減
面量の大半が長さ方法(圧延方向)に延び、そのためウ
ェブに座屈が生じる。したがって、その防止のためにも
αの値は極力1に近いほうが良く、0.9以上が良好であ
る。またウェブ両端部の厚さTeb、すなわち本圧延にお
けるウェブ圧下率は本圧延における被圧延材の圧延限界
等を考慮して決定される。このような圧延を行うことに
よりウェブ減面量は、そのほとんどがウェブ高さ拡大に
転化されウェブ座屈も発生せずかつフランジも長さ方向
へ引張られないため、そのフランジ幅およびその厚さTf
bもほとんど変化せずTfa(第1図工程(a))にほぼ等
しく、所望のウェブ高さLHBに制御される。カリバー部
にて形成されるウェブ中央部の凸部の厚さTcbは、その
両端の圧下率にもよるが、前段のウェブ厚さTcaとほと
んど変わらない。
また、図中の破線は圧延前すなわち第1図工程(a)
の状態を示している。
第1図工程(c)は第1図工程(b)にて圧延された
被圧延材1aのウェブ中央部分の凸部を圧延する状況を示
す。図中二点鎖線で示すウェブ中央部の大部分で平滑円
柱状となっている上下一対のロール2cにより前段のカリ
バー部で形成されたウェブ中央部分の厚さTcbなる凸部
を、その両端の厚さTebと等しい厚さTccまで圧下し、ウ
ェブ全面の平滑化を図る。したがって、本圧延における
ウェブ厚さTcc、およびTecは前段のウェブ両端部分の厚
さTebと等しい。またウェブ中央部分の厚さTcbとなる凸
部を厚さTccまで圧延すると被圧延材1cのウェブ内幅LHC
は次式のようになる。
LHC=βl(Tcb−Tcc)/Tcc+LHB ここにβは係数であり、本圧延工程(c)における凸部
の減面量がどの程度の割合でウェブ高さの拡大に転化す
るかを表すものである。この値はカリバー幅lおよびTc
b−Tccすなわち凸部高さ、換言すれば凸部の圧下率に大
きく影響され、0に近い値から1に近い値まで示すが、
一般的には、lの小さい程、かつTcb−Tccの小さい程、
βは大きな値を示す。したがって適当なカリバー幅lお
よび凸部高さTcb−Tccとすれば必然的にそのウェブ高さ
拡大は絶対量は小さくなるが第1図工程(c)に示すよ
うに、前段の被圧延材のウェブ内幅LHBより幅の狭いロ
ールであっても、圧延中ウェブ座屈は発生しない。しか
し、lを大きくかつTcb−Tccを大きくし、ウェブ高さの
拡大量を大きくするようにするならば、前段第1図工程
(b)と同じくウェブ座屈が問題となる。その場合は第
2図に示すような前段第1図工程(b)で使用した圧延
ロールと同様な構造すなわちロール軸3cにウェブ中央部
分の凸部を圧延できかつ被圧延材の片側のフランジ内側
面に接触できる幅をもつ環状スリープ2c1および反対側
のフランジ内側面に接触する環状スリーブ2c2をロール
軸3cに同軸かつロール軸3cと一体回転可能に嵌着すると
ともに少なくとも一方の該環状スリーブをロール軸方向
に移動可能な形状とした上下一対の圧延ロールを使用
し、ウェブ座屈を発生させない適当なβの値を選択し、
該環状スリーブの外側幅LHCに設定すればよい。また第
1図工程(c)中の破線は、圧延前すなわち第1図工程
(b)の状態を示している。上記第1図工程(b)およ
び第1図工程(c)の圧延を、必要なウェブ高さの拡大
量に応じてそれぞれ1回ないしは複数回繰り返した後、
第1図工程(e)に示す仕上圧延を行う。図中二点鎖線
で示す2d1は上記環状スリーブをもつ圧延ロールと同様
に2個の圧延用環状スリーブであり、該環状スリーブ2d
1はロール軸(図示せず)に同軸かつ、ロール軸と一体
回転可能に嵌着するとともに少なくとも一方の該環状ス
リーブをロール軸方向に移動可能に形状した圧延用水平
ロールである。また2d2は左右の一対の竪ロールを示
す。上記第1図工程(c)までの工程を完了した被圧延
材1cのウェブ高さは仕上圧延後のウェブ厚さと等しい厚
さ、すなわちTec=Tcc=Ted=Tcdとなっている。これは
仕上圧延機の水平ロールで圧延すると該環状スリーブ2d
1間の隙間(第1図工程(b)ではカリバー部)におい
て仕上がり製品のウェブ中央に凸部ないしは圧延マーク
が形成され、商品としては非常に見栄えの悪いものとな
り、これを防止するためである。また、被圧延材1cのフ
ランジは一般的には3°〜10°程度の角度が付いてい
る。これは前段の通常のユニバーサル圧延機のロール損
耗量の低減および第1図工程(b)における被圧延材1a
の咬込みを良好にすべくつけられているものであるが、
仕上圧延においては、通常圧延と同様にこの角度を環状
スリーブ2d1と竪ロール2d2間で圧延し、概略0°にしフ
ランジを直立させるとともに、フランジ仕上り厚さTfd
にする。また該環状スリーブ間の外側幅LHDは前段の被
圧延材のウェブ内幅LHCとほぼ同一でも良いが、特公昭5
7−4402号「ユニバーサルミルによるH形鋼の圧延方
法」で公知の第3図に示すような余肉部を仕上圧延前す
なわち第1図工程(a),工程(b),工程(c)で形
成させれば、仕上圧延においても更にウェブ高さの拡大
が可能となるためLHDはLHCより大きく設定することがで
きる。
以上は本発明による圧延方法をH形鋼に適用してウェ
ブ高さを拡大することにより自在に調整することを説明
したが、他の形鋼への適用も可能であり、第4図は溝形
鋼への適用例、第5図は鋼矢板への適用例、および第6
図は不等辺不等厚山形鋼への適用例をその工程順に示し
たものである。このように本発明はウェブを有する形鋼
に対して、若干の孔型の変更を実施すれば適用可能とな
るものである。
また、本発明の圧延方法は圧延頭端から尾端までクロ
ップを含むウェブを圧延することに特徴を有するもので
あるので、そのウェブ高さ拡大量は被圧延材全長に亘り
均一であるという利点を有する。
以上より前述の問題点が解決でき、ウェブ高さが自在
な形鋼が良好に圧延可能となる。
〈第二実施例〉 本発明の第二実施例をH形鋼を例に取り説明する。
第7図は、第14図に示す第二粗圧延機群の第二エッジ
ング圧延機後面に本発明の圧延法を適用する実施例であ
る。第7図のRU2は通常の第二粗ユニバーサル圧延機、R
E2は通常のエッジング圧延機を示す。またB1,B2,………
は第1図工程(b)に示す圧延を行う圧延機、C1,C2,…
……は第1図工程(c)に示す圧延を行う圧延機であ
る。本実施例においては、まず通常の第二粗ユニバーサ
ル圧延機RU2および第二エッジング圧延機RE2において被
圧延材をリバース圧延し、第1図工程(a)に示す所定
の寸法の被圧延材1aに近づけて行く。このときには第二
エッジング圧延機RE2の後面に配置した圧延機B1,B2,…
……、そしてC1,C2,………では圧延を行わずダミーパス
とする。そして通常の第二粗ユニバーサル圧延機および
第二エッジング圧延機における圧延により、被圧延材が
所定の寸法1aとなった時点でB1,B2,………、C1,C2,……
…を所定のロール隙に設定して、RU2,RE2,B1,C1,B2,C
2,………と連続圧延を行いウェブ高さを拡大する。本実
施例においてはウェブ高さの必要拡大量に応じて圧延機
B1,C1の2台の組合せ、圧延機B1,C1,B2,C2,………と複
数台の組合せと適宜選択可能である。本実施例の欠点と
して圧延機台数の増加があるが、圧延機B1,B2,………お
よびC1,C2,………によるウェブの圧下が分割されること
により、その圧延反力が小さくなり、したがって圧延機
が非常にコンパクトになること、および第8図に示す圧
延用環状スリーブの外側幅LHBの調整代を大きく取るこ
とにより実際には圧延機B1,C1の2台で十分であり、最
大でもB1,C1,B2,C2の4台あれば、現状保有している通
常圧延機のロールとの組合せでほぼ完全にウェブ高さの
調整が自在となることから、設備費用も多大とはならな
い。また、本実施例の利点としてはウェブ高さ拡大の工
程が通常の第二粗ユニバーサル圧延機及び第二エッジン
グ圧延機での最終パスと連続して行うことができるた
め、その圧延能率は従来のH形鋼と変わらないこと、ま
た従来のH形鋼に対して施した種々の改善策、すなわち
歩留り向上対策、圧延能率向上対策等が、そのまま適用
できることがある。さらに、第8図に示す環状スリーブ
ロールの外側幅LHBは、圧延するサイズ毎に一定であ
り、パス毎にその幅を調整可能とする複雑な機構は不必
要となる。
第9図は本実施例で使用する圧延機C1,C2,………のロ
ール構成、第10図は仕上ユニバーサル圧延機のロール構
成を示す。仕上ユニバーサル圧延機の水平ロールについ
ても、そのスリーブ外側幅LHDはサイズ毎に一定であ
る。
〈第三実施例〉 第11図は第14図に示す第二エッジング圧延機後面に第
1図工程(b)に示す圧延を行う圧延機B1を1台のみ設
置した本発明の適用例である。圧延機B1のロール構成は
第8図に示すようになっており、その圧延用環状スリー
ブの外側幅LHBはパス毎に調整可能となっている。本実
施例はまず通常の第二粗ユニバーサル圧延機RU2と第二
エッジング圧延機RE2により第1図工程(a)に示す所
定の寸法の被圧延材1aになるまでリバース圧延される。
この時圧延機B1では圧延を行わずダミーパスとする。被
圧延材が所定の寸法1aとなった時点で、圧延機B1を所定
のロール隙および環状スリーブの外側幅LHCに設定す
る。さらに、通常の第二粗ユニバーサル圧延機の竪ロー
ルをフランジを圧下しないように竪ロールと水平ロール
間の設定を広くし、該水平ロールを第1図工程(c)に
示すウェブ中央部分の凸部を圧下する圧延に使用する。
尚、この時には第二エッジングロールのロール隙も広く
し、フランジ基部の圧延は実施しない。この状態で第1
図工程(b),工程(c)に示す圧延を1パス行い、次
に圧延機B1の環状スリーブの外側幅LHCを1パス目より
広く設定し、同様に2パス目の圧延を行う。この圧延を
順次繰り返しウェブ高さの拡大を行い、所定のウェブ高
さになったら第10図に示す仕上ユニバーサル圧延機で仕
上圧延を行う。仕上ユニバーサル圧延機の水平ロールの
環状スリーブ外側幅LHDは本実施例についてもサイズ毎
に一定である。本実施例の利点は通常第二粗圧延機群に
付加して圧延機B1が1台でよく設備費用が小さくなるこ
とである。また第二実施例と同様に従来のH形鋼に対し
て施した種々の改善策が、そのまま適用できることも挙
げられる。欠点としては圧延機B1の圧延用環状スリーブ
の外側幅LHBをパス毎に調整可能とする必要があり、そ
の機構が複雑になること、およびウェブ高さを拡大する
ための第1図工程(b),工程(c)の圧延が第二粗ユ
ニバーサル圧延機を含めたリバース圧延となることでの
圧延能率低下がある。しかしながら圧延能率低下につい
ては前述第二実施例の場合と同様にほとんどの場合1パ
ス(第11図においては最終パスがダミーパスとなり結果
的には2パスとなる)でよく、最大でもダミーパスを含
めて4パスの増加で済む。さらに本実例において、圧延
能率を改善しようとすれば、第12図に示すように圧延機
B1のロール構成を第8図のロール構成の左右に一対の竪
ロール2b1を設置したユニバーサル圧延機とすれば良
い。この場合、所定の寸法の被圧延材1aに圧延する場合
は若干ウェブ座屈防止のめたの圧下スケジュールの制限
は加わるが、RU2,RE2,B1の3台圧延機にて、あたかも
ユニバーサル圧延、エッジング圧延、ユニバーサル圧延
のタンデム圧延と同様の圧延を実施すれば、ウェブ高さ
の拡大工程の圧延パス増と、そのタンデム圧延のパス減
の効果が相殺され、ほぼ通常のH形鋼の圧延能率と等し
くなる。
また、第13図に示す圧延機配列、すなわち第2粗ユニ
バーサル圧延機のロール構成を第12図のようにし、圧延
機C1のロール構成は第9図のようにするものであるが、
本圧延機配列はウェブ座屈の問題よりパススケジュール
に大幅な制限が加わり、圧延能率が大幅に低下すること
から実用的ではない。
〈試験例〉 前述の第二実施例および第三実施例2におけるウェブ
高さの拡大効果はきわめて等しい値を示し、かつ双方と
もウェブ座屈も発生せず良好な圧延であった。表1に第
1図の圧延工程(a),工程(b),工程(c),工程
(d)でそれぞれ1パス毎圧延した結果を示す。圧延ロ
ールは圧延工程(a)においては通常のH形鋼500×200
用を使用し、圧延工程(b),工程(c),工程(d)
については本発明に適用するロールを使用した。
また、フランジとウェブの遷移部には第3図に示す余
肉部を形成させた。なお、表1の被圧延材寸法は、圧延
工程(a),工程(b),工程(c),工程(d)の各
圧延完了材よりサンプル採取をしたものの、冷間での測
定値である。
〔発明の効果〕 以上のようにこの発明によれば、形鋼のウェブ両端部
の圧延において、その減面量をロール幅との組合せによ
り、そのほとんどをウェブ高さ拡大に転化できることか
つその際形成されるウェブ中央部分の凸部を次圧延工程
で平滑にし、かつその場合にもウェブ高さ拡大ができる
こと、さらに仕上圧延においてもウェブ高さ拡大効果が
あることにより、そのウェブ高さ拡大効果が大なる圧延
方法であることから、 少ないパス回数でウェブ高さが自在に調整可能であ
り、したがって、圧延能率が高い、 ウェブ高さ拡大効果が大きいためウェブ高さの異なる
種々サイズに対しても圧延ロールの共用が可能であり、
したがって、サイズ増大に対してロール保有数を増加さ
せる必要がなく、付加すべき圧延装置も通常よりは安価
である、 ウェブ座屈等の製品不具合の虞れがなく、また被圧延
材の全長に亘る寸法制御精度が高い。
したがって、高品質かつ高歩留りの製造ができる、 等の効果を得る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の圧延方法を示す第一実施例であるH形
鋼の各工程でのウェブ高さを示す断面図、第2図は第一
実施例で使用する、H形鋼のウェブ中央部分の凸部を圧
延するための圧延ロール構成の一例を示す断面図、第3
図は第一実施例での仕上げ圧延におけるウェブ高さ拡大
効果を得るため、従来技術を利用した仕上圧延前の被圧
延材の余肉部形成状況を示す断面図、第4,5,6図は第一
実施例でH形鋼以外への適用を示す各工程におけるロー
ル及び形鋼の断面図であり、第4図は溝形鋼への適用
例、第5図は鋼矢板への適用例、第6図は不等辺不等厚
山形鋼への適用例、第7図は本発明の圧延方法を具体化
するための圧延機構成の第二実施例での各工程のロール
を示す平面図、第8図は第二実施例でH形鋼に適用した
ウェブ両端部を圧延するための圧延機のロール構成を示
す断面図、第9図は第二実施例でH形鋼に適用したウェ
ブ中央部分の凸部を圧延するための圧延機のロール構成
を示す断面図、第10図は第二実施例でH形鋼に適用した
仕上圧延機のロール構成を示す断面図、第11図は第三実
施例での圧延方法を具体化するための圧延機構成を示す
平面図、第12図は第三実施例でH形鋼に適用したウェブ
両端部を圧延するための圧延機のロール構成を示す断面
図、第13図は第三実施例において実用的でない場合を示
す圧延機構成の平面図、第14図は従来のH形鋼の圧延プ
ロセスと各圧延機の圧延ロール構成と、被圧延材の形状
を示す断面図、第15図は製品の寸法関係を示す断面図、
第16,18,19,20,21図はウェブ高さを調整するための各種
従来方法でのそれぞれの工程における形鋼を示す断面
図、第17図は従来法を適用した場合に発生する虞れのあ
る不具合をもつ形鋼の一例の断面図である。 1,1a,1b,1c,1d……被圧延材 2b,2c1,2c2,2d1……圧延用環状スリーブ 2c……平滑円柱状の圧延ロール 2d1,2d2……竪ロール 3b,3c,3d……ロール軸 BD……ブレークダウン圧延機 R1……第一粗圧延機群 R2……第二粗圧延機群 F……仕上圧延機 RE1……第一粗エッジング圧延機 RU1……第一粗ユニバーサル圧延機 RU2……第二粗ユニバーサル圧延機 RE2……第二エッジング圧延機 FU……仕上ユニバーサル圧延機 B1,B2……H形鋼のウェブ両端部を圧延する圧延機 C1,C2……H形鋼のウェブ中央部分の凸部を圧延する圧
延機 Tea,Teb,Tec,Ted……ウェブ両端部の厚さ Tca,Tcb,Tcc,Tcd……ウェブ中央部分の厚さ Tfa,Tfb,Tfc,Tfd……フランジの厚さ LHA,LHB,LHC,LHD……ウェブ内幅寸法およびロール外幅
寸法 a,b……余肉を示す値
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永橋 新一 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 有泉 孝 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 古川 遵 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−178101(JP,A) 特開 昭59−133902(JP,A) 特開 昭61−283401(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第一粗圧延工程にて、ブレークダウン圧延
    後の第一粗ユニバーサル圧延機および第一粗エッジング
    圧延機により、またはブレークダウン圧延後の二重式第
    一粗圧延機により、またはブレークダウン圧延機のみに
    より、概略製品形状に圧延された被圧延材を、次の第二
    粗圧延工程で圧延する方法において、第二粗圧延工程は
    凸部形成工程と平滑化工程とを有し、凸部形成工程で
    は、ロール軸に二個の圧延用環状スリーブを同軸かつロ
    ール軸と一体回転可能に嵌着するとともに少なくとも一
    方の該環状スリーブをロール軸方向に移動可能に形成
    し、上記二個の環状スリーブによりロール軸方向にその
    幅が調整可能なカリバー部を形成せしめてなる圧延ロー
    ルを用い圧延ロールの両環状ロール間の外側幅を上記被
    圧延材のウェブ内幅より大きく設定することによって上
    下一対の該環状スリーブで圧延される被圧延材のウェブ
    両端部分の減面量の殆どをウェブ内幅拡大に転化させ、
    所要のウェブ高さを得るとともに上記カリバー部にて、
    ウェブ中央部分に凸部を形成させ、平滑化工程では、少
    なくともウェブ中央部の大部分が平滑円柱状となってい
    る上下一対のロールにより、上記凸部形成工程にて形成
    させたウェブ凸部を上記凸部形成工程にて環状スリーブ
    で圧延したウェブ両端部分の厚みと同一厚さまで圧延し
    てウェブ全面を平滑化させるとともに、さらにウェブ高
    さを拡大し所望の寸法にする平滑化させ、上記凸部形成
    工程と平滑化工程とを、1回ないし数回繰り返して行
    う、 ことを特徴とする形鋼の圧延方法。
  2. 【請求項2】ロール軸に2個の圧延用環状スリーブを同
    軸かつロール軸と一体回転可能に嵌着するとともに少な
    くとも一方の該環状スリーブをロール軸方向に移動可能
    に形成した水平ロールを有する仕上ユニバーサル圧延機
    で、請求項(1)の凸部形成工程および平滑化工程にて
    圧延された被圧延材のウェブ内幅に適合するように水平
    ロールの両環状スリーブ間の外側幅を調整設定して、仕
    上圧延を行うこととする請求項(1)記載の形鋼の圧延
    方法。
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