JP2502403Y2 - 金属製魔法瓶 - Google Patents

金属製魔法瓶

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JP2502403Y2
JP2502403Y2 JP2683790U JP2683790U JP2502403Y2 JP 2502403 Y2 JP2502403 Y2 JP 2502403Y2 JP 2683790 U JP2683790 U JP 2683790U JP 2683790 U JP2683790 U JP 2683790U JP 2502403 Y2 JP2502403 Y2 JP 2502403Y2
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章司 樋田
精一 伊藤
茂 土屋
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日本酸素株式会社
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Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、排気孔を封止板等の封止用部材を用いずに
真空封止して製造される金属魔法瓶に関するものであ
る。
「従来の技術」 従来の金属製魔法瓶を、第10図に示す。この金属製魔
法瓶は、有底筒状の内瓶1と筒状の外瓶胴部2および外
瓶底部3からなる外瓶4とからなり、これら内瓶1と外
瓶4との間の空隙部5を真空排気した後、真空封止して
真空断熱層を形成してなるものである。上記外瓶胴部2
は、その縮径された口部に上記内瓶1の口部が機密に接
合される共に、この外瓶胴部2の口部と反対側の開口端
部に外瓶底部3が気密に接合されている。この外瓶底部
3の略中央部には、内瓶1側に凹んだ凹部6が形成さ
れ、さらにこの凹部6の略中央部には、排気口7が形成
されている。この排気口7には封止板8が気密に取り付
けられている。
このような従来の金属製魔法瓶は、空隙部5を上記封
止板8を用いて真空封止して真空断熱層を形成すること
により製造されるものである。以下、この封止板8を用
いた真空封止の方法について説明する。
まず、口部にて一体化された内瓶1と外瓶胴部2と
を、外瓶底部3が上向きとなるように倒立させる。次い
で、凹部6の排気口7の周部に沿って固形ろう材を適宜
な間隔をおいて配すると共に、封止板8をこのろう材上
に載置する。この状態で治具等により支持しつつ真空加
熱炉内で真空加熱処理を行い、空隙部5内を真空排気
し、ついでさらに昇温して固形ろう材を溶融させること
により、封止板8を自重により落下させて、排気口7を
真空封止し、空隙部5を真空断熱層とするものである。
「考案が解決しようとする課題」 ところが、従来の金属製魔法瓶は、このような方法に
より製造されるものであるので、排気口7周部にろう材
を適宜な間隔をもって配設し、その上に封止板8を気体
通路を形成するように載置する作業は、位置決め、配設
等の作業において自動化が困難であることから、これら
の作業は手作業により行う必要があり、手間がかかると
いう問題があった。さらに、真空封止のためだけに封止
板7を設けなければならず、製造コストの面で問題とな
っていった。
本考案は、上記事情に鑑みてなされたもので、製造時
に封止板を用いることなく低い製造コストにて確実に真
空封止を行い、さらに製造工程の自動化が可能な金属魔
法瓶の提供を目的とするものである。
「課題を解決するための手段」 本考案の金属製魔法瓶は、金属製の内瓶と金属製の外
瓶とを口部で接合し、これら内外瓶間の空隙部を真空断
熱層とした金属製魔法瓶において、上記外瓶に凹部を形
成し、この凹部に真空排気用の排気孔を形成し、該排気
孔をろう材の溶け込みで封止してなるものである。
「作用」 外瓶に設けられた小孔あるいはスリット状の排気孔を
有する凹部内もしくは凹部近傍にろう材を配した後、真
空加熱炉内で真空加熱処理を行うことにより、凹部内に
穿設された排気孔から内外瓶間の空隙部が真空排気し、
ついでろう材を溶融して凹部内に広がり排気孔を覆い、
さらに毛細管現象により排気孔内に侵入する。このよう
にして排気孔を真空封止することにより金属製魔法瓶が
製造される。
「実施例」 以下、本考案の金属製魔法瓶について図面を用いて詳
しく説明する。
(実施例1) 第1図および第2図は、本考案の第1実施例である金
属製魔法瓶における真空封止前の状態(以下、封止前魔
法瓶とする。)を示すものである。
この封止前魔法瓶は、有底円筒状の金属製の外瓶4
と、同じく有底円筒状の金属製の内瓶1とが口部で接合
されてなるもので、上記外瓶4は口部側端部近傍におい
て口部側に行くに従って徐々に縮径されてなる肩部9を
有する外瓶胴部2と、この外瓶胴部2の口部と反対側の
開口部に気密に接合された外瓶底部3とから構成される
ものである。
上記外筒底部3の略中央部には、内瓶1側に湾曲した
凹部10が設けられており、この凹部10の略中央部には小
孔よりなる排気孔11が形成されている。また、この凹部
10の周部には、ろう材12が配されている 次に、このような封止前魔法瓶を真空封止して金属製
魔法瓶を製造する工程について説明する。
上述した封止前魔法瓶を、口部を下側に向けた状態で
治具等により支持して真空加熱炉内に収納し真空加熱処
理を行う。すなわち、まずろう材の溶融点以下の温度下
で上記排気孔11を通じて空隙部5を真空排気して所定の
真空度とした後、ろう材の溶融点温度以上に昇温し、上
記ろう材12を溶融して、凹部10内に流入させる。凹部10
内に流入したろう材12は、凹部10内に溜まると共に毛細
管現象により排気孔11内に侵入し、確実に排気孔11を封
止する。このようにろう材12により排気孔11が封止され
た状態を第3図に示す。ここで、ろう材12は真空中で溶
融することから、溶融時にろう材12内に発生するガスも
排気されるため、ろう材12内に気泡(ボイド)が生じな
い。従って、ボイドの無いろう材12により封止を行うこ
とができるため、気密性の高い封止が可能となる。
上記排気孔11の小孔の口径としては、0.1mm〜2.0mmの
範囲内であることが好ましい。これは、排気孔11の径が
0.1mmより小さいと、空隙部5の排気が不十分となり好
ましくなく、また2.0mmより大きいと後述するようにろ
う材12が流動して排気孔内に流入した際に表面張力によ
り排気孔11を封止できなくなるおそれがあるためであ
る。また、上記ろう材12はバインダ中に金属ろうを混練
してペースト状にしたもので、この金属ろうとしては、
Ni、Ag,Cu、Au、Su、Al、Ti、P系等の真空中において
気化する成分の少ない金属ろうが好ましい。これらの金
属ろうは、粒状もしくは粉末状にして用いられるもので
ある。また、これらの金属ろうに加えて、金属ろうより
融点の高いステンレス鋼や炭素鋼等の金属を、粉末状あ
るいは鱗状にしてバインダ中に混練することも可能であ
る。このような金属を混練することにより、封止する排
気孔11の系を大きくすることが可能となり、排気孔11の
径が大きくなると、排気孔11を形成する際の穴明け工程
が容易となり不良数も少なく、かつ排気工程においては
短時間で排気が可能となる。
本考案において、凹部10を設ける場所は上述した外筒
底部3に限定されるものでなく、例えば後述する第3実
施例のように外瓶胴部2の肩部9や内瓶1等に設けても
良い。また、凹部10の底部は上記第1実施例のように湾
曲したものであってもよく、また平坦であるもの、傾斜
しているものなどてもよい。さらに、凹部10内に穿孔さ
れる排気孔11の形状はスリット状長孔であってもよく、
また凹部10内において排気孔11が穿孔される位置は凹部
10の略中央に限られるものでなく、周部近傍であっても
よい。
(実施例2) 次に、第4図および第5図を用いて本考案の第2実施
例を説明する。
第4図は、本考案の第2実施例における封止前魔法瓶
を示すものである。この封止前魔法瓶が上記第1実施例
と異なるところは、凹部10の形状とこの凹部10内に形成
された排気孔11の位置である。第4図および第5図に示
すように、この封止前魔法瓶の凹部10は、矩形状でその
長手方向両端部が半円状とされた形状をなすもので、そ
の底部は長手方向の一方の端部側に行くに従って深くな
るように傾斜して形成されている。排気孔11は、凹部10
のこの傾斜する底面の最深部に相当する部分に形成され
ている。また、ろう材12は上記凹部10内の排気孔11が形
成された側と長手方向反対側の端部側近傍に配されてい
る。
このような封止前魔法瓶を、第1実施例と同様にして
真空加熱炉内に収納し、真空加熱処理を行うことによ
り、本考案の第2実施例である金属製魔法瓶が製造され
る。この際、ろう材12は溶融して流動可能な状態となり
凹部10の傾斜する底面を流動した後、最深部の排気孔11
に至り、第6図に示すように排気が終了した排気孔11内
に毛細管現象により侵入し封止する。
この実施例においては、凹部11が上述した形状である
ことから、ろう材12を配する際、排気孔11を塞がないよ
うに配することが容易である。
(実施例3) 第7図および第8図は、本考案の第3実施例における
封止前魔法瓶を示すものである。
この封止前魔法瓶が上記第1実施例と異なるところ
は、凹部10が外瓶胴部2の肩部9に形成された点であ
る。この凹部10は、矩形状でその長手方向両端部が半円
状とされた形状をなすもので、長手方向が外瓶胴部2の
周方向に延びるように形成されている。この凹部10は、
底部が内瓶1側に湾曲してなるもので、その略中央部に
は排気孔11が形成されている。また、ろう材12は上記凹
部10の長手方向略中央部で、その周部からやや口部側に
寄った肩部9の外周上に配されている。
このような封止前魔法瓶を、口部を上に向けた状態で
真空加熱炉内に収納した後、真空加熱処理を行う。この
真空加熱処理において、まず所定真空度にした後、ろう
材12は溶融して流動状態になり、肩部9外周を鉛直方向
下方に流れて凹部10内に流入する。凹部10内に流入した
ろう材12は、第9図に示すように排気孔11内に毛細管現
象により侵入し、排気孔11を封止する。
この実施例においては、封止前魔法瓶に真空加熱処理
を行う際、口部を上に向けた状態で行うことができる。
従って、真空加熱炉内において、封止前魔法瓶を支持す
る支持用の治具等が不要である。
「考案の効果」 以上説明したように、本考案の金属製魔法瓶は、外瓶
にに凹部を形成し、この凹部に真空封止用の小孔あるい
はスリット状の排気孔を形成したことを特徴とする金属
製魔法瓶であるので、製造時において封止板を用いるこ
となく真空排気した内外瓶間の空隙部の真空封止を行う
ことができ、したがって封止板がずれることなく位置決
めする繁雑な作業をすることがない。また、ろう材の供
給作業も凹部内、もしくは凹部の近傍にろう材を配する
だけでよいので、製造工程の完全自動化が可能となる。
さらに、従来の封止方法では、径の大きな排気孔を封止
板で封止していたので、多量のろう材を必要としていた
が、この考案の魔法瓶においては、外瓶に形成された凹
部に、排気孔が穿設されたものであるので、真空加熱処
理時に溶融したろう材で効率良くかつ確実に排気孔を封
止することができる。従って、ろう材の使用量が少なく
てすむことから、製造コストの低減を計ることができ、
さらに確実に排気孔を封止することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第3図は本考案の第1実施例の金属製魔法
瓶を説明するためのもので、第1図はその封止前魔法瓶
を示す断面図、第2図は凹部および排気孔を示す底面
図、第3図は封止後の凹部を示す概略断面図である。第
4図ないし第6図は、本考案の第2実施例を説明するた
めのもので、第4図はその封止前魔法瓶を示す断面図、
第5図は凹部および排気孔を示す底面図、第6図は封止
後の凹部を示す概略断面図である。第7図ないし第9図
は、本考案の第3実施例を説明するためのもので、第7
図はその封止前魔法瓶を示す断面図、第8図は凹部およ
び排気孔を示す側面図、第9図は封止後の凹部を示す概
略断面図である。第10図は従来の金属製魔法瓶を示す概
略断面図である。 1……内瓶、4……外瓶、5……空隙部、10……凹部、
11……排気孔。
フロントページの続き (72)考案者 金敷 賢次 東京都港区西新橋1丁目16番7号 日本 酸素株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−286111(JP,A)

Claims (3)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属製の内瓶と金属製の外瓶とを口部で接
    合し、これら内外瓶間の空隙部を真空断熱層とした金属
    製魔法瓶において、上記外瓶に凹部を形成しこの凹部に
    真空排気用の排気孔を形成し、該排気孔をろう材の溶け
    込みで封止してなることを特徴とする金属製魔法瓶。
  2. 【請求項2】凹部の底面に傾斜を形成し、この傾斜の最
    深部に排気孔を形成したことを特徴とする請求項(1)
    記載の金属製魔法瓶。
  3. 【請求項3】凹部が、外瓶の肩部に形成されたことを特
    徴とする請求項(1)記載の金属製魔法瓶。
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