JP2503103B2 - 感光性ポリイミド用現像液 - Google Patents

感光性ポリイミド用現像液

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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、電子材料として有用な感光性ポリイミド組
成物の現像液に関する。
[従来の技術] 従来感光性ポリイミド組成物の現像液としては、N−
メチルピロリドンなどの双極性非プロトン性極性溶剤50
〜80重量部に、貧溶媒としてメタノールなどの低級アル
コール20〜50重量部を加えたものが主に使用されてい
た。しかしこのような現像液は、半導体製造プロセスで
一般的に行われているスプレー現像やパドル現像を行う
場合、現像液の低級アルコール成分が蒸散するために現
像時に、現像液の温度が低下するために現像時間が長く
なるなどの欠点があった。
このために、現像液に加える貧溶媒としてキシレンの
ような芳香族炭化水素を加えることが検討されている
が、このようなものを加えた場合、スプレー現像やパド
ル現像時の現像液の温度の低下は少ないものの、ポリイ
ミド皮膜を形成後、現像までに長時間例えば生産ライン
停止などにより1〜2日間放置した後、現像するような
場合、しばしば皮膜にクラックが生じるという欠点を有
していた。
一方、このようなクラックを防止するため、非プロト
ン性極性溶剤と10重量%以上50重量%以下の水からなる
現像液を使用することが提案されている(特開昭58−66
940号公報)。
しかしながら,この発明による現像液の場合、現像ム
ラの原因となる現像液の温度低下や液温ムラが比較的発
生しやすいためスプレー現像やパドル現像が採用でき
ず、浸漬現像方式によらざるを得ないという欠点があ
る。
[発明が解決しようとする課題] 本発明はかかる従来技術の諸欠点に鑑み創案されたも
ので、その目的とするところは、現像液の温度低下や液
温ムラがなく、スプレー現像やパドル現像を現像ムラな
どを生ずることなく良好に安定して行うことができると
ともにポリイミド皮膜を形成後現像までに長時間放置し
た場合にもクラックの発生のない感光性ポリイミド用現
像液を提供することにある。
[課題を解決するための手段] かかる本発明の目的は以下の構成により達成される。
1 下記(a)、(b)および(c)成分を含有するこ
とを特徴とする感光性ポリイミド用現像液。
(a)双極性非プロトン性極性溶剤 60〜80重量% (b)沸点100〜200℃の芳香族炭化水素 10〜30重量% (c)水 8重量%以上10重量%未満 2 (b)成分の沸点100〜200℃の芳香族炭化水素がキ
シレンであることを特徴とする前記1記載の感光性ポリ
イミド用現像液。
3 下記(a)、(b)および(c)成分を含有する感
光性ポリイミド用現像液を用いてスプレー現像またはパ
ドル現像により感光性ポリイミドを現像する方法。
(a)双極性非プロトン性極性溶剤 60〜80重量% (b)沸点100〜200℃の芳香族炭化水素 10〜30重量% (c)水 8重量%以上10重量%未満 4 (b)成分の沸点100〜200℃の芳香族炭化水素がキ
シレンであることを特徴とする前記3記載の感光性ポリ
イミドの現像方法。
本発明において使用される双極性非プロトン性極性溶
剤としてはN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセ
トアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラ
クトン、スルホラン、N,N−ジエチルホルムアミドなど
が挙げられるが、これ以外のものでももちろん使用でき
る。
双極性非プロトン性極性溶剤の配合量は現像液総重量
に対して60〜80重量%である必要があり、さらに好まし
くは、63〜76重量%である。この範囲を外れた場合、現
像液の組成物が相溶せず、透明な現像液が得られなかっ
たり、現像性が低下するなどの問題が生じるので注意を
要する。
本発明において使用される芳香族炭化水素としては、
感光性ポリイミドの現像中に適度な速度で蒸発して、現
像時の温度の変化を押さえる効果を有するものが好まし
く、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベン
ゼンなどの単一成分からなるものや、ソルベントナフサ
のような、沸点がある温度範囲にあるものなどが挙げら
れる。芳香族炭化水素の好ましい沸点範囲としては、10
0〜200℃の範囲であることが好ましく、さらに好ましく
は130〜170℃の範囲である。この範囲を外れると現像液
の現像時の温度の制御を行う能力が弱くなるので注意を
有する。このような成分は単独で使用しても良いが2種
以上混合して使用することもできる。
本発明において特に好ましい芳香族炭化水素としては
キシレンが挙げられる。
芳香族炭化水素の配合量は、現像液総重量に対して10
〜30重量%の範囲であることが必要であり、さらに好ま
しくは13〜28重量%である。この範囲より外れた場合、
現像液が相溶しなくなったり、感光性ポリイミドを現像
する際にクラックが入り易くなるなどの恐れがあるため
に注意を要する。
本発明に係る現像液は、上述のように特定量の双極性
非プロトン性極性溶媒と特定量の芳香族炭化水素からな
る現像液成分中にさらに現像液総重量に対して8重量%
以上10重量%未満の範囲の水を添加することが重要であ
る。水の配合量が、現像液総重量に対して8重量%より
少ない場合はクラックを抑制する能力が減少するため好
ましくなく、また10重量%以上の場合には現像液成分が
均一に溶解しないため、使用することができない。
なお、本発明の現像液に添加される水としては、感光
性ポリイミドが使用される半導体分野の要求から、イオ
ン交換水や蒸留水のごとき純水であることが好ましい。
本発明において使用される感光性ポリイミドとして
は、テトラカルボン酸とジアミンを組み合わせて双極性
非プロトン性極性溶剤中で一般的に製造されるポリイミ
ド前駆体のワニスにメタクリル基などの感光基を有して
いるアミノ化合物を混合したもの(例えば特公昭59−52
822号公報)、光により2量化または重合可能な基をエ
ステル結合で導入したもの(例えば米国特許第3957512
号明細書)、N−メチロ−ルアクリルアミド化合物をポ
リイミド前駆体のワニスに混合したもの(例えば高分子
学会予稿集p807、1990年)、あるいはアクリルモノマー
をポリイミド前駆体のワニスに混合したもの(例えば特
開平2−50161号公報)などが挙げられる。
次に本発明の現像液を用いての感光性ポリイミドの現
像方法について説明をする。
まず、感光性ポリイミドのワニスをシリコンウエハー
などの上にスピンコートなどの手法で塗布を行い、ホッ
トプレート上やオーブン中で溶剤を飛散させる。その
後、所定量の露光を行った後に、スピンナの上に該ウエ
ハーを固定して、毎分100回転から3000回転で回転を行
いながら、現像液をスプレーで噴霧する(スプレー現
像)。または、スピンナ上のウエハー上に現像液を盛
り、静置して現像を行う(パドル現像)。その他現像方
式としては、現像液の槽にウエハーを浸漬する浸漬現像
や浸漬現像で超音波を照射するなどの方式があるがどの
様な方式でも現像を行うことができる。しかし、本発明
の現像液の特徴よりスプレー現像やパドル現像を行うの
が好ましい。
この後、アルコール類や酢酸エステル類などを用いて
リンスを行い、所定のパターンを得る。
出来上がったものはオーブンあるいはホットプレート
で、100〜450℃程度の熱処理を行いポリイミドに変換す
ることで最終的な製品が得られる。
[実施例] 以下、実施例に基いて本発明を具体的に説明するが、
本発明はこれらに限定されない。
実施例1 感光性ポリイミドのワニスとして東レ(株)製UR−31
40を用いて、4インチのシリコンウエハ−上に、1500回
転で30秒間スピンコートを行った。その後80℃で1時間
の乾燥を行った後に、キャノン(株)製コンタクトアラ
イナーPLA−501を用いて365nmの波長で200mJの露光を行
った。
この試料をN−メチルピロリドン65重量%とキシレン
27重量%と水8重量%とからなる現像液を用いて東京エ
レクトロン(株)製クリーントラックを用いてパドル現
像を行った。
現像条件としては、現像液を3秒間シリコンウエハー
に100回転で塗布し、その後、5分間静置して現像を行
い、イソプロパノールを500回転でスプレーしてリンス
を行った。
現像の間、23℃のクリーンルーム中でウエハーの中心
部の温度は22.0℃、周辺部の温度は21.9℃であった。
現像の結果を光学顕微鏡で観察すると中央部から周辺
部まで一様な解像をしていた。
比較例1 現像液としてN−メチルピロリドン70重量%とメタノ
ール30重量%とからなる現像液を用いた以外は、実施例
1と同様にしてポリイミド皮膜の形成、露光、現像およ
びリンスを行った。
現像の間、23℃のクリーンルーム中でウエハーの中心
部の温度は19.6℃、周辺部の温度は17.3℃であった。
現像の結果を光学顕微鏡で観察すると中央部は良好な
解像をしていたが、周辺部は解像不足であった。
実施例2 実施例1において、露光済の試料を24時間放置した
後、80℃で15分間熱処理を行ったものについて現像を行
ったこと以外は実施例1と全く同様にしてポリイミド皮
膜の形成、露光、現像およびリンスを行った。
現像の間、23℃のクリーンルーム中でウエハーの中心
部の温度は22.0℃、周辺部の温度は21.9℃であった。
現像の結果を光学顕微鏡で観察すると中央部から周辺
部まで一様な解像をしていた。
比較例2 現像液としてN−メチルピロリドン70重量%とメタノ
ール30重量%からなる現像液を用いた以外は、実施例2
と同様にしてポリイミド皮膜の形成、露光、現像および
リンスを行った。
現像の間、23℃のクリーンルーム中でウエハーの中心
部の温度は22.0℃、周辺部の温度は21.9℃であった。
現像の結果を光学顕微鏡で観察するとスルーホールの
周辺にクラックが発生していた。
実施例3 現像液としてN−メチルピロリドン76重量%とキシレ
ン15重量%と水9重量%とからなる現像像液を用いた以
外は、実施例2と同様にしてポリイミド皮膜の形成、露
光、現像およびリンスを行った。
現像の間、23℃のクリーンルーム中でウエハーの中心
部の温度は21.8℃、周辺部の温度は21.7℃であった。
現像の結果を光学顕微鏡で観察すると中央部から周辺
部まで一様な解像をしていた。
比較例3 N−メチルピロリドン70重量部にキシレン30重量部と
水15重量部を配合した現像液を調合したところ、液が白
濁したために使用することができなかった。
[発明の効果] 本発明の現像液は上述のごとく構成したので、現像液
の温度低下や液温ムラがないため、スプレー現像やパド
ル現像を現像ムラなどを生ずることなく良好に安定して
行うことができる利点がある。また、ポリイミド皮膜を
形成後現像までに長時間放置した場合でもクラックを生
ずることがないなど顕著な実用効果を奏するものであ
る。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記(a)、(b)および(c)成分を含
    有することを特徴とする感光性ポリイミド用現像液。 (a)双極性非プロトン性極性溶剤 60〜80重量% (b)沸点100〜200℃の芳香族炭化水素 10〜30重量% (c)水 8重量%以上10重量%未満
  2. 【請求項2】(b)成分の沸点100〜200℃の芳香族炭化
    水素がキシレンであることを特徴とする請求項1記載の
    感光性ポリイミド用現像液。
  3. 【請求項3】下記(a)、(b)および(c)成分を含
    有する感光性ポリイミド用現像液を用いてスプレー現像
    またはパドル現像により感光性ポリイミドを現像する方
    法。 (a)双極性非プロトン性極性溶剤 60〜80重量% (b)沸点100〜200℃の芳香族炭化水素 10〜30重量% (c)水 8重量%以上10重量%未満
  4. 【請求項4】(b)成分の沸点100〜200℃の芳香族炭化
    水素がキシレンであることを特徴とする請求項3記載の
    感光性ポリイミドの現像方法。
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