JP2501569C - - Google Patents

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JP2501569C
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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、成人T細胞白血病ウィルス〔ATLVと略称されるが、ヒトT細胞
白血病ウィルス(HTLV−1と略称される)とも称されている〕のgag遺伝 子またはその一部とATLVのenv遺伝子またはその一部とが結合した融合遺
伝子によってコードされるポリペプチドを抗原物質として用いる免疫学的方法に
より試料中の抗ATLV抗体を検出する方法に関する。従って本発明は臨床診断
の分野において有用である。 従来技術 従来、抗原抗体反応は広い分野で利用されている技術であるが、特に医療分野
では病気の診断、治療および予防に幅広く応用されている。これらは抗原抗体反
応の高い特異性に依存しており、この高い特異性が診断の正確性、治療および予
防の有効性を保証している。 成人T細胞白血病(以下ATLという)はATLV(HTLV−1)が原因と
考えられており、ATLV(HTLV−1)感染の血清診断はATLの診断およ
び感染の予防などにとって重要である。ATLV感染は、血清中のATL−関連
抗原(以下ATLAという)に対する抗体の有無を抗原抗体反応を利用して検出
することにより行われている。従来知られている抗ATLV抗体検出方法として
は、抗原物質としてATLVのgag遺伝子の産物であるP−24を用いる方法
(以下P−24法と称す)、抗原物質として全ATLVの遺伝子産物であるポリ
ペプチドを用いる方法および抗原物質としてenv遺伝子産物を用いる方法が知
られている。 発明が解決しようとする問題点 抗ATLV抗体の検出における上記従来法において偽陰性および偽陽性の診断
結果が得られることがあり、さらに優れた検出方法の開発が望まれている。 問題点を解決するための手段 本発明者は、抗ATLV抗体の優れた検出方法を見出すべく研究を行った結果
、ATLVのgag遺伝子とenv遺伝子とが結合した融合遺伝子によってコー
ドされるポリペプチドを抗原物質として用いた場合に抗ATLV抗体の検出が極
めて精度よく行われることを見出し、本発明を完成した。 以下に本発明を詳細に説明する。 本発明は、ATLVのgag遺伝子またはその一部とATLVのenv遺伝子
またはその一部とが結合した融合遺伝子によってコードされるポリペプチドを抗 原物質として用いる免疫学的方法により試料中の抗ATLV抗体を検出すること
を特徴とする抗ATLV抗体の検出方法に関する。 本発明に抗原物質として用いるポリペプチドとしては、gag遺伝子またはそ
の一部とenv遺伝子またはその一部とが結合した融合遺伝子によってコードさ
れるものであればいかなるものも用いることができる。好適には、参考例1に示
した方法で製造される下記アミノ酸配列を有するもの(以下gag−env蛋白
という)が用いられる。gag−env蛋白は、P−24のN末端側14番目の
アミノ酸(プロリン)から139番目のアミノ酸(グリシン)までのポリペプチ
ドとenvのN末端側197番目のアミノ酸(スレオニン)から295番目のア
ミノ酸(プロリン)までのポリペプチドとが結合したポリペプチドのN末端側に
メチオニン−アスパラギン酸が、C末端側にリジン(Lys)が付加されたポリ
ペプチドである。 本発明が適用される試料としては、血液などの体液や尿などがあげられる。 本発明で用いる免疫学的方法としては、下記のものがあげられ、各文献記載の
方法を用いて実施できる。 ○エンザイム・イムノアッセイ(以下EIAという) 酵素免疫測定法,医学書院,石川栄治ら,1978年, ○ラジオ・イムノアッセイ(以下RIAという)免疫血清学,医歯薬出版,稲井
真彌ら,1981年 ○フルオレッセンス・イムノアッセイ(以下FIAという) 同 上 ○逆受身凝集反応 同 上 ○フィトヘマトアグリチネーション 同 上 ○レーザーネフロメトリー 同 上 ○免疫溶血反応(赤血球またはリポソームを用いる方法) 同 上 ○パーティクルアグリチネーション 最新検査,医典社,Vol.2 No2,151〜157,1984,Gann 75,845,1984 RIA,EIA,FIAにおいては、均一系のみならず、サンドイッチ法など
の不均一系の分析方法も可能である。 具体例としてEIAをサンドイッチ法で行う例を下記に示す。 抗原物質をマイクロタイタープレートのウェルにコーティングし、血清試料を
適当な緩衝液たとえば緩衝液A〔0.15M NaCl,0.1%ゼラチン,1%
牛血清アルブミンおよび0.1%NaN3を含む1/15Mリン酸ナトリウム緩衝
液(pH7.2)〕で希釈した液をウエルに入れ、4〜37℃,1時間〜1週間
静置し、適当な緩衝液、たとえば緩衝液B〔0.05% Tween 20および0.1
5M NaClを含む1/15Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)〕でウ
エルをよく洗浄する。ウサギ抗ヒト免疫グロブリン抗体のFabフラグメントと
ホースラ ディッシュパーオキシダーゼとを過沃素酸法により結合させたコンジュゲートを
適当な緩衝液、たとえば緩衝液Bで希釈した液をウエルに入れる。4〜45℃で
1〜24時間静置後、同じ緩衝液で洗浄する。ついで適当な基質溶液たとえばオ
ルソ・フェニレンジアミン基質溶液〔0.02%,オルソ・フェニレンジアミン
および35mM過酸化水素を含む1/15Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.
2)〕をウエルに入れ、15〜37℃で5〜60分間静置する。2N H2SO4
で反応を停止させ、室温で1〜10分間放置後、マイクロタイタープレート用フ
ォトメーターで410nmおよび600nmにおける吸光度(O.D.)を測定し
、前者の値から後者の値を差し引いた値を抗体値とする。 ここに示した方法は一例示であり、抗体や基質液、発色剤などの変更は、適宜
行うことができる。 gag−env蛋白を用いる本発明方法は優れた抗ATLA抗体の検出方法で
あるが、gag遺伝子産物とenv遺伝子産物とを同一担体上に結合させたもの
(以下カクテル抗原ポリペプチドという)を用いても本発明方法と同様に優れた
効果が期待できる。カクテル抗原ポリペプチドは、gag遺伝子産物とenv遺
伝子産物とを適当な担体たとえばリポソーム,合成樹脂またはガラス製の固相担
体に物理的または化学的に吸着させることにより製造することができる。 本発明方法は、抗ATLV抗体の検出に優れた効果を示すが、P−24と交差
反応を示す疾患として知られているTSP(Tropical Spastic Paraplesia,熱
帯性痙攣性対麻痺症),HAM(HTLV−1関連脊髄病),MS(Multiple
Sclerosis,多発性硬化症)およびATL以外の各種の癌(たとえば肝癌,子宮癌
)に適用できる。 実施例1. 抗原物質としてgag−env蛋白(gag−env法)またはgag遺伝子
産物の断片であるP−24を用いるEIA(P−24法)ならびに天然のATL HTLV−1保菌者および正常人血清における抗ATLV抗体の検出を行った。 (1)gag−env蛋白およびP−24を用いるEIA(サンドイッチ法) 血清試料としてATL患者またはHTLV−1保菌者57名および正常人30 名の血清を用いた。gag−env蛋白としては参考例1の方法で得られるポリ
ペプチドを用い、P−24は特開昭60−61534号に記載の方法に従って得
られるgagポリペプチドを用いた。 1μgのgag−env蛋白および3μgのP−24をそれぞれマイクロタイ
タープレート(Nunc社)のウェルにコーティングした。 各血清を緩衝液A(0.15M NaCl,0.1%ゼラチン,1%牛血清アル
ブミンおよび0.1%NaN3を含む1/15Mリン酸ナトリウム緩衝液,pH7
.2)で20倍に希釈した。この希釈液100μlを上記ウエルに入れ、室温で
2時間静置後、緩衝液B〔0.05% Tween20(和光純薬工業社製)および0.
15M NaClを含む1/15Mリン酸ナトリウム緩衝液,pH7.2〕15
0μlで3回洗浄した。 ウサギ抗ヒト免疫グロブリン抗体のFabフラグメント(酵素免疫測定法,医
学書院,石川栄治ら,1978)とホースラディシュパーオキシダーゼ(Sigma 社製
)とを過沃素酸法(同上文献)により結合させたコンジュゲート(80/ml)を
緩衝液Bで20倍に希釈した溶液100μlを各ウエルに入れた。室温で2時間
静置後、緩衝液B150μlで3回洗浄した。ついで、オルソ・フェニレンジア
ミン基質溶液(0.02%オルソ・フェニレンジアミンおよび35mM過酸化水
素を含む1/15Mリン酸ナトリウム緩衝液,pH7.2)100μlを各ウエ
ルに入れ、室温で15分間静置した。2N H2SO4 50μlを各ウエルに入
れて反応を停止させ、10分間室温で放置後、マイクロタイタープレート用フォ
トメーターMTP−22型(コロナ社製)で410nmおよび600nmにおけ
る吸光度(O.D.)を測定し、その差で抗体値を得た。試験はすべて二系列で行
い平均値を測定値とした。 検査29(1):91−94(1985)に記載の方法(エーザイ法)にて1項と同じ試料に
ついて抗ATLV抗体検出を行った。 (3)正常人30名の血清について1および2項で測定した測定値(O.D.)の
平均値および標準偏差値は次のとおりであった。 gag−env 0.055±0.013 P−24 0.010±0.004 エーザイ 0.040±0.009 平均値と標準偏差値の2倍との和をカットオフ値とすると、P−24の場合0
.018,gag−env蛋白の場合0.081,エーザイの場合0.059がカッ
トオフ値となる。 ATL患者またはHTLV−1保菌者57名についての測定結果を第1表に示
す。 【第1表】 第1の測定値と、上記のカットオフ値で陽性率を算出した結果を第2表に示す
。 【第2表】 第2表により、正常人についてはどの方法でも偽陽性は0%であり、ATL患
者またはHTLV−1保菌者ではP−24の場合10名が偽陰性(カットオフ値
0.018以下),エーザイ法の場合1名が偽陰性(カットオフ値0.059以下
)を示すのに対しgag−env蛋白の場合偽陰性(カットオフ値0.081以
下)は1名もなく、100%の陽性率を示すことがわかる。 エーザイ法とP−24法またはgag−env法との相関性について計算した
結果を第5図および第6図に示す。エーザイ法とP−24法との相関係数は0.
8294,エーザイ法とgag−env法の相関係数は0.7479であった。
この相関計数の値は、エーザイ法,P−24法,gag−env法が互に相関関
係を有していることを示している。 参考例1. (1)プラスミドpKYP26およびpEFM2の分離精製 pKYP26の含む大腸菌〔Escherichia coli IKYP26(FERM BP
−863)〕およびpEFM2を含む大腸菌(Escherichia coli EEFM2(
ATCC53228)〕をそれぞれ50/mlのアンピシリンを含むL培地(1%
バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、1%NaCl,pH7.5)10ml、で
37℃、18時間培養した。この培養液全量を50μg/mlのアンピシリンを含
むL培地1lに植菌し、37℃で培養した。4時間後に、クロラムフェニコール
を170μg/mlとなるように加え、さらに37℃、16時間培養した。遠心分
離法(5,000rpm 10分間)により集菌を行い、0.8%NaClで菌体を
洗浄した後、50mMトリス塩酸(pH8.0)20mlに懸濁し、氷冷した。1
0mg/mlのリゾチームを8ml加え氷中に10分間静置した後、0.5M EDT
Aを9.6ml加え、氷中に10分間静置し、2%トリトンX−100(和光純薬
工業社製)を2.3ml加え氷中にさらに1時間静置した。50,000×gで4℃、1
時間超遠心分離を行い、上清約40mlを得た。次にこの上清に3M NaOHを
加えpHを12.5として、室温で10分間静かに撹拌した。2Mトリス塩酸(
pH7.5)を加え、pHを8.5にもどし、さらに3分間撹拌した。この時点で
液の容量は約55mlであった。1/9容の5M NaClを加えた後、10mM
トリス塩酸(pH7.5)、1mM EDTAで飽和したフェノールを等量加え、激
しく撹 拌した後、低速遠心分離法(3,300rpm,10分間、以下同条件)により水
層を集めた(以下、この処理をフェノール抽出と略記する)。1/250容の5
mg/ml RNase A(シグマ社製)を加え、37℃、1時間RNA分解反応を行った
後、1/5容の5M NaClを加え、1/3容の30%PEG6000(半井
化学薬品社製)を加え−20℃に2時間静置した。遠心分離法で沈殿を集め、1
0mMトリス塩酸(pH7.5)および1mM EDTAからなる液2mlに溶か
し、ソジウム・ドデシル・サルフェイト(SDS)を0.5%となるように加え
、Proteinase K(シグマ社製)を50μg/mlとなるように加えて、37℃1
時間蛋白質分解反応を行った。フェノール抽出を3回繰り返し行った後、等量の
クロロホルムを加え、激しく撹拌した後低速遠心分離法により水層を集めた。1
/10容の3M酢酸ナトリウムを加え、2.5倍容のエタノールを加え、−20
℃,1時間静置した。冷却遠心分離法(4℃,11,000 rpm,10分間)で沈殿を
集め、10mMトリス塩酸(pH7.5)および1mM EDTAからなる液1m
lに溶かした。このようにしてpKYP26およびpEFM2を各々800μg
を得ることができた。pKYP26の構造は、EcoRI,KpnI,BamH
I,BglII,pstIで切断してアガロースゲル電気泳動で確認した。またp
EFM2の構造は、XhoI,KpnI,BglII,HpaI,PstIで切断
してアガロースゲル電気泳動で確認した。 (2)ATLVのP24遺伝子を含むプラスミドDNAの造成 (2)−1 pAFB7の造成: pGEL1〔Escherichia coli IGEL1(FERM BP−629)から常法に
より採取〕の5μgを10mMトリス塩酸(pH7.5),7mM MgCl2
6mMメルカプトエタノールおよび100mM NaClを含む溶液(以下、Y
−100緩衝液と略記する)40μlに溶かし、制限酵素PstI(宝酒造社製
、以下特記しない限り制限酵素は宝酒造社製を用いた)10単位、BamHI8
単位を加え、37℃,2時間消化反応を行った。この反応液からLGT法により
lppターミネーターを含む約1,700bpのDNA断片を約0.2μg得た
。 これとは別に、pGEL1の10μgを100μlのY−100緩衝液に溶か
し、制限酵素PstIを16単位加え、37℃,1時間消化反応を行った。アガ ロースゲル電気泳動法によりpstI消化が完全に行われたのを確認した後、制
限酵素HpaIを3単位加え、37℃,30分間消化反応を行いHpaI部分分
解を行った。この反応液からLGT法によりtrp系のプロモーターを含む約9
40bpの部分分解DNA断片約0.2μgを得た。 次に、pAFA10(ATCC39582に担持された第1図に示すプラスミ
ド)の30μgを250μlのY−100緩衝液に溶かし、制限酵素HpaI
140単位、BamHI30単位を加え、37℃,3時間消化反応を行い、この
反応液からLGT法でP24遺伝子を含む、約700bpのDNA断片を約0.
5μg得た。 上記で得たpGEL1由来のPstI−BamHI断片(約1,700bp)
約0.1μg,PstI−HpaI断片(約940bp)約0.15μgおよびp
AFA10由来のHpaI−BamHI断片(約700bp)約0.2μgを2
0mMトリス塩酸(pH7.5),10mM MgCl2,10mMジチオスレイ
トールおよび1mM ATPを含む溶液(以下、T4DNAリガーゼ緩衝液と略
記する)20μlに溶かし、3単位のT4DNAリガーゼ(宝酒造社製)を加え
、4℃,16時間結合反応を行った。 該反応液を用いて大腸菌HB101株〔ボリバーら,ジーン,75(1977)〕
を形質転換し、ApRのコロニーを得、このコロニーよりバーンボイムらの方法
〔ヌクレイック・アシド・リサーチ,1513(1979)〕によりプラスミドDNA
を回収し、第1図に示したpAFB7を得た。 (2)−2 pAAB6の造成: pTAG424A(FERM BP−341に担持された第2図に示すプラス
ミド,特開昭60−61534)2μgを20μlのY−100緩衝液に溶かし
、制限酵素BamHIを4単位加え、37℃,2時間消化反応を行った。 つづいて該溶液のNaCl濃度を150mMになるように調整し、制限酵素N
coI(ニッポンジーン社製)を4単位加え、37℃,2時間消化反応を行った
。つづいて、BamHI,NcoIで切断したDNAを33mMトリス−酢酸(
pH7.9),66mM酢酸カリウム,10mM酢酸マグネシウム,5mMジチ
オスレイトール,および0.4mMのdATP,dCTP,dGTP,dTTP
を 含む溶液(以下、T4DNAポリメラーゼ緩衝液と略記する)20μlに溶かし
、T4DNAポリメラーゼ(宝酒造社製)1単位を加え、37℃,30分反応を
行った。 上記の酵素処理液を20μlのT4DNAリガーゼ緩衝液に溶かし、3単位の
T4DNAリガーゼを加え、4℃,18時間結合反応を行った。 該反応液を用いて大腸菌HB101株を形質転換し、ApRのコロニーを得、
このコロニーより前記バーンボイムらの方法によりプラスミドDNAを回収し、
第2図に示したpAAB6を得た。 (2)−3 pAHA1の造成: 前項で得たpAAB6の15μgを100μlのY−100緩衝液に溶かし、
制限酵素StuI15単位とClaI〔ニュー・イングランド・バイオ・ラブス
(New England Bio Labs)社製〕20単位を加え、37℃,3時間消化反応を行
い、この反応液からLGT法でp24遺伝子の前半部分を含む約400bpのD
NA断片を約0.3μg得た。 次にpGEL1の5μgを40μlのY−100緩衝液に溶かし、制限酵素C
laI〔ニュー・イングランド・バイオ・ラブス(New England Bio Labs)社製
〕5単位,pst18単位を加え、37℃,2時間消化反応を行った。この反応
液からLGT法でtrp系のプロモーター部分を含む約1,000bpのDNA
断片を約0.2μg得た。 これとは別に、第1項で得たpKYP26の2μgを10mMトリス−HCl
(pH7.5),7mM MgCl2,6mMメルカプトエタノールおよび10m
M NaClを含む溶液(以下、Y−10緩衝液と略記する)30μlに溶かし
、制限酵素KpnI5単位を加え、37℃,2時間消化反応を行った。このKp
nIで切断したDNAを20μlのT4DNAポリメラーゼ緩衝液に溶かしT4
DNAポリメラーゼ1単位を加え、37℃,30分間反応をおこなった。このD
NA反応液を30μlの−100緩衝液に溶かし、制限酵素pstI4単位を加
え、37℃,2時間消化反応を行った。この反応液からLGT法でlpp系のタ
ーミネーター部分を含む約1,700bpのDNA断片を約0.2μg得た。 上記で得たpAAB6由来のStuI−ClaI断片(約400bp)約0.
1 μg,pGEL1由来のClaI−PstI断片(約1,000bp)約0.2
μg,pKYP26由来のKpnI−PstI断片(約700bp)約0.1μ
gを30のT4DNAリガーゼ緩衝液に溶かし、4単位のT4DNAリガーゼを
加え、4℃,18時間結合反応を行った。 該反応液を用いて大腸菌HB101株を形質転換し、ApRのコロニーを得、
このコロニーより前記バーンボイムらの方法によりプラスミドDNAを回収し、
第2図に示したpAHA1を得た。 (2)−4 pAFG10の造成: 前項で得たpAHA1の5μgを50μlのY−100緩衝液に溶かし、制限
酵素PstIを8単位加え、37℃,2時間消化反応を行った。この反応液から
LGT法でtrp系のプロモーター部分およびP24遺伝子のN末端部分を含む
約1,100bpのDNA断片を約0.5μg得た。 次に、第1項で造成したpAFB7の6μgを、30μlのY−100緩衝液
に溶かし、制限酵素BamHIを8単位加え、37℃,2時間消化反応を行った
。この反応液に0.2Mトリス−HCl(pH8.0),120mM CaCl2
,120mM MgCl2,2M NaClおよび10mM EDTAからなる
液5μlを加え、滅菌水を15μl加え、30℃に3分間保温した。BAL31
ヌクレアーゼ〔ベセスダ・リサーチ・ラボラトリース(Bethesda Research Labo
ratories)社製〕を10単位加え30℃で80秒間分解反応を行った。反応後フ
ェノール抽出を行い、エタノール沈殿法でDNAを回収した。このDNAを30
μlのY−100緩衝液に溶かし、制限酵素pstIを8単位加え、37℃,2
時間消化反応を行った。この反応液からLGT法で、P24遺伝子部分を含む約
450bpのDNA断片を約0.1μg得た。 上記で得たpAHA1由来のpstI断片(約1,100bp)約0.2μg
,pAFB7由来のPstI−BAL31ヌクレアーゼ分解断片(約450bp
)0.1μg、および前項で得たpKYP26由来のKpnI−PstI断片(
約1,700bp)0.1μgを30μlのT4DNAリガーゼ緩衝液に溶かし
、T4DNAリガーゼ6単位を加え、4℃,18時間結合反応を行った。 該反応液を用いて大腸菌HB101株を形質転換し、ApRのコロニーを得、 このコロニーより前記バーンボイムらの方法によりプラスミドDNAを回収し、
第3図に示したpAFG10を得た。P24をコードする領域のC末端の塩基配
列を決定したところ、第3図に示した様にP24のC末端までを含み、さらにV
al・Val・Leu・Ser・Asnが付いた構造になっていることが確認さ
れた。 (3)ATLVのgag遺伝子によりコードされる抗原ポリペプチドとenv遺
伝子によりコードされる抗原ポリペプチドとが融合したハイブリッド抗原ポリペ
プチドをコードする組換え対プラスミドpETI7の造成: 第2項で得た組換え体プラスミドpAFG10の10μgを100μlのY−
100緩衝液に溶かし、制限酵素XhoIを10単位,StuIを12単位加え
、37℃,3時間消化反応を行った。 この反応液からLGT法によりトリプトプァン系のプロモーターとP24遺伝
子の前半を含む約630bpのDNA断片約0.5μgを得た。 次に第1項で得たpEFM2の5μgを50μlのY−100緩衝液に溶かし
、制限酵素XhoIを10単位,HpaIを8単位加え、37℃,3時間消化反
応を行った。この反応液からLGT法により、env遺伝子の後半を含む約2,
700bpのDNA断片を約1μg得た。 上記で得たpAFG10由来のXhoI−StuI断片(約630bp)0.
05pmoleとpEFM2由来のXhoI−HpaI断片(約2,700bp)0
.01pmoleを40μlのT4DNAリガーゼ緩衝液に溶かし、T4DNAリガ
ーゼ5単位を加え、4℃,18時間結合反応を行った。 該反応液を用いて大腸菌HB101株を形質転換し、ApRのコロニーを得、
このコロニーより前記バーンボイムらの方法によりプラスミドDNAを回収し、
第4図に示したpETI7を得た。 (4)pETI7を保有する大腸菌によるgag遺伝子によりコードされる抗原
ポリペプチドとenv遺伝子によりコードされる抗原ポリペプチドとの融合ポリ
ペプチドの生産: 第3項3で得られた組換え体プラスミドpETI7を用い常法により大腸菌W
3110StrA株(FERM BP−732)を形質転換した。得られた ApRのコロニーを8mlのMCG培地〔0.6% Na2HPO4,0.3%KH2
4,0.5% NaCl,0.1% NH4Cl,0.5%グルコース,0.5%カ
ザミノ酸,1mM MgSO4,4μg/mlビタミンB1,pH7.2〕に接種し、
30℃で18時間培養した。得られた培養液を8,000rpm,10分間遠心し
て菌体を回収した。この菌体をレムリのサンプルバッファーに懸濁後、SDS−
ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、クマシーブリリアントブルーにて染色
して、分子量約25,000の部位にポリペプチドバンドを検出した。このバン
ドは該プラスミドを含まない大腸菌を用いた場合には存在しなかった。 このポリペプチドの分子量は、プラスミドpETI7の構造から予想されるハ
イブリッド抗原ポリペプチドの分子量(25,051.02)と一致した。 (5)第4項で述べた培養液1lより遠心分離(8,000 rpm,30分間)し
て得られた菌体を200mlの脱イオン水に懸濁し、マントンガウリンホモゲナイ
ザー(製造元;MANTON-GAULIN MANUFACTURING Co.,INC.USA)により400kg
/cm2の圧力で菌体破砕を行い、沈殿画分を遠心分離により得た。本沈殿画分は
SDS−ポリアクリルアミド電気泳動により分析するとgag−env蛋白84
5mgを含有していた。 本沈殿画分を4%(W/V)トリトンX−100,10mMエチレンジアミン四
酢酸ナトリウムを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.4)に分散し遠心分離に
より再び沈殿画分を得、この沈殿を2mMエチレンジアミン四酢酸ナトリウム,
0.3%(V/V)2−メルカプトエタノール,7M尿素を含むリン酸緩衝液(p
H7.4)で溶解し、あらかじめ7M尿素を含む20mMリン酸緩衝液(以下、
平衡化緩衝液とよぶ,pH7.0)で平衡化したTSKgelCMトヨパール6
50(東洋曹達工業社製)100mlに通塔、吸着させた。 平衡化緩衝液でカラムを洗浄後、0.1M NaClを加えた平衡化緩衝液で
溶出し、高純度画分250mlを得た。本画分は430mgのgag−env蛋白を
含有していた。この高純度画分を、10mM炭酸緩衝液(pH9.4)3lを外
液として透析し、生じた沈殿を遠心分離により除去後、遠心分離上清として目的
gag−env蛋白溶液400mlを得た。SDS−PAGEにより分析すると、 蛋白純度は90%以上であり、収量は160mgであった。 発明の効果 本発明によれば、抗ATLV抗体の検出を精度高く行うことができ、ATLの
血清診断を効果的に行うことができる。さらに本発明方法はP−24と交差反応
を示す疾患に応用できる。
【図面の簡単な説明】 第1図はプラスミドpAFB7の造成工程を示す。 第2図はプラスミドpAHA1の造成工程を示す。 第3図はプラスミドpAFG10の造成工程を示す。 第4図はプラスミドpETI7の造成工程を示す。 第5図は、エーザイ法の抗体値をY軸,P−24法の抗体値をX軸としたとき
の相関図を示す。相関係数は0.8924である。単一度数分布による最小2乗
法(1次回帰)により、回帰式を求めるとY=2.7437X+0.2151を示
す。 第6図は、エーザイ法の抗体値をY軸,gag−env法の抗体値をX軸とし
たときの相関図を示す。相関係数は0.7479である。単一度数分布による最
小2乗法(1次回帰)により回帰式を求めるとY=1.9473X−0.1119
を示す。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 (1)成人T細胞白血病ウィルス(以下ATLVという)のgag遺伝子とATL
    Vのenv遺伝子とが結合した融合遺伝子によってコードされるポリペプチドで
    あって、下記アミノ酸配列を有するポリペプチドを抗原物質として用いる免疫学
    的方法により試料中の抗ATLV抗体を検出することを特徴とする抗ATLV抗
    体の検出法。(2)免疫学的方法が、ラジオ・イムノアッセイ,エンザイム・イムノアッセイ,
    フルオレッセンス・イムノアッセイ,逆受身凝集反応,フィトヘマトアグリチネ
    ーション,パーティクルアグリチネーション,レーザーネフロメトリーおよび免
    疫溶血反応から選ばれる特許請求の範囲第1項記載の検出法。

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